搬送装置
【課題】不使用時に複数の搬送装置をスペース効率良く収納できるとともに部品点数の減少により構成の簡素化を図ることができる搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置1は、平面視で略H字状の脚体2を備える。脚体2の上部には、一方向への回動により不使用状態になり他方向への回動により使用状態になるローラ式の搬送体3を上下方向に回動可能に設ける。搬送装置1は、使用状態の搬送体3を脚体2に対して固定およびその固定を解除する固定操作手段21を備える。搬送装置1は、不使用状態の搬送体3同士を互いに近接対向させることにより複数重ね合わせることが可能である。
【解決手段】搬送装置1は、平面視で略H字状の脚体2を備える。脚体2の上部には、一方向への回動により不使用状態になり他方向への回動により使用状態になるローラ式の搬送体3を上下方向に回動可能に設ける。搬送装置1は、使用状態の搬送体3を脚体2に対して固定およびその固定を解除する固定操作手段21を備える。搬送装置1は、不使用状態の搬送体3同士を互いに近接対向させることにより複数重ね合わせることが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不使用時に複数の搬送装置をスペース効率良く収納できるとともに、部品点数の減少により構成の簡素化を図ることができる搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば複数の連結杆をその中央部および両端部で回動自在に連結してパンタグラフ状に構成した一対の伸縮体と、これら両伸縮体間に設けられ搬送方向に並んだ複数のローラとを備えたフリーカーブコンベヤ等の搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特公昭62−16887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の搬送装置では、伸縮体を縮めることにより搬送装置自体を小さくできるため、不使用時に複数の搬送装置をスペース効率良く収納できるものの、部品点数が多く、構成が複雑となりがちである。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、不使用時に複数の搬送装置をスペース効率良く収納できるとともに、部品点数の減少により構成の簡素化を図ることができる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の搬送装置は、脚体と、この脚体に上下方向に回動可能に設けられ、一方向への回動により不使用状態になり、他方向への回動により使用状態になる搬送体と、使用状態の搬送体を前記脚体に対して固定およびその固定を解除する固定操作手段とを備え、不使用状態の搬送体同士を互いに近接対向させることにより、複数重ね合わせることが可能となっているものである。
【0006】
請求項2記載の搬送装置は、請求項1記載の搬送装置において、固定操作手段は、操作体と、脚体に設けられた一方の係合体と、搬送体に設けられ前記一方の係合体と係脱する他方の係合体とを有し、前記搬送体の他方向への回動により前記一方の係合体と前記他方の係合体とが係合し、この係合により使用状態の搬送体が前記脚体に対して固定され、前記操作体の操作により前記一方の係合体と前記他方の係合体との係合が解除され、この係合の解除により使用状態の搬送体の前記脚体に対する固定が解除されるものである。
【0007】
請求項3記載の搬送装置は、請求項1または2記載の搬送装置において、搬送体は、この搬送体の自重によって一方向へ回動して不使用状態になるものである。
【0008】
請求項4記載の搬送装置は、請求項3記載の搬送装置において、搬送体の自重による一方向回動時に搬送体と脚体との間の衝撃を吸収する緩衝手段を備えるものである。
【0009】
請求項5記載の搬送装置は、請求項3記載の搬送装置において、搬送体は、この搬送体の自重によって傾斜状の不使用状態に保持されるものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、不使用状態の搬送体同士を互いに近接対向させることにより搬送装置を複数重ね合わせることができるため、不使用時に複数の搬送装置をスペース効率良く収納できるとともに、部品点数の減少により構成の簡素化を図ることができ、しかも、固定操作手段にて使用状態の搬送体を脚体に対して確実に固定でき、使用状態の搬送体にて被搬送物を安定搬送できる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、搬送体の他方向への回動によって使用状態の搬送体を脚体に対して確実に固定でき、操作体の操作によって使用状態の搬送体の脚体に対する固定を確実に解除できる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、搬送体がその自重によって一方向へ回動して不使用状態になるため、搬送体を簡単に不使用状態にできる。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、緩衝手段にて搬送体と脚体との間の衝撃を吸収することができ、耐久性の向上を図ることができる。
【0014】
請求項5に係る発明によれば、搬送体がその搬送体の自重によって傾斜状の不使用状態に保持されるため、搬送装置の移動時等における不使用状態の搬送体のばたつき等を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の搬送装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1ないし図3において、1は搬送装置で、この搬送装置1は、図示しない被搬送物を水平な搬送方向に向けて搬送するネスティングローラコンベヤである。
【0017】
搬送装置1は、平面視で略H字状の脚体2を備えている。脚体2の上部には、被搬送物を水平な搬送方向に向けて載置搬送するローラ式の搬送体3が水平方向の回動中心軸線Xを中心として上下方向に回動可能に設けられている。搬送体3は、搬送装置1の不使用時には搬送体3の自重に基づく回動中心軸線Xを中心とする一方向への回動により傾斜状の不使用状態になり、搬送装置1の使用時には回動中心軸線Xを中心とする他方向への回動により水平状の使用状態になる。なお、搬送体3の回動角度αは、例えば約75度である。
【0018】
ここで、脚体2は、互いに離間対向して位置する対をなす略逆T字状の脚部5と、両脚部5同士を連結する互いに平行な上下2本の長手状の連結部6とを有している。
【0019】
脚部5は、水平方向に長手状のベース部分7を有し、ベース部分7の長手方向両端部には車輪ロック機構付きのキャスタ8が設けられている。ベース部分7の長手方向中央部には長手状の立上り部分9が傾斜状に立設され、立上り部分9の上端部に搬送体3が回動中心軸線Xを中心として上下方向に回動可能に設けられている。なお、ベース部分7と立上り部分9とがなす角度αは例えば約75度である(図1参照)。また、立上り部分9の下端部近傍には、搬送体3の自重による一方向回動時に搬送体3と脚体2との間の衝撃を吸収する緩衝手段10、例えばウレタン等からなる緩衝材が設けられている。
【0020】
搬送体3は、互いに離間対向して位置する対をなす長手状のフレーム部11を有している。両フレーム部11間には、上面側で被搬送物を搬送方向に向けて載置搬送する略円筒状の複数の搬送ローラ部12が所定間隔をおいて並設されている。両フレーム部11同士は複数の連結杆部13にて連結され、連結杆部13から下方に突出する脚取付部14が脚部5の立上り部分9の上端部に水平方向の軸15を介して回動可能に取り付けられている。なお、脚取付部14が搬送体3の幅方向中央からずれた位置に設けられているため、搬送体3がこの搬送体3の自重によって一方向へ回動する。
【0021】
また、連結杆部13には、フック取付部16が脚取付部14に近接して設けられている。さらに、連結杆部13の端部近傍には略板状のレバー受け部17が設けられ、このレバー受け部17には孔18が形成されている(図4参照)。
【0022】
また、搬送装置1は、使用状態の搬送体3を脚体2に対して固定およびその固定を解除する固定操作手段(ロック装置)21を複数、例えば2つ備えている。なお、2つの固定操作手段21はそれぞれ個別に操作可能となっている。
【0023】
固定操作手段21は、図3に示されるように、脚体2の脚部5の立上り部分9の上端部に設けられた略コ字状の一方の係合体であるフック受け部材22と、このフック受け部材22と係脱する他方の係合体である固定用のフック23とを有している。フック23は、搬送体3のフック取付部16に水平方向の軸24を介して回動可能に取り付けられ、その軸24を中心とする回動によりロック状態およびロック解除状態になる。
【0024】
また、フック23には長手状のレバー部材25の一端部が取り付けられ、このレバー部材25の他端部側は搬送体3のレバー受け部17の孔18に挿通されている。レバー部材25の他端部側には、略球形状のにぎり玉26および略筒状のカラー27,28が取り付けられている。カラー27とレバー受け部17との間には、付勢手段であるコイル状の圧縮ばね29が配設されている。レバー部材25の他端部近傍には、レバー受け部17の孔18に臨んだ縁部に引っ掛かる凹状部30が設けられている。なお、レバー部材25、にぎり玉26およびカラー27,28等にて、フック23の状態を切り換えるための操作体31が構成されている。
【0025】
そして、搬送装置1の使用時には、手動操作による搬送体3の他方向(図3中、時計回り)への回動によりフック受け部材22とフック23とが係合し、この係合により使用状態の搬送体3が脚体2に対して固定される。すなわち、搬送体3をこの搬送体3の自重に抗して回動中心軸線Xを中心として持ち上げるように回動させると、フック23の傾斜面23aがフック受け部材22の上面に当接し、フック23が圧縮ばね29の付勢に抗して回動する。そして、フック23の傾斜面23aがフック受け部材22の上面から離れると、フック23が圧縮ばね29の付勢により回動し、フック23の凹状溝部23b内にフック受け部材22が入り込んでフック23がロック状態となる。なお、フック23の凹状溝部23bはフック23の回動中心を中心とする円弧形状となっている。また、凹状溝部23bの中心はフック23の回動中心の真下からずれて位置する。
【0026】
搬送装置1の不使用時には、操作体31の操作によりフック受け部材22とフック23との係合が解除され、この係合の解除により使用状態の搬送体3の脚体2に対する固定が解除される。すなわち、使用状態の搬送体3の脚体2に対する固定を解除する場合には、2つの固定操作手段21の操作体31をそれぞれにぎり玉を把持して操作し、搬送体3のレバー受け部17の孔18に臨んだ縁部にレバー部材25の凹状部30を引っ掛け、フック23の凹状溝部23b内からフック受け部材22を出して、フック23をロック解除状態にする。このように操作体31を操作して2つのフック23をロック解除状態に切り換えると、搬送体3がこの搬送体3の自重によって一方向(図3中、反時計回り)へ回動して緩衝手段10に当接して傾斜状の不使用状態になる。なお、搬送体3の自重によって搬送体3と緩衝手段10との当接状態が維持されて搬送体3が傾斜状の不使用状態に保持されるため、搬送装置1の移動時等における搬送体3のばたつきが防止される。
【0027】
そして、図5および図6に示すように、傾斜状に起立した不使用状態の搬送体3同士を搬送方向である左右方向に若干ずらして互いに近接対向させることにより、複数の搬送装置1を前後方向に重ね合わせることが可能となっている。すなわち複数の搬送装置1が前後にネスティング可能となっている。
【0028】
なお、図5および図6は、例えば3台の搬送装置1を左右に若干ずらしてネスティングした状態を示している。また図5から明らかなように、脚体2の脚部5の立上り部分9の下端部近傍には、複数の搬送装置1を重ね合わせた際に一の搬送装置1の搬送体3と他の搬送装置1の脚体2との間の衝撃を吸収する緩衝手段20、例えばゴム板等からなる緩衝材が設けられている。
【0029】
次に、上記搬送装置1の作用等を説明する。
【0030】
搬送装置1を使用して被搬送物を搬送する場合には、搬送体3をこの搬送体3の自重に抗して回動中心軸線Xを中心として回動させることにより、搬送体3を水平状の使用状態にする。搬送体3を水平状の使用状態にすると、固定操作手段21によるロックが自動的にかかり、フック受け部材22とフック23とが係合し、この係合により使用状態の搬送体3が脚体2に対して固定される。
【0031】
また、不使用時に所定の収納スペースに複数台の搬送装置1を収納する場合、操作体31の操作によりフック受け部材22とフック23との係合を解除して搬送体3を傾斜状の不使用状態にしてから、図5および図6に示すように、キャスタ8を利用して一の搬送装置1に対して他の搬送装置1を接近移動させることにより複数の搬送装置1を前後にネスティングする。
【0032】
このように上記搬送装置1によれば、不使用状態の搬送体3同士を搬送方向にずらして互いに近接対向させることにより搬送装置1を複数重ね合わせることができるため、不使用時に複数の搬送装置1をスペース効率良く収納できるとともに、部品点数の減少により構成の簡素化を図ることができ、軽量化も図れる。
【0033】
また、複数の固定操作手段21にて使用状態の搬送体3を脚体2に対して確実に固定できるため、使用状態の搬送体3にて被搬送物を安定して搬送できる。
【0034】
さらに、固定操作手段21による固定を解除すると搬送体2がその自重によって一方向へ回動して不使用状態になるため、搬送体3を簡単に不使用状態にできる。
【0035】
また、緩衝手段10にて搬送体3と脚体2との間の衝撃を吸収することができるため、脚体2や搬送体3の損傷等を防止でき、耐久性の向上を図ることができる。
【0036】
さらに、搬送体3がその搬送体3の自重によって脚体2に緩衝手段10を介して当接して傾斜状の不使用状態に保持されるため、搬送装置1の移動時等における不使用状態の搬送体3のばたつき等を防止できる。
【0037】
なお、脚体2は、平面視で略H字状のものには限定されず、複数の搬送装置1をネスティングできる形状であれば、いかなる形状でもよく、例えば図7に示すように、平面視で略ハ字状をなすものでもよい。
【0038】
また、搬送体3は、回転可能なローラで被搬送物を搬送するローラ式以外に、例えば無端ベルトで被搬送物を搬送するもの等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の搬送装置の一実施の形態を示す側面図である。
【図2】同上搬送装置の正面図である。
【図3】同上搬送装置の固定操作手段の正面図である。
【図4】同上固定操作手段の操作体の動作説明図である。
【図5】同上搬送装置を複数重ね合わせた状態の側面図である。
【図6】同上搬送装置の脚部の平面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態の脚部の平面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 搬送装置
2 脚体
3 搬送体
10 緩衝手段
21 固定操作手段
22 一方の係合体であるフック受け部材
23 他方の係合体であるフック
31 操作体
【技術分野】
【0001】
本発明は、不使用時に複数の搬送装置をスペース効率良く収納できるとともに、部品点数の減少により構成の簡素化を図ることができる搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば複数の連結杆をその中央部および両端部で回動自在に連結してパンタグラフ状に構成した一対の伸縮体と、これら両伸縮体間に設けられ搬送方向に並んだ複数のローラとを備えたフリーカーブコンベヤ等の搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特公昭62−16887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の搬送装置では、伸縮体を縮めることにより搬送装置自体を小さくできるため、不使用時に複数の搬送装置をスペース効率良く収納できるものの、部品点数が多く、構成が複雑となりがちである。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、不使用時に複数の搬送装置をスペース効率良く収納できるとともに、部品点数の減少により構成の簡素化を図ることができる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の搬送装置は、脚体と、この脚体に上下方向に回動可能に設けられ、一方向への回動により不使用状態になり、他方向への回動により使用状態になる搬送体と、使用状態の搬送体を前記脚体に対して固定およびその固定を解除する固定操作手段とを備え、不使用状態の搬送体同士を互いに近接対向させることにより、複数重ね合わせることが可能となっているものである。
【0006】
請求項2記載の搬送装置は、請求項1記載の搬送装置において、固定操作手段は、操作体と、脚体に設けられた一方の係合体と、搬送体に設けられ前記一方の係合体と係脱する他方の係合体とを有し、前記搬送体の他方向への回動により前記一方の係合体と前記他方の係合体とが係合し、この係合により使用状態の搬送体が前記脚体に対して固定され、前記操作体の操作により前記一方の係合体と前記他方の係合体との係合が解除され、この係合の解除により使用状態の搬送体の前記脚体に対する固定が解除されるものである。
【0007】
請求項3記載の搬送装置は、請求項1または2記載の搬送装置において、搬送体は、この搬送体の自重によって一方向へ回動して不使用状態になるものである。
【0008】
請求項4記載の搬送装置は、請求項3記載の搬送装置において、搬送体の自重による一方向回動時に搬送体と脚体との間の衝撃を吸収する緩衝手段を備えるものである。
【0009】
請求項5記載の搬送装置は、請求項3記載の搬送装置において、搬送体は、この搬送体の自重によって傾斜状の不使用状態に保持されるものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、不使用状態の搬送体同士を互いに近接対向させることにより搬送装置を複数重ね合わせることができるため、不使用時に複数の搬送装置をスペース効率良く収納できるとともに、部品点数の減少により構成の簡素化を図ることができ、しかも、固定操作手段にて使用状態の搬送体を脚体に対して確実に固定でき、使用状態の搬送体にて被搬送物を安定搬送できる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、搬送体の他方向への回動によって使用状態の搬送体を脚体に対して確実に固定でき、操作体の操作によって使用状態の搬送体の脚体に対する固定を確実に解除できる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、搬送体がその自重によって一方向へ回動して不使用状態になるため、搬送体を簡単に不使用状態にできる。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、緩衝手段にて搬送体と脚体との間の衝撃を吸収することができ、耐久性の向上を図ることができる。
【0014】
請求項5に係る発明によれば、搬送体がその搬送体の自重によって傾斜状の不使用状態に保持されるため、搬送装置の移動時等における不使用状態の搬送体のばたつき等を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の搬送装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1ないし図3において、1は搬送装置で、この搬送装置1は、図示しない被搬送物を水平な搬送方向に向けて搬送するネスティングローラコンベヤである。
【0017】
搬送装置1は、平面視で略H字状の脚体2を備えている。脚体2の上部には、被搬送物を水平な搬送方向に向けて載置搬送するローラ式の搬送体3が水平方向の回動中心軸線Xを中心として上下方向に回動可能に設けられている。搬送体3は、搬送装置1の不使用時には搬送体3の自重に基づく回動中心軸線Xを中心とする一方向への回動により傾斜状の不使用状態になり、搬送装置1の使用時には回動中心軸線Xを中心とする他方向への回動により水平状の使用状態になる。なお、搬送体3の回動角度αは、例えば約75度である。
【0018】
ここで、脚体2は、互いに離間対向して位置する対をなす略逆T字状の脚部5と、両脚部5同士を連結する互いに平行な上下2本の長手状の連結部6とを有している。
【0019】
脚部5は、水平方向に長手状のベース部分7を有し、ベース部分7の長手方向両端部には車輪ロック機構付きのキャスタ8が設けられている。ベース部分7の長手方向中央部には長手状の立上り部分9が傾斜状に立設され、立上り部分9の上端部に搬送体3が回動中心軸線Xを中心として上下方向に回動可能に設けられている。なお、ベース部分7と立上り部分9とがなす角度αは例えば約75度である(図1参照)。また、立上り部分9の下端部近傍には、搬送体3の自重による一方向回動時に搬送体3と脚体2との間の衝撃を吸収する緩衝手段10、例えばウレタン等からなる緩衝材が設けられている。
【0020】
搬送体3は、互いに離間対向して位置する対をなす長手状のフレーム部11を有している。両フレーム部11間には、上面側で被搬送物を搬送方向に向けて載置搬送する略円筒状の複数の搬送ローラ部12が所定間隔をおいて並設されている。両フレーム部11同士は複数の連結杆部13にて連結され、連結杆部13から下方に突出する脚取付部14が脚部5の立上り部分9の上端部に水平方向の軸15を介して回動可能に取り付けられている。なお、脚取付部14が搬送体3の幅方向中央からずれた位置に設けられているため、搬送体3がこの搬送体3の自重によって一方向へ回動する。
【0021】
また、連結杆部13には、フック取付部16が脚取付部14に近接して設けられている。さらに、連結杆部13の端部近傍には略板状のレバー受け部17が設けられ、このレバー受け部17には孔18が形成されている(図4参照)。
【0022】
また、搬送装置1は、使用状態の搬送体3を脚体2に対して固定およびその固定を解除する固定操作手段(ロック装置)21を複数、例えば2つ備えている。なお、2つの固定操作手段21はそれぞれ個別に操作可能となっている。
【0023】
固定操作手段21は、図3に示されるように、脚体2の脚部5の立上り部分9の上端部に設けられた略コ字状の一方の係合体であるフック受け部材22と、このフック受け部材22と係脱する他方の係合体である固定用のフック23とを有している。フック23は、搬送体3のフック取付部16に水平方向の軸24を介して回動可能に取り付けられ、その軸24を中心とする回動によりロック状態およびロック解除状態になる。
【0024】
また、フック23には長手状のレバー部材25の一端部が取り付けられ、このレバー部材25の他端部側は搬送体3のレバー受け部17の孔18に挿通されている。レバー部材25の他端部側には、略球形状のにぎり玉26および略筒状のカラー27,28が取り付けられている。カラー27とレバー受け部17との間には、付勢手段であるコイル状の圧縮ばね29が配設されている。レバー部材25の他端部近傍には、レバー受け部17の孔18に臨んだ縁部に引っ掛かる凹状部30が設けられている。なお、レバー部材25、にぎり玉26およびカラー27,28等にて、フック23の状態を切り換えるための操作体31が構成されている。
【0025】
そして、搬送装置1の使用時には、手動操作による搬送体3の他方向(図3中、時計回り)への回動によりフック受け部材22とフック23とが係合し、この係合により使用状態の搬送体3が脚体2に対して固定される。すなわち、搬送体3をこの搬送体3の自重に抗して回動中心軸線Xを中心として持ち上げるように回動させると、フック23の傾斜面23aがフック受け部材22の上面に当接し、フック23が圧縮ばね29の付勢に抗して回動する。そして、フック23の傾斜面23aがフック受け部材22の上面から離れると、フック23が圧縮ばね29の付勢により回動し、フック23の凹状溝部23b内にフック受け部材22が入り込んでフック23がロック状態となる。なお、フック23の凹状溝部23bはフック23の回動中心を中心とする円弧形状となっている。また、凹状溝部23bの中心はフック23の回動中心の真下からずれて位置する。
【0026】
搬送装置1の不使用時には、操作体31の操作によりフック受け部材22とフック23との係合が解除され、この係合の解除により使用状態の搬送体3の脚体2に対する固定が解除される。すなわち、使用状態の搬送体3の脚体2に対する固定を解除する場合には、2つの固定操作手段21の操作体31をそれぞれにぎり玉を把持して操作し、搬送体3のレバー受け部17の孔18に臨んだ縁部にレバー部材25の凹状部30を引っ掛け、フック23の凹状溝部23b内からフック受け部材22を出して、フック23をロック解除状態にする。このように操作体31を操作して2つのフック23をロック解除状態に切り換えると、搬送体3がこの搬送体3の自重によって一方向(図3中、反時計回り)へ回動して緩衝手段10に当接して傾斜状の不使用状態になる。なお、搬送体3の自重によって搬送体3と緩衝手段10との当接状態が維持されて搬送体3が傾斜状の不使用状態に保持されるため、搬送装置1の移動時等における搬送体3のばたつきが防止される。
【0027】
そして、図5および図6に示すように、傾斜状に起立した不使用状態の搬送体3同士を搬送方向である左右方向に若干ずらして互いに近接対向させることにより、複数の搬送装置1を前後方向に重ね合わせることが可能となっている。すなわち複数の搬送装置1が前後にネスティング可能となっている。
【0028】
なお、図5および図6は、例えば3台の搬送装置1を左右に若干ずらしてネスティングした状態を示している。また図5から明らかなように、脚体2の脚部5の立上り部分9の下端部近傍には、複数の搬送装置1を重ね合わせた際に一の搬送装置1の搬送体3と他の搬送装置1の脚体2との間の衝撃を吸収する緩衝手段20、例えばゴム板等からなる緩衝材が設けられている。
【0029】
次に、上記搬送装置1の作用等を説明する。
【0030】
搬送装置1を使用して被搬送物を搬送する場合には、搬送体3をこの搬送体3の自重に抗して回動中心軸線Xを中心として回動させることにより、搬送体3を水平状の使用状態にする。搬送体3を水平状の使用状態にすると、固定操作手段21によるロックが自動的にかかり、フック受け部材22とフック23とが係合し、この係合により使用状態の搬送体3が脚体2に対して固定される。
【0031】
また、不使用時に所定の収納スペースに複数台の搬送装置1を収納する場合、操作体31の操作によりフック受け部材22とフック23との係合を解除して搬送体3を傾斜状の不使用状態にしてから、図5および図6に示すように、キャスタ8を利用して一の搬送装置1に対して他の搬送装置1を接近移動させることにより複数の搬送装置1を前後にネスティングする。
【0032】
このように上記搬送装置1によれば、不使用状態の搬送体3同士を搬送方向にずらして互いに近接対向させることにより搬送装置1を複数重ね合わせることができるため、不使用時に複数の搬送装置1をスペース効率良く収納できるとともに、部品点数の減少により構成の簡素化を図ることができ、軽量化も図れる。
【0033】
また、複数の固定操作手段21にて使用状態の搬送体3を脚体2に対して確実に固定できるため、使用状態の搬送体3にて被搬送物を安定して搬送できる。
【0034】
さらに、固定操作手段21による固定を解除すると搬送体2がその自重によって一方向へ回動して不使用状態になるため、搬送体3を簡単に不使用状態にできる。
【0035】
また、緩衝手段10にて搬送体3と脚体2との間の衝撃を吸収することができるため、脚体2や搬送体3の損傷等を防止でき、耐久性の向上を図ることができる。
【0036】
さらに、搬送体3がその搬送体3の自重によって脚体2に緩衝手段10を介して当接して傾斜状の不使用状態に保持されるため、搬送装置1の移動時等における不使用状態の搬送体3のばたつき等を防止できる。
【0037】
なお、脚体2は、平面視で略H字状のものには限定されず、複数の搬送装置1をネスティングできる形状であれば、いかなる形状でもよく、例えば図7に示すように、平面視で略ハ字状をなすものでもよい。
【0038】
また、搬送体3は、回転可能なローラで被搬送物を搬送するローラ式以外に、例えば無端ベルトで被搬送物を搬送するもの等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の搬送装置の一実施の形態を示す側面図である。
【図2】同上搬送装置の正面図である。
【図3】同上搬送装置の固定操作手段の正面図である。
【図4】同上固定操作手段の操作体の動作説明図である。
【図5】同上搬送装置を複数重ね合わせた状態の側面図である。
【図6】同上搬送装置の脚部の平面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態の脚部の平面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 搬送装置
2 脚体
3 搬送体
10 緩衝手段
21 固定操作手段
22 一方の係合体であるフック受け部材
23 他方の係合体であるフック
31 操作体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚体と、
この脚体に上下方向に回動可能に設けられ、一方向への回動により不使用状態になり、他方向への回動により使用状態になる搬送体と、
使用状態の搬送体を前記脚体に対して固定およびその固定を解除する固定操作手段とを備え、
不使用状態の搬送体同士を互いに近接対向させることにより、複数重ね合わせることが可能となっている
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
固定操作手段は、
操作体と、
脚体に設けられた一方の係合体と、
搬送体に設けられ前記一方の係合体と係脱する他方の係合体とを有し、
前記搬送体の他方向への回動により前記一方の係合体と前記他方の係合体とが係合し、この係合により使用状態の搬送体が前記脚体に対して固定され、
前記操作体の操作により前記一方の係合体と前記他方の係合体との係合が解除され、この係合の解除により使用状態の搬送体の前記脚体に対する固定が解除される
ことを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
搬送体は、この搬送体の自重によって一方向へ回動して不使用状態になる
ことを特徴とする請求項1または2記載の搬送装置。
【請求項4】
搬送体の自重による一方向回動時に搬送体と脚体との間の衝撃を吸収する緩衝手段を備える
ことを特徴とする請求項3記載の搬送装置。
【請求項5】
搬送体は、この搬送体の自重によって傾斜状の不使用状態に保持される
ことを特徴とする請求項3記載の搬送装置。
【請求項1】
脚体と、
この脚体に上下方向に回動可能に設けられ、一方向への回動により不使用状態になり、他方向への回動により使用状態になる搬送体と、
使用状態の搬送体を前記脚体に対して固定およびその固定を解除する固定操作手段とを備え、
不使用状態の搬送体同士を互いに近接対向させることにより、複数重ね合わせることが可能となっている
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
固定操作手段は、
操作体と、
脚体に設けられた一方の係合体と、
搬送体に設けられ前記一方の係合体と係脱する他方の係合体とを有し、
前記搬送体の他方向への回動により前記一方の係合体と前記他方の係合体とが係合し、この係合により使用状態の搬送体が前記脚体に対して固定され、
前記操作体の操作により前記一方の係合体と前記他方の係合体との係合が解除され、この係合の解除により使用状態の搬送体の前記脚体に対する固定が解除される
ことを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
搬送体は、この搬送体の自重によって一方向へ回動して不使用状態になる
ことを特徴とする請求項1または2記載の搬送装置。
【請求項4】
搬送体の自重による一方向回動時に搬送体と脚体との間の衝撃を吸収する緩衝手段を備える
ことを特徴とする請求項3記載の搬送装置。
【請求項5】
搬送体は、この搬送体の自重によって傾斜状の不使用状態に保持される
ことを特徴とする請求項3記載の搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2007−39180(P2007−39180A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223855(P2005−223855)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】
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