説明

搬送装置、搬送システムおよび被搬送物の搬送方法

【課題】簡単な構成でカルバート体の搬送方向の転換の作業性を向上できる搬送装置を提供する。
【解決手段】溝状の搬送レール13内に沿って走行可能なコロ装置21f,21rを備える。コロ装置21f,21r上に位置し、カルバート体12を上部に載置する連結プレート22を備える。連結プレート22に回動軸45,46を備える。各コロ装置21f,21rに回動軸45,46を回動可能に、かつ、コロ装置21f,21rの走行方向に対して交差する方向に沿ってスライド可能に軸支する軸支部36を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溝状の搬送部内に沿って走行可能な搬送体を有する搬送装置、これを備えた搬送システム、および、被搬送物の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば暗渠、共同溝、あるいは地下道などの施工の際に、予め成形した複数のコンクリート製のカルバート体を連続的に設置することがある。その際、例えば交通事情や周辺の地形などの諸条件によって、現場にクレーン車などを移動させるスペースを充分に確保できない場合、カルバート体を設置面上で移動させて所定位置に順次据え付けて連結する。
【0003】
このようなカルバート体の移動の際には、作業性を考慮し、設置面に形成した一対の搬送部である案内溝上に搬送体であるコロ装置を配置し、これらコロ装置上に被搬送物であるカルバート体を載置して搬送する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このような方法において、カルバート体を搬送する方向と設置方向とが同一直線上にない場合、案内溝を屈曲させる必要がある。具体的には、一方の一対の案内溝と他方の一対の案内溝とを井桁状に互いに交差させて形成し、それらの交差位置にターンテーブルを配置して、カルバート体を交差位置でターンテーブルにより方向転換する方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2655762号公報(第2−4頁、図1)
【特許文献2】特開2003−129555号公報(第3−5頁、図6−7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の方法の場合、井桁状に交差させた案内溝やターンテーブルが必要になるなど、構成の簡略化が容易でないだけでなく、カルバート体を一方の案内溝に沿って交差位置まで搬送した後、カルバート体を一旦ジャッキアップしてコロ装置を一方の案内溝から取り外し、カルバート体をジャッキダウンしてターンテーブルに載置し、ターンテーブルとともにカルバート体を回転させた後にカルバート体を再度ジャッキアップし、コロ装置を他方の案内溝に取り付けた後、カルバート体を再度ジャッキダウンしてコロ装置上に載置するという工程が必要になるため、作業が煩雑であるという問題点を有している。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、簡単な構成で被搬送物の搬送方向の転換の作業性を向上できる搬送装置、これを備えた搬送システム、および、被搬送物の搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の搬送装置は、溝状の搬送部内に沿って走行可能な複数の搬送体と、これら搬送体上に位置し、被搬送物を上部に載置する支持体と、前記各搬送体と前記支持体とのいずれか一方に形成された回動軸と、前記各搬送体と前記支持体との他方に形成され、前記回動軸を回動可能に、かつ、前記搬送体の走行方向に対して交差する方向に沿ってスライド可能に軸支する軸支部とを具備したものである。
【0009】
請求項2記載の搬送装置は、請求項1記載の搬送装置において、各搬送体に配置され、搬送部の内側に接触することによりこの搬送部内での前記各搬送体の横滑りを規制する横滑り規制体を具備したものである。
【0010】
請求項3記載の搬送システムは、一方向に沿って直線状に形成された直線部、および、前記一方向に対して鋭角状に交差する他方向に沿って直線状に形成され前記直線部の端部に連続する連続直線部を備えた溝状の搬送部と、この搬送部に配置された請求項1または2記載の搬送装置とを具備したものである。
【0011】
請求項4記載の搬送システムは、請求項3記載の搬送システムにおいて、搬送部は、複数配置され、搬送装置は、前記搬送部のそれぞれに配置されているものである。
【0012】
請求項5記載の被搬送物の搬送方法は、請求項3または4記載の搬送システムを用いる被搬送物の搬送方法であって、搬送部を敷設し、搬送装置の各搬送体を前記搬送部に配置し、前記搬送体上に位置する支持体上に亘って被搬送物を載置し、前記搬送体を前記搬送部に沿って走行させることで前記被搬送物を前記搬送部に沿って搬送するものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の搬送装置によれば、別途の部材および別途の方向転換作業を要することなく、屈曲させた溝状の搬送部内に沿って複数の搬送体を走行させるだけで、回動軸での支持体の搬送体に対する相対的な回動および回動軸の軸支部でのスライドによる支持体の搬送体に対する相対的な移動とによって、支持体上に亘って配置した被搬送物の搬送方向を転換しつつ搬送できるので、簡単な構成で被搬送物の搬送方向の転換の作業性を向上できる。
【0014】
請求項2記載の搬送装置によれば、請求項1記載の搬送装置の効果に加えて、各搬送体により被搬送物を搬送する際の各搬送体の搬送部内での横滑りを横滑り規制体によって規制でき、搬送の作業性をより向上できるとともに、各搬送体が溝状の搬送部内の屈曲した部分を走行する際に、横滑り規制体によってより円滑に走行方向を転換できる。
【0015】
請求項3記載の搬送システムによれば、別途の部材および別途の方向転換作業を要することなく、溝状の搬送部の直線部内および連続直線部内に沿って複数の搬送体を走行させるだけで、回動軸での支持体の搬送体に対する相対的な回動および回動軸の軸支部でのスライドによる支持体の搬送体に対する相対的な移動とによって、支持体上の被搬送物の搬送方向を転換しつつ搬送できるので、簡単な構成で被搬送物の搬送方向の転換の作業性を向上できる。
【0016】
請求項4記載の搬送システムによれば、請求項3記載の搬送システムの効果に加えて、複数の搬送部のそれぞれに搬送装置を配置することにより、これら搬送装置の支持体上に亘って被搬送物を載置して搬送することで、被搬送物を安定的に搬送できる。
【0017】
請求項5記載の被搬送物の搬送方法によれば、敷設した搬送部に各搬送体を配置し、これら搬送体上に位置する支持体上に亘って被搬送物を載置して、搬送部の直線部内と連続直線部内とに亘って各搬送体を走行させると、別途の部材および別途の方向転換作業を要することなく、回動軸での支持体の搬送体に対する相対的な回動および回動軸の軸支部でのスライドによる支持体の搬送体に対する相対的な移動とによって、支持体上の被搬送物の搬送方向を転換しつつ搬送できるので、簡単な構成で被搬送物の搬送方向の転換の作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態の搬送システムを用いた被搬送物の搬送方法の一部を示す説明平面図である。
【図2】同上被搬送物の搬送方法の他の一部を示す説明平面図である。
【図3】同上被搬送物の搬送方法のさらに他の一部を示す説明平面図である。
【図4】同上被搬送物の搬送方法のさらに他の一部を示す説明平面図である。
【図5】同上被搬送物の搬送方法のさらに他の一部を示す説明平面図である。
【図6】同上被搬送物の搬送方法のさらに他の一部を示す説明平面図である。
【図7】同上被搬送物の搬送方法のさらに他の一部を示す説明平面図である。
【図8】同上被搬送物の搬送方法のさらに他の一部を示す説明平面図である。
【図9】同上被搬送物の搬送方法のさらに他の一部を示す説明平面図である。
【図10】同上被搬送物の搬送方法のさらに他の一部を示す説明平面図である。
【図11】同上被搬送物の搬送方法のさらに他の一部を示す説明平面図である。
【図12】同上被搬送物の搬送方法のさらに他の一部を示す説明平面図である。
【図13】同上被搬送物の搬送方法のさらに他の一部を示す説明平面図である。
【図14】同上被搬送物の搬送方法のさらに他の一部を示す説明平面図である。
【図15】同上被搬送物の搬送方法のさらに他の一部を示す説明平面図である。
【図16】同上搬送システムの搬送装置の搬送体を示す平面図である。
【図17】図16のA−A断面図である。
【図18】同上搬送装置の支持体を搬送装置側から示す平面図である。
【図19】同上搬送装置を示す分解正面図である。
【図20】同上搬送システムおよび被搬送物を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態の構成を図1ないし図20を参照して説明する。
【0020】
図1ないし図15において、11は搬送システムを示し、この搬送システム11は、例えば暗渠、共同溝、あるいは地下道などの施工の際に、予め成形した複数のコンクリート製の被搬送物、すなわち重量物であるコンクリートブロックとしての角筒状のカルバート体12(図20)を、その搬送方向を転換しつつ搬送して連続的に設置するためのものである。
【0021】
そして、この搬送システム11は、搬送部としての案内溝である溝状の搬送レール13と、この搬送レール13に配置された搬送装置14とを有している。
【0022】
搬送レール13は、断面U字状に形成されており、例えば予め溝形鋼などを工場などにて加工したものを、持ち運びできるように細かいパーツに分解し、これらパーツを現場にて溶接などにより一体化して製作されている。そして、この搬送レール13は、一方向に沿って直線状の直線部15と、この直線部15の端部に、一方向と鋭角状に交差する他方向に沿って連続する直線状の連続直線部16とを一体に備えている。
【0023】
また、搬送装置14は、複数、例えば一対の(第1および第2の)搬送体としての(第1および第2の)コロ装置21f,21rと、これらコロ装置21f,21r間に亘って配置された長尺の支持体としてのトッププレートである連結プレート22とを有しており、コロ装置21f,21rが搬送レール13内に配置されている。なお、コロ装置21fとコロ装置21rとは、互いに基本的に同様の構成を有しており、以下、これらコロ装置21f,21rのいずれか、あるいは全体を単にコロ装置21ということがある。
【0024】
コロ装置21としては、例えばチルタンク(登録商標)などが用いられる。このコロ装置21は、図16、図17および図19に示すように、四角形板状の載置部としての上板25の下部に、左右一対の側板26,27がそれぞれ形成されており、これら一対の側板26,27の間に図示しない中板が上板25と略平行、すなわち水平状に固定され、この図示しない中板の上下に亘って、図示しない左右一対の無端状のチェーンにて軸着連結された略円柱形状の複数の回転部材であるコロ28が転動可能に配置され、さらに、側板26,27の端部である前端部に、上下方向に沿って軸方向を有する、すなわち水平状の横滑り規制体としての回動体であるベアリング29,30が左右幅方向に離間されて配置されている。そして、コロ装置21は、左右幅方向に略線対称に形成されている。また、コロ装置21fは、走行方向の一端側である前側(図中の上側)に配置され、コロ装置21rは、走行方向の他端側である後側(図中の下側)に一対配置されている。なお、コロ装置21は、前後なく走行可能なものであるが、便宜的に図中の上側を前側、下側を後側と呼ぶことにする。
【0025】
上板25の上部は、コロ装置21が搬送レール13上に配置された状態で、搬送レール13の上部よりも上方に位置している。また、上板25の上部には、平面視で円形状の凹部33が前後左右に列をなして規則的に配置されている。これら凹部33には、連結プレート22との間の潤滑性を確保するために、図示しないペースト状の潤滑剤が保持されている。さらに、上板25の上面の端部側、すなわち前端側には、長穴状の軸支凹部34が凹設されており、この軸支凹部34の中央部に、連結プレート22を軸支するための軸支孔35が上板25を上下に貫通して形成されている。これら軸支凹部34と軸支孔35とにより、軸支部36が構成されている。そして、軸支凹部34および軸支孔35は、それぞれ左右幅方向に沿って長手状に形成されている。
【0026】
また、ベアリング29,30は、一部が上板25の前部から外方である前方へと突出しているとともに、上板25の両側部に対して内方に位置し、上板25の両側方には突出していない。
【0027】
また、連結プレート22は、図1ないし図15に示すように、直線状に形成されており、コロ装置21f,21rを連結している。さらに、連結プレート22は、両端部に幅広の(一および他の)連結部41,42が形成されており、これら連結部41,42の下部には、図18および図19に示すように、(一および他の)円形板状のスライド部43,44が形成され、このスライド部43,44の中央部には、(一および他の)回動軸45,46が下方に向けて突出して形成されている。
【0028】
連結部41,42は、コロ装置21の上板25と略等しい、あるいは上板25よりも大きい幅寸法を有しており、かつ、コロ装置21の長手寸法よりも大きい長手寸法を有している。また、これら連結部41,42の下面には、平面視で円形状の支持体側凹部としてのプレート凹部48,49が前後左右に列をなして規則的に配置されている。これらプレート凹部48,49には、コロ装置21との間の潤滑性を確保するために、図示しないペースト状の潤滑剤が保持されている。
【0029】
スライド部43,44は、軸支部36の軸支凹部34に嵌合し、回動軸45,46は、軸支部36の軸支孔35に嵌合して抜け止めされている。このため、連結プレート22は、コロ装置21に対して回動軸45,46を中心として相対的に回動可能となっている。
【0030】
また、連結プレート22のスライド部43および回動軸45は、コロ装置21fの軸支凹部34および軸支孔35に軸支され、連結プレート22のスライド部44および回動軸46は、コロ装置21rの軸支凹部34および軸支孔35に軸支されている。
【0031】
ここで、本実施の形態において、図1ないし図15に示すように、搬送レール13は一対敷設されており、搬送装置14もそれぞれの搬送レール13に配置されている。以下、搬送レール13のうち、カルバート体12の屈曲した搬送方向の内側、ここでは右側に位置するものを、便宜的に一の搬送部としての内側搬送レール13aとし、カルバート体12の屈曲した搬送方向の外側に位置するものを、便宜的に他の搬送部としての外側搬送レール13bとし、内側搬送レール13aに配置した搬送装置14を、便宜的に一の搬送装置としての内側搬送装置14aとし、外側搬送レール13bに配置した搬送装置14を、便宜的に他の搬送装置である外側搬送装置14bとする。なお、以下、搬送レール13a,13bのいずれか、あるいは全体を単に搬送レール13といい、搬送装置14a,14bの少なくともいずれか、あるいは全体を単に搬送装置14ということがある。
【0032】
搬送レール13a,13bは、互いに略平行に配置されている。すなわち、搬送レール13a,13bは、直線部15a,15b間の間隔D1と連続直線部16a,16b間の間隔D2とが略等しい状態を保ったまま、内側搬送レール13a側である図中右側へと所定の角度α(0°<α<90°)で傾斜して屈曲している。また、搬送レール13a,13bの直線部15a,15bと連続直線部16a,16bとの連続部51a,51bは、仮想的な直線L上に位置している。
【0033】
また、内側搬送装置14aのコロ装置21faと外側搬送装置14bのコロ装置21fbとは、走行方向に対して互いに略等しい位置に配置されており、内側搬送装置14aのコロ装置21raと外側搬送装置14bのコロ装置21rbとは、走行方向に対して互いに略等しい位置に配置されている。すなわち、これらコロ装置21fa,21fb,21ra,21rbは、長方形、あるいは正方形などの四角形の頂点にそれぞれ位置している。
【0034】
なお、内側搬送装置14aの(一の)連結プレート22aと外側搬送装置14bの(他の)連結プレート22bとは、互いに連結されていてもよい。
【0035】
次に、上記一実施の形態のカルバート体12の搬送方法を説明する。
【0036】
まず、搬送レール13a,13bを、施工現場の基礎コンクリートなどの足場に互いに平行に敷設する。
【0037】
次いで、搬送レール13a,13bに搬送装置14a,14bを配置し、連結プレート22a,22bに亘って、カルバート体12をクレーンなどにより載置する(図1)。ここでは、便宜的に直線部15a,15bの連続直線部16a,16bとの連続部51a,51bと反対側の端部を始点とし、この始点に搬送装置14a,14bを配置するものとする。この状態で、コロ装置21fa,21fb,21ra,21rbを、カルバート体12とともに、直線部15a,15bに沿って前側へと走行させる。これらコロ装置21fa,21fb,21ra,21rbの走行は、例えばカルバート体12を後側から前側へと押すとともに、例えば前側からコロ装置21fa,21fbに結びつけたロープなどの図示しない引っ張り部材を引っ張ることにより行われる。この結果、カルバート体12が直線部15に沿って直線状に搬送される。なお、連結プレート22の回動軸45,46およびスライド部43,44は、コロ装置21f,21rの軸支孔35,35および軸支凹部34,34の中央部に位置している。換言すれば、連結プレート22とコロ装置21f,21rとは、互いに幅方向の中心位置が略等しい位置となっている。
【0038】
ここで、コロ装置21faが連続部51aに差し掛かると、このコロ装置21faのベアリング30が連続直線部16aの内側と接触することにより、コロ装置21faが回動(傾斜)しながら前進する(図2)。
【0039】
このとき、連結プレート22aの回動軸45,46間の距離は一定である一方で、コロ装置21faの図中の上下方向(直線部15に沿う方向)の移動距離とコロ装置21raの上下方向(直線部15に沿う方向)の移動距離とが異なることにより、これらコロ装置21fa,21ra間には、図中の上下方向(直線部15に沿う方向)の移動距離差(内輪差)が生じる。この移動距離差は、連結プレート22aの回動軸45およびスライド部43が、コロ装置21faの軸支孔35および軸支凹部34内で徐々に相対的に回動しつつこれら軸支孔35および軸支凹部34に沿って徐々に相対的に図中の左側(搬送レール13の屈曲方向と反対方向)へとスライドすることで吸収される(図3)。
【0040】
そして、連結プレート22aの回動軸45およびスライド部43が、コロ装置21faの軸支孔35および軸支凹部34内で最大に(図中の左端まで)スライドした後(図4)、これら連結プレート22aの回動軸45およびスライド部43とコロ装置21faの軸支孔35および軸支凹部34の各端部との接触(当接)によって、このコロ装置21faとともに連結プレート22aの前側(連結部41側)が連続直線部16a側へとさらに回動することで、連結プレート22aが直線部15aに対して傾斜を開始し、上記移動距離差をさらに吸収する。すなわち、連結プレート22aの後側(連結部42側)がコロ装置21raに対して回動軸46およびスライド部44にて回転する。したがって、連結プレート22a上に載置されたカルバート体12が回転(旋回)、すなわち方向転換を開始する。なお、連結プレート22aの傾斜に伴うカルバート体12の方向転換により、このカルバート体12を支持している連結プレート22bの前側(連結部41側)も連結プレート22aと同方向へと、この連結プレート22aと略平行な状態を保ちつつ傾斜を開始する。このため、連結プレート22bの回動軸45およびスライド部43が、コロ装置21fbの軸支孔35および軸支凹部34に沿って徐々に回動しつつ相対的に図中の右側(搬送レール13の屈曲方向)へとスライドするとともに、連結プレート22bの回動軸46およびスライド部44が、コロ装置21rbの軸支孔35および軸支凹部34内で徐々に回動する(図5)。
【0041】
さらに、コロ装置21faが連続直線部16a内に完全に移行し、この連続直線部16aに沿って走行するとともに、コロ装置21raが直線部15aに沿って走行する。このとき、コロ装置21fa,21ra間の移動距離差(内輪差)のうち、連結プレート22aの回動軸45およびスライド部43のコロ装置21faの軸支孔35および軸支凹部34での回動およびスライドにより吸収できない部分を、連結プレート22aの回動軸46およびスライド部44がコロ装置21raの軸支孔35および軸支凹部34で徐々に回動しつつスライドすることにより吸収する。すなわち、連結プレート22aの傾斜、換言すればカルバート体12の回転角度が徐々に大きくなる。なお、連結プレート22bは、連結プレート22aと略平行な状態を保つように傾斜が徐々に大きくなる。すなわち、連結プレート22bの前側(連結部41側)の回動軸45およびスライド部43が、コロ装置21fbの軸支孔35および軸支凹部34で徐々に相対的に回動しつつスライドする(図6)。
【0042】
次いで、搬送装置14a,14bがさらに前進し、カルバート体12がさらに回転して、コロ装置21fbが連続部51bに差し掛かり、このコロ装置21fbのベアリング30が連続直線部16bの内側と接触することにより、コロ装置21fbが回動(傾斜)を開始する(図7)。この段階で、連結プレート22bの前側(連結部41側)の回動軸45およびスライド部43は、コロ装置21fbの軸支孔35および軸支凹部34内で図中の右側(搬送レール13の屈曲方向)に最大にスライドした状態となっているので、連結プレート22bの後側(連結部42側)の回動軸46およびスライド部44が、コロ装置21rbの軸支孔35および軸支凹部34に沿って徐々に相対的にスライドすることで、コロ装置21fbとコロ装置21rbとの移動距離差(外輪差)を吸収する。したがって、連結プレート22b上に載置されたカルバート体12がさらに回転する。なお、連結プレート22bの傾斜に伴うカルバート体12の方向転換により、このカルバート体12を支持している連結プレート22aの後側(連結部42側)も連結プレート22bと同方向へと略平行な状態を保つように傾斜が徐々に大きくなる。このため、連結プレート22aの後側(連結部42側)の回動軸46およびスライド部44が、コロ装置21raの軸支孔35および軸支凹部34に沿って徐々に相対的に回動しつつ図中の左側(搬送レール13の屈曲方向に対して反対方向)へとスライドする(図8)。
【0043】
また、コロ装置21fbが連続直線部16b内に完全に移行し、この連続直線部16bに沿って走行する。すなわち、この状態では、コロ装置21fa,21fbがそれぞれ連続直線部16a,16bに沿って走行し、コロ装置21ra,21rbがそれぞれ直線部15a,15bに沿って走行する(図9)。したがって、コロ装置21fa,21ra間の移動距離差(内輪差)、および、コロ装置21fb,21rb間の移動距離差(外輪差)のそれぞれが、連結プレート22a,22bのそれぞれの回動軸45,46およびスライド部43,44が対応する各軸支孔35および軸支凹部34で徐々に回動、換言すれば連結プレート22a,22bが徐々に傾斜することで吸収される。このため、カルバート体12は、さらに連続直線部16に沿うように徐々に方向転換する(図10)。
【0044】
そして、コロ装置21rbが連続部51bに差し掛かると、このコロ装置21rbのベアリング30が連続直線部16bの内側と接触することにより、コロ装置21rbが回動(傾斜)しながら前進する(図11)。このとき、連結プレート22bの後側(連結部42側)の回動軸46およびスライド部44が、コロ装置21rbの軸支孔35および軸支凹部34内で徐々に相対的に回動しつつこれら軸支孔35および軸支凹部34に沿って徐々に相対的に図中の左側へとスライドすることに伴い、連結プレート22bの前側(連結部41側)の回動軸45およびスライド部43が、コロ装置21fbの軸支孔35および軸支凹部34内で徐々に相対的に回動しつつこれら軸支孔35および軸支凹部34に沿って徐々に相対的に図中の右側へとスライドすることで、コロ装置21fbとコロ装置21rbとの移動距離差(外輪差)を吸収する(図12)。したがって、連結プレート22b上に載置されたカルバート体12がさらに回転する。なお、連結プレート22bの傾斜に伴うカルバート体12の方向転換により、このカルバート体12を支持している連結プレート22aも連結プレート22bと同方向へと略平行な状態を保つように傾斜が徐々に大きくなる。このため、連結プレート22aの回動軸45,46およびスライド部43,44が、コロ装置21fa,21raの軸支孔35,35および軸支凹部34,34に沿って徐々に相対的に回動しつつスライドする。
【0045】
さらに、コロ装置21rbが連続直線部16b内に完全に移行し、この連続直線部16bに沿って走行する(図13)。すなわち、コロ装置21fb,21rbがともに連続直線部16bに沿って走行するため、これらコロ装置21fb,21rb間の移動距離差(外輪差)はなくなる。このとき、連結プレート22bの回動軸45,46およびスライド部43,44は、コロ装置21fb,21rbの軸支孔35,35および軸支凹部34,34の中央部に位置している。一方、コロ装置21raは依然として直線部15aに沿って走行しているため、コロ装置21fa,21ra間には移動距離差(内輪差)が生じている。この移動距離差は、連結プレート22aの傾斜(回動)によって吸収される。すなわち、連結プレート22aの回動軸45,46およびスライド部43,44がコロ装置21fa,21raの軸支孔35,35および軸支凹部34,34で徐々に相対的に回動しつつスライドすることで、連結プレート22aの傾斜、換言すればカルバート体12の回動角度が連続直線部16aに沿うように徐々に大きくなり、上記移動距離差が吸収される。この回動により、連結プレート22aの前側(連結部41側)の回動軸45およびスライド部43は、コロ装置21faの軸支孔35および軸支凹部34の中央部に位置する。なお、連結プレート22bは、連結プレート22aと略平行な状態を保つように傾斜が徐々に大きくなる。すなわち、連結プレート22bの回動軸45,46およびスライド部43,44が、コロ装置21fb,21rbの軸支孔35,35および軸支凹部34,34で徐々に相対的に回動しつつスライドする。
【0046】
そして、コロ装置21raが連続部51aに差し掛かると、このコロ装置21raのベアリング30が連続直線部16aの内側と接触することにより、コロ装置21raが回動(傾斜)しながら前進する。このとき、連結プレート22aの後側(連結部42側)の回動軸46およびスライド部44が、コロ装置21rbの軸支孔35および軸支凹部34内で徐々に相対的に回動しつつこれら軸支孔35および軸支凹部34に沿って徐々に相対的に図中の左側へとスライドする(図14)。この結果、連結プレート22aの後側(連結部42側)の回動軸46およびスライド部44は、コロ装置21rbの軸支孔35および軸支凹部34の中央部に位置する。この段階で、連結プレート22a,22bは、それぞれ連続直線部16a,16bに対して略平行となっており、したがってカルバート体12も連続直線部16に沿う方向への搬送方向の転換が完了している。このため、コロ装置21raの回動の際には、連結プレート22aの後側(連結部42側)の回動軸46およびスライド部44が、コロ装置21raの軸支孔35および軸支凹部34内で徐々に相対的に回動するのみで略スライドすることがなく、連結プレート22a,22bの傾斜、すなわちカルバート体12のさらなる方向転換は行われない。そして、コロ装置21raが連続直線部16a内に完全に移行し、この連続直線部16aに沿って走行する(図15)。したがって、コロ装置21fa,21ra,21fb,21rbは、全て連続直線部16に沿って走行することとなり、これらの間に移動距離差は生じない。
【0047】
この状態で、作業者はカルバート体12を所定の据え付け位置である終点まで搬送する。搬送が終了すると、作業者はカルバート体12をジャッキアップし、コロ装置21fa,21raおよびコロ装置21fb,21rbを、連結プレート22aおよび連結プレート22bにより一体的に連続直線部16aおよび連続直線部16bからそれぞれ取り外す。そして、カルバート体12をジャッキダウンして据え付け位置に設置する。
【0048】
このように、上記一実施の形態によれば、例えばターンテーブルなどの別途の部材、および、搬送レール13(搬送レール13a,13b)の屈曲部での別途の方向転換作業を要することなく、屈曲させた溝状の搬送レール13、すなわち直線部15(直線部15a,15b)と連続直線部16(連続直線部16a,16b)とを有する搬送レール13(搬送レール13a,13b)の直線部15(直線部15a,15b)および連続直線部16(連続直線部16a,16b)の内部に沿ってコロ装置21f,21r(コロ装置21fa,21fb,21ra,21rb)を走行させるだけで、回動軸45,46での連結プレート22(連結プレート22a,22b)のコロ装置21f,21r(コロ装置21fa,21fb,21ra,21rb)に対する相対的な回動および回動軸45,46の軸支部36(軸支孔35,35)でのスライドによる連結プレート22(連結プレート22a,22b)のコロ装置21f,21r(コロ装置21fa,21fb,21ra,21rb)に対する相対的な移動とによって、連結プレート22(連結プレート22a,22b)上に亘って配置したカルバート体12の搬送方向を転換しつつ搬送できるので、簡単な構成でカルバート体12の搬送方向の転換の作業性を向上できる。
【0049】
すなわち、搬送レール13(搬送レール13a,13b)の屈曲部で方向転換作業を行うことなく、カルバート体12を連結プレート22(連結プレート22a,22b)上に載置したコロ装置21f,21r(コロ装置21fa,21fb,21ra,21rb)を搬送レール13(搬送レール13a,13b)に沿って走行させる一連の作業で、カルバート体12の搬送方向を転換でき、狭隘な場所であってもカルバート体12の搬送方向の転換が容易となる。
【0050】
特に、被搬送物であるカルバート体12は重量物であるため、搬送方向の転換が容易でない。したがって、上記のようにコロ装置21f,21b(コロ装置21fa,21fb,21ra,21rb)を屈曲状の搬送レール13(搬送レール13a,13b)に沿って走行させるだけで方向転換を可能とすることで、重量物であるカルバート体12であっても、容易に方向転換が可能となる。
【0051】
しかも、搬送レール13(搬送レール13a,13b)の屈曲部も、例えばターンテーブルを用いる従来例と異なり、井桁状とすることなく屈曲させる構成とするだけでよく、使用する溝型鋼を減らすことができ、コストを低減できる。
【0052】
また、各コロ装置21f,21r(コロ装置21fa,21fb,21ra,21rb)によりカルバート体12を搬送する際の各コロ装置21f,21r(コロ装置21fa,21fb,21ra,21rb)の搬送レール13(搬送レール13a,13b)内での横滑りをベアリング29,30によって規制でき、搬送の作業性をより向上できるとともに、各コロ装置21f,21r(コロ装置21fa,21fb,21ra,21rb)が溝状の搬送レール13(搬送レール13a,13b)内の屈曲部を走行する際に、ベアリング30によってより円滑に走行方向を転換できる。
【0053】
さらに、搬送レール13a,13bに搬送装置14a,14bを配置することにより、これら搬送装置14a,14bの連結プレート22a,22b上に亘ってカルバート体12を載置して搬送することで、カルバート体12を安定的に搬送できる。
【0054】
そして、コロ装置21f,21r(コロ装置21fa,21fb,21ra,21rb)を連結プレート22(連結プレート22a,22b)によって連結することにより、例えば終点までカルバート体12を搬送した後にカルバート体12をジャッキアップしたときに、コロ装置21f,21r(コロ装置21fa,21fb,21ra,21rb)を搬送レール13(搬送レール13a,13b)からまとめて取り外すことができるので、作業性がより向上する。
【0055】
なお、上記一実施の形態において、搬送レール13は、3つ以上敷設してもよく、また、幅広に形成した1つのみを敷設してもよい。この場合には、それぞれの搬送レール13に搬送装置14を配置することで、上記一実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0056】
また、搬送レール13は、断面視で略U字状の溝形鋼を用いたが、例えば断面視で略L字状の一対の鋼材を板状の鋼材にそれぞれ溶接して断面視略U字状に形成するなどの構成でもよい。また、搬送レール13は、基礎コンクリート面に溝を形成することにより、鋼材を省略でき、構成を簡略化できる。
【0057】
さらに、コロ装置21f,21bは、連結プレート22の回動軸45,46を軸支する軸支孔35,35(軸支部36,36)を有する構成で、搬送レール13に沿って走行可能なものであれば、任意の構成とすることが可能である。
【0058】
そして、コロ装置21f,21bは、連結プレート22により連結せずに、別個に支持体を回動およびスライド可能に上部に配置してもよい。この場合でも、これらコロ装置21f,21bのそれぞれの支持体に亘って被搬送物を配置することで、上記一実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0059】
11 搬送システム
12 被搬送物であるカルバート体
13 搬送部としての搬送レール
14 搬送装置
15 直線部
16 連続直線部
21f,21r 搬送体としてのコロ装置
22 支持体としての連結プレート
36 軸支部
45,46 回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝状の搬送部内に沿って走行可能な複数の搬送体と、
これら搬送体上に位置し、被搬送物を上部に載置する支持体と、
前記各搬送体と前記支持体とのいずれか一方に形成された回動軸と、
前記各搬送体と前記支持体との他方に形成され、前記回動軸を回動可能に、かつ、前記搬送体の走行方向に対して交差する方向に沿ってスライド可能に軸支する軸支部と
を具備したことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
各搬送体に配置され、搬送部の内側に接触することによりこの搬送部内での前記各搬送体の横滑りを規制する横滑り規制体を具備した
ことを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
一方向に沿って直線状に形成された直線部、および、前記一方向に対して鋭角状に交差する他方向に沿って直線状に形成され前記直線部の端部に連続する連続直線部を備えた溝状の搬送部と、
この搬送部に配置された請求項1または2記載の搬送装置と
を具備したことを特徴とする搬送システム。
【請求項4】
搬送部は、複数配置され、
搬送装置は、前記搬送部のそれぞれに配置されている
ことを特徴とする請求項3記載の搬送システム。
【請求項5】
請求項3または4記載の搬送システムを用いる被搬送物の搬送方法であって、
搬送部を敷設し、
搬送装置の各搬送体を前記搬送部に配置し、
前記搬送体上に位置する支持体上に亘って被搬送物を載置し、
前記搬送体を前記搬送部に沿って走行させることで前記被搬送物を前記搬送部に沿って搬送する
ことを特徴とする被搬送物の搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−21317(P2012−21317A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159861(P2010−159861)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【特許番号】特許第4577910号(P4577910)
【特許公報発行日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(391034499)鶴見コンクリート株式会社 (15)
【Fターム(参考)】