説明

搬送装置

【課題】軽量でコストを抑えることが可能な大型のプリンタまたはプロッタ等を搬送する印刷機の搬送装置を提供する。
【解決手段】枠部材11a、枠部材11aに囲まれた部分全体を覆うように設けられた段ボールシート11b、および長手方向の両端が枠部材に固定されて設けられ印刷機を載置させる載置面を有するレール部材により構成された載置台と枠部材から下方に延びる脚部11cとを備え、枠部材11aの下面に空間が設けられるように構成されたパレット11と、載置面に載置された印刷機を載置面に固定させる搬送ステー、固定具14と、印刷機に載置面と平行な方向に開口する支持孔が設けられ、支持孔に挿入可能に構成され挿入する方向の両端にフック等の係止手段を取り付けて係止手段を持ち上げることにより印刷機を吊り上げ可能にする吊り上げステーとを備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型のプリンタおよびプロッタ等を搬送するための印刷機の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大型のプリンタやカッティングプロッタ等の印刷機を搬送する搬送装置は、これらの印刷機を載置、搬送、保管するための載置板であるパレットを備え、当該パレットは、底板と天板の一対の矩形状のパネルを有し、底板と天板との間に複数の補強部材が接合されるとともに天板と底板との間隙にフォークリフトの爪を挿入するためのフォークリフト差込口を備えた構造のもの、そして上記パレットに段ボール箱等の梱包部材を組み合わせたものがある。このような搬送装置を用いて印刷機を搬送する際には、天板上に印刷機を載置した後、フォークリフト差込口にフォークリフトの爪を挿入しフォークリフトによりトラック、船舶等の輸送機器に積み込んで搬送を行うのが一般的である。
【0003】
ところで、大型印刷機等の重量物を搬送する搬送装置においては、下部に車輪を有する台車と、台車の上面に載置された重量物を滑らかに移動可能にさせるために設けられたベアリングユニット等を備えたものが周知になっており(例えば、特許文献1を参照)、このような搬送装置は、当該台車の上面に重量物が載置され、上記車輪により当該重量物と台車を容易に移動することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−226009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような搬送装置においては、印刷機を載置させるパレットが、その強度を保つ必要があるため鉄板等で構成されていることが多く、その重量が非常に大きく、また搬送装置の製造等のコストが高くなるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、軽量でコストを抑えつつ大型のプリンタまたはプロッタ等を搬送可能な印刷機の搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明にかかる印刷機の搬送装置は、プリンタまたはプロッタ等の印刷機を搬送するための印刷機の搬送装置であって、枠部材、枠部材に囲まれた部分全体を覆うように設けられたシート部材(例えば、実施形態における段ボールシート11b)、および長手方向の両端が枠部材に固定されて設けられ印刷機を載置させる載置面を有するレール部材により構成された載置台と枠部材から下方に延びる脚部とを備え、枠部材の下面に空間が設けられるように構成されたパレットと、載置面に載置された印刷機を載置面に固定させる印刷機固定手段(例えば、実施形態における搬送ステー13、固定具14)と、印刷機に載置面と平行な方向に開口する貫通孔が設けられ、貫通孔に挿入可能に構成され挿入する方向の両端にフック等の係止手段を取り付けて係止手段を持ち上げることにより印刷機を吊り上げ可能にする印刷機吊り上げ手段(例えば、実施形態における吊り上げステー17)とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る印刷機の搬送装置においては、パレットに、印刷機吊り上げ手段を前記載置面と略直交する方向に延びるように取り付けるための吊り上げ手段取付部(例えば、実施形態における孔部11d)が設けられていることが好ましい。
【0009】
そして、本発明に係る印刷機の搬送装置においては、印刷機が前後または左右方向に移動自在にするための車輪を有するものであって、印刷機固定手段は、印刷機およびパレットに着脱自在に設けられ、印刷機およびパレットから外した状態で車輪を介して印刷機を載置可能に構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
以上、本発明に係る搬送装置においては、印刷機を載置するパレットが枠部材と、枠部材で囲まれた部分を覆うシート部材と、両端が枠部材に固定され印刷機を載置するために設けられたレール部材を備えて構成されることにより、搬送装置を軽量にすることが可能になり、また、その製造コストを低減させることができる。
【0011】
また、パレットの上面に上方に延びるように印刷機吊り上げ手段を取り付けるための吊り上げ手段取付部が設けられることにより、パレットに載置された印刷機をダンボール箱等の梱包部材で梱包して輸送する際に、梱包部材の外側から加えられる衝撃を軽減させることができる。
【0012】
そして、印刷機固定手段が、印刷機およびパレットから着脱可能であり、印刷機およびパレットから外したときに印刷機を載置可能に構成されることにより、印刷機をパレットから降ろすときに印刷機固定手段の一端をパレットの上面、他端を床面等に載置してスロープとして使用することにより、印刷機の車輪を載置して人力で容易にパレットの上面から降ろしたりパレットの上面に載置したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の適用例として示したプリンタ装置Pを搬送装置に載置した状態を示す斜め前方から見た外観斜視図である。
【図2】上記搬送装置のパレットを示す図であり(a)が斜め前方から見た斜視図、(b)が上面図である。
【図3】搬送ステーを用いて上記プリンタ装置を搬送装置から降ろすときの状態を示す斜視図である。
【図4】吊り上げステーを装置本体に固定させたブラケットの孔部に挿入しステー固定手段により固定させて吊り上げステーの端部にフック保持部材を螺合させる状態を示す斜視図である。
【図5】上記搬送装置のパレットの上面に吊り上げステーを立てた状態を示す斜め前方から見た外観斜視図である。
【図6】段ボール箱Dにより上記プリンタ装置を梱包する状態を示す斜視図である。(a)は段ボール箱Dの斜視図、(b)は段ボール箱Dにより梱包されたプリンタ装置および搬送装置にフォークリフトの爪を挿入しようとする状態を示している。
【図7】上記プリンタ装置および搬送装置をクレーン車のフックを用いて吊り上げる状態を示す斜視図である。
【図8】上記プリンタ装置の脚部に搬送ステーを固定させてフォークリフトの爪を挿入しようとする状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明では、図1中に付記する矢印F,R,Uの指す方向をそれぞれ前方、右方、上方と称し、大型プリンタ等を輸送可能な搬送装置10(後に詳述)をプリンタ装置Pに適用した例について説明する。プリンタ装置Pは、プラテン上に載置した塩ビシートやターポリン、ポリエステルフィルム等のシート状の印刷媒体(メディアとも称される)に、プリンタヘッドに設けられたノズルからインクの微粒子を吐出して、印刷対象面に文字や図形、模様、写真等の情報を印刷する印刷装置である。
【0015】
プリンタ装置Pは、図1に示すように、描画機能を果たす横長矩形箱状の装置本体1と、装置本体1の左右両端に設けられ装置本体1を支持する支持部2と、ロール状に巻かれた未印刷状態の印刷媒体をシート状にして装置本体1に供給する印刷媒体供給機構3と、装置本体1により描画された印刷媒体をロール状に巻き取る印刷媒体巻き取り機構4と、左右の支持部2それぞれの脚部2aの下面に前後対称に2個ずつ設けられプリンタ装置Pを前後左右に移動可能にするための車輪が設けられたキャスタ5(図3および図8参照)とにより構成されている。
【0016】
搬送装置10は、プリンタ装置Pを載置するパレット11と、2個のフォークリフト差込部12と、プリンタ装置Pをパレット11に載置またはパレット11から降ろすためのスロープとして使用する2本の搬送ステー13と、2個の固定具14と、キャスタ5の下面に載置する2個の緩衝材15と、2本のレール部材16と、プリンタ装置Pをクレーンで持ち上げるときに使用する棒状の2本の吊り上げステー17とにより構成される。
【0017】
パレット11は、図1および図2に示すように、矩形状に構成された鉄製の枠部材11aと、枠部材11aの下面から枠部材11aに囲まれた部分全体を覆うように貼り付けられる薄板状の段ボールシート11bと、パレット11の四隅の下面に設けられている脚部11cと、パレット11の上面の前後方向中央部の左端および右端に設けられる孔部11dと、枠部材11aの上面と直交する4つの側面の下端に設けられる爪部11eとから構成されている。
【0018】
段ボールシート11bは、枠部材11aの下面に枠部材11aに囲まれた部分全体を覆うように接着剤等の貼着手段により貼り付けられ、プリンタ装置Pをパレット11に載置したときに下方からゴミ等が進入することを防止することが可能になっており、また、脚部11cをパレット11の四隅に下方に延びるように設け、パレット11のプリンタ装置Pの載置面に高さを持たせることにより、パレット11に載置したプリンタ装置Pを安定した状態で輸送することが可能になるとともに枠部材11aおよび段ボールシート11bの下面が汚れることを防止することができる。
【0019】
パレット11の上面の左右両端中央部に設けられている孔部11dには、棒状の吊り上げステー17(後に詳述)を挿入し固定させることが可能になっている(図5参照)。このように吊り上げステー17をパレット11の上面から上方に延びるように立てて固定させた後に段ボール箱D(図6参照)で梱包することにより、プリンタ装置Pの輸送時における左右方向からの衝撃を低減させることが可能になる。また、パレット11の上面と直交する4つの側面の下端には爪部11eが設けられ、プリンタ装置Pを段ボール箱Dにより梱包する際に段ボール箱Dがパレット11から外れないように後に詳述する段ボール箱Dの孔部D1に差し込むために用いられる(図6参照)。
【0020】
フォークリフト差込部12は、前側および後側の枠部材11aの左右方向中央部の下面から下方に延びるように設けられ、フォークリフト差込部12の底面はパレット11の脚部11cの底面よりも高い位置にある。このため、フォークリフト差込部12の底面とパレット11の脚部11cの底面と平行な面の間には空間が設けられた状態になっており、フォークリフト差込部12の底面が地面等に着地しないようになっている。フォークリフト差込部12は、図1に示すように、前後方向に開口するフォークリフト差込口12aを2個備えており、フォークリフト差込口12aにフォークリフトの爪Fを挿入することにより、フォークリフトでパレット11を持ち上げ移動させることが可能になっている。
【0021】
搬送ステー13は、鉄製の棒状部材で長手方向に延びる一つの面にキャスタ5を載置しその上面を移動可能にするための凹部を有して構成されており、図3に示すように、プリンタ装置Pをパレット11に載置またはパレット11から降ろすときに、パレット11の右端に載置しスロープとして使用する部材である。搬送ステー13の凹部の長手方向両端部分の底部は薄板状になっており、プリンタ装置Pのキャスタ5が容易に当該凹部に載置可能になっている。固定具14は、搬送ステー13をボルト等の固定手段によりパレット11に固定するために用いられ、搬送ステー13は、プリンタ装置Pをパレット11に載置またはパレット11から降ろす時以外は、図1に示すように、ボルト等の固定手段によりプリンタ装置Pの脚部2aと固定具14に固定された状態になっている。
【0022】
緩衝材15は、スポンジ等の材料を用いて構成されており、プリンタ装置Pのキャスタ5をキズつけないように載置させるクッションとして用いられる。プリンタ装置Pは緩衝材15を介してパレット11の上面に左右方向に延びて設けられるレール部材16の上面に載置されるようになっている。レール部材16は、パレット11の上面に左右方向に延びて設けられ、キャスタ5をその上面に載置してプリンタ装置Pを左右方向に移動可能にするとともに前後方向の移動を制限するために設けられる。
【0023】
吊り上げステー17は、上述したようにプリンタ装置Pの輸送時は孔部11dに挿入しパレット11の上面に立てて使用するが、輸送時以外は、図4に示すようなステー固定手段20に挿入、貫通された状態になっている。ステー固定手段20は、ブラケット21と、4本のボルト22と、2本のロングボルト23とにより構成されており、ブラケット21は、4本のボルト22により装置本体1に上に向かって固定されている。そして、ブラケット21が装置本体1に固定された状態で、吊り上げステー17がブラケット21の左右両側部に形成された孔部に挿入、貫通されるようになっている。そして、2本のロングボルト23が吊り上げステー17の穴部17aに挿入、そして螺合されることにより、吊り上げステー17を装置本体1に固定することが可能になる。また、吊り上げステー17の長手方向に平行な1つの側面には、後に詳述するフック保持部材30を螺合し固定させるための孔部17bが設けられており、吊り上げステー17は、孔部17bが上面を向いた状態でブラケット21に挿入、貫通されるようになっている。
【0024】
図4に示すように、吊り上げステー17の長手方向の両端部にある孔部17bに、クレーン車等のフックを掛けるリング部を有するフック保持部材30を螺合し固定させることが可能になっており、フック保持部材30を孔部17bに螺合し吊り上げステー17の両端に固定させると、図7に示すように、一端に引っ掛け部100a他端にフック100hを有するベルト部材100とクレーン車を用いてプリンタ装置Pを持ち上げることが可能になる。具体的には、4本のベルト部材100のフック100hを、吊り上げステー17の両端に螺合、固定されたフック保持部材30のリング部に掛け、4本のベルト部材100の引っ掛け部100a全てをクレーン車のフックHに引っ掛けた状態でフックHを上方に引き上げることにより、プリンタ装置Pを持ち上げることが可能になっている。また、クレーン車ではなく、フォークリフトによりパレット11に載置されたプリンタ装置Pを持ち上げる際には、図1に示すように、フォークリフト差込部12のフォークリフト差込口12aにフォークリフトの爪Fを挿入し爪Fを上方に持ち上げることにより、パレット11に載置されたプリンタ装置Pを上方に持ち上げることが可能になる。
【0025】
以上のように構成された搬送装置10を用いて、プリンタ装置Pをトラック等の輸送手段により輸送する方法について説明する。まず、プリンタ装置Pをパレット11の上面に載置しトラック等に積み込む方法について説明する。
【0026】
まず、レール部材16の上面の左右両端部のキャスタ5が乗り上げる位置に緩衝材15を載置する。その後、2本の吊り上げステー17を装置本体1に固定させたブラケット21の孔部に挿入し、貫通させる。そして、ステー固定手段20により吊り上げステー17を固定させた後、吊り上げステー17の両端に設けられている孔部17bにフック保持部材30を螺合、固定させ、4本のベルト部材100のフック100hをフック保持部材30に引っ掛け、4本の引っ掛け部100a全てにクレーン車のフックHを引っ掛けた状態でクレーン車を操作することにより、フックHを上方に引き上げる。そして、プリンタ装置Pを持ち上げ移動させてキャスタ5が緩衝材15の上面に位置するようにパレット11の上面に載置させる。
【0027】
また、クレーン車を用いないでプリンタ装置Pをパレット11の上面に載置させる方法について以下で説明する。まず、緩衝材15をレール部材16の上面のプリンタ装置Pのキャスタ5が乗り上げる位置に載置し、搬送ステー13を、図3に示すように、パレット11の右端上面に搬送ステー13の凹部と対向する面の長手方向の端部が接するように載置する。このとき、搬送ステー13にプリンタ装置Pが乗り上げたときのプリンタ装置Pへの衝撃を吸収させるためにスポンジ状の材質で構成された緩衝材25を、搬送ステー13の長手方向の中央位置の下面に配置する。
【0028】
上記のように搬送ステー13を載置した後、人力でプリンタ装置Pを、プリンタ装置Pの左端に設けられた2個のキャスタ5が搬送ステー13の右端に位置するように移動させる。そして、人力で吊り上げステー17を左方に押しながら当該2個のキャスタ5を搬送ステー13の凹部の右端に載置させ、吊り上げステー17を左方に押してキャスタ5がパレット11の上面に載置され、そして、4個のキャスタ5が緩衝材15の上面に乗り上げるように移動させる。
【0029】
上記のように、プリンタ装置Pをパレット11に載置した後、吊り上げステー17からフック保持部材30を外し、2本の吊り上げステー17を引き出してパレット11上面の左右両端部に設けられた孔部11dに挿入し固定させる。そして、図6(a)および(b)に示すように、段ボール箱Dによりプリンタ装置Pを梱包する。段ボール箱Dは、長手方向および幅方向の長さがパレット11の長さと同じになっており、高さはプリンタ装置Pの高さより数十センチ程度高くなっている。
【0030】
また、段ボール箱Dの下端部には複数の孔部D1が設けられており、プリンタ装置Pを段ボール箱Dに梱包する際に、プリンタ装置Pを段ボール箱Dで覆うとともに当該孔部D1に前述したパレット11の爪部11eを差し込むことにより、輸送中に段ボール箱Dがパレット11から外れることを防止することが可能になっている。なお、プリンタ装置Pを段ボール箱Dにより梱包した状態でフォークリフト差込部12が左右方向中央下部に露出されるようになっており、段ボール箱Dによりプリンタ装置Pを梱包した後にフォークリフトの爪Fをフォークリフト差込部12のフォークリフト差込口12aに挿入し、プリンタ装置Pを持ち上げ、トラック等に積み上げる。
【0031】
次に、トラック等に積み込まれたプリンタ装置Pを降ろす方法について説明する。まず、トラック等に積み込まれたパレット11のフォークリフト差込部12のフォークリフト差込口12aにフォークリフトの爪Fを挿入し、トラック等からパレット11を引き出し所望の場所に載置する。そして、段ボール箱Dをパレット11から取り外す。
【0032】
段ボール箱Dをパレット11から取り外した後は、図3に示すように、緩衝材15を取り外しキャスタ5およびレール部材16を露出させる。また、搬送ステー13をプリンタ装置Pおよび固定具14から外し、2本の吊り上げステー17を孔部11dから外して装置本体1に固定させたブラケット21に挿入し、ステー固定手段20により吊り上げステー17を固定させた後、搬送ステー13を、パレット11の右端上面に搬送ステー13の凹部と対向する面の長手方向の端部が接するように載置する。なお、プリンタ装置Pをパレット11に載置させるときと同様に、プリンタ装置Pが乗り上げたときのプリンタ装置Pへの衝撃を吸収させるため緩衝材25を搬送ステー13の長手方向の中央位置の下面に配置させる。
【0033】
上記のように搬送ステー13をパレット11の右端に載置した後、人力で吊り上げステー17を右方に押してプリンタ装置Pを右方に移動させ、プリンタ装置Pの右方に設けられた2個のキャスタ5を搬送ステー13の凹部に移動させ、2つのキャスタ5が滑らかに搬送ステー13の凹部を移動するように吊り上げステー17に掛ける力を加減しながらプリンタ装置Pをパレット11から降ろして所望の位置にプリンタ装置Pを置く。
【0034】
なお、プリンタ装置Pをパレット11から降ろす方法としては、プリンタ装置Pをパレット11に載置するときと同じように、吊り上げステー17を装置本体1に固定させたブラケット21に貫通させステー固定手段20により吊り上げステー17を固定させた後、フック保持部材30を固定させ、ベルト部材100およびクレーン車を用いてプリンタ装置Pを降ろすこともできる。
【0035】
以上、本実施形態における搬送装置10においては、フォークリフト差込部12を備えたパレット11にプリンタ装置Pを載置し、搬送ステー13および固定具14を介してプリンタ装置Pをパレット11に固定させ、フォークリフト差込部12のフォークリフト差込口12aにフォークリフトの爪Fを挿入し持ち上げることにより、プリンタ装置Pをパレット11に載置させた状態でフォークリフトにより容易に移動させることができる。
【0036】
また、本実施形態における搬送装置10においては、吊り上げステー17が設けられていることにより、プリンタ装置Pをクレーン車で吊り上げることを可能にするとともに、プリンタ装置Pを段ボール箱Dで梱包するときには、吊り上げステー17をパレット11上面の孔部11dに挿入し固定させることにより左右方向からのプリンタ装置Pへの衝撃を低減させることができる。
【0037】
そして、本実施形態における搬送装置10においては、プリンタ装置Pをパレット11に載置またはパレット11から降ろすときに搬送ステー13をスロープとして使用することにより、プリンタ装置Pに大きな衝撃を与えることなくパレット11に載置またはパレット11から降ろすことができるとともに、プリンタ装置Pをパレット11に載置またはパレット11から降ろす作業をクレーン車等を用いずに人力で容易に行うことができる。
【0038】
さらに、本実施形態における搬送装置10においては、パレット11が枠部材11aの下面から枠部材11aに囲まれた部分全体を覆うように段ボールシート11bが貼り付けられて構成されることにより、パレット11を軽量化することが可能になるとともに、パレット11の製造コストを低減させることができる。
【0039】
以上、本実施形態では、パレット11の枠部材11aに囲まれた部分全体を覆うように薄板状の段ボールシート11bが貼り付けられる例について説明したが、枠部材11aを覆う部材は段ボールに限られることはない。
【0040】
また、本実施形態では、パレット11にプリンタ装置Pを載置して輸送する例について説明したが、必ずしもパレット11を用いなければならないわけではなく、例えば図8に示すように、搬送ステー13をボルト等の固定手段(図示せず)によりプリンタ装置Pの脚部2aに固定させた状態で、搬送ステー13の下面にフォークリフトの爪Fを挿入するか、または4本のベルト部材100とクレーン車を用いてプリンタ装置Pを持ち上げトラック等に積み込んだり降ろしたりすることもできる。
【0041】
そして、本実施形態では、搬送ステー13を用いてプリンタ装置Pをパレット11の右端から載置したり降ろしたりする例について説明したが、これに限られることなく、例えばパレット11の左端から載置したり降ろしたりするようにしてもよい。
【0042】
さらに、本実施形態では、搬送装置10をプリンタ装置Pに適用させた例について説明したが、適用させる対象としてはプリンタ装置に限られることなく、例えば、カッティングプロッタ等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0043】
P プリンタ装置
5 キャスタ(車輪)
10 搬送装置
11 パレット
11a 枠部材
11b 段ボールシート(シート部材)
11c 脚部
11d 孔部(吊り上げ手段取付部)
13 搬送ステー(印刷機固定手段)
14 固定具(印刷機固定手段)
17 吊り上げステー(印刷機吊り上げ手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタまたはプロッタ等の印刷機を搬送するための印刷機の搬送装置であって、
枠部材、前記枠部材に囲まれた部分全体を覆うように設けられたシート部材、および長手方向の両端が前記枠部材に固定されて設けられ前記印刷機を載置させる載置面を有するレール部材により構成された載置台と前記枠部材から下方に延びる脚部とを備え、前記枠部材の下面に空間が設けられるように構成されたパレットと、
前記載置面に載置された前記印刷機を前記載置面に固定させる印刷機固定手段と、
前記印刷機に前記載置面と平行な方向に開口する貫通孔が設けられ、前記貫通孔に挿入可能に構成され前記挿入する方向の両端にフック等の係止手段を取り付けて前記係止手段を持ち上げることにより前記印刷機を吊り上げ可能にする印刷機吊り上げ手段とを備えたことを特徴とする印刷機の搬送装置。
【請求項2】
前記パレットに、前記印刷機吊り上げ手段を前記載置面と略直交する方向に延びるように取り付けるための吊り上げ手段取付部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の印刷機の搬送装置。
【請求項3】
前記印刷機は、前記印刷機を前後または左右方向に移動自在にするための車輪を有し、
前記印刷機固定手段は、前記印刷機および前記パレットに着脱自在に設けられ、前記印刷機および前記パレットから外した状態で前記車輪を介して前記印刷機を載置可能に構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷機の搬送装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−173836(P2010−173836A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20551(P2009−20551)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000137823)株式会社ミマキエンジニアリング (437)
【Fターム(参考)】