説明

搬送装置

【課題】物品の搭載時や乗り移し時における物品の荷重に対して、衝撃を吸収する衝撃吸収機能を向上させることのできる搬送装置を提供すること。
【解決手段】搬送装置10は、プーリ22により駆動されるベルト23の上面に物品1を搭載して搬送するベルトコンベヤ20を備える。搬送装置10は、プーリ22及びベルト23を備えるフレーム21と、フレーム21を搬送方向と直交する方向に揺動自在に支持する揺動支持手段40と、フレーム21を物品1の荷重を受けて下方に変位可能に支持する緩衝手段50と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を載せたり、乗り移すときの段差や、角度の変化に対して、衝撃を与えないための搬送装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、さまざまな搬送装置が提案されている。
例えば、特許文献1には、物品に衝撃を与えないで仕分ける為の工夫として、傾斜コンベアに緩衝材を設けて、低速状態にしてその下流のフリーローラに移載する技術が開示されている。
【特許文献1】特許第2521969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、傾斜コンベアのベルトの表面に緩衝材が設けられているだけであるため、物品に与える衝撃を充分には吸収できない。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、物品の搭載時や乗り移し時における物品の荷重に対して、衝撃を吸収する衝撃吸収機能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、巻き掛け手段により駆動される帯状搬送手段の上面に物品を搭載して搬送する搬送装置において、前記巻き掛け手段及び前記帯状搬送手段を備える基台と、前記基台を搬送方向と直交する方向に揺動自在に支持する揺動支持手段と、前記基台を前記物品の荷重を受けて下方に変位可能に支持する緩衝手段と、を備えたことを特徴とする搬送装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の搬送装置において、前記揺動支持手段は、前記基台の搬送方向の所定位置に設けられた揺動軸を備え、該揺動軸を中心として前記物品の荷重に対する前記基台の下方への変位を可能とし、スプリングを有する前記緩衝手段にて通常位置に復帰可能にしたことを特徴とする搬送装置である。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の搬送装置において、前記揺動支持手段は、前記基台の搬送方向の所定位置に設けられた揺動軸を備え、該揺動軸を前記基台の搬送方向に沿って位置調整自在とし、該揺動軸を中心として前記物品の荷重に対する前記基台の下方への変位を調整可能としたことを特徴とする搬送装置である。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の搬送装置において、前記揺動支持手段を挟んで、前記基台の一方の端部近傍に前記巻き掛け手段を駆動する駆動モータを配設し、他方の端部側に前記緩衝手段を備えたことを特徴とする搬送装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、物品の搭載時や乗り移し時における物品の荷重に対して、衝撃を吸収する衝撃吸収機能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1〜図3は、本発明による搬送装置の第1実施形態を示す図である。この搬送装置10は、巻き掛け手段22により駆動される帯状搬送手段23の上面に物品を搭載して搬送する搬送コンベヤ20を備える。また、搬送装置10は、巻き掛け手段22及び帯状搬送手段23を保持する基台21と、基台21を搬送方向と直交する方向に揺動自在に支持する揺動支持手段40と、基台21を物品の荷重を受けて下方に変位可能に支持する緩衝手段50とを備える。
【0011】
搬送コンベヤとしてのベルトコンベヤ20は、基台としての長尺のフレーム21の両端部に、巻き掛け手段としてのプーリ22がそれぞれ回転自在に取り付けられる。両プーリ22,22には、帯状搬送手段としてのベルト(無端ベルト)23が張設される。フレーム21の一端部(図1では左端部)付近には、モータ24が設置される。モータ24の駆動軸と、図1で左端部に位置するプーリ22とは、フレーム21に設置された減速機25を介して連結される。そのため、モータ24が駆動すると、減速機25を介して左端部のプーリ22が回転される。これにより、ベルト23が矢印方向に駆動される。
【0012】
このようなベルトコンベヤ20は、機台30上に、揺動支持手段40と、緩衝手段50とによって支持される。
まず、揺動支持手段40によるベルトコンベヤ20の支持構造について説明する。
揺動支持手段40は、ベルトコンベヤ20の両側において、機台30上に配置された支柱41(一方のみ図示)を備える。支柱41の基部(底部)は、機台30に、ベルトコンベヤ20の搬送方向(フレーム21の長手方向)に延びて設置されたレール42と係合する。
【0013】
機台30には、レール42のやや上方に、レール42と平行に延びるボールねじ43が配置される。このボールねじ43は、支柱41に設けた図示しないボールナットと螺合している。ボールねじ43の両端部は、機台30に設置された支持台44に回転自在に支持される。支持台44にはモータ45が設置され、このモータ45とボールねじ43の一端部とは連結される。そのため、モータ45が駆動すると、それに応じてボールねじ43は左回転または右回転する。ボールねじ43の回転に応じて、支柱41は、レール42に沿って図1で左方向または右方向(すなわちフレーム21の長手方向)へ移動する。
【0014】
支柱41の上部(頂部)には、フレーム21を揺動自在に支持する揺動軸(揺動支持軸)46が設けられる。フレーム21の両側に、長穴プレート26が張り出して設置される。長穴プレート26には、フレーム21の長手方向に沿って延びる長穴27が形成される。この長穴27に、揺動軸46が係合する。そのため、支柱41が、レール42に沿って図1で左方向または右方向へ移動すると、揺動軸46は、長穴27に沿って図1で左方向または右方向(すなわちフレーム21の長手方向)へ移動する。
【0015】
つぎに、緩衝手段50によるベルトコンベヤ20の支持構造について説明する。
緩衝手段50は、ベルトコンベヤ20の両側において、機台30上に配置されたダンパー付きコイルスプリング(緩衝部材)51を備える。ダンパー付きコイルスプリング51は、コイルスプリング52とダンパー53とで構成される。ダンパー付きコイルスプリング51の基部(底部)は、スライダ54に固定される。スライダ54の底部は、機台30に、ベルトコンベヤ20の搬送方向(フレーム21の長手方向)に延びて設置されたレール55と係合する。
【0016】
スライダ54の側部には、図示しないボールナットが設けられる。このボールナットは、レール55と平行に延びるボールねじ56と螺合している。ボールねじ56は、機台30に設置された支持台57に回転自在に支持される。支持台57にはモータ58が設置され、このモータ58とボールねじ56の端部とは連結される。そのため、モータ58が駆動すると、それに応じてボールねじ56は左回転または右回転する。ボールねじ56の回転に応じて、スライダ54は、レール55に沿って図1で左方向または右方向(すなわちフレーム21の長手方向)へ移動する。
【0017】
ダンパー付きコイルスプリング51の上部(頂部)には、支持軸59が設けられる。フレーム21の両側には、フレーム21の長手方向に沿って延びる長穴28が形成される。この長穴28に、支持軸59が係合する。そのため、ダンパー付きコイルスプリング51を固定したスライダ54が、レール55に沿って図1で左方向または右方向へ移動すると、支持軸59は、長穴28に沿って図1で左方向または右方向(すなわちフレーム21の長手方向)へ移動する。
【0018】
フレーム21の他端部(図1では右端部)には、ベルトコンベヤ20の両側に突出したストッパピン29が設置される。機台30には、ダンパー付きコイルスプリング51が沈み込むことで、ベルトコンベヤ20の右端部が下降した場合、その右端部が下降し過ぎることを防止するための下降限としてのストッパ31が設置される。
【0019】
このような搬送装置10は、搬送方向上流側に位置する上流側搬送装置70と組み合わせて使用される。上流側搬送装置70は、搬送方向後方部分のみを図示する。上流側搬送装置70は、ベルトコンベヤ(またはシュータ)71を備える。ベルトコンベヤ71は、支持部材72によって所定高さに設置される。
【0020】
ベルトコンベヤ20は、床面から所定高さにおいて、搬送路の始端部に相当する図1の右端部から、搬送路の終端部に相当する図1の左端部まで、実質的に床面と平行に(すなわち、実質的に水平に)配置される。一方、ベルトコンベヤ71は、搬送路の始端部(図示省略)から終端部に向けて下り勾配で配置される。ベルトコンベヤ71における搬送路の終端部と、ベルトコンベヤ20における搬送路の始端部とは、互いに近接する。これにより、ベルトコンベヤ71の搬送路と、ベルトコンベヤ20の搬送路とは、被搬送物1を移載可能に連なっている。
【0021】
次に、上記のように構成された搬送装置10が、上流側搬送装置70と組み合わせて使用される場合の作用について説明する。
【0022】
上流側搬送装置70のベルトコンベヤ71によって搬送された物品(被搬送物)1は、搬送装置10のベルトコンベヤ20に移載される。この移載(乗り移り)時に、被搬送物1の荷重(動的荷重)が、ベルトコンベヤ20における搬送路の始端部(図1の右端部)にかかる。この荷重を受けて、ダンパー付きコイルスプリング51が沈み込み、支持軸59を下降させる。支持軸59が下降することで、ベルトコンベヤ20における搬送路の始端部が、図1に示す高さ位置から、図3に実線で示す高さ位置に変位して、衝撃を吸収する。これにより、被搬送物1がベルトコンベヤ20から受ける衝撃は、効果的に吸収され、緩和される。
【0023】
そして、被搬送物1がベルトコンベヤ20に完全に移載され終わる乗り移り完了時(またはその前後)には、コイルスプリング52の付勢力によって、ダンパー付きコイルスプリング51は、ベルトコンベヤ20を徐々に上向きに揺動させる。これにより、ベルトコンベヤ20の搬送路は、始端部から終端部に向けて実質的に水平となる状態に復帰する。この復帰した状態を図3に鎖線で示す。
【0024】
このように、被搬送物1は、乗り移りにともなう衝撃力を最小限に抑えられつつ、上流側搬送装置70のベルトコンベヤ71から搬送装置10のベルトコンベヤ20にスムーズに乗り移ることができる。そして、搬送装置10のベルトコンベヤ20を搬送された被搬送物1は、ベルトコンベヤ20における搬送路の終端部において、例えばロボット80によって、ベルトコンベヤ20から取り去られることができる。
【0025】
ベルトコンベヤ20を、このようなフローティング機構すなわち、揺動支持手段40と緩衝手段50とで支持することにより、搬送装置10は、従来取り扱えなかった比較的長い物品(被搬送物)1でも取り扱うことが可能となった。
【0026】
ここで、ベルトコンベヤ20の支持位置の変更について説明する。
まず、フレーム21を不図示の仮支持手段で保持することで、ベルトコンベヤ20の重量を揺動支持手段40および緩衝手段50から除去する。この状態で、モータ45を駆動させると、ボールねじ43は左回転または右回転する。ボールねじ43の回転に応じて、支柱41は、レール42に沿ってフレーム21の長手方向へ移動する。支柱41が、レール42に沿って移動すると、揺動軸46は、長穴27に沿ってフレーム21の長手方向(すなわち図1で左方向または右方向)へ移動する。これにより、フレーム21を支持する揺動軸46の位置(揺動支持手段40による支持位置)は、変更される。
【0027】
同様に、フレーム21を不図示の仮支持手段で保持した状態で、モータ58を駆動させる。すると、ボールねじ56は左回転または右回転する。ボールねじ56の回転に応じて、スライダ54は、レール55に沿ってフレーム21の長手方向へ移動する。スライダ54が、レール55に沿って移動すると、支持軸59は、長穴28に沿ってフレーム21の長手方向(すなわち図1で左方向または右方向)へ移動する。これにより、フレーム21を支持する支持軸59の位置(緩衝手段50による支持位置)は、変更される。
【0028】
図4、図5は、本発明による搬送装置の第2実施形態を示す立面図であり、図1〜図3に示す搬送装置10と同様の部分には同一の符号を付けて示してある。この搬送装置11は、ベルトコンベヤ20を支持する揺動支持手段40および緩衝手段50の構造と設置位置が、搬送装置10と異なる。特に、揺動支持手段40と緩衝手段50の設置位置は、搬送装置10の場合と比べて、ベルトコンベヤ20の搬送方向に対して逆になっている。すなわち、揺動支持手段40は、ベルトコンベヤ20の搬送方向上流側に配置される。また、緩衝手段50は、ベルトコンベヤ20の搬送方向下流側に配置される。
【0029】
揺動支持手段40は、モータを備えておらず、ボールねじ43の端部には手回しハンドル47が取り付けられる。
緩衝手段50も、モータを備えておらず、ボールねじ56の端部には手回しハンドル61が取り付けられる。
図4、図5において、ボールねじ43とボールねじ56とは前後に配置されている。また、手回しハンドル47と手回しハンドル61も前後に配置されている。
【0030】
このような搬送装置11は、搬送方向下流側に位置する下流側搬送装置90と組み合わせて使用される。下流側搬送装置90は、搬送方向前方部分のみを図示する。下流側搬送装置90は、ベルトコンベヤ91を備える。ベルトコンベヤ91は、支持部材92によって所定高さに設置される。
【0031】
ベルトコンベヤ20は、床面から所定高さにおいて、搬送路の始端部に相当する図4の右端部から、搬送路の終端部に相当する図4の左端部まで、実質的に床面と平行に(すなわち、実質的に水平に)配置される。ベルトコンベヤ91も、搬送路の始端部から終端部(図示省略)まで、実質的に水平に配置される。但し、ベルトコンベヤ91の設置高さは、ベルトコンベヤ20の設置高さに比べてやや低く設定される。ベルトコンベヤ20における搬送路の終端部と、ベルトコンベヤ91における搬送路の始端部とは、段差をもって互いに近接する。これにより、ベルトコンベヤ20の搬送路と、ベルトコンベヤ91の搬送路とは、段差を介して被搬送物1を移載可能に連なっている。
【0032】
次に、上記のように構成された搬送装置11が、下流側搬送装置90と組み合わせて使用される場合の作用について説明する。
【0033】
搬送装置11のベルトコンベヤ20によって搬送された物品(被搬送物)1は、下流側搬送装置90のベルトコンベヤ91に移載される。この移載に先だち、ベルトコンベヤ20上を被搬送物1が搬送されるにしたがって、ベルトコンベヤ20が水平状態から下り勾配に変位する。すなわち、被搬送物1が揺動支持手段40を越えて図4の左方へ搬送されると、被搬送物1の荷重(静的荷重)により、ダンパー付きコイルスプリング51が徐々に沈み込み、支持軸59を下降させる。
【0034】
被搬送物1が、ベルトコンベヤ20における搬送路の終端部に到達したとき、ベルトコンベヤ20は、ストッパピン29がストッパ31に当接して、支持軸59が下降限まで下降した位置にある。この状態で、ベルトコンベヤ20における搬送路の終端部の高さは、図5に実線で示すように、ベルトコンベヤ91における搬送路の始端部の高さに等しくなる。つまり、ベルトコンベヤ20における搬送路の終端部と、ベルトコンベヤ91における搬送路の始端部とに、段差が全くない状態となる。そのため、ベルトコンベヤ20からベルトコンベヤ91に移載される被搬送物1は、その移載(乗り移り)にともなう衝撃を実質的に受けない。
【0035】
そして、被搬送物1がベルトコンベヤ91に完全に移載され終わる乗り移り完了後には、コイルスプリング52の付勢力によって、ダンパー付きコイルスプリング51は、ベルトコンベヤ20を徐々に上向きに揺動させる。これにより、ベルトコンベヤ20の搬送路は、始端部から終端部に向けて実質的に水平となる状態に復帰する。この復帰した状態を図5に鎖線で示す。
【0036】
ここで、ベルトコンベヤ20の支持位置の変更について説明する。
まず、フレーム21を不図示の仮支持手段で保持することで、ベルトコンベヤ20の重量を揺動支持手段40および緩衝手段50から除去する。この状態で、手回しハンドル47を回してボールねじ43を左回転または右回転させると、ボールねじ43の回転に応じて、支柱41は、レール42に沿ってフレーム21の長手方向へ移動する。支柱41が、レール42に沿って移動すると、揺動軸46は、長穴27に沿ってフレーム21の長手方向(すなわち図4で左方向または右方向)へ移動する。これにより、フレーム21を支持する揺動軸46の位置(揺動支持手段40による支持位置)は、変更される。
【0037】
同様に、フレーム21を不図示の仮支持手段で保持した状態で、手回しハンドル61を回してボールねじ56を左回転または右回転させると、ボールねじ56の回転に応じて、スライダ54は、レール55に沿ってフレーム21の長手方向へ移動する。スライダ54が、レール55に沿って移動すると、支持軸59は、長穴28に沿ってフレーム21の長手方向(すなわち図4で左方向または右方向)へ移動する。これにより、フレーム21を支持する支持軸59の位置(緩衝手段50による支持位置)は、変更される。
【0038】
図6、図7は、本発明による搬送装置の第3実施形態を示す立面図であり、図1〜図3に示す搬送装置10と同様の部分には同一の符号を付けて示してある。この搬送装置12は、ベルトコンベヤ20を支持する緩衝手段50の構造と設置位置が、搬送装置10と異なる。
【0039】
緩衝手段50は、機台30に枢支された2基のダンパー付きコイルスプリング51と共に平行リンク62を構成するリンクアーム63を備える。リンクアーム63の中央部に支持軸59が設けられる。支持軸59は、プーリ22の回転軸と同一軸線上において、フレーム21に枢支される。そのため、揺動支持手段40の揺動軸46を中心としてフレーム21が円弧状に揺動する場合、その上下の揺れを、平行リンク62のダンパー付きコイルスプリング51が吸収する。これにより、ベルトコンベヤ20の上下の動きが円滑化する。
【0040】
次に、上記のように構成された搬送装置12が、上流側搬送装置70と組み合わせて使用される場合の作用について説明する。
【0041】
上流側搬送装置70のベルトコンベヤ71によって搬送された物品(被搬送物)1は、搬送装置12のベルトコンベヤ20に移載される。この移載(乗り移り)時に、被搬送物1の荷重(動的荷重)が、ベルトコンベヤ20における搬送路の始端部(図6の右端部)にかかる。この荷重を受けて、ダンパー付きコイルスプリング51が沈み込み、支持軸59を下降させる。
【0042】
ダンパー付きコイルスプリング51が沈み込むとき、フレーム21は揺動軸46を中心として円弧状に揺動するため、支持軸59も揺動軸46を中心として円弧状に下降しようとする。この場合、支持軸59は、平行リンク62のリンクアーム63に設けられているため、ダンパー付きコイルスプリング51が沈み込みながら、垂直位置からわずかに傾斜することができる。これにより、支持軸59の円弧状の下降は円滑に行われる。
【0043】
支持軸59が円弧状に下降することで、ベルトコンベヤ20における搬送路の始端部が下向きに変位して、衝撃を吸収する。これにより、被搬送物1がベルトコンベヤ20から受ける衝撃は、効果的に吸収され、緩和される。
【0044】
そして、被搬送物1がベルトコンベヤ20に完全に移載され終わる乗り移り完了時(またはその前後)には、コイルスプリング52の付勢力によって、ダンパー付きコイルスプリング51は、ベルトコンベヤ20を徐々に上向きに揺動させる。これにより、ベルトコンベヤ20の搬送路は、始端部から終端部に向けて実質的に水平となる状態に復帰する。
【0045】
フレーム21を支持する揺動軸46の位置(揺動支持手段40による支持位置)は、図1〜図3に示す搬送装置10と同様にして変更される。
【0046】
なお、上記の各実施形態では、揺動支持手段40によるフレーム21の支持位置、及び、緩衝手段50によるフレーム21の支持位置を、それぞれフレーム21の長手方向に沿って変更可能に構成したが、これに限定されない。すなわち、揺動支持手段40によるフレーム21の支持位置を、フレーム21の長手方向に沿って所定位置に固定することが可能である。また、緩衝手段50によるフレーム21の支持位置を、フレーム21の長手方向に沿って所定位置に固定することも可能である。
【0047】
また、本発明による搬送装置は、例えば、自動車のサイドパネルやルーフパネル等のワークを物品(被搬送物)として搬送するのに適している。しかし、本発明による搬送装置は、これに限定されず、さまざまな物品を被搬送物として搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明による搬送装置の第1実施形態を示す立面図である。
【図2】図1の搬送装置の平面図である。
【図3】図1の搬送装置で被搬送物が乗り移るときの立面図である。
【図4】本発明による搬送装置の第2実施形態を示す立面図である。
【図5】図4の搬送装置で被搬送物が乗り移るときの立面図である。
【図6】本発明による搬送装置の第3実施形態を示す立面図である。
【図7】図6の搬送装置の要部の平面図である。
【符号の説明】
【0049】
10,11,12 搬送装置
20 ベルトコンベヤ(搬送コンベヤ)
21 フレーム(基台)
22 プーリ(巻き掛け手段)
23 ベルト(帯状搬送手段)
24 モータ
25 減速機
26 長穴プレート
27 長穴
28 長穴
29 ストッパピン
30 機台
31 ストッパ
40 揺動支持手段
41 支柱
42 レール
43 ボールねじ
44 支持台
45 モータ
46 揺動軸(揺動支持軸)
47 手回しハンドル
50 緩衝手段
51 ダンパー付きコイルスプリング(緩衝部材)
52 コイルスプリング
53 ダンパー
54 スライダ
55 レール
56 ボールねじ
57 支持台
58 モータ
59 支持軸
61 手回しハンドル
62 平行リンク
63 リンクアーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻き掛け手段により駆動される帯状搬送手段の上面に物品を搭載して搬送する搬送装置において、
前記巻き掛け手段及び前記帯状搬送手段を備える基台と、
前記基台を搬送方向と直交する方向に揺動自在に支持する揺動支持手段と、
前記基台を前記物品の荷重を受けて下方に変位可能に支持する緩衝手段と、
を備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記揺動支持手段は、前記基台の搬送方向の所定位置に設けられた揺動軸を備え、該揺動軸を中心として前記物品の荷重に対する前記基台の下方への変位を可能とし、スプリングを有する前記緩衝手段にて通常位置に復帰可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記揺動支持手段は、前記基台の搬送方向の所定位置に設けられた揺動軸を備え、該揺動軸を前記基台の搬送方向に沿って位置調整自在とし、該揺動軸を中心として前記物品の荷重に対する前記基台の下方への変位を調整可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記揺動支持手段を挟んで、前記基台の一方の端部近傍に前記巻き掛け手段を駆動する駆動モータを配設し、他方の端部側に前記緩衝手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−126292(P2010−126292A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301941(P2008−301941)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】