説明

接触式測定装置

【課題】本発明は、高い測定精度を有し、小型化を実現できる接触式測定装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る接触式測定装置は、ガイド孔を有するガイドレール30と、前記ガイドレール30のガイド孔を貫くガイド部材60と、前記ガイド部材60の一端に固定される測定ヘッド80と、を備える。前記ガイド部材60の軸方向と直交する方向における断面の輪郭及び前記ガイドレール30のガイド孔の形状が非円形である。前記ガイド部材60は、前記ガイドレール30に相対して回転することなく、前記ガイドレール30のガイド孔の軸方向に沿って滑動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測定装置に係り、特に接触式測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部品の加工過程において、通常、接触式又は非接触式の測定装置を用いて、部品の平面度や表面粗度等を測定する。接触式測定装置を用いて測定する時、測定される部品の表面に圧力を印加する必要がある。測定の精度を高めるために、従来の接触式測定装置は、一般的にエア式のガイドレールを用いて、空気の圧力を利用してガイドピンをガイドレールから浮き上がらせた状態でガイドレール内で滑動させることによって、ガイドピンとガイドレールとの間の摩擦を減少させる。
【0003】
従来の接触式測定装置は、台座、測定尺、センサー、測定ヘッド、2つのガイドピン、2つの固定板及びエア式のガイドレールを備え、前記センサー及び前記ガイドレールは、前記台座に固定される。前記ガイドレールには、2つの貫通孔が並列に開設される。前記2つのガイドピンは、円柱体であるため、別々に前記ガイドレールの2つの貫通孔を通して前記ガイドレールに相対して滑動することができる。前記2つの固定板及び前記2つのガイドピンは、長方体を形成するように突合せられており、前記2つの固定板はお互いに平行とし、前記2つのガイドピンもお互いに平行とする。前記測定尺は、1つの固定板に固定され、前記測定ヘッドは、もう1つの固定板に固定される。前記ガイドピンが前記ガイドレール内で運動する時、前記ガイドレールに相対して上下に滑動するだけではなく、回転することもできる。そこで、測定精度を高めるために、2つのガイドレールを平行に設置して、前記2つのガイドピンを固定板で連接することにより、前記ガイドピンが滑動することを防止するとともに、回転することを防止する。しかし、ガイドピンの数を増やすと、ガイドレールの幅を広げなければならないため、測定装置の体積が大きくなるだけではなく、製造コストも上がる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した問題に鑑みて、本発明は、高い測定精度を有し、小型化を実現できる接触式測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る接触式測定装置は、ガイド孔を有するガイドレールと、前記ガイドレールのガイド孔を貫くガイド部材と、前記ガイド部材の一端に固定される測定ヘッドと、を備える。前記ガイド部材の軸方向と直交する方向における断面の輪郭及び前記ガイドレールのガイド孔の形状が非円形である。前記ガイド部材は、前記ガイドレールに相対して回転することなく、前記ガイドレールのガイド孔の軸方向に沿って滑動する。
【0006】
本発明に係る接触式測定装置は、ガイド孔を有するガイドレールと、前記ガイドレールのガイド孔を貫くガイド部材と、前記ガイド部材の一端に固定される測定ヘッドと、を備える。前記ガイド部材は、順次に連接される複数の側面を有し、前記ガイドレールは、順次に連接され且つ前記ガイド部材の側面と対応する複数の側板を有する。前記ガイド部材は、前記ガイドレールに相対して回転することなく、前記ガイドレール内で滑動する。
【発明の効果】
【0007】
従来の技術と比べて、本発明に係る接触式測定装置は、ガイド部材の軸方向と直交する方向における断面の輪郭及びガイドレールのガイド孔を非円形に設置することにより、前記ガイド部材が前記ガイドレール内で滑動する時に前記ガイドレールに対して回転することを防止して、測定の精度を高めることができる。更に、本発明に係る接触式測定装置は、ガイド部材及びガイドレールをそれぞれ1つだけ用いたので、製造コストを低減するとともに、接触式測定装置全体の体積を減少することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る接触式測定装置の外部フレートを取り外した後の立体分解図である。
【図2】本発明の実施形態に係る接触式測定装置の立体分解図である。
【図3】図2に示した接触式測定装置を別の角度から見た立体分解図である。
【図4】図1に示したエア式のガイドレールの立体断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る接触式測定装置に関して詳細に説明する。
【0010】
図1を参照すると、本発明の実施形態に係る接触式測定装置100は、台座10と、前記台座10に固定されるセンサー20と、エア式のガイドレール30と、押圧部材40と、前記押圧部材40に連接される連接部材50と、前記連接部材50の同じ側に平行に連接されるガイド部材60及び測定尺70と、前記ガイド部材60に固定される測定ヘッド80と、前記台座10を覆う外部フレーム90と、を備える。前記ガイド部材60は、前記ガイドレール30を貫いて前記ガイドレール30に相対して滑動することができる。
【0011】
図2を一緒に参照すると、前記台座10は、第一基板11と、前記第一基板11の対向する2つの縁部から前記第一基板11と直交する方向へ延伸する第二基板13と、第三基板15と、を備える。前記第一基板11には、装着孔111が開設されている。前記第二基板13の中央部には、デジタルコントロールマシンツール(Digital control machine tool)(図示せず)に接続するための接続端子131が設置されている。前記第三基板15には、前記測定ヘッド80を通すための貫通孔151が開設されている。
【0012】
前記センサー20は、前記第一基板11に固定され、前記測定尺70の目盛りを読み取ることができる。
【0013】
図1及び図4を一緒に参照すると、前記エア式のガイドレール30は、前記センサー20と並列するように前記第一基板11に固定される。前記エア式のガイドレール30は、実質的に直方体であって、対向設置されている2つの第一側板31と、対向設置されている2つの第二側板33と、を備える。前記4つの側板の4つの内側面37が順次に連接して正方形のガイド孔35を形成する。前記第一側板31及び前記第二側板33は、ねじ締め、かしめ、溶接又は粘着などの方法で接続することができる。本実施形態においては、ねじ締め方式を採用して前記第一側板31及び前記第二側板33を接続する。前記ガイド部材60は、前記ガイド孔35の内部に滑動可能に収容されている。
【0014】
前記第一側板31には、外表面から内部に向かって1つの吸気孔311が開設されており、前記第一側板31の内部には、更に前記吸気孔311と連通している導気孔313及び前記導気孔313と連通している複数の排気孔315が開設されており、前記排気孔315は、前記ガイドレール30の内側面37に延伸して前記ガイド孔35と連通している。
【0015】
前記第二側板33の内部には、前記第一側板31の導気孔313と連通している導気トンネル(図示せず)及び前記導気トンネルと連通している複数の排気口331が開設されており、前記排気口331は、前記ガイドレール30の内側面37に延伸して前記ガイド孔35と連通している。
【0016】
前記ガイドレール30の内側面37には、前記ガイドレール30の内部に向かってガイド溝371が凹設されており、前記ガイド溝371は、前記第一側板31の複数の排気孔315を連通させ、且つ前記第二側板33の複数の排気口331を連通させる。
【0017】
図2及び図3を一緒に参照すると、前記押圧部材40の一端は、前記第二基板13に固定されて測定圧力を提供する。前記押圧部材40は、スプリングやエアポンプ等のような変化する圧力を提供できる装置であって、本実施形態において、前記押圧部材40は、スプリングである。
【0018】
前記連接部材50は板状であって、前記押圧部材40の他端に固定されている。
【0019】
前記ガイド部材60は中空な構造であるため、軽量で容易に製造できるという利点を有する。前記ガイド部材60の軸方向と直交する方向における断面の輪郭は非円形である。本実施形態において、前記断面は正方形であって、即ち前記ガイド部材60は順次にお互いに直交するように連接される4つの側面を含む。前記ガイド部材60は、ねじを介して前記連接部材50に固定され、且つ前記ガイドレール30のガイド孔35を通して前記ガイドレール30に相対して滑動することができる。前記ガイド部材60及び前記押圧部材40は、別々に前記連接部材50の対向する両側に設置されている。
【0020】
前記測定尺70は、ねじを介して前記連接部材50に固定され、且つ前記ガイドレール30に接近している。前記測定尺70は、前記ガイド部材60と平行となるように前記連接部材50の同じ側に設置されている。前記ガイド部材60及び前記測定尺70は、全て前記連接部材50と直交し、前記ガイド部材60が滑動する時、前記測定尺70は前記ガイド部材60と一緒に滑動する。
【0021】
前記測定ヘッド80の一端は、前記ガイド部材60に固定され、前記測定ヘッド80の他端は、前記台座10の第三基板15の貫通孔151を通して外部の被測定部品(図示せず)を測定する。
【0022】
図1を参照すると、前記外部フレーム90は、前記台座10の外部に装着されて前記台座10に固定された各部品を保護するとともに、防塵機能を有する。前記外部フレーム90には、装着孔91が開設されている。
【0023】
図1ないし図4を参照すると、前記ガイドレール30の1つの吸気孔311は前記外部フレーム90の装着孔91と連通し、前記ガイドレール30のもう1つの吸気孔311は前記第一基板1の装着孔111と連通している。前記外部フレーム90の装着孔91及び前記台座10の装着孔111の中の一方又は両者を同時に利用して、前記ガイドレール30内に気体を注入することができる。気体は、前記吸気孔311から入って前記導気孔313を介して前記排気孔315及び前記ガイド溝371に流れて、最後に前記ガイドレール30のガイド孔35内に流れ込んで、前記ガイド部材60を浮き上がらせた状態で前記ガイドレール30内で滑動させることにより、滑動する時の摩擦を減少することができる。
【0024】
前記ガイド部材60の断面及び前記ガイドレール30のガイド孔35は正方形であるため、前記ガイド部材60は、前記ガイドレール30に相対して滑動することができるが回転することができない。従ってただ1つの前記ガイド部材60を使っても測定精度を保証することができ、さらに製造コストを低減させるとともに前記接触式測定装置100全体の体積を減少させることができる。なお、ただ1つの前記ガイド部材60を使うと、前記ガイドレール30の体積が小さくなるので、前記センサー20と前記ガイドレール30を並列に設置することができる。従って前記ガイド部材60と前記測定尺70を平行に設置して、前記ガイド部材60と前記測定尺70との距離を減少させることにより平行度の誤差を低減できるので、前記接触式測定装置100の長さを短縮することができる。
【0025】
又、前記ガイド部材60の軸方向と直交する方向における断面の輪郭は、六角形や三角形などの正方形以外の他の形状であってもよいが、前記ガイド部材60の各方向から受けた力を対称させるために、正多角形であることが好ましい。
【0026】
又、前記ガイド部材60の軸方向と直交する方向における断面の輪郭は、前記ガイドレール30のガイド孔35の形状と異なってもよく、前記ガイド部材60が前記ガイドレール30内で滑動する時に回転できない条件を満足すればよい。例えば、前記ガイド部材60の軸方向と直交する方向における断面の輪郭は三角形であるが、前記ガイドレール30のガイド孔35は正方形である。又、前記ガイド部材60が前記ガイドレール30内で揺れることを防ぐために、前記ガイドレール30に3つの吸気孔を設置して、前記ガイドレール30の3つの面から加えられる力を均一にする必要がある。
【0027】
又、前記センサー20及び前記測定尺70のうちの一方を前記ガイド部材60と一緒に運動させることができればよく、従って前記センサー20を前記連接部材50に固定し、前記測定尺70を前記台座10に固定することができる。
【0028】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形、又は修正が可能であり、該変形、又は修正も本発明の特許請求の範囲内に含まれるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0029】
10 台座
11 第一基板
13 第二基板
15 第三基板
20 センサー
30 エア式のガイドレール
31 第一側板
33 第二側板
35 ガイド孔
37 内側面
40 押圧部材
50 連接部材
60 ガイド部材
70 測定尺
80 測定ヘッド
90 外部フレーム
91 装着孔
100 接触式測定装置
111 装着孔
131 接続端子
151 貫通孔
311 吸気孔
313 導気孔
315 排気孔
331 排気口
371 ガイド溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイド孔を有するガイドレールと、前記ガイドレールのガイド孔を貫くガイド部材と、前記ガイド部材の一端に固定される測定ヘッドと、を備えてなる接触式測定装置であって、
前記ガイド部材の軸方向と直交する方向における断面の輪郭及び前記ガイドレールのガイド孔の形状が非円形であって、前記ガイド部材は、前記ガイドレールに相対して回転することなく、前記ガイドレールのガイド孔の軸方向に沿って滑動することを特徴とする接触式測定装置。
【請求項2】
前記接触式測定装置は、測定尺及びセンサーを更に備え、前記測定尺及び前記センサーのうち一方は、前記ガイド部材と一緒に運動することを特徴とする請求項1に記載の接触式測定装置。
【請求項3】
前記接触式測定装置は、連接部材を更に備え、前記ガイド部材と前記測定尺はお互いに平行となるように前記連接部材に固定され、且つ前記ガイド部材、前記センサー及び前記測定尺は前記連接部材の同じ側に固定されることを特徴とする請求項2に記載の接触式測定装置。
【請求項4】
前記ガイドレールは、エア式のガイドレールであり、
前記ガイドレールには、吸気孔及び前記吸気孔と連通している排気孔が開設されており、前記排気孔は、前記ガイド部材に向かうように設置されており、前記ガイドレールは、前記ガイド部材に向かう内側面を有し、前記内側面には、前記ガイドレールの排気孔と連通しているガイド溝が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の接触式測定装置。
【請求項5】
前記ガイド部材の軸方向と直交する方向における断面の輪郭及び前記ガイドレールのガイド孔は正多角形であることを特徴とする請求項1に記載の接触式測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−197384(P2010−197384A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21226(P2010−21226)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(503023069)鴻富錦精密工業(深▲セン▼)有限公司 (399)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】