説明

描画制御装置、描画データ変換装置

【課題】ビット数の異なる描画データ間の変換における画質劣化を防止する。
【解決手段】画像の各画素におけるR,GおよびBの各色の輝度をそれぞれ所定のビット数で表したRデータ、GデータおよびBデータを含み、Gデータのビット数がRデータおよびBデータのビット数よりも1だけ大きい描画データを取得する(ステップS10)。この描画データにおいて、Rデータ、GデータおよびBデータの各値が(R,G,B)=(0,1,0)の関係を満たすか否かを判定し(ステップS20)、これを満たす場合、(R,G,B)=(0,0,0)に変換し(ステップS30)、変換後の描画データを出力する(ステップS40)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、描画制御装置および描画データ変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ(LCD)パネルの描画データとして、R(赤)、G(緑)およびB(青)の各色を6ビットのデータでそれぞれ表現したRGB666と呼ばれるデータフォーマットが用いられている。一方、LCDパネルの描画を制御する描画制御装置では、16ビット(2バイト)単位でデータを取り扱うために、Rを5ビット、Gを6ビット、Bを5ビットでそれぞれ表現したRGB565と呼ばれるデータフォーマットを用いて、LCDパネルへ描画データを出力する場合がある。
【0003】
上記のような場合、RGB565のデータフォーマットで描画制御装置から出力された描画データをRGB666の描画データに変換するために、RとBのデータについて、そのMSB(Most Significant Bit)の値をLSB(Least Significant Bit)の値として補間することが一般的に行われている。このようなデータ変換方法を用いることで、変換後の描画データにおける明暗のダイナミックレンジを最大化できると共に、輝度が最小である黒画像および輝度が最大である白画像における色のバランスを保つことができる。
【0004】
しかしながら、上述したデータ変換方法では、変換後の描画データにおける色のバランスが崩れてしまうため、LCDの表示画面において視覚的に認識可能な画質劣化を引き起こす場合がある。このような画質劣化は、特に輝度の低いグレー画像を表示する際に顕著に生じる。たとえば、各画素におけるRGBの輝度値が(R,G,B)=(1,1,1)で表現されるようなグレー画像(ほぼ黒画像)は、RGB565の描画データで表すと、RおよびBのデータ値がいずれも0となるため、(R,G,B)=(0,1,0)となる。この描画データをRGB666に変換しても、(R,G,B)=(0,1,0)のままである。こうした描画データに基づいてLCDに画像を表示すると、本来のグレー画像ではなく緑がかった黒画像が表示されてしまったり、本来の画像にはない緑色の点が画像上に表示されてしまったりする場合がある。
【0005】
ところで、上記のようなデータ変換方法に関する画質劣化を防止するものとして、特許文献1に開示される画像圧縮方法が知られている。この画像圧縮方法では、描画データを奇数ドットに対応する描画データと偶数ドットに対応する描画データとに分割し、これらの描画データ間の差分をR,G,Bそれぞれについて演算する。こうして求められた差分がいずれも所定値以下であった場合、一方の描画データを圧縮したデータと差分データとをフレームバッファに出力する。これにより、隣り合う画素のRGBデータ間の差が小さい場合においても、良好な画質の画像を得られるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−181402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の画像圧縮方法では、描画データの分割や差分の演算などの複雑な処理が必要であるため、ハードウェアおよびソフトウェアの規模が増大するおそれがある。本発明は、前述のようなビット数の異なる描画データ間の変換における画質劣化を簡単な方法で防止することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による描画制御装置は、画像の各画素におけるR,GおよびBの各色の輝度をそれぞれ所定のビット数で表したRデータ、GデータおよびBデータを含み、Gデータのビット数がRデータおよびBデータのビット数よりも1だけ大きい描画データを取得する取得手段と、取得手段により取得された描画データにおいて、Rデータ、GデータおよびBデータの各値が所定の関係を満たすか否かを判定する判定手段と、判定手段によりRデータ、GデータおよびBデータの各値が所定の関係を満たすと判定された場合に、Gデータの値を変更する変更手段と、描画データ取得手段により取得された描画データにおけるRデータおよびBデータと、変更手段により値を変更されたGデータとを含む描画データを出力する出力手段とを備える。
本発明による描画データ変換装置は、画像の各画素におけるR,GおよびBの各色の輝度をそれぞれ所定のビット数で表したRデータ、GデータおよびBデータを含み、Gデータのビット数がRデータおよびBデータのビット数よりも1だけ大きい入力描画データを、Rデータ、GデータおよびBデータのビット数がそれぞれ等しい出力描画データに変換するものであって、入力描画データにおけるRデータおよびBデータの各ビットの値と、GデータのLSBを除いた各ビットの値との論理和を演算する第1の演算回路と、入力描画データにおけるGデータのLSBの値と、第1の演算回路による演算結果との論理積を演算する第2の演算回路とを備え、入力描画データにおけるRデータおよびBデータのMSBの各値を出力描画データにおけるRデータおよびBデータのLSBの各値としてそれぞれに加えることで、出力描画データにおけるRデータおよびBデータのビット数をそれぞれ1ビット分だけ拡張すると共に、入力描画データにおけるGデータのLSBの値を第2の演算回路による演算結果と置き換えることにより、入力画像データを出力画像データに変換するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ビット数の異なる描画データ間の変換における画質劣化を簡単な方法で防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態による描画制御装置を適用したナビゲーション装置の構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態による信号変換部の回路構成図である。
【図3】描画データ変換処理のフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施の形態による描画データ変換装置を適用したナビゲーション装置の構成図である。
【図5】本発明の他の実施の形態による信号変換部の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
−第1の実施の形態−
本発明の第1の実施の形態による描画制御装置をナビゲーション装置に適用した例について以下に説明する。図1に示すナビゲーション装置1は、車両に搭載されて使用されるものであり、当該車両(以下、自車両と称する)を設定された目的地まで案内するためのナビゲーション処理を行う。ナビゲーション装置1は、制御部10、振動ジャイロ11、車速センサ12、ハードディスクドライブ(HDD)13、GPS(Global Positioning System)受信部14、入力装置15、スピーカ16、信号変換部17および表示モニタ18を備える。
【0012】
制御部10は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、HDD13に記録されている制御プログラムや地図データに基づいて、各種の処理を実行する。この制御部10により、前述のナビゲーション処理をナビゲーション装置1において実現するための様々な処理や制御が実行される。たとえば、目的地を設定する際の目的地の探索処理、設定された目的地までの推奨経路の探索処理、自車両の位置検出処理、各種の画像生成処理、ルート案内時の音声出力処理などが制御部10において実行される。また、表示モニタ18へ描画データ信号を出力する際には、後述する描画データ変換処理も制御部10において行われる。
【0013】
振動ジャイロ11は、自車両の角速度を検出するためのセンサである。車速センサ12は、自車両の走行速度を検出するためのセンサである。これらのセンサにより自車両の運動状態を所定の時間間隔ごとに検出することにより、制御部10において自車両の移動方向および移動量が求められる。
【0014】
HDD13は不揮発性の記録媒体であり、制御部10において上記のような処理を実行するための制御プログラムや地図データなどが記録されている。HDD13に記録されているデータは、必要に応じて制御部10の制御により読み出され、制御部10が実行する様々な処理や制御に利用される。
【0015】
HDD13に記録された地図データは、経路計算データと、道路データと、背景データとを含む。経路計算データは、目的地までの推奨経路を探索する際などに用いられるデータである。道路データは、道路の形状や種別などを表すデータである。なお、地図データにおいて各道路の最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、地図データにおいて各道路は複数のリンクにより構成される。背景データは、地図の背景を表すデータである。なお、地図の背景とは、地図上に存在する道路以外の様々な構成物である。たとえば、河川、鉄道、緑地帯、各種構造物などが背景データによって表される。
【0016】
なお、上記ではナビゲーション装置1において地図データがHDD13に記録されている例を説明したが、これらをHDD以外の記録媒体に記録することとしてもよい。たとえば、CD−ROMやDVD−ROM、メモリカードなどに記録された地図データを用いることができる。すなわち、本実施の形態によるナビゲーション装置では、どのような記録媒体を用いてこれらのデータを記憶してもよい。
【0017】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部10へ出力する。GPS信号には、自車両の位置を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻に関する情報が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて、自車位置を制御部10において算出することができる。このGPS信号に基づく自車位置の算出結果と、前述の振動ジャイロ11および車速センサ12の各検出結果に基づく移動方向および移動量の算出結果とにより、所定時間ごとに自車位置が検出される。
【0018】
入力装置15は、ナビゲーション装置1を動作させるための様々な入力操作をユーザが行うための装置であり、各種の入力スイッチ類を有している。ユーザは、入力装置15を操作することにより、たとえば、自車両の目的地に設定したい施設や地点の名称等を入力したり、予め登録された登録地の中から目的地を選択したり、地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。この入力装置15は、たとえば操作パネルやリモコンなどによって実現することができる。あるいは、入力装置15を表示モニタ18と一体化されたタッチパネルとしてもよい。
【0019】
ユーザが入力装置15を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、前述のようにして検出された自車位置を出発地として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算によるルート探索処理を行う。このルート探索処理により、出発地から目的地まで至る推奨経路が探索されると、探索された推奨経路にしたがってルート案内が行われ、自車両が目的地まで誘導される。
【0020】
スピーカ16は、制御部10から出力される音声信号に基づいて、ナビゲーション処理に関する各種の音声を出力する。たとえば、推奨経路に従って自車両を目的地まで案内するための経路案内用の音声や、各種の警告音などがスピーカ16より出力される。
【0021】
信号変換部17は、制御部10から出力される描画データ信号を表示モニタ18において使用するのに適した信号形式に変換する。具体的には、RGB565のデータフォーマットで制御部10から出力される描画データ信号を、表示モニタ18において用いられるRGB666のデータフォーマットによる描画データ信号に変換する。信号変換部17における描画データ信号の変換方法については、後で図2を用いて詳細に説明する。
【0022】
表示モニタ18は、液晶ディスプレイ等を用いて構成されており、制御部10から出力されて信号変換部17により変換された描画データ信号に基づいて、各種の画像を表示する。たとえば、自車位置付近の地図画像や、自車両前方の案内交差点における進行方向の指示画像などを表示する。なお、表示モニタ18は、たとえば自車両のダッシュボード上やインストルメントパネル内など、ユーザが見やすいような位置に設置されている。
【0023】
次に、信号変換部17における描画データ信号の変換方法について説明する。図2は、信号変換部17の回路構成を示す図である。図2に示すように、制御部10はRGB565のデータフォーマットによる描画データ信号を信号変換部17へ出力する。すなわち、5ビットのRデータによるRデータ信号R1〜R5と、6ビットのGデータによるGデータ信号G0〜G5と、5ビットのBデータによるBデータ信号B1〜B5とを、描画データ信号として信号変換部17へ出力する。なお、Rデータ信号R1〜R5、Gデータ信号G0〜G5およびBデータ信号B1〜B5は、付された数字が小さいものほどLSB側のビットによる信号を表す。すなわち、制御部10から出力されるRデータ信号、Gデータ信号およびBデータ信号において、R1、G0およびB1はLSBの値をそれぞれ表し、R5、G5およびB5はMSBの値をそれぞれ表す。
【0024】
信号変換部17では、R5およびB5の各データ信号が分岐され、それぞれR0、B0として表示モニタ18の出力側に接続されている。これにより、信号変換部17から表示モニタ18に対して、RGB666のデータフォーマットによる描画データ信号が出力される。すなわち、変換後の描画データ信号として、6ビットのRデータによるRデータ信号R0〜R5と、6ビットのGデータによるGデータ信号G0〜G5と、6ビットのBデータによるBデータ信号B0〜B5とが出力される。なお、R5およびR0の値と、B5およびB0の値とはそれぞれ同一である。
【0025】
RGB565のデータフォーマットで制御部10から出力された描画データ信号は、上記のようにして、信号変換部17においてRGB666のデータフォーマットによる描画データ信号に変換され、表示モニタ18へ出力される。すなわち、信号変換部17は、Gデータのビット数がRデータおよびBデータのビット数よりも1だけ大きい制御部10からの入力描画データを、Rデータ、GデータおよびBデータのビット数がそれぞれ等しい出力描画データに変換する。そして、変換後の出力描画データを表示モニタ18に対して出力する。
【0026】
なお、以上説明したような回路構成を有する信号変換部17は、制御部10または表示モニタ18に含まれる回路の一部として実現してもよいし、これらとは独立した回路としてもよい。あるいは、制御部10と表示モニタ18とを接続するケーブルとして実現してもよい。
【0027】
次に、制御部10において実行される描画データ変換処理について説明する。前述したように制御部10は、信号変換部17を介して表示モニタ18へ描画データ信号を出力する際に、描画データ変換処理を行う。この描画データ変換処理は、出力すべき描画データにおけるRデータ、GデータおよびBデータの各値が所定の関係を満たすときに、Gデータの値を変更してから出力するための処理である。
【0028】
描画データ変換処理のフローチャートを図3に示す。ステップS10において、制御部10は、出力すべき描画データを取得する。この描画データは、HDD13に記録されている制御プログラムや地図データに基づいて制御部10により実行される画像生成処理によって生成されたものであり、RGB565のデータフォーマットを用いて表現されている。すなわち、画像の各画素におけるR,GおよびBの各色の輝度を、それぞれRを5ビット、Gを6ビット、Bを5ビットの合計16ビットで表現したものである。
【0029】
ステップS20において、制御部10は、ステップS10で取得した描画データにおけるR,GおよびBの各データ値が、(R,G,B)=(0,1,0)であるか否かを判定する。(R,G,B)=(0,1,0)である場合、すなわちその描画データをそのまま描画データ信号として出力すると、R1〜R5=0、G0=1、G1〜G5=0、B1〜B5=0となるような場合、制御部10はステップS30へ進む。一方、(R,G,B)=(0,1,0)でない場合、制御部10はステップS40へ進む。
【0030】
ステップS30において、制御部10は、ステップS10で取得した描画データの値を、(R,G,B)=(0,1,0)から(R,G,B)=(0,0,0)に変換する。すなわち、GデータのLSBの値のみをG0=1からG0=0に変更し、Gデータにおけるそれ以外のビットの値およびRデータ、Bデータの各ビットの値をいずれも変更しないことで、描画データの変換を行う。
【0031】
ステップS40において、制御部10は、ステップS30の処理により(R,G,B)=(0,1,0)から(R,G,B)=(0,0,0)に変換された描画データの信号、または変換されなかったそれ以外の描画データの信号を、信号変換部17を介して表示モニタ18へ出力する。この描画データ信号は、前述のように信号変換部17においてRGB666のデータフォーマットによる描画データ信号に変換され、表示モニタ18へ出力される。
【0032】
ステップS40を実行したら、制御部10は図3のフローチャートを終了する。以上説明したようにして、描画データ変換処理が実行される。
【0033】
なお、上記ステップS20で判定した(R,G,B)=(0,1,0)である場合とは、RGB666のデータフォーマットを用いて表される本来の画像において、以下の四通りのいずれかに該当するものである。
(1)(R,G,B)=(1,1,1)
(2)(R,G,B)=(1,1,0)
(3)(R,G,B)=(0,1,1)
(4)(R,G,B)=(0,1,0)
【0034】
上記の四通りのデータ値のうち(1)は、輝度の低いグレーを表す。(2)は輝度の低い黄色を、(3)は輝度の低い水色(シアン)をそれぞれ表す。また、(4)は輝度の低い緑を表し、RGB565で表した場合も同じデータ値となる。すなわち、(1)〜(3)のデータ値で表されるような画像をRGB565のデータフォーマットを用いて表現すると、RおよびBの各データ値においてLSBのデータ値が失われるため、色のバランスが崩れてしまい、本来とは異なる色合いとなる。このような画質劣化は特に(1)の場合において顕著となり、本来のグレー画像ではなく緑がかった黒画像が表示されてしまったり、本来の画像にはない緑色の点が画像上に表示されてしまったりする場合がある。
【0035】
そこで本実施形態では、ステップS20において(R,G,B)=(0,1,0)であると判定された場合、これをステップS30において(R,G,B)=(0,0,0)に変換する。これにより、上記のような画質劣化を防止するようにしている。
【0036】
以上説明した第1の実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0037】
(1)制御部10は、画像の各画素におけるR,GおよびBの各色の輝度をそれぞれ所定のビット数で表したRデータ、GデータおよびBデータを含み、Gデータのビット数がRデータおよびBデータのビット数よりも1だけ大きい描画データを取得する(ステップS10)。この描画データにおいて、Rデータ、GデータおよびBデータの各値が所定の関係を満たすか否かを判定し(ステップS20)、所定の関係を満たすと判定した場合、Gデータの値を変更することで描画データの変換を行う(ステップS30)。そして、ステップS10で取得した描画データにおけるRデータおよびBデータと、ステップS30で値を変更したGデータとを含む描画データを、変換後の描画データとして出力する(ステップS40)。このようにしたので、ビット数の異なる描画データ間の変換における画質劣化を簡単な方法で防止することができる。
【0038】
(2)制御部10は、ステップS20において、ステップS10で取得した描画データが(R,G,B)=(0,1,0)である場合に肯定判定する。すなわちRデータおよびBデータの値が共に0であり、Gデータの値が1であるときに、Rデータ、GデータおよびBデータの各値が所定の関係を満たすと判定する。これにより、本来のグレー画像ではなく緑がかった黒画像が表示されてしまったり、本来の画像にはない緑色の点が画像上に表示されてしまったりするような場合を効果的に判定し、これを防止することができる。
【0039】
(3)制御部10は、ステップS30において、GデータのLSBの値のみを変更し、他のビットの値は変更しないようにした。したがって、本来の画像の色合いを維持しつつ、効果的に画質劣化を防止することができる。
【0040】
−第2の実施の形態−
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。前述の第1の実施の形態では、制御部10において図3のフローチャートに示す描画データ変換処理を行うことにより、描画データの値が(R,G,B)=(0,1,0)であるときに生じる画質劣化を防止する例について説明した。すなわち、第1の実施の形態は、描画データの変換をソフトウェアにより行うものであった。これに対して、以下に説明する第2の実施の形態では、描画データの変換をハードウェアにより行う例について説明する。
【0041】
本実施の形態によるナビゲーション装置の構成を図4に示す。このナビゲーション装置1aは、図1に示すナビゲーション装置1と比較して、信号変換部17に替えて信号変換部170を備える点以外は同じである。なお、ナビゲーション装置1aにおいて、制御部10は図3のフローチャートに示す描画データ変換処理を行う必要はない。
【0042】
図5は、信号変換部170の回路構成を示す図である。信号変換部170は、OR回路171とAND回路172を備える。OR回路171には、制御部10からのRデータ信号R1〜R5、Gデータ信号G1〜G5およびBデータ信号B1〜B5がそれぞれ入力される。OR回路171の演算結果は、AND回路172に入力される。AND回路172には、このOR回路171の演算結果に加えて、制御部10からのGデータ信号G0が入力される。AND回路172の演算結果は、表示モニタ18へのGデータ信号G0として出力される。
【0043】
また、信号変換部170では、図2の信号変換部17と同様に、R5およびB5の各データ信号が分岐され、それぞれR0、B0として表示モニタ18の出力側に接続されている。なお、制御部10からのRデータ信号R1〜R5、Gデータ信号G1〜G5およびBデータ信号B1〜B5は、そのまま表示モニタ18へ入力される。これにより、信号変換部170から表示モニタ18に対して、RGB666のデータフォーマットによる描画データ信号が出力される。すなわち、変換後の描画データ信号として、6ビットのRデータによるRデータ信号R0〜R5と、6ビットのGデータによるGデータ信号G0〜G5と、6ビットのBデータによるBデータ信号B0〜B5とが出力される。
【0044】
上記のような回路構成の信号変換部170に対して、(R,G,B)=(0,1,0)の描画データ信号が制御部10から出力された場合を考える。この場合、G0の値のみがG0=1であり、それ以外のビットの値は、いずれもR1〜R5=0、G1〜G5=0、B1〜B5=0である。したがって、OR回路171の演算結果として0が出力される。この演算結果とG0=1であることから、AND回路172の演算結果として0が出力される。その結果、変換後の描画データ信号においてG0=0となる。すなわち、変換後の描画データ信号として、(R,G,B)=(0,0,0)の描画データ信号が信号変換部170から表示モニタ18へ出力される。このようして、信号変換部170において、描画データ信号が(R,G,B)=(0,1,0)から(R,G,B)=(0,0,0)に変換される。
【0045】
なお、信号変換部170に対して(R,G,B)=(0,1,0)以外の描画データ信号が入力された場合、その描画データ信号の値は信号変換部170において変換されず、RGB565からRGB666へのデータフォーマットの変換のみが行われる。すなわち、変換前のG0の値が0である場合は、他のビットの値に関わらずAND回路172の演算結果が0となるため、変換後のG0の値も0となる。また、変換前のG0の値が1であり、他のR1〜R5、G1〜G5およびB1〜B5のうちいずれか少なくとも1つの値が1である場合は、OR回路171の演算結果が1となるため、AND回路172の演算結果も1となる。したがって、変換後のG0の値も1となる。
【0046】
以上説明した第2の実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0047】
信号変換部170は、OR回路171により、制御部10からの入力描画データにおけるRデータのR1〜R5およびBデータのB1〜B5の各ビットの値と、GデータのLSBであるG0を除いたG1〜G5の各ビットの値との論理和を演算する。また、AND回路172により、制御部10からの入力描画データにおけるGデータのLSBであるG0の値と、OR回路171による演算結果との論理積を演算する。そして、入力描画データにおけるRデータおよびBデータのMSBであるR5、B5の各値を、出力描画データにおけるRデータおよびBデータのLSBであるR0、B0の各値としてそれぞれに加えることで、出力描画データにおけるRデータおよびBデータのビット数をそれぞれ1ビット分だけ拡張すると共に、入力描画データにおけるGデータのLSBであるG0の値を、AND回路172による演算結果と置き換えることにより、入力画像データを出力画像データに変換する。このようにしたので、第1の実施の形態と同様に、ビット数の異なる描画データ間の変換における画質劣化を簡単な方法で防止することができる。
【0048】
−変形例−
以上説明した各実施の形態では、制御部10より出力する描画データが(R,G,B)=(0,1,0)である場合に、これを(R,G,B)=(0,0,0)に変換する例について説明した。すなわち、変換前の描画データの各ビット値がR1〜R5=0、G0=1、G1〜G5=0、B1〜B5=0である場合、このうちG0の値を0から1に変更することとした。これは、RGB666のデータフォーマットを用いて表される本来の画像において(R,G,B)=(0または1,1,0または1)である場合に相当する。しかし、これ以外の描画データの値について変換を行うようにしてもよい。たとえば、以下のような変換例が考えられる。
【0049】
(例1)RGB666で(R,G,B)=(2または3,3,2または3)の場合
変換前:R1=1、R2〜R5=0、G0〜G1=1、G2〜G5=0、B1=1、B2〜B5=0
変換後:R1=1、R2〜R5=0、G0=0、G1=1、G2〜G5=0、B1=1、B2〜B5=0
【0050】
(例2)RGB666で(R,G,B)=(4または5,5,4または5)の場合
変換前:R1=0、R2=1、R3〜R5=0、G0=1、G1=0、G2=1、G3〜G5=0、B1=0、B2=1、B3〜B5=0
変換後:R1=0、R2=1、R3〜R5=0、G0〜G1=0、G2=1、G3〜G5=0、B1=0、B2=1、B3〜B5=0
【0051】
(例3)RGB666で(R,G,B)=(60または61,60,60または61)の場合
変換前:R1=0、R2〜R5=1、G0〜G1=0、G2〜G5=1、B1=0、B2〜B5=1
変換後:R1=0、R2〜R5=1、G0=1、G1=0、G2〜G5=1、B1=0、B2〜B5=1
【0052】
(例4)RGB666で(R,G,B)=(62または63,62,62または63)の場合
変換前:R1〜R5=1、G0=0、G1〜G5=1、B1〜B5=1
変換後:R1〜R5=1、G0〜G5=1、B1〜B5=1
【0053】
以上説明した各変換例では、いずれも、変換前の描画データにおけるRデータの各ビットR1〜R5およびBデータの各ビットB1〜B5の値が等しく、GデータのLSBであるG0を除いた各ビットG1〜G5の値がRデータの各ビットR1〜R5およびBデータの各ビットB1〜B5の値と等しく、かつGデータのMSBであるG5の値とLSBであるG0の値とが異なる。このような描画データをそのままRGB565からRGB666のデータフォーマットに変換すると、変換後の描画データにおいて、RおよびBの各データ値とGのデータ値との間に差異が生じる。したがって、色のバランスが崩れてしまい、本来とは異なる色合いとなってしまう。そこで、描画データにおけるRデータ、GデータおよびBデータの各値が上記のような関係を満たすときには、G0の値を変更することでRGB各データの値を一致させ、色のバランスが保たれるようにする。これにより、本来の画像の色合いを維持しつつ、効果的に画質劣化を防止することができる。
【0054】
上記のような各変換例は、前述の第1の実施の形態においては、図3のステップS20およびS30の処理内容を適宜変更することによって実現することができる。また、第2の実施の形態においては、信号変換部170の論理回路の構成を適宜変更することによって実現することができる。
【0055】
なお、上記の各変換例は複数組み合わせて用いてもよい。さらに、これらの変換例以外の場合について描画データの変換を行ってもよい。変換前の描画データにおけるRデータ、GデータおよびBデータの各値が上述したような関係を満たすものである限り、G0の値を変更して描画データの変換を行うことで、RGB565からRGB666のデータフォーマットに変換する際の画質劣化を効果的に防止することができる。
【0056】
以上説明した各実施の形態および変形例では、いずれもナビゲーション装置1に含まれる制御部10、またはナビゲーション装置1aに含まれる信号変換部170により、描画データの変換を行うこととしたが、これをナビゲーション装置とは別の構成により行ってもよい。すなわち、図3のフローチャートに示すような描画データ変換処理をナビゲーション装置とは別に設けられた描画制御装置により実行してもよい。あるいは、図5に示すような回路構成を有する描画データ変換装置をナビゲーション装置とは別に設けてもよい。前述の例1〜例4に示したような各変換例についても同様である。
【0057】
また、以上説明した各実施の形態および変形例では、RGB565をRGB666のデータフォーマットに変換する場合について説明したが、これ以外のデータフォーマットの変換についても同様にして本発明を適用することができる。画像の各画素におけるR,GおよびBの各色の輝度をそれぞれ所定のビット数で表したRデータ、GデータおよびBデータを含み、Gデータのビット数がRデータおよびBデータのビット数よりも1だけ大きい入力描画データを、Rデータ、GデータおよびBデータのビット数がそれぞれ等しい出力描画データに変換するものである限り、本発明は適用可能である。
【0058】
上記各実施の形態では、車両に搭載されるナビゲーション装置に本発明を適用した例について説明したが、画像表示を行うものである限り、他の装置において本発明を適用してもよい。
【0059】
以上説明した各実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0060】
1,1a:ナビゲーション装置、10:制御部、11:振動ジャイロ、
12:車速センサ、13:HDD、14:GPS受信部、15:入力装置、
16:スピーカ、17,170:信号変換部、18:表示モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の各画素におけるR,GおよびBの各色の輝度をそれぞれ所定のビット数で表したRデータ、GデータおよびBデータを含み、前記Gデータのビット数が前記Rデータおよび前記Bデータのビット数よりも1だけ大きい描画データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記描画データにおいて、前記Rデータ、前記Gデータおよび前記Bデータの各値が所定の関係を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記Rデータ、前記Gデータおよび前記Bデータの各値が前記所定の関係を満たすと判定された場合に、前記Gデータの値を変更する変更手段と、
前記描画データ取得手段により取得された前記描画データにおける前記Rデータおよび前記Bデータと、前記変更手段により値を変更された前記Gデータとを含む描画データを出力する出力手段とを備えることを特徴とする描画制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の描画制御装置において、
前記判定手段は、前記取得手段により取得された前記描画データにおける前記Rデータおよび前記Bデータの各ビットの値が等しく、前記GデータのLSBを除いた各ビットの値が前記Rデータおよび前記Bデータの各ビットの値と等しく、かつ前記GデータのMSBの値とLSBの値とが異なるときに、前記Rデータ、前記Gデータおよび前記Bデータの各値が前記所定の関係を満たすと判定することを特徴とする描画制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の描画制御装置において、
前記判定手段は、前記取得手段により取得された前記描画データにおける前記Rデータおよび前記Bデータの値が共に0であり、前記Gデータの値が1であるときに、前記Rデータ、前記Gデータおよび前記Bデータの各値が前記所定の関係を満たすと判定することを特徴とする描画制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の描画制御装置において、
前記変更手段は、前記GデータのLSBの値のみを変更し、他のビットの値は変更しないことを特徴とする描画制御装置。
【請求項5】
画像の各画素におけるR,GおよびBの各色の輝度をそれぞれ所定のビット数で表したRデータ、GデータおよびBデータを含み、前記Gデータのビット数が前記Rデータおよび前記Bデータのビット数よりも1だけ大きい入力描画データを、前記Rデータ、前記Gデータおよび前記Bデータのビット数がそれぞれ等しい出力描画データに変換する描画データ変換装置であって、
前記入力描画データにおける前記Rデータおよび前記Bデータの各ビットの値と、前記GデータのLSBを除いた各ビットの値との論理和を演算する第1の演算回路と、
前記入力描画データにおける前記GデータのLSBの値と、前記第1の演算回路による演算結果との論理積を演算する第2の演算回路とを備え、
前記入力描画データにおける前記Rデータおよび前記BデータのMSBの各値を前記出力描画データにおける前記Rデータおよび前記BデータのLSBの各値としてそれぞれに加えることで、前記出力描画データにおける前記Rデータおよび前記Bデータのビット数をそれぞれ1ビット分だけ拡張すると共に、前記入力描画データにおける前記GデータのLSBの値を前記第2の演算回路による演算結果と置き換えることにより、前記入力画像データを前記出力画像データに変換することを特徴とする描画データ変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−137995(P2011−137995A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297808(P2009−297808)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】