搬送装置
【課題】簡単に記録媒体の搬送速度を変更することができる搬送装置を提供する
【解決手段】高速搬送ベルト12A、12Bの上側には、保持板16A、16Bが配置され、低速搬送ベルト14の上側には、保持板18が配置されている。保持板16A、16B、及び、保持板18には、円形の配置孔17、19が形成されている。配置孔19は、搬送方向Xの上流側の配置孔17から記録媒体Sの幅分よりも僅かに短い距離分離間して板幅方向に2箇所形成され、搬送方向Xの下流側の配置孔17からも記録媒体Sの幅分よりも僅かに短い距離分離間して2箇所形成されている。搬送方向Xの上流側の配置孔19と下流側の配置孔19とは、互いに記録媒体Sの幅よりも狭い間隔で形成されていると共に、通信領域Eの上流側端部及び下流側端部とほぼ一致した位置に配置されている。配置孔17内にはボール21が配置され、配置孔19内にはボール21が配置されている。
【解決手段】高速搬送ベルト12A、12Bの上側には、保持板16A、16Bが配置され、低速搬送ベルト14の上側には、保持板18が配置されている。保持板16A、16B、及び、保持板18には、円形の配置孔17、19が形成されている。配置孔19は、搬送方向Xの上流側の配置孔17から記録媒体Sの幅分よりも僅かに短い距離分離間して板幅方向に2箇所形成され、搬送方向Xの下流側の配置孔17からも記録媒体Sの幅分よりも僅かに短い距離分離間して2箇所形成されている。搬送方向Xの上流側の配置孔19と下流側の配置孔19とは、互いに記録媒体Sの幅よりも狭い間隔で形成されていると共に、通信領域Eの上流側端部及び下流側端部とほぼ一致した位置に配置されている。配置孔17内にはボール21が配置され、配置孔19内にはボール21が配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグ(RF-IDタグ)を搭載する記録媒体を搬送する搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触で情報を送受信可能なRF-ID(Radio Frequency Identification)システムが開発されている。このRF-IDシステムは、電子回路を搭載し情報を保持するICタグ(RF-IDタグ)とICタグをコントロールするリーダ/ライタとから構成される。このRF-IDシステムにおいては、ICタグへのデータの書込み、ICタグに記録されているデータの読み出しなどが非接触で可能とされ、様々な分野で活用されている。
【0003】
その1つとして、ICタグを紙などの記録媒体に搭載し、データの読み込み/書き込みを行うと共に、記録媒体への画像形成など他の作業を行うことが知られている(特許文献1参照)。この場合には、これらの作業を別々の装置で分担するのではなく、画像形成装置にICタグとの通信を行うためのアンテナを搭載し、ICタグとのデータ通信と、記録媒体への画像形成とが、1つの装置内で行われる。
【0004】
ところで、前述のような装置内には、ICタグを搭載した記録媒体を搬送する搬送装置が備えられる。ICタグとの通信時には、データの読み込み/書き込みの精度を上げるために、搬送速度は遅い方が好ましいが、その他の搬送時には、通信時ほど遅い搬送速度である必要はない。
【0005】
そこで、データの読み込み/書き込みの精度を上げつつ、作業のスループットの低下を抑制するために、特許文献1に記載の技術では、搬送ベルトの搬送速度を制御して、記録媒体を最適な搬送速度により実現している。
【特許文献1】特開2003−140548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、搬送ベルトの搬送速度を速めたり遅くしたりするためには、複雑な制御が必要となる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、簡単に記録媒体の搬送速度を変更することができる搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の搬送装置は、搬送路に沿って配置され、記録媒体を搬送する第1搬送ベルトと、前記第1搬送ベルトと平行に配置され、前記第1搬送ベルトよりも遅い速度で前記記録媒体を搬送する第2搬送ベルトと、前記第1搬送ベルト上に配置され、自重により前記記録媒体を前記第1搬送ベルトへ押圧可能であると共に無指向に回転可能とされた第1押圧部材と、前記第2搬送ベルト上に配置され、自重により前記記録媒体を前記第2搬送ベルトへ押圧可能であると共に無指向に回転可能とされた第2押圧部材と、前記第1搬送ベルトでの搬送を行う高速搬送領域では、前記第1押圧部材により前記記録媒体を前記第1搬送ベルトへ押圧すると共に前記第2押圧部材を前記記録媒体と非接触とし、前記第2搬送ベルトでの搬送を行う低速搬送領域では、前記第2押圧部材により前記記録媒体を前記第2搬送ベルトへ押圧すると共に前記第1押圧部材を前記記録媒体と非接触とする、速度変更手段と、を備えている。
【0009】
上記構成の搬送装置では、搬送速度の異なる第1搬送ベルトと第2搬送ベルトが平行に配置されている。記録媒体は、第1押圧部材の自重により第1搬送ベルトへ押圧可能とされ、第2押圧部材の自重により第2搬送ベルトへ押圧可能とされている。そして、速度変更手段により、高速搬送領域では第1押圧部材により記録媒体を第1搬送ベルトへ押圧すると共に第2押圧部材を記録媒体と非接触として第1搬送ベルトで記録媒体を搬送する。また、低速搬送領域では、第2押圧部材により記録媒体を第2搬送ベルトへ押圧すると共に第1押圧部材を記録媒体と非接触として第2搬送ベルトで記録媒体を搬送する。
【0010】
上記構成によれば、第1押圧部材での記録媒体の押圧と、第2押圧部材での記録媒体の押圧とを切り換えることにより、簡単に記録媒体の搬送速度を変更することができる。
【0011】
なお、本発明は、請求項2に記載のように、前記速度変更手段が、前記高速搬送領域に前記第1押圧部材を配置すると共に、前記低速搬送領域に前記第2押圧部材を配置すること、を特徴とすることができる。
【0012】
上記構成によれば、簡単な構成で、高速搬送領域において第1押圧部材によって記録媒体を押圧し、低速搬送領域において第2押圧部材によって記録媒体を押圧することができる。
【0013】
また、本発明は、請求項3に記載のように、前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材を上下動させて、前記記録媒体を押圧する押圧位置と前記記録媒体と非接触となる非接触位置との間で移動させる上下動手段を備え、前記速度変更手段は、前記高速搬送領域において前記第1押圧部材を前記押圧位置に配置すると共に前記第2押圧部材を前記非接触位置に配置し、前記低速搬送領域において前記第2押圧部材を前記押圧位置に配置すると共に前記第1押圧部材を前記非接触位置に配置すること、を特徴とすることができる。
【0014】
上記構成によれば、上下動手段により第1押圧部材及び第2押圧部材を上下動させることにより、高速搬送領域において第1押圧部材によって記録媒体を押圧し、低速搬送領域において第2押圧部材によって記録媒体を押圧することができる。
【0015】
また、本発明は、請求項4に記載のように、前記第1搬送ベルトまたは前記第2搬送ベルトが、搬送方向を逆方向に転換可能とされていること、を特徴とすることができる。
【0016】
上記のように、搬送ベルトを逆方向に進行させることにより、記録媒体を特定領域へ複数回通過させることができる。
【0017】
また、本発明は、請求項5に記載のように、前記記録媒体はICタグを搭載し、前記低速搬送領域は前記ICタグとこのICタグのリーダ/ライタとの通信が行われる通信可能領域であり、前記高速搬送領域は前記ICタグとの通信が行われない非通信領域であること、を特徴とする。
【0018】
ICタグの読み込み、ICタグへの書き込みの際には、精度よく読み書きを行うために搬送速度を低速とし、その他の領域ではスループットを上げるために搬送速度を高速とすることが好ましく、上記構成の搬送装置を好適に用いることができる。
【0019】
また、本発明の前記第1押圧部材及び第2押圧部材は、請求項6に記載のように、球体のボールとすることもできる。
【0020】
このように、ボールを用いることにより、容易に無指向に回転可能な第1押圧部材、第2押圧部材を構成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、簡単に記録媒体の搬送速度を変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[第1実施形態]
以下、本発明の搬送装置の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は本実施形態に係る搬送装置10の構成を示す概略斜視図であり、図2はこれを上面から見た上面図である。搬送装置10は、ICタグ32の搭載された記録媒体Sを、ICタグとの通信を行うリーダ/ライタ30付近を搬送路に沿って搬送するものであり、画像形成装置などに内蔵されている。
【0024】
搬送装置10は、高速搬送ベルト12A、12B、低速搬送ベルト14、保持板16A、16B、保持板18、及び、ボール20、21を備えている。
【0025】
高速搬送ベルト12A、12B、及び、低速搬送ベルト14は、搬送路Wに沿って互いに平行に配置され、高速搬送ベルト12Aと高速搬送ベルト12Bの間に低速搬送ベルト14が挟み込まれる並びとされている。高速搬送ベルト12A、12B、及び、低速搬送ベルト14は、各々2つのプーリー11A、11Bに架け渡された無端ベルトで構成されている。高速搬送ベルト12Aと高速搬送ベルト12Bは、同速度で駆動され、低速搬送ベルト14は、高速搬送ベルト12A、12Bよりも遅い速度で駆動されている。低速搬送ベルト14の駆動速度は、後述するリーダ/ライタ30と記録媒体Sに搭載されたICタグ32との間での高精度な通信が可能な程度の速度とされている。
【0026】
高速搬送ベルト12A、12Bの上側には、保持板16A、16Bが各々配置されている。保持板16A、16Bは、長尺とされ、高速搬送ベルト12A、12Bと所定距離だけ離間して対向するようにして、高速搬送ベルト12A、12Bに沿って配置されている。
【0027】
保持板16Aの中央部分上側には、リーダ/ライタ30が設けられている。リーダ/ライタ30は、アンテナ、各種回路、コントローラーなどを含んで構成され、画像形成装置の図示しない制御部と接続されている。リーダ/ライタ30は、ICタグ32と通信を行い、ICタグ32に記録されているデータの読み込み、ICタグ32へのデータの書き込みを行う。リーダ/ライタ30は、ICタグ32が図2に示す通信領域E内を搬送されている際に、ICタグ32との通信を行うことができる。すなわち、通信領域Eは、リーダ/ライタ30とICタグ32との通信可能領域である。
【0028】
保持板16A、16Bには、円形の配置孔17が形成されている。配置孔17は、長尺方向の両端辺に2箇所ずつ形成されている。各配置孔17内には、ボール20が配置されている。
【0029】
ボール20は、球体とされ、配置孔17よりも僅かに小さい直径とされ、図3にも示すように、高速搬送ベルト12A、12B側に露出されている。ボール20は、高速搬送ベルト12A、12B上に載置された記録媒体Sを、自重によって高速搬送ベルト12A、12B側へ押圧する。また、ボール20は、自由に(無指向に)回転可能とされている。なお、ボール20は、リーダ/ライタ30と後述するICタグ32との間の通信を妨げないように、金属以外の材料、例えば、ガラスやプラスチックなどで構成されたものであることが好ましい。
【0030】
低速搬送ベルト14の上側には、保持板18が配置されている。保持板18は、長尺とされ、低速搬送ベルト14と所定距離だけ離間して対向するようにして低速搬送ベルト14に沿って配置されている。保持板18には、円形の配置孔19が形成されている。配置孔19は、搬送方向Xの上流側の配置孔17から記録媒体Sの幅分よりも僅かに短い距離分離間して板幅方向に2箇所形成され、搬送方向Xの下流側の配置孔17からも記録媒体Sの幅分よりも僅かに短い距離分離間して2箇所形成されている。搬送方向Xの上流側の配置孔19と下流側の配置孔19とは、互いに記録媒体Sの幅よりも狭い間隔で形成されていると共に、通信領域Eの上流側端部及び下流側端部とほぼ一致した位置に配置されている。各配置孔19内には、ボール21が配置されている。
【0031】
ボール21は、ボール20と同形状とされ、図4にも示すように、低速搬送ベルト14側に露出されている。ボール21は、低速搬送ベルト14上に載置された記録媒体Sを、自重によって低速搬送ベルト14側へ押圧する。また、ボール21は、自由に(無指向に)回転可能とされている。ボール21についても、リーダ/ライタ30とICタグ32との間の通信を妨げないように、金属以外の材料、例えば、ガラスやプラスチックなどで構成されたものであることが好ましい。
【0032】
次に、上記構成の搬送装置10での搬送動作について説明する。
【0033】
搬送装置10のプーリー11A、11Bは、図示しない駆動手段によって矢印Y方向に回転駆動され、これにより高速搬送ベルト12A、12Bが高速で、低速搬送ベルト14が低速で搬送方向Xへ回転する。記録媒体Sは、搬送方向Xの上流側から、高速搬送ベルト12A、12B、及び、低速搬送ベルト14上に送り込まれ、ボール20により高速搬送ベルト12A、12Bへ押圧される(図5(A)参照)。一方、この位置では、記録媒体Sはボール21により押圧されていない。これにより、記録媒体Sには高速搬送ベルト12A、12Bの搬送力が作用して、高速搬送ベルト12A、12Bの搬送速度で搬送方向Xへ搬送される。
【0034】
記録媒体Sが通信領域Eに進入すると、ボール21により低速搬送ベルト14へ押圧される(図5(B)参照)。一方、記録媒体Sを押圧していたボール20は、この位置では記録媒体Sから離れる。これにより、記録媒体Sには低速搬送ベルト14の搬送力が作用して、低速搬送ベルト14の搬送速度で搬送方向Xへ搬送される。
【0035】
そして、記録媒体Sが通信領域Eよりも下流側へ進んで通信領域Eの外側に出ると、ボール20により再び高速搬送ベルト12A、12Bへ押圧される(図5(C)参照)。一方、記録媒体Sを押圧していたボール21は、この位置では記録媒体Sから離れる。これにより、記録媒体Sは、高速搬送ベルト12A、12Bの搬送速度で搬送方向Xへ搬送される。
【0036】
リーダ/ライタ30とICタグ32との通信は、ICタグ32が通信領域Eを通過中に行われる。通信領域Eでは、記録媒体Sは低速搬送ベルト14の搬送速度で搬送されるので、リーダ/ライタ30とICタグ32との通信も、低速搬送ベルト14により搬送されながら、すなわち、低速搬送中に行われる。したがって、精度の高い読み込み、書き込みを行うことができる。また、記録媒体Sが通信領域Eよりも上流側、下流側を搬送される際には、高速搬送ベルト12A、12Bの搬送速度で搬送される。したがって、搬送速度を速めることができ、処理のスループットを短縮することができる。
【0037】
また、上記構成の搬送装置10によれば、高速搬送ベルト12A、12B、低速搬送ベルト14を設け、ボール20、21を各々の搬送ベルト上の通信領域E内と通信領域E外に設ける構成とすることにより、簡単に記録媒体Sの搬送速度を変更できる。
【0038】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態については、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0039】
図6は本実施形態に係る搬送装置40の構成を示す概略斜視図であり、図7はこれを上面から見た上面図である。搬送装置40は、高速搬送ベルト12A、12B、低速搬送ベルト14、保持板16A、16B、保持板18、スライド板42A、42B、スライド板44、駆動装置46、及び、ボール20、21を備えている。高速搬送ベルト12A、12B、低速搬送ベルト14、保持板16A、16B、保持板18の構成は第1実施形態と同様である。
保持板16A、16Bには、配置孔17と同形状の配置孔47が形成されている。配置孔47は、記録媒体Sの搬送方向Xの長さ程度の間隔で、板幅方向に2箇所ずつ形成されており、保持板16Aに合計8箇所、保持板16Aにも合計8箇所形成されている。各配置孔47には、ボール20が配置されている。保持板16Aの中央部上側には、リーダ/ライタ30が設けられ、図2にも示すように、通信領域Eが構成されている。
【0040】
保持板16A、16Bの下側には、スライド板42A、42Bが配置され、保持板18の下側には、スライド板44が配置されている。スライド板42A、42B、及び、スライド板44は、図7にも示すように、搬送方向X上流側の一端部が駆動装置46に連結されている。スライド板42A、42B、及び、スライド板44は、長尺方向に沿って移動可能とされており、駆動装置46によってスライド移動される。駆動装置46は、ソレノイドなどで構成することができる。
【0041】
スライド板42A、42B、及び、スライド板44には、配置孔47、19に対応する位置に移動孔48が構成されている(図8参照)。移動孔48は、配置孔47、19と同一径とされている。スライド板42A、42B、及び、スライド板44の移動により、移動孔48は移動し、配置孔47、19の下側の開口サイズが小さくなり、ボール20、21が持ち上げられて記録媒体Sと非接触となる。
【0042】
リーダ/ライタ30は、図示しない制御部に接続されると共に、駆動装置46と接続されている。リーダ/ライタ30とICタグ32との通信が開始されると、駆動装置46へ低速搬送信号S1が出力され、リーダ/ライタ30とICタグ32との通信が終了すると、駆動装置46へ高速搬送信号S2が出力される。駆動装置46は、低速搬送信号S1が入力されると、スライド板42A、42Bをスライドさせてボール20を記録媒体Sと離間させると共に、スライド板44を配置孔19と移動孔48とが一致する位置に配置し(図8(B)参照)、高速搬送信号S2が入力されると、スライド板44をスライドさせてボール21を記録媒体Sと離間させると共に、スライド板42A、42Bを配置孔47と移動孔48とが一致する位置に配置する((図8(A)参照)。なお、低速搬送信号S1の入力時以外には、スライド板44はボール21を記録媒体Sから離間させる位置にスライドされた状態とされている。
【0043】
次に、上記構成の搬送装置40での搬送動作について説明する。
【0044】
搬送装置40のプーリー11A、11Bは、図示しない駆動手段によって矢印Y方向に回転駆動され、これにより高速搬送ベルト12A、12Bが高速で、低速搬送ベルト14が低速で搬送方向Xへ回転する。記録媒体Sは、搬送方向Xの上流側から、高速搬送ベルト12A、12B、及び、低速搬送ベルト14上に送り込まれ、ボール20により高速搬送ベルト12A、12Bへ押圧される(図9(A)参照)。一方、この位置では、記録媒体Sはボール21により押圧されていない。これにより、記録媒体Sには高速搬送ベルト12A、12Bの搬送力が作用して、高速搬送ベルト12A、12Bの搬送速度で搬送方向Xへ搬送される。
【0045】
ICタグ32が通信領域Eに進入すると、リーダ/ライタ30とICタグ32との通信が開始され、駆動装置46へ低速搬送信号S1が出力される。これにより、スライド板42A、42Bがスライドされてボール20は記録媒体Sと非接触となる。また、スライド板44が配置孔19と移動孔48とが一致する位置に配置されて、ボール21は記録媒体Sを低速搬送ベルト14へ押圧する(図9(B)参照)。これにより、記録媒体Sには低速搬送ベルト14の搬送力が作用して、低速搬送ベルト14の搬送速度で搬送方向Xへ搬送される。
【0046】
そして、ICタグ32が通信領域Eよりも下流側へ進んで通信領域Eの外側に出ると、リーダ/ライタ30とICタグ32との間の通信が終了し、駆動装置46へ高速搬送信号S2が出力される。これにより、スライド板44がスライドされてボール21は記録媒体Sと非接触となる。また、スライド板42A、42Bが配置孔47と移動孔48とが一致する位置に配置されて、ボール20は記録媒体Sを高速搬送ベルト12A、12Bへ押圧する(図9(C)参照)。これにより、記録媒体Sには高速搬送ベルト12A、12Bの搬送力が作用して、高速搬送ベルト12A、12Bの搬送速度で搬送方向Xへ搬送される。
【0047】
本実施形態の搬送装置40によれば、ボール20、21の上下動という簡単な制御により、記録媒体Sの搬送速度の制御を行うことができる。そして、リーダ/ライタ30とICタグ32との通信が開始されると、記録媒体Sは低速で搬送され、リーダ/ライタ30とICタグ32との通信が終了すると、記録媒体Sは高速で搬送されるので、精度の高い読み込み、書き込みを行うことができると共に、処理のスループットも短縮することができる。
【0048】
なお、本実施形態では、低速搬送ベルト14を低速で搬送方向Xに回転させているが、低速搬送ベルト14は搬送速度0、すなわち停止させた状態でもよい。この場合には、ICタグ32がリーダ/ライタ30と最も接近する位置に搬送されたときに、リーダ/ライタ30から駆動装置46へ停止信号S3を出力する。この停止信号S3を受けて、駆動装置46がスライド板42A、42Bがスライドさせ、ボール20は記録媒体Sと非接触となる。また、スライド板44は配置孔19と移動孔48とが一致する位置に配置されて、ボール21は記録媒体Sを停止している低速搬送ベルト14へ押圧する。これにより、記録媒体Sは停止する。ICタグ32との必要な通信が終了したら、リーダ/ライタ30は駆動装置46へ高速搬送信号S2を出力する。これにより、スライド板44がスライドされてボール21は記録媒体Sと非接触となる。また、スライド板42A、42Bが配置孔47と移動孔48とが一致する位置に配置されて、ボール20は記録媒体Sを高速搬送ベルト12A、12Bへ押圧する。これにより、記録媒体Sには高速搬送ベルト12A、12Bの搬送力が作用して、高速搬送ベルト12A、12Bの搬送速度で搬送方向Xへ搬送される。
【0049】
また、高速搬送ベルト12A、12B、低速搬送ベルト14を逆送可能とし、リーダ/ライタ30での読み込み/書き込みに失敗した場合には、搬送方向X上流側へ記録媒体Sを戻して、再送してもよい。例えば、低速搬送ベルト14を逆送させる場合には、図10に示すように、通信領域E内を搬送方向Xへ搬送中に読み込みに失敗した場合には、ボール21で記録媒体Sを押圧した状態で低速搬送ベルト14を搬送方向Xと逆方向Zへ回転させればよい。
【0050】
また、記録媒体Sを押圧するボール20、21を選択することにより、図11(A)に示すような記録媒体Sの傾きを補正することができる。例えば、図11(A)のように記録媒体Sが傾いている場合には、図11(B)に示すように、ボール20Aを記録媒体Sと非接触とすることにより、搬送方向Xへ搬送しつつ、傾きを補正することができる。
【0051】
また、第1実施形態、第2実施形態では、3本の搬送ベルトを使用した例について説明したが、搬送ベルトは2本でも、4本以上でもよい。
【0052】
また、第1実施形態、第2実施形態では、ICタグ32とリーダ/ライタ30との通信のために搬送速度を変更した例について説明したが、その他の処理、例えば、高解像度での画像形成、読取などの際に搬送速度の変更が必要な場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態に係る搬送装置を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る搬送装置を示す概略上面図である。
【図3】図1のA−Aの断面図である。
【図4】図1のB−Bの断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る搬送装置の搬送動作を示す概略上面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る搬送装置を示す概略斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る搬送装置を示す概略上面図である。
【図8】図6のA−Aの断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る搬送装置の搬送動作を示す概略上面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る搬送装置の他の搬送動作を示す概略上面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る搬送装置の他の搬送動作を示す概略上面図である。
【符号の説明】
【0054】
10 搬送装置
12A 高速搬送ベルト
12B 高速搬送ベルト
14 低速搬送ベルト
16A 保持板
17 配置孔
18 保持板
19 配置孔
20 ボール
21 ボール
30 リーダ/ライタ
32 ICタグ
40 搬送装置
42A スライド板
44 スライド板
46 駆動装置
47 配置孔
48 移動孔
E 通信領域
W 搬送路
X 搬送方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグ(RF-IDタグ)を搭載する記録媒体を搬送する搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触で情報を送受信可能なRF-ID(Radio Frequency Identification)システムが開発されている。このRF-IDシステムは、電子回路を搭載し情報を保持するICタグ(RF-IDタグ)とICタグをコントロールするリーダ/ライタとから構成される。このRF-IDシステムにおいては、ICタグへのデータの書込み、ICタグに記録されているデータの読み出しなどが非接触で可能とされ、様々な分野で活用されている。
【0003】
その1つとして、ICタグを紙などの記録媒体に搭載し、データの読み込み/書き込みを行うと共に、記録媒体への画像形成など他の作業を行うことが知られている(特許文献1参照)。この場合には、これらの作業を別々の装置で分担するのではなく、画像形成装置にICタグとの通信を行うためのアンテナを搭載し、ICタグとのデータ通信と、記録媒体への画像形成とが、1つの装置内で行われる。
【0004】
ところで、前述のような装置内には、ICタグを搭載した記録媒体を搬送する搬送装置が備えられる。ICタグとの通信時には、データの読み込み/書き込みの精度を上げるために、搬送速度は遅い方が好ましいが、その他の搬送時には、通信時ほど遅い搬送速度である必要はない。
【0005】
そこで、データの読み込み/書き込みの精度を上げつつ、作業のスループットの低下を抑制するために、特許文献1に記載の技術では、搬送ベルトの搬送速度を制御して、記録媒体を最適な搬送速度により実現している。
【特許文献1】特開2003−140548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、搬送ベルトの搬送速度を速めたり遅くしたりするためには、複雑な制御が必要となる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、簡単に記録媒体の搬送速度を変更することができる搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の搬送装置は、搬送路に沿って配置され、記録媒体を搬送する第1搬送ベルトと、前記第1搬送ベルトと平行に配置され、前記第1搬送ベルトよりも遅い速度で前記記録媒体を搬送する第2搬送ベルトと、前記第1搬送ベルト上に配置され、自重により前記記録媒体を前記第1搬送ベルトへ押圧可能であると共に無指向に回転可能とされた第1押圧部材と、前記第2搬送ベルト上に配置され、自重により前記記録媒体を前記第2搬送ベルトへ押圧可能であると共に無指向に回転可能とされた第2押圧部材と、前記第1搬送ベルトでの搬送を行う高速搬送領域では、前記第1押圧部材により前記記録媒体を前記第1搬送ベルトへ押圧すると共に前記第2押圧部材を前記記録媒体と非接触とし、前記第2搬送ベルトでの搬送を行う低速搬送領域では、前記第2押圧部材により前記記録媒体を前記第2搬送ベルトへ押圧すると共に前記第1押圧部材を前記記録媒体と非接触とする、速度変更手段と、を備えている。
【0009】
上記構成の搬送装置では、搬送速度の異なる第1搬送ベルトと第2搬送ベルトが平行に配置されている。記録媒体は、第1押圧部材の自重により第1搬送ベルトへ押圧可能とされ、第2押圧部材の自重により第2搬送ベルトへ押圧可能とされている。そして、速度変更手段により、高速搬送領域では第1押圧部材により記録媒体を第1搬送ベルトへ押圧すると共に第2押圧部材を記録媒体と非接触として第1搬送ベルトで記録媒体を搬送する。また、低速搬送領域では、第2押圧部材により記録媒体を第2搬送ベルトへ押圧すると共に第1押圧部材を記録媒体と非接触として第2搬送ベルトで記録媒体を搬送する。
【0010】
上記構成によれば、第1押圧部材での記録媒体の押圧と、第2押圧部材での記録媒体の押圧とを切り換えることにより、簡単に記録媒体の搬送速度を変更することができる。
【0011】
なお、本発明は、請求項2に記載のように、前記速度変更手段が、前記高速搬送領域に前記第1押圧部材を配置すると共に、前記低速搬送領域に前記第2押圧部材を配置すること、を特徴とすることができる。
【0012】
上記構成によれば、簡単な構成で、高速搬送領域において第1押圧部材によって記録媒体を押圧し、低速搬送領域において第2押圧部材によって記録媒体を押圧することができる。
【0013】
また、本発明は、請求項3に記載のように、前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材を上下動させて、前記記録媒体を押圧する押圧位置と前記記録媒体と非接触となる非接触位置との間で移動させる上下動手段を備え、前記速度変更手段は、前記高速搬送領域において前記第1押圧部材を前記押圧位置に配置すると共に前記第2押圧部材を前記非接触位置に配置し、前記低速搬送領域において前記第2押圧部材を前記押圧位置に配置すると共に前記第1押圧部材を前記非接触位置に配置すること、を特徴とすることができる。
【0014】
上記構成によれば、上下動手段により第1押圧部材及び第2押圧部材を上下動させることにより、高速搬送領域において第1押圧部材によって記録媒体を押圧し、低速搬送領域において第2押圧部材によって記録媒体を押圧することができる。
【0015】
また、本発明は、請求項4に記載のように、前記第1搬送ベルトまたは前記第2搬送ベルトが、搬送方向を逆方向に転換可能とされていること、を特徴とすることができる。
【0016】
上記のように、搬送ベルトを逆方向に進行させることにより、記録媒体を特定領域へ複数回通過させることができる。
【0017】
また、本発明は、請求項5に記載のように、前記記録媒体はICタグを搭載し、前記低速搬送領域は前記ICタグとこのICタグのリーダ/ライタとの通信が行われる通信可能領域であり、前記高速搬送領域は前記ICタグとの通信が行われない非通信領域であること、を特徴とする。
【0018】
ICタグの読み込み、ICタグへの書き込みの際には、精度よく読み書きを行うために搬送速度を低速とし、その他の領域ではスループットを上げるために搬送速度を高速とすることが好ましく、上記構成の搬送装置を好適に用いることができる。
【0019】
また、本発明の前記第1押圧部材及び第2押圧部材は、請求項6に記載のように、球体のボールとすることもできる。
【0020】
このように、ボールを用いることにより、容易に無指向に回転可能な第1押圧部材、第2押圧部材を構成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、簡単に記録媒体の搬送速度を変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[第1実施形態]
以下、本発明の搬送装置の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は本実施形態に係る搬送装置10の構成を示す概略斜視図であり、図2はこれを上面から見た上面図である。搬送装置10は、ICタグ32の搭載された記録媒体Sを、ICタグとの通信を行うリーダ/ライタ30付近を搬送路に沿って搬送するものであり、画像形成装置などに内蔵されている。
【0024】
搬送装置10は、高速搬送ベルト12A、12B、低速搬送ベルト14、保持板16A、16B、保持板18、及び、ボール20、21を備えている。
【0025】
高速搬送ベルト12A、12B、及び、低速搬送ベルト14は、搬送路Wに沿って互いに平行に配置され、高速搬送ベルト12Aと高速搬送ベルト12Bの間に低速搬送ベルト14が挟み込まれる並びとされている。高速搬送ベルト12A、12B、及び、低速搬送ベルト14は、各々2つのプーリー11A、11Bに架け渡された無端ベルトで構成されている。高速搬送ベルト12Aと高速搬送ベルト12Bは、同速度で駆動され、低速搬送ベルト14は、高速搬送ベルト12A、12Bよりも遅い速度で駆動されている。低速搬送ベルト14の駆動速度は、後述するリーダ/ライタ30と記録媒体Sに搭載されたICタグ32との間での高精度な通信が可能な程度の速度とされている。
【0026】
高速搬送ベルト12A、12Bの上側には、保持板16A、16Bが各々配置されている。保持板16A、16Bは、長尺とされ、高速搬送ベルト12A、12Bと所定距離だけ離間して対向するようにして、高速搬送ベルト12A、12Bに沿って配置されている。
【0027】
保持板16Aの中央部分上側には、リーダ/ライタ30が設けられている。リーダ/ライタ30は、アンテナ、各種回路、コントローラーなどを含んで構成され、画像形成装置の図示しない制御部と接続されている。リーダ/ライタ30は、ICタグ32と通信を行い、ICタグ32に記録されているデータの読み込み、ICタグ32へのデータの書き込みを行う。リーダ/ライタ30は、ICタグ32が図2に示す通信領域E内を搬送されている際に、ICタグ32との通信を行うことができる。すなわち、通信領域Eは、リーダ/ライタ30とICタグ32との通信可能領域である。
【0028】
保持板16A、16Bには、円形の配置孔17が形成されている。配置孔17は、長尺方向の両端辺に2箇所ずつ形成されている。各配置孔17内には、ボール20が配置されている。
【0029】
ボール20は、球体とされ、配置孔17よりも僅かに小さい直径とされ、図3にも示すように、高速搬送ベルト12A、12B側に露出されている。ボール20は、高速搬送ベルト12A、12B上に載置された記録媒体Sを、自重によって高速搬送ベルト12A、12B側へ押圧する。また、ボール20は、自由に(無指向に)回転可能とされている。なお、ボール20は、リーダ/ライタ30と後述するICタグ32との間の通信を妨げないように、金属以外の材料、例えば、ガラスやプラスチックなどで構成されたものであることが好ましい。
【0030】
低速搬送ベルト14の上側には、保持板18が配置されている。保持板18は、長尺とされ、低速搬送ベルト14と所定距離だけ離間して対向するようにして低速搬送ベルト14に沿って配置されている。保持板18には、円形の配置孔19が形成されている。配置孔19は、搬送方向Xの上流側の配置孔17から記録媒体Sの幅分よりも僅かに短い距離分離間して板幅方向に2箇所形成され、搬送方向Xの下流側の配置孔17からも記録媒体Sの幅分よりも僅かに短い距離分離間して2箇所形成されている。搬送方向Xの上流側の配置孔19と下流側の配置孔19とは、互いに記録媒体Sの幅よりも狭い間隔で形成されていると共に、通信領域Eの上流側端部及び下流側端部とほぼ一致した位置に配置されている。各配置孔19内には、ボール21が配置されている。
【0031】
ボール21は、ボール20と同形状とされ、図4にも示すように、低速搬送ベルト14側に露出されている。ボール21は、低速搬送ベルト14上に載置された記録媒体Sを、自重によって低速搬送ベルト14側へ押圧する。また、ボール21は、自由に(無指向に)回転可能とされている。ボール21についても、リーダ/ライタ30とICタグ32との間の通信を妨げないように、金属以外の材料、例えば、ガラスやプラスチックなどで構成されたものであることが好ましい。
【0032】
次に、上記構成の搬送装置10での搬送動作について説明する。
【0033】
搬送装置10のプーリー11A、11Bは、図示しない駆動手段によって矢印Y方向に回転駆動され、これにより高速搬送ベルト12A、12Bが高速で、低速搬送ベルト14が低速で搬送方向Xへ回転する。記録媒体Sは、搬送方向Xの上流側から、高速搬送ベルト12A、12B、及び、低速搬送ベルト14上に送り込まれ、ボール20により高速搬送ベルト12A、12Bへ押圧される(図5(A)参照)。一方、この位置では、記録媒体Sはボール21により押圧されていない。これにより、記録媒体Sには高速搬送ベルト12A、12Bの搬送力が作用して、高速搬送ベルト12A、12Bの搬送速度で搬送方向Xへ搬送される。
【0034】
記録媒体Sが通信領域Eに進入すると、ボール21により低速搬送ベルト14へ押圧される(図5(B)参照)。一方、記録媒体Sを押圧していたボール20は、この位置では記録媒体Sから離れる。これにより、記録媒体Sには低速搬送ベルト14の搬送力が作用して、低速搬送ベルト14の搬送速度で搬送方向Xへ搬送される。
【0035】
そして、記録媒体Sが通信領域Eよりも下流側へ進んで通信領域Eの外側に出ると、ボール20により再び高速搬送ベルト12A、12Bへ押圧される(図5(C)参照)。一方、記録媒体Sを押圧していたボール21は、この位置では記録媒体Sから離れる。これにより、記録媒体Sは、高速搬送ベルト12A、12Bの搬送速度で搬送方向Xへ搬送される。
【0036】
リーダ/ライタ30とICタグ32との通信は、ICタグ32が通信領域Eを通過中に行われる。通信領域Eでは、記録媒体Sは低速搬送ベルト14の搬送速度で搬送されるので、リーダ/ライタ30とICタグ32との通信も、低速搬送ベルト14により搬送されながら、すなわち、低速搬送中に行われる。したがって、精度の高い読み込み、書き込みを行うことができる。また、記録媒体Sが通信領域Eよりも上流側、下流側を搬送される際には、高速搬送ベルト12A、12Bの搬送速度で搬送される。したがって、搬送速度を速めることができ、処理のスループットを短縮することができる。
【0037】
また、上記構成の搬送装置10によれば、高速搬送ベルト12A、12B、低速搬送ベルト14を設け、ボール20、21を各々の搬送ベルト上の通信領域E内と通信領域E外に設ける構成とすることにより、簡単に記録媒体Sの搬送速度を変更できる。
【0038】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態については、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0039】
図6は本実施形態に係る搬送装置40の構成を示す概略斜視図であり、図7はこれを上面から見た上面図である。搬送装置40は、高速搬送ベルト12A、12B、低速搬送ベルト14、保持板16A、16B、保持板18、スライド板42A、42B、スライド板44、駆動装置46、及び、ボール20、21を備えている。高速搬送ベルト12A、12B、低速搬送ベルト14、保持板16A、16B、保持板18の構成は第1実施形態と同様である。
保持板16A、16Bには、配置孔17と同形状の配置孔47が形成されている。配置孔47は、記録媒体Sの搬送方向Xの長さ程度の間隔で、板幅方向に2箇所ずつ形成されており、保持板16Aに合計8箇所、保持板16Aにも合計8箇所形成されている。各配置孔47には、ボール20が配置されている。保持板16Aの中央部上側には、リーダ/ライタ30が設けられ、図2にも示すように、通信領域Eが構成されている。
【0040】
保持板16A、16Bの下側には、スライド板42A、42Bが配置され、保持板18の下側には、スライド板44が配置されている。スライド板42A、42B、及び、スライド板44は、図7にも示すように、搬送方向X上流側の一端部が駆動装置46に連結されている。スライド板42A、42B、及び、スライド板44は、長尺方向に沿って移動可能とされており、駆動装置46によってスライド移動される。駆動装置46は、ソレノイドなどで構成することができる。
【0041】
スライド板42A、42B、及び、スライド板44には、配置孔47、19に対応する位置に移動孔48が構成されている(図8参照)。移動孔48は、配置孔47、19と同一径とされている。スライド板42A、42B、及び、スライド板44の移動により、移動孔48は移動し、配置孔47、19の下側の開口サイズが小さくなり、ボール20、21が持ち上げられて記録媒体Sと非接触となる。
【0042】
リーダ/ライタ30は、図示しない制御部に接続されると共に、駆動装置46と接続されている。リーダ/ライタ30とICタグ32との通信が開始されると、駆動装置46へ低速搬送信号S1が出力され、リーダ/ライタ30とICタグ32との通信が終了すると、駆動装置46へ高速搬送信号S2が出力される。駆動装置46は、低速搬送信号S1が入力されると、スライド板42A、42Bをスライドさせてボール20を記録媒体Sと離間させると共に、スライド板44を配置孔19と移動孔48とが一致する位置に配置し(図8(B)参照)、高速搬送信号S2が入力されると、スライド板44をスライドさせてボール21を記録媒体Sと離間させると共に、スライド板42A、42Bを配置孔47と移動孔48とが一致する位置に配置する((図8(A)参照)。なお、低速搬送信号S1の入力時以外には、スライド板44はボール21を記録媒体Sから離間させる位置にスライドされた状態とされている。
【0043】
次に、上記構成の搬送装置40での搬送動作について説明する。
【0044】
搬送装置40のプーリー11A、11Bは、図示しない駆動手段によって矢印Y方向に回転駆動され、これにより高速搬送ベルト12A、12Bが高速で、低速搬送ベルト14が低速で搬送方向Xへ回転する。記録媒体Sは、搬送方向Xの上流側から、高速搬送ベルト12A、12B、及び、低速搬送ベルト14上に送り込まれ、ボール20により高速搬送ベルト12A、12Bへ押圧される(図9(A)参照)。一方、この位置では、記録媒体Sはボール21により押圧されていない。これにより、記録媒体Sには高速搬送ベルト12A、12Bの搬送力が作用して、高速搬送ベルト12A、12Bの搬送速度で搬送方向Xへ搬送される。
【0045】
ICタグ32が通信領域Eに進入すると、リーダ/ライタ30とICタグ32との通信が開始され、駆動装置46へ低速搬送信号S1が出力される。これにより、スライド板42A、42Bがスライドされてボール20は記録媒体Sと非接触となる。また、スライド板44が配置孔19と移動孔48とが一致する位置に配置されて、ボール21は記録媒体Sを低速搬送ベルト14へ押圧する(図9(B)参照)。これにより、記録媒体Sには低速搬送ベルト14の搬送力が作用して、低速搬送ベルト14の搬送速度で搬送方向Xへ搬送される。
【0046】
そして、ICタグ32が通信領域Eよりも下流側へ進んで通信領域Eの外側に出ると、リーダ/ライタ30とICタグ32との間の通信が終了し、駆動装置46へ高速搬送信号S2が出力される。これにより、スライド板44がスライドされてボール21は記録媒体Sと非接触となる。また、スライド板42A、42Bが配置孔47と移動孔48とが一致する位置に配置されて、ボール20は記録媒体Sを高速搬送ベルト12A、12Bへ押圧する(図9(C)参照)。これにより、記録媒体Sには高速搬送ベルト12A、12Bの搬送力が作用して、高速搬送ベルト12A、12Bの搬送速度で搬送方向Xへ搬送される。
【0047】
本実施形態の搬送装置40によれば、ボール20、21の上下動という簡単な制御により、記録媒体Sの搬送速度の制御を行うことができる。そして、リーダ/ライタ30とICタグ32との通信が開始されると、記録媒体Sは低速で搬送され、リーダ/ライタ30とICタグ32との通信が終了すると、記録媒体Sは高速で搬送されるので、精度の高い読み込み、書き込みを行うことができると共に、処理のスループットも短縮することができる。
【0048】
なお、本実施形態では、低速搬送ベルト14を低速で搬送方向Xに回転させているが、低速搬送ベルト14は搬送速度0、すなわち停止させた状態でもよい。この場合には、ICタグ32がリーダ/ライタ30と最も接近する位置に搬送されたときに、リーダ/ライタ30から駆動装置46へ停止信号S3を出力する。この停止信号S3を受けて、駆動装置46がスライド板42A、42Bがスライドさせ、ボール20は記録媒体Sと非接触となる。また、スライド板44は配置孔19と移動孔48とが一致する位置に配置されて、ボール21は記録媒体Sを停止している低速搬送ベルト14へ押圧する。これにより、記録媒体Sは停止する。ICタグ32との必要な通信が終了したら、リーダ/ライタ30は駆動装置46へ高速搬送信号S2を出力する。これにより、スライド板44がスライドされてボール21は記録媒体Sと非接触となる。また、スライド板42A、42Bが配置孔47と移動孔48とが一致する位置に配置されて、ボール20は記録媒体Sを高速搬送ベルト12A、12Bへ押圧する。これにより、記録媒体Sには高速搬送ベルト12A、12Bの搬送力が作用して、高速搬送ベルト12A、12Bの搬送速度で搬送方向Xへ搬送される。
【0049】
また、高速搬送ベルト12A、12B、低速搬送ベルト14を逆送可能とし、リーダ/ライタ30での読み込み/書き込みに失敗した場合には、搬送方向X上流側へ記録媒体Sを戻して、再送してもよい。例えば、低速搬送ベルト14を逆送させる場合には、図10に示すように、通信領域E内を搬送方向Xへ搬送中に読み込みに失敗した場合には、ボール21で記録媒体Sを押圧した状態で低速搬送ベルト14を搬送方向Xと逆方向Zへ回転させればよい。
【0050】
また、記録媒体Sを押圧するボール20、21を選択することにより、図11(A)に示すような記録媒体Sの傾きを補正することができる。例えば、図11(A)のように記録媒体Sが傾いている場合には、図11(B)に示すように、ボール20Aを記録媒体Sと非接触とすることにより、搬送方向Xへ搬送しつつ、傾きを補正することができる。
【0051】
また、第1実施形態、第2実施形態では、3本の搬送ベルトを使用した例について説明したが、搬送ベルトは2本でも、4本以上でもよい。
【0052】
また、第1実施形態、第2実施形態では、ICタグ32とリーダ/ライタ30との通信のために搬送速度を変更した例について説明したが、その他の処理、例えば、高解像度での画像形成、読取などの際に搬送速度の変更が必要な場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態に係る搬送装置を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る搬送装置を示す概略上面図である。
【図3】図1のA−Aの断面図である。
【図4】図1のB−Bの断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る搬送装置の搬送動作を示す概略上面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る搬送装置を示す概略斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る搬送装置を示す概略上面図である。
【図8】図6のA−Aの断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る搬送装置の搬送動作を示す概略上面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る搬送装置の他の搬送動作を示す概略上面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る搬送装置の他の搬送動作を示す概略上面図である。
【符号の説明】
【0054】
10 搬送装置
12A 高速搬送ベルト
12B 高速搬送ベルト
14 低速搬送ベルト
16A 保持板
17 配置孔
18 保持板
19 配置孔
20 ボール
21 ボール
30 リーダ/ライタ
32 ICタグ
40 搬送装置
42A スライド板
44 スライド板
46 駆動装置
47 配置孔
48 移動孔
E 通信領域
W 搬送路
X 搬送方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿って配置され、記録媒体を搬送する第1搬送ベルトと、
前記第1搬送ベルトと平行に配置され、前記第1搬送ベルトよりも遅い速度で前記記録媒体を搬送する第2搬送ベルトと、
前記第1搬送ベルト上に配置され、自重により前記記録媒体を前記第1搬送ベルトへ押圧可能であると共に無指向に回転可能とされた第1押圧部材と、
前記第2搬送ベルト上に配置され、自重により前記記録媒体を前記第2搬送ベルトへ押圧可能であると共に無指向に回転可能とされた第2押圧部材と、
前記第1搬送ベルトでの搬送を行う高速搬送領域では、前記第1押圧部材により前記記録媒体を前記第1搬送ベルトへ押圧すると共に前記第2押圧部材を前記記録媒体と非接触とし、前記第2搬送ベルトでの搬送を行う低速搬送領域では、前記第2押圧部材により前記記録媒体を前記第2搬送ベルトへ押圧すると共に前記第1押圧部材を前記記録媒体と非接触とする、速度変更手段と、
を備えた搬送装置。
【請求項2】
前記速度変更手段は、前記高速搬送領域に前記第1押圧部材を配置すると共に、前記低速搬送領域に前記第2押圧部材を配置すること、を特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材を上下動させて、前記記録媒体を押圧する押圧位置と前記記録媒体と非接触となる非接触位置との間で移動させる上下動手段を備え、
前記速度変更手段は、前記高速搬送領域において前記第1押圧部材を前記押圧位置に配置すると共に前記第2押圧部材を前記非接触位置に配置し、前記低速搬送領域において前記第2押圧部材を前記押圧位置に配置すると共に前記第1押圧部材を前記非接触位置に配置すること、を特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第1搬送ベルトまたは前記第2搬送ベルトは、搬送方向を逆方向に転換可能とされていること、を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記記録媒体はICタグを搭載し、前記低速搬送領域は前記ICタグとこのICタグのリーダ/ライタとの通信が行われる通信可能領域であり、前記高速搬送領域は前記ICタグとの通信が行われない非通信領域であること、を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記第1押圧部材及び第2押圧部材が、球体のボールであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項1】
搬送路に沿って配置され、記録媒体を搬送する第1搬送ベルトと、
前記第1搬送ベルトと平行に配置され、前記第1搬送ベルトよりも遅い速度で前記記録媒体を搬送する第2搬送ベルトと、
前記第1搬送ベルト上に配置され、自重により前記記録媒体を前記第1搬送ベルトへ押圧可能であると共に無指向に回転可能とされた第1押圧部材と、
前記第2搬送ベルト上に配置され、自重により前記記録媒体を前記第2搬送ベルトへ押圧可能であると共に無指向に回転可能とされた第2押圧部材と、
前記第1搬送ベルトでの搬送を行う高速搬送領域では、前記第1押圧部材により前記記録媒体を前記第1搬送ベルトへ押圧すると共に前記第2押圧部材を前記記録媒体と非接触とし、前記第2搬送ベルトでの搬送を行う低速搬送領域では、前記第2押圧部材により前記記録媒体を前記第2搬送ベルトへ押圧すると共に前記第1押圧部材を前記記録媒体と非接触とする、速度変更手段と、
を備えた搬送装置。
【請求項2】
前記速度変更手段は、前記高速搬送領域に前記第1押圧部材を配置すると共に、前記低速搬送領域に前記第2押圧部材を配置すること、を特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材を上下動させて、前記記録媒体を押圧する押圧位置と前記記録媒体と非接触となる非接触位置との間で移動させる上下動手段を備え、
前記速度変更手段は、前記高速搬送領域において前記第1押圧部材を前記押圧位置に配置すると共に前記第2押圧部材を前記非接触位置に配置し、前記低速搬送領域において前記第2押圧部材を前記押圧位置に配置すると共に前記第1押圧部材を前記非接触位置に配置すること、を特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第1搬送ベルトまたは前記第2搬送ベルトは、搬送方向を逆方向に転換可能とされていること、を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記記録媒体はICタグを搭載し、前記低速搬送領域は前記ICタグとこのICタグのリーダ/ライタとの通信が行われる通信可能領域であり、前記高速搬送領域は前記ICタグとの通信が行われない非通信領域であること、を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記第1押圧部材及び第2押圧部材が、球体のボールであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−217095(P2007−217095A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−38068(P2006−38068)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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