説明

搬送装置

【課題】脚体が所望の起立接地状態にならない不具合を防止できる搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置2は、定位置に位置する搬送体4と、回動により搬送状態および上方退避状態になる回動搬送体11とを備える。回動搬送体11には、回動により起立接地状態および倒伏状態になる脚体21を設ける。連結体31の一端側を搬送体4に連結し他端側を脚体21に連結する。連結体31は、回動搬送体11の上方退避状態への回動時に脚体21を回動させて倒伏状態にし、回動搬送体11の搬送状態への回動時に脚体21を回動させて起立接地状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送体とこの搬送体に回動可能に設けられた回動搬送体とを備える搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばローラコンベヤ式の搬送体と、搬送体に上下方向に回動可能に設けられ回動により水平状の搬送状態および垂直状の上方退避状態になるローラコンベヤ式の回動搬送体と、複数の接地部を有し回動搬送体に水平方向の軸を介して回動可能に設けられ回動により起立接地状態および倒伏状態になる脚体とを備えた搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2897164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の搬送装置では、例えば回動搬送体を搬送状態へすばやく回動させた際に脚体が所望の起立接地状態にならないという不具合が生じるおそれがある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、回動搬送体を搬送状態へすばやく回動させた際に脚体が所望の起立接地状態にならないという不具合を防止できる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の搬送装置は、搬送体と、この搬送体に上下方向に回動可能に設けられ、回動により搬送状態および上方退避状態になる回動搬送体と、この回動搬送体に回動可能に設けられ、回動により起立接地状態および倒伏状態になる脚体と、一端側が前記搬送体に連結され、他端側が前記脚体に連結され、前記回動搬送体の上方退避状態への回動時には前記脚体を回動させて倒伏状態にし、前記回動搬送体の搬送状態への回動時には前記脚体を回動させて起立接地状態にする連結体とを備えるものである。
【0006】
そして、回動搬送体の上方退避状態への回動時には脚体を回動させて倒伏状態にし、回動搬送体の搬送状態への回動時には脚体を回動させて起立接地状態にする連結体を備えるため、回動搬送体を搬送状態へすばやく回動させた際に脚体が所望の起立接地状態にならないという不具合を防止可能である。
【0007】
請求項2記載の搬送装置は、請求項1記載の搬送装置において、脚体は、脚本体部と、この脚本体部の略中央の1箇所にのみ設けられた単一接地部とを有するものである。
【0008】
そして、脚体が単一接地部のみで接地するため、安全性を容易に確保可能である。
【0009】
請求項3記載の搬送装置は、請求項1または2記載の搬送装置において、回動搬送体の上方退避状態への回動を補助する回動補助手段を備えるものである。
【0010】
そして、回動搬送体の上方退避状態への回動を補助する回動補助手段を備えるため、手作業によって回動搬送体を上方退避状態へ容易に回動させることが可能である。
【0011】
請求項4記載の搬送装置は、請求項1ないし3のいずれか一記載の搬送装置において、回動搬送体は、手掛け部を有するものである。
【0012】
そして、回動搬送体が手掛け部を有するため、手掛け部を利用して回動搬送体を簡単に回動させることが可能である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、回動搬送体の上方退避状態への回動時には脚体を回動させて倒伏状態にし、回動搬送体の搬送状態への回動時には脚体を回動させて起立接地状態にする連結体を備えるため、回動搬送体を搬送状態へすばやく回動させた際に脚体が所望の起立接地状態にならないという不具合を防止できる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、脚体が単一接地部のみで接地するため、安全性を容易に確保できる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、回動搬送体の上方退避状態への回動を補助する回動補助手段を備えるため、手作業によって回動搬送体を上方退避状態へ容易に回動させることができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、回動搬送体が手掛け部を有するため、手掛け部を利用して回動搬送体を簡単に回動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の搬送装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1および図2において、1は物流センター等に設置された商品搬送システムで、この商品搬送システム1は、互いに近接状に対向して配置された一対の搬送装置(跳ね上げコンベヤ)2,2を具備している。
【0019】
搬送装置2は、図3にも示されるように、水平状の上面に載置された商品等の被搬送物を水平な搬送方向に搬送するローラコンベヤ式の定置搬送部である搬送体4を備えている。
【0020】
搬送体4は、互いに離間対向した一対のコンベヤフレーム部5を有し、両コンベヤフレーム部5間には複数のローラ部6が回転可能に設けられている。コンベヤフレーム部5は脚部7にて水平状に支持され、脚部7には連結体取付部8およびガススプリング取付部9が設けられている。
【0021】
また、搬送装置2は、搬送体4の端部に水平方向の軸10を中心として上下方向に回動可能に設けられ回動により水平状の搬送状態および垂直状の上方退避状態になるローラコンベヤ式の跳上搬送部である回動搬送体11を備えている。
【0022】
回動搬送体11は、互いに離間対向した一対の回動コンベヤフレーム部12を有し、両回動コンベヤフレーム部12間には複数のローラ部13が回転可能に設けられている。回動コンベヤフレーム部12の基端部が搬送体4のコンベヤフレーム部5の端部に軸10を介して回動可能に連結されている。回動コンベヤフレーム部12は、複数の孔14が千鳥状に形成された板部材(スカート)15を有し、板部材15の外面には略コ字状の手掛け部16が突設されている。互いに離間対向した板部材15間には棒部材17が架設され、棒部材17にはガススプリング取付け部18が設けられている。なお、回動搬送体11の上方退避状態時に回動コンベヤフレーム部12との当接により回動搬送体11を上方退避状態に保持するストッパ(図示せず)が、搬送体4のコンベヤフレーム部5に設けられている。
【0023】
また、搬送装置2は、回動搬送体11の先端側に水平方向の軸20を中心として回動可能に設けられ回動により回動コンベヤフレーム部12に対して直交状の起立接地状態および回動コンベヤフレーム部12の互いに離間対向した対をなす板部材15間に収容される倒伏状態になる脚体21を備えている。
【0024】
脚体21は、略コ字状の脚本体部22を有し、脚本体部22は、互いに離間対向した四角パイプ状の対向杆23と、両対向杆23の下端部同士を連結した四角パイプ状の連結杆24とにて構成されている。対向杆23の上端部が回動搬送体11の回動コンベヤフレーム部12に水平方向の軸20を介して回動可能に連結されている。
【0025】
そして、脚体21の脚本体部22の連結杆24の下面の長手方向略中央(搬送方向と直交する方向の略中央)の1箇所にのみ、搬送作業時に床面等の被接地面25に接地する単一接地部26が設けられている。単一接地部26は、螺合孔をボルト受け27と、このボルト受け27の螺合孔に螺合された脚ボルト28とにて構成されている。また、脚体21の脚本体部22の連結杆24の側面の長手方向略中央には、連結体取付部29が設けられている。
【0026】
また、搬送装置2は、回動搬送体11の上方退避状態への回動時(上方回動時)には脚体21を回動搬送体11に対して一方向へ回動させて倒伏状態にし、回動搬送体11の搬送状態への回動時(下方回動時)には脚体21を回動搬送体11に対して他方向へ回動させて起立接地状態にする1本の長手状の連結体(リンク)31を備えている。
【0027】
連結体31は、例えば断面矩形の四角パイプにて構成され、連結体31の一端部が搬送体4の連結体取付部8に水平方向の軸32を介して回動可能に連結され、連結体31の他端部が脚体21の連結体取付部29に水平方向の軸33を介して回動可能に連結されている。
【0028】
また、搬送装置2は、人の手作業による回動搬送体11の上方退避状態への回動を補助、つまり回動搬送体11を上方側に付勢する1本の回動補助手段であるガススプリング41を備えている。
【0029】
ガススプリング41は、窒素ガス等の高圧ガスが封入されたシリンダ部42と、このシリンダ部42内に対して出入りするロッド部43とを有している。そして、ガススプリング41の一端部が搬送体4のガススプリング取付部9に水平方向の軸44を介して回動可能に連結され、ガススプリング41の他端部が回動搬送体11のガススプリング取付け部18に水平方向の軸45を介して回動可能に連結されている。
【0030】
次に、上記搬送装置2の作用等を説明する。
【0031】
搬送装置2を用いて被搬送物を搬送する場合には、手掛け部16に手を掛けて、回動搬送体11を搬送体4に対して軸10を中心として下方回動させることにより、回動搬送体11を水平状の搬送状態に設定する。
【0032】
この回動搬送体11の下方回動の際、脚体21は、連結体31にてローラ部13から離反する方向へ押される形で回動搬送体11に対して軸20を中心として起立接地状態になるまで回動し、回動搬送体11が搬送状態になった時点において単一接地部26で被接地面25に接地する。
【0033】
こうして搬送状態の回動搬送体11が起立接地状態の脚体21にて水平状に支持され、搬送体4のローラ部6と回動搬送体11のローラ部13とにて被搬送物が水平な搬送方向に向けて搬送される。
【0034】
また、例えば搬送作業完了後、互いに対向した2つの搬送装置2間に通路スペースを形成する場合には、手掛け部16に手を掛けて、回動搬送体11を搬送体4に対して軸10を中心として上方回動させることにより、回動搬送体11を垂直状の上方退避状態に設定する。
【0035】
この回動搬送体11の上方回動の際、脚体21は、連結体31にてローラ部13に接近する方向へ引っ張られる形で回動搬送体11に対して軸20を中心として倒伏状態になるまで回動し、回動搬送体11が上方退避状態になった時点で両板部材15間に収容される。こうして2つの上方退避状態の回動搬送体11間に通路スペースが形成される。
【0036】
そして、この搬送装置2によれば、回動搬送体11の上方退避状態への回動時には脚体21を回動させて倒伏状態にし、回動搬送体11の搬送状態への回動時には脚体21を回動させて起立接地状態にする連結体31を備え、この連結体31により脚体21が回動搬送体11の回動に連動して所望の起立接地状態に自動的に切り換わるため、例えば人が手作業で回動搬送体11を搬送状態へすばやく下方回動させた際に脚体21が所望の起立接地状態にならないという不具合を防止でき、取扱性に優れている。
【0037】
また、脚体21が単一接地部26のみで接地するため、脚体21と被接地面25との間で足を挟んでしまうことがなく、安全性を容易に確保できる。
【0038】
さらに、人力による回動搬送体11の上方退避状態への上方回動を補助するガススプリング41を備えるため、手作業によって回動搬送体11を上方退避状態へ容易に持ち上げることができる。
【0039】
なお、搬送体4および回動搬送体11は、ローラ部6,13で被搬送物を搬送するもの以外に、例えば無端ベルトで被搬送物を搬送するもの等でもよい。
【0040】
また、搬送装置2は、手作業で回動搬送体11を回動させる手動タイプには限定されず、例えばエアシリンダ、モータ等のアクチュエータで回動搬送体11を回動させる自動タイプでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の搬送装置の一実施の形態を示す側面図である。
【図2】同上搬送装置の平面図である。
【図3】同上搬送装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
2 搬送装置
4 搬送体
11 回動搬送体
16 手掛け部
21 脚体
22 脚本体部
26 単一接地部
31 連結体
41 回動補助手段であるガススプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送体と、
この搬送体に上下方向に回動可能に設けられ、回動により搬送状態および上方退避状態になる回動搬送体と、
この回動搬送体に回動可能に設けられ、回動により起立接地状態および倒伏状態になる脚体と、
一端側が前記搬送体に連結され、他端側が前記脚体に連結され、前記回動搬送体の上方退避状態への回動時には前記脚体を回動させて倒伏状態にし、前記回動搬送体の搬送状態への回動時には前記脚体を回動させて起立接地状態にする連結体と
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
脚体は、脚本体部と、この脚本体部の略中央の1箇所にのみ設けられた単一接地部とを有する
ことを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
回動搬送体の上方退避状態への回動を補助する回動補助手段を備える
ことを特徴とする請求項1または2記載の搬送装置。
【請求項4】
回動搬送体は、手掛け部を有する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−256735(P2006−256735A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−74230(P2005−74230)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】