搬送用ベルト
【目的】押し出しによる折れなどが防止でき、枝葉類を挟んで引っ張り搬送する構成の搬送ベルト。
【構成】熱硬化性樹脂製のベルト背面とクリップ部の間に搬送対象物を挟持して搬送する搬送ベルトであって、ベルト背面に非固着であって密着及び分離可能なクリップ部を有する合成樹脂製のクリップ部材をベルト背面に取り付け、クリップ部は搬送方向の下手側に向けて設定されている搬送用ベルトであって、前記合成樹脂製のクリップ部材は、ベルト背面に射出成型にて固着成形されており、前記合成樹脂製クリップ部材のクリップ部は、ベルトが平面状態においてベルト背面と密着し、ベルトが凸曲面状を走行するときに分離する搬送用ベルト。
【構成】熱硬化性樹脂製のベルト背面とクリップ部の間に搬送対象物を挟持して搬送する搬送ベルトであって、ベルト背面に非固着であって密着及び分離可能なクリップ部を有する合成樹脂製のクリップ部材をベルト背面に取り付け、クリップ部は搬送方向の下手側に向けて設定されている搬送用ベルトであって、前記合成樹脂製のクリップ部材は、ベルト背面に射出成型にて固着成形されており、前記合成樹脂製クリップ部材のクリップ部は、ベルトが平面状態においてベルト背面と密着し、ベルトが凸曲面状を走行するときに分離する搬送用ベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ベルトに関する。特に、紙葉類などの薄物を搬送する搬送ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
紙シートなどの紙葉類を搬送するベルトとして、ベルト背面に立設した支持部に突起をアウトサートにより形成した突起付きベルトを開発し、この突起を搬送対象の紙葉類の後縁部に当接して押す搬送形態の搬送ベルトを、本出願人は提案してきた。この押す方式の搬送ベルトの例を図12に示す。ベルト背面に取り付けた突起Sに紙シートなどの搬送物を当接して搬送上流側を向けて押しながら搬送するものである。
特許文献1(特許第3449415号公報)では、突起をベルトの背面に形成するに当たり、ベルト背面に一体に立設された支持部に貫通孔を設け、その支持部を外嵌又は挟持する一対の脚部を有し且つその支持部に固設された突起部材に、支持部の貫通孔を充塞して通じ且つ両脚部を連結する脚部連結部を一体に設けるようにしたものを先に提案している。図3参照。この先行提案例は、支持部材4に形成された貫通孔5内を突起部材6の成形と同時に樹脂を充填して充塞して脚部連結部材7bを一体的に形成するものであるから、突起部材は支持部に強固に接続され脱落することがない。
また、特許文献2(特開2002−87567号公報)、特許文献3(特開2001−106318号公報)では、支持部の貫通孔にステンレス製のピンを挿通し、それに突起部材を外嵌させた構成も提案している。
また、特許文献4(特開2005−114175号公報)では、突起部材に対する過負荷対策として、過負荷を受けた場合に脱落可能とした突起を形成した突起付きベルトを提案した。
【0003】
【特許文献1】特許第3449415号
【特許文献2】特開2002−87567号公報
【特許文献3】特開2001−106318号公報
【特許文献4】特開2005−114175号公報
【0004】
突起付きの搬送ベルトに関し、本発明者は、鋭意研究開発を継続してきている。従来は、いずれも紙を押しながら搬送する形式を前提としており、積み重ねた紙の束や低速で1枚を送る場合には適している。近頃、1枚の紙の高速搬送処理が求められており、押す方式では、突起に当接する紙シートの後縁に折れが発生あるいは斜め搬送になってしまう問題点が発生している。また、再生紙など紙質も腰が弱くなっているものがあり、搬送トラブルの原因ともなっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、発想を転換して、押しだしによる折れなどが防止できる枝葉類を挟んで引っ張り搬送する構成の搬送ベルトの開発を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ベルト背面に直接射出成形にて形成したクリップ部材を用いて、ベルト背面とクリップ部材の間に搬送物を挟持して引っ張りながら移送する搬送用ベルトである。
【0007】
具体的な、構成は次のとおりである。
(1)熱硬化性樹脂製のベルト背面とクリップ部の間に搬送対象物を挟持して搬送する搬送ベルトであって、ベルト背面に非固着であって密着及び分離可能なクリップ部を有する合成樹脂製のクリップ部材をベルト背面に取り付け、クリップ部は搬送方向の下手側に向けて設定されている搬送用ベルトであって、前記合成樹脂製のクリップ部材は、ベルト背面に射出成型にて固着成形されており、前記合成樹脂製クリップ部材のクリップ部は、ベルトが平面状態においてベルト背面と密着し、ベルトが凸曲面状を走行するときに分離することを特徴とする搬送用ベルト。
(2) ベルトは、背面に凸状支持部を形成した熱硬化性樹脂製のベルトであって、クリップ部材は、該凸状支持部を跨ぎ両側にベルト背面に密着する面を設けて射出成形され、凸状支持部に固着結合されており、搬送方向の下手側に位置する部分がクリップ部を構成することを特徴とする(2)記載の搬送用ベルト。
(3)凸状支持部より搬送方向の上手側のベルト背面にクリップ部材を押し上げる小突起を設けたことを特徴とする(2)記載の搬送用ベルト。
(4)ベルトの背面の一部を脱脂処理し、該脱脂処理部を固着部として合成樹脂製のクリップ部材を射出成形して形成し、脱脂処理部よりも搬送方向下手側にクリップ部を設けたことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の搬送用ベルト。
(5)クリップ部材のクリップ部及び/又はベルトの背面に摩擦部を設けたことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の搬送用ベルト。
(6)摩擦部は、クリップ部及び/又はベルトの背面に設けた凸部あるいは歯合する凹凸であることを特徴とする(5)に記載された搬送用ベルト。
(7)被搬送物が紙葉類、フィルム、布類、シートなどの薄物類であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載された搬送用ベルト。
(8)本発明の搬送ベルトは、被搬送物をベルト背面で受ける水平搬送の外、引っ張り上げる方向の斜上方向や垂直あるいは水平に垂れ下げながら搬送することもできる。
(9)挟持を開放する手段は、プーリ等により形成する曲面をクリップ部材を通過させることにより挟持力を開放することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、搬送ベルト背面とアウトサート成型した樹脂製クリップ部材との間に枝葉類などを挟持して搬送することができる。特に、引っ張り搬送ができるので、腰の弱い紙葉類やフィルム、布などを引っ張り搬送することが可能である。また、本発明の搬送ベルトは、被搬送物をベルト背面で受ける水平搬送の外、引っ張り上げる方向の斜上方向や垂直あるいは水平に垂れ下げながら搬送することもできる。
【0009】
アウトサートによりクリップ部材を成型して取り付けることができるので、クリップ部材の構成が簡便かつ成型が容易である。別体のバネ部材を介在させて挟圧付勢する必要がないので、クリップ部材の組み付け工程などが不用である。
クリップ面側に摩擦を向上させてグリップ力を大きくして抜け落ちを防止することができる。さらに、搬送方向上手側のクリップ部材の底面を上側に押し上げて、下手側のクリップ部をベルト背面の押圧力を高めて、グリップ力を向上させることができる。搬送ベルトが多少緩んでもグリップ力を維持することができる。
【0010】
搬送物の挟持はベルトの平面走行及び凹面走行にて維持され、搬送物の挟み込みと開放はベルトが凸状曲面を走行するときに可能であるので、搬送始端、終端が簡便な構造により実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、歯付きベルトやVベルトなどの背面に一体に凸状に形成した支持部材にクリップ部材をアウトサートにより成型して取り付けて、ベルト背面とクリップ部材の間に紙葉類などの搬送対象物を挟み込んで搬送する搬送ベルトである。挟持力を開放する手段は、開放箇所にベルトの曲面走行部を設け、曲面部で挟持力を弱める手段により挟持を開放して、搬送位置を特定することができる。クリップ部材をタイミングの検知具にも使用でき、他の機器類との搬送との連携制御もできる。
【0012】
<搬送装置基本形態>
本発明の搬送ベルトを用いた搬送装置の基本形態を図1に示す。図1に示す搬送装置は、水平搬送装置101である。この水平搬送装置101は、クリップ部材を背面に取り付けた搬送ベルト1を左右のプーリ11,12間に掛け渡してある。クリップ部材は3個図示されているが、状態を示すために模式的に3個表示したものであって、1個から複数個設けても良い。この図ではプーリ12側からプーリ11に向かって搬送される。プーリ12の外周に位置するクリップ部材3aは、搬送方向下手側が開いた状態となっており、プーリ12の外周終端近くにおいて紙シート4aを挿入する(41)と、プーリ12の終端部を通過するとベルト背面に密着して紙シート4aは挟持された状態となる。プーリ12の終端部からプーリ11の始端部までの間は、クリップ部材とベルト背面の間に紙シートはしっかりと挟持されて、引っ張り状態で搬送される。その状態を紙シート4bがクリップ部材3bに挟持中42にある状態として示している。クリップ部材がプーリ11の始端部を過ぎるとクリップ力は緩くなり紙シートは挟持状態から開放される。その状態を紙シート4cがクリップ部材3cから開放43となる状態として示している。
【0013】
(縦搬送)
本発明の搬送ベルトは垂直や斜上方向の縦方向に引っ張り上げながら搬送することもできる。あるいは、ベルトの下側で搬送することもできる。下側搬送の場合は、自由端側が垂れ下がって支障のある搬送物の場合は、搬送ベルトの下方に自由端側を受けるレールや帯体のような部材を配置することができる。
図2に垂直方向の縦搬送装置102の例を示す。基本的には、図1に示した水平搬送装置101を縦方向に設置して、搬送ベルト1が下方側のプーリ12を周回する終端近くに位置するクリップ部材3aで紙シート4aを挟み込み、中間部は紙シート4aをクリップ部材3bとベルト背面とで挟持して引き上げながら移送し、情報のプーリ11を周回する始端部通過後に紙シート4aをクリップ部材のクリップ部がベルト背面から分離することにより挟持が開放される構成である。
【0014】
<クリップ要部>
本発明は、ベルト背面とクリップ部とで紙シートなどの薄物搬送物を挟持して、引っ張りながら移送する搬送ベルトであり、そのクリップ部はベルト背面にアウトサート手段により射出成形にて取り付けられる。クリップ部を有するクリップ部材は、基部側をベルト背面に形成された凸状支持部に固着されるか、あるいは、凸状支持部を形成することなくベルト背面の平坦部にアウトサートと同時に接着されて固着されている。即ち、クリップ部材は、クリップ部とクリップ基部から構成され、クリップ基部はベルト背面と固着機能を有し、クリップ部はクリップ基部から延出されていて、ベルト背面とは密着可能であるが、分離している。クリップ部は、ベルトの搬送方向に対して下手側に設けられる。
クリップ部材を搬送ベルトに取り付けた拡大図を図3に示す。
ベルト本体2の背面の一部に一体的に形成された凸状支持部21にクリップ基部31を取り付け、該クリップ基部31から搬送方向Tの下手側にクリップ部32を延出して、クリップ部材3を形成している。クリップ部32は、水平状態では原則として対向するベルト挟持背面22に密着する様に構成されている。ベルト本体2は内側に歯部23が形成された歯付きのベルトである。タイミングベルトなどに用いられることが多い。
このクリップ部材3はクリップ基部31が取り付けられた凸状支持部21がプーリ外周等の曲面を走行するときは、クリップ部32は接線方向に延びるので、ベルト挟持背面22とは密着が解かれて離れることとなる。クリップ部32がベルト挟持背面22に対して密着状態と開放状態と変化することを利用して、紙葉類などの薄物を挟み込んで移送する搬送手段として活用する。クリップ部材を取り付けた搬送ベルトとプーリなどの簡便な部材のみで搬送装置を構成することができる。
【0015】
ベルト本体2は、芯線が内蔵された歯付きの熱硬化性ポリウレタン等の熱硬化性合成樹脂製のベルトであり通常の手段で製造されることができる。なお、ベルト背面にアウトサートして合成樹脂部材を取り付ける技術は、本願発明者及び本願出願人が先に提案した特許文献1〜3にも開示されているように公知手段である。クリップ部材3は、熱可塑性合成樹脂を用いることができる。クリップ部材はアウトサート手法によりベルト背面に固着成形されるので、別体に設けたクリップ部材を回転支軸に付勢バネなどを用いて取り付ける必要が無く、工程を増やす必要や習熟や手間暇を要することなく安定した品質で取り付けることができる。
【0016】
<ベルト中間部における搬送終端、始端の構成>
本願発明の搬送ベルトを利用した搬送物の挟み込み及び分離開放は、搬送ベルトの走行路に曲面を形成することにより行うことができる。図1及び図2に示した搬送装置では、両端に配置した走行駆動用のプーリを利用して搬送始端及び搬送終端としている。この両端のプーリの中間にベルトの走行にカーブを設けることにより、クリップ部を開閉して、密着から分離開放へ、あるいは開放から密着へ姿勢を変更できる。この姿勢変更を利用して、搬送物を中間部で開放あるいは挟み込みを行うことができる。
図4に搬送ベルト中途での開放曲面部の構成例を示す。左右端に設置した搬送ベルト駆動用のプーリ11、12に搬送ベルト1を掛け回し、プーリ11とプーリ12の中間に搬送ベルト1に当接して押し出すように凸状走行部形成用プーリ13を配置する。凸状走行部形成用プーリ13の外周に沿って走行ベルトは円弧状に走行し、円弧の頂点を過ぎた部分からクリップ部は走行ベルトから離れることとなり、紙シート4の挟持が保たれなくなるので、搬送を終了することができる。また、一方、この状態で、紙シートを挿入すると円弧を過ぎた部分でクリップ部はベルト背面に密着して、挟持できるので、搬送始端部とすることもできる。凸状走行部形成用プーリ13は、自由回動である従動プーリとすることができる。この図4では、搬送ベルト中途での曲面部を従動プーリを利用して構成した例を示したが、搬送ベルトの走行に支障がない範囲であれば、非回動の円弧部材あるいは単に「く」の字に屈曲させる押し出し用に突起部でも良い。
【0017】
<クリップ部材の成形>
クリップ部材をベルト本体の背部に射出成形にてアウトサート手段により取付け形成する方法は、ベルト本体と一体である凸状支持部にクリップ基部を連結する方法と、通常の平坦なベルト背面にクリップ基部を直接アウトサート形成と同時に接着する方法がある。
凸状支持部をベルト本体の背部にベルト本体を製造するときに一体に成形し、この凸状支持部を囲むようにアウトサート用の金型で覆い、この金型に合成樹脂を注型してクリップ部材を凸状支持体に固着連結する方法がある。
【0018】
(凸状支持部連結方式)
凸状支持部をベルト本体の背部にベルト本体を製造するときに一体に成形し、この凸状支持部を囲むようにアウトサート用の金型で覆い、この金型に合成樹脂を注型してクリップ部材を凸状支持体に固着連結する方法について説明する。ベルト本体は熱硬化性ポリウレタン等の熱硬化性合成樹脂製であり、内筒と外筒から構成され、内外の筒の中間部を注型用のキャビティーとし、該キャビティーに前記熱硬化性合成樹脂液を注入して、硬化させスリーブ状の幅のある熱硬化性合成樹脂製の筒体を作成し、該筒体をベルトの幅にカットしてベルト本体を製造するのが一般的である。凸状支持部は外型となる外筒金型の一部にメス型となる凹部を設けることにより形成することができる。歯付きにする場合は、内型となる内筒金型の外周にプーリ状の歯型を設けることにより形成することができる。
射出成形する場合には、金型に離型剤を塗布され、成形されたベルトの背面にも離型剤が付着しているので、ベルト背面に直接アウトサートしても、接合させることはできない。このため、凸状支持体を貫通する水平孔や抜止用のピンを設けた後に、アウトサートすると、水平孔内を充填した合成樹脂やピンを内包した合成樹脂によって抜止機能が発揮されてアウトサートにより成形されたクリップ部材が固着される。このため、クリップ部はベルト背面に密着はしていても分離可能である状態で成形される。
【0019】
ベルト本体の背面に設けた凸状支持体に対するクリップ部材の成形連結例を図5に示す。クリップ部材3はベルト本体2の背面にアウトサートにより一体的に固着成形されている状態を図5(c)に示し、ベルト本体とクリップ部材を分離してそれぞれ説明を図5(a)(b)に示す。図5(b)は、背面に凸状支持部21が形成されたベルト本体2を示し、凸状支持部21の搬送下手側のベルト背面がベルト挟持背面22となる。この凸状支持部21に、ベルトの長手方向に貫通する貫通孔24を設ける。
クリップ部材3を図5(a)に示す。クリップ部材3は、ベルト本体に設けられた凸状支持部を覆うように形成されたクリップ基部31とクリップ基部から搬送方向下手側にクリップ部32を延出する。このクリップ部材3は、この外形を持つ金型を図5(b)のベルト本体背面上に設置して、合成樹脂を射出注型して成形される。なお、ベルト背面に接触する側は、ベルト背面によって密閉されるのでベルト背面を金型の一部に利用する。この射出によって凸状支持部21に形成された貫通孔24内に合成樹脂が充填されて連結部34が形成され、この連結部34によって、クリップ基部31がベルト本体2の凸状支持部21に分離できないように固着される。図5(c)に、クリップ部材31をベルト背面に固着成形された状態を示す。クリップ部32及びクリップ脚部33のベルト背面に接する部分はベルト背面に密着して形成されている。クリップ脚部33は、クリップ部32が上方に開く方向に回動しようとした場合は、連結部34が支点となってクリップ脚部33がベルト背面に接触して抵抗となるので、平面状態に走行する場合はクリップ部32とベルト挟持背面22の間に紙シートなどの薄物を挟み込んで引っ張ることができる。
【0020】
ベルト本体に設けられた凸状支持部とクリップ基部との異なる連結手段の例を図6に示す。図6(a)はU字上の針状体25を凸状支持部21に突き刺した例である。この場合は、クリップ部材をアウトサート成形した場合に、針状体25がクリップ基部に内包される。図6(b)は、凸状支持部21に貫通孔24を形成すると共に直線状の針状体25を突き刺した例である。この例では、針状体25がクリップ基部に内包され、貫通孔24内にはクリップ部材の合成樹脂が充填される。図6(a)(b)とも凸状支持部とクリップ基部は複数箇所で固着されている。複数箇所で固着されることにより、クリップ部材を捻るような力に対して抵抗力が大きくなり、横ブレに対する抵抗が大きくなり、挟持姿勢の安定性を向上させることができる。針状体は、ステンレス、アルミニウム等の金属製の他樹脂製であってもよい。
【0021】
(ベルト背面平面部直接固着方式)
ベルト背面にクリップ部材を直接固着成型する例を示す。凸状支持体を設けることなくベルト背面に直接クリップ部材をアウトサートにより成形する手段を図7に示す。
ベルト本体の背面は先に述べたように離型剤が付着しているので、このままではアウトサートしてもクリップ部材とベルト本体とは接着することはない。このためベルト背面の一部の離型剤を脱脂処理などにより除去し、その部分がクリップ基部となるように金型を組み、アウトサートすることによりクリップ基部を直接ベルト本体に接合して固着することができる。離型剤の除去は化学的な脱脂処理の外、サンドブラストやグラインダーなどを用いて削除することもできる。
【0022】
図7は、ベルト本体2のベルト背面の固着部分26となる部分を脱脂処理して離型剤を除去し、この部分がクリップ部材の固着部分53とするクリップ基部51とし、このクリップ基部からクリップ部52を延出する。クリップ部52のベルト背面と対向する面がベルト背面とは固着していない非固着部分54を構成し、ベルト背面側の非固着部分27との間で紙シートなどの薄物を挟み込み挟持搬送することができる。この図示の例では、凸状支持部をベルト本体に設ける必要がないので、ベルト本体としては、通常の歯付きベルトなどを転用することができる。クリップ部材の形状は、凸状支持体を覆うように形成する必要が無く、フラットな形状に整形することもできる。
固着部分は、ベルトの横断方向に設けることができるので、横ブレなどのねじれに対しての抵抗力は大きく、安定した挟持姿勢を発揮することができる。
なお、脱脂処理は、凸状支持部に適用することもでき、この場合は、物理的な連結手段とこの接着手段の双方を用いることができるので、固着安定性が向上する。
【0023】
射出成形により直接ベルト本体の背面にクリップ部材を固着し接着するには、ベルト本体を構成する合成樹脂とクリップ部材を構成する合成樹脂の親和性が高い樹脂組成を組み合わせることが重要である。例えば、このような組み合わせとして、熱硬化性ポリウレタン系合成樹脂をベルト本体の構成樹脂とし、熱可塑性ポリウレタン系の合成樹脂をクリップ部材の構成樹脂とする組み合わせがある。
この熱硬化性ポリウレタンとして、約80℃に温調したPTMG(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)及びTDI(トリレンジイソシアネート)からなるNCO含有率が4.2%のプレポリマー100重量部と、約110℃に温調した3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン13重量部及びDOP(ジ-(2-エチルエキシル)フタレート)20重量部からなる硬化剤を混合し、加熱・硬化させた熱硬化性ポリウレタンと、寝熱可塑性ポリウレタンとして、エーテル型熱可塑性ポリウレタン樹脂であって、硬度は85°(JISA)、TRが40.25kgf/cmの組み合わせを例示することができる。
また、脱脂処理剤は、離型剤の種類に合わせて選択される。
【0024】
<挟持力向上手段>
本願発明は、クリップ部とベルト背面密着することにより挟持力を発揮する。この挟持力を安定して向上させる手段を講ずることができる。
例えば、図8に挟持面に凹凸を形成した例を示す。図8(a)は、クリップ部に対応するベルト本体の背面にベルト凹部28を形成し、このベルト凹部28を含むようにクリップ部材3をアウトサートすると、ベルト凹部28に対応するクリップ部凸部35がクリップ部32に形成される。この凹凸の噛み合いによって紙シートなどの薄物の滑り落ちを防止する作用を向上させることができる。図8(a)に示す凹凸の配分を逆にすることもできる。
図8(b)は、クリップ部に対応するベルト本体の背面にベルト凸部29を形成し、クリップ部32の下面は平面に形成した例である。ベルト凸部29によって挟持力が点状あるいは線状に集中するので、挟持摩擦力を向上させることができる。図8(c)は、クリップ部側にクリップ凸部35を形成した例である。
【0025】
図9にベルト背面側に向けて付勢力与えたクリップ部を形成し、挟持力を向上させる例を示す。ベルト本体2を大きく湾曲した状態に設置して、その状態で図5に示す成形と同様にしてクリップ部材3をアウトサート成形する(図9(a))。クリップ基部31及びクリップ部32は、ベルト背面の曲面に沿って湾曲状に形成される。クリップ部の先端は凸状支持部21の基端部よりΔd分下がった状態に成形されることになる。
【0026】
これを、搬送ベルトを平面に展開した状態を図9(b)に示す。平面状態では、クリップ部32の先端が上記したΔd分が真っ直ぐ伸ばされた状態となるので、Δd分がベルト本体2側への付勢力として発揮される。一方、クリップ基部31のベルト本体背面との接触部も押し上げ反力を受けるので、Δd分に加えた付勢力が生ずる。この例では、クリップ部の挟持付勢を向上させることができる。なお、図9(a)に示す成形湾曲は、搬送装置に使用されるプーリにベルトが掛け回された曲面より大きくする。両端のプーリの中間に曲面走行させる場合はその曲面よりも大きくする。このようにすることにより、搬送物の挟み込み又は開放する空間を確保することができる。
【0027】
(クサビ方式)
図10は凸状支持部材21より搬送方向上手側の搬送ベルト背面に小突起6を設けて、クリップ部材3のクリップ脚部33の裏面を押し上げて、支持部材21を支点としてクリップ部32をベルト背面に強く押し付ける構成である。これによりグリップ力は向上して、搬送ベルトが緩んでも紙葉類の挟み込みを維持することができる。小突起6を設けた場合でも、図11に示すように、プーリなどを利用することによりクリップ部に紙葉類を挟み込みや分離をすることができる。
【0028】
本発明のベルト本体は、熱硬化性合成樹脂を用いるのが一般的であるが、ゴムで形成することもできる。熱硬化性合成樹脂としては、熱硬化性ポリウレタン樹脂などが用いられる。
ベルトの形状は、歯付きベルト、Vベルト、平ベルトなどを採用することができる。タイミングベルトとして用いる場合は、歯付ベルトが適している。通常のベルト同様にアラミド繊維製などの芯線が埋設されている。歯部側は、帆布を被覆することもできる。
ベルト本体の製造は、前記したように従来の手段が用いられる。
【0029】
本発明のクリップ部材は、アウトサートできる合成樹脂であれば特に限定されないが、前記した、ベルト本体の背面に直接接着する場合は、親和性を考慮して選択する必要がある。このクリップ部材の材質としては、熱可塑性ポリウレタン樹脂などの熱可塑性エンジニアリングプラスチックを用いることができる。カプロエステル型あるいはエーテル型の熱可塑性ポリウレタン樹脂、アセタール樹脂(POM)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリカーボネート樹脂(PC)、アクリロノトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本願発明の搬送ベルトを用いた水平搬送装置を示す。
【図2】本願発明の搬送ベルトを用いた縦方向搬送装置を示す。
【図3】搬送ベルトのクリップ部材取付け部の拡大図を示す。
【図4】搬送ベルトの開放曲面部の構成例を示す。
【図5】ベルト背面に設けた凸状支持体に対するクリップ部材の成形連結例を示す。
【図6】ベルト背面に設けた凸状支持体に対するクリップ部材の成形連結別例を示す。
【図7】ベルト背面にクリップ部材を直接固着成型する例を示す。
【図8】クリップ部の摩擦部の形状(凹凸方式)の例を示す。
【図9】挟持付勢を持たせたクリップ部材の例を示す。
【図10】ベルト上手側に設けた小突起による狭持付勢構成を示す。
【図11】ベルト上手側に設けた小突起による狭持付勢構成による紙葉類の挟み込み及び開放空間構成を示す。
【図12】従来の押し方式の搬送ベルトの例を示す。
【符号の説明】
【0031】
1 搬送ベルト
11 プーリ
12 プーリ
2 ベルト本体
21 凸状支持部
22 ベルト挟持背面
23 内側に歯部
24 貫通孔
25 針状体
26 固着部分
27 非固着部分
28 ベルト凹部
29 ベルト凸部
3 ,3a,3b,3c クリップ部材
31 クリップ基部
32 クリップ部
33 クリップ脚部
34 連結部
35 クリップ部凸部
4 ,4a,4b,4c 紙シート
41 挿入
42 挟持中
43 開放
51 クリップ基部
52 クリップ部
53 固着部分
54 非固着部分
6 小突起
101 水平搬送装置
102 縦搬送装置
T 搬送方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ベルトに関する。特に、紙葉類などの薄物を搬送する搬送ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
紙シートなどの紙葉類を搬送するベルトとして、ベルト背面に立設した支持部に突起をアウトサートにより形成した突起付きベルトを開発し、この突起を搬送対象の紙葉類の後縁部に当接して押す搬送形態の搬送ベルトを、本出願人は提案してきた。この押す方式の搬送ベルトの例を図12に示す。ベルト背面に取り付けた突起Sに紙シートなどの搬送物を当接して搬送上流側を向けて押しながら搬送するものである。
特許文献1(特許第3449415号公報)では、突起をベルトの背面に形成するに当たり、ベルト背面に一体に立設された支持部に貫通孔を設け、その支持部を外嵌又は挟持する一対の脚部を有し且つその支持部に固設された突起部材に、支持部の貫通孔を充塞して通じ且つ両脚部を連結する脚部連結部を一体に設けるようにしたものを先に提案している。図3参照。この先行提案例は、支持部材4に形成された貫通孔5内を突起部材6の成形と同時に樹脂を充填して充塞して脚部連結部材7bを一体的に形成するものであるから、突起部材は支持部に強固に接続され脱落することがない。
また、特許文献2(特開2002−87567号公報)、特許文献3(特開2001−106318号公報)では、支持部の貫通孔にステンレス製のピンを挿通し、それに突起部材を外嵌させた構成も提案している。
また、特許文献4(特開2005−114175号公報)では、突起部材に対する過負荷対策として、過負荷を受けた場合に脱落可能とした突起を形成した突起付きベルトを提案した。
【0003】
【特許文献1】特許第3449415号
【特許文献2】特開2002−87567号公報
【特許文献3】特開2001−106318号公報
【特許文献4】特開2005−114175号公報
【0004】
突起付きの搬送ベルトに関し、本発明者は、鋭意研究開発を継続してきている。従来は、いずれも紙を押しながら搬送する形式を前提としており、積み重ねた紙の束や低速で1枚を送る場合には適している。近頃、1枚の紙の高速搬送処理が求められており、押す方式では、突起に当接する紙シートの後縁に折れが発生あるいは斜め搬送になってしまう問題点が発生している。また、再生紙など紙質も腰が弱くなっているものがあり、搬送トラブルの原因ともなっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、発想を転換して、押しだしによる折れなどが防止できる枝葉類を挟んで引っ張り搬送する構成の搬送ベルトの開発を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ベルト背面に直接射出成形にて形成したクリップ部材を用いて、ベルト背面とクリップ部材の間に搬送物を挟持して引っ張りながら移送する搬送用ベルトである。
【0007】
具体的な、構成は次のとおりである。
(1)熱硬化性樹脂製のベルト背面とクリップ部の間に搬送対象物を挟持して搬送する搬送ベルトであって、ベルト背面に非固着であって密着及び分離可能なクリップ部を有する合成樹脂製のクリップ部材をベルト背面に取り付け、クリップ部は搬送方向の下手側に向けて設定されている搬送用ベルトであって、前記合成樹脂製のクリップ部材は、ベルト背面に射出成型にて固着成形されており、前記合成樹脂製クリップ部材のクリップ部は、ベルトが平面状態においてベルト背面と密着し、ベルトが凸曲面状を走行するときに分離することを特徴とする搬送用ベルト。
(2) ベルトは、背面に凸状支持部を形成した熱硬化性樹脂製のベルトであって、クリップ部材は、該凸状支持部を跨ぎ両側にベルト背面に密着する面を設けて射出成形され、凸状支持部に固着結合されており、搬送方向の下手側に位置する部分がクリップ部を構成することを特徴とする(2)記載の搬送用ベルト。
(3)凸状支持部より搬送方向の上手側のベルト背面にクリップ部材を押し上げる小突起を設けたことを特徴とする(2)記載の搬送用ベルト。
(4)ベルトの背面の一部を脱脂処理し、該脱脂処理部を固着部として合成樹脂製のクリップ部材を射出成形して形成し、脱脂処理部よりも搬送方向下手側にクリップ部を設けたことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の搬送用ベルト。
(5)クリップ部材のクリップ部及び/又はベルトの背面に摩擦部を設けたことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の搬送用ベルト。
(6)摩擦部は、クリップ部及び/又はベルトの背面に設けた凸部あるいは歯合する凹凸であることを特徴とする(5)に記載された搬送用ベルト。
(7)被搬送物が紙葉類、フィルム、布類、シートなどの薄物類であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載された搬送用ベルト。
(8)本発明の搬送ベルトは、被搬送物をベルト背面で受ける水平搬送の外、引っ張り上げる方向の斜上方向や垂直あるいは水平に垂れ下げながら搬送することもできる。
(9)挟持を開放する手段は、プーリ等により形成する曲面をクリップ部材を通過させることにより挟持力を開放することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、搬送ベルト背面とアウトサート成型した樹脂製クリップ部材との間に枝葉類などを挟持して搬送することができる。特に、引っ張り搬送ができるので、腰の弱い紙葉類やフィルム、布などを引っ張り搬送することが可能である。また、本発明の搬送ベルトは、被搬送物をベルト背面で受ける水平搬送の外、引っ張り上げる方向の斜上方向や垂直あるいは水平に垂れ下げながら搬送することもできる。
【0009】
アウトサートによりクリップ部材を成型して取り付けることができるので、クリップ部材の構成が簡便かつ成型が容易である。別体のバネ部材を介在させて挟圧付勢する必要がないので、クリップ部材の組み付け工程などが不用である。
クリップ面側に摩擦を向上させてグリップ力を大きくして抜け落ちを防止することができる。さらに、搬送方向上手側のクリップ部材の底面を上側に押し上げて、下手側のクリップ部をベルト背面の押圧力を高めて、グリップ力を向上させることができる。搬送ベルトが多少緩んでもグリップ力を維持することができる。
【0010】
搬送物の挟持はベルトの平面走行及び凹面走行にて維持され、搬送物の挟み込みと開放はベルトが凸状曲面を走行するときに可能であるので、搬送始端、終端が簡便な構造により実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、歯付きベルトやVベルトなどの背面に一体に凸状に形成した支持部材にクリップ部材をアウトサートにより成型して取り付けて、ベルト背面とクリップ部材の間に紙葉類などの搬送対象物を挟み込んで搬送する搬送ベルトである。挟持力を開放する手段は、開放箇所にベルトの曲面走行部を設け、曲面部で挟持力を弱める手段により挟持を開放して、搬送位置を特定することができる。クリップ部材をタイミングの検知具にも使用でき、他の機器類との搬送との連携制御もできる。
【0012】
<搬送装置基本形態>
本発明の搬送ベルトを用いた搬送装置の基本形態を図1に示す。図1に示す搬送装置は、水平搬送装置101である。この水平搬送装置101は、クリップ部材を背面に取り付けた搬送ベルト1を左右のプーリ11,12間に掛け渡してある。クリップ部材は3個図示されているが、状態を示すために模式的に3個表示したものであって、1個から複数個設けても良い。この図ではプーリ12側からプーリ11に向かって搬送される。プーリ12の外周に位置するクリップ部材3aは、搬送方向下手側が開いた状態となっており、プーリ12の外周終端近くにおいて紙シート4aを挿入する(41)と、プーリ12の終端部を通過するとベルト背面に密着して紙シート4aは挟持された状態となる。プーリ12の終端部からプーリ11の始端部までの間は、クリップ部材とベルト背面の間に紙シートはしっかりと挟持されて、引っ張り状態で搬送される。その状態を紙シート4bがクリップ部材3bに挟持中42にある状態として示している。クリップ部材がプーリ11の始端部を過ぎるとクリップ力は緩くなり紙シートは挟持状態から開放される。その状態を紙シート4cがクリップ部材3cから開放43となる状態として示している。
【0013】
(縦搬送)
本発明の搬送ベルトは垂直や斜上方向の縦方向に引っ張り上げながら搬送することもできる。あるいは、ベルトの下側で搬送することもできる。下側搬送の場合は、自由端側が垂れ下がって支障のある搬送物の場合は、搬送ベルトの下方に自由端側を受けるレールや帯体のような部材を配置することができる。
図2に垂直方向の縦搬送装置102の例を示す。基本的には、図1に示した水平搬送装置101を縦方向に設置して、搬送ベルト1が下方側のプーリ12を周回する終端近くに位置するクリップ部材3aで紙シート4aを挟み込み、中間部は紙シート4aをクリップ部材3bとベルト背面とで挟持して引き上げながら移送し、情報のプーリ11を周回する始端部通過後に紙シート4aをクリップ部材のクリップ部がベルト背面から分離することにより挟持が開放される構成である。
【0014】
<クリップ要部>
本発明は、ベルト背面とクリップ部とで紙シートなどの薄物搬送物を挟持して、引っ張りながら移送する搬送ベルトであり、そのクリップ部はベルト背面にアウトサート手段により射出成形にて取り付けられる。クリップ部を有するクリップ部材は、基部側をベルト背面に形成された凸状支持部に固着されるか、あるいは、凸状支持部を形成することなくベルト背面の平坦部にアウトサートと同時に接着されて固着されている。即ち、クリップ部材は、クリップ部とクリップ基部から構成され、クリップ基部はベルト背面と固着機能を有し、クリップ部はクリップ基部から延出されていて、ベルト背面とは密着可能であるが、分離している。クリップ部は、ベルトの搬送方向に対して下手側に設けられる。
クリップ部材を搬送ベルトに取り付けた拡大図を図3に示す。
ベルト本体2の背面の一部に一体的に形成された凸状支持部21にクリップ基部31を取り付け、該クリップ基部31から搬送方向Tの下手側にクリップ部32を延出して、クリップ部材3を形成している。クリップ部32は、水平状態では原則として対向するベルト挟持背面22に密着する様に構成されている。ベルト本体2は内側に歯部23が形成された歯付きのベルトである。タイミングベルトなどに用いられることが多い。
このクリップ部材3はクリップ基部31が取り付けられた凸状支持部21がプーリ外周等の曲面を走行するときは、クリップ部32は接線方向に延びるので、ベルト挟持背面22とは密着が解かれて離れることとなる。クリップ部32がベルト挟持背面22に対して密着状態と開放状態と変化することを利用して、紙葉類などの薄物を挟み込んで移送する搬送手段として活用する。クリップ部材を取り付けた搬送ベルトとプーリなどの簡便な部材のみで搬送装置を構成することができる。
【0015】
ベルト本体2は、芯線が内蔵された歯付きの熱硬化性ポリウレタン等の熱硬化性合成樹脂製のベルトであり通常の手段で製造されることができる。なお、ベルト背面にアウトサートして合成樹脂部材を取り付ける技術は、本願発明者及び本願出願人が先に提案した特許文献1〜3にも開示されているように公知手段である。クリップ部材3は、熱可塑性合成樹脂を用いることができる。クリップ部材はアウトサート手法によりベルト背面に固着成形されるので、別体に設けたクリップ部材を回転支軸に付勢バネなどを用いて取り付ける必要が無く、工程を増やす必要や習熟や手間暇を要することなく安定した品質で取り付けることができる。
【0016】
<ベルト中間部における搬送終端、始端の構成>
本願発明の搬送ベルトを利用した搬送物の挟み込み及び分離開放は、搬送ベルトの走行路に曲面を形成することにより行うことができる。図1及び図2に示した搬送装置では、両端に配置した走行駆動用のプーリを利用して搬送始端及び搬送終端としている。この両端のプーリの中間にベルトの走行にカーブを設けることにより、クリップ部を開閉して、密着から分離開放へ、あるいは開放から密着へ姿勢を変更できる。この姿勢変更を利用して、搬送物を中間部で開放あるいは挟み込みを行うことができる。
図4に搬送ベルト中途での開放曲面部の構成例を示す。左右端に設置した搬送ベルト駆動用のプーリ11、12に搬送ベルト1を掛け回し、プーリ11とプーリ12の中間に搬送ベルト1に当接して押し出すように凸状走行部形成用プーリ13を配置する。凸状走行部形成用プーリ13の外周に沿って走行ベルトは円弧状に走行し、円弧の頂点を過ぎた部分からクリップ部は走行ベルトから離れることとなり、紙シート4の挟持が保たれなくなるので、搬送を終了することができる。また、一方、この状態で、紙シートを挿入すると円弧を過ぎた部分でクリップ部はベルト背面に密着して、挟持できるので、搬送始端部とすることもできる。凸状走行部形成用プーリ13は、自由回動である従動プーリとすることができる。この図4では、搬送ベルト中途での曲面部を従動プーリを利用して構成した例を示したが、搬送ベルトの走行に支障がない範囲であれば、非回動の円弧部材あるいは単に「く」の字に屈曲させる押し出し用に突起部でも良い。
【0017】
<クリップ部材の成形>
クリップ部材をベルト本体の背部に射出成形にてアウトサート手段により取付け形成する方法は、ベルト本体と一体である凸状支持部にクリップ基部を連結する方法と、通常の平坦なベルト背面にクリップ基部を直接アウトサート形成と同時に接着する方法がある。
凸状支持部をベルト本体の背部にベルト本体を製造するときに一体に成形し、この凸状支持部を囲むようにアウトサート用の金型で覆い、この金型に合成樹脂を注型してクリップ部材を凸状支持体に固着連結する方法がある。
【0018】
(凸状支持部連結方式)
凸状支持部をベルト本体の背部にベルト本体を製造するときに一体に成形し、この凸状支持部を囲むようにアウトサート用の金型で覆い、この金型に合成樹脂を注型してクリップ部材を凸状支持体に固着連結する方法について説明する。ベルト本体は熱硬化性ポリウレタン等の熱硬化性合成樹脂製であり、内筒と外筒から構成され、内外の筒の中間部を注型用のキャビティーとし、該キャビティーに前記熱硬化性合成樹脂液を注入して、硬化させスリーブ状の幅のある熱硬化性合成樹脂製の筒体を作成し、該筒体をベルトの幅にカットしてベルト本体を製造するのが一般的である。凸状支持部は外型となる外筒金型の一部にメス型となる凹部を設けることにより形成することができる。歯付きにする場合は、内型となる内筒金型の外周にプーリ状の歯型を設けることにより形成することができる。
射出成形する場合には、金型に離型剤を塗布され、成形されたベルトの背面にも離型剤が付着しているので、ベルト背面に直接アウトサートしても、接合させることはできない。このため、凸状支持体を貫通する水平孔や抜止用のピンを設けた後に、アウトサートすると、水平孔内を充填した合成樹脂やピンを内包した合成樹脂によって抜止機能が発揮されてアウトサートにより成形されたクリップ部材が固着される。このため、クリップ部はベルト背面に密着はしていても分離可能である状態で成形される。
【0019】
ベルト本体の背面に設けた凸状支持体に対するクリップ部材の成形連結例を図5に示す。クリップ部材3はベルト本体2の背面にアウトサートにより一体的に固着成形されている状態を図5(c)に示し、ベルト本体とクリップ部材を分離してそれぞれ説明を図5(a)(b)に示す。図5(b)は、背面に凸状支持部21が形成されたベルト本体2を示し、凸状支持部21の搬送下手側のベルト背面がベルト挟持背面22となる。この凸状支持部21に、ベルトの長手方向に貫通する貫通孔24を設ける。
クリップ部材3を図5(a)に示す。クリップ部材3は、ベルト本体に設けられた凸状支持部を覆うように形成されたクリップ基部31とクリップ基部から搬送方向下手側にクリップ部32を延出する。このクリップ部材3は、この外形を持つ金型を図5(b)のベルト本体背面上に設置して、合成樹脂を射出注型して成形される。なお、ベルト背面に接触する側は、ベルト背面によって密閉されるのでベルト背面を金型の一部に利用する。この射出によって凸状支持部21に形成された貫通孔24内に合成樹脂が充填されて連結部34が形成され、この連結部34によって、クリップ基部31がベルト本体2の凸状支持部21に分離できないように固着される。図5(c)に、クリップ部材31をベルト背面に固着成形された状態を示す。クリップ部32及びクリップ脚部33のベルト背面に接する部分はベルト背面に密着して形成されている。クリップ脚部33は、クリップ部32が上方に開く方向に回動しようとした場合は、連結部34が支点となってクリップ脚部33がベルト背面に接触して抵抗となるので、平面状態に走行する場合はクリップ部32とベルト挟持背面22の間に紙シートなどの薄物を挟み込んで引っ張ることができる。
【0020】
ベルト本体に設けられた凸状支持部とクリップ基部との異なる連結手段の例を図6に示す。図6(a)はU字上の針状体25を凸状支持部21に突き刺した例である。この場合は、クリップ部材をアウトサート成形した場合に、針状体25がクリップ基部に内包される。図6(b)は、凸状支持部21に貫通孔24を形成すると共に直線状の針状体25を突き刺した例である。この例では、針状体25がクリップ基部に内包され、貫通孔24内にはクリップ部材の合成樹脂が充填される。図6(a)(b)とも凸状支持部とクリップ基部は複数箇所で固着されている。複数箇所で固着されることにより、クリップ部材を捻るような力に対して抵抗力が大きくなり、横ブレに対する抵抗が大きくなり、挟持姿勢の安定性を向上させることができる。針状体は、ステンレス、アルミニウム等の金属製の他樹脂製であってもよい。
【0021】
(ベルト背面平面部直接固着方式)
ベルト背面にクリップ部材を直接固着成型する例を示す。凸状支持体を設けることなくベルト背面に直接クリップ部材をアウトサートにより成形する手段を図7に示す。
ベルト本体の背面は先に述べたように離型剤が付着しているので、このままではアウトサートしてもクリップ部材とベルト本体とは接着することはない。このためベルト背面の一部の離型剤を脱脂処理などにより除去し、その部分がクリップ基部となるように金型を組み、アウトサートすることによりクリップ基部を直接ベルト本体に接合して固着することができる。離型剤の除去は化学的な脱脂処理の外、サンドブラストやグラインダーなどを用いて削除することもできる。
【0022】
図7は、ベルト本体2のベルト背面の固着部分26となる部分を脱脂処理して離型剤を除去し、この部分がクリップ部材の固着部分53とするクリップ基部51とし、このクリップ基部からクリップ部52を延出する。クリップ部52のベルト背面と対向する面がベルト背面とは固着していない非固着部分54を構成し、ベルト背面側の非固着部分27との間で紙シートなどの薄物を挟み込み挟持搬送することができる。この図示の例では、凸状支持部をベルト本体に設ける必要がないので、ベルト本体としては、通常の歯付きベルトなどを転用することができる。クリップ部材の形状は、凸状支持体を覆うように形成する必要が無く、フラットな形状に整形することもできる。
固着部分は、ベルトの横断方向に設けることができるので、横ブレなどのねじれに対しての抵抗力は大きく、安定した挟持姿勢を発揮することができる。
なお、脱脂処理は、凸状支持部に適用することもでき、この場合は、物理的な連結手段とこの接着手段の双方を用いることができるので、固着安定性が向上する。
【0023】
射出成形により直接ベルト本体の背面にクリップ部材を固着し接着するには、ベルト本体を構成する合成樹脂とクリップ部材を構成する合成樹脂の親和性が高い樹脂組成を組み合わせることが重要である。例えば、このような組み合わせとして、熱硬化性ポリウレタン系合成樹脂をベルト本体の構成樹脂とし、熱可塑性ポリウレタン系の合成樹脂をクリップ部材の構成樹脂とする組み合わせがある。
この熱硬化性ポリウレタンとして、約80℃に温調したPTMG(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)及びTDI(トリレンジイソシアネート)からなるNCO含有率が4.2%のプレポリマー100重量部と、約110℃に温調した3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン13重量部及びDOP(ジ-(2-エチルエキシル)フタレート)20重量部からなる硬化剤を混合し、加熱・硬化させた熱硬化性ポリウレタンと、寝熱可塑性ポリウレタンとして、エーテル型熱可塑性ポリウレタン樹脂であって、硬度は85°(JISA)、TRが40.25kgf/cmの組み合わせを例示することができる。
また、脱脂処理剤は、離型剤の種類に合わせて選択される。
【0024】
<挟持力向上手段>
本願発明は、クリップ部とベルト背面密着することにより挟持力を発揮する。この挟持力を安定して向上させる手段を講ずることができる。
例えば、図8に挟持面に凹凸を形成した例を示す。図8(a)は、クリップ部に対応するベルト本体の背面にベルト凹部28を形成し、このベルト凹部28を含むようにクリップ部材3をアウトサートすると、ベルト凹部28に対応するクリップ部凸部35がクリップ部32に形成される。この凹凸の噛み合いによって紙シートなどの薄物の滑り落ちを防止する作用を向上させることができる。図8(a)に示す凹凸の配分を逆にすることもできる。
図8(b)は、クリップ部に対応するベルト本体の背面にベルト凸部29を形成し、クリップ部32の下面は平面に形成した例である。ベルト凸部29によって挟持力が点状あるいは線状に集中するので、挟持摩擦力を向上させることができる。図8(c)は、クリップ部側にクリップ凸部35を形成した例である。
【0025】
図9にベルト背面側に向けて付勢力与えたクリップ部を形成し、挟持力を向上させる例を示す。ベルト本体2を大きく湾曲した状態に設置して、その状態で図5に示す成形と同様にしてクリップ部材3をアウトサート成形する(図9(a))。クリップ基部31及びクリップ部32は、ベルト背面の曲面に沿って湾曲状に形成される。クリップ部の先端は凸状支持部21の基端部よりΔd分下がった状態に成形されることになる。
【0026】
これを、搬送ベルトを平面に展開した状態を図9(b)に示す。平面状態では、クリップ部32の先端が上記したΔd分が真っ直ぐ伸ばされた状態となるので、Δd分がベルト本体2側への付勢力として発揮される。一方、クリップ基部31のベルト本体背面との接触部も押し上げ反力を受けるので、Δd分に加えた付勢力が生ずる。この例では、クリップ部の挟持付勢を向上させることができる。なお、図9(a)に示す成形湾曲は、搬送装置に使用されるプーリにベルトが掛け回された曲面より大きくする。両端のプーリの中間に曲面走行させる場合はその曲面よりも大きくする。このようにすることにより、搬送物の挟み込み又は開放する空間を確保することができる。
【0027】
(クサビ方式)
図10は凸状支持部材21より搬送方向上手側の搬送ベルト背面に小突起6を設けて、クリップ部材3のクリップ脚部33の裏面を押し上げて、支持部材21を支点としてクリップ部32をベルト背面に強く押し付ける構成である。これによりグリップ力は向上して、搬送ベルトが緩んでも紙葉類の挟み込みを維持することができる。小突起6を設けた場合でも、図11に示すように、プーリなどを利用することによりクリップ部に紙葉類を挟み込みや分離をすることができる。
【0028】
本発明のベルト本体は、熱硬化性合成樹脂を用いるのが一般的であるが、ゴムで形成することもできる。熱硬化性合成樹脂としては、熱硬化性ポリウレタン樹脂などが用いられる。
ベルトの形状は、歯付きベルト、Vベルト、平ベルトなどを採用することができる。タイミングベルトとして用いる場合は、歯付ベルトが適している。通常のベルト同様にアラミド繊維製などの芯線が埋設されている。歯部側は、帆布を被覆することもできる。
ベルト本体の製造は、前記したように従来の手段が用いられる。
【0029】
本発明のクリップ部材は、アウトサートできる合成樹脂であれば特に限定されないが、前記した、ベルト本体の背面に直接接着する場合は、親和性を考慮して選択する必要がある。このクリップ部材の材質としては、熱可塑性ポリウレタン樹脂などの熱可塑性エンジニアリングプラスチックを用いることができる。カプロエステル型あるいはエーテル型の熱可塑性ポリウレタン樹脂、アセタール樹脂(POM)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリカーボネート樹脂(PC)、アクリロノトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本願発明の搬送ベルトを用いた水平搬送装置を示す。
【図2】本願発明の搬送ベルトを用いた縦方向搬送装置を示す。
【図3】搬送ベルトのクリップ部材取付け部の拡大図を示す。
【図4】搬送ベルトの開放曲面部の構成例を示す。
【図5】ベルト背面に設けた凸状支持体に対するクリップ部材の成形連結例を示す。
【図6】ベルト背面に設けた凸状支持体に対するクリップ部材の成形連結別例を示す。
【図7】ベルト背面にクリップ部材を直接固着成型する例を示す。
【図8】クリップ部の摩擦部の形状(凹凸方式)の例を示す。
【図9】挟持付勢を持たせたクリップ部材の例を示す。
【図10】ベルト上手側に設けた小突起による狭持付勢構成を示す。
【図11】ベルト上手側に設けた小突起による狭持付勢構成による紙葉類の挟み込み及び開放空間構成を示す。
【図12】従来の押し方式の搬送ベルトの例を示す。
【符号の説明】
【0031】
1 搬送ベルト
11 プーリ
12 プーリ
2 ベルト本体
21 凸状支持部
22 ベルト挟持背面
23 内側に歯部
24 貫通孔
25 針状体
26 固着部分
27 非固着部分
28 ベルト凹部
29 ベルト凸部
3 ,3a,3b,3c クリップ部材
31 クリップ基部
32 クリップ部
33 クリップ脚部
34 連結部
35 クリップ部凸部
4 ,4a,4b,4c 紙シート
41 挿入
42 挟持中
43 開放
51 クリップ基部
52 クリップ部
53 固着部分
54 非固着部分
6 小突起
101 水平搬送装置
102 縦搬送装置
T 搬送方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂製のベルト背面とクリップ部の間に搬送対象物を挟持して搬送する搬送ベルトであって、
ベルト背面に非固着であって密着及び分離可能なクリップ部を有する合成樹脂製のクリップ部材をベルト背面に取り付け、クリップ部は搬送方向の下手側に向けて設定されている搬送用ベルトであって、
前記合成樹脂製のクリップ部材は、ベルト背面に射出成型にて固着成形されており、
前記合成樹脂製クリップ部材のクリップ部は、ベルトが平面状態においてベルト背面と密着し、ベルトが凸曲面状を走行するときに分離することを特徴とする搬送用ベルト。
【請求項2】
ベルトは、背面に凸状支持部を形成した熱硬化性樹脂製のベルトであって、
クリップ部材は、該凸状支持部を跨ぎ両側にベルト背面に密着する面を設けて射出成形され、凸状支持部に固着結合されており、搬送方向の下手側に位置する部分がクリップ部を構成することを特徴とする請求項1記載の搬送用ベルト。
【請求項3】
凸状支持部より搬送方向の上手側のベルト背面にクリップ部材を押し上げる小突起を設けたことを特徴とする請求項2記載の搬送用ベルト。
【請求項4】
ベルトの背面の一部を脱脂処理し、該脱脂処理部を固着部として合成樹脂製のクリップ部材を射出成形して形成し、脱脂処理部よりも搬送方向下手側にクリップ部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の搬送用ベルト。
【請求項5】
クリップ部材のクリップ部及び/又はベルトの背面に摩擦部を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の搬送用ベルト。
【請求項6】
摩擦部は、クリップ部及び/又はベルトの背面に設けた凸部あるいは歯合する凹凸であることを特徴とする請求項5に記載された搬送用ベルト。
【請求項7】
被搬送物が紙葉類、フィルム、布類、シートなどの薄物類であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載された搬送用ベルト。
【請求項1】
熱硬化性樹脂製のベルト背面とクリップ部の間に搬送対象物を挟持して搬送する搬送ベルトであって、
ベルト背面に非固着であって密着及び分離可能なクリップ部を有する合成樹脂製のクリップ部材をベルト背面に取り付け、クリップ部は搬送方向の下手側に向けて設定されている搬送用ベルトであって、
前記合成樹脂製のクリップ部材は、ベルト背面に射出成型にて固着成形されており、
前記合成樹脂製クリップ部材のクリップ部は、ベルトが平面状態においてベルト背面と密着し、ベルトが凸曲面状を走行するときに分離することを特徴とする搬送用ベルト。
【請求項2】
ベルトは、背面に凸状支持部を形成した熱硬化性樹脂製のベルトであって、
クリップ部材は、該凸状支持部を跨ぎ両側にベルト背面に密着する面を設けて射出成形され、凸状支持部に固着結合されており、搬送方向の下手側に位置する部分がクリップ部を構成することを特徴とする請求項1記載の搬送用ベルト。
【請求項3】
凸状支持部より搬送方向の上手側のベルト背面にクリップ部材を押し上げる小突起を設けたことを特徴とする請求項2記載の搬送用ベルト。
【請求項4】
ベルトの背面の一部を脱脂処理し、該脱脂処理部を固着部として合成樹脂製のクリップ部材を射出成形して形成し、脱脂処理部よりも搬送方向下手側にクリップ部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の搬送用ベルト。
【請求項5】
クリップ部材のクリップ部及び/又はベルトの背面に摩擦部を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の搬送用ベルト。
【請求項6】
摩擦部は、クリップ部及び/又はベルトの背面に設けた凸部あるいは歯合する凹凸であることを特徴とする請求項5に記載された搬送用ベルト。
【請求項7】
被搬送物が紙葉類、フィルム、布類、シートなどの薄物類であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載された搬送用ベルト。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−12896(P2009−12896A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174720(P2007−174720)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】
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