説明

揺動型多方向スイッチ装置

【課題】操作時に良好な照光品位を維持することができて低コスト化も図りやすい揺動型多方向スイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチ装置1は、上ケース11内に収納された光源4および4つのスイッチ素子3と、互いの軸心を直交させた第1軸部5aおよび第2軸部5bを有する駆動体5と、各スイッチ素子3上にそれぞれ搭載されたアクチュエータ6と、第2軸部5bに回動自在に支持されて駆動体5を覆う操作ノブ7とを備えており、駆動体5は第1軸部5aによって上ケース11に回動自在に支持されている。操作ノブ7は、第1および第2の直線L1,L2に対して約45度の角度をなす4方向へ押圧操作可能であり、各押圧操作方向に対応する4箇所に照光可能な押圧部7aを有する。これらの押圧部7aは、平面視で各直線L1,L2と重なり合わない領域に配設されているため、操作ノブ7の裏面側で光源4の光が各押圧部7aに直接照射されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のドアミラー角度調整用スイッチなどとして用いられ、操作ノブの4箇所に相異なる4つの押圧操作方向に対応する押圧部が設けられている揺動型多方向スイッチ装置に係り、特に、各押圧部が光源の光によって照光可能な揺動型多方向スイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の揺動型多方向スイッチ装置の従来技術として、操作ノブを4方向へ確実に押圧操作できる支持機構を備えつつ装置全体が平面視で小型化しやすいスイッチ装置が、特許文献1に記載されている。
【0003】
かかる従来のスイッチ装置は、装置の外殻を形成するケースの上部開口に導光体を兼ねた駆動体の下部が挿入されて、この駆動体の第1軸部がケースの立壁部に軸支されていると共に、駆動体を覆うドーム状の操作ノブが該駆動体の第2軸部に回動自在に支持されている。駆動体は第1軸部の軸心と第2軸部の軸心を直交させているため、駆動体の回転中心線と、この駆動体に対する操作ノブの回転中心線とは互いに直交している。つまり、操作ノブは第1軸部を回転軸として駆動体と一体的に揺動可能(2方向へ正逆回転可能)であると共に、第2軸部を回転軸として単独で揺動可能(別の2方向へ正逆回転可能)であるため、これら4方向に対応する三角マーク等の押圧部が操作ノブの4箇所に設けられており、各押圧部は後述する光源の光で照光できるようにしてある。なお、これら4つの押圧部は操作ノブの周方向に等間隔に分散されており、このうち2つの押圧部は非操作時に第1軸部の軸心の真上に位置しており、残り2つの押圧部は非操作時に第2軸部の軸心の真上に位置している。ケースの内部には、ランプ等の光源や複数の固定接点を配設した回路基板が収納されており、この回路基板上に載置されたラバーシートの複数箇所に、前記固定接点と接離可能な可動接点を有する膨出突部が突設されている。操作ノブの下方において、ラバーシートには透孔を中心とする周囲4箇所に前記膨出突部が突設されており、各膨出突部上に搭載されたアクチュエータがそれぞれケースのガイド孔を貫通して操作ノブまたは駆動体のスイッチ駆動部に当接している。また、ラバーシートの前記透孔を貫通する前記光源が駆動体の底面と対向しており、この底面に入射された光源の光が操作ノブの各押圧部へ導かれるようになっている。
【0004】
このように概略構成された従来のスイッチ装置において、ユーザが任意の押圧部を押し込んで操作ノブを所定角度傾倒させると、その傾倒方向(押圧操作方向)に位置するアクチュエータが真下の膨出突部を加圧して座屈変形させるため、クリック感が生起されると共に、該膨出突部内の可動接点が対応する固定接点に接触してスイッチオンするようになっている。例えば、第1軸部の軸心の真上に位置する任意の押圧部がユーザに押し込まれた場合には、駆動体は回転しないが操作ノブが第2軸部を回転軸として回転し、傾倒方向に位置するアクチュエータが操作ノブのスイッチ駆動部に押し込まれて下動するため、このアクチュエータの真下に配設されているスイッチ素子(対をなす可動接点および固定接点)をオンさせることができる。また、第2軸部の軸心の真上に位置する任意の押圧部がユーザに押し込まれた場合は、操作ノブが第1軸部を回転軸として駆動体と一体的に回転し、傾倒方向に位置するアクチュエータが駆動体のスイッチ駆動部に押し込まれて下動するため、このアクチュエータの真下に配設されているスイッチ素子をオンさせることができる。なお、操作ノブを傾倒させている操作力が取り除かれると、座屈変形していた膨出突部が自身の弾性で元の形状に戻るため、可動接点が固定接点から離れてオンからオフに切り替わると共に、操作ノブがアクチュエータに押し上げられて傾倒前の初期位置へ自動復帰する。
【0005】
また、夜間等の暗所で光源を点灯させると、駆動体の底面に入射された光源の光が操作ノブの各押圧部へ導かれるため、これら押圧部が照光して押圧操作方向を瞬時に把握することができ、よってユーザは暗所でも操作ノブを正しく押圧操作することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−190698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述した従来の揺動型多方向スイッチ装置において、操作ノブの各押圧部を照光させている状態で、導光体を兼ねた駆動体が操作時に回転(傾倒)すると、この駆動体の底面(入射面)が光源に対して傾くため、光源から駆動体への入射光量が大幅に低減して、各押圧部は極端に暗く照光された状態となる。つまり、前述した従来のスイッチ装置では、操作ノブの傾倒方向や傾倒角度に応じて各押圧部の照光状態(明るさ)が大きく変化してしまうため、操作時に良好な照光品位を維持することが困難であるという問題があった。また、操作ノブを回動自在に支持する駆動体を導光体として機能するように作製しなければならないことから、駆動体を安価に製造できないという問題もあり、これが装置の低コスト化を阻害する要因となっていた。
【0008】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、操作時に良好な照光品位を維持することができて低コスト化も図りやすい揺動型多方向スイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、ケースの内部に収納された光源および複数のスイッチ素子と、第1の直線を回転中心軸として前記ケースに回動自在に支持された駆動体と、前記第1の直線と直交する第2の直線を回転中心軸として前記駆動体に回動自在に支持された操作ノブとを備え、前記駆動体を覆う前記操作ノブの4箇所に押圧操作方向に対応する押圧部が設けられ、これら押圧部が前記光源の光で照光可能であると共に、任意の前記押圧部を押圧操作して前記操作ノブを傾倒させることによって該押圧部に対応する前記スイッチ素子をオンさせることが可能な揺動型多方向スイッチ装置において、前記4つの押圧部が前記操作ノブの平面視で前記第1の直線および前記第2の直線と重なり合わない領域に配設されており、この操作ノブの裏面側で前記光源の光が前記押圧部に直接照射されるように構成した。
【0010】
駆動体や操作ノブの回転中心線となる第1の直線や第2の直線には、駆動体や操作ノブなどから延出する回転軸部を配置させねばならないが、操作ノブの各押圧部が平面視で第1および第2の直線と重なり合わない領域に設けてあれば、これら回転軸部の存しない空間を介して操作ノブの裏面側の各押圧部に光源の光を直接照射できるため、これら押圧部を明るく照光させることが容易となり、駆動体を導光体として機能させる必要もなくなる。それゆえ、光源や駆動体の部品コストを抑制できると共に、操作ノブの傾倒方向(押圧操作方向)や傾倒角度が異なっても各押圧部の照光状態(明るさ)がほとんど変化しなくなる。
【0011】
上記の構成において、平面視で第1および第2の直線の交点と重なり合う位置に光源が設置されていると、1つの光源で操作ノブの4つの押圧部をすべて明るく照光させることができるため好ましい。
【0012】
また、上記の構成において、操作ノブと各スイッチ素子との間にそれぞれアクチュエータを介在させると共に、操作ノブの各押圧部を平面視で第1および第2の直線に対して約45度の角度をなす位置に設け、かつ操作ノブの裏面側に押圧部近傍で前記アクチュエータを押下可能な駆動部を設けておけば、ユーザが任意の押圧部を押し込んで操作ノブを傾倒させたときに、駆動部がアクチュエータを介して所望のスイッチ素子を確実にオンさせることができるため、信頼性が高めやすくなり、かつ、光源の光をアクチュエータや駆動部に邪魔されずに押圧部に照射させることができる。
【0013】
また、上記の構成において、ケースに操作ノブが第1の直線に沿って傾倒可能な角度と第2の直線に沿って傾倒可能な角度とを規制するストッパ部を設けることにより、操作ノブが各押圧部の存する4方向へのみ押圧操作できるようにしてあると、誤操作を確実に防止できる高信頼性の4方向スイッチ装置が実現できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の揺動型多方向スイッチ装置は、操作ノブの4つの押圧部が平面視で第1および第2の直線と重なり合わない領域に設けてあり、回転軸部の存しない空間を介して操作ノブの裏面側の各押圧部に光源の光を直接照射できるため、これら押圧部を明るく照光させることが容易となり、駆動体を導光体として機能させる必要もなくなる。したがって、光源や駆動体の部品コストを抑制できて装置の低コスト化が図りやすくなる。また、操作ノブの傾倒方向や傾倒角度が異なっても各押圧部の照光状態(明るさ)はほとんど変化しないため、非操作時だけでなく操作時にも良好な照光品位を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態例に係る揺動型多方向スイッチ装置を含むスイッチユニットの分解斜視図である。
【図2】該スイッチユニットの一部を破断して該スイッチ装置の内部構造を示す説明図である。
【図3】該スイッチ装置の平面視形状を示す該スイッチユニットの要部平面図である。
【図4】図3のA−A線に沿う断面図である。
【図5】図3のB−B線に沿う断面図である。
【図6】図3のC−C線に沿う断面図である。
【図7】押圧操作時における図4に対応する断面図である。
【図8】押圧操作時における図5に対応する断面図である。
【図9】押圧操作時における図6に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態例に係る揺動型多方向スイッチ装置1について説明すると、このスイッチ装置1は、図1〜図3に示すスイッチユニット10に組み込まれている。このスイッチユニット10は自動車の運転席横のドアの内側に設置されるものであり、ドアミラー角度調整用の当該スイッチ装置1や、ドアミラー開閉用のスイッチ装置2や、パワーウインド開閉用の図示せぬ複数のスイッチ装置などが集約されている。なお、スイッチユニット10の外殻は、図示せぬカバー体に覆われる上ケース11と、この上ケース11の底部に固定された下ケース12とからなり、下ケース12上に載置された回路基板13が上ケース11の内部に収納されている。
【0017】
以下、本実施形態例に係る揺動型多方向スイッチ装置1について図面を参照しつつ説明する。このスイッチ装置1は、回路基板13上に実装された4つのプッシュスイッチ3および光源4と、互いの軸心を直交させた第1軸部5aおよび第2軸部5bを有する駆動体5と、各プッシュスイッチ3の可動部3a上にそれぞれ搭載された昇降可能なアクチュエータ6と、第2軸部5bに回動自在に支持されて駆動体5を覆うドーム状の操作ノブ7とによって主に構成されている。操作ノブ7の4箇所には三角マークとして目視される押圧部7aが設けられており、ユーザが任意の押圧部7aを押し込んで操作ノブ7を所定角度傾倒させると、傾倒方向に位置するアクチュエータ6が可動部3aを所定ストローク押し下げて対応するプッシュスイッチ3がオンするようになっている。すなわち、このスイッチ装置1は、揺動可能な操作ノブ7を各押圧部7aの存する4方向へ押圧操作することによって相異なるプッシュスイッチ3をオンさせることが可能な4方向スイッチ装置であり、その押圧操作方向に応じてドアミラーが上向き、下向き、右向き、左向き等に適宜変更できるようになっている。
【0018】
スイッチ装置1の構成について詳しく説明すると、4つのプッシュスイッチ3はLED等からなる光源4を包囲する同一円周上に等間隔に配設されている。各プッシュスイッチ3の可動部3a上に搭載されたアクチュエータ6は、上ケース11に立設された円筒壁部11aの内壁面に沿って周方向に等間隔に4つ配置されている。円筒壁部11aの径方向内側には4つのガイド壁11bが突設されており、円筒壁部11aと各ガイド壁11bとの間に画成された隙間にそれぞれアクチュエータ6が昇降自在に挿入されている。これらの円筒壁部11aやガイド壁11bがアクチュエータ6を径方向および周方向に位置規制するため、アクチュエータ6が昇降中に傾く虞はない。
【0019】
上ケース11には、円筒壁部11aの径方向内側で該円筒壁部11aよりも上方へ突出する一対の立壁部11cが設けられている。これらの立壁部11cは、図3のB−B線に相当する第1の直線L1に沿って対向しており、図5に示すように各立壁部11cが駆動体5の第1軸部5aを軸支している。つまり、第1軸部5aの軸心は第1の直線L1に沿って延びており、この第1の直線L1を回転中心線として駆動体5が上ケース11に回動自在に支持されている。なお、駆動体5は平面視形状が略十字形に形成されており、第1軸部5aと第2軸部5bが互いの軸心を直交させているので、第2軸部5bの軸心は図3のC−C線に相当する第2の直線L2に沿って延びている。
【0020】
また、上ケース11には、円筒壁部11aの周方向に等間隔な4箇所から径方向外側へ突出するストッパ部11dが設けられている。これらのストッパ部11dは、駆動体5の第1および第2軸部5a,5bと対応する円筒壁部11aの外壁面の4箇所に突設されており、操作ノブ7が第1の直線L1や第2の直線L2に沿う方向へ僅かに傾倒すると、その方向に存するストッパ部11dが操作ノブ7の下面に当接することにより、操作ノブ7の更なる傾倒が阻止されるようになっている。つまり、これらのストッパ部11dによって、操作ノブ7は第1の直線L1や第2の直線L2に沿う方向へは押圧操作できないようになっている。
【0021】
操作ノブ7の外表面は4つの押圧部7aを除く領域が遮光領域となっており、暗所などにおいては光源4の光で各押圧部7aを照光させることができる。後述するように、光源4の光は操作ノブ7の裏面側で各押圧部7aに直接照射されるようになっている。図3に示すように、4つの押圧部7aは操作ノブ7の周方向に等間隔な4箇所、具体的には平面視で第1の直線L1および第2の直線L2に対して約45度の角度をなす位置に配設されている。また、図2に示すように、操作ノブ7の裏面側で各押圧部7aの近傍にはそれぞれ駆動突起部7bが下向きに突設されている。これらの駆動突起部7bはアクチュエータ6の真上に位置している。さらに、操作ノブ7には天井面から下向きに、第2の直線L2に沿って対向する一対の軸受壁部7cが突設されている。図6に示すように、各軸受壁部7cは駆動体5の第2軸部5bに取り付けられて軸受として機能する部位であり、操作ノブ7は第2の直線L2を回転中心線として駆動体5に回動自在に支持されている。そして、前述したように駆動体5が第1の直線L1を回転中心線として上ケース11に回動自在に支持されていることから、ユーザが任意の押圧部7aを押し込んで操作ノブ7を第1および第2の直線L1,L2と約45度の角度をなす方向へ傾倒させるとき、駆動体5は上ケース11に対して回転し、この駆動体5に対して操作ノブ7が回転することになる。また、図2や図4に示すように、操作ノブ7の各駆動突起部7bとその下方に位置するプッシュスイッチ3との間にそれぞれアクチュエータ6が介在しているため、ユーザが任意の押圧部7aを押し込むと、その押圧操作方向において駆動突起部7bがアクチュエータ6を介してプッシュスイッチ3の可動部3aを押圧駆動するようになっている。
【0022】
次に、上記の如くに構成された揺動型多方向スイッチ装置1の動作について説明する。操作ノブ7の非操作時には各アクチュエータ6に押圧操作力が作用してないため、4つのアクチュエータ6が回路基板13から同等の高さ位置で操作ノブ7の4つの駆動突起部7bを支えており、よって操作ノブ7は回路基板13に対して略平行な姿勢に保持されている。
【0023】
そして、ユーザが例えば図3中の右側の押圧部7aを手指で押し込んで操作ノブ7を所定角度傾倒させると、その傾倒方向(押圧操作方向)に位置する駆動突起部7bが真下のアクチュエータ6を押し下げるため、図7に示すように、このアクチュエータ6に対応するプッシュスイッチ3の可動部3aが押圧駆動されてオン動作する。その結果、ドアミラーの角度を右向きに変更するための信号がスイッチ装置1から出力され、この信号に基づいてドアミラー駆動用モータが駆動制御されるようになっている。なお、該プッシュスイッチ3がオン動作している状態を第1の直線L1に沿う断面図で示すと図8のようになり、第2の直線L2に沿う断面図で示すと図9のようになる。また、プッシュスイッチ3はオン動作時にクリック感を生起するため、このクリック感がユーザの手指に感得される。
【0024】
この後、ユーザが操作ノブ7に対する押圧操作力を取り除くと、オン動作していたプッシュスイッチ3が内蔵された弾性復帰手段によって可動部3aを元の高さ位置まで押し上げるためオンからオフに切り替わると共に、この可動部3aが真上のアクチュエータ6および駆動突起部7bを押し上げていく。その結果、操作ノブ7が押圧操作時とは逆向きに回転して、スイッチ装置1は図4〜図6に示す傾倒前の初期位置へ自動復帰する。
【0025】
なお、ユーザが他の押圧部7aを押し込んで操作ノブ7を傾倒させる場合の動作も、基本的に上記の動作と同様である。すなわち、ユーザが図3中の左側、上側、下側の押圧部7aのいずれかを押し込んで操作ノブ7を所定角度傾倒させることによって、該押圧部7aに対応するプッシュスイッチ3をオンさせることができるため、該押圧部7aが図3中の左側、上側、下側のいずれであるかに応じて、ドアミラーの角度を左向きや上向きや下向きに変更するための信号がスイッチ装置1から出力される。
【0026】
また、夜間等の暗所で光源4を点灯させると、光源4の光はアクチュエータ6や駆動体5や駆動突起部7b等に遮られることなく操作ノブ7の裏面側の各押圧部7aに照射される。すなわち、操作ノブ7の各押圧部7aは第1および第2の直線L1,L2に対して約45度の角度をなす位置に配設されているため、平面視十字形の駆動体5が各押圧部7aと重なり合うことはなく、かつ、操作ノブ7の裏面側で押圧部7aとは若干ずらした位置に駆動突起部7bが突設してあり、この駆動突起部7bに当接するアクチュエータ6が光源4と押圧部7aとを結ぶ直線と交わることはない。したがって、操作ノブ7の非操作時はもちろんのこと、操作ノブ7が押圧操作時にどの方向へ傾倒した場合にも、光源4の光は操作ノブ7の裏面側の各押圧部7aに直接照射されることになる。それゆえ、このスイッチ装置1は、操作ノブ7の外表面において各押圧部7aを明るく照光させることができて、暗所でも操作ノブ7を正しく押圧操作することが容易であり、かつ押圧操作時に各押圧部7aの明るさが不所望に低減する虞がない。
【0027】
以上説明したように、本実施形態例に係る揺動型多方向スイッチ装置1は、操作ノブ7の4つの押圧部7aが平面視で第1および第2の直線L1,L2と重なり合わない領域に設けてあり、第1軸部5aや第2軸部5bを有する駆動体5の存しない空間を介して、操作ノブ7の裏面側の各押圧部7aに光源4の光を直接照射できるため、これら押圧部7aを明るく照光させることが容易となり、駆動体5を導光体として機能させる必要もなくなる。したがって、光源4や駆動体5の部品コストを抑制できて装置の低コスト化が図りやすくなる。また、操作ノブ7の傾倒方向(押圧操作方向)や傾倒角度が異なっても各押圧部7aの照光状態(明るさ)はほとんど変化しないため、非操作時だけでなく操作時にも良好な照光品位を維持することができる。
【0028】
なお、各押圧部7aを照光させるための光源4を複数配設してもよいが、本実施形態例のように平面視で第1および第2の直線L1,L2の交点と重なり合う位置に光源4を設置しておけば、1つの光源4で操作ノブ7の4つの押圧部7aをすべて明るく照光させることができる。
【0029】
また、本実施形態例に係る揺動型多方向スイッチ装置1では、操作ノブ7と各プッシュスイッチ3との間にそれぞれアクチュエータ6を介在させると共に、操作ノブ7の各押圧部7aを平面視で第1の直線L1および第2の直線L2に対して約45度の角度をなす位置に設け、この操作ノブ7の裏面側に押圧部7a近傍でアクチュエータ6を押下可能な駆動突起部7bを設けている。そのため、このスイッチ装置1は、ユーザが任意の押圧部7aを押し込んで操作ノブ7を傾倒させたときに、駆動突起部7bがアクチュエータ6を介して所望のプッシュスイッチ3を確実にオンさせることができて信頼性が高めやすく、かつ、光源4の光をアクチュエータ6や駆動突起部7bに邪魔されずに押圧部7aに照射させることができる。
【0030】
また、本実施形態例に係る揺動型多方向スイッチ装置1では、上ケース11の円筒壁部11aの外壁面の4箇所に、操作ノブ7が第1の直線L1に沿って傾倒可能な角度と第2の直線L2に沿って傾倒可能な角度とを規制するストッパ部11dが突設してあり、操作ノブ7が各押圧部7aの存する4方向へのみ押圧操作できるようにしてあるため、誤操作を確実に防止できる高信頼性の4方向スイッチ装置が実現されている。ただし、ストッパ部11dを省略し、操作ノブ7を第1の直線L1や第2の直線L2に沿って所定角度傾倒させたときに、隣接する2つのプッシュスイッチ3が共にオン動作するという構成にしてもよく、このように構成した場合、押圧操作方向に応じて8種類の信号を取り出せる8方向スイッチ装置が得られる。
【0031】
なお、本実施形態例に係る揺動型多方向スイッチ装置1では、操作ノブ7の押圧操作を検出するスイッチ素子としてプッシュスイッチ3を用いているが、可動接点を有するラバーシートを固定接点を有する回路基板上に載置して該スイッチ素子となしてもよく、他の構造のスイッチ素子を採用してもよい。
【0032】
また、本発明はドアミラー角度調整用のスイッチ装置に限定されるものではなく、4方向に押圧操作可能な揺動タイプの操作ノブに各押圧操作方向に対応する照光可能な押圧部が設けられているスイッチ装置であれば、本発明を適用することによって上記の実施形態例とほぼ同様の効果を期待することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 揺動型多方向スイッチ装置
3 プッシュスイッチ(スイッチ素子)
3a 可動部
4 光源
5 駆動体
5a 第1軸部
5b 第2軸部
6 アクチュエータ
7 操作ノブ
7a 押圧部
7b 駆動突起部(駆動部)
7c 軸受壁部
11 上ケース(ケース)
11c 立壁部
11d ストッパ部
13 回路基板
L1 第1の直線
L2 第2の直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの内部に収納された光源および複数のスイッチ素子と、第1の直線を回転中心軸として前記ケースに回動自在に支持された駆動体と、前記第1の直線と直交する第2の直線を回転中心軸として前記駆動体に回動自在に支持された操作ノブとを備え、前記駆動体を覆う前記操作ノブの4箇所に押圧操作方向に対応する押圧部が設けられ、これら押圧部が前記光源の光で照光可能であると共に、任意の前記押圧部を押圧操作して前記操作ノブを傾倒させることによって該押圧部に対応する前記スイッチ素子をオンさせることが可能な揺動型多方向スイッチ装置であって、
前記4つの押圧部が前記操作ノブの平面視で前記第1の直線および前記第2の直線と重なり合わない領域に配設されており、この操作ノブの裏面側で前記光源の光が前記押圧部に直接照射されるように構成したことを特徴とする揺動型多方向スイッチ装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、平面視で前記第1および第2の直線の交点と重なり合う位置に前記光源が設置されていることを特徴とする揺動型多方向スイッチ装置。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記操作ノブと前記複数のスイッチ素子との間にそれぞれアクチュエータを介在させると共に、前記押圧部を平面視で前記第1および第2の直線に対して約45度の角度をなす位置に設け、かつ前記操作ノブの裏面側に前記押圧部の近傍で前記アクチュエータを押下可能な駆動部を設けたことを特徴とする揺動型多方向スイッチ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項の記載において、前記ケースに前記操作ノブが前記第1の直線に沿って傾倒可能な角度と前記第2の直線に沿って傾倒可能な角度とを規制するストッパ部を設けることにより、前記操作ノブが前記押圧部の存する4方向へのみ押圧操作できるようにしたことを特徴とする揺動型多方向スイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−171186(P2011−171186A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35182(P2010−35182)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】