説明

搬送装置

【課題】 加工コスト及び材料コストを低減できると共に、小型化を図ることができる搬送装置を提供する。
【解決手段】
ローラユニット72の両端部の軸部材72bに、ローラ71a、72aの外径より小さい外径の軸継手81を介して、ローラユニット71の軸部材71bをそれぞれ接続することによって、従動ローラ63を作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体を搬送するための搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
写真処理装置では、種々の幅サイズの印画紙が搬送されつつ、その印画紙に対する露光処理が行われることが多い。そのため、この写真処理装置では、最も幅サイズの広い印画紙の全幅にわたって圧着可能な搬送ローラ対が備えられている。搬送ローラ対は一対の搬送ローラを有しており、特に露光位置近傍に配置された露光搬送部の搬送ローラ対では、高画質の画像を得るために、搬送ローラの高精度の外径や振れ精度が要求される。
【特許文献1】特開2002−332138号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、幅広の印画紙を搬送するための搬送ローラ対の搬送ローラは、当然のように、比較的長いものになる。そのため、搬送ローラの一体加工は非常に煩雑な工程になり、加工コストが増加してしまう。また、露光搬送部の搬送ローラのように高精度の外径や振れ精度が要求される場合には、搬送ローラの材料は高剛性を有していなければならない。そのため、搬送ローラの長さが長いうえに、その材料の肉厚を厚くする必要があるので、材料コストが著しく増加してしまう。また、搬送ローラの重量が重くなることにより、プリンタ組立時の部品の取り扱い性が悪くなる。
【0004】
そこで、本発明の主な目的は、加工コスト及び材料コストを低減できる搬送装置を提供することである。
【0005】
また、本発明のその他の目的は、小型化を図ることができる搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明の搬送装置は、所定幅を有する記録媒体を搬送する搬送ローラを備えた搬送装置において、前記搬送ローラは、軸部材と前記軸部材に保持されたローラとをそれぞれ有する複数のローラユニットと、前記ローラの外径より小さい外径を有しており、前記複数の搬送ローラユニットの軸部材同士を接続する軸継手とを有している。
【0007】
この構成によると、ローラより外径の小さい軸継手を介して複数のローラユニットを接続することによって、幅広の記録媒体を搬送可能な搬送ローラを作製できる。この場合には、各ローラユニットの長さは比較的短くなるので、加工コストの低減が可能になる。また、搬送ローラは細いもので十分になり、材料のコスト削減が可能になる。そして、各ローラユニットの長さが短くなると共に、単体重量が軽くなることにより、各ローラユニットの物流や組立時の取り扱い性が向上する。
【0008】
本発明の搬送装置において、前記軸継手は、セラー円錐軸継手であってもよい。
【0009】
この構成によると、複数のローラユニットの同心結合が可能になり、連結した全てのローラ外周振れ精度を要求精度内にできる。また、セラー円錐軸継手を使用することで、微小な直径誤差があるローラ軸を連結した場合のローラ部分振れ精度を低下させないことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る搬送装置が用いられる写真処理装置の概略構成を示す図である。
【0011】
図1に示す写真処理装置1は、レーザビームによるデジタル走査露光方式が採用された写真処理装置であって、スキャナ部20と、プリンタ部30と、プロセッサ部40と、仕上げ処理部50とを具備している。また、写真処理装置1には、ペーパーマガジン31、32が装填されており、それらに収納されている長尺の印画紙2は、図1において1点鎖線で示した経路18に沿って、後述するカッター34まで搬送される。そして、カッター34で幅方向に沿って所定長さに切断された印画紙2は、経路18に沿って、プリンタ部30からプロセッサ部40を経て仕上げ処理部50へと搬送される。
【0012】
スキャナ部20では、主に、フィルムの各コマに記録された画像の読み取り処理、および、読み取られた画像データに対してディジタル変換などの各種処理が行われる。プリンタ部30では、主に、感光媒体である印画紙2に対してディジタル画像データに基づく露光処理が施される。プロセッサ部40では、露光済みの印画紙2に対して現像、漂白定着、安定化などの処理が施される。仕上げ処理部50では、プロセッサ部40から排出された画像が顕在化した印画紙2に対して乾燥処理が施され、さらに乾燥して排出口19から排出された印画紙2がオーダーごとに仕分けられる。
【0013】
スキャナ部20は、フィルムが装着されるフィルム装着ユニット21と、スキャニング時にフィルムを照射する光源が収納されたスキャナ光源ユニット22とを具備している。フィルム装着ユニット21の下方にはフィルム画像を撮像するためのCCDなどの撮像素子(図示せず)が配置されている。撮像素子から出力される画像信号は、A/Dコンバータ(図示せず)でデジタル変換された後に、制御ユニット10に供給される。
【0014】
プリンタ部30は、巻回された長尺の印画紙2をそれぞれ収納しており且つ選択的に使用される2つのペーパーマガジン31、32と、ペーパーマガジン31、32から印画紙2を引き出すアドバンスユニット33と、ペーパーマガジン31、32から引き出された所定幅を有する印画紙2を幅方向に沿ってプリントサイズに応じた所望の長さに切断するカッター34と、印画紙2の感光乳剤層が形成されていない面(裏面)に所望の文字を印字するための印字ユニット35と、所望の長さに切断された印画紙2を露光位置の前段にまで2〜3列で並列搬送するチャッカ36と、印画紙2に露光処理を施すための露光ユニット3と、露光ユニット3による露光位置における印画紙2の搬送速度を支配する露光搬送装置60とを有している。
【0015】
プロセッサ部40は、プリンタ部30から供給された印画紙2に対して現像、漂白定着、安定化の各処理を施すための処理槽41a〜41fと、処理槽41a〜41fに貯留された処理液の補充タンク42a〜42cと、印画紙2を搬送するための複数のローラ対43と、ローラ対43を駆動するためのモータ(図示せず)とを具備している。
【0016】
仕上げ処理部50は、プロセッサ部40から排出された印画紙2を迅速に乾燥させるためのヒータ51と、排出口19から排出された印画紙2を図1の紙面垂直方向に搬送するためのベルトコンベア52と、印画紙2を搬送するための複数のローラ対53と、ローラ対53を駆動するためのモータ(図示せず)とを具備している。
【0017】
また、図1に示す写真処理装置1は、その各部の動作を制御する制御ユニット10と、写真処理装置1に関する様々な情報を表示してオペレータに告知するディスプレイ25と、写真処理装置1に対する入力操作を行うためのキーボード(図示しない)とを具備している。
【0018】
次に、プリンタ部30の露光搬送装置60の構成について、図2〜図5を参照しつつ説明する。図2は、露光搬送装置の概略構成を示す図である。図3は、従動ローラの概略構成を示す図である。
【0019】
露光搬送装置60は、露光搬送ローラ対61及び露光搬送ローラ対65を有している。露光搬送ローラ対61、65は、露光ユニット3による露光位置を挟むように配置されている。つまり、露光搬送ローラ対61は、露光位置より上流側に配置されており、露光搬送ローラ対65は、露光位置より下流側に配置されている。
【0020】
露光搬送ローラ対61は、2個の搬送ローラである駆動ローラ62及び従動ローラ63を有しており、露光搬送ローラ対65は、2個の搬送ローラである駆動ローラ66及び従動ローラ67を有している。駆動ローラ62は、一体に形成されたローラであり、高剛性の長寸ローラを得るために、その外径は太くなっている。従動ローラ63は、2個のローラユニット71と、1個のローラユニット72と、それらを接続する軸継手81とを有している。また同様に、駆動ローラ66は、一体に形成されたローラであり、高剛性の長寸ローラを得るために、その外径は太くなっている。従動ローラ67は、2個のローラユニット73と、1個のローラユニット74と、それらを接続する軸継手82とを有している。ここで、従動ローラ63、67は、駆動ローラ62、66との間で印画紙を挟持する圧着位置及び印画紙を挟持しない解除位置に移動可能である。図2では、従動ローラ63、67の移動方向が矢印で図示されている。
【0021】
ここで、従動ローラ63、67の構成は同様であるので、以下の説明では、従動ローラ63の構成について詳細に説明する。つまり、ローラユニット71、72、73、74の構成及び軸継手81、82の構成は、それぞれほぼ同じである。
【0022】
従動ローラ63は、上述したように、2個のローラユニット71と、1個のローラユニット72と、それらを接続する軸継手81とを有している。ローラユニット71は、図3(a)に示すように、直線状に連結された3個の円柱形状のローラ71aと、その両端部に配置された軸部材71bとから構成されている。また、ローラユニット72は、直線状に連結された4個の円柱形状のローラ72aと、その両端部に配置された軸部材72bとから構成されている。ここで、軸部材71bの外径と軸部材72bの外径とは同じである。そして、ローラユニット72の両端部の軸部材72bに、軸継手81を介して、ローラユニット71の軸部材71bがそれぞれ接続されることによって、図3(b)に示すように、従動ローラ63が完成する。
【0023】
また、図2に示すように、駆動ローラ62、66は、その両端部近傍に配置された2個の軸受ホルダ91により回転可能に保持される。一方、従動ローラ63、67は、その両端部近傍及び軸継手81、82近傍に配置された4個の軸受ホルダ92により回転可能に保持される。このように、従動ローラ63、67では、その両端部近傍の軸受ホルダ92だけでなく、軸継手81、82近傍の軸受ホルダ92でも保持されるので、細い外径ローラで高剛性が得られる。
【0024】
次に、セラー円錐軸継手である軸継手81の構成について、図4及び図5を参照しつつ説明する。図4は、軸継手の外観斜視図であり、図4(a)は締結後の状態であり、図4(b)は締結前の状態である。図5は、軸継手の断面図であり、図5(a)は図4(a)のA−A線における断面図であり、図5(b)は図4(b)のB−B線における断面図である。
【0025】
軸継手81は、雄ねじ一体型の外筒部材100と、雌ねじ一体型の外筒部材110と、2個の内筒部材120、130とを有している。
【0026】
外筒部材100は、搬送ローラ71a、72aの外径より小さい外径の筒状部材であって、その外周面の一端部101には雄ねじが形成されている。また、外筒部材100の内周面の一端部には、図5(b)に示すように、円形の段部102と、段部102の底部に連通し他端部に向かって延在するテーパ部103が形成されている。テーパ部103は、一端部から他端部に向かって開口面積が小さくなるテーパ形状になっている。
【0027】
外筒部材110は、搬送ローラ71a、72aの外径より小さい外径の筒状部材であって、その内周面の一端部111には雌ねじが形成されている。ここで、外筒部材100の雄ねじと、外筒部材110の雌ねじとは螺合可能になっている。また、外筒部材110の内周面の雌ねじ形成部分の底部には、図5(b)に示すように、円形の段部113が形成されている。ここで、段部113の内径は内筒部材120の外径とほぼ同じである。そのため、内筒部材120の端部は段部113内に嵌挿可能である。
【0028】
内筒部材120は、外筒部材100、110の外径より小さい筒状部材である。従って、後述するように、外筒部材100と外筒部材110とが締結される場合には、内筒部材120は外筒部材100、110内に収容されるものである。また、内筒部材120の外径はその全長にわたって同じであり、その内周面は一端部121から他端部122に向かって開口面積が大きくなるテーパ形状になっている。
【0029】
内筒部材130は、内筒部材120の外径より小さい筒状部材である。そして、内筒部材130には、図4(b)に示すように、その全長にわたって伸延するスリット131が形成されている。そのため、外部から力が加えられることによって、スリット131間の隙間が狭くなると、内筒部材130の外径及び内径が小さくなる。また、内筒部材130の内径は全長にわたって同じであり、その外周面はその長さ方向中央部132から両端部133、134に向かって外径が小さくなるテーパ形状になっている。ここで、内筒部材130の外周面のテーパ形状は、外筒部材100の内周面のテーパ形状及び内筒部材120の内周面のテーパ形状とほぼ同じである。
【0030】
次に、2個のローラユニットの軸部材が接続される様子について、図6を参照しつつ説明する。図6は、ローラユニット間の接続部の状態を示す図である。
【0031】
ローラユニット71とローラユニット72とが接続される場合には、図6(a)に示すように、軸部材71bの端部と軸部材72bの端部とが突き合わされる。このとき、軸部材71b及び軸部材72bは、軸継手81を構成する外筒部材100、外筒部材110及び内筒部材120、130内にそれぞれ嵌挿されている。ここで、内筒部材120の端部は外筒部材110の段部113内に嵌挿され、内筒部材130の一端部は内筒部材120内に、その他端部は外筒部材100内に配置されている。
【0032】
このとき、内筒部材130の外周面には、外筒部材100の内周面及び内筒部材120の内周面から力が加えられていないので、内筒部材130のスリット131は元の状態のままで、その隙間は維持されている。そのため、内筒部材130の内周面と、ローラユニット71の軸部材71bの外周面及びローラユニット72の軸部材72bの外周面との間には隙間が形成されている。
【0033】
そして、外筒部材100の雄ねじと、外筒部材110の雌ねじとが螺合されると、内筒部材130の一端部133が内筒部材120の内周面のテーパ面に沿って移動すると共に、その他端部134が外筒部材100の内周面のテーパ面に沿って移動する。すると、内筒部材130の外周面には、外筒部材100の内周面及び内筒部材120の内周面から力が加えられるので、内筒部材130のスリット131が次第に狭くなり、最終的にはスリット131の隙間が無くなる。そして、内筒部材130の内周面と、ローラユニット71の軸部材71bの外周面及びローラユニット72の軸部材72bの外周面との間の隙間がなくなり、図6(b)に示すように、内筒部材130の内周面が軸部材71b及び軸部材72bの外周面に当接するようになる。このようにして、ローラユニット71の軸部材71bとローラユニット72の軸部材72bとが、軸継手81を介して接続される。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態に係る露光搬送装置60では、駆動ローラ62、66及び従動ローラ63、67を有する搬送ローラ対61、62を備えている。そして、従動ローラ63、67は、ローラより外径の小さい軸継手81、82を介して複数のローラユニットを接続することによって、幅広の印画紙2を搬送可能に作製されている。この場合には、各ローラユニットの長さは比較的短くなるので、加工コストの低減が可能になる。また、搬送ローラは細いもので十分になり、材料のコスト削減が可能になる。そして、各ローラユニットの長さが短くなると共に、単体重量が軽くなることにより、各ローラユニットの物流や組立時の取り扱い性が向上する。また、各ローラユニットの単体重量が軽くなることで、露光搬送装置60での従動ローラ63、67の移動による印画紙の圧着・解除動作を行うための機構にとっても好都合になる。
【0035】
また、ローラユニットは旋盤加工で作製される関係から、ローラ部分外周と軸部分外周との同軸精度は容易に高精度が得られると考えられる。そして、複数のローラユニットをセラー円錐軸継手である軸継手81、82を介して接続することにより、複数のローラユニットの同心結合が可能になり、連結した全てのローラ外周振れ精度を要求精度内にできる。また、セラー円錐軸継手である軸継手81、82を使用することで、微小な直径誤差があるローラ軸を連結した場合のローラ部分振れ精度を低下させないことができる。
【0036】
また、軸継手81、82では、図7に示す従来のセラー円錐軸継手150のように、2つの外筒部材の外周部分のフランジ同士をボルトで締結する構成ではなく、外筒部材100、110に軸と同心の結合ネジを設けることにより、外周部分のフランジを無くすことが可能になり、軸継手の外径をコンパクトになる。
【0037】
以上、本発明の好適な一実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、上述の実施の形態では、搬送ローラである従動ローラ63、67のローラユニットの構成は変更可能である。従って、接続されるローラユニット数及び各ローラユニットのローラ数は変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態に係る搬送装置が用いられる写真処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】露光搬送装置の概略構成を示す図である。
【図3】従動ローラの概略構成を示す図である。
【図4】軸継手の外観斜視図であり、図4(a)は締結後の状態であり、図4(b)は締結前の状態である。
【図5】軸継手の断面図であり、図5(a)は図4(a)のA−A線における断面図であり、図5(b)は図4(b)のB−B線における断面図である。
【図6】ローラユニット間の接続部の状態を示す図である。
【図7】従来のセラー円錐軸継手の斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1 写真処理装置
60 露光搬送装置
62 駆動ローラ
63 従動ローラ
66 駆動ローラ
67 従動ローラ
71〜74 ローラユニット
71a、72a ローラ
71b、72b 軸部材
81、82 軸継手
100 外筒部材
110 外筒部材
120 内筒部材
130 内筒部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定幅を有する記録媒体を搬送する搬送ローラを備えた搬送装置において、
前記搬送ローラは、
軸部材と前記軸部材に保持されたローラとをそれぞれ有する複数のローラユニットと、
前記ローラの外径より小さい外径を有しており、前記複数の搬送ローラユニットの軸部材同士を接続する軸継手とを有していることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記軸継手は、セラー円錐軸継手であることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。








【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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