説明

揮散容器、その製造方法及びその使用方法

【課題】脱臭効果等がなくなったことを視覚的に表示可能な揮散容器を提供する。
【解決手段】揮散孔4が形成された容器体のキャップ11に内容物30を粘着させ、内容物の揮散の進行が一定程度に達した時点で内容物が落下可能に設けた。内容物の揮散の進行が一定程度に達した時点で内容物が落下可能に設けたので、内容物の効能の存否を視覚的に認識することができる。また、キャップに突部を設けて、突部を内容物へ埋設させておけば、内容物の粘着面積を増大させることができ、内容物の落下のタイミングを変えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱臭剤等を揮散させる揮散容器、その製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脱臭剤が入った内容器を外容器内へ入替え可能に収納した脱臭剤用容器が従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−293357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では脱臭効果がなくなっても脱臭剤は消失しないため、どの時点で脱臭効果がなくなったのか判断できないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、脱臭効果等がなくなったことを視覚的に表示可能な揮散容器、その製造方法及びその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、揮散孔4が形成された容器体のキャップ11に内容物30を粘着させ、該内容物の揮散の進行が一定程度に達した時点で該内容物30が落下可能に設けたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記内容物は揮散性成分を含有するゲル状の物質からなることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記キャップ11に突部21を設けて、該突部を前記内容物30へ埋設させたことを特徴とする
【0009】
さらに、本発明は、前記突部21は前記キャップ頂壁12から垂下する筒からなることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、前記突部21は前記キャップ頂壁12から垂下するフランジ付き柱からなることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明は、前記突部21は前記キャップ頂壁12に形成された格子状のリブからなることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明は、前記容器体を透明材または半透明材で形成したことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明は、前記内容物30は効能消失時期と粘着性の消失時期とが一致する物質からなることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明は、前記キャップ11を底壁とする筐体10内へ前記ゲル状の物質を充填して前記キャップへ密着させ、次いで前記キャップ11から前記筐体10の一部18を分離させることで前記内容物30を露出させ、さらに該内容物を前記容器体内へ挿入して、該容器体上端へ前記キャップ11を係合させたことを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明は、前記キャップ11を底壁とする筐体10内へ注入口19を介して前記ゲル状の物質を充填して前記キャップへ密着させ、次いで前記注入口19を閉栓して前記筐体10を前記容器体内へ挿入させて該容器体上端へ前記キャップ11を係合させて保管流通させ、使用に際して前記キャップ11から前記筐体10の一部18を分離させることで前記内容物を露出させて揮散可能としたことを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明は、前記揮散孔は前記落下した内容物を視認可能な位置に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、内容物の揮散の進行が一定程度に達した時点で該内容物30が落下可能に設けたので、内容物の効能の存否を視覚的に認識することができる。
【0018】
また、本発明は、キャップに突部を設けて、該突部を内容物へ埋設させたので、内容物の粘着面積を増大させることができ、したがって、内容物の落下のタイミングを変えることができる。
【0019】
また、本発明は、容器体を透明材または半透明材で形成したので、内容物の落下をより容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る揮散容器の半断面図である。
【図2】揮散容器の斜視図である。
【図3】内容物の製造方法を示す略示図である。
【図4】保管流通時の状態を示す略示図である。
【図5】使用直前の状態を示す略示図である。
【図6】使用開始時の状態を示す略示図である。
【図7】内容物が揮散により縮小した状態を示す略示図である。
【図8】内容物が落下した状態を示す略示図である。
【図9】他の実施形態を示す略示図である。
【図10】さらなる他の実施形態を示す略示図である。
【図11】さらなる他の実施形態を示す略示図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1および図2において、1は容器体で、底板2周縁から周壁3を起立して、周壁3に底板2へ達する長さの上下に長い揮散孔4を複数形成する。この揮散孔4の位置は後述する落下内容物を視認可能な位置である。容器体1の材質としては透明材または半透明材を用いる。
【0023】
10は筐体で、キャップ11へ周壁18を着脱自在に嵌合させている。キャップ11は頂壁12周縁から嵌合筒13を垂下させると共に、嵌合筒13の外面からフランジ14を介して上方大径の段付き筒15を起立させる。
【0024】
段付き筒15はフランジ14周縁から起立筒16を起立させ、該起立筒16上端から鍔部17を介して把持筒17aを起立させる。上記周壁18は嵌合筒13へ上端を着脱自在に嵌合させると共に、周壁下面に注入口19としての注入筒を設けて、該注入口19へ栓20を着脱自在に嵌合させる。
【0025】
キャップ頂壁12下面には図9ないし図11に示すように突部21を設けることが好ましい。突部21は図9に示すようにキャップ頂壁12下面中央部から垂下する筒であってもよく、あるいは図10に示すようにキャップ頂壁12下面中央部から垂下するフランジ付き柱であってもよく、あるいは図11に示すようにキャップ頂壁12下面から垂下する格子状のリブであってもよい。
【0026】
30は内容物で、キャップ頂壁12へ粘着ないし密着された状態で筐体10内へ収納されている。内容物の代表例は脱臭剤ないし消臭剤である。
【0027】
内容物は図3に示すように、注入口19を介して筐体10内へ充填した後、注入口19を栓20で閉栓して形成する。キャップ頂壁12に突部21が設けられている場合には、突部21は内容物30内に埋設される。
内容物としては、揮散性成分を含有するゲル状(ゼリー状)の物質が用いられる。
ゲル状(ゼリー状)の物質は一般的に粘着性を有するものが多く、キャップ11に密着した状態に形成される。前記物質は、揮散の進行とともに硬化されることで前記粘着性が低下し、さらに揮散による縮小化でキャップ11との接触面積が減少すること、などの理由により、キャップ11と物質との密着性が低下し、このキャップ11から物質が落下すると考えられる。
【0028】
流通ないし保管時には、その一例として図4に示すように閉栓状態の筐体10を容器体1内へ挿入し、キャップ11の起立筒16外面を容器体1の上端部へ嵌合させると共に、鍔部17を容器体上端へ載置させる。
【0029】
使用時には、容器体1から筐体10を取り出して、図5に示すようにキャップ11から筐体周壁18を離脱させることにより内容物30を露出させた後、再度図6に示すように内容物30を挿入させてキャップ11を容器体1上端へ嵌合させる。
【0030】
筐体10に充填された内容物30はキャップ11だけではなく、筐体周壁18にも粘着しているため、筐体周壁18をキャップ11から離脱させて内容物30を露出させる際に、筐体周壁18に対する内容物30の粘着力がキャップ11に対するよりも大であると、内容物30が筐体周壁18内に充填された状態でキャップ11から離脱するため、これを防止すべく筐体周壁18に対する内容物30の粘着力をキャップ11に対するよりも小にしておく必要がある。
【0031】
そのための手段として、筐体周壁18内面に予め離型剤を塗布しておくか、あるいは筐体周壁18の材質として内容物30から剥離し易いものを選定する。
【0032】
時間の経過とともに、ゲルが揮散して硬化するとともに、図7に示すように内容物30が縮小し、ある程度縮小すると図8に示すように内容物30はキャップ11から落下する。
【0033】
次に本実施形態の作用について説明する。
上記のように時間の経過とともに内容物30が硬化して粘着性が低下するとともに縮小して落下する。その際、脱臭効果は殆どなくなっているようにすることにより内容物の効能消失時期と粘着性の消失時期とを一致させる。
【0034】
内容物30が落下した状態は、容器体1に形成された揮散孔4を介して見ることができるが、容器体1を透明または半透明にしておくことにより落下の認識がさらに容易になる。
【0035】
内容物30の落下時点はキャップ頂壁12に設けた突部21と内容物30との粘着面積を変えることで調節することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、脱臭剤等を揮散させる容器の分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 容器体
4 揮散孔
10 筐体
11 キャップ
19 注入口
20 栓
12 キャップ頂壁
21 突部
30 内容物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮散孔4が形成された容器体のキャップ11に内容物30を粘着させ、該内容物の揮散の進行が一定程度に達した時点で該内容物30が落下可能に設けたことを特徴とする揮散容器。
【請求項2】
前記内容物は揮散性成分を含有するゲル状の物質からなることを特徴とする請求項1記載の揮散容器。
【請求項3】
前記キャップ11に突部21を設けて、該突部を前記内容物30へ埋設させたことを特徴とする請求項1又は2記載の揮散容器。
【請求項4】
前記突部21は前記キャップ頂壁12から垂下する筒からなることを特徴とする請求項3記載の揮散容器。
【請求項5】
前記突部21は前記キャップ頂壁12から垂下するフランジ付き柱からなることを特徴とする請求項3記載の揮散容器。
【請求項6】
前記突部21は前記キャップ頂壁12に形成された格子状のリブからなることを特徴とする請求項3記載の揮散容器。
【請求項7】
前記容器体を透明材または半透明材で形成したことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の揮散容器。
【請求項8】
前記内容物30は効能消失時期と粘着性の消失時期とが一致する物質からなることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の揮散容器。
【請求項9】
前記キャップ11を底壁とする筐体10内へ前記ゲル状の物質を充填して前記キャップへ密着させ、次いで前記キャップ11から前記筐体10の一部18を分離させることで前記内容物30を露出させ、さらに該内容物を前記容器体内へ挿入して、該容器体上端へ前記キャップ11を係合させたことを特徴とする請求項2から8のいずれか1項記載の揮散容器とその製造方法。
【請求項10】
前記キャップ11を底壁とする筐体10内へ注入口19を介して前記ゲル状の物質を充填して前記キャップへ密着させ、次いで前記注入口19を閉栓して前記筐体10を前記容器体内へ挿入させて該容器体上端へ前記キャップ11を係合させて保管流通させ、使用に際して前記キャップ11から前記筐体10の一部18を分離させることで前記内容物を露出させて揮散可能としたことを特徴とする請求項2から8のいずれか1項記載の揮散容器とその使用方法。
【請求項11】
前記揮散孔は前記落下した内容物を視認可能な位置に設けられていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載の揮散容器、その製造方法又は使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−251704(P2011−251704A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125123(P2010−125123)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】