説明

揺動型運動装置

【課題】揺動型運動装置の手綱に設けた電極から生体へ微弱電流を供給し、体成分情報を測定するにあたって、測定精度を高める。
【解決手段】使用者が着座した座部2を揺動させることで乗馬を模した運動負荷を付与する揺動型運動装置1において、座部2の前部に手綱となる把持部6が設けられる場合に、その把持部6に一対で電極61,62を設け、それを保持した使用者の左右の手掌または指掌から体内に微弱電流を供給し、その電流による発生電圧を電極63,64で検出し、検出電圧から生体インピーダンスを算出し、さらに前記体成分情報を求めるにあたって、一対の電極61,63;62,64間に、左右の手掌または指掌間を離間させるための凸部65を設ける。したがって、使用者は運動姿勢のまま、特別な意識をせずとも、凸部65で左右の手掌または指掌間を確実に絶縁し、正確な体成分情報を求めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が着座した座部を揺動させることで、前記使用者に乗馬を模した運動負荷を付与する揺動型運動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように、使用者が着座した座部を揺動させることで、前記使用者に乗馬を模した運動負荷を付与する揺動型運動装置は、子供から老人まで利用可能な手軽な運動器具として、当初のリハビリ目的の医療施設から、一般家庭へと普及してきている。そのような揺動型運動装置の中でも、本件出願人が先に提案した特許文献1は、運動効果を確認できることで、優れたものである。具体的には、体重などを測定し、使用者に報知することで、使用者は前記運動効果、具体的には筋肉量や骨量の増加による腰痛予防効果などを、正確、かつ詳細に確認できるようになっている。これによって、使用者の運動意欲を向上させて継続性を高めたり、期待通りの効果が得られていないときには、使用者が運動量を増加したりするようになっている。
【0003】
この特許文献1の中の他の実施例で、特に注目すべきは、手綱や鐙に電極を設け、そこから使用者の左右の手掌または指掌から使用者の体内に微弱電流を供給し、それによって発生した電圧を検出し、その検出電圧から、生体インピーダンスを算出し、算出された生体インピーダンスから、体脂肪、体水分量、筋肉量、骨量等の前記使用者の体成分情報を求めることである。すなわち、体脂肪測定機能付きの体重計等の要領で、前記体成分情報を求めている。なお、本件明細書中で、手掌または指掌と表現している箇所は、正しくは手掌および/または指掌であり、すなわち手掌と指掌とのいずれであってもよく、少なくとも一方の意であり、いずれか一方のみの意ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−149415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術は、運動中に体成分情報の測定まで行えるという優れた技術であるが、揺動型の運動装置の場合、特に揺動で体が押し上げられたとき、使用者が意識しないまま、手綱となる把持部の一番遠い所を持とうとするため、両手が寄ってきて(互いに近付いてきて)、接触してしまい、測定ができなくなるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、揺動型運動装置において、手綱となる把持部に設けた電極を用いて体成分情報を求めるにあたって、左右の手掌または指掌間を確実に絶縁し、正確な体成分情報を求めることができる揺動型運動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の揺動型運動装置は、使用者が着座した座部を揺動させることで、前記使用者に乗馬を模した運動負荷を付与する揺動型運動装置において、前記座部の前部に取付けられ、手綱となる把持部と、前記把持部に一対で設けられ、該把持部を保持した前記使用者の左右の手掌または指掌から使用者の体内に微弱電流を供給する電流印加電極と、前記把持部に一対で設けられ、前記微弱電流の供給によって前記使用者の左右の手掌または指掌に発生した電圧を検出する電圧測定電極と、前記電圧測定電極による検出電圧から、前記使用者の体成分情報を求める体成分測定手段と、前記把持部において、前記一対の電極間に設けられ、該把持部を保持する前記使用者の左右の手掌または指掌間を離間させるための凸部とを含むことを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、使用者が着座した座部を揺動させることで、前記使用者に乗馬を模した運動負荷を付与する揺動型運動装置において、前記座部の前部に、手綱となる把持部が設けられる場合、さらに前記把持部に一対で、該把持部を保持した前記使用者の左右の手掌または指掌から使用者の体内に微弱電流を供給する電流印加電極と、前記微弱電流の供給によって前記使用者の左右の手掌または指掌に発生した電圧を検出する電圧測定電極とを設けるとともに、前記電圧測定電極による検出電圧から、生体インピーダンスを算出し、算出された生体インピーダンスから前記使用者の体成分情報を求める体成分測定手段を設け、体脂肪、体水分量、筋肉量、骨量等の前記体成分情報を求められるようにする。これらのパラメータからは、前記座部に着座した使用者の前記乗馬を模した運動による効果、具体的には筋肉量や骨量の増加による腰痛予防効果などを、正確、かつより詳細に確認することができる。これによって、使用者の運動意欲を向上させ、継続性を高めることができる。また、期待通りの効果が得られていないときには、使用者が運動量を増加したりするようなことにも役立てることができる。
【0009】
そして、そのような体成分情報を得るには、左右の手掌または指掌間が確実に離間している必要があり、このため本発明では、前記把持部において、前記一対の電極間に、該把持部を保持する前記使用者の左右の手掌または指掌間を離間させるための凸部を設ける。
【0010】
したがって、使用者は運動姿勢のまま、特別な意識をせずとも、前記凸部で前記左右の手掌または指掌間を確実に絶縁し、正確な体成分情報を求めることができる。
【0011】
また、本発明の揺動型運動装置では、前記把持部は、剛性を有する部材で、大略的に半円弧状またはU字状に形成されることを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、実際の手綱は紐であるけれども、前記把持部を剛性を有する部材とすることで、安全性を向上することができる。そして、把持部を剛性の部材で形成する場合、大略的に半円弧状またはU字状に形成することで、T字型のハンドルや、自転車のハンドル等と比較した場合、前記座部の前部に取付けられる操作部の視認性が良くなり、また倒した状態では座部の背面に沿って出っ張りが少なく、使用者の乗り降りの際に邪魔にならない。しかしながら、揺動で体が押し上げられたとき、使用者は手綱の一番遠い所を持とうとするため、両手が寄ってきて(互いに近付いてきて)、接触し易くなるので、前記凸部を設けることがさらに有効である。
【0013】
さらにまた、本発明の揺動型運動装置では、前記凸部の径が、前記把持部の径に比べて、1〜2cm程度太いことを特徴とする。
【0014】
上記の構成によれば、前記左右の手掌または指掌間を確実に離間させることができる。
【0015】
また、本発明の揺動型運動装置では、前記凸部は、ゴムまたはエラストマの弾性体から成ることを特徴とする。
【0016】
上記の構成によれば、前記左右の手掌または指掌間を確実に絶縁することができるとともに、使用者や操作部等を傷付けず、好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の揺動型運動装置は、以上のように、使用者が着座した座部を揺動させることで、前記使用者に乗馬を模した運動負荷を付与する揺動型運動装置において、前記座部の前部に手綱となる把持部が設けられる場合に、その把持部に一対で電極を設け、該把持部を保持した前記使用者の左右の手掌または指掌から使用者の体内に微弱電流を供給し、その電流による発生電圧から生体インピーダンスを算出し、さらに体成分情報を求めるにあたって、前記一対の電極間に、該把持部を保持する前記使用者の左右の手掌または指掌間を離間させるための凸部を設ける。
【0018】
それゆえ、使用者は運動姿勢のまま、特別な意識をせずとも、前記凸部で前記左右の手掌または指掌間を確実に絶縁し、正確な体成分情報を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の一形態に係る揺動型運動装置の全体構成を示す左前方から見た斜視図である。
【図2】前記揺動型運動装置の主要部分を左後方から見た斜視図である。
【図3】手綱となる把持部を拡大して示す斜視図である。
【図4】揺動機構の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明の実施の一形態に係る揺動型運動装置1の全体構成を示す左前方から見た斜視図であり、図2はその主要部分を左後方から見た斜視図である。この揺動型運動装置1は、大略的に、馬の背や鞍を模した形状で使用者が着座する座部2と、前記座部2内に設けられ、座部2を揺動させる揺動機構3と、前記座部2および揺動機構3を支える脚部4とを備えて構成される。
【0021】
前記座部2の前方両側には、鐙5が垂下して取付けられている。鐙5は、使用者が足を掛ける足掛け部5aと、前記座部2にねじ止め固定される取付け片5bと、それらを連結する連結片5cとを備えて構成されており、取付け片5bの下端に立設されたピン5dに連結片5cの上端に形成された孔5eが嵌め込まれることで該連結片5cが揺動自在となり、その連結片5cに複数形成された孔5fの何れかに、足掛け部5aの上端に立設されたビス5gが螺着されることで、該鐙5の長さ(足掛け部5aの高さ)調整が可能となっている。
【0022】
前記座部2の前方には、手綱となる把持部6が設けられている。この把持部6は、図3で拡大して示すように、半円弧状の持ち手6aの両端6b,6cが内方に(直径線方向に)折り返され、その両端6b,6cが座部2の前部で枢支されることで、前記持ち手6aが使用者から近い側で前記座部2から起こして使用可能になり、倒すことで収納可能に構成されている。
【0023】
また、前記座部2の前方において、前記把持部6の収納状態で内周側となる部分には、陥没した支持台が形成されており、該支持台上には、操作器7が埋込まれている。前記脚部4は、床面に設置される脚台4aと、その脚台4aから立設される第1の脚柱4bと、前記揺動機構3を上部に搭載し、前記第1の脚柱4bから伸縮自在、すなわち座部2の高さ調整を可能にする第2の脚柱4cとを備えて構成される。
【0024】
図4は前記揺動機構3の分解斜視図である。この図4を参照して、揺動機構3付近の構成について詳述する。前記揺動機構3は、保持部材11を介して前記脚部4に支持されている。前記保持部材11は、側面視で略くの字状に形成される左右一対の回転板11a,11bと、前記回転板11a,11bの後端側を連結する傾斜軸支持板11cと、略中央部を連結する傾斜軸支持板11dと、底部を連結するリフト支持板11eとを備えて構成され、前記各支持板11c,11d,11eが各回転板11a,11bに溶接固定されて構成される。前記回転板11a,11bの前端側には、雌ねじが刻設されたブッシュ11fが圧入固定されており、このブッシュ11fには、前記脚部4内の左右の支持柱の頂部に設けられた軸受けを挿通したボルトが螺着されることで、該保持部材11は前記軸受けによって左右の軸線回りに枢支される。また、前記リフト支持板11eの略中央部は、伸縮自在リフトに連結され、その伸縮自在リフトの伸縮によって保持部材11、したがって揺動機構3の前後(x)方向での傾斜角が変化可能となっている。一方、前記傾斜軸支持板11c,11dは、所定の間隔を開けて相互に対向配置され、その中央部には軸受け11i,11jがそれぞれ圧入固定されており、この軸受け11i,11jによって、後述するように前記揺動機構3が揺動変位自在に支持される。
【0025】
前記揺動機構3は、保持部材11の回転板11a,11bおよび支持板11c,11d,11eによって区画された空間内に、左右揺動自在に収納されるコンパクトな構造となっている。この揺動機構3は、前面歯車ケース3aおよび後面歯車ケース3bに、左右両側から側板3c,3dが、ビス3eによってねじ止め固定されることで形成される箱体内に、モータ13、第1駆動歯車14、第2駆動歯車15および規制軸16が収納されて構成されている。
【0026】
前記第1駆動歯車14、第2駆動歯車15および規制軸16は、左右の側板3c,3dにそれぞれ形成され、中央に軸孔3g,3h,3iを有する凹所3j,3k,3lに嵌め込まれる軸受け3m,3n,3oによって、左右(y)方向の回転軸回りに回転自在に枢支される。
【0027】
前記第1駆動歯車14の大径のウォームホイール14aには、前記モータ13の出力軸13aに圧入されたウォーム13bが噛合する。このモータ13にはブラケット13cが溶接等で固定されており、このブラケット13cの左右両側板13d,13eに形成されたねじ孔13fに、前記側板3c,3dに対応して形成された挿通孔3pを挿通した前記ビス3eが螺着されることによって、モータ13が揺動機構3に固定される。
【0028】
そして、ウォーム13bによって前記第1駆動歯車14に伝達されたモータ13の回転力は、その両端部に形成された偏心軸14c,14dから、箱体の外側に配置される昇降レバー17,18の中央部付近に形成された軸孔17a,18aに伝達される。この昇降レバー17,18は、基端側の略「L」字状の部分17b,18bの上方に、斜め外方に延びる遊端側の部分17c,18cが連なる略「し」の字状に形成され、前記偏心軸14c,14dは基端側の部分17b,18bを支持する。
【0029】
前記昇降レバー17,18の基端側の部分17b,18bはまた、第1駆動歯車14の下方に位置する規制軸16によって、前記偏心軸14c,14d回りの回転(転倒)が阻止されており、これによって該昇降レバー17,18は、前記第1駆動歯車14によって、側面視で楕円運動を行うようになる。前記軸受け3mから昇降レバー17,18の軸孔17a,18aを挿通した前記第1駆動歯車14の両端部には、そこに形成される外ねじ14eにナット3rが螺着されて抜け止めが行われる。
【0030】
一方、前記規制軸16は、前記軸受け3oに対応した外径に形成されており、この軸受け3o内で、すなわち左右(y)方向の軸線回りに角変位可能である。この規制軸16の両端部には、一直径線方向に延びる連結突起16a,16bが形成されている。この連結突起16a,16bは、前記昇降レバー17,18の基端側の略「L」字状の部分17b,18bにおいて、軸孔17a,18aの下方で、上下方向に延びて形成された長孔17d,18dに嵌め込まれるスライド軸受け17e,18e内に嵌り込み、抜け止めされている。したがって、偏心軸14c,14dによる前記昇降レバー17,18の水平方向の動きが規制され、上下方向の動きが許容され、水平方向のストローク(揺動の幅)を、上下方向のストロークより大きくすることができ、座部2に、上述のような側面視で楕円状の動きを行わせることができる。
【0031】
前記「し」の字状の昇降レバー17,18の遊端には、内ねじが刻設されたブッシュ17f,18fが圧入されており、そのブッシュ17f,18fには、前記座部2を搭載する台座19の後端部に垂下して形成されているブラケット19a,19bに圧入された軸受け19c,19dを挿通したボルト19e,19fが螺着され、こうして台座19の後端部が左右(y)方向の軸線回りに枢支される。これに対して、台座19の前端部にはブラケット19gが取付けられており、そのブラケット19gと前記しの字状の昇降レバー17,18の前端との間は、伸縮自在リフト20によって連結されている。
【0032】
前記伸縮自在リフト20は、筒体20aと、その筒体20aから伸縮自在の作動片20bと、筒体20aの上部に取付けられるギアボックス20cと、前記ギアボックス20cを駆動するモータ20dと、高さ検知ユニット20eとを備えて構成される。前記筒体20aの下端には、左右両側に内ねじが刻設されたブッシュ20fが圧入されており、そのブッシュ20fには、前記「し」の字状の昇降レバー17,18の前端に圧入されている軸受け17g,18gを挿通したボルト17h,18hが螺着されることで、伸縮自在リフト20の下端部が左右(y)方向の軸線回りに枢支される。
【0033】
前記作動片20bは、ボールねじなどから成り、その上端にはブラケット20gが固着されている。このブラケット20gはピン20hによって前記台座19のブラケット19gに左右(y)の軸線回りに揺動自在に枢支されている。前記ボールねじにはギアボックス20c内の図示しない歯車の内周面に形成された内ねじが噛合し、その歯車がモータ20dの出力軸に固着されたウォームギアで駆動されることで前記作動片20bが筒体20a内から伸長/縮小し、前記台座19、したがって座席2の前後(x)方向での傾斜角が変化可能となる。前記高さ検知ユニット20eは、前記ブラケット20gに連結されたスリット板20iの変位を、センサ20jで読取ることで、前記台座19の前端の高さ、したがって該台座19の傾斜角を検知する。
【0034】
前記揺動機構3において、ウォーム13bによって前記第1駆動歯車14に伝達されたモータ13の回転力はまた、小径の歯車14bから第2駆動歯車15の歯車15aに伝達される。第2駆動歯車15の一端側には偏心軸15bが形成されており、この偏心軸15bは、前記側板3cに設けられた軸受け3nを挿通した後、偏心ロッド21の一端に設けられた自在軸受け21aに嵌め込まれ、その先端に形成された外ねじ15cにナット3sが螺着されることで抜け止めが行われる。第2駆動歯車15の他端側は、前記側板3dに設けられた軸受け3nを挿通した後、その先端に形成された外ねじ15dにナット3sが螺着されることで抜け止めが行われる。
【0035】
前記自在軸受け21aは、軸受け面が球面に形成されており、同様の自在軸受け21cが偏心ロッド21の他端にも設けられる。その自在軸受け21cには、軸22の一端側に形成された偏心軸22aが挿通し、Eリング22bによって抜け止めが行われている。軸22の中央部22cは、前記保持部材11を構成する一方の回転板11aの後端側に形成された孔11mに圧入された軸受け11nによって回転自在に支持され、その他端側には歯車22dが刻設される。
【0036】
前記歯車22dは、回転板11aの外側に配置される歯車23の内周面に刻設された内歯23aと噛合し、さらにその歯車22dの先端に刻設された外ねじ22eに抜け止め用のナット22fが螺着されることで、前記軸22は歯車23と一体となり、連動して回転する。前記歯車23の外周面に刻設された外歯23bには、モータ24の出力軸24aに圧入されたウォーム24bが噛合する。モータ24は、前記回転板11aの外側から形成された収納凹所に、取付け部材25によって取付けられる。前記軸22と一体となった歯車23の回転角は、エンコーダ26によって検出される。エンコーダ26は、歯車23の端面に形成された基準ピットを検出し、歯車23の回転に伴い、等間隔に形成されたピットをカウントすることで、前記歯車の回転角、したがって後述する偏心ロッド21の揺動基点の位置を検出することができる。
【0037】
一方、前記揺動機構3において、前面歯車ケース3aおよび後面歯車ケース3bの下端側は相互に平行に形成され、その中央部には、内ねじが刻設されたブッシュ3x,3yが圧入されており、そのブッシュ3x,3yには、前記傾斜軸支持板11d,11cに取付けられた軸受け11j,11iを挿通したボルト11x,11yが螺着される。これによって、前記揺動機構3が、前記軸受け11j,11iを結ぶ線を回転軸線として回転可能となる。したがって、前記第2駆動歯車15が回転すると、その偏心軸15bから偏心ロッド21の作用によって、揺動機構3が、回転軸線回りに揺動(ロール)する。このとき、偏心ロッド21は、側板3cに対して近接・離反変位することになるが、前記自在軸受け21a,21cによって、第2駆動歯車15および軸22からそれぞれ外れることなく、駆動力が伝達可能となっている。
【0038】
また、前記モータ24が歯車23を回転駆動すると、前記偏心ロッド21の他端が連結される偏心軸22a、したがって前記偏心ロッド21の揺動基点を昇降変位することができる。これによって、保持部材11に対する揺動機構3の前記回転軸線回りの位置にオフセットを持たせることができ、前記回転軸線回りに所定の角度だけ傾いた位置を基準として、前記回転軸線回りに、揺動機構3、したがって座部2を揺動することができる。また、偏心軸22aをウォーム24bおよび歯車23によって駆動することで、負荷によって傾き角度が変化してしまうことを防止することができる。
【0039】
また、モータ13が回転すると、第1駆動歯車14の偏心軸14c,14、昇降レバー17,18および規制軸16によって、座部2は、前後(x)方向および上下(z)方向に往復運動し、側面視で楕円の軌跡を描くことになる。このように、座部2を搭載する台座19を支持する昇降レバー17,18を、1本の第1の駆動歯車14によって駆動することで、コンパクトな構成で、前後(x)方向の揺動(往復動)に、上下(z)方向の揺動(往復動)を加えて前記楕円の軌跡を描かせることができ、動きのパターンを拡げることができる。また、前後(x)方向の揺動に、新たに上下(z)方向の揺動(往復動)を加えることで、使用者の自律神経を活性化させるとともに、脚回りの筋力アップを図ることができる。さらにまた、側面視で円から楕円の軌道を描かせることで、揺動による人体への負荷を滑らかに連続的に変化させることができ、人体へのダメージを小さくしつつ、運動効果を高めることができる。
【0040】
上述のように構成される揺動型運動装置1において、注目すべきは、前記のように座部2の前部に、手綱となる把持部6が設けられる場合、図3で示すように、さらに前記把持部6に一対で、該把持部6を保持した前記使用者の左右の手掌または指掌から使用者の体内に微弱電流を供給する電流印加電極61,62と、前記微弱電流の供給によって前記使用者の左右の手掌または指掌に発生した電圧を検出する電圧測定電極63,64とを設けるとともに、前記電圧測定電極63,64による検出電圧から、生体インピーダンスを算出し、算出された生体インピーダンスから前記使用者の体成分情報を求める体成分測定手段を設け、体脂肪、体水分量、筋肉量、骨量等の前記体成分情報を求められるようにすることである。前記体成分測定手段は、操作器7内に搭載され、その測定結果は該操作器7上に表示される。前記の各パラメータからは、前記座部2に着座した使用者の前記乗馬を模した運動による効果、具体的には筋肉量や骨量の増加による腰痛予防効果などを、正確、かつより詳細に確認することができる。これによって、使用者の運動意欲を向上させ、継続性を高めることができる。また、期待通りの効果が得られていないときには、使用者が運動量を増加したりするようなことにも役立てることができる。
【0041】
なお、上述のような手綱となる把持部6にのみ電極61,62;63,64が設けられる場合、前記体成分情報は、腕から胸部の上半身について主に求められることになる。このため、前記特許文献1と同様に、鐙5の足掛け部5aにも電極を形成し、下半身を含めた体成分情報を求めるようにしてもよい。
【0042】
そして、さらに注目すべきは、そのような体成分情報を得るには、左右の手掌または指掌間が確実に離間している必要があり、このため本実施の形態では、前記把持部6において、前記一対の電極61,63;62,64間に、該把持部6を保持する前記使用者の左右の手掌または指掌間を離間させるための凸部65を設けることである。したがって、使用者は運動姿勢のまま、特別な意識をせずとも、前記凸部65で前記左右の手掌または指掌間を確実に絶縁し、正確な体成分情報を求めることができる。
【0043】
なお、同様に体重計等では、左右の手掌または指掌間から微弱電流を流し、それによる電圧から体成分情報を求めているけれども、左右の把持部間に表示部や操作部が設けられて絶縁されており、しかも把持するところが決められていて、使用者は意識してその決められた位置を把持するので、本発明が前提とするような左右の手掌または指掌間の接触はない。また、前記微弱電流の供給に、それによる発生電圧の検知は、左右の手掌または指掌間だけに限らず、上述のように鐙、すなわち脚等の他の部分との間で行われてもよく、本発明は、少なくとも片方の手掌または指掌の電極が使用され、両手が接触することで、求められる体成分情報に誤差が生じるケースであれば実施することができる。
【0044】
また、実際の手綱は紐であるけれども、本実施の形態では、前記把持部6の基体である持ち手6aは、剛性を有する部材で形成される。これによって、安全性を向上することができる。そして、そのように持ち手6aを剛性の部材で形成する場合、大略的に前述のような半円弧状または図示しないU字状に形成することで、T字型のハンドルや、自転車のハンドル等と比較した場合、前記座部2の前部に取付けられる操作部7の視認性が良くなり、また倒した状態では座部2の背面に沿って出っ張りが少なく、使用者の乗り降りの際に邪魔にならない。しかしながら、揺動で体が押し上げられたとき、使用者は手綱の一番遠い所を持とうとするため、両手が寄ってきて(互いに近付いてきて)、接触し易くなるので、前記凸部65を設けることがさらに有効である。
【0045】
さらにまた、前記凸部65の径を、前記持ち手6aの径に比べて、1〜2cm程度太く形成することで、前記左右の手掌または指掌間を確実に離間させることができる。
【0046】
また、前記凸部65をゴムまたはエラストマの弾性体から形成することで、前記左右の手掌または指掌間を確実に絶縁することができるとともに、使用者や操作部7等を傷付けず、好適である。
【符号の説明】
【0047】
1 揺動型運動装置
2 座部
3 揺動機構
4 脚部
5 鐙
6 把持部
6a 持ち手
61,62 電流印加電極
63,64 電圧測定電極
65 凸部
11 保持部材
13,24 モータ
14 第1駆動歯車
15 第2駆動歯車
16 規制軸
17,18 昇降レバー
20 伸縮自在リフト
21 偏心ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座した座部を揺動させることで、前記使用者に乗馬を模した運動負荷を付与する揺動型運動装置において、
前記座部の前部に取付けられ、手綱となる把持部と、
前記把持部に一対で設けられ、該把持部を保持した前記使用者の左右の手掌または指掌から使用者の体内に微弱電流を供給する電流印加電極と、
前記把持部に一対で設けられ、前記微弱電流の供給によって前記使用者の左右の手掌または指掌に発生した電圧を検出する電圧測定電極と、
前記電圧測定電極による検出電圧から、前記使用者の体成分情報を求める体成分測定手段と、
前記把持部において、前記一対の電極間に設けられ、該把持部を保持する前記使用者の左右の手掌または指掌間を離間させるための凸部とを含むことを特徴とする揺動型運動装置。
【請求項2】
前記把持部は、剛性を有する部材で、大略的に半円弧状またはU字状に形成されることを特徴とする請求項1記載の揺動型運動装置。
【請求項3】
前記凸部の径が、前記把持部の径に比べて、1〜2cm程度太いことを特徴とする請求項1または2記載の揺動型運動装置。
【請求項4】
前記凸部は、ゴムまたはエラストマの弾性体から成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の揺動型運動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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