説明

搬送用ホース

【課題】ホース内面の摩耗損傷を防止することのできる搬送用ホースを提供する。
【解決手段】ホース2の内面全面を覆うようにセラミック粒体1が密に敷き詰められてなる搬送用ホースであって、前記セラミック粒体1はセラミック材料を用いてプレス成型により強固に形成されていて、セラミック粒体1の形は両端面が円形の軸芯方向長さが短い円柱状を呈しており、セラミック粒体1をホース2の内面全面を覆うように密に敷き詰めてホース2の内面をセラミック粒体1の一端面で形成される凹凸のないフラットな状態とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば穀物類や鉱石粉末などを搬送する搬送用ホース、詳しくはホース内面を摩耗させやすい穀物類や鉱石粉末などの被搬送物の搬送に好適な搬送用ホースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から穀物類や鉱石粉末などを搬送する搬送用ホースはゴムを主材料にして作られており、内面が被搬送物との摩擦により摩耗しやすいという問題がある。そこで、このような摩耗を防止し耐久性を向上するために、例えば特許文献1に開示されているように、ゴム材と、粉砕された硬質材及び/又は粉粒状の硬質材とを混合してなる混合物からなる機能性被覆材を搬送用ホースの内面に装着する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−254616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている機能性被覆材はゴム材と、粉砕された硬質材及び/又は粉粒状の硬質材とを混合してなる混合物からなるものであって、ゴム材と混ぜるために硬質材を粉粒状に破砕しなければならないという問題、この被覆材を内面に装着した搬送用ホース内に穀物類や鉱石粉末などを搬送したときに被覆材のゴム材が摩耗損傷するという問題などがある。
【0005】
本発明の目的は、このような課題を解決するものであり、ホース内面の摩耗損傷を防止することのできる搬送用ホースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の搬送用ホースは、ホースの内面全面を覆うようにセラミック粒体が密に敷き詰められてなる搬送用ホースであって、前記セラミック粒体はセラミック材料を用いてプレス成型により強固に形成されていて、セラミック粒体の形は両端面が円形の軸芯方向長さが短い円柱状を呈しており、セラミック粒体をホースの内面全面を覆うように密に敷き詰めてホースの内面をセラミック粒体の一端面で形成される凹凸のないフラットな状態としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、本発明の搬送用ホースは、セラミック粒体の一端面で形成されるホースの内面は全面が凹凸のないフラットな状態となり、ホース内に穀物類や鉱石粉末などの被搬送物が通るときにホース自体がセラミック粒体により保護されるとともに、セラミック粒体が被搬送物により削り取られることも少なくなり、長期に亘ってホースの内面を保護することができる。しかも、セラミック粒体の形は両端面が円形の軸芯方向長さが短い円柱状を呈しているので、隣接する3つのセラミック粒体で隙間が形成されることになり、その隙間が遊びとなり、ホースの可撓性を損なうようなこともない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の搬送用ホースの端部側から見た斜視図である。
【図2】同搬送用ホースに装着されるセラミック粒体の斜視図である。
【図3】同無数のセラミック粒体を布粘着テープの粘着面に密に載せた状態を示す平面図である。
【図4】同セラミック粒体をホース側に装着する手順を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態を、図1〜図4を用いて具体的に説明する。
図において、1はゴムを主材料にして作られた搬送用のホース2の内面全面を覆うように敷き詰められるセラミック粒体で、このセラミック粒体1はセラミック材料を用いてプレス成型により強固に形成されている。そして、このセラミック粒体1の形は両端面が円形の軸芯方向長さが短い円柱状を呈している。この小さい粒状のセラミック粒体1をホース2の内面全面に密に敷き詰めることによりホース2の内面全面を覆っている。
【0010】
ホース2の内面全面にセラミック粒体1を敷き詰めるタイミングとしては、ホース2自体が円筒状(ホース状)に作られる前の段階、つまりフラットな状態のときであり、そのときに内面側となる片面にセラミック粒体1が敷き詰められる。さらに詳しくは、セラミック粒体1をホース2の内面側となる片面に敷き詰める工程について述べると、先ず無数のセラミック粒体1が布粘着テープ3の粘着面に密に載せられる。そのとき、セラミック粒体1の一端側の端面が布粘着テープ3の粘着面に貼着保持される。このように布粘着テープ3の粘着面で保持された無数のセラミック粒体1の他端側の端面に接着剤を塗布し、この接着剤の塗布面に生ゴムシート4を貼り付ける。このように生ゴムシート4が貼り付けられた無数のセラミック粒体1を布粘着テープ3ごと掴んで、ホース2の内面側となる片面にセラミック粒体1と一体の生ゴムシート4を当てがう。かかる状態で生ゴムシート4に熱を掛けて加硫させることにより、生ゴムシート4のゴムが隣接する3つのセラミック粒体1で形成される隙間5を埋めるとともにホース2側と一体結合される。このように無数のセラミック粒体1が密に装着されたホース材料によりホース2が形成されるものである。
【0011】
この完成されたホース2の内面には前記布粘着テープ3が残ったままであり、被搬送物の種類、例えば搬送中に被搬送物との摩擦により発生する布粘着テープ3の小片が混ざっても影響がない鉱石粉末などの場合は布粘着テープ3をセラミック粒体1の一端面から剥さずに、ホース2を搬送用としてそのまま使用しても良いが、被搬送物が穀物のような食料の場合は布粘着テープ3をセラミック粒体1の一端面から剥しておく必要がある。なぜならば、搬送中の摩耗により発生する布粘着テープ3の小片が穀物に混ざってしまうと後の処理に問題があるからである。何れにしても、ホース2の内面は全面が凹凸のないフラットな状態でセラミック粒体1により保護されており、ホース2内に穀物類や鉱石粉末などの被搬送物が通るとき、セラミック粒体1が被搬送物により削り取られることも少なくなり、長期に亘ってホース2の内面を保護することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明の搬送用ホースは、例えば穀物類や鉱石粉末などを搬送する搬送用ホースである。
【符号の説明】
【0013】
1 セラミック粒体
2 ホース
3 布粘着テープ
4 生ゴムシート
5 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホースの内面全面を覆うようにセラミック粒体が密に敷き詰められてなる搬送用ゴースであって、前記セラミック粒体はセラミック材料を用いてプレス成型により強固に形成されていて、セラミック粒体の形は両端面が円形の軸芯方向長さが短い円柱状を呈しており、セラミック粒体をホースの内面全面を覆うように密に敷き詰めてホースの内面をセラミック粒体の一端面で形成される凹凸のないフラットな状態としたことを特徴とする搬送用ホース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−2066(P2011−2066A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147118(P2009−147118)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(508262504)
【Fターム(参考)】