説明

搬送用ローラ

【課題】 金属製の内筒部材とセラミック製の外筒部材とから構成される搬送用ローラにおいて、金属製の内筒部材とセラミック製の外筒部材との固定が緩むことにより外筒部材が空回りして、搬送する鋼板表面に傷や凹凸ができるという問題があった。
【解決手段】 金属製の内筒部材2とセラミック製の外筒部材3とからなり、内筒部材2の端部の外周側に設けた複数の押圧手段7が、シート状部材8を介して外筒部材3の端面を押圧することにより、内筒部材2が外筒部材3を保持している搬送用ローラ1である。押圧手段7によってシート状部材8を介して外筒部材3の端面を押圧することにより、押圧面積が大きくなり強固に軸方向の固定を行なうことができるので、外筒部材3の円周方向の空回りを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱間圧延ライン等において鋼板を搬送するために用いる搬送用ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種鉄鋼製品の材料となる鋼板や線材を製造する熱間圧延ラインに搬送用ローラが用いられてきた。この搬送用ローラは、1000℃以上の高温にまで加熱されて圧延された直後の鋼板や線材を、次の製品加工ラインや保管場所へ搬送するためのものである。
【0003】
図5は、複数の搬送用ローラが用いられる熱間圧延ラインにおける、鋼板や鉄鋼線材等の次工程への搬送の様子を示す、運搬ラインの概略図である。
【0004】
図5に示すように、熱間圧延ラインには複数の搬送用ローラ51が設置されており、熱間圧延直後の鉄鋼線材あるいは鋼板52は、搬送ローラ51上に載置され、不図示の回転駆動機構の回転駆動により回転軸53に取り付けられた搬送用ローラ51を回転させることによって、矢印方向の先にある次の製品加工ラインや保管場所へ搬送される。
【0005】
この熱間圧延ラインで用いる搬送用ローラ51には金属製ローラが用いられてきたが、金属製ローラは鋼板52との摩擦により磨耗しやすく、また耐熱性に劣ることから、近年においては、高い耐磨耗性と耐熱性とを備えたセラミック製ローラが用いられている。
【0006】
しかし、全体をセラミック製とした搬送用ローラ51は、磨耗に対する寿命という観点では望ましいが、高価であり、また複雑な形状や大型の搬送用ローラ51の製造は困難であった。
【0007】
このため、搬送する鋼板と接触する部分をセラミック製とし、他の部分を金属製とした複合構造の搬送用ローラが用いられるようになっている。このような搬送用ローラとすれば、鋼板が接触する搬送用ローラの外周部のみをセラミック製としているため、コストを低減でき、また、複雑な形状や大型の搬送用ローラであっても、セラミック部材は単に円筒状とした構成とすれば、容易に製造可能となる。
【0008】
しかしながら、高温の鋼板を搬送すれば、鋼板と接触するセラミック部材を通して金属部材に熱が伝わり、金属部材は膨張する。セラミック部材と金属部材との熱膨張差は一般的に非常に大きい(熱膨張率はセラミックス:2〜8×10−6/℃、金属:10〜20×10−6/℃)ことから、セラミック部材と金属部材との熱膨張差が原因で、セラミック部材が破損する、あるいはセラミック部材と金属部材との固定が緩んで空回りするという問題が生じていた。
【0009】
この問題に対し、セラミック部材と金属部材とから構成された搬送用ローラとして、例えば特許文献1には、金属軸にセラミック製の円筒状ローラ部材を装着し、当該ローラ部材をその両端面より前記金属軸に固定された金属フランジにて挾持するとともに、前記金属フランジに配置されたピンの先端部分を前記ローラ部材の端面に設けられた固定穴に挿入することにより、前記ローラ部材を金属フランジに固定した複合構造セラミックローラであって、前記固定穴が、前記ローラ部材の径方向に伸びる長軸を有する長穴である複合構造セラミックローラが提案されている。このようなローラ構造であれば、セラミック製のローラ部材と金属フランジとの熱膨張差によるローラ部材の破損が生じることがなく、ローラ部材の空回りを防止して、金属軸の駆動力をローラ部材に確実に伝達することができるというものである。
【0010】
また、特許文献2には、熱間圧延ラインにおいて鋼板を製造するのに用いるセラミック製ロールであって、1個または複数個のセラミック製スリーブを金属製軸材の外周に嵌着して構成され、金属製軸材の表面に、アルミニウム合金被覆層またはクロム合金被覆層を形成したセラミック製ロールが提案されている。そして、このセラミック製スリーブを、窒化珪素を主成分とする焼結体からなり、常温における熱伝導率が50W/(m・K)以上であるものとすることにより、加熱と冷却との熱サイクルの繰り返しによってもセラミック製スリーブが破損することを防止できるというものである。
【特許文献1】特開2000−335727号公報
【特許文献2】特開2005−169462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に提案されているセラミック製のローラ部材の構造では、セラミック製の円筒状ローラ部材の端面に設けられた複数の固定穴に、金属フランジに配置された複数のピンの先端部分を挿入することにより、ローラ部材の空回りを防止することが記載されているが、このような構造では、鋼板等の搬送物は重量物であるため、ピンに荷重が集中してしまい、ピンが荷重に耐えきれず破損するおそれがある。ピンが破損すると、ローラ部材が空回りして、摩擦により金属フランジのローラ部材との接触部が磨耗する。このため、ローラ部材の固定はますます緩み、ひどい場合には、ローラ部材が金属軸の中心線に対して垂直に固定されず傾いて固定された状態となり、ローラ部材の表面が搬送物に片当たりして、搬送物の表面に傷をつけるおそれがあった。
【0012】
また、特許文献2に提案されている搬送用ローラの構造では、軸材に中空円筒体であるセラミック製スリーブを金属製スリーブと交互に嵌め、これを軸材の両端から弾性部材を介して金属製締結部材で挟着したものであり、セラミック製スリーブの端面を金属製スリーブの端面および金属締結部材の端面で固定するため、ピンで固定した場合と比較してピンに荷重が集中して破損する等の不具合がなく、セラミック製スリーブの円周方向への空回りは防止することができると考えられる。しかしながら、搬送物を搬送する場合のセラミック製スリーブと金属製スリーブおよび金属締結部材との軸方向への熱膨張を考慮していないために、搬送の繰り返しによる熱サイクルで金属締結部材が膨張収縮を繰り返すうち、固定が緩みセラミック製スリーブが空回りしてしまい、搬送する鋼板の表面に傷や凹凸が生じるおそれがある。
【0013】
本発明は、上記課題を解決すべく案出されたものであり、セラミック部材と金属部材との固定が緩んで空回りすることなく高温の鋼板を搬送できる搬送用ローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の搬送用ローラは、金属製の内筒部材とセラミック製の外筒部材とからなり、前記内筒部材の端部の外周側に設けた複数の押圧手段が、シート状部材を介して前記外筒部材の端面を押圧することにより、前記内筒部材が外筒部材を保持していることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の搬送用ローラは、上記構成において、前記シート状部材が前記外筒部材の端面に沿ったリング状であることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の搬送用ローラは、上記いずれかの構成において、前記シート状部材が金属からなることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の搬送用ローラは、上記いずれかの構成において、前記シート状部材の表面の算術平均高さ(Ra)が0.5〜50μmであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の搬送用ローラによれば、金属製の内筒部材とセラミック製の外筒部材とからなり、前記内筒部材の端部の外周側に設けた複数の押圧手段が、シート状部材を介して前記外筒部材の端面を押圧することにより、従来の構造よりも外筒部材の端面の押圧面積を増加させ、外筒部材の端面に対する摩擦力を高めて、外筒部材を安定して保持し回転させることができるとともに、熱サイクルを受けた場合にも押圧手段により軸方向の固定が緩まないため、外筒部材が空回りすることを防止することができる。また、外筒部材に異常な外力が加わって、そのまま回転させたのでは外筒部材または内筒部材が破損しかねない状態になったときには、シート状部材と外筒部材の端面との間で、あるいはシート状部材と押圧手段との間で過大な抵抗力に対しては滑るようにもできるため、そのような状態に対して、ピンが破損するような問題を起こすことなく、外筒部材または内筒部材が破損することを防止することもできる。
【0019】
また、本発明の搬送用ローラによれば、前記シート状部材が前記外筒部材の端面に沿ったリング状であるときには、外筒部材の端面とシート状部材との接触面積を外筒部材の端面の全周にわたって確保してさらに増加させることができ、外筒部材の内筒部材へのより強固な固定を行なうことが可能となる。また、シート状部材がリング状であれば、搬送用ローラの組み立て時に、接着剤やテープ等の固定手段を用いなくても、押圧手段と外筒部材の端面との間にシート状部材を容易に配置することができる。
【0020】
さらに、本発明の搬送用ローラによれば、前記シート状部材が金属からなるときには、押圧手段で前記シート状部材の数ヶ所に局所的に強い押圧力を加えた際にもシート状部材が破損することがなく、良好な外筒部材への押圧力の付与を長期間にわたって維持することができる。
【0021】
また、本発明の搬送用ローラによれば、前記シート状部材の表面の算術平均高さ(Ra)が0.5〜50μmであるときには、シート状部材と外筒部材の端面との接触部における摩擦力を適度に増加させることができ、外筒部材の内筒部材への固定をより強固なものとすることが可能となる。また、回転に対する過大な抵抗力に対しては、外筒部材の端面または押圧手段との間で適度に滑らせることができ、外筒部材または内筒部材が破損することをより確実に防止することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の搬送用ローラの実施の形態の例について説明する。
【0023】
図1は、本発明の搬送用ローラの実施の形態の一例を示す、(a)は正面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線での断面図であり、(c)は(b)におけるS部の拡大図である。
【0024】
本発明の搬送用ローラ1は、回転軸4の外周部に嵌合された金属製の内筒部材2と、内筒部材2の外周部に嵌合されたセラミック製の外筒部材3と、内筒部材2の一方端に形成されたフランジ部5と、内筒部材2の他方端に締結されたリング状フランジ部材6と、フランジ部5に設けられた、外筒部材3の軸方向の固定を行なうための押圧手段7と、押圧手段7と外筒部材3の一方の端面との間に配置されたシート状部材8とから構成されている。また、金属製の内筒部材2とセラミック製の外筒部材3との間には、高温の鋼板を搬送した際に鋼板と接触する外筒部材3を通して伝わる熱によって金属製の内筒部材2が膨張することを考慮した、隙間9が設けられている。
【0025】
また、押圧手段7は、例えば図1(c)に示すような、ボルト等からなる固定手段7aと、皿ばねや板ばね等からなるばね部材7bと、凸部を有した可動部材7cとから構成されており、内筒部材2の端部の外周側であるフランジ部5に設けた、座繰り部を有する貫通穴内に配置されている。これにより、ボルト等からなる固定手段7aを締め付けると、ばね部材7bにより押された可動部材7cが外筒部材3の端面方向に移動し、可動部材7cの先端部がシート状部材8を介して外筒部材3の端面を押圧して、内筒部材2への外筒部材3の軸方向の固定を行なう。
【0026】
このように、本発明の搬送用ローラ1は、金属製の内筒部材2とセラミック製の外筒部材3とからなり、内筒部材2の端部の外周側に設けた複数の押圧手段7が、シート状部材8を介して外筒部材3の端面を押圧することにより、押圧手段7から付与される押圧力をシート状部材8の面全体に分散させて、広い範囲で外筒部材3の端面に伝達して外筒部材3を軸方向に固定しているので、外筒部材3の円周方向への空回りを防ぐことができる。
【0027】
このシート状部材8を配置していなければ、外筒部材3を軸方向に固定するために押圧手段7によって大きな押圧力を付与すると、接触する押圧手段7の可動部材7cの先端部と外筒部材3の端面とのいずれか、もしくは両方に変形,亀裂や破損が生じやすくなるおそれがある。また、外筒部材3の円周方向の空回りや、押圧手段7の可動部材7cの先端部や外筒部材3の端面に局部的に掛かる押圧力による変形,亀裂や破損等の不具合の発生を防ぐには、複数の押圧手段7の押圧力を均一に揃えることが望ましいが、このシート状部材8を用いれば、押圧手段7の可動部材7cの先端部よりも広い範囲において押圧力を発揮させることができるので、押圧手段7の可動部材7cの先端部や外筒部材3の端面に局部的に掛かる押圧力による変形,亀裂や破損等の不具合の発生を抑制し、押圧力を均一にするための調整の困難さを緩和することができる。
【0028】
また、シート状部材8は外筒部材3の端面や内筒部材2の端部の外周部に機械的に強固に固定されているものではないので、搬送対象物や異物等が外筒部材3に引っかかったりすること等によって外筒部材3に異常な外力が加わって、そのまま回転させたのでは外筒部材3または内筒部材2が破損しかねない状態になったときには、シート状部材8と外筒部材3の端面との間で、あるいはシート状部材8と押圧手段7の稼動部材7cの先端部との間で、外筒部材3による過大な抵抗力に対して滑らせるようにもできるため、そのような異常状態に対して、従来の搬送用ローラのようにピンが破損するような問題を起こすことなく、外筒部材3または内筒部材2が破損することを防止することもできる。
【0029】
そして、シート状部材8は、その表面が押圧手段7の可動部材7cの先端の押圧面の面積よりも大きく、押圧面積が増加できる形状であればどのような形状でもよい。しかしながら、シート状部材8は、搬送用ローラ1の組み立て時に押圧手段7と外筒部材3との間に配置させる部材であることを考慮すると、その形状を内筒部材2のフランジ部5に沿ったリング状とするのがより好適である。
【0030】
図2は、本発明の搬送用ローラにおけるシート状部材の実施の形態の一例を示す、(a)は正面図であり、(b)は(a)におけるB−B’線での断面図である。
【0031】
シート状部材8は、リング状以外の形状では、内筒部材2のフランジ部5に設けられた押圧手段7の数や位置や間隔に合わせて外筒部材3の端面にシート状部材8を接着剤やテープ等で貼り付けなければならず、組み立て工程が煩雑となる。これに対し、シート状部材8が図2に示すようにリング状であれば、押圧手段7の数や位置や間隔にとらわれることなく、内筒部材2のフランジ部5に設けられた押圧手段7と外筒部材3との間に配置させることができる。また、シート状部材8の厚さに関しては、内筒部材2のフランジ部5と外筒部材3との間に設けられる隙間9よりも小さく、かつ押圧手段7の可動部材7cの可動範囲よりも小さくする必要があり、押圧手段7からの押圧力によって変形や破損がなく、外筒部材3の端面へ押圧力を伝達できるように、ある程度の剛性を有する厚さとする必要があり、0.5〜5mmとするのが好ましい。
【0032】
さらに、シート状部材8の材質としては、金属,樹脂,セラミックス等様々な材質のものを適用可能であるが、押圧手段7の可動部材7cの先端部の押圧面から局部的な押圧力を受けても変形や破損等を生じることがなく、かつ受けた押圧力を外筒部材3の端面へ伝達できる剛性を有していなければならない。セラミックスを用いた場合には、剛性は有しているものの、厚みを厚くしなければ局部的な押圧力を受けて破損するおそれがある。樹脂を用いた場合には、押圧力を外筒部材3の端面へ伝達するための剛性が不足するため、より厚くしなければならない。そのため、0.5〜5mmの厚みにおいてある程度の剛性を有しながら破損の可能性が低い、金属とすることが好ましい。より好ましくは、金属の中でも強度および硬度が高く、しかも高温で酸化による劣化の少ないステンレス鋼を用いるのがよい。
【0033】
また、シート状部材8の表面は、押圧手段7の可動部材7cの先端部からの押圧力を外筒部材3の端面に伝達して外筒部材3の空回りをより確実に防止するために、表面の算術平均高さ(Ra)が0.5〜50μmであることが好ましい。これにより、シート状部材8と押圧手段7の可動部材7cの先端部および外筒部材3の端面との摩擦抵抗が増加して、それぞれの接触面で滑りを生じるおそれが少なくなり、空回りを防止することができる。これに対し、シート状部材8の表面の算術平均高さ(Ra)が0.5μm未満の平滑性が良好なシート状部材8では、摩擦抵抗が低く、それぞれの接触面で滑って空回りを生じるおそれがある。また、50μmを超える表面の算術平均高さ(Ra)にしようとすると、摩擦抵抗が大きいものの、外筒部材3に異常が生じて過大な抵抗力が発生したときに、シート状部材8が適度に滑って外筒部材3あるいは内筒部材2の破損を防止することが困難となる傾向があり、またシート状部材8の加工コストが著しく高くなるために好ましくない。なお、押圧手段7の可動部材7cの先端部および外筒部材3の端面の表面粗さについても、シート状部材8と同様の表面の算術平均高さ(Ra)の範囲とすれば、接触面での摩擦抵抗がより増加してそれぞれの接触面での滑りをさらに抑えて空回りを確実に防止することができ、内筒部材2が外筒部材3を強固に保持することができる。
【0034】
ここで、本発明の搬送用ローラ1を構成する各部材について詳細を説明する。
【0035】
図3は、本発明の搬送用ローラにおける外筒部材または内筒部材の実施の形態の一例を示す、(a)は外筒部材の正面図であり、(b)は(a)におけるC−C’線での断面図であり、(c)は内筒部材の正面図であり、(d)は(c)におけるD−D’線での断面図である。
【0036】
外筒部材3は、高温の鋼板や鉄鋼を始めとする線材と直接接触するために、耐熱性に優れ、鋼板や線材との耐磨耗性に優れるセラミックスにより構成する。具体的には、アルミナ,炭化珪素,窒化珪素,ジルコニアを主成分とするセラミックスを用いるのがよい。特に、窒化珪素は、高強度であり、熱膨張係数も低く、繰り返し高温の鋼板等を搬送した場合にも亀裂や破損を生じることがなく、各種金属との耐磨耗性にも優れているために、窒化珪素を主成分とするセラミックスにより外筒部材3を構成すれば、従来よりも優れた耐久性を有する搬送用ローラ1とすることができる。
【0037】
このように、材質をセラミックスとすることによって、応力が集中せず亀裂の発生や破損防止を図り、かつ加工しやすくして製造コスト低減を図るという点から、外筒部材3の形状は単純形状とすることが好ましく、図3(b)に示すように、円筒の両端の内面に、内筒部材2のフランジ部5およびリング状フランジ部材6と嵌合可能な段差部21を設けた形状とするのがよい。
【0038】
内筒部材2は、図3(c)および(d)に示すように、中心に回転軸4に嵌合するための穴部22が設けられた円筒状をしており、内筒部材2の一方の端部には、押圧手段7と締結するための2段の座繰り部が設けられた座繰り穴23が施されたフランジ部5が、内筒部材2の他方の端部には、リング状フランジ部材6を取り付けるための雄ねじ部24が設けられている。なお、座繰り穴23の内周には、後に押圧手段7の固定手段7aと締結するための雌ねじ部が設けてある。また、内筒部材2の材質としては、とりたてて優れた耐磨耗性や耐熱性が要求される訳ではないので、一般的な炭素鋼やステンレス鋼等の金属を用いればよく、穴部22に嵌合させる回転軸4との熱膨張差による不具合が生じないように、回転軸4と同材質のものを使用するのがよい。より好適には、金属を組み合わせた熱膨張係数の値の低い各種合金を用いれば、セラミック製の外筒部材3との熱膨張差を低く抑えられて、外筒部材3の破損を防止することができる。
【0039】
図4は、本発明の搬送用ローラにおけるリング状フランジ部材または押圧手段を構成する固定手段,ばね部材,可動部材の実施の形態の一例を示す、(a)はリング状フランジ部材の正面図であり、(b)は(a)におけるE−E’線での断面図であり、(c)の(i)〜(iii)は押圧手段を構成する固定手段,ばね部材,可動部材の正面図およびF−F’線での断面図である。
【0040】
リング状フランジ部材6は、図4(a)に示すように、外観形状がリング状をしており、その内周面には、図4(b)に示すように、内筒部材2の端部に設けられた雄ねじ部24に締結する雌ねじ部26が設けられている。リング状フランジ部材6の材質としては、熱膨張差を考慮すると、内筒部材2と同材質で構成するのがよい。また、外筒部材3を軸方向に強固に固定できるように、リング状フランジ部材6の外径を内筒部材2のフランジ部5と同等の外径として、できるだけ外筒部材3との大きな接触面積を得ることが好ましい。
【0041】
また、押圧手段7は、図4(c)の(i)に示す固定手段7a,(ii)に示すばね部材7bおよび(iii)に示す可動部材7cにより構成されている。固定手段7aは、断面が凸形状であり、大径部の外周には内筒部材2の座繰り穴23の内周に設けられた雌ねじ部と締結して固定するための雄ねじ部27が設けられ、先端にばね部材押圧部28を有している。ばね部材7bは、座繰り穴23の軸方向に圧縮するばねであり、可動部材7cは、断面が凸形状であり、座繰り穴23に可動部材7c,ばね部材7bを入れて、固定手段7aを締結することにより、ばね部材押圧部28がばね部材7bの表面29と接触し、固定手段7aを座繰り穴23へより深く締結させることで、ばね部材7bが座繰り穴23の軸方向と平行に圧縮されて可動部材7cを押圧することにより、シート状部材8を介して外筒部材3の端面を押圧する。押圧された可動部材7cは、その先端部30でもってシート状部材8を介して外筒部材3の端面を押圧するため、外筒部材3はリング状フランジ部材6との間で軸方向に固定されることとなる。また、これら押圧手段7の材質としては、固定手段7aは内筒部材2と同様の金属を用いて作製するのがよく、ばね部材7bは炭素鋼,ばね鋼(SUP),ステンレス鋼等を用いるのがよい。また、可動部材7cは、金属,セラミックスのどちらでもよいが、衝撃に対する粘り強さや、材料の価格や加工の容易さによる低コスト化を考慮すると、炭素鋼やステンレス鋼等の一般的な金属を用いて作製するのがよい。
【0042】
さらに、押圧手段7は、内筒部材2のフランジ部5に複数配置されるのがよい。押圧手段7の設置が1ヶ所である場合には、シート状部材8を介しても、その1ヶ所に対応した局所的な外筒部材3の端面の一部を部分的に押圧するのみとなり、外筒部材3をその軸方向に強固に固定することが困難となる。また、1ヶ所の押圧手段7による固定では、搬送用ローラ1の使用時の振動等が押圧手段7の固定手段7aの雄ねじ部27に集中して伝わり、ねじに緩みが生じることも考えられる。よって、押圧手段7は、内筒部材2のフランジ部5に対して、少なくとも2ヶ所以上の複数ヶ所に設置されるのがよい。
【0043】
さらに、押圧手段7は、フランジ部5において、内筒部材2の穴部22を中心として、図1(a)に示すように、左右対称あるいは等間隔となるように配置されるのがよい。これにより、シート状部材8を介して外筒部材3の端面へ均等に押圧力を付与することができ、外筒部材3の軸方向の固定をより確実で強固なものとすることができる。
【0044】
また、外筒部材3の両端部には、内筒部材2のフランジ部5およびリング状フランジ部材6と嵌合可能な段差部21が設けられているが、この段差部21は、内側にそれぞれ内筒部材2のフランジ部5とリング状フランジ部材6とが収まる寸法とすることが好ましい。これにより、内筒部材2のフランジ部5およびリング状フランジ部材6は、組み立てられた搬送用ローラ1において外筒部材3の段差部21に収まっていることとなる。このような構成であれば、本発明の搬送用ローラ1の軸方向の幅をより短くして搬送用ローラ1をコンパクト化することができ、搬送用ローラ1を外筒部材3の幅で隙間なく並列に配置することができるため、幅の広い鋼板のみでなく、幅の狭い鋼材や線材等の搬送にも使用することができる。内筒部材2のフランジ部5およびリング状フランジ部材6が段差部21に収まっていない場合には、搬送用ローラ1を並列に配置すると、段差部21に収まっていないフランジ部5およびリング状フランジ部材6同士が接触することがあるため、外筒部材3の幅で搬送用ローラ1を並列に配置できず、搬送用ローラ1同士の間に隙間を生じることとなる。このような構成では、搬送用ローラ1同士の間の隙間より細い線材や幅の狭い鋼板は、その隙間に落下するおそれがあるため好ましくない。
【0045】
なお、内筒部材2と外筒部材3との間に均一な隙間9を設けたまま両者を固定する方法については、図3(a)の正面の方向およびその背面の方向から搬送用ローラ1を見たときに外筒部材3との隙間9が均一となるように嵌合させればよいが、より精度よく均一な隙間9を設けてこれを維持しようとすれば、外筒部材3とリング状フランジ部材6の接触面をテーパ面とする方法や段差を設ける方法を用いることが可能である。
【0046】
このように、本発明の搬送用ローラ1は、金属製の内筒部材2とセラミック製の外筒部材3とからなり、内筒部材2の端部の外周側に設けた複数の押圧手段7が、シート状部材8を介して外筒部材3の端面を押圧することにより、従来の構造よりも外筒部材3の端面の押圧面積を増加させて軸方向の固定が緩まないため、外筒部材3が空回りすることを防止することができる。さらに、回転に対する外筒部材3の過大な抵抗力に対しては、シート状部材8を外筒部材3の端面または押圧手段7との間で適度に滑らせることができるので、外筒部材3あるいは内筒部材2の破損を防止することもできる。
【0047】
また、本発明の搬送用ローラ1は、シート状部材8が外筒部材3の端面に沿ったリング状であるときには、外筒部材3の端面とシート状部材8との接触面積をさらに増加させることができるとともに、内筒部材2のフランジ部5に設けられた押圧手段7と外筒部材3との間にシート状部材8を容易に安定して配置することができる。
【0048】
さらに、本発明の搬送用ローラ1は、シート状部材8が金属からなるときには、押圧手段7でシート状部材8に強い押圧力を加えたとしてもシート状部材8が容易に破損することがなく、良好な外筒部材3への押圧力の付与を長期間にわたって維持することができる。
【0049】
また、本発明の搬送用ローラ1は、シート状部材8の表面の算術平均高さ(Ra)が0.5〜50μmであるときには、シート状部材8と外筒部材3の端面との接触部における摩擦力を増加させることができ、また過大の抵抗力に対しては適度に滑らせることもできるので、内筒部材2が外筒部材3を強固に保持することができ、回転に対する異常な状態が発生した際の外筒部材3あるいは内筒部材2の破損を防止することもできる。
【0050】
このような構成の本発明の搬送用ローラ1は、シート状部材8を介して外筒部材3の端面を押圧して軸方向を固定していることによって外筒部材3が空回りすることがないので、図5に示すような鋼板52や線材の搬送ライン用の搬送用ローラ1として、長期間にわたって良好な搬送を実施することが可能である。
【実施例】
【0051】
本発明の搬送用ローラの実施例を以下に示す。
【0052】
本発明の実施の形態の一例である、図1に示した搬送用ローラ1を10個製造し、図5に概略構成を示す鋼板搬送ラインにて、鋼板を搬送する試験を実施した。以下に詳細を示す。
【0053】
<外筒部材の製作>
図3(a),(b)に示す、セラミック製の外筒部材3の製作を実施した。まず、予め造粒された窒化珪素2次原料を用意し、これを円筒形状の成形品が得られるゴム型に投入し、静水圧プレス成形装置(ラバープレス装置)を用いて円筒形状に成形した。しかる後、得られた窒化珪素成形体をゴム型から取り出し、段差部21を形成するために端面の内周に切削加工を施した。その後、焼成炉に入れて焼成し、焼成後にさらに研削加工を施して、外径Lが300mm,内径Mが250mm,幅Nが200mmであり、段差部21の内径Oが280mm,段差部21の軸に平行な方向の深さPが25mmの窒化珪素製の外筒部材3を10個得た。さらに、シート状部材8と接触する外筒部材3の段差部21の表面に、算術平均高さ(Ra)が5μmとなるようにブラスト加工を施した。
【0054】
<内筒部材の製作>
図3(c)および(d)に示す内筒部材2の製作を実施した。まず、外径Qが280mmのステンレス鋼棒を用意して、200mmの長さで切り出した。この切り出したステンレス鋼棒の中心をフライス加工により内径Rが100mmとなるように繰り抜き、円筒状とした。その後、円筒状のステンレス鋼の一方に肉厚Tが25mmのフランジ部5を形成するため、円筒状のステンレス鋼のフランジ部5を除く外周面を外径Uが250mmとなるように旋盤で加工し、円筒状のステンレス鋼の一方に肉厚Tが25mmのフランジ部5を形成した。次いで、フランジ部5に押圧手段7を配置するための貫通穴を4箇所設けるために、内径が10mmの穴加工をボール盤にて施し、さらに加工した穴に内径が14mm,深さが13mmと、内径が18mm,深さが10mmとの2つの座繰り部を形成し、2段の座繰り部を有した座繰り穴23とした。その後、円筒状のステンレス鋼の他方の端部に、M250の雄ねじ部24をねじ加工により形成し、さらに座繰り穴23の最外座繰り部の内径にM18の雌ねじ部をねじ加工により形成して、内筒部材2を10個得た。
【0055】
<リング状フランジ部材の製作>
図4(a)および(b)に示すリング状フランジ部材6として、外径Vが280mmのステンレス鋼棒を20mmの長さで切り出し、この切り出したステンレス鋼棒の中心部を内径Wが245mmとなるように繰り抜き、その内径に内筒部材2の端部に形成した雄ねじ部24と締結可能なM250の雌ねじ部26を形成して、リング状フランジ部材6を10個得た。
【0056】
<押圧手段の製作>
図4(c)の(i)に示す押圧手段7の固定手段7aとして、外径が20mmのステンレス鋼棒を15mmの長さで切り出し、この切り出したステンレス鋼棒の一方に外径が13.5mm,長さが5mmのばね部材押圧部28を形成した後、ばね部材押圧部28を除く外径部分にM18の雄ねじ部27を旋盤加工およびねじ加工により形成して、固定手段7aを40個得た。
【0057】
次に、図4(c)の(ii)に示す押圧手段8のばね部材8bとして、市販の皿ばね(JIS B2706−2001 呼び 7 外径が14mm,厚さが0.5mm,高さが0.9mm)を40個用意した。また、図4(c)の(iii)に示す押圧手段7の可動部材7cとして、外径が13.5mmのステンレス鋼棒を10mmの長さで切り出し、これに外径が9.5mm,長さが5mmとなるように旋盤で加工を施して可動部材の先端部30を形成し、先端部30の表面に粗い砥粒を用いて研磨加工を施して、表面粗さを5μmの算術平均高さ(Ra)とした可動部材7cを40個得た。
【0058】
<シート状部材の製作>
図2に示すシート状部材8として、内筒部材2と同材質のステンレス鋼板から、外径Jが278mm,内径Kが250mm,厚みが1mmのリング状のシート状部材8を10個切り出した。なお、内径Kについては、既に製造した内筒部材2に嵌合可能な公差をもって加工を実施した。次に、シート状部材8の両側の表面に粗い砥粒を用いて研磨加工を施し、算術平均高さ(Ra)を5μmとした。
【0059】
<組み立て工程>
次に、製作した部材の組み立てを行なった。まず、内筒部材2にシート状部材8および外筒部材3を嵌合させた。
【0060】
ここで、ステンレス鋼製の内筒部材2の外径Uと窒化珪素製の外筒部材3の内径Mとはともに250mmであったが、両部材の熱伝導率と熱膨張係数の違いから、両部材の境界部は1000℃前後の鋼板を搬送した場合に約200℃となり、両部材間に径方向で0.7〜0.75mm程度の熱膨張差が発生する。よって、予め内筒部材2の外径Uを249.25〜249.3mmとし、外筒部材3の内径Mを250〜250.05mmとして、この範囲内でそれぞれの部材を製作し、内筒部材2の外周と外筒部材3の内周との間に常温で予め最大0.8mmの隙間9が生じるようにした。同様に、内筒部材2のフランジ部5と外筒部材3の段差部21との接触部についても寸法の範囲を検討し、フランジ部5の外周と段差部21の内周との間に最大0.8mmの隙間9を設けられるようにした。
【0061】
次に、内筒部材2の端部に設けられた雄ねじ部24にリング状フランジ部材6の雌ねじ部26を締結させた。そして、4箇所の内筒部材2の座繰り穴23に押圧手段7となる可動部材7cを挿入して取り付け、次いで、ばね部材7bを挿入した後、固定手段7aの雄ねじ部27を座繰り穴23の内周部に設けられた雌ねじ部と締結させた。これにより、可動部材7cの先端部30が、図1(c)に示すように、シート状部材8を介して外筒部材3の端面である段差部21の底面に接触した状態となり、フランジ部5の外周と段差部21の内周との間に0.8mmの隙間9が維持される構造となっている本発明の搬送用ローラ1を10個組み立てた。
【0062】
<搬送試験>
次に、組み立てた本発明の搬送用ローラ1を、温度が1000℃前後の鋼板52を搬送するラインの回転軸4に取り付け、実際に鋼板52を搬送する試験を実施した。なお、本発明の搬送用ローラ1と試験結果を比較するため、従来の窒化珪素部材と金属部材とをピンによって固定した搬送用ローラ51を、別ラインに同位置となるようにして回転軸53に取り付けた。試験は、長さが10mの鋼板52を1日8時間搬送することを1週間繰り返し、試験後に搬送用ローラ1,51に破損等がないか観察することにより、本発明の搬送用ローラ1の有効性を確認した。
【0063】
<試験結果>
搬送試験の結果、従来の搬送用ローラ51は、10個中全て窒化珪素部材が空回りして、搬送する鋼板52の表面に傷や凹凸ができるという不具合が発生した。
【0064】
これと比較して、本発明の搬送用ローラ1は、長時間の搬送においても外筒部材3の空回りがなく、良好な表面のまま鋼板52を搬送することができた。また、熱膨張差の大きな金属製の内筒部材2とセラミック製の外筒部材3との組み合わせであっても、本発明の搬送用ローラ1の特徴的な構成である、金属製の内筒部材2とセラミック製の外筒部材3とからなり、内筒部材2の端部の外周側に設けた複数の押圧手段7が、シート状部材8を介して外筒部材3の端面を押圧して内筒部材2が外筒部材3を保持していることにより、外筒部材3について亀裂や破損等の発生がなく、良好に鋼板52の搬送が実施でき、長期間に渡って良好に使用できることも確認できる結果であった。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の搬送用ローラの実施の形態の一例を示す、(a)は正面図であり、(b)は(a)におけるA−A’線での断面図であり、(c)は(b)におけるS部の拡大図である。
【図2】本発明の搬送用ローラにおけるシート状部材8の実施の形態の一例を示す、(a)は正面図であり、(b)は(a)におけるB−B’線での断面図である。
【図3】本発明の搬送用ローラにおける外筒部材または内筒部材の実施の形態の一例を示す、(a)は外筒部材の正面図であり、(b)は(a)におけるC−C’線での断面図であり、(c)は内筒部材の正面図であり、(d)は(c)におけるD−D’線での断面図である。
【図4】本発明の搬送用ローラにおけるリング状フランジ部材または押圧手段を構成する固定手段,ばね部材,可動部材の実施の形態の一例を示す、(a)はリング状フランジ部材の正面図であり、(b)は(a)におけるE−E’線での断面図であり、(c)の(i)〜(iii)は押圧手段を構成する固定手段,ばね部材,可動部材の正面図およびF−F’線での断面図である。
【図5】従来および本発明の搬送用ローラが用いられる熱間圧延ラインにおける、鋼板や鉄鋼線材等の次工程への搬送の様子を示す、運搬ラインの概略図である。
【符号の説明】
【0066】
1:搬送用ローラ
2:内筒部材
3:外筒部材
4:回転軸
5:フランジ部
6:リング状フランジ部材
7:押圧手段
7a:固定手段
7b:ばね部材
7c:可動部材
8:シート状部材
9:隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の内筒部材とセラミック製の外筒部材とからなり、前記内筒部材の端部の外周側に設けた複数の押圧手段が、シート状部材を介して前記外筒部材の端面を押圧することにより、前記内筒部材が外筒部材を保持していることを特徴とする搬送用ローラ。
【請求項2】
前記シート状部材が前記外筒部材の端面に沿ったリング状であることを特徴とする請求項1に記載の搬送用ローラ。
【請求項3】
前記シート状部材が金属からなることを特徴とする請求項1または2に記載の搬送用ローラ。
【請求項4】
前記シート状部材の表面の算術平均高さ(Ra)が0.5〜50μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の搬送用ローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−82926(P2009−82926A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251573(P2007−251573)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】