説明

搬送装置及び搬送方法

【課題】広い据付場所を必要とせずに、次工程において作業が円滑に行われるようにワークの姿勢を変更することができる搬送装置及び搬送方法を提供する。
【解決手段】第1搬送ユニット110と第2搬送ユニット120とを備えた搬送装置100であって、前記第1搬送ユニット110は、直線的にワークを搬送する第1搬送機構111と、前記第1搬送機構111によるワークの搬送方向を、第1方向及び第2方向のいずれかに切り替える第1切り替え機構112とを含み、前記第2搬送ユニット120は、直線的にワークを搬送する第2搬送機構121と、前記第2搬送機構121によるワークの搬送方向を、第2方向及び第3方向のいずれかに切り替える第2切り替え機構122とを含み、前記第1方向、前記第2方向及び前記第3方向は、全て異なる方向である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産ライン、加工ライン、梱包ライン及び開梱ライン等においてワークを搬送する搬送装置に関し、特に、ワークの姿勢を変更するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
生産ライン、加工ライン、梱包ライン及び開梱ライン等においてワークを搬送する搬送装置には、ワークを次工程へ移動するという役割の他に、次工程において作業が円滑に行われるように、ワークの姿勢を変更するという役割がある。
【0003】
例えば、液晶ディスプレイに用いられる液晶用ガラス基板の生産ラインにおいて、オーバーフローダウンドロー法により連続的に成形された連続板ガラスは、所定の寸法に切断されてガラス板となり、ガラス板の主面が垂直な状態で搬出される。しかしながら、上記生産ラインにおいては、切断面の研磨工程のようにガラス板の主面が水平な状態で作業を行う工程があるので、工程間の搬送の途中でガラス板の姿勢を変更する必要がある。
【0004】
ここで、ガラス基板を搬送しながら、水平姿勢から傾斜姿勢に姿勢を変更することができる基板搬送装置が特許文献1に開示されている。
【0005】
一方、ガラス基板を梱包する際や開梱する際等には、梱包工程や開梱工程において作業が円滑に行われるように、ガラス基板を高さ方向に移動する必要が生じることが多い。
【0006】
ここで、物品を高さ方向に移動する搬送装置が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-215030号公報
【特許文献2】実公平06-046899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の基板搬送装置は、現像工程における搬送の途中で、ガラス基板を傾斜させることにより、上面に液盛りされた現像液を流出させて廃棄(液切り)することができる。しかしながら、上記基板搬送装置は一次的にガラス基板の姿勢を変更するが、現像液を流出させた後には元の姿勢に戻しているので、次工程において作業が円滑に行われるようにガラス基板の姿勢を変更することはできない。また特許文献2に記載の搬送装置は、物品の姿勢を変えることができる大がかりなハンドリング装置を備えているが、広い据付場所が必要なので、改善、改良の余地がある。
【0009】
本発明は、広い据付場所を必要とせずに、次工程において作業が円滑に行われるようにワークの姿勢を変更することができる搬送装置及び搬送方法を提供することを第一の目的とする。また本発明は、広い据付場所を必要とせずにワークを高さ方向に移動することができる搬送装置及び搬送方法を提供することを第二の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る搬送装置は、第1搬送ユニットと第2搬送ユニットとを備えた搬送装置であって、前記第1搬送ユニットは、直線的にワークを搬送する第1搬送機構と、前記第1搬送機構によるワークの搬送方向を、第1方向及び第2方向のいずれかに切り替える第1切り替え機構とを含み、前記第2搬送ユニットは、直線的にワークを搬送する第2搬送機構と、前記第2搬送機構によるワークの搬送方向を、第2方向及び第3方向のいずれかに切り替える第2切り替え機構とを含み、前記第1方向、前記第2方向及び前記第3方向は、全て異なる方向である。
【0011】
ここで、搬送装置において、前記第1搬送ユニットは、前記第1搬送機構によるワークの搬送方向を前記第1方向に切り替えた状態において前工程よりワークを受け入れ、前記第1搬送機構によるワークの搬送方向を前記第2方向に切り替えた状態において前記第2搬送ユニットへワークを搬出し、前記第2搬送ユニットは、前記第2搬送機構によるワークの搬送方向を前記第2方向に切り替えた状態において前記第1搬送ユニットよりワークを受け入れ、前記第2搬送機構によるワークの搬送方向を前記第3方向に切り替えた状態において次工程へワークを搬出するとよい。
【0012】
ここで、搬送装置において、前記第1搬送機構及び前記第2搬送機構は同一の一組の搬送コンベアによって構成され、前記第1切り替え機構と前記第2切り替え機構とは連動して、第1状態と第2状態とを切り替えることができ、前記第1状態は、前記第1搬送機構によるワークの搬送方向が前記第1方向に切り替えられ、かつ前記第2搬送機構によるワークの搬送方向が前記第3方向に切り替えられた状態であり、前記第2状態は、前記第1搬送機構によるワークの搬送方向が前記第2方向に切り替えられ、かつ前記第2搬送機構によるワークの搬送方向が前記第2方向に切り替えられた状態であるとよい。
【0013】
ここで、搬送装置において、前記一組の搬送コンベアは、回転可能であるが前記第1状態と前記第2状態とで位置が変化しない2個の固定交点と、回転可能であり前記第1状態と前記第2状態とで位置が変化する2個の自由交点とを備えるリンク機構により構成され、前記第1状態における前記一組の搬送コンベアの周長と、前記第2状態における前記一組の搬送コンベアの周長とが同じであるとよい。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係る搬送方法は、第1搬送ユニットと第2搬送ユニットとを備えた搬送装置における搬送方法であって、前記第1搬送ユニットは、 直線的にワークを搬送する第1搬送機構と、前記第1搬送機構によるワークの搬送方向を、第1方向及び第2方向のいずれかに切り替える第1切り替え機構とを含み、 前記第2搬送ユニットは、直線的にワークを搬送する第2搬送機構と、前記第2搬送機構によるワークの搬送方向を、第2方向及び第3方向のいずれかに切り替える第2切り替え機構とを含み、前記第1方向、前記第2方向及び前記第3方向は、全て異なる方向であり、前記第1搬送ユニットにおいて、前記第1搬送機構によるワークの搬送方向を前記第1方向に切り替えた状態において前工程よりワークを受け入れるステップと、前記第1搬送ユニットにおいて、前工程よりワークを受け入れた状態で、前記第1搬送機構によるワークの搬送方向を前記第1方向から前記第2方向に切り替えるステップと、前記第1搬送ユニットにおいて、前記第2方向に前記第1搬送機構によるワークの搬送方向を切り替えた状態において、前記第2搬送ユニットへワークを搬出し、前記第2搬送ユニットにおいて、前記第2方向に前記第2搬送機構によるワークの搬送方向を切り替えた状態において、前記第1搬送ユニットよりワークを受け入れるステップと、前記第2搬送ユニットにおいて、前記第1搬送ユニットよりワークを受け入れた状態で、前記第2方向から前記第3方向に、前記第2搬送機構によるワークの搬送方向を切り替えるステップと、前記第2搬送ユニットにおいて、前記第3方向に前記第2搬送機構によるワークの搬送方向を切り替えた状態において次工程へワークを搬出するステップとを含む。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係る搬送装置は、直線的にワークを搬送する第1搬送機構と、直線的にワークを搬送する第2搬送機構と、前記第1搬送機構によるワークの搬送方向の切り替えと、前記第2搬送機構によるワークの搬送方向の切り替えとを連動させて行う切り替え機構とを備え、前記第1搬送機構及び前記第2搬送機構は一組の搬送コンベアで構成される。
【0016】
ここで、搬送装置において、前記一組の搬送コンベアは、回転可能であるが前記第1状態と前記第2状態とで位置が変化しない2個の固定交点と、回転可能であり前記第1状態と前記第2状態とで位置が変化する2個の自由交点とを備えるリンク機構により構成され、前記切り替え機構による切り替えの際に、前記一組の搬送コンベアの周長が変化しないとよい。
【発明の効果】
【0017】
課題を解決するための手段に記載した搬送装置及び搬送方法の構成により、第1搬送機構によるワークの搬送方向を第1方向に切り替えた状態でワークを受け入れ、第1搬送機構によるワークの搬送方向と第2搬送機構によるワークの搬送方向とを、両方とも第2方向に切り替えた状態でワークの受け渡しを行い、第2搬送機構によるワークの搬送方向を第3方向に切り替えた状態でワークを搬出することができるので、比較的小さな装置で迅速にワークの搬送方向を第1方向から第3方向へ変更することができる。特に2つの搬送ユニットが搬送方向を切り替える際の動作量を分担しているので、それぞれの搬送ユニット当たりの動作量が、1つの搬送ユニットが第1方向から第3方向まで搬送方向を切り替える場合と較べて少なくなり、サイクルタイムを短縮することができる。
【0018】
従って、課題を解決するための手段に記載した搬送装置及び搬送方法の構成によれば、広い据付場所を必要とせずに、次工程において作業が円滑に行われるようにワークの姿勢を変更することができ、また広い据付場所を必要とせずにワークを高さ方向に移動することもでき、さらにサイクルタイムを短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態1に係る搬送装置の機能の概略を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る搬送装置の側面図である。
【図3】ローラーチェーンの一部を拡大した図である。
【図4】傾斜搬送から水平搬送へガラス基板の搬送方向を切り替える様子の概略を示す図である。
【図5】水平搬送から傾斜搬送へガラス基板の搬送方向を切り替える様子の概略を示す図である。
【図6】ワークの受け入れ位置のローラーチェーンの周辺を拡大した図である。
【図7】変形例2に係る搬送装置の側面図である。
【図8】変形例3に係る搬送装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[実施の形態1]
<概要>
実施の形態1では、リンク機構により構成したコンベアを2段階に変形させて、ワークの搬送方向を迅速に切り替える搬送装置を示す。
【0021】
<構成>
図1は、実施の形態1に係る搬送装置100の機能の概略を示す図である。
【0022】
搬送装置100は、第1搬送ユニット110及び第2搬送ユニット120を備える。
【0023】
第1搬送ユニット110は、第1搬送機構111及び第1切り替え機構112を含む。
【0024】
第2搬送ユニット120は、第2搬送機構121及び第2切り替え機構122を含む。
【0025】
第1搬送機構111及び第2搬送機構121は、それぞれワークを直線的に搬送する機能を有する。なお、第1搬送機構111及び第2搬送機構121は、それぞれ独立した別の搬送コンベア等の搬送機器によって構成されてもよいし、単一の搬送機器によって構成されてもよい。実施の形態1では第1搬送機構111及び第2搬送機構121は同一の一組の搬送コンベアで構成される。ここで一組の搬送コンベアとは、同一のローラーチェーンを用いてワークを搬送する部分を指す。
【0026】
第1切り替え機構112は、第1方向及び第2方向のいずれかに、第1搬送機構111によるワークの搬送方向を切り替える機能を有する。第2切り替え機構122は、第2方向及び第3方向のいずれかに、第2搬送機構121によるワークの搬送方向を切り替える機能を有する。ここで、第1方向、第2方向及び第3方向は、全て異なる方向である。
【0027】
第1搬送ユニット110は、第1搬送機構111によるワークの搬送方向を、第1方向に切り替えた状態において前工程よりワークを受け入れ、第1搬送機構111によるワークの搬送方向を、第2方向に切り替えた状態において第2搬送ユニット120へワークを搬出する。
【0028】
第2搬送ユニット120は、第2搬送機構121によるワークの搬送方向を、第2方向に切り替えた状態において第1搬送ユニット110よりワークを受け入れ、第2搬送機構121によるワークの搬送方向を、第3方向に切り替えた状態において次工程へワークを搬出する。
【0029】
なお、第1切り替え機構112及び第2切り替え機構122は、それぞれ独立して動作してもよいし、連動してもよい。実施の形態1では、第1搬送機構111及び第2搬送機構121は一組の搬送コンベアで構成されるため、第1切り替え機構112及び第2切り替え機構122は必然的に連動するので、実質的に一個の切り替え機構130である。詳細には、切り替え機構130は、第1状態と第2状態とを切り替える機能を有する。ここで第1状態は、第1搬送機構111によるワークの搬送方向が第1方向に切り替えられ、かつ第2搬送機構121によるワークの搬送方向が第3方向に切り替えられた状態である。また第2状態は、第1搬送機構111によるワークの搬送方向が第2方向に切り替えられ、かつ第2搬送機構121によるワークの搬送方向が第2方向に切り替えられた状態である。
【0030】
図2は、実施の形態1に係る搬送装置100の側面図である。ここで、図2の左側の図は切り替え機構130により搬送装置100が第1状態に切り替えられた様子を示す図であり、図2の右側の図は切り替え機構130により搬送装置100が第2状態に切り替えられた様子を示す図である。ここで図2の右側の図には、図2の左側の図と形状や位置が同一である構成の参照番号や記号を省略している。
【0031】
図2に示すように、搬送装置100は、第1搬送機構111と第2搬送機構121の機能を有する搬送コンベア200、切り替え機構130の機能を有する変形装置300、及び架台400を備える。
【0032】
搬送コンベア200は、回転可能であるが第1状態と第2状態とで相対位置が変化しない2個の固定交点A及び固定交点Bと、回転可能であり第1状態と第2状態とで相対位置が変化する2個の自由交点C及び自由交点Dとを備えるリンク機構により構成されている。
【0033】
搬送コンベア200は、駆動モータ201、スプロケット202、スプロケット203、スプロケット204、スプロケット205、コンベア側板206、コンベア側板207、コンベア側板208及びローラーチェーン209を備える。なお、ローラーチェーン209の代わりに無端ベルトを用いてもよい。またローラーチェーン209の代わりに無端ベルトを用いる場合には、スプロケット202、スプロケット203、スプロケット204及びスプロケット205が全てプーリに置き換わる。
【0034】
駆動モータ201は架台400に固定され、スプロケット202を介してローラーチェーン209を駆動する。ここで駆動モータ201の駆動軸の中心は図2上において固定交点Aと同じに見える位置にある。実際にはローラーチェーン209は複数本あるので、スプロケット202は、駆動モータ201の駆動軸に直接ではなく駆動モータ201から動力が伝達される回転軸に取り付けられている。スプロケット203は、軸受けの中心位置が図2上において固定交点Bと同じに見える位置にあり、架台400に取り付けられている。スプロケット204は、軸受けの中心位置が図2上において自由交点Cと同じに見える位置にある。スプロケット205は、軸受けの中心位置が図2上において自由交点Dと同じに見える位置にある。
【0035】
コンベア側板206は、スプロケット203とスプロケット204との直線距離を固定する機能を備える構造体であり、スプロケット203の軸受けを中心に回転することができる。
【0036】
コンベア側板207は、スプロケット204とスプロケット205との直線距離を固定する機能を備える構造体であり、スプロケット204の軸受けを中心にコンベア側板206との相対的な角度を変更することができ、かつスプロケット205の軸受けを中心にコンベア側板208との相対的な角度を変更することができる。
【0037】
コンベア側板208は、スプロケット202とスプロケット204との直線距離を固定する機能を備える構造体であり、駆動モータ201の駆動軸を中心に回転することができる。
【0038】
ここでコンベア側板206、スプロケット203及びスプロケット204の部分が、第1搬送機構111及び第2搬送機構121のうちのいずれか一方に相当し、コンベア側板207、スプロケット204及びスプロケット205の部分が、図1に示す第1搬送機構111及び第2搬送機構121のうちのもう一方に相当する。
【0039】
ローラーチェーン209は、ワークを支えて搬送する動力伝達媒体であり、スプロケット202、スプロケット203、スプロケット204及びスプロケット205に巻付けられている。ローラーチェーン209は少なくとも2連からなり、大きなガラス基板等のワークに対応する場合には、ガラス基板の中央部分の撓みを支えるためにローラーチェーン209を3連又は4連とすることが望ましい。またスプロケット202、スプロケット203、スプロケット204、スプロケット205、コンベア側板206、コンベア側板207及びコンベア側板208の数は、ローラーチェーン209の数と同数である。例えば、ローラーチェーン209が2連からなる場合には、ローラーチェーン209、スプロケット202、スプロケット203、スプロケット204、スプロケット205、コンベア側板206、コンベア側板207及びコンベア側板208の組が2組となる。
【0040】
図3は、ローラーチェーン209の一部を拡大した図である。ここで図3には、ワーク(ガラス基板)の位置を示す点線を記載している。
【0041】
図3に示すように、ローラーチェーン209のワークと接触する側には、ワークがローラーチェーン本体210の金属部分に直接接触しないように、樹脂又はゴム製のアタッチメント211を組み込んでおり、ワークに擦り傷や汚れ等が付き難いようにしている。またローラーチェーン209には、ワークの搬送方向における長さよりも長い間隔で、上記アタッチメントよりもワークと接触する側に突出した爪状アタッチメント212を組み込んでおり、ワークの位置決めや搬送中の位置ズレ防止等に役立てている。
【0042】
引き続き、図1、図2を参照して変形装置300及び架台400について説明する。
【0043】
変形装置300は、コンベア側板206上の取付位置Eと架台400上の取付位置Fとに、回転可能なように取り付けられたエアーシリンダ又は油圧シリンダである。変形装置300は、図1に示した切り替え機構130に相当し、取付位置Eと取付位置Fとの間の直線距離を変化させて、第1状態と第2状態とを切り替えることができる。なお、変形装置300は、電動機とボールねじとを組み合わせて構成することもできる。ここで第1状態では、コンベア側板206とコンベア側板207とがなす角度が、90度より大きく180度よりも小さい範囲となり、95度以上135度以下が望ましい。また第2状態では、コンベア側板206とコンベア側板207とがなす角度がほぼ180度となる。
【0044】
架台400は、搬送装置100全体を支える土台である。
【0045】
<動作例1>
図4(a)〜(e)は、傾斜搬送から水平搬送へガラス基板の搬送方向を切り替える様子の概略を示す図である。
【0046】
動作例1においては、開梱されたガラス基板を加工ラインへ投入する場面について説明する。ここでガラス基板は、主面が縦1.5m×横3m程度の大きさの長方形であり、開梱された状態でパレット上に斜めに立て掛けられている。また、加工ラインにおけるパスラインは比較的高い位置にあり、ガラス基板は水平搬送されるものとする。
【0047】
(1)図4(a)に示すように、変形装置300が搬送コンベア200を第1状態にし、人手又は搬送機械等を用いて、コンベア側板207の位置のローラーチェーン209上に、パレット上に斜めに立て掛けてあるガラス基板を置く。
【0048】
図4(a)の状態は、図1に示した第1搬送ユニット110がワークを受け入れる状態に相当する。また、コンベア側板207、スプロケット204及びスプロケット205の部分が、図1に示す第1搬送機構111に相当する。またコンベア側板207の位置のローラーチェーン209によるガラス基板の搬送方向(図4(a)中の矢印Gの方向)が上述の第1方向に相当する。
【0049】
(2)図4(b)に示すように、変形装置300が搬送コンベア200を第1状態から第2状態に切り替える。
【0050】
(3)図4(c)に示すように、ローラーチェーン209を駆動させて、コンベア側板207の位置からコンベア側板206の位置までガラス基板を搬送する。
【0051】
図4(c)の状態は、図1に示した第1搬送ユニット110が第2搬送ユニット120へガラス基板を搬出するとともに、第2搬送ユニット120が第1搬送ユニット110よりガラス基板を受け入れる状態に相当する。また、コンベア側板206、スプロケット203及びスプロケット204の部分が、図1に示す第2搬送機構121に相当する。またコンベア側板206及びコンベア側板207の位置のローラーチェーン209によるガラス基板の搬送方向(図4(c)中の矢印Hの方向)が上述の第2方向に相当する。
【0052】
(4)図4(d)に示すように、変形装置300が搬送コンベア200を第2状態から第1状態に切り替える。
【0053】
(5)図4(e)に示すように、ローラーチェーン209を駆動させて、コンベア側板206の位置から下流のコンベアへガラス基板を搬出する。
【0054】
図4(e)の状態は、図1に示した第2搬送ユニット120が次工程へワークを搬出する状態に相当する。またコンベア側板206の位置のローラーチェーン209によるガラス基板の搬送方向(図4(e)中の矢印Iの方向)が上述の第3方向に相当する。
【0055】
<動作例2>
図5(a)〜(e)は、水平搬送から傾斜搬送へガラス基板の搬送方向を切り替える様子の概略を示す図である。
【0056】
動作例2においては、加工ラインから搬出されたガラス基板を、梱包し易いように傾斜させる場面について説明する。ここで加工ラインにおけるパスラインは比較的高い位置にあり、ガラス基板は水平搬送されるものとする。
【0057】
(1)図5(a)に示すように、変形装置300が搬送コンベア200を第1状態にし、コンベア側板206の位置のローラーチェーン209まで、上流のコンベアからガラス基板を搬送する。
【0058】
図5(a)の状態は、図1に示した第1搬送ユニット110にワークを受け入れた状態に相当する。また、コンベア側板206、スプロケット203及びスプロケット204の部分が、図1に示す第1搬送機構111に相当する。またコンベア側板206の位置のローラーチェーン209によるガラス基板の搬送方向(図5(a)中の矢印Jの方向)が上述の第1方向に相当する。
【0059】
(2)図5(b)に示すように、変形装置300が搬送コンベア200を第1状態から第2状態に切り替える。
【0060】
(3)図5(c)に示すように、ローラーチェーン209を駆動させて、コンベア側板206の位置からコンベア側板207の位置までガラス基板を搬送する。
【0061】
図5(c)の状態は、図1に示した第1搬送ユニット110が第2搬送ユニット120へガラス基板を搬出するとともに、第2搬送ユニット120が第1搬送ユニット110よりガラス基板を受け入れる状態に相当する。また、コンベア側板207、スプロケット204及びスプロケット205の部分が、図1に示す第2搬送機構121に相当する。またコンベア側板206及びコンベア側板207の位置のローラーチェーン209によるガラス基板の搬送方向(図5(c)中の矢印Kの方向)が上述の第2方向に相当する。
【0062】
(4)図5(d)に示すように、変形装置300が搬送コンベア200を第2状態から第1状態に切り替える。
【0063】
(5)図5(e)に示すように、人手又は搬送機械等を用いて、コンベア側板206の位置のローラーチェーン209上のガラス基板をパレット上に斜めに立て掛けて置く。
【0064】
図5(e)の状態は、図1に示した第2搬送ユニット120が次工程へワークを搬出する状態に相当する。またコンベア側板207の位置のローラーチェーン209によるガラス基板の搬送方向(図5(e)中の矢印Lの方向)が上述の第3方向に相当する。
【0065】
<まとめ>
以上のように、実施の形態1に係る搬送装置によれば、第1搬送ユニット110がワークの搬送方向を第1方向から第2方向に変え、続いて第2搬送ユニット120がワークの搬送方向を第2方向から第3方向に変えることができる。従って、2つのユニットにより2段階にワークの搬送方向を変えるので、広い据付場所を必要とせずに、次工程において作業が円滑に行われるようにワークの姿勢を変更することができる。また実施の形態1に係る搬送装置によれば、広い据付場所を必要とせずにワークを高さ方向に移動することができる。また2つの搬送ユニットが搬送方向を切り替える際の動作量を分担しているので、それぞれの搬送ユニット当たりの動作量が、1つの搬送ユニットが第1方向から第3方向まで搬送方向を切り替える場合と較べて少なくなり、サイクルタイムを短縮することができる。
[変形例1]
<概要>
変形例1では、実施の形態1のリンク機構により構成したコンベア上のワークの受け入れ位置に、動力伝達媒体から離間させた状態でワークを保持する機構を設けた搬送装置を示す。
【0066】
<構成>
図6は、ワークの受け入れ位置のローラーチェーン209の周辺を拡大した図である。ここで、図6の左側の図は側面図であり、図6の右側の図は正面図である。また、ワークの受け入れ位置とは、実施の形態1において搬送コンベア200が第1状態の時のコンベア側板207の位置である。
【0067】
図6に示すように、変形例1は実施の形態1の搬送装置100の構成に加えて、さらに、押し上げ部510及びワーク受け部520を備えている。
【0068】
押し上げ部510は、搬送コンベア200が第1状態である時に、ワークをローラーチェーン209上のアタッチメントや爪状アタッチメント212から離間させる。
【0069】
ワーク受け部520は、押し上げ部510によりワークを離間させた状態において、ワークの位置を保持することができる。
【0070】
<まとめ>
変形例1に係る搬送装置によれば、押し上げ部510とワーク受け部520を備えることにより、ワークの受け入れ位置に、動力伝達媒体から離間させた状態でワークを保持することができる。これにより、図4(e)に示すコンベア側板206の位置から下流のコンベアへガラス基板を搬出している最中に、図4(a)に示すコンベア側板207の位置のローラーチェーン209上に、パレット上に斜めに立て掛けてあるガラス基板を置く作業を行うことができる。よってサイクル時間を短縮することができる。
[変形例2]
<概要>
変形例2では、実施の形態1のリンク機構により構成したコンベアの代わりに、2つの独立したコンベアを備え、2つの独立したコンベアをそれぞれ2段階に変形させて、ワークの搬送方向を迅速に切り替える搬送装置を示す。
【0071】
<構成>
図7は、変形例2に係る搬送装置600の側面図である。ここで、図7の左側の図は搬送装置600が第1状態に切り替えられた様子を示す図であり、図7の右側の図は搬送装置600が第2状態に切り替えられた様子を示す図である。図7では、図2に示す実施の形態1に係る搬送装置100と同様の機能を備える構成に同一番号を付けている。
【0072】
<まとめ>
変形例2に係る搬送装置600は、実施の形態1に係る搬送装置100と較べて、第1切り替え機構112及び第2切り替え機構122がそれぞれ独立して動作する点が異なるのみであり、その他の機能は実施の形態1に係る搬送装置100と同様である。
[変形例3]
<概要>
変形例3では、2つの独立したコンベアの水平方向の搬送方向をそれぞれ2段階に変形させて、水平方向に搬送方向を迅速に切り替える搬送装置を示す。
【0073】
<構成>
図8は、変形例3に係る搬送装置700の平面図である。ここで、図8の左側の図は搬送装置700が第1状態に切り替えられた様子を示す図であり、図8の右側の図は搬送装置700が第2状態に切り替えられた様子を示す図である。
【0074】
図8に示すように、搬送装置700は、第1搬送機構111の機能を有する搬送コンベア711、第2搬送機構121の機能を有する搬送コンベア721、第1切り替え機構112の機能を有するアクチュエータ712、及び第2切り替え機構122の機能を有するアクチュエータ722を備える。また図8には上流側のコンベアM、下流側のコンベアN、及びガラス基板(図8中に斜線で記載)を記載している。
【0075】
搬送コンベア711は、第1状態では上流側のコンベアMと搬送方向が同じであり(図8中の矢印P、第1の方向)、第2状態では上流側のコンベアMの搬送方向と下流側のコンベアNの搬送方向との中間の搬送方向である(図8中の矢印Q、第2の方向)。
【0076】
搬送コンベア721は、第1状態では下流側のコンベアNと搬送方向が同じであり(図8中の矢印R、第3の方向)、第2状態では上流側のコンベアMの搬送方向と下流側のコンベアNの搬送方向との中間の搬送方向である(図8中の矢印S、第2の方向)。
【0077】
アクチュエータ712は、搬送コンベア711を図8の左側の状態と、図8の右側の状態とを切り替える機能を有する。
【0078】
アクチュエータ722は、搬送コンベア721を図8の左側の状態と、図8の右側の状態とを切り替える機能を有する。
【0079】
<まとめ>
変形例3に係る搬送装置700は、実施の形態1に係る搬送装置100と較べて、第1切り替え機構112及び第2切り替え機構122がそれぞれ独立して動作する点、及び水平方向に搬送方向を切り替える点が異なるのみであり、その他の機能は実施の形態1に係る搬送装置100と同様である。
【0080】
なお、実施の形態1、変形例1、変形例2及び変形例3においては、主にガラス基板の開梱及び梱包を行う場面について説明したが、主面が垂直又は垂直に近い状態で搬入されたガラス基板の姿勢を変更して、ガラス基板の主面を水平な状態にするような場面に適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、生産ライン、加工ライン、梱包ライン及び開梱ライン等においてワークを搬送する際に適用することができる。
【0082】
本発明によれば、広い据付場所を必要とせずに次工程において作業が円滑に行われるようにワークの姿勢を変更することができ、また広い据付場所を必要とせずにワークを高さ方向に移動することもでき、さらに、2つの搬送機構が搬送方向を切り替える際の動作角度を分担することによりサイクルタイムを短縮することができるので、産業的利用価値は極めて高い。
【符号の説明】
【0083】
100 搬送装置
110 第1搬送ユニット
111 第1搬送機構
112 第1切り替え機構
120 第2搬送ユニット
121 第2搬送機構
122 第2切り替え機構
130 切り替え機構
200 搬送コンベア
209 ローラーチェーン
210 ローラーチェーン本体
211 アタッチメント
212 爪状アタッチメント
300 変形装置
400 架台
510 押し上げ部
520 ワーク受け部
600 搬送装置
700 搬送装置
711 搬送コンベア
712 アクチュエータ
721 搬送コンベア
722 アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1搬送ユニットと第2搬送ユニットとを備えた搬送装置であって、
前記第1搬送ユニットは、
直線的にワークを搬送する第1搬送機構と、前記第1搬送機構によるワークの搬送方向を、第1方向及び第2方向のいずれかに切り替える第1切り替え機構とを含み、
前記第2搬送ユニットは、
直線的にワークを搬送する第2搬送機構と、前記第2搬送機構によるワークの搬送方向を、第2方向及び第3方向のいずれかに切り替える第2切り替え機構とを含み、
前記第1方向、前記第2方向及び前記第3方向は、全て異なる方向である搬送装置。
【請求項2】
前記第1搬送ユニットは、
前記第1搬送機構によるワークの搬送方向を前記第1方向に切り替えた状態において前工程よりワークを受け入れ、前記第1搬送機構によるワークの搬送方向を前記第2方向に切り替えた状態において前記第2搬送ユニットへワークを搬出し、
前記第2搬送ユニットは、
前記第2搬送機構によるワークの搬送方向を前記第2方向に切り替えた状態において前記第1搬送ユニットよりワークを受け入れ、前記第2搬送機構によるワークの搬送方向を前記第3方向に切り替えた状態において次工程へワークを搬出する請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第1搬送機構及び前記第2搬送機構は同一の一組の搬送コンベアによって構成され、
前記第1切り替え機構と前記第2切り替え機構とは連動して、第1状態と第2状態とを切り替えることができ、
前記第1状態は、前記第1搬送機構によるワークの搬送方向が前記第1方向に切り替えられ、かつ前記第2搬送機構によるワークの搬送方向が前記第3方向に切り替えられた状態であり、
前記第2状態は、前記第1搬送機構によるワークの搬送方向が前記第2方向に切り替えられ、かつ前記第2搬送機構によるワークの搬送方向が前記第2方向に切り替えられた状態である請求項1又は請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記一組の搬送コンベアは、回転可能であるが前記第1状態と前記第2状態とで位置が変化しない2個の固定交点と、回転可能であり前記第1状態と前記第2状態とで位置が変化する2個の自由交点とを備えるリンク機構により構成され、
前記第1状態における前記一組の搬送コンベアの周長と、前記第2状態における前記一組の搬送コンベアの周長とが同じである請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
第1搬送ユニットと第2搬送ユニットとを備えた搬送装置における搬送方法であって、
前記第1搬送ユニットは、
直線的にワークを搬送する第1搬送機構と、前記第1搬送機構によるワークの搬送方向を、第1方向及び第2方向のいずれかに切り替える第1切り替え機構とを含み、
前記第2搬送ユニットは、
直線的にワークを搬送する第2搬送機構と、前記第2搬送機構によるワークの搬送方向を、第2方向及び第3方向のいずれかに切り替える第2切り替え機構とを含み、
前記第1方向、前記第2方向及び前記第3方向は、全て異なる方向であり、
前記第1搬送ユニットにおいて、前記第1搬送機構によるワークの搬送方向を前記第1方向に切り替えた状態において前工程よりワークを受け入れるステップと、
前記第1搬送ユニットにおいて、前工程よりワークを受け入れた状態で、前記第1搬送機構によるワークの搬送方向を前記第1方向から前記第2方向に切り替えるステップと、
前記第1搬送ユニットにおいて、前記第2方向に前記第1搬送機構によるワークの搬送方向を切り替えた状態において、前記第2搬送ユニットへワークを搬出し、前記第2搬送ユニットにおいて、前記第2方向に前記第2搬送機構によるワークの搬送方向を切り替えた状態において、前記第1搬送ユニットよりワークを受け入れるステップと、
前記第2搬送ユニットにおいて、前記第1搬送ユニットよりワークを受け入れた状態で、前記第2方向から前記第3方向に、前記第2搬送機構によるワークの搬送方向を切り替えるステップと、
前記第2搬送ユニットにおいて、前記第3方向に前記第2搬送機構によるワークの搬送方向を切り替えた状態において次工程へワークを搬出するステップと
を含む搬送方法。
【請求項6】
直線的にワークを搬送する第1搬送機構と、
直線的にワークを搬送する第2搬送機構と、
前記第1搬送機構によるワークの搬送方向の切り替えと、前記第2搬送機構によるワークの搬送方向の切り替えとを連動させて行う切り替え機構とを備え、
前記第1搬送機構及び前記第2搬送機構は一組の搬送コンベアで構成される搬送装置。
【請求項7】
前記一組の搬送コンベアは、回転可能であるが前記第1状態と前記第2状態とで位置が変化しない2個の固定交点と、回転可能であり前記第1状態と前記第2状態とで位置が変化する2個の自由交点とを備えるリンク機構により構成され、
前記切り替え機構による切り替えの際に、前記一組の搬送コンベアの周長が変化しない請求項6に記載の搬送装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−86942(P2013−86942A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230397(P2011−230397)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】