説明

搬送物供給量制御方法

【課題】コンベヤによる搬送物の供給を、常に定量の体積づつ供給できるようにする。
【解決手段】制御部11によってその搬送速度が制御されるコンベヤ10上に、搬送物2の高さを検知するレベル検知手段H1,H2を設け、そのレベル検知手段H1,H2は、前記搬送物2の高さを検知して信号で前記制御部11へ送信し、その制御部11は、前記信号に基づいて、前記搬送物2の単位時間当たりの供給量が一定となるようにコンベヤ10の搬送速度を自動的に調整するようにした。このようにすれば、搬送物2が、そのコンベヤ10の進行方向に沿って山や谷が断続的に形成された状態で載せられていても、上記レベル検知手段H1,H2によりその山や谷の高さを信号で検出し、その信号に基づいて搬送速度を自動的に調整する。このため、搬送物2の供給を、その体積に基づいて的確に調整し、常に定量の体積づつ搬送先に供給できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、一般ごみや産業廃棄物、建設廃棄物等の処理設備や、各種プラント等で使用する搬送装置における搬送物供給量の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般ごみや産業廃棄物、建設廃棄物等の処理設備や、各種プラント等で使用する搬送装置においては、その処理物や原料等を搬送するに際し、その搬送量が、搬送先の処理能力を超えないように、投入量や搬送速度を加減することにより搬送量が調整される。
【0003】
また、建設廃棄物の処理設備においては、その搬送物の中に材質、形状の異なる種々雑多なものが混在しているため、搬送物の供給量を制御するに際し、例えば、特許文献1,2のごとく搬送物の重量を基準に供給量を決定するのではなく、その体積(嵩)を基準にして供給量を決定したいという要請がある。これは、搬送先の機器(破砕機等)の処理能力が、処理する対象物の体積(嵩)を基準に決定されているからである。
【0004】
この種の体積を基準にして搬送物の供給量を決定する行程の搬送装置において、従来は、オペレータがITVカメラでコンベヤ上の搬送物の積載状況(主に、積載されている搬送物の嵩)を確認して、その状況に応じてコンベヤの搬送速度を加減したり、あるいは、搬送先の機器、例えば、破砕機に生じる付加を電流計等により確認してその数値に基づきコンベヤの搬送速度を手動で調整していた。
【特許文献1】特開2003−262326号公報
【特許文献2】特開2001−314742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特に、建設廃棄物の処理設備では、前述のように、搬送物の中に材質、形状の異なる種々雑多なものが混在しているため、ローダ等により受け入れコンベヤへ処理物を投入すると、その処理物は、コンベヤ上においてその進行方向に沿って均一な高さになりにくい。その結果、搬送物は、そのコンベヤの進行方向に沿って山や谷が断続的に形成された状態で載せられる。
このような状態では、刻々と変化する搬送物の高さに応じて、上記手動による搬送速度の調整が的確にできず、搬送物をその搬送先に常に定量の体積づつ供給することが難しいという問題がある。
【0006】
搬送物を定量づつ供給ができないと、例えば、その処理能力を超えて搬送した場合、その搬送先の機器に過負荷が生じて動作が停止し、処理行程全体がストップしてしまう事態にもなりかねない。
また、搬送物の供給過多、あるいは過小により、その搬送先の機器が有する機能を充分に発揮できず、精度、あるいは処理量が落ちてしまうことも考えられる。
【0007】
そこで、この発明は、コンベヤによる搬送物の供給を、常に定量の体積づつ供給できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明は、コンベヤ上の搬送物の高さを検知する手段により、その高さを信号により検出し、その検出した信号により、コンベヤの搬送速度を自動的に調整できるようにしたのである。
このようにすれば、コンベヤ上の搬送物が、そのコンベヤの進行方向に沿って山や谷が断続的に形成された状態で載せられていても、上記検知手段によりその山や谷の高さを信号で検出し、その信号に基づいてコンベヤの搬送速度を自動的に調整する。このため、搬送物の供給を、その体積に基づいて的確に調整し、常に定量の体積づつ供給できるようになる。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、コンベヤ上に載せられた搬送物の高さの変化を信号で検出し、その検出した信号に基づいて、コンベヤの搬送速度を自動的に調整できるようにしたので、コンベヤによる搬送物の供給量を、その体積に基づいて的確に調整できるようになる。
【0010】
なお、コンベヤ上の搬送物の高さを検知する手段としては、搬送物に直接触れてその高さを検知する接触式の検知手段や、あるいは、光学式、磁界式、電界式、又は超音波式の送受波器(送受信器)を備え、その搬送物に直接触れることなく高さを検知する非接触式のセンサを活用することができる。非接触式のセンサを用いる場合には、そのセンサの送波器(送信器)と受波器(受信器)との間の送受波(送受信)状況に基づいて、その各高さにおける搬送物の有無により、搬送物の堆積高さを検知する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
第一の実施形態を図1乃至図3に基づいて説明する。
この実施形態の搬送物供給量制御方法は、マイクロウェーブセンサを用いてコンベヤ上に載せられた搬送物の高さを、その搬送物に触れることなく検知する非接触式のレベル検知手段を採用した手法である。
【0012】
図1に示すように、コンベヤ10の搬送部(エプロンパン)1は、駆動装置4によって駆動されて動作するようになっており、その駆動装置4は、制御部11によって制御されてその搬送速度が調整されるようになっている。
また、搬送物2は、重機(ローダ)等により、コンベヤ10の前端に設けた受け入れホッパ3内に投入されて、その搬送物2が、搬送部1の動きに合わせて順次搬送されていく。そして、搬送物2は、そのコンベヤ10の後端において落下し、破砕機5のホッパ6内に投入されていく。
【0013】
そのコンベヤ10の後端には、搬送部1上に載せられた搬送物2の高さを検知するレベル検知手段H1,H2が設けられている。レベル検知手段H1,H2は、図2に示すように、マイクロ波を送波(投波)する送波器21a,22aとそのマイクロ波を受波する受波器21b,22bとを、前記コンベヤ10の搬送部1を夾んで両側に配置したマイクロウェーブセンサである。各送波器21a,22a及び各受波器21b,22bは、コンベヤ10のケーシング10aに、それぞれ異なる高さに固定されている。
【0014】
例えば、上記レベル検知手段H1の上記送・受波器21a,21b間を直線上に結ぶ位置に搬送物2が堆積されていると、送波器21aから送波されたマイクロ波Aを受波器21bが受波しないので、そのレベル検知手段H1は、「搬送物がある」という検出信号を出し、その信号をケーブル12を介して制御器11に発信する。
また、例えば、上記レベル検知手段H2の上記送・受波器22a,22b間を直線上に結ぶ位置に搬送物2が堆積されていなければ、送波器22aから送波されたマイクロ波Bを受波器22bが受波するので、そのレベル検知手段H2は、「搬送物がない」という検出信号を出し、その信号をケーブル12を介して制御器11に発信する。
【0015】
なお、マイクロ波は、強力な透過力でセンサ等に付着した異物を透過するので、廃棄物が飛散する環境下においても誤作動が少ないという特質を有するが、この実施形態では、図2に示すように、コンプレッサ等を備えた空気供給手段23から配管24を通じて圧縮空気が供給されて、その圧縮空気が、上記各送・受波器21a,21b,22a,22bの前方に設けたノズル25から噴出されるようになっている。このため、周辺の異物が除去され、その送受波の精度がさらに高められている。また、必要に応じて、このレベル検知手段H1,H2の設置数を増やして、レベル検知手段H3,H4・・・を設けてもよい。レベル検知手段の設置数を増やし、その高さ方向の配置間隔を密にすれば、よりきめ細かな検知が可能となる。
【0016】
その制御部11は、上記信号に基づいて、搬送物2の単位時間当たりの供給量が常に一定の体積となるようにコンベヤ10の搬送速度を自動的に調整するようになっている。その制御ロジックを図3に示す。
図3に示す符号41,42は、それぞれ、上記レベル検知手段H1,H2による搬送物2の検知により、その搬送物2の高さの情報を検知信号で発することを意味し、また、符号43,44は、破砕機5のロータ7を動作させる駆動装置8に流れる電流を、図1に示す電流検知部15で検知し、その電流値が予め設定された2段階の値H1,H2をそれぞれ超えているか否かにより信号を発することを意味する。
【0017】
以下、図3に基づいて、制御部11による制御ロジックを説明する。
1.層厚(コンベヤ上の搬送物の体積高さ)がH1以上でない状態が、予めタイマで設定された時間経過し、且つ、層厚がH2以上でもない状態が同じくタイマ設定時間経過し、且つ、破砕機電流値がH1以上でない状態が同じくタイマ設定時間経過した場合、その破砕機5には過負荷がなく、この層厚であれば破砕機5に負荷をかけることもないであろうと制御部11が判断し、コンベヤ10は、S1(例えば、定格の100%)の速度で稼働して破砕機5に搬送物2を送り込む。
2.層厚がH1以上になり、且つH2以上でない状態がタイマ設定時間経過し、且つ、破砕機電流値がH1以上でない状態が同じくタイマ設定時間経過した場合、コンベヤ10は、S2(例えば、定格の70%)の速度に減速される。その結果、コンベヤ10上の搬送物2の層厚は増えたものの、その稼働速度を落とすことによって、破砕機5への搬送物2の供給体積は以前と同じレベルに維持される。したがって、破砕機5には過負荷が生じない。
3.層厚がH1、H2以上となり、且つ、破砕機電流値がH1以上でない状態がタイマ設定時間以上経過した場合、コンベヤ10は、さらにS3(例えば、定格の30%)の速度に減速される。その結果、上記と同様、破砕機5への搬送物2の供給体積は以前と同じレベルに維持される。
4.上記3に示す状態において、層厚がH2以上でなくなり、その状態がタイマ設定時間経過すれば、再び、上記2の状態に戻り、コンベヤ速度をS2に増速する。
5.また、層厚がいかなる場合においても、破砕機電流値がH1以上となった場合は、破砕機5がやや過負荷であると判断してコンベヤ10の速度をゼロとし、過負荷でなくなるのを待つ。すなわち、破砕機5内に既に入っている搬送物2が、破砕処理されて排出されるのを待つ。その後、電流値がH1以上でない時間がタイマ設定時間経過すれば、層厚のH1,H2の状態を検知し、その状態に対応した速度でコンベヤ10が稼働する。なお、ここで、「コンベヤ速度ゼロ」とはコンベヤ停止とする必要はなく、速度ゼロの状態で稼働再開を待機している状態が望ましい。
6.同じく、層厚がいかなる場合においても、破砕機電流値がH2以上となった場合は、破砕機5が過負荷であると判断して、すぐに破砕機5を停止させる。同時に、コンベヤ10もインターロックで停止させ、搬送物2が破砕機5に入らないようにするとともに、警報(ANN)を発報する。
なお、上記の各ブロックにおいて、タイマの設定時間及びタイマの使用は任意である。
【0018】
第二の実施形態を、図4に基づいて説明する。この実施形態の搬送物供給量制御方法は、コンベヤ10の搬送部1上に載せられた搬送物2の高さを、そのコンベヤ10上に軸34を介して揺動自在に設けた接触子33と、その揺動した接触子33の向き(傾斜角)を検知する角度検知手段とを備えた接触式のレベル検知手段H1,H2を採用した手法である。
【0019】
接触子33は、コンベヤ10の搬送部(エプロンパン)1と同幅程度、あるいはそれ以上の幅に設けられた板状のゴムで形成されており、その接触子33の先端に形成した接触面が搬送物2の上端又は上面に触れることにより、図4に実線、鎖線で示すように、軸34周りに揺動してその向きを変える。
この接触子33の後端は、その向きに応じて角度検知手段(レベル検知手段)H1,H2のリミットスイッチ31,32のいずれかを動作させ、その動作状況に基づいて、搬送物2の高さを検知する。
なお、接触子33は、例えば、搬送物2の内容やその他の搬送状況に応じて、図4に符号33’で示すように、長さの異なるものに取替えることも可能である。また、稼働前の試運転時に、上記リミットスイッチ31,32の取付角度を調整するようになっている。
【0020】
例えば、図中に鎖線で示す向きに接触子33が位置する場合は、搬送部1上に搬送物2が載せられていないか、あるいはその載せられている量が少ない場合を示す。搬送物2が増えて、接触子33が図中実線で示す向きになると、リミットスイッチ31が動作し、角度検知手段H1が制御部11へ信号を送信する。さらに、接触子33が揺動すると、接触子33の後端が前記リミットスイッチ31から離れた後、今度はその後端がリミットスイッチ32を動作させ(動作させた状態を図示せず)、角度検知手段H2が制御部11へ信号を送信する。このとき、リミットスイッチ31は動作していないので、角度検知手段H1から制御部11へは無信号としてもよいが、角度検知手段H2が制御部11へ信号が送信している間は、制御部11は、搬送物2の層厚がH2以上であると判断するようにする。
このとき、搬送物2は、コンベヤ10の幅方向に対してもその層厚が一様ではなく、山谷がある。そこで、接触子33を構成するゴム製の板が、その幅方向の山谷の形状に応じて、弾力をもって変形するようにゴムの硬度、ゴム板の厚さ、重さ等に設定すれば、その幅方向に亘る平均的な搬送物2の層厚を検知できるようになる。
【0021】
なお、上記第二の実施形態において、図5に示すように、接触子33の後端にストライカ35を取付けても良い。このストライカ35は、接触子33が揺動することにより、図中の矢印の方向へその接触子33と一体に揺動し、搬送物2の層厚が増えてその接触子33が垂直状態から水平状態に近づくにつれて、順次、角度検知手段(レベル検知手段)H1,H2,H3のリミットスイッチを動作させ、その動作状況に基づいて、搬送物2の高さを検知する。
この図5に示す態様によれば、各信号を処理する制御部11の構成については、第一の実施形態と同様とし得るので、説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第一の実施形態の説明図
【図2】図1のレベル検知装置を設けた部分の断面図
【図3】第一の実施形態の制御ロジックを示すブロック図
【図4】第二の実施形態のレベル検知装置を設けた部分の断面図
【図5】第二の実施形態において、接触子にストライカを装着した状態を示す要部拡大図
【符号の説明】
【0023】
1 搬送部(エプロンパン)
2 搬送物
3,6 ホッパ
4,8 駆動装置
5 破砕機
7 ロータ
10 コンベヤ
10a ケーシング
11 制御部
12,13,14 ケーブル
15 電流検知部
21a,22a 送波器(送信器)
21b,22b 受波器(受信器)
31,32 リミットスイッチ
33 接触子
33a 止め金具
33b ボルト
34 軸
35 ストライカ
H1,H2 レベル(角度)検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部によってその搬送速度が制御されるコンベヤ上に、そのコンベヤに載せられた搬送物の高さを検知するレベル検知手段を設け、そのレベル検知手段は、前記搬送物の高さを検知してその検知した前記搬送物の高さの情報を信号で前記制御部へ送信し、その制御部は、前記信号に基づいて、前記搬送物の単位時間当たりの供給量が一定となるようにコンベヤの搬送速度を自動的に調整することを特徴とする搬送物供給量制御方法。
【請求項2】
上記レベル検知手段は、上記コンベヤ上に揺動自在に設けた接触子と、その揺動した接触子の向きを検知する角度検知手段を備え、上記搬送物の高さは、前記搬送物の上面に触れて揺動する接触子の向きにより検知されることを特徴とする請求項1に記載の搬送物供給量制御方法。
【請求項3】
上記レベル検知手段は、上記コンベヤ上において高さの異なる複数の非接触式のセンサを備え、上記搬送物の高さは、前記各高さにおけるセンサの送波器と受波器との間の送受波状況に基づいて、その各高さにおける搬送物の有無により検知されることを特徴とする請求項1に記載の搬送物供給量制御方法。
【請求項4】
上記非接触式のセンサは、上記送波器と受波器との間にマイクロ波を送受波するマイクロウェーブセンサであることを特徴とする請求項3に記載の搬送物供給量制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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