説明

揮発性有機化合物の化学的酸化

【課題】土中の揮発性有機化合物を効果的に酸化させる。
【解決手段】過硫酸塩などの水溶性過酸化化合物と、過マンガン酸塩の片方又は双方を、土のオキシダント要求量を満たし土中の揮発性有機化合物が酸化される分量及び条件下で土に導入することにより、インシトゥ又はエクスシトゥにおいて、揮発性有機化合物が、汚染された土から除去される。好適な実施形態では、両方が使用された場合、過酸化物が土のオキシダント要求量を満たし、過マンガン酸塩が揮発性有機化合物を酸化させる。好適な過硫酸塩は過硫酸ナトリウムであり、好適な過マンガン酸塩は過マンガン酸カリウムである。過硫酸塩及び過マンガン酸塩は、順次土に追加されてもよく、又はその代わりに、混合され、水溶液として追加されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、土壌、地下水及びプロセス用水および廃水中の有機化合物のその場で行う(in situ)酸化及び別の場所で行う(ex situ)酸化に関し、特に、土壌及び地下水中の揮発性有機化合物のその場で行う酸化に関する。
【背景技術】
【0002】
地下土壌及び地下水中の揮発性有機化合物(VOC類)の存在は、十分文書により立証されており、工業化国及び工業化途上国において大きな問題である。この明細書及び添付の請求の範囲において使用されているように、揮発性有機化合物またはVOC類は、少なくともわずかに水に溶解する炭素の化合物のいずれも意味し、これらの化合物は、ヘンリーの法則の定数が10-7atm−m3/モルを超え、毒性または発癌性であり、重力の影響下で土壌中を移動することができ、その溶解性ゆえに汚染された土壌を通過する水に溶解し水汚染物源となる。これらの化合物としては、例えば、塩素化溶剤(例えば、トリクロロエチレン(TCE)、塩化ビニル、テトラクロロエチレン(PCE)、ジクロロエタン類)、ベンゼン、クロロベンゼン類、ニ臭化エチレン、メチル第三ブチルエーテル、ハロベンゼン類、ポリ塩素化ビフェニル類、クロロフェノール類、アセトン、ter−ブチルアルコール、蟻酸tert−ブチル、アニリン類、ニトロベンゼン類、トルエン、キシレン類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0003】
多くの場合において、揮発性有機化合物が土壌中に放出されると、帯水層が汚染され、公衆衛生に影響する可能性があると共に、将来の使用に対する地下水源の劣化(degradation)が起こる。揮発性有機化合物で汚染された土壌の処理及び修復は非常に高価で、多くの場合、不完全でありあるいは失敗に終わる。部分的にあるいは全体として水と混合することができない揮発性有機化合物(すなわち、非水相液すなわちNAPL類)の処理及び除去は特に困難であった。これは特に、これらの化合物が有意に、化学的または生物的に、自然に分解しない場合に、そうである。地下に存在するNAPL類は、人間及び他の生物にとって有毒であることがあり、溶解した揮発性有機化合物水溶液または気相の揮発性有機化合物が地下水に徐々に放出され、その結果、長期(すなわち、数十年以上)にわたる地表下の化学的汚染源となりうる。多くの場合、地下水汚染物質プルーム(plume:境界層の不安定によって生じる上下方向の流れ)は化学物質源から数百から数千フィートまで広がり、地表下が広範囲に汚染される。これらの化学物質は、その後、飲料水源、湖、川、家屋の地下中にまで運搬されることがある。
【0004】
米国環境保護局(USEPA)は、様々な有害な化合物に対し最大濃度限界を定めている。非常に低く、厳密な飲料水限界が、多くのハロゲン化有機化合物に対し定められている。例えば、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、及び四塩化炭素などの溶剤に対する最大濃度限界は、5μg/Lとされており、クロロベンゼン類、ポリ塩素化ビフェニル(PCB)類、及びニ臭化エチレンに対する最大濃度限界は、USEPAでは、それぞれ、100μg/L、0.5μg/L、及び0.05μg/Lとされている。これらの浄化基準を満たすことは困難であり、時間がかかり、コストが高くつき、及びしばしば、現存の技術を用いては不可能である。
【0005】
パイロットスケールの試験適用で試みられている1つの技術は、その場での(in situ)土壌修復のための酸化剤として過マンガン酸カリウム(KMnO4)のみを使用するものである。その場で実行される(in situ)処理は、汚染された相自体の物理的な除去は含まず、一方、別の場所に取り出しての(ex situ)処理方法は、汚染された相の物理的除去及び他の場所での処理を含む。これは、典型的な場所に存在する標的(ターゲット)VOC類(例えば、トリクロロエチレン、ジクロロエチレン及び塩化ビニル)を酸化するKMnO4の能力という観点から試みられたものである。そのような反応の例は次の通りである。
【0006】
2MnO4-+C2HCl3→2CO2+2MnO2+3Cl-+H+
KMnO4が用途の広い化学的性質を有すること、高い水溶性を有することもよく知られている。いったん、水溶液相に溶解されると、過マンガン酸塩(例えば、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カルシウムなど)は電離して、過マンガン酸イオン(MnO4-)を形成し、このイオンは+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7までのマンガンの酸化状態をとる様々な種に変化すること可能である。マンガンの最も一般的な種はマンガンイオン(Mn++)、二酸化マンガン(MnO2)、及び過マンガン酸塩(MnO4-)である。(MnO4-)の酸化強度は(MnO4-)の電子受容能力に依存し、それはpHに依存する。pHが低いほど、(MnO4-)が電子を受容する傾向は大きくなり、この傾向は式(1)から(4)までの酸化還元電位(E0)により示される。
【0007】
MnO4-+8H++5e-→Mn+++4H2O pH<3.5 E0=1.51V ・・・ (1)
MnO4-+4H++3e-→MnO2(s)+2H2O 3.5<pH<7 E0=1.70V ・・・ (2)
MnO4-+2H2O+3e-→MnO2(s)+4OH- 7<pH<12 E0=0.59V ・・・ (3)
MnO4-+e-→MnO4-- 12<pH<13 E0=0.56V ・・・(4)
KMnO4の反応性は、反応条件及び酸化される有機化合物の型に依存する。
【0008】
化学的には、過マンガン酸カリウムは不飽和揮発性有機化合物を酸化するには効果的であるが、実際に一つの場所を浄化するそのような能力を使用する現在周知の方法では、土壌の自然の酸化剤要求量を克服するために、きわめて大量のKMnO4が必要とされる。これにより、所定の量のKMnO4に対しては、揮発性有機化合物を酸化するのに有効なKMnO4の割合が限定される。このように、土壌容積の単位当たりに対し必要とされるKMnO4の量は大量であり、コストが高くつくためこの技術の適用は制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の浄化方法では克服されない、過マンガン酸カリウムの他の欠点は、固体二酸化マンガン(MnO2)沈殿物の形成である。この沈殿により、土壌の目詰まり(クロギング:clogging)が生じ、これにより土壌の水に対する浸透性が減少し、その液圧伝導性が減少し、これにより酸化物の汚染された場所全体への接近が妨害され、土壌及び揮発性有機化合物の処理が不完全となる。
【0010】
地表下修復のために、過マンガンカリウムだけを、大量に添加する別の欠点は、地下水中で可溶性のマンガン化合物が形成され、それが飲料水標準を超えることがあるということである。このため、及び前述の理由のため、その場での(in situ)適用に対し過マンガンカリウムを使用するという今までの試みは、完全には成功していない。
【0011】
早くから、ペルオキシニ硫酸塩の使用が、有機化合物の合成目的に対し、報告されている。さらに、有機炭素消化の方法として、非常に低いpH(すなわち、pH2.0付近)で実行される過硫酸アンモニウムの熱触媒分解が報告されているが、より高いpHではその目的に使用するのに有効であるとは考えられない。より最近の刊行物では、大気圧下、触媒無しでの条件下で、アトラジン及びPCB類が、水溶液中で、及びバッチ条件下では汚染物質が添加された土壌中で、過硫酸アンモニウムにより酸化されることが示されている。この酸化反応が、汚染された土壌または地下水中の揮発有機化合物の処理へ応用されるとは、示唆されていない。
【0012】
ニ価および重金属カチオンが酸化マンガン表面に吸着することは、周知の現象である。選択したカチオンがMnO2表面に吸着する優先順位は、以下のように報告されている。
【0013】
Pb++>Cu++>Mn++>Co++>Zn++>Ni++>Ba++>Sr++>Ca++>Mg++
水溶液中での二酸化マンガン及び様々な有機化合物との酸化還元相互作用の化学量論及び割合について、幾つかの有機化合物、例えば、アニリン及び第一級芳香族アミン類;ヒドロキノン;様々な有機酸類、置換フェノール類、及びクロロフェノール類に対し研究されている。上記系の全てにおいて、二酸化マンガンがMn++に還元されると、有機化合物との酸化還元対が酸化されることになり、この反応は文献では界面反応として認められている。しかしながら、この知識が、土壌からの汚染物質の除去に適用されるという認識はない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、揮発性有機化合物を含む汚染された土壌、堆積物、粘土、岩石など(以後、ひっくるめて「土壌」という)の処理方法、及び揮発性有機化合物を含む汚染された地下水または廃水の処理方法に関する。
【0015】
この発明の方法は、土壌、地下水及び/または廃水中のほとんどの、好ましくは実質的に全ての揮発性有機化合物を酸化させ、それらを無害なものとすることができる条件下で、1つ以上の可溶性酸化剤を使用する。
【0016】
酸化剤は、固相水溶性過酸素化合物及び/または過マンガン酸化合物であってもよく、土壌中に所定量導入され、所定条件下におかれ、酸化化合物が1)ほとんど及び好ましくは実質的に全ての土壌酸化剤要求量を満たすことができる、2)ほとんど、及び好ましくは実質的に全ての、標的VOC類と接触し、酸化させ、その標的VOC類を無害にすることができるようにされる。よく知られているように、また、この中で使用されているように、用語「固相」は、大気温度及び大気圧での純粋相における化合物の状態をいう。上述した土壌酸化剤要求量は、天然有機物質、鉄(II)イオンなどの他の還元無機種、炭酸鉄(II)及び他の異地性(人為改変)有機及び還元無機種を含む様々な種により与えられる。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態では、過酸素化合物は、十分な量、土壌中に導入され、土壌酸化剤要求量を満たし、過マンガン酸化合物は、十分な量、土壌中に導入され、VOC類を酸化し、それらを無害にする。これらの化合物は、土壌中に、同時に、例えば混合物として、あるいは逐次、導入または注入してもよい。過マンガン酸化合物は有意な程度まで土壌酸化剤要求量を満たす必要がないので、従来の方法では生じていた、望ましくない量の土壌目詰まりMnO2沈殿物の形成が避けられ、過マンガン酸化合物は容易に標的VOC類に到達し、それらと反応することができる。この方法は、地面から除去した多量の汚染土壌を処理するために、別の場所(ex situ)で使用してもよい。この中で及び添付の請求の範囲において使用されているように、過酸素化合物及び過マンガン酸化合物の「逐次」導入は、化合物を「次々と」(すなわち、「交互に」)導入または注入することを意味し、所望の結果が達成されるのに必要な回数だけその順序を繰り返すことを含む。
【0018】
本発明の他の実施の形態によれば、例えば、処理されて高い割合のVOC類及び他の有機化合物が除去されている汚染場所から下流に延在している地下水プルームの遠距離端では、比較的低レベルのVOC類及び他の有機化合物のみが処理される必要があり、過マンガン酸化合物のみが汚染地下水プルームの経路で地面に注入される。過マンガン酸化合物は、物質ゾーンを形成し、そこを通って地下水が通過し、そのゾーン内で、地下水中のVOC類及び他の有機化合物が酸化される。過マンガン酸化合物は、土壌中に導入されると、最初に土壌中の成分と反応し、MnO2沈殿の「バリヤ」ゾーンを形成する。地下水中のVOC類及び他の有機化合物は容易に、吸着により、MnO2に付着する。その後、マンガンの還元とVOC類の酸化がそのゾーン内で起こり、VOC類が除去される。
【0019】
本発明の他の観点によれば、金属カチオンが汚染土壌中に存在する条件下では、過硫酸塩を汚染土壌中に導入しVOC類を除去してもよい。金属カチオンは触媒作用により、過硫酸塩を分解し、硫酸フリーラジカルが形成され、これにより標的VOC類が酸化される。金属カチオンが十分な量、自然に存在しない場合、金属カチオンは外部源から添加されてもよい。
【0020】
この発明の前述の特徴及び他の特徴、及び利点は、以下の説明により明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の例示的な実施の形態によれば、汚染された場所での揮発性有機化合物の酸化は、土壌中に過硫酸塩、その後過マンガン酸塩を逐次、注入することにより、達成される。
【0022】
過硫酸塩と過マンガン酸塩の交互の注入では、十分な量の土壌酸化剤要求量を満たすためには、土壌中への十分な過硫酸塩の導入が必要である。そのため、過マンガン塩を導入しても、過マンガン塩は、それだけで使用した場合のように、標準の土壌成分と過剰に反応することはない。「過剰に」という用語により、MnO2沈殿が大量に形成されるのに十分であることが意味される。この大量の沈殿により、土壌浸透性および拡散性が、過マンガン酸塩が容易に土壌中を通過して移動しVOC類に到達し酸化することができないくらいの程度まで、減少する。過硫酸塩により土壌酸化剤要求量が減少することにより、過マンガン酸塩が、土壌から標的汚染物質までより早く、より均一に分布することができ、VOC類を酸化させるのに必要な過マンガン酸塩の量がずっと少なくなる。しかしながら、揮発性有機化合物の量が減少するに従い、残りの揮発性有機化合物と反応するには、過マンガン酸塩は、さらなる土壌酸化剤要求量を有する土壌をさらに通過して移動する必要がある。このため、その位置では、さらに過硫酸塩を注入する必要があることもある。必要であれば、この過硫酸塩及び過マンガン酸塩の連続注入を繰り返し、処理される土壌容積内のVOC類を酸化させ、VOC濃度を所望のレベルまで減少させる。
【0023】
本発明の好ましい型では、過硫酸ナトリウム(Na228)が土壌中に注入され、その後、過マンガン酸カリウム(KMnO4)が注入される。過硫酸塩は、土壌成分を酸化させることにより土壌の酸化剤要求量を満たし、過マンガン酸塩と反応することができる成分の量が減少する。(過硫酸塩反応は比較的遅く、過マンガン酸塩反応を開始させるまでに過硫酸塩反応を完了させるために十分長い時間待つことが望ましいが、強制ではない)。土壌と反応する過マンガン酸塩の量が減少するので、土壌のVOC類を酸化させるのに使用できる過マンガン酸量が増加する。さらに、(MnO4-)の固体沈殿MnO2への還元が減少する。このように、土壌の浸透性を減少させ、過マンガンカリウムがVOC類に到達し、それらと反応し、それらを破壊するのを制限する沈殿が減少する。言い換えると、過硫酸ナトリウムと過マンガン酸カリウムを共に土壌中に注入すると、過マンガン酸カリウムは、許容できない量のセメント質の固体沈殿を形成するよりもむしろ、より迅速に、かつ、より均一に土壌中を標的VOC類のところまで移動する。(このプロセスは、注入手段、例えば、in situ適用用の井戸(ウエル:well)を使用することにより、あるいはノズル、パイプあるいは他の導管により、開始させてもよく、酸化剤はex situ処理用に地面から除去された土壌中に注入される。)
【0024】
in situ処理のためには、水文地質学的条件、すなわち、酸化溶液が現存の地下水ととって代わり、混合し、分散し、土壌中を移動することができる能力を基に、注入割合を選択しなければならない。さらに、注入割合は、現実の時間枠中での、土壌酸化剤(オキシダント)要求量及び化学的酸化剤要求量を満たすのに十分でなければならない。経費的かつ時間的に効果的な様式で、場所の浄化を行うと好都合である。場所のパラメータの注意深い評価が重要である。土壌浸透性は、深さ及び横寸法の関数として急激に変化するかもしれないことは周知である。そのため、注入ウエル位置もまた、場所特異的である。どの修復技術も、正しく適用されるかは、地表下条件、化学的及び物理的条件の両方の知識次第であり、このプロセスも、その点では、違いはない。
【0025】
VOC類のex situ酸化では、汚染された土壌または水の酸化剤要求量量に基づき、酸化剤の型及びそれらの適用割合を決定しなければならない。動作条件(例えば、混合の程度、温度、量、及び選択された酸化剤の割合、処理時間、及び酸化剤適用の順序)の選択は、汚染された土壌/水の酸化剤要求量及び処理されるべき標的VOC類の量と型に基づいて、行われる。
【0026】
ex situ処理ステムは、(1)地上タンク、鉄道車両、トラック、タンク、または混合システムを備えたまたは備えていない他の市販の輸送容器と、(2)貯蔵ドラムと、(3)パイプ及び、他の水、土壌及び土スラリー移動及び輸送システムと、を含んでもよいが、これに限定されない。
【0027】
コストが低いという観点では、過マンガンカリウムが好ましいが、望ましい過マンガン酸イオン(MnO4-)に電離する化合物であれば、どの化合物も作用するであろう。本発明の方法において有用な他の可能な過マンガン酸塩の例としては、コストが高くなる順に、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カルシウムが挙げられる。大気温度では、KMnO4の水溶解度は、約60g/Lであり、一方、NaMnO4の水溶解度は、約600g/Lである。水中に溶解させると、どちらも電離して(MnO4-)イオンが発生し、様々な反応を起こす。主な論点はしばしばコストであるが、NaMnO4が、KMnO4に比べ溶解度のオーダーが大きいことにより、土壌浸透性が非常に低く、少量の液体のみが注入点から汚染物質に向かって移動することができる場合はいつでも、有益である。さらに、カリウムイオンは、一定の粘土の膨潤を引き起こし、これにより浸透性が減少することが示されている。選択した例では、ナトリウムを使用し、そのような難点を除去することができた。
【0028】
同様に、過硫酸ナトリウムは、土壌成分を酸化させるのに好ましい化合物であるが、ニ価の酸素基O−Oを含む他の固相水溶性過酸素化合物を使用することができる。そのような化合物として、すべての過硫酸塩などを挙げることができるが、過硫酸塩は安価であり、典型的な現場条件下で、地下水飽和土壌中に長期間存在するため、過硫酸塩が好ましい。過硫酸アニオンは過酸素族の化合物のうち、最も強力な酸化剤である。過硫酸イオンは標準還元電位が2.12Vの強い2電子酸化剤であるが、その反応の大部分において、過硫酸塩は、1つの硫酸ラジカルイオンが形成される1電子還元を受ける(このため、2.12Vよりも事実上低い還元電位を有する)、あるいは、2つの硫酸ラジカルイオンが形成される弱い酸素−酸素結合の切断を受ける、のいずれかである。先の反応は以下の式により表される。
【0029】
28--+2H++2e-→2HSO4-0=2.12V
第2の反応は、一般に、過硫酸塩溶液が十分加熱された時に起こり、以下の式で表される。
【0030】
28--+熱→2・SO4-
同様に、フリーラジカルはまた、遷移金属イオン、例えば、Fe++を存在させると、以下の通り、発生させることができる。
【0031】
28--+Fe++→Fe++++SO4--+・SO4-
高い反応性の硫酸ラジカルイオンは、溶液中に存在する様々な物質と反応することができる。さらに、その物質の1電子酸化中間体は、反応性中間体であることもあり、それはさらに、溶液中に存在する他の物質あるいは過酸化物イオンと反応することができる。このように、反応条件及び存在する物質の型により、過硫酸は直接酸化経路、ラジカル形成、あるいはその両方に従うことができる。
【0032】
最も好ましい過硫酸塩は、水への溶解度が最も大きく、最も安価なため、過硫酸ナトリウムである。さらに、過硫酸ナトリウムは、還元によりナトリウムと硫酸塩を発生させる。これらはどちらも、環境及び健康に比較的やさしい。過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウムは、使用できる他の過硫酸の例である。しかしながら、過硫酸カリウムは過硫酸ナトリウムに比べ、水への溶解度が、1オーダー低い。過硫酸アンモニウムはさらに望ましくない。というのは、過硫酸アンモニウムは健康に関係する可能性のある成分に分解することがあるからである。
【0033】
以下は、KMnO4、MnO4-、S28--の選択した有機及び無機種との反応の他の例である。
【0034】
28--+2Fe++→2Fe++++2SO4--
28--+NO2-+H2O→NO3-+2SO4--+2H+
28--+HCOO-→CO2+HSO4-+SO4--
28--+2Cr(III)→2Cr(VI)+2SO4--
3C65OH+28KMnO4+5H2O→18CO2+28KOH+28MnO2
2MnO4-+3Mn+++2H2O→5MnO2+4H+
8MnO4-+3S--+4H2O→5MnO2+3SO4--+4OH-
過酸素化合物の経済及び純度の理由から、使用する箇所の付近の場所で過酸素を生成させると好都合である。
【0035】
過マンガン酸カリウムを使用したVOC類の成功した水相酸化を明らかにする実験について以下の実施例において説明する。
【0036】
(実験例1)
21.8mg/L TCEおよび18.1mg/Lcis−1,2−DCEによって汚染された地下水を、500mg/L KMnO4溶液を用いて、最初のpHを6.95として零ヘッドスペースバッチリアクタで処理した。132分後、TCE濃度は21.8mg/Lから0.01mg/Lに減少し、26分後、cis−1,2−DCE濃度は18.1mg/Lから0.032mg/Lに減少した。TCEとcis−1,2−DCEとの酸化によって39mg/Lの塩化物が生じた。これは、これらの揮発性有機化合物が完全に酸化したことを示す。
【0037】
汚染土内で生じる、過マンガン酸塩カリウムを用いたVOCのインシトゥ酸化を実証する例を次に示す。
【0038】
(実験例2)
103.7mgTCE/kgの土と、29.7mg cis−1,2−DCE/kgの土によって汚染されたサイトから採取した土塊(soil core)を、0.3mL/分の510mg/L MnO4溶液を用いて酸化させた。分離管に55時間流した。これは32.46細孔容積を示す。1.77細孔容積が分離管を通過した後、分離管流出物中からcis−1,2DCEは検出不能であった。11.8細孔容積の通過後、TCEは検出不能であった。分離管流出物中ではCl濃度が上昇した。これは、cis−1,2DCEおよびTCEの酸化を裏付けている。
【0039】
KMnO4のみで処理した土よりも、Na228およびKMnO4で順次処理した土においてKMnO4に対する土オキシダント要求量(soil oxidant demand)が大幅に低いことを実証する例を次に示す。
【0040】
(実験例3)
この実験では、オキシダント溶液を2本の異なるステンレススチール分離管(43mm径x76mm長)に流入した。この分離管は、あるサイトから採取した汚染されていない原状土を含む。2本の分離管では、オキシダント溶液の流速を0.3mL/分に維持した。分離管Aでは、流出物中にKMnO4濃度の変化がみられなくなるために充分な時間、503mg/L KMnO4溶液を上方に向けて流した。消費KMnO4(つまりKMnO4に対する土オキシダント要求量)は、2.71g KMnO4/kg土であった。分離管Bでは、流出物中にNa228濃度の変化がみられなくなるために充分な時間、961mg/L Na228の溶液を上方に向けて流した。消費Na228(つまり、Na228に対する土オキシダント要求量)は、0.26gNa228/kg土であった。分離管B内にNa228溶液を流入した後、流出物中にKMnO4濃度の変化がみられなくなるために充分な時間、503mg/L KMnO4を含む溶液を流入した。この時、消費KMnO4(つまり、KMnO4に対する土オキシダント要求量)は、0.72gKMnO4/kg土であった。また、KMnO4のみで土を処理した分離管Aに比べて分離管Bでは、より速いKMnO4の漏出が観察された。
【0041】
MTBEおよびその副産物の酸化を実証する二つの実験を次に説明する。
【0042】
(実験例4)
完全に混合したバッチ実験を行った。この実験では、100mLのガス密閉した零ヘッドスペースガラスシリンダ内で、6g/L過硫酸ナトリウムによって7.85mg/L MTBEを30℃で処理し、72時間観察した。28時間後、MTBEは検出できなくなった。72時間までに、反応過程で識別されたアセトン、メチルアセテート、tブチルエステル、2メチル2プロパノールの副産物が検出できなかった。したがって、この実験は、MTBEおよび、MTBEと過硫酸ナトリウムとの反応による副産物を72時間で無機化することになった。
【0043】
(実験例5)
この実験では、実験4で用いたと同様の反応容器内で5/5g/L過硫酸ナトリウムによって7.37mg/L MTBEを40度で処理する。5.5時間後、MTBEは検出できなくなった。反応過程で識別された2種類の副産物、つまり、蟻酸t−ブチルおよびアセトンは、14時間未満後には検出できなかった。したがって、MTBEおよび、MTBEと過硫酸ナトリウムの反応による副産物の酸化速度に対する温度の影響が実証された。
【0044】
本発明は、過マンガン酸塩と過硫酸塩を同時に土に注入して実施できる。また、最初に過マンガン酸塩を注入し、続けて過硫酸塩を注入しても実施できる。これは、過マンガン酸塩反応フロントは過硫酸塩よりもかなり遅れるためである。同時注入の場合、過マンガン酸塩は導入または注入時点に近い段階で素早く使い果たされる。過硫酸塩フロントは過マンガン酸塩よりもより早く広がる。これはその反応速度がより遅いためである。過硫酸塩の注入後、過マンガン酸塩反応フロントが土を伝わる。
【0045】
一般に、VOCの酸化は溶解性が制限された反応である。VOCの破壊は水相溶液中で生じる。十分量のオキシダントが存在すれば、これはVOCを酸化するので、水相内でのその濃度は減少する。これによって、水中に純相VOC(pure phase VOCs)が溶解する(VOCは少なくとも部分的に可溶性であるため)。溶解は、可溶性と濃度傾斜とによって引き起こされる。水相中のVOCが一旦酸化するとその濃度は低下し、濃度傾斜が上昇する。これによって、水相への純相VOCの溶解が促進される。この処理は、VOCが全て破壊されるまで継続する。
【0046】
同時注入を行う場合、相互融和性の薬品を注入前に同じ容器内で混合する。混合する薬品の量は重要ではないが、十分な量の過硫酸塩を用いて実質的に全ての土オキシダント要求量を満たし、十分な量の過マンガン酸塩を用いてVOCを許容レベルまたはその近くのレベルまで破壊することが好適である。特に、過マンガン酸カリウムを用いる場合は、十分な量の過硫酸塩を使用して、過マンガン酸塩カリウムに対して反応性を有する有機および無機土成分の大半および好適には実質的に全てを酸化し、必要な過マンガン酸塩カリウムを最小限にすることで、MnO2の生成を維持し、費用を最小限にする。
【0047】
土の種類や目的のVOC、サイトによるその他オキシダント要求量により、本発明で使用する過硫酸塩の適当な濃度が250mg/L〜200,000mg/Lの間で異なる。また、過マンガン酸塩濃度は250mg/L〜100,000mg/Lの間で異なる。好適な濃度は土特徴の関数であり、サイト固有のオキシダント要求量を含む。水文地質学的条件によって、土中での薬品の移動速度が決まる。いかにして最良の注入を行うかを推察するためには、こうした条件を土の性質と共に考慮しなければならない。これらの検出や注入を行う技術は、同業者には周知である。例えば、汚染が予測されるサイトの中や周りといった井戸の多様な場所に穴をあけて、汚染場所またはできるだけ近くの場所を検出する。大気(atmospheric oxidation)酸化しないようにコアサンプルを取り出し、これを用いて地表下での土オキシダント要求量と薬品(すなわちVOC)オキシダント要求量を検出する。土中の正確な薬品成分とその濃度も検出する。汚染地下水を回収する。実験室で可能な実験において、回収した地下水にオキシダントを添加し、地下水のどの成分が破壊されるかを検出する。次に、土環境下において、同じオキシダントがこれらの薬品を破壊できるか否かを検出する。
【0048】
単位土質量(サイトでの識別された土塊)毎に使用する過硫酸塩および過マンガン酸塩の好適な量を計算する方法の一つとしては、まず、汚染されていない土の単位質量毎の土オキシダント要求量を完全に満たすために必要な過硫酸塩の最低量を決定する。識別された土塊から採取した汚染土を、決定した(単位質量毎の)所定量の過硫酸塩で処理する。次に、この処理済サンプル内のVOCを除去するために必要な過マンガン酸塩の最低量を検出する。過マンガン酸塩の必要量は、任意の未処理土オキシダント要求量と同様、目的の薬品の質量および地表下でのその分布の関数である。特に、十分な過マンガン酸塩を用いて目的の全成分を完全に酸化することが望ましい。酸化処理中に過マンガン酸塩が消費される。薬品反応化学量論によって質量/質量比率が決まり、よって所望の結果を得るために必要な総量が決まる。過硫酸塩が大半の土オキシダント要求量と反応して、これを破壊すると思われるが、土の中には、未充足(unsatisfied)オキシダント要求量を有する低透過率領域が存在するかもしれないので、この「未反応」土オキシダント要求量を無くすために、通常は、過マンガン酸塩を過剰に適用する。実際、一汚染サイトにおいて多様な場所に注入する過硫酸塩および過マンガン酸塩の量は、コアサンプルから検出した条件や、地表下条件と思われるものをマッピングする他の技術等によって異なる。
【0049】
目的は、注入する過硫酸塩溶液に含まれる過硫酸塩の濃度を、飽和ゾーンまたはそれに近い地点に存在する地下水と同じ速度で過硫酸塩反応フロントが伝わるために十分な濃度にすることである。(飽和土ゾーンは地下水面下に広がる十分に飽和した土のゾーンである。地下水はここに存在し、ここを流れる。)ある飽和ゾーンを流れる地下水の通常速度がある時間枠内の処理には遅すぎる場合、この流速を早めるために、過硫酸塩溶液の注入速度を早めるか、地下水汲上井戸を設置して、注入された過硫酸塩溶液の流れを方向付けする。ある種の被処理土は未飽和ゾーンに存在すると思われる。過硫酸塩の注入方法は、土と注入薬品とを充分に接触させるために過硫酸塩溶液を地表下へ浸透させる浸潤(インフィルトレーション:infiltration)またはしたたり(トリックリング:trickling)に基づく。ある種の土や条件では土オキシダント要求量を破壊するために大量の過硫酸塩を必要とするが、そうでない土や条件もある。例えば、大粒の砂質の土は表面積は非常に少なく、酸化する成分が非常に少ないので土オキシダント要求量も非常に少ない。一方、沈泥や粘土質の土は非常に細かい粒子であり、単位容量あたりの表面積は大きい。また、酸化する成分を大量に含むと思われるので、土オキシダント要求量は高い。
【0050】
本発明の別の実施形態は、地下水中のVOCの濃度が比較的低いが許容範囲外である場合にこれを破壊する際に有益である。この実施形態は過マンガン酸塩のみを使用する。通常土または他の方法で過マンガン酸塩を還元(to be reduced)して二酸化マンガン(MnO2)を形成する。二酸化マンガンは、土内に障壁型インターセプションゾーン(例えば、反応性浸透壁)を形成する。このゾーンを地下水が通過すると、地下水が含むVOCを破壊する。過マンガン酸塩を土に注入すると、インシトゥでMnO2が形成される。過マンガン酸塩は、土内に存在する還元された無機および有機種によって(これらは共に自然発生し、人間の行動の産物である)、MnO2に還元される。VOCは吸着によって容易にMnO2に付着する。VOC(レドックス)のマンガンや酸化が同時に還元されてVOCを破壊する。特に、ある条件下では、MnO2沈殿物が、ある種の有機化合物(アニリンと一次性の芳香性アミン;ヒドロキノン;多様な有機酸;代替フェノールおよびクロロフェノール等)を酸化する。MnO2および塩素溶媒との酸化反応も同様に可能である。
【0051】
これらのMnO2およびや有機化合物の反応を、酸化ベースのインシトゥ矯正(その場で処理する)システムに利用できる。過マンガン酸塩で処理された反応性かつ透過性の地表下溝が適切な場所に「建設」される。または、過マンガン酸塩注入によってMnO2が形成された一連の注入井戸によって、水相汚染物のオフサイト移動から保護できる。双方のシステムでは、反応性障壁ゾーンは、このゾ−ンを通過する地下水に含まれる比較的低レベルであるが許容範囲外のVOCを酸化によって除去するために充分な長さを有して形成される。この種の障壁ゾーンは、処理済の汚染土サイトから延びる地下水のプルームの下流端において特に有効と思われる。ここでは、プルーム内のVOC濃度は低い。「低濃度」とは、VOC汚染土や地下水のプルームにオキシダントを注入しても直ぐに消費されず、また、そのゾーンでの水の流れを妨害しない程度の量のMnO2沈殿物が生じる程に十分に低い濃度を意味する。(このような低濃度は、約5/10億〜10/100万である必要がある。)これによって、このゾーンを通過する汚水に含まれるVOCをオキシダントが継続的に(少なくとも長期間にわたって)遮蔽し破壊できる。特に、KMnO4の注入によるMnO2ゾーンの形成後は、形成されたMnO2が、このゾーンを通過するVOCと反応する。VOCが酸化されるとMnO2が還元(reduced)される。MnO2が土中から十分に枯渇すると、KMnO4を再び土に注入してMnO2処理ゾーンを補充する。この処理を周期的またば適宜繰り返すことができる。KMnO4の注入中、KMnO4が酸化剤として作用する。MnO2ゾーンの形成後、MnO2が酸化剤として作用する。VOCが高濃度の場合、この方法では処理できない。目的の薬品を破壊する過程でのオキシダント消費が早過ぎるため、継続的かつ頻繁に交換しなければならからである。一方、適当な時期で交換するのであれば容認できよう。
【0052】
本発明の他の実施形態では、例えば過硫酸塩ナトリウム等(但し、これに限定されない)の過硫酸塩のみ(つまり過マンガン酸塩無し)を用いてVOCを酸化してもよい。この場合、汚染土は二価金属陽イオンを含み、還元条件(reducing conditions)を有する。この還元条件は、熱的に触媒された過硫酸塩分解を行うために必要な時間、土中の二価金属陽イオンを、土を通過する地下水中に溶液として滞留させるものでなければならない。あるいは、土温度が十分高ければ(約99℃以上)、つまり土が加熱されていれば(好適には約40℃〜約90℃)、過硫酸塩は(熱)触媒作用によって分解されて、硫酸塩を含まない基部(sulfate free radicals)になる。この基部は目的のVOCを酸化する。土内で自然発生する二価陽イオンの量が不十分であれば、これを土内に導入してもよい。例えば、硫酸鉄を土に注入して、鉄陽イオン(iron cation)(Fe++)を補給する。この処理の間、更に過硫酸塩を使用して、VOCを酸化すると同様、土オキシダント要求量の一部を破壊(つまり充足)してもよい。さらに、過硫酸塩と同時あるいは順番に過マンガン酸塩を添加してもよい。過マンガン酸塩と硫化鉄基とは、共に土内の揮発性有機化合物を酸化するように作用する。各成分の量は、過マンガン酸塩と過硫酸塩とによって実質的に全揮発性有機化合物を酸化するという目的に照らして、条件を元に選択する。この手順は、インシトゥ(その場の)またはイクスシトゥ(別の場所の)土処理の双方に適する。
【0053】
本発明を詳述したが、当業者においては、発明の精神および範囲を逸脱することなく、多様な変更が可能であることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土中の揮発性有機化合物を酸化させる方法であって、
(a)固体相の水溶性過酸化化合物を前記土に導入し、前記土のオキシダント要求量の少なくとも大半を満たすステップと、
(b)前記土に過マンガン酸塩を導入するステップと、
(c)前記過マンガン酸塩によって、前記土中の揮発性有機化合物を酸化させるステップと、 を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記過酸化化合物が過硫酸塩であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記過硫酸塩が、ナトリウムベースのもの、アンモニウムベースのもの、カリウムベースのもの、又は上記の組み合わせであることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記過硫酸塩が、過硫酸ナトリウムであることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記過マンガン酸塩が、カリウムベースのもの、ナトリウムベースのもの、カルシウムベースのもの、またはその組み合わせであることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記過マンガン酸塩が、過マンガン酸カリウムであることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記過硫酸塩が、過硫酸ナトリウムであることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項2に記載の方法であって、被処理土の識別された体積中の揮発性有機化合物全てを実質的に酸化できる、十分な分量と条件下で前記過マンガン酸塩を導入することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項2に記載の方法であって、前記過硫酸塩及び過マンガン酸塩が、前記土に同時に導入されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記過硫酸塩及び過マンガン酸塩が、前記土に導入される前に混合されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項2に記載の方法であって、前記過硫酸塩及び過マンガン酸塩が、前記土に順次導入されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、被処理土の体積中の揮発性有機化合物が実質的に全て酸化されるまで、前記過硫酸塩及び過マンガン酸塩が、繰り返し交互に導入されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、前記過硫酸塩の導入の前に、ある分量の二酸化マンガン沈澱物を障壁ゾーンとして前記土内に発生させ、かつ後に残るような量及び条件下で前記過マンガン酸塩を導入することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項2に記載の方法であって、前記過マンガン酸塩及び過硫酸塩が、所定の時間間隔で前記土に順次導入され、前記過マンガン酸塩の導入と前記過硫酸塩の導入とが交互に行われることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、前記揮発性有機化合物が、トリクロロエチレン、塩化ビニル、テトラクロロエチレン、ベンゼン、クロロベンゼン、二臭化エチレン、メチルt−ブチルエーテル、ジクロロエテン、ハロベンゼン、ポリ塩化ビフェニル、クロロフェノール、アセトン、t−ブチルアルコール、蟻酸t−ブチル、アニリン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレン、又は上記の組み合わせであることを特徴とする方法。
【請求項16】
土中の揮発性有機化合物をその場所で酸化させる方法であって、
前記土に過硫酸塩を注入し、前記土中の揮発性有機化合物と反応させ酸化させるステップ、を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記酸化が、前記土内の二価金属陽イオンの存在下で行われ、過硫酸塩を前記土に導入し、前記土の中の前記金属陽イオンと反応させ、前記土の中の揮発性有機化合物を酸化させる基であって、硫酸塩を含まない基を形成するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、ある分量の二価金属陽イオンを前記土に追加するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、追加される二価金属イオンが、鉄(II)イオンであることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記鉄(II)イオンが、硫酸鉄(II)を追加することにより導入されることを特徴とする方法。
【請求項21】
土の識別された体積の中の揮発性有機化合物を酸化する方法であって、(a)土のオキシダント要求量を実質的に全て満たすため及び(b)前記土の中の前記揮発性有機化合物の少なくとも大半を酸化させるために十分な分量及び条件下で、前記土に少なくとも一つの酸化剤を導入するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、前記少なくとも一つの酸化剤が、過マンガン酸塩を含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項21に記載の方法であって、前記少なくとも一つの酸化剤が、過マンガン酸塩から成ることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項21に記載の方法であって、前記土の識別された体積が、別の場所で処理され、前記過硫酸塩が、過マンガン酸塩と反応性のある土の有機構成要素及び無機構成要素の実質的に全てと、前記土の体積中の揮発性有機化合物の少なくとも大半と、を酸化させることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、前記過マンガン酸塩が、カリウムベースのもの、ナトリウムベースのもの、又はカルシウムベースのものであることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、前記過マンガン酸塩が過マンガン酸カリウムであることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項24に記載の方法であって、前記過マンガン酸塩が、前記土の体積中の揮発性有機化合物を実質的に全て酸化させることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項24に記載の方法であって、前記揮発性有機化合物が、トリクロロエチレン、塩化ビニル、テトラクロロエチレン、ベンゼン、クロロベンゼン、二臭化エチレン、メチルt−ブチルエーテル、ジクロロエテン、ハロベンゼン、ポリ塩化ビフェニル、クロロフェノール、アセトン、t−ブチルアルコール、蟻酸t−ブチル、アニリン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレン、又は上記の組み合わせであることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項16に記載の方法であって、前記揮発性有機化合物が、トリクロロエチレン、塩化ビニル、テトラクロロエチレン、ベンゼン、クロロベンゼン、二臭化エチレン、メチルt−ブチルエーテル、ジクロロエテン、ハロベンゼン、ポリ塩化ビフェニル、クロロフェノール、アセトン、t−ブチルアルコール、蟻酸t−ブチル、アニリン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレン、又は上記の組み合わせであることを特徴とする方法。
【請求項30】
地下水中の水面下揮発性有機化合物を酸化させる方法であって、地下水の通り道に、地下水が通るために十分な透過率を持つ一つ又はそれ以上の物質ゾーンを生成するステップを含み、前記物質ゾーンを生成するステップが、二酸化マンガン沈澱物をゾーンの物質内に形成し、前記ゾーンを通過する地下水中の揮発性有機化合物と反応させ、前記揮発性有機化合物を酸化させるステップを含み、前記地下水が前記ゾーンの全てを通過する前に、前記ゾーンを通過する地下水中の揮発性有機化合物の分量を許容レベルにまで低減するために十分な分量だけ、前記二酸化マンガン沈澱物を形成することを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、前記二酸化マンガン沈澱物を生成するステップが、前記ゾーンを形成する物質に過マンガン酸塩を導入するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、物質に導入される過マンガン酸塩が、カリウムベースのもの、ナトリウムベースのもの、カルシウムベースのもの、又は上記の組み合わせであることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法であって、前記過マンガン酸塩がカリウムベースのものであることを特徴とする方法。
【請求項34】
揮発性有機化合物によって汚染されたサイトをその場で洗浄する方法であって、
(a)サイトにおいて、汚染された土の体積を識別するステップと、
(b)第一オキシダントを使い、前記識別された体積に前記第一オキシダントを導入することにより、前記識別された体積中の前記土構成要素のオキシダント要求量の大半を満たすステップと、
(c)前記第一オキシダントとは異なる第二オキシダントを使い、前記識別された体積に前記第二オキシダントを導入することにより、前記識別された体積中の前記揮発性有機化合物の大半を酸化させるステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、前記第一オキシダントが過酸化化合物であることを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法であって、前記第二オキシダントが過マンガン酸塩であることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、前記過酸化化合物が過硫酸塩であることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法であって、前記過硫酸塩が、ナトリウムベースのもの、アンモニウムベースのもの、カリウムベースのもの、または上記の組み合わせであり、前記過マンガン酸塩が、カリウムベースのもの、ナトリウムベースのもの、カルシウムベースのもの、またはその組み合わせであることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法であって、前記過硫酸塩が、過硫酸ナトリウムであることを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項38に記載の方法であって、前記過マンガン酸塩が過マンガン酸カリウムであることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項34に記載の方法であって、前記第二オキシダントが、前記識別された体積中の前記揮発性有機化合物を実質的に全て酸化させることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項41に記載の方法であって、前記第一オキシダントが、前記識別された体積中の土構成要素のオキシダント要求量を実質的に全て満たすことを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項34に記載の方法であって、前記第一及び第二オキシダントが、前記識別された体積に同時に導入されることを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項34に記載の方法であって、前記第一及び第二オキシダントが、前記土に順次導入されることを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法であって、前記第二オキシダントが、前記識別された体積中の前記揮発性有機化合物を実質的に全て酸化させることを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項45に記載の方法であって、前記第一オキシダントが、前記識別された体積中の酸化可能な土構成要素のオキシダント要求量を実質的に全て満たすことを特徴とする方法。
【請求項47】
土の所定体積中の揮発性有機化合物をその場で酸化させる方法であって、
前記土の体積に過硫酸塩を導入するステップと、
前記土を加熱し、前記土の体積中の揮発性有機化合物の少なくとも大半を酸化させるために十分な分量の、硫酸塩を含まない基を形成するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項47に記載の方法であって、前記土が約99℃の温度まで加熱されることを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項48に記載の方法であって、前記土の体積に二価金属陽イオンを追加し触媒作用によって過硫酸塩を分解するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項50】
請求項49に記載の方法であって、前記金属陽イオンの追加ステップが、硫酸化金属を前記土の体積に追加するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項51】
請求項49に記載の方法であって、前記硫酸塩を含まない基が、前記土の体積中の前記揮発性有機化合物を実質的に全て酸化させることを特徴とする方法。
【請求項52】
土中の揮発性有機化合物を酸化させる方法であって、
過マンガン酸塩及び過硫酸塩の水溶液を前記土に導入するステップと、
前記土を加熱し、硫酸塩を含まない基を形成し、前記過マンガン酸塩及び前記硫酸塩を含まない基によって、前記土の中の揮発性有機化合物を実質的に全て酸化させるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法であって、前記土が、別の場所で、過マンガン酸塩及び過硫酸塩の溶液によって処理されることを特徴とする方法。
【請求項54】
請求項52に記載の方法であって、前記土が、約99℃の温度まで加熱されることを特徴とする方法。

【公開番号】特開2010−58121(P2010−58121A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283838(P2009−283838)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【分割の表示】特願2000−546901(P2000−546901)の分割
【原出願日】平成11年5月4日(1999.5.4)
【出願人】(501315876)ユニバーシティ オブ コネチカット (22)
【出願人】(590005449)ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション (581)
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
【Fターム(参考)】