説明

揮散性物質放出器および製造方法

【課題】容器内に充填された揮散性物質を含むゲル成形体から、芳香剤、消臭剤等の揮散性物質を放出させる際、揮散性物質の放出に伴って、ゲル成形体が収縮し容器から剥離することにより、揮散する表面積を増加させることができ、このとき剥離したゲル成形体を容器内に、使用開始時に近い状態で係止し、装飾性を保持することが可能な揮散性物質放出器、およびその効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】揮散性物質放出器1は、揮散性物質を保持する可剥性の透明なゲル成形体2が、透明プラスチック製の浅底の容器3のゲル収容空間4内に充填されて、ゲル係止部11に係止され、この状態で容器3の開口部5を形成するフランジ6に、シール部材8がヒートシールされて密封状に形成されている。揮散性物質放出器1は、開口部5を横方向にした状態で、揮散性物質放出器1を支持する台座12、または壁面に吊り下げるための吊下具13とセットで製品とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮散性物質を保持するゲル成形体を収容し、揮散性物質を徐々に放出するするようにした揮散性物質放出器およびその製造方法に関し、特に揮散性物質放出のためのゲル成形体を係止できるようにした揮散性物質放出器、およびその効率的な製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
芳香剤、消臭剤、抗菌剤等の揮散性物質を保持するゲル成形体を容器内に収容し、容器を開口させて、ゲル成形体に含まれる揮散性物質を徐々に放出するようにした揮散性物質放出器がトイレット用等に使用されている。このような揮散性物質放出器としては、放出器全体を装飾性の高い構造、使用形態とすることにより、装飾部材としての機能を付与するものが求められている。しかし揮散性物質放出器は、揮散性物質の放出という本来の機能を保持するために、ゲル成形体の揮散面積を大きくした状態で、装飾性を高くすることが重要である。また装飾性を高めるためには、使用形態の多様性も求められており、容器を横向きにしたり、倒立させたりして、装飾性を高くすることも行われている。
【0003】
特許文献1(特開2006−254943)では、揮散性物質放出器は、揮散性物質を保持する可剥性のゲル成形体を容器内に充填し、容器の開口部をシール部材で密封して形成され、使用に際してはシール部材を剥離し、開口部から揮散性物質を放出させる。一般的な使用形態は、開口部を上にして使用されるが、容器が透明な場合には装飾性を高めるために、開口部を下にして倒立状態で使用することが示されている。この場合、揮散性物質の放出に伴って、容器から剥離して収縮するゲル成形体が開口部から落下しないように、シール部材を剥離した後の開口部を、スクリーン等の通気性部材で保持することが示されている。しかしこのような通気性部材の使用は、部品数を多くし、通気性部材を通して観察するように使用する場合には、装飾的効果が高いともいえない。
【0004】
図4(a)はこのような通気性部材を採用する従来の他の揮散性物質放出器の容器の正面図、(b)はこの容器に揮散性物質を含むゲル成形体を収容した揮散性物質放出器を示す(a)のE−E相当断面図、(c)、(d)は使用状態を示すE−E相当断面図である。図4において、揮散性物質放出器1は、揮散性物質を保持する可剥性のゲル成形体2が、透明プラスチック製の浅底の容器3のゲル収容空間4内に充填され、容器3の開口部5を形成するフランジ6には、多孔性シートからなる通気性部材7を介して、シール部材8がヒートシールされて密封状に形成されている。
【0005】
上記の揮散性物質放出器1は、容器3のシール部材8を引き剥がし、容器3の開口部5を通気性部材7で覆った状態で使用する。使用状態は、図4(b)に示すように容器3の開口部5を上にした状態のほか、図4(c)に示すように容器3の開口部5を横向きにした状態、あるいは容器3の開口部5を下にした状態での使用などがある。このような使用状態では、ゲル成形体2は、容器3の開口部5および通気性部材7の通気孔を通して大気と接触することになり、ゲル成形体2に含まれる香料、防虫成分等の揮発成分は、ゲル成形体2の外表面から大気中に揮散し、芳香剤、防虫剤などとしての機能を発揮する。
【0006】
上記のような揮散性物質放出器1は、ゲル成形体2が透明ゲルである場合、あるいは模様を有する場合のように、装飾性を有する場合には、図4(c)、(d)に示すように容器3の開口部5を横向きにした状態で使用すると、置物、壁掛けのような装飾部材としての機能が期待される。しかしながら図4(d)に示すように、揮散性物質の放出に伴って、ゲル成形体2が収縮して容器3から剥離したとき、剥離したゲル成形体2が通気性部材7に保持されて開口部5から落下しないようにされているが、通気性部材7を通してゲル成形体2を観察するように使用する場合には、装飾的効果が高いとはいえず、特に図4(d)に示すように、剥離したゲル成形体2が容器3の底に落下した状態は装飾性を害するものである。
【特許文献1】特開2006−254943
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、容器内に充填された揮散性物質を含むゲル成形体から、芳香剤、消臭剤等の揮散性物質を放出させる際、揮散性物質の放出に伴って、ゲル成形体が収縮し容器から剥離することにより、揮散する表面積を増加させることができ、このとき剥離したゲル成形体を容器内に、使用開始時に近い状態で係止し、装飾性を保持することが可能な揮散性物質放出器、およびその効率的な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は次の揮散性物質放出器および製造方法である。
(1) 開口部、ゲル収容空間およびゲル係止部を有する容器と、
揮散性物質を保持し、かつ前記容器のゲル収容空間内に充填され、ゲル係止部に係止された可剥性のゲル成形体と、
容器の開口部を密封するシール部材と
を備えていることを特徴とする揮散性物質放出器。
(2) ゲル係止部は、容器から剥離して収縮するゲル成形体を係止するように形成されている上記(1)記載の揮散性物質放出器。
(3) ゲル係止部は、容器の壁面から突出する突出部からなる上記(1)または(2)記載の揮散性物質放出器。
(4) 容器は、装飾性の底面を有し、開口部を横方向にして使用されるものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の揮散性物質放出器。
(5) ゲル成形体が、ゼラチン、カラギーナン、寒天、澱粉、CMC、オイルゲル、吸水ポリマー、および多官能の酸とポリオールの重縮合ゲルから選ばれるものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の揮散性物質放出器。
(6) ゲル成形体が、可剥性の架橋ゼラチン水性ゲル成形体からなる上記(5)記載の揮散性物質放出器。
(7) 室内、台所、クローゼット、トイレット、浴室、自動車または冷蔵庫に設置して、芳香剤、消臭剤、抗菌剤、防虫剤および忌避剤から選ばれる揮散性物質を放出するために使用される上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の揮散性物質放出器。
(8) 揮散性物質を保持するゲル成形体が容器内に充填された揮散性物質放出器に用いられる容器であって、
開口部、ゲル収容空間およびゲル係止部を有することを特徴とする揮散性物質放出器用容器。
(9) 開口部、ゲル収容空間およびゲル係止部を有する容器に、
揮散性物質を保持する可剥性ゲルを前記容器のゲル収容空間内に充填し、ゲル成形体を形成してゲル係止部に係止させ、
容器の開口部をシール部材で密封する
ことを特徴とする揮散性物質放出器の製造方法。
【0009】
本発明において、揮散性物質を保持するゲル成形体を充填する容器は、開口部、ゲル収容空間およびゲル係止部を有する容器であり、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリカーボネート等の硬質プラスチックのほか、ガラス等の形状保持性を有する材料から、容器状に形成される。容器の材料は、容器のゲル収容空間内にゲル成形体を充填して保持できるものであればよいが、ゲル成形体が可剥離性となるように、ゲル成形体と溶着しないものが好ましい。ポリエチレン、ポリプロピレン等の無極性のポリオレフィンなどのプラスチックは接着性が低いので、ゲル成形体が可剥性を示す領域を広くすることができる。容器は透明または半透明であれば、装飾性を高くできるとともに、容器側または反対側からゲル成形体を観察できるので好ましく、プラスチック板の真空成形、圧空成形等により形成することができる。
【0010】
容器の開口部およびゲル収容空間は、収容したゲル成形体の大気との接触面積を大きくするためには、開口部を大きくして、底の浅いパン状の形状を有するのが好ましい。収容したゲル成形体に含まれる揮発成分を大気中に揮散させるためには、ゲル収容空間は多表面積の内壁を有するのが好ましい。内壁を多表面積構造とするためには、内壁に複数の細分化された凹凸部を形成して多表面積構造とすることができる。容器の内壁に複数の細分化された凹凸部を形成することにより、光の屈折、反射等を利用して装飾性を高めることができるが、花、動物、果物、その他の物品等を模した形状、あるいは図案化した形状とすることもできる。
【0011】
容器に形成するゲル係止部は、ゲル収容空間内に収容されたゲル成形体を係止して容器内に保持するように形成される。特にゲル成形体から芳香剤、消臭剤等の揮散性物質を放出させる際、揮散性物質の放出に伴って、ゲル成形体が収縮して容器から剥離する場合でも、剥離したゲル成形体を係止して、使用開始時に近い状態で係止してゲル収容空間内に保持するように形成されるのが好ましい。ゲル係止部は、容器の壁面から突出する突出部からなるものが好ましく、特に開口部に対向する壁面(底面)から開口部に向って突出する突出部からなるものが好ましい。この場合、ゲル成形体がゲル係止部の全周を囲むように、ゲル係止部の全周に連続するようにゲル成形体をゲル収容空間内に充填するのが好ましい。
【0012】
揮散性物質放出器は容器の開口部を横向きにし、開口部に沿う面を上下方向(垂直または傾斜方向)にして使用するのが好ましいが、この場合、容器の内壁に複数の細分化された凹凸部を形成しても、ゲル成形体が収縮して容器から剥離すると、剥離したゲル成形体は容器の開口部から脱落することになる。このため使用状態において、収縮して容器から剥離するゲル成形体を吊るして係止するように、開口部に対向する壁面(底面)から開口部に向って、ゲル成形体を貫通して突出する突出部からなるゲル係止部が好ましい。
【0013】
容器の開口部側から見た全体の平面形状は、四辺形その他の角形のほか、円形、楕円形、長円形、卵形、その他の形状、これらの組合せ形状とすることができる。容器のゲル収容空間の平面形状または垂直断面形状も、四辺形その他の角形のほか、円形、楕円形、長円形、卵形、その他の形状、これらの組合せ形状とすることができる。前述のように容器の内壁に複数の細分化された凹凸部を形成することにより、ゲル成形体に含まれる揮発成分の揮散面積を多くするとともに、装飾性を高めることができる。
【0014】
本発明において、ゲル成形体に保持される揮散性物質は、ゲル成形体から揮散により大気中に放出される物質であり、揮散性の芳香剤、香料、消臭剤、防虫成分、薬剤成分などが挙げられる。これらの揮発成分は、水溶性でも油溶性でもよいが、ゲル中に均一に溶解ないし分散して透明なゲル成形体を形成し、容易にゲルの表面に浸透して揮散するものが好ましい。
【0015】
このような揮散性物質を保持するゲル成形体は、可剥性のゲル成形体であり、特に形状保持性を有する可剥性のゲル成形体が好ましい。ゲル成形体が可剥性であるということは、ゲル成形体を容器のゲル収容空間に充填したときに、ゲル成形体が容器から剥離可能であることを意味する。ここで剥離可能であるということは、ゲル成形体と容器間の相対的な関係にあり、ゲル成形体と容器のそれぞれの接着性ないし可剥性が組み合わさって現れる。このため容器の接着性が低い場合には、ゲル成形体の接着性が高くても可剥性になる場合があるが、種々の容器に対して可剥性になるためには、ゲル成形体の接着性が低いものが好ましい。
【0016】
ゲル成形体としては、揮散性物質を溶解して保持するゲルから形成される。このようなゲル成形体を形成するゲル成分は、ゼラチン、カラギーナン、寒天、澱粉、CMC(カルボキシメチルセルロース)、オイルゲル、吸水ポリマー、多官能の酸とポリオールの重縮合ゲル等の公知のゲルが用いられるが、揮散性物質を水に溶解して保持する水性ゲルが好ましい。上記のゲルはいずれもポリオレフィン等の接着性の低い容器に充填する場合には、特別の処理を行わなくても可剥性とすることができるが、ゼラチンのように接着性の高いゲルは、架橋等の接着性を低くする処理を行うことにより、接着性の高い容器に対しても可剥性とすることができる。
【0017】
ゲル成形体は容器内に充填した状態で使用されるため、ゲル成形体の開口部側の面が水平な状態で使用する場合には、ゲル成形体の形状保持性は要求されないが、ゲル成形体の開口部側の面が上下方向または傾斜した状態で使用される場合には、ゲル成形体は形状保持性を有するものが使用される。形状保持性を有するゲル成形体としては、架橋ゼラチン水性ゲル成形体が好ましく、特にゼラチン、架橋剤および揮発成分を含む水性ゾルの反応物であって、ゼリー強度15以上の透明ゼラチン水性ゲル成形体が好ましい。このような架橋ゼラチン水性ゲル成形体は、透明で可剥性を有し、水分が分離せず、形状保持性に優れ、大表面形状に形成しても、形状を保持することが可能である。
【0018】
本発明の揮散性物質放出器は、このような揮散性物質を保持する可剥性のゲル成形体が、開口部側から容器のゲル収容空間に充填され、ゲル係止部で係止されている状態で、容器の開口部をシール部材で密封したものである。ゲル成形体は容器の内壁に密着する構造に形成されるが、開口部側には隙間が生じていてもよい。容器の開口部の形状は、ゼラチン水性ゲルから揮散性物質が放出されやすい形状とするのが好ましく、開口面は水平面とすることができるが、装飾性、収容性等の面から、傾斜面、その他の形状にしてもよい。容器に充填されるゲル成形体の上面とシール部材間には、従来の通気性部材を介在させる必要はない。
【0019】
上記の保持媒体は、ゲル材料および揮発成分を含むゾルを開口部から容器に注入し、多表面積の内壁に接するように充填してゲル化することにより、揮散性物質を保持するゲル成形体を形成する。ゲル成形体は、開口部側の面が上下方向または傾斜した状態で使用できるように、形状保持性を有するように形成される。またゲル成形体は、揮散性物質の放出に伴って収縮し、容器から剥離するように可剥性に形成する。
【0020】
架橋ゼラチン水性ゲル成形体を形成する場合は、ゼラチン、架橋剤および揮発成分を含む水性ゾルを開口部側から容器のゲル収容空間に注入し反応させることにより、ゲル収容空間内に充填され、ゲル係止部に係止された構造を有する可剥性架橋ゼラチン水性ゲル成形体が形成される。水性ゾルの充填後あるいは反応終了後、容器の開口部をシール部材で密封することにより、揮散性物質放出器が得られる。
【0021】
本発明で用いる可剥性ゼラチン水性ゲルは、分子量100,000以上、500,000未満の高分子量ゼラチン1.5〜5重量%、好ましくは2〜4重量%、分子量3,000以上、10,000未満の低分子量ゼラチン0.05〜0.5重量%、好ましくは0.1〜0.4重量%、架橋剤0.1〜1重量%、好ましくは0.4〜0.8重量%、および揮発成分0.5〜10重量%、好ましくは1〜8重量%を含む水性ゾルの反応物からなるゼラチン水性ゲルが好ましい。上記の水性ゾルは、分子量10,000以上、100,000未満の中分子量ゼラチン0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜4重量%を含むものが好ましい。
【0022】
ゼラチンはニカワとして接着剤に用いられることから分かるように、接着性に優れるため、複雑な形状に成形すると、成形型の離型、および保持媒体の収縮に伴う剥離が困難であるが、さらに分子量3,000以上、10,000未満の低分子量ゼラチンを含むゼラチン混合物を用いると、離型性、可剥性がよくなる。このため複雑な形状の容器を用いる場合でも、保持媒体の収縮に伴う剥離が可能となる。このゲル成形体を、容器の開口部を横方向にした状態で使用する場合でも、ゲル成形体の自重だけではゲル成形体が開口部から流出することはなく、容器のゲル収容空間内に保持することができ、これにより開口部を横方向にして自立させて使用したときに、保持媒体の保持性を高めることができる。
【0023】
架橋剤としては、ゼラチンの官能基と反応して架橋できるものであればよいが、エチレン性不飽和化合物−無水マレイン酸共重合体、その開環重合体またはその塩が好ましい。エチレン性不飽和化合物としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1,ブテン−2、イソブチレン等のオレフィン類、その他のエチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられる。開環重合体はエチレン性不飽和化合物−無水マレイン酸共重合体に加水して開環した重合体、その塩は開環重合体のアンモニウム塩、ナトリウム塩等の塩である。塩は上記酸共重合体または開環重合体と水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム等のアルカリを反応させて形成することができる。
【0024】
上記の可剥性ゼラチン水性ゲルは、これらのゼラチン、架橋剤および揮発成分を含む水性ゾルの反応物であって、ゼラチンと架橋剤とは揮発成分、水性溶媒、および必要により加えられる他の成分を抱き込むように反応して架橋し、水性ゲルを形成した反応物からなる可剥性透明架橋ゼラチン水性ゲル成形体である。このような可剥性ゼラチン水性ゲルは、上記水性ゾルを20〜70℃、好ましくは室温〜60℃で反応させることにより、製造することができる。こうして形成される可剥性ゼラチン水性ゲルは、揮発成分、水性溶媒、および必要により加えられる他の成分を抱き込んだ状態でゼラチンが架橋した水性ゲルであり、ゲル形成剤の濃度が低い場合でも、形状保持性に優れる成形体を形成することができる。
【0025】
本発明の可剥性ゼラチン水性ゲルの好ましい製造方法は、高分子量ゼラチン1.5〜5重量%、好ましくは2〜4重量%、中分子量ゼラチン0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜4重量%、低分子量ゼラチン0.05〜0.5重量%、好ましくは0.1〜0.4重量%、架橋剤0.1〜1重量%、好ましくは0.4〜0.8重量%、および揮発成分0.5〜10重量%、好ましくは1〜8重量%、および必要により加えられる他の成分0〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%、残部水の水性ゾルを反応させてゲル化させることにより、可剥性ゼラチン水性ゲル成形体として製造することができる。
【0026】
こうして製造される可剥性ゼラチン水性ゲル成形体は、ゼラチン濃度の低い場合でもゲル強度が高く、常温または高温の未使用の状態あるいは使用状態で、長期にわたって形状を保持することが可能な高い形状保持性を有し、水分が分離せず、揮発成分の揮散性が高く、かつ透明で装飾性が高い形状保持性ゼラチン水性ゲルが得られる。ゼラチン水性ゲルのゼリー強度は15以上、好ましくは20以上である。
【0027】
本発明の揮散性物質放出器は、使用前の状態では、揮散性物質を含む可剥性のゲル成形体を収容する容器が、開口部をシール部材で密封されている。容器は使用前の状態では、開口部を上にした状態でも、開口部を横方向にした状態でもよく、任意の状態で製品とし、流通、保存することができる。
【0028】
上記の揮散性物質放出器を使用する場合は、容器からシール部材を引き剥がし、容器の開口部を横方向(傾斜方向を含む)にした状態で使用するのが好ましいが、場合によっては容器の開口部を上または下にした状態した状態で使用することもできる。開口部を横方向にした状態で使用する場合、専用の台座を用いたり、壁面のフックに吊り下げて使用することができる。揮散性物質放出器の開口部を横方向にして使用する場合、開口部側から観察できるように開口部を前にしてもよく、また容器およびゲル成形体が透明な場合は、容器を通して観察できるように開口部と反対側の面を前にしてもよく、いずれの場合も装飾性を高めることができる。この場合、揮散性物質放出器を傾斜させて置くことにより、置物のように装飾品としても利用しやすくすることができる。
【0029】
使用状態では、容器内のゲル成形体は容器の開口部を通して大気と接触することになり、ゲル成形体に含まれる香料、防虫成分等の揮発成分はゲルの表面から大気中に揮散し、芳香剤、防虫剤などとしての機能を発揮する。使用開始直後は容器に充填されたゲル成形体の開口部側の表面からのみ揮散性物質が放出されるが、揮散が進んでゲルが収縮すると、ゲル成形体は可剥性のため容器のゲル収容空間の内壁から剥離し、剥離した部分からも揮散が起こり、揮散する表面積が増加する。剥離はゲルの表面に近い部分から徐々に起こり、表面積が次第に増加する。このとき容器の内壁に複数の細分化された凹凸部を形成しておくと、多表面積の内壁と接触していたゲル成形体の剥離面は多表面積になるため、大気との接触面積は大きくなり、揮散性物質の揮散効率は高くなる。
【0030】
揮散性物質の放出に伴って、ゲル成形体が収縮して容器から剥離すると、容器の内壁に複数の細分化された凹凸部を形成して多表面積にしておいても、収縮したゲル成形体をゲル収容空間内に保持することはできず、容器の開口部を横方向(傾斜方向を含む)にした状態で使用する場合には、ゲル成形体はゲル収容空間から脱落する。これに対して容器にゲル係止部を形成し、ゲル成形体を係止させた状態で使用すると、ゲル成形体はゲル係止部に係止された状態で収縮、剥離する。この場合、ゲル成形体がゲル係止部の全周を囲むように、ゲル係止部の全周に連続するようにゲル成形体がゲル収容空間内に充填されていると、ゲル成形体はゲル収容空間の周辺部および底辺で剥離しても、ゲル係止部では剥離せず、ゲル係止部に巻きつくように収縮する。このため開口部に沿う面を傾斜させて使用する場合でも、剥離したゲルが脱落することがない。
【0031】
このように容器にゲル係止部を形成することにより、ゲル成形体を係止させた状態で使用することができ、このためゲル係止部を中心に、収縮ゲルを集約させることができる。これにより揮散性物質の揮散によりゲル成形体が収縮する際、揮散性物質放出器の終点、すなわち交換時期の判定が容易になるとともに、装飾性および機能を著しく害することなく、揮散性物質の放出を続けることができるので好ましい。
【0032】
このように本発明では、開口部、ゲル収容空間およびゲル係止部を有する容器に、可剥性のゲル成形体を充填するだけで、使用中の収縮による剥離により剥離面を露出させて、揮散性物質の揮散速度を大きくすることができ、ゲル係止部にゲル成形体を係止させて、収縮ゲルをゲル係止部に集約させることができ、装飾性を高くすることができる。
【0033】
容器およびゲル成形体を透明にすることにより、揮散性物質放出器に当たる光線は、容器およびゲルを透過、屈折、放出に伴い反射するため、優れた美観が得られる。そして揮散性物質の放出に伴うゲル成形体の形状変化、剥離状態が容器を通して観察され、意外性、装飾性が高い揮散性物質放出器が得られる。
【0034】
本発明の揮散性物質放出器は、室内、台所、クローゼット、トイレット、浴室、自動車、冷蔵庫、その他の場所に設置して、芳香剤、消臭剤、抗菌剤、防虫剤、忌避剤、その他の揮散性物質を徐々に放出するための揮散性物質放出器として使用することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、開口部、ゲル収容空間およびゲル係止部を有する容器のゲル収容空間に、揮散性物質を保持する可剥性のゲル成形体を充填して、ゲル係止部に係止させた状態で、容器の開口部をシール部材で密封するようにしたので、容器内に充填された揮散性物質を含むゲル成形体から、芳香剤、消臭剤等の揮散性物質を放出させる際、揮散性物質の放出に伴って、ゲル成形体が収縮し容器から剥離することにより、揮散する表面積を増加させることができ、このとき剥離したゲル成形体を容器内に、使用開始時に近い状態で係止し、装飾性を保持することが可能な揮散性物質放出器、およびその効率的な製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。図1は一実施形態による揮散性物質放出器を示し、(a)は容器の正面図、(b)は揮散性物質放出器の使用前の状態を示す(a)のA−A相当断面図、(c)は揮散性物質放出器の使用中の状態を示す(a)に相当する正面図、(d)は使用中の状態を示す(c)のB−B相当断面図であり、図4と同符号は同一または相当部分を示す。
【0037】
図1において、揮散性物質放出器1は、揮散性物質を保持する可剥性の透明なゲル成形体2が、透明プラスチック製の浅底の容器3のゲル収容空間4内に充填されて、ゲル係止部11に係止され、この状態で容器3の開口部5を形成するフランジ6に、シール部材8がヒートシールされて密封状に形成されている。揮散性物質放出器1は、開口部5を横方向にした状態で、揮散性物質放出器1を支持する台座12、または壁面に吊り下げるための吊下具13とセットで製品とされている。
【0038】
すなわち揮散性物質放出器1は、開口部5、ゲル収容空間4およびゲル係止部11を有する容器3と、揮散性物質を保持し、かつ前記容器3のゲル収容空間4内に充填され、ゲル係止部11に係止された可剥性のゲル成形体2と、容器3の開口部5を密封するシール部材8とを備えている。図4に示す従来の揮散性物質放出器1との相違点は、容器3にゲル係止部11が形成されていること、ならびに通気性部材7がないことであり、シール部材8は、容器3の開口部5を形成するフランジ6に直接、剥離可能な状態でヒートシールされて、密封状にされている。
【0039】
容器3の開口部5およびゲル収容空間4は、収容したゲル成形体2の大気との接触面積を大きくするために、開口部5を大きくして、底の浅いパン状の形状に形成されている。また収容したゲル成形体2に含まれる揮発成分を大気中に揮散させるために、ゲル収容空間4は多表面積の内壁を有するように構成されている。すなわち内壁を多表面積構造とするために、ゲル収容空間4は内壁に複数の細分化された凹凸部4a、4bを形成して多表面積構造としている。ここでは果物のブドウを模した形状として、浅い凹凸部4aはブドウの葉を模した形状とし、深い凹凸部4bはブドウの果実を模した形状として装飾性を高めている。
【0040】
容器3に形成するゲル係止部11は、ゲル収容空間4内に収容されたゲル成形体2を係止して容器3内に保持するように形成されている。ここではゲル成形体2から芳香剤、消臭剤等の揮散性物質を放出させる際、揮散性物質の放出に伴って、ゲル成形体2が収縮して容器3から剥離する場合でも、剥離したゲル成形体2を係止して、使用開始時に近い状態で係止してゲル収容空間4内に保持するように形成されている。すなわちゲル係止部11は、容器3のゲル収容空間4の壁面から突出する突出部からなるものであり、特に開口部5に対向する壁面(底面)から開口部5に向って突出する突出部から構成されている。ここではゲル成形体2がゲル係止部11の全周を囲むように、ゲル係止部11の全周に連続するようにゲル成形体2をゲル収容空間4内に充填している。
【0041】
揮散性物質放出器1は容器3の開口部5を横向きにし、開口部5に沿う面を上下方向(垂直または傾斜方向)にするように、台座12に支持して使用するように構成されている。この場合、容器3のゲル収容空間4の内壁に複数の細分化された凹凸部を形成しただけでは、ゲル成形体2が収縮して容器から剥離すると、剥離したゲル成形体2は容器3の開口部5から脱落する。このためゲル係止部11は、使用状態において収縮して容器3から剥離するゲル成形体2を吊るして係止するように、開口部5に対向する壁面(底面)から開口部5に向って、ゲル成形体2を貫通して突出する突出部から形成されている。この場合、ゲル係止部11は、使用状態のゲル収容空間4の上部の位置において、台座12と平行な方向に直線状に伸びる1本の突出部から構成されている。このようなゲル係止部11は、容器3のゲル収容空間4を形成するときに、プラスチックの真空成形等により同時に形成される。
【0042】
ゲル成形体2は、揮散性物質を保持する形状保持性を有する可剥性透明架橋ゼラチン水性ゲル成形体からなり、容器3の浅い凹凸部4aおよび深い凹凸部4bを含むゲル収容空間4に開口部5側から隙間なく充填されて、容器3のゲル収容空間4の内壁に密着した構造を有する。ゲル成形体2はゲル係止部11の周囲にも隙間なく充填され、ゲル係止部11がゲル成形体2を係止する構造となっている。ゲル成形体2の開口部5側の外表面とシール部材8との間に若干の隙間9が形成されているが、隙間9が形成されないようにゲル成形体2を充填してもよい。シール部材8は、開口部5の周辺部に形成されたフランジ6に剥離可能に固着されている。
【0043】
上記の揮散性物質放出器1は、以下のようにして製造される。まず開口部5を上にした容器3のゲル収容空間4に、ゼラチン、架橋剤および揮発成分を含む水性ゾルを注入し、浅い凹凸部4aおよび深い凹凸部4bを含むゲル収容空間4の全域に行き渡らせ、ゲル係止部5の周囲にも隙間なく充填する。この状態でゼラチンのゲル化反応を起こさせることにより、容器3に開口部11側から隙間なく充填されて容器3のゲル収容空間4の内壁に密着した構造であって、ゲル係止部11がゲル成形体2を係止する構造を有し、ゼリー強度15以上の形状保持性透明ゼラチン水性ゲルからなるゲル成形体2を形成する。このように浅い凹凸部4aおよび深い凹凸部4bを含むゲル収容空間4の全体が連通する構造とすることにより、1回の注入により容易にゲル成形体2を形成することができ、製造を効率的に行うことができる。
【0044】
この状態で容器3の開口部5をシール部材8で密封することにより、揮散性物質放出器1が製造される。揮散性物質放出器1は台座12および/または吊下具13とセットで包装され、製品とされる。製品としての揮散性物質放出器1は、開口部5を上にした状態で運搬、保管されるのが好ましいが、逆でもよい。揮散性物質放出器1は、開口部5を上または下にした状態で使用することもできるが、図1のように開口部5を横方向にした状態で、台座12に支持し、または吊下具13により壁面に吊り下げて使用されるのが好ましい。
【0045】
図1のように開口部5を横方向にした状態で使用する場合、揮散性物質放出器1を台座12に支持し、または吊下具13により壁面に吊り下げた状態で、図1(b)の8aに示すように、容器3のシール部材8を引き剥がし、容器3の開口部5を通してゲル成形体2を大気と接触させるようにして使用する。このときゲル成形体2は形状保持性を有し、ゲル係止部11に係止され、またゲル収容空間4の内壁に密着した状態であるため、ゲル成形体2が開口部5から落下することはなく、ゲル収容空間4に保持される。この場合、開口部5側からゲル成形体2を観察できるように開口部5を前にしてもよく、また容器3およびゲル成形体2が透明な場合は、容器3を通して観察できるように開口部5と反対側の面を前にしてもよく、いずれの場合も装飾性を高めることができる。この場合、揮散性物質放出器1を傾斜させて置くことにより、置物のように装飾品としても利用しやすくすることもできる。
【0046】
揮散性物質放出器1の使用状態では、容器3のゲル収容空間4内のゲル成形体2は容器3の開口部5を通して大気と接触することになり、ゲル成形体2に含まれる香料、防虫成分等の揮発成分はゲルの表面から大気中に揮散し、芳香剤、防虫剤などとしての機能を発揮する。使用開始直後は容器3に充填されたゲル成形体2の開口部5側の表面からのみ揮散性物質が放出されるが、揮散が進んでゲルが収縮すると、ゲル成形体2は可剥性のため容器3のゲル収容空間4の内壁から剥離し、剥離した部分からも揮散が起こり、揮散する表面積が増加する。剥離はゲルの表面に近い部分から徐々に起こり、表面積が次第に増加する。このとき容器3のゲル収容空間4の内壁に、浅い凹凸部4aおよび深い凹凸部4b等の複数の細分化された凹凸部を形成しておくと、多表面積の内壁と接触していたゲル成形体2の剥離面は多表面積になるため、大気との接触面積は大きくなり、揮散性物質の揮散効率は高くなる。
【0047】
揮散性物質の放出に伴って、ゲル成形体2が収縮して容器3のゲル成形体2から剥離すると、ゲル成形体2の内壁に複数の細分化された凹凸部を形成して多表面積にしておいても、収縮したゲル成形体2をゲル収容空間4内に保持することはできず、ゲル成形体2はゲル収容空間4から脱落することがあるが、容器3にゲル係止部11を形成し、ゲル成形体2を係止させた状態で使用すると、ゲル成形体2はゲル係止部11に係止された状態で収縮、剥離する。このときゲル成形体2は、図1(b)の状態から、(d)の2aに示すような中間の大きさに収縮し、さらに(c)、(d)のゲル成形体2に示すような大きさに収縮する。この場合、ゲル成形体2がゲル係止部11の全周を囲むように、ゲル係止部11の全周に連続するようにゲル成形体2がゲル収容空間4内に充填されていると、ゲル成形体2はゲル収容空間4の周辺部および底辺で剥離しても、ゲル係止部11では剥離せず、ゲル係止部11に巻きつくように収縮する。このため開口部5に沿う面を傾斜させて使用する場合でも、剥離したゲル成形体2が脱落することがない。
【0048】
このように容器3にゲル係止部11を形成することにより、ゲル成形体4をゲル係止部11に係止させた状態で使用することができ、このためゲル係止部11を中心に、ゲル成形体4の収縮ゲルを集約させることができる。これにより揮散性物質の揮散によりゲル成形体2が収縮する際、揮散性物質放出器1の終点、すなわち交換時期の判定が容易になるとともに、装飾性および機能を著しく害することなく、揮散性物質の放出を続けることができるので好ましい。
【0049】
上記の揮散性物質放出器1では、開口部5、ゲル収容空間4およびゲル係止部11を有する容器3に、可剥性のゲル成形体2を充填するだけで、使用中の収縮による剥離により剥離面を露出させて、揮散性物質の揮散速度を大きくすることができ、ゲル係止部11にゲル成形体2を係止させて、収縮ゲルをゲル係止部11に集約させることができ、装飾性を高くすることができる。
【0050】
容器3およびゲル成形体2を透明にすることにより、揮散性物質放出器1に当たる光線は、容器3およびゲル成形体2を透過、屈折、放出に伴い反射するため、優れた美観が得られる。そして揮散性物質の放出に伴うゲル成形体2の形状変化、剥離状態が容器3を通して観察され、意外性、装飾性が高い揮散性物質放出器1が得られる。
【0051】
図2は他の実施形態による揮散性物質放出器を示し、(a)は容器の正面図、(b)は揮散性物質放出器の開口部を上にして使用開始する状態を示す(a)のC−C相当断面図、(c)は揮散性物質放出器の開口部を横向きにした使用前の状態を示す(a)のD−D相当断面図、(d)はその使用開始する状態を示す(a)のD−D相当断面図、(e)はその使用中の状態を示す(a)のD−D相当断面図であり、図1、図4と同符号は同一または相当部分を示す。
【0052】
図2に示す揮散性物質放出器1は、図1に示す揮散性物質放出器1における容器3のゲル収容空間4が浅底の箱型(直方体)に形成され、ゲル係止部11が中央部で2分割された直線状の突出部から構成されている点で異なる以外は、同様に構成されている。この揮散性物質放出器1は、図1と同様に使用されるが、ゲル係止部11が中央部で2分割されている点で、ゲル成形体2の係止が安定し、またゲル収容空間4の壁面が単純化されている点で、剥離時の揮散性物質放出面積が図1と異なる以外は図1と同様の効果を有する。
【0053】
図3(a)、(b)はそれぞれ他の実施形態による揮散性物質放出器容器を示す正面図である。図3(a)では、揮散性物質放出器1の容器3のゲル係止部11が3分割された円筒状の突出部から構成され、図3(b)では、ゲル係止部11が3分割された異なる形状の突出部から構成されている点で図2と異なる以外は、同様に構成されている。この揮散性物質放出器1は、図2と同様に使用されるが、ゲル係止部11が細分割されている点で、ゲル成形体2の係止が安定する以外は図1と同様の効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0054】
室内、台所、クローゼット、トイレット、浴室、自動車、冷蔵庫等に設置して、芳香剤、消臭剤、抗菌剤、防虫剤、忌避剤等の揮散性物質を徐々に放出するための揮散性物質放出器として使用される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】一実施形態の揮散性物質放出器を示し、(a)は容器の平面図、(b)は揮散性物質放出器の使用前の状態を示す(a)のA−A相当断面図、(c)は揮散性物質放出器の使用中の状態を示す(a)に相当する正面図、(d)は使用中の状態を示す(c)のB−B相当断面図である。
【図2】他の実施形態による揮散性物質放出器を示し、(a)は容器の正面図、(b)は揮散性物質放出器の開口部を上にして使用開始する状態を示す(a)のC−C相当断面図、(c)は揮散性物質放出器の開口部を横向きにした使用前の状態を示す(a)のD−D相当断面図、(d)はその使用開始する状態を示す(a)のD−D相当断面図、(e)はその使用中の状態を示す(a)のD−D相当断面図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ他の実施形態による揮散性物質放出器の容器を示す正面図である。
【図4】従来の揮散性物質放出器を示し、(a)は容器の正面図、(b)はこの容器に揮散性物質を含むゲル成形体を収容した揮散性物質放出器を示す(a)のE−E相当断面図、(c)、(d)は使用状態を示すE−E相当断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 揮散性物質放出器
2 ゲル成形体
3 容器
4 ゲル収容空間
4a、4b 凹凸部
5 開口部
6 フランジ
7 通気性部材
8 シール部材
11 ゲル係止部
12 台座
13 吊下具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部、ゲル収容空間およびゲル係止部を有する容器と、
揮散性物質を保持し、かつ前記容器のゲル収容空間内に充填され、ゲル係止部に係止された可剥性のゲル成形体と、
容器の開口部を密封するシール部材と
を備えていることを特徴とする揮散性物質放出器。
【請求項2】
ゲル係止部は、容器から剥離して収縮するゲル成形体を係止するように形成されている請求項1記載の揮散性物質放出器。
【請求項3】
ゲル係止部は、容器の壁面から突出する突出部からなる請求項1または2記載の揮散性物質放出器。
【請求項4】
容器は、装飾性の底面を有し、開口部を横方向にして使用されるものである請求項1ないし3のいずれかに記載の揮散性物質放出器。
【請求項5】
ゲル成形体が、ゼラチン、カラギーナン、寒天、澱粉、CMC、オイルゲル、吸水ポリマー、および多官能の酸とポリオールの重縮合ゲルから選ばれるものである請求項1ないし4のいずれかに記載の揮散性物質放出器。
【請求項6】
ゲル成形体が、可剥性の架橋ゼラチン水性ゲル成形体からなる請求項5記載の揮散性物質放出器。
【請求項7】
室内、台所、クローゼット、トイレット、浴室、自動車または冷蔵庫に設置して、芳香剤、消臭剤、抗菌剤、防虫剤および忌避剤から選ばれる揮散性物質を放出するために使用される請求項1ないし5のいずれかに記載の揮散性物質放出器。
【請求項8】
揮散性物質を保持するゲル成形体が容器内に充填された揮散性物質放出器に用いられる容器であって、
開口部、ゲル収容空間およびゲル係止部を有することを特徴とする揮散性物質放出器用容器。
【請求項9】
開口部、ゲル収容空間およびゲル係止部を有する容器に、
揮散性物質を保持する可剥性ゲルを前記容器のゲル収容空間内に充填し、ゲル成形体を形成してゲル係止部に係止させ、
容器の開口部をシール部材で密封する
ことを特徴とする揮散性物質放出器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−88824(P2010−88824A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264571(P2008−264571)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(592260882)
【Fターム(参考)】