説明

換気設備

【課題】季節に応じて換気量を調整しつつ、太陽光発電装置の高い発電効率を得ることができる換気設備を提供すること。
【解決手段】屋根面に形成された換気口21と、この換気口21を開閉する蓋部23と、この蓋部23に設けられた太陽光発電アレイ24と、蓋部23の開度を調整するアクチュエータ25および制御装置26と、を備える。制御装置26は、水平面に対する角度を傾斜角として、蓋部23の傾斜角を季節毎に設定する。本発明によれば、アクチュエータ25を駆動して季節毎に蓋部23の傾斜角を調整したので、季節に応じて換気量を調整しつつ、太陽光発電の発電効率を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気設備に関する。詳しくは、構造物の屋根に設けられた換気設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、太陽光発電装置を備えた換気設備が知られている。この換気装置は、例えば、屋根棟部の換気開口の上方を覆う天蓋部と、換気開口を通して屋根裏の強制換気を行う換気ファンとを備える。天蓋部は、太陽光発電装置を有しており、この太陽光発電装置の太陽光受光面を水平面に対して最適な角度に調整可能となっている(特許文献1参照)。
【0003】
この発明によれば、天蓋部の設置時に、太陽光発電装置の太陽光受光面を水平面に対して最適な角度に調整することにより、太陽光発電装置の発電効率を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−322218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の構成では、換気開口の開度は季節によらず一定であるため、冬季など換気量を抑えたい場合に対応できない。
また、太陽光発電装置がほぼ水平であるため、夏季には発電効率を高くできるが、冬季には発電効率が高くならない。
【0006】
本発明は、季節に応じて換気量を調整しつつ、太陽光発電装置の発電効率を高めることができる換気設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の換気設備は、屋根面に形成された換気口と、当該換気口を開閉する蓋部と、当該蓋部に設けられて太陽光により発電する太陽光発電装置と、前記蓋部の開度を調整する調整装置と、を備え、当該調整装置は、水平面に対する角度を傾斜角として、前記蓋部の傾斜角を季節毎に設定することを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、調整装置により、季節毎に蓋部の傾斜角を調整したので、季節に応じて換気量を調整しつつ、太陽光発電の発電効率を高めることができる。
【0009】
請求項2に記載の換気設備は、冬季に前記太陽光発電装置の発電効率が最大となる前記蓋部の傾斜角を冬季最適傾斜角とし、前記換気口の傾斜角は、前記冬季最適傾斜角であり、前記調整装置は、冬季には、前記蓋部を閉じることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、冬季には、調整装置により蓋部を閉じる。これにより、太陽光発電装置の傾斜角が冬季最適傾斜角となるので、太陽光発電の発電効率を最大にすることができるとともに、蓋部が閉じているので、屋外の冷気が室内に流入するのを防止できる。
【0011】
請求項3に記載の換気設備は、夏季に前記太陽光発電装置の発電効率が最大となる前記蓋部の傾斜角を夏季最適傾斜角とし、前記調整装置は、夏季には、前記蓋部を開いて、前記蓋部の傾斜角を前記夏季最適傾斜角に設定することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、夏季には、調整装置により蓋部の傾斜角を夏季最適傾斜角に設定する。これにより、太陽光発電装置の傾斜角が夏季最適傾斜角となるので、太陽光発電の発電効率を最大にできるとともに、蓋部を開くため、換気口を通して換気できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、調整装置により季節毎に蓋部の傾斜角を調整したので、季節に応じて換気量を調整しつつ、太陽光発電の発電効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る換気設備が設けられた屋根の断面図である。
【図2】前記実施形態に係る換気設備の断面図である。
【図3】前記実施形態に係る換気設備が設けられる地点における月毎および季節毎の最適傾斜角を示す図である。
【図4】前記実施形態に係る換気設備の夏季の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る換気設備20が設けられた屋根2の断面図である。
屋根2は、建物1の屋内広場を覆う屋根であり、トラス梁3と、このトラス梁3の上面に水平に設置された複数の屋根パネル10と、トラス梁3の上面に屋根面から突出して設けられた換気設備20と、を備える。
【0016】
屋根パネル10は、矩形状枠のフレーム11と、このフレーム11内に嵌め込まれたガラス12と、を備える(図2参照)。
【0017】
図2は、換気設備20の断面図である。
換気設備20は、屋内と屋外とを連通する換気口21が形成された換気設備本体22と、この換気設備本体22に設けられて換気口21を開閉する蓋部23と、蓋部23に設けられて太陽光により発電する太陽光発電装置としての太陽光発電アレイ24と、蓋部23の開度を調整する調整装置としてのアクチュエータ25と、このアクチュエータ25を制御する調整装置としての制御装置26と、を備える。
【0018】
換気設備本体22は、断面視で三角形状であり、南側の面22Aに換気口21が形成されている。一方、換気設備本体22の北側の面22Bは、上述の屋根パネル10で構成されている。
蓋部23は、矩形状枠のフレーム231と、このフレーム231内に嵌め込まれた合わせガラス232と、を備える。太陽光発電アレイ24は、この合わせガラス242に挟まれている。
蓋部23の回転軸は、換気口21の上辺縁に沿って略水平に設けられており、アクチュエータ25を駆動することにより、蓋部23は、下方から上方に持ち上がるように開くようになっている。
【0019】
以下、水平面に対する角度を傾斜角として、冬季に太陽光発電アレイ24の発電効率が最大となる蓋部23の傾斜角を冬季最適傾斜角とする。
また、夏季に太陽光発電アレイ24の発電効率が最大となる蓋部23の傾斜角を夏季最適傾斜角とする。
これら冬季最適傾斜角および夏季最適傾斜角は、以下のようにして算定される。
【0020】
図3は、換気設備20が設けられる地点における月毎および季節毎の最適傾斜角を示す図である。
まず、図3の左側に示すように、換気設備20が設けられる地点における気温、日射量、日照時間などを考慮して、月毎の最適傾斜角を算定する。次に、図3の右側に示すように、月毎の最適傾斜角を季節毎に平均して、季節毎の最適傾斜角を算定する。
本実施形態では、図3に基づいて、冬季最適傾斜角を50°とし、夏季最適傾斜角を10°とする。
【0021】
図2に戻って、換気設備本体22の換気口21の傾斜角は、冬季最適傾斜角である50°となっている。よって、蓋部23で換気口21を完全に閉じると、蓋部23の傾斜角は冬季最適傾斜角となる。
【0022】
制御装置26は、アクチュエータ25を駆動して、蓋部23の傾斜角を季節毎に設定する。
具体的には、冬季には、図2に示すように、蓋部23を完全に閉じて、蓋部23の傾斜角を冬季最適傾斜角である50°に設定する。
一方、夏季には、図4に示すように、蓋部23の傾斜角を夏季最適傾斜角である10°に設定する。
【0023】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)アクチュエータ25を駆動して季節毎に蓋部23の傾斜角を調整したので、季節に応じて換気量を調整しつつ、太陽光発電の発電効率を高めることができる。
【0024】
(2)冬季には、アクチュエータ25を駆動して蓋部23を閉じる。これにより、太陽光発電アレイ24の傾斜角が冬季最適傾斜角となるので、太陽光発電の発電効率を最大にすることができるとともに、蓋部23が閉じているので、屋外の冷気が室内に流入するのを防止できる。
【0025】
(3)夏季には、アクチュエータ25を駆動して蓋部23の傾斜角を夏季最適傾斜角に設定する。これにより、太陽光発電装置の傾斜角が夏季最適傾斜角となるので、太陽光発電の発電効率を最大にすることができるとともに、蓋部23を開くため、換気口21を通して換気できる。
【0026】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0027】
1…建物
2…屋根
3…トラス梁
10…屋根パネル
11、231…フレーム
12、232…ガラス
20…換気設備
21…換気口
22…換気設備本体
22A…南側の面
22B…北側の面
23…蓋部
24…太陽光発電アレイ(太陽光発電装置)
25…アクチュエータ(調整装置)
26…制御装置(調整装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根面に形成された換気口と、当該換気口を開閉する蓋部と、当該蓋部に設けられて太陽光により発電する太陽光発電装置と、前記蓋部の開度を調整する調整装置と、を備え、
当該調整装置は、水平面に対する角度を傾斜角として、前記蓋部の傾斜角を季節毎に設定することを特徴とする換気設備。
【請求項2】
冬季に前記太陽光発電装置の発電効率が最大となる前記蓋部の傾斜角を冬季最適傾斜角とし、
前記換気口の傾斜角は、前記冬季最適傾斜角であり、
前記調整装置は、冬季には、前記蓋部を閉じることを特徴とする請求項1に記載の換気設備。
【請求項3】
夏季に前記太陽光発電装置の発電効率が最大となる前記蓋部の傾斜角を夏季最適傾斜角とし、
前記調整装置は、夏季には、前記蓋部を開いて、前記蓋部の傾斜角を前記夏季最適傾斜角に設定することを特徴とする請求項1または2に記載の換気設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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