説明

搬送コンベアのガイド装置

【課題】被搬送物の姿勢の制御が可能な搬送コンベアのガイド装置を提供する。
【解決手段】搬送コンベヤ40の両側部に一対のガイド10L,10Rを対向配置して、前記搬送コンベア40上の被搬送物Mを前記両側のガイド10L,10Rに接触させながら下流側へ案内するようにした搬送コンベア40のガイド装置1に関する。前記一対のガイド10L,10Rのうち少なくとも一方を駆動して、当該一対のガイド10L(10R)の速度が互いに異なる速度であることにより、搬送後の前記被搬送物Mの姿勢を制御できるようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送コンベアのガイド装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、搬送コンベヤの両側部にガイドベルトを対向するように配置した搬送コンベアのガイド装置が提案されている(特許文献1)。
前記従来の搬送コンベアのガイド装置では、一対のガイドベルトの速度が、搬送コンベヤの搬送速度と一致するように設定されている。
【特許文献1】特開平6−219528号(第4頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、たとえば、被搬送物の平面形状が、たとえば、三角形など特異な形状の場合には、該被搬送物の姿勢を制御して、統一した姿勢で搬送すれば、下流でのラベルの貼付精度の向上や、箱詰工程がスムースになるなどの利点が生じる。そのため、被搬送物の姿勢を制御することは重要である。
しかし、従来の搬送コンベアのガイド装置では、被搬送物の姿勢制御を行うことができない。
【0004】
したがって、本発明の目的は、被搬送物の姿勢の制御が可能な搬送コンベアのガイド装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は、搬送コンベアの両側部に一対のガイドを対向配置して、前記搬送コンベア上の被搬送物を前記両側のガイドに接触させながら下流側へ案内するようにした搬送コンベアのガイド装置であって、前記一対のガイドのうち少なくとも一方を駆動して、当該一対のガイドの速度が互いに異なる速度であることにより、搬送後の前記被搬送物の姿勢を制御できるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、一対のガイドの速度差により、被搬送物を速度の遅い方のガイドに沿わせて搬送することで、前記被搬送物の姿勢を制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明においては、前記一対のガイドは、それぞれ、回転駆動するガイドベルトからなるのが好ましい。
本態様によれば、一対のガイドベルトを等速で動作させてガイド装置に入る前のままの姿勢で搬送したり、若干の速度差を付けることにより商品の傷みを防止するなど種々の用途に用いることが可能になる。
【0008】
本発明においては、前記各ガイドベルトごとに前記ガイドベルトを回転駆動するモータが設けられ、前記一対のガイドベルトの回転速度が互いに異なる速度に設定されているのが好ましい。
本態様によれば、ガイドベルトごとにモータを設けることにより、ガイドベルトの速度制御が容易になる。
【0009】
本発明においては、前記ガイドベルトの一方を停止することにより、前記一対のガイドベルトの速度が互いに異なる速度に設定されるようにしてもよい。
【0010】
本発明においては、前記各モータが前記ガイドベルトの下方に配置されているのが好ましい。
本態様によれば、モータとガイドベルトとの脱着が容易になる。そのため、被搬送物に応じて種々のガイドベルトを交換して用いることができる。また、ガイドベルトを外しての清掃が容易になる。
【0011】
本発明においては、前記ガイドベルトが幅方向に移動可能に設けられているのが好ましい。
本態様によれば、被搬送物の大きさや形状に応じて、一対のガイドベルト間の距離を調整することにより、該被搬送物の姿勢を制御することができる。
【実施例1】
【0012】
以下、本発明の一実施例を図面にしたがって説明する。
なお、説明を分かり易くするために、以下の説明では、被搬送物として、平面形状が略三角形の、たとえばチーズなどの被搬送物を例示して説明する。
【0013】
全体構成:
図1に示すように、上流コンベヤ2と下流コンベヤ3との間には、被搬送物Mの姿勢を制御する姿勢制御コンベヤ4が設けられている。姿勢制御コンベヤ4は、搬送コンベヤ40と、一対のガイド装置1,1とを備えている。
【0014】
ガイド装置1,1は、ガイドベルト10L,10Rをそれぞれ備えている。前記一対のガイドベルト10L,10Rは、搬送コンベヤ40に直交する面に沿って配置されていると共に、互いに対向しており、後述する駆動装置により回転駆動される。姿勢制御コンベヤ4は、搬送コンベヤ40上の被搬送物Mを前記両側のガイドベルト10L,10Rに接触させながら下流コンベヤ3へ案内する。
【0015】
各ガイドベルト10L,10Rの入口側100は、上流に向ってテーパ状に広がる形状となっている。なお、ガイドベルト10L,10Rの前記入口側100と出口側102の間の姿勢制御部101は、互いに平行となっている。
【0016】
被搬送物Mの姿勢制御:
本ガイド装置1は、前記一対のガイドベルト10L,10Rの速度を制御することにより、被搬送物Mの姿勢を制御する。
たとえば、図1の搬送方向Xから見て左側に位置する左ガイドベルト10Lの速度を、右ガイドベルト10Rよりも遅くすることで、被搬送物Mの一方の側面が左ガイドベルト10Lのベルト面に沿って搬送される。したがって、種々の姿勢の被搬送物Mをガイド装置1に通すことにより、被搬送物Mの一方の側面が左ガイドベルト10Lに沿った所定の姿勢で下流コンベヤ3に搬送される。
なお、この場合、右ガイドベルト10Rと搬送コンベヤ40の速度は概ね等しい速度に設定される。
【0017】
一方、一対のガイドベルト10L,10Rを同じ速度で動作させることにより、ガイド装置1に入る前のままの姿勢で被搬送物Mを搬送することができる。すなわち、被搬送物Mの姿勢を制御しない場合には、ガイドベルト10L,10Rの速度は互いに概ね等しい速度に設定され、かつ、ガイドベルト10L,10Rと搬送コンベヤ40の速度も互いに概ね等しい速度に設定される。
【0018】
このように、一対のガイドベルト10L,10Rの速度を制御することにより、被搬送物Mの姿勢を自在に制御することができる。
【0019】
ここで、ガイドベルト10L,10Rの速度差は、種々の方法で設定することができる。たとえば、一方のガイドベルト10R(10L)を搬送コンベヤ40と概ね同じ速度で回転させると共に、他方のガイドベルト10L(10R)を停止してもよし、搬送コンベヤ40よりも遅い速度や速い速度で回転させてもよい。
【0020】
機器構成:
つぎに、本ガイド装置1の機器構成の詳細について説明する。
図2(a)に示すように、前記ガイド装置1,1は、搬送コンベヤ40の幅方向Wの両側方に設けられている。前記ガイドベルト10L,10Rは、吊持部13aを介して吊り下げられており、このガイドベルト10L,10Rおよび吊持部13aは網点で示すベルトユニット13uを構成している。ベルトユニット13uは、支持台12上に設けられた駆動伝達部13上に着脱自在に固定されている。したがって、ガイドベルト10L,10Rは、駆動伝達部13および吊持部13aを介して、搬送コンベヤ40の幅方向Wの両端に上方から吊り下げられるように配設されている。
【0021】
搬送コンベヤ40の下方の前記支持台12には、サイドベルト駆動モータ11(図3)がそれぞれ設けられている。前記駆動モータ11の回転は、図2(b)の破線で示す伝達手段10を介してガイドベルト10L(10R)に伝達される。
【0022】
前記伝達手段10には、ガイドベルト10L,10Rの回転方向への回転を許容し、かつ、回転方向とは逆方向への回転を防止するワンウエイクラッチが設けられている。被搬送物Mがガイドベルト10L,10R間で回転した場合などには、ワンウエイクラッチにより片方のガイドベルトが駆動モータ11から受ける当該ガイドベルトの駆動速度よりも速く回転し、被搬送物Mを傷めることなくスムースに搬送することができる。
【0023】
スライド機構:
図2(a)の駆動伝達部13は、支持台12に対して幅方向Wに摺動自在に設けられている。支持台12内には、ガイドロッド16が幅方向Wに沿って固定されている。ガイドロッド16には、斜線で示すスライダ14が、該ガイドロッド16に沿って摺動自在に取り付けられている。スライダ14の上部には、駆動伝達部13が固定されており、スライダ14のスライドに応じて駆動伝達部13が支持台12に対して幅方向Wに摺動可能に設定されている。
【0024】
スライダ14の幅方向Wの外方には、ガイドロッド16の回りに圧縮状態のコイル状のスプリング15がそれぞれ巻回されており、該スプリング15によって、一対の駆動伝達部13およびベルトユニット13uが、図2(a)の二点鎖線で示す位置に互いに近接するように付勢されている。
【0025】
ガイドベルト10L,10Rは、通常状態において、前記スプリング15の付勢力によって二点鎖線で示す位置に位置している。一方、被搬送物Mの接触により、ガイドベルト10L(10R)に負荷が加わると、図2(a)の実線で示すようにスプリング15が圧縮されて、駆動伝達部13およびベルトユニット13uが互いに離間する方向(外方)に向って移動される。
このように、ガイドベルト10L,10Rが被搬送物Mの接触によって外方に移動することにより、被搬送物Mに過大な力がかかるのを防止することができると共に、ガイドベルト10L,10Rを被搬送物Mの大きさに応じて適切に接触させることができる。
【0026】
幅調整機構:
前記一対の支持台12,12は、それぞれスライドベース19,19に支持されている。スライドベース19は、図示しないフレームに対し、幅方向Wに摺動自在に支持されている。スライドベース19,19間には、幅調整シャフト17が設けられている。幅調整シャフト17の両端部には、たとえば、台形ネジからなる雄ネジ17bがそれぞれ形成されている。一方、両スライドベース19,19には、雌ネジ19bが形成されており、破線で示すように、スライドベース19の雌ネジ19bに、幅調整シャフト17の雄ネジ17bがそれぞれ螺合している。前記左右の雄ネジ17bや雌ネジ19bは、左ネジと右ネジとが形成されている。
したがって、前記幅調整シャフト17を回転させると、前記一対のスライドベース19と共に一対のガイド装置1,1が、図1の被搬送物Mの幅W2に応じて幅方向Wに移動され、ガイドベルト10L,10R間の距離W1を設定することが可能である。
【0027】
ガイドベルト10L,10R間の距離W1は、搬送コンベヤ40上を搬送される被搬送物Mの両側面に接するように、図1に示す被搬送物Mの幅W2と概ね同じか、あるいは被搬送物Mの幅W2よりも若干小さく設定するのが好ましい。
なお、図2(b)の駆動伝達部13,13間には、当該駆動伝達部13,13が摺動する補助ロッド18が貫通している。
【0028】
このように、幅調整ロッド17により、被搬送物Mの大きさや形状に応じて、ガイドベルト10L,10R間の距離W1を最適な距離に設定することができる。また、搬送コンベヤ40を交換し、搬送コンベヤ40の幅方向Wの長さが変化した場合にも、幅調整ロッド17によりガイド装置1,1を移動させることで、ガイドベルト10L,10Rの位置を最適な位置に設定移動することができる。
【0029】
ベルトユニット13uの着脱:
図2(b)および図3(b)に示すように、ベルトユニット13uの吊持部13aは、駆動伝達部13に対して着脱自在に設けられている。図2(b)の破線で示すように、ベルトユニット13uと駆動伝達部13の伝達手段10は、カップリング13cを介して上下に分離でき、これによりベルトユニット13uを駆動伝達部13の下部に対し着脱することができるようになっている。
【0030】
前述のように、駆動モータ11を搬送コンベヤ40の下方に配置すると共に、ガイドベルト10L,10Rを含むベルトユニット13uを搬送コンベヤ40の上方に設けたので、ベルトユニット13uの着脱が容易になる。そのため、被搬送物Mに応じて種々のガイドベルト10L,10Rを交換して用いることができる。また、ベルトユニット13uを駆動伝達部13から取り外して水洗いするなど、清掃が容易になる。
【0031】
なお、前述の実施例では、一対のガイドベルト10L,10Rを設けることとしたが、一方のガイドベルトの代わりに側板を設けてもよい。かかる場合には、前記側板によって、一方のガイドベルトを停止した場合と同様な効果を得ることができる。
【0032】
また、姿勢制御コンベヤ4の上流にカメラを設け、該カメラによって撮像された被搬送物Mの大きさや姿勢に応じてガイドベルト10L,10Rの回転速度や速度差を制御するようにしてもよい。さらに、前記回転速度の制御は、被搬送物Mの大きさや姿勢別に予め記憶部に記憶させた値を読み出すことにより行うようにしてもよい。
【0033】
ラベル貼付機:
ところで、前記姿勢制御コンベヤ4の上流または下流にラベル貼付機を設けてもよい。前記ラベル貼付機は、ラベル印字装置から発行されたラベルを、図4(a)に示す貼付アーム50の下端部に設けられた貼付部51によって、被搬送物Mに押さえ付けることによりラベル貼付を行う。
【0034】
前記貼付アーム50のアーム部52には、スプリングが使用されている。被搬送物Mの斜め部分にラベルを貼付する場合には、図4(a)の二点鎖線で示す初期位置から実線で示すように、前記アーム部のスプリングが曲がり貼付部51が逃げることで、被搬送物Mを傷めることなくスムースに貼付を行うことができる。
【0035】
図4(b)に示すように、前記貼付アーム50は複数個設けられている。前記貼付アーム50は、幅方向Wの断面が山形状に形成された被搬送物Mの場合に、被搬送物Mの斜め部分にも貼付が行えるように、幅方向Wの中央部分の貼付アーム50の長さが短く、両端部分の貼付アーム50の長さが長く配列されている。
【0036】
前記貼付アーム50は、貼機アームの先端に取り付けられている。被搬送物Mの種類に応じて前記貼機アームの下降速度を変更してもよい。また、被搬送物Mの高さに応じて貼機アームの下降ストロークを変更してもよい。
さらに、2台の貼付機を設けた場合には、同じ商品で高さの異なる位置に異なるラベルを貼付できるように、1連目と2連目の貼付アームの下降ストロークを異なるようにしてもよい。
【0037】
搬送コンベヤ40とガイドベルト10の速度:
ところで、従来の姿勢制御コンベヤでは、搬送コンベヤ40とガイドベルト10との駆動スピードが一定であっため、被搬送物(商品)Mの形状や包装形態によっては、被搬送物Mの姿勢制御に限界があった。
そこで、以下に説明する例では、搬送コンベヤ40および/またはガイドベルト10の駆動スピードを可変とし、被搬送物Mの形状や包装状態に応じて、前記駆動スピードをそれぞれ変化させることにより、種々の被搬送物Mの姿勢制御を行うことができるようにしている。搬送コンベヤ40とガイドベルト10の駆動スピードを変化させる方法を以下に例示する。
たとえば、図5(a),(b)に示すように、搬送コンベヤ40の駆動スピード(搬送速度)よりもガイドベルト10の駆動スピードを大きくすることにより、被搬送物Mをガイドベルト10に沿って整列させるようにしてもよい。
さらに、図5(c),(d)に示すように、ガイドベルト10を逆方向に回転させて整列させてもよい。また、ガイドベルト10のみを一時停止させて整列させてもよい。
このように、被搬送物Mの状態(商品の形状や包装状態)に応じて、速度を切り換えることができるので、搬送可能な被搬送物Mの種類が広がり、かつ、被搬送物Mの整列精度を向上させることができる。
なお、被搬送物Mの形状や包装状態が記憶された商品情報と、前記搬送コンベヤ40およびガイドベルト10の駆動スピードとを互いに対応させて、予め記憶させることにより、被搬送物Mに応じて前記駆動スピードを自動的に切り換えるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、搬送コンベアのガイド装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施例にかかる搬送コンベアのガイド装置の用い方を示す概略平面図である。
【図2】(a)は姿勢制御コンベヤの上流側からの概略正面図、(b)はベルトユニットを取り外した状態の概略正面図である。
【図3】(a)は姿勢制御コンベヤの概略側面図、(b)はベルトユニットを取り外した状態の概略側面図である。
【図4】(a)は貼付アームを示す概略斜視図、(b)は貼付アームの配置を示す概略底面図である。
【図5】他の例による整列の方法を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0040】
1:ガイド装置
10L,10R:ガイドベルト
11:駆動モータ
40:搬送コンベヤ
M:被搬送物
W:幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送コンベアの両側部に一対のガイドを対向配置して、前記搬送コンベア上の被搬送物を前記両側のガイドに接触させながら下流側へ案内するようにした搬送コンベアのガイド装置であって、
前記一対のガイドのうち少なくとも一方を駆動して、当該一対のガイドの速度が互いに異なる速度であることにより、搬送後の前記被搬送物の姿勢を制御できるようにした搬送コンベアのガイド装置。
【請求項2】
請求項1において、前記一対のガイドは、それぞれ、回転駆動するガイドベルトからなる搬送コンベアのガイド装置。
【請求項3】
請求項2において、前記各ガイドベルトごとに前記ガイドベルトを回転駆動するモータが設けられ、前記一対のガイドベルトの回転速度が互いに異なる速度に設定されている搬送コンベアのガイド装置。
【請求項4】
請求項3において、前記ガイドベルトの一方を停止することにより、前記一対のガイドベルトの速度が互いに異なる速度に設定されている搬送コンベアのガイド装置。
【請求項5】
請求項3もしくは4において、前記各モータが前記ガイドベルトの下方に配置されている搬送コンベアのガイド装置。
【請求項6】
請求項2、3、4もしくは5のいずれかにおいて、前記ガイドベルトが幅方向に移動可能に設けられている搬送コンベアのガイド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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