搬送装置
【課題】無端状のチェーンを用いることなく、曲線部が設けられた搬送経路上で被搬送物を搬送することを可能とする。
【解決手段】 搬送装置10は、搬送経路に沿って配置されており、その上面に被搬送物Wが載置される複数の板部材18a〜18eと、複数の板部材を駆動する運動変換機構30a,30bを備えている。複数の板部材18a〜18eのそれぞれは、搬送経路上の少なくとも一部において水平方向に弾性変形可能に配置されている。そして、運動変換機構30a,30bは、複数の板部材18a〜18eのそれぞれに対して、(1)当該板部材の上面が被搬送物Wの下面と接触した状態で、当該板部材を搬送方向に送る動作と、(2)当該板部材の上面が被搬送物Wの下面と非接触の状態で、当該板部材を搬送方向と反対の方向に戻す動作と、を繰り返し実行するようになっている。
【解決手段】 搬送装置10は、搬送経路に沿って配置されており、その上面に被搬送物Wが載置される複数の板部材18a〜18eと、複数の板部材を駆動する運動変換機構30a,30bを備えている。複数の板部材18a〜18eのそれぞれは、搬送経路上の少なくとも一部において水平方向に弾性変形可能に配置されている。そして、運動変換機構30a,30bは、複数の板部材18a〜18eのそれぞれに対して、(1)当該板部材の上面が被搬送物Wの下面と接触した状態で、当該板部材を搬送方向に送る動作と、(2)当該板部材の上面が被搬送物Wの下面と非接触の状態で、当該板部材を搬送方向と反対の方向に戻す動作と、を繰り返し実行するようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物を搬送する搬送装置に関する。特に、曲線部が設けられた搬送経路を有する搬送装置に好適に用いられる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
曲線部が設けられた搬送経路上で被搬送物を搬送する搬送装置が開発されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の搬送装置では、搬送経路に沿って無端状のチェーンを配置し、このチェーンに被搬送物を載置する受け皿が取付けられる。モータによりチェーンを駆動すると、チェーンは搬送経路に沿って回転する。これによって、受け皿上に載置された被搬送物が搬送経路上を移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−192661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の搬送装置では、無端状のチェーンを用いることで、曲線部が設けられた搬送経路に沿ってチェーンを配置でき、この搬送経路に沿って被搬送物を搬送することができる。しかしながら、無端状のチェーンを用いるため、このチェーンは搬送経路上の全ての領域を通過することとなる。このため、被搬送物の搬送形態によっては種々の問題が発生する。例えば、搬送経路上に被搬送物を洗浄する洗浄領域が設けられる場合、チェーンが洗浄領域を通過する毎に、洗浄液等がチェーン(及び受け皿)に付着する。チェーンに洗浄液等が付着した状態で新しい被搬送物(ワーク)を載置できない場合には、チェーンに付着した洗浄液を除去する作業が必要となる。
【0005】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、無端状のチェーンを用いることなく、搬送経路に曲線部が設けられた場合であっても、その搬送経路上で被搬送物を搬送することができる搬送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の搬送装置は、搬送経路に沿って配置されており、その上面に被搬送物が載置される複数の板部材と、複数の板部材を駆動する駆動機構と、を備えている。複数の板部材のそれぞれは、搬送経路上の少なくとも一部において水平方向に弾性変形可能に配置されている。駆動機構は、複数の板部材のそれぞれに対して、(1)当該板部材の上面が被搬送物の下面と接触した状態で、当該板部材を搬送方向に送る動作と、(2)当該板部材の上面が被搬送物の下面と非接触の状態で、当該板部材を搬送方向と反対の方向に戻す動作と、を繰り返し実行するようになっている。そして、駆動機構による各板部材を駆動する周期がずれており、複数の板部材の一部が上記(1)の送り動作を行う期間の少なくとも一部において、複数の板部材の他の一部が上記(2)の戻り動作を行うことを特徴とする。
【0007】
この搬送装置では、複数の板部材の一つが送り動作を行う際は、その板部材に載置されている被搬送物が搬送方向に送られる。一方、板部材が戻り動作を行う際は、その板部材と被搬送物とが非接触とされる一方で、他の一部の板部材に被搬送物が載置された状態となる。このため、被搬送物が搬送方向と逆方向に送られることはない。以下、板部材が送り動作と戻り動作を繰返すことによって、被搬送物を搬送方向に搬送することができる。したがって、各板部材は限られた領域で送り動作と戻り動作を行えばよいため、板部材の各部位が搬送経路上の全ての領域を通過する必要はない。
また、複数の板部材のそれぞれは、搬送経路上の少なくとも一部において水平方向に弾性変形可能に配置されている。このため、搬送経路に曲線部が設けられた場合には、その曲線部において板部材を水平方向に弾性変形させることで、曲線状の搬送経路に沿って板部材を配置できると共に、板部材を曲線部に沿って送り動作及び戻り動作を行うことができる。その結果、曲線部が設けられた搬送経路であっても、その搬送経路に沿って被搬送物を搬送することができる。
【0008】
上記の搬送装置においては、駆動機構は、複数の板部材のそれぞれに対して、板部材を搬送方向に進退動させると共に上下方向に移動させる第1駆動ユニットと、板部材を少なくとも上下方向に移動させる第2駆動ユニットを有することができる。この場合に、第1駆動ユニットと第2駆動ユニットとが、搬送方向に間隔を空けて配置されていることが好ましい。このように構成することで、板部材に円滑な送り動作と戻り動作を行わせることができる。
【0009】
上記の搬送装置は、搬送経路に曲線部が設けられている場合に好適に用いることができる。この場合に、複数の板材は、曲線部の形状に合わせて配置されると共に、搬送経路の曲率が変化する部分において、前記(1)の送り動作及び前記(2)の戻り動作をする際に水平方向に弾性変形して曲線部の形状に沿うことが好ましい。このように構成することで、板部材に搬送経路に沿った送り動作及び戻り動作を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施例に係る搬送装置の平面図。
【図2】図1に示す搬送装置の正面図。
【図3】駆動機構の正面図。
【図4】図3のIV−IV線断面図。
【図5】図「3のV−V線断面図。
【図6】駆動機構の平面図。
【図7】搬送板の正面図。
【図8】搬送板群を連結する連結構造を拡大して示す図。
【図9】図8の連結構造を搬送板50cの表面で切断した断面を示す図。
【図10】搬送板の動作を模式的に示す図。
【図11】第2実施例の搬送装置の平面図。
【図12】第2実施例の搬送装置の正面図。
【図13】駆動軸を連結する歯車機構を示す図。
【図14】曲線部における搬送板の動作を模式的に示す図。
【図15】本願発明をパーツフィーダに適用した一実施例の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施例) 本発明の第1実施例に係る搬送装置について説明する。まず、搬送装置10の全体の構成について、図1,2を参照して説明する。図1,2に示すように、搬送装置10は、横フレーム14a〜14dと、縦フレーム16a,16bと、その縦フレーム16a,16bの間に配置された搬送板ユニット18a〜18eと、その搬送板ユニット18a〜18eを駆動する駆動機構(モータ12,運動変換機構30a,30b等)から構成される。
【0012】
縦フレーム16a,16bは、搬送方向に伸びる長方形状の板材であり、互いに間隔を空けて配置されている。縦フレーム16a,16bの間は被搬送物を搬送する搬送路となり、被搬送物は縦フレーム16a,16bの一端側(横フレーム14a側)から他端側(横フレーム14d側)に送られる。すなわち、第1実施例では搬送経路が直線状となる。
【0013】
横フレーム14a〜14dは、縦フレーム16a,16bの下面に固定され、搬送方向に間隔を空けて配置されている。横フレーム14aは縦フレーム16a,16bの一端(搬送開始端)に配置され、横フレーム14dは縦フレーム16a,16bの他端(搬送終了端)に配置され、横フレーム14b,14cは搬送開始端と搬送終了端の間に配置されている。横フレーム14a〜14dには、後述する回転軸20b,20dを回転可能に支持する軸受(図示しない)が設けられている。
【0014】
搬送板ユニット18a〜18eは、後で詳述するように3枚の薄板から構成されており、搬送経路に沿って配置されている。搬送板ユニット18a〜18eの上面は、ワークWを載置する載置面となる。この載置面は、縦フレーム16a,16bの上面よりも低い位置に設定される。このため、搬送板ユニット18a〜18eの上面にワークWを載置すると、ワークWの側面が縦フレーム16a,16bの内側面に接触する。その結果、ワークWは、縦フレーム16a,16bに案内されながら搬送経路を搬送されることとなる。
【0015】
搬送板ユニット18a,18cは縦フレーム16a,16bの搬送開始端側に配置され、搬送板ユニット18d,18eは縦フレーム16a,16bの搬送終了端側に配置されている。搬送板ユニット18bは、搬送板ユニット18a,18c及び18d,18eの間に配置され、縦フレーム16a,16bの搬送開始端近傍から搬送終了端近傍まで伸びている。搬送板ユニット18a,18b,18cは連結部40a,40bによって連結され、搬送板ユニット18b,18d,18eは連結部40c,40dによって連結されている。これによって、搬送板ユニット18a〜18eは一体となっている。
なお、本実施例では、搬送開始端側に搬送板ユニット18a,18cを配し、搬送終了端側に搬送板18d,18eを配置したが、これらを一体としてもよい。すなわち、搬送板ユニット18a,18dを一体とし、搬送板ユニット18c,18eを一体としてもよい。また、搬送板ユニット18b,18d,18eの間には、搬送方向に垂直な方向に比較的広めの間隔を設けたが、このような間隔を設けなくてもよい。
【0016】
モータ12は、縦フレーム16a,16bの搬送開始端よりも上流側に配置されている。モータ12の出力軸20aは、連結部22aによって回転軸20bの一端と連結されている。回転軸20bの他端は連結部22bによって回転軸20cの一端に接続され、回転軸20cの他端は連結部22cによって回転軸20dの一端に接続されている。このため、モータ12が回転すると、出力軸20a及び回転軸20b,20c,20dが同一の回転方向に同一の回転速度で回転する。回転軸20bの両端は横フレーム14a,14bの軸受によって回転可能に支持され、回転軸20dの両端は横フレーム14c,14dの軸受によって回転可能に支持されている。なお、上述の説明から明らかなように、モータ12の回転を回転軸20b〜20dに伝達できればよいため、モータ12を配置する位置は搬送開始端側に限られず、搬送終了端側に設けることもできるし、搬送経路の途中に配置することもできる。
【0017】
運動変換機構30a,30bは、モータ12の回転を搬送板ユニット18a〜18eの運動に変換する。運動変換機構30aは、横フレーム14a,14bの間に配置され、搬送板ユニット18a,18b,18cに連結されている。運動変換機構30aは、回転軸20bの回転を搬送板ユニット18a,18b,18cの運動に変換する。また、運動変換機構30bは、横フレーム14c,14dの間に配置され、搬送板ユニット18b,18d,18eに連結されている。運動変換機構30bは、回転軸20dの回転を搬送板ユニット18b,18d,18eの運動に変換する。運動変換機構30a,30bの構成については、後で詳述する。
【0018】
次に、図7〜9を参照して、搬送板ユニット18a〜18eと、搬送板ユニット18a〜18eを連結する連結部40a〜40dについて説明する。なお、搬送板ユニット18a〜18eのそれぞれは同一の構成を有しており、また、搬送板ユニット18a〜18eを連結する連結部40a〜40dも同一の構成を有している。このため、搬送板ユニット18a〜18cと、この搬送板ユニット18a〜18cを連結する連結部40aの構成について詳細に説明する。
【0019】
図8に示すように、搬送板ユニット18a,18b,18cのそれぞれは、3枚の搬送板50a〜70a,50b〜70b,50c〜70cによって構成されている。各搬送板50a〜70cは、搬送方向を長手方向とし、上下方向を短手方向とする薄板である。搬送板50a〜70cのそれぞれは、水平方向(すなわち、搬送板の長手方向に伸びる側面に対して垂直な方向)の厚みが薄い薄板である。このため、各搬送板50a〜70cは水平方向に容易に弾性変形可能であり、また、搬送板ユニット18a,18b,18cも全体として水平方向に容易に弾性変形可能となっている。
【0020】
上記の搬送板ユニット18a,18b,18cでは、搬送板ユニット18aの搬送板50aと、搬送板ユニット18bの搬送板50bと、搬送板ユニット18cの搬送板50cが連結ピン42で連結されている。同様に、搬送板60a,60b,60cが連結ピン44で連結され、搬送板70a,70b,70cが連結ピン46で連結されている。このため、搬送板群50a〜50cは一体となって運動し、搬送板群60a〜60cは一体となって運動し、搬送板群70a〜70cは一体となって運動する。
【0021】
ここで、搬送板群50a〜50cと搬送板群60a〜60cと搬送板群70a〜70cのそれぞれが独立して運動できるように、搬送板群50a〜50cは連結ピン44,46に対して干渉されず、搬送板群60a〜60cは連結ピン42,46に対して干渉されず、搬送板群70a〜70cは連結ピン42,44に対して干渉されないようになっている。すなわち、図7(a),図9に示すように、搬送板50a〜50cのそれぞれには、連結ピン42が嵌合(固定)する貫通孔51が形成され、また、連結ピン44,46が貫通する貫通孔52,53が形成されている。貫通孔52,53は、搬送板群の間の相対運動が拘束されない程度に大きな貫通孔とされている。同様に、図7(b)に示すように、搬送板60a〜60cには、連結ピン44が嵌合(固定)する貫通孔62と、連結ピン42,46が貫通する貫通孔61,63が形成される。また、図7(c)に示すように、搬送板70a〜70cには、連結ピン46が嵌合(固定)する貫通孔73と、連結ピン42,44が貫通する貫通孔71,72が形成される。
【0022】
なお、搬送板ユニット18d,18eは、上記の搬送板ユニット18a〜18cと同様に構成され、連結部40b〜40dも連結部40aと同様に構成されている。
【0023】
次に、図3〜6を参照して、運動変換機構30a,30bについて説明する。なお、運動変換機構30a,30bは同一の構成を有しているため、ここでは、運動変換機構30aについて詳細に説明する。
【0024】
図3,6に示すように、運動変換機構30aは、搬送板ユニット18a〜18cの搬送板群50a〜50c,60a〜60c,70a〜70cに運動を伝達する機構(34a〜c,36a〜c,37a〜c等)を備えている。各搬送板群50a〜50c,60a〜60c,70a〜70cに運動を伝達する機構は同一であるため、ここでは、搬送板群70a〜70cに運動を伝達する伝達機構を詳細に説明する。
【0025】
搬送板70a〜70cに運動を伝達する運動伝達機構は、円筒カム32と、円筒カム32に案内されるローラ33a〜33c,35a〜35cを備える接触子36cと、接触子36cに固定される従動ピン37cによって構成される。
円筒カム32は回転軸20bに形成される。このため、回転軸20bが回転すると、円筒カム32も回転する。円筒カム32には、カム溝34cが形成されている。カム溝34cは、搬送板群70a〜70cに搬送方向の運動を伝達するための溝である。図3,5に示すように、接触子36cの第2ローラ35cがカム溝34cの側面に案内されることで、接触子36cが搬送方向に運動する。なお、カム溝34a,34b,34cは、同一の運動曲線を有しているが、その周期は120度ずつずれている。
また、円筒カム32のカム溝34cの近傍には、搬送板群70a〜70cに上下方向の運動を伝達するためのカム面が形成されている。このカム面に接触子36cの第1ローラ33cが案内されることで、接触子36cが上下方向に運動する。図4に示すように、このカム面は、中心角A〜B(中心角(120+α)°(αは適宜決定される。本実施例では、α=30°))の間の半径と、中心角C〜Dの間の半径は一定とされ、また、中心角A〜B間の半径は中心角C〜D間の半径より大きくされている。中心角A〜B間を第2ローラ33cが案内される際は、搬送板群70a〜70cは上下方向に運動することなく搬送方向に運動して、被搬送物を搬送する。一方、中心角B〜C,C〜D,D〜A間を第2ローラ33cが案内される際は、搬送板群70a〜70cは搬送方向に対して逆方向に運動し、被搬送物の搬送に寄与しない。なお、このようなカム面によって伝達される各搬送板群50a〜50c,60a〜60c,70a〜70cの上下方向の運動は、カム溝34a,34b,34cによる搬送方向の運動と同期しており、その周期は120度ずつずれている。
【0026】
接触子36cは、上記した円筒カム32に案内されて、ワークWを搬送する方向に進退動すると共に上下方向に運動する。接触子36cは、縦方向ガイド38cにより上下方向に案内される。縦方向ガイド38cは、横方向ガイド39cにより横方向(搬送方向)に案内される。縦方向ガイド38cは、縦フレーム16aの外側面に固定されている。このため、接触子36cは、縦フレーム16aに固定された横方向ガイド39c及び縦方向ガイド38cに案内されることで、縦フレーム16aに対して、安定した運動が可能となっている。
【0027】
従動ピン37cは、接触子36aの上端に固定されている。従動ピン37cは、縦フレーム16aに形成された貫通孔17cを貫通している。貫通孔17cは、縦フレーム16aが従動ピン37cの運動を干渉しないように、従動ピン37cに対して大きな断面積を有している。従動ピン37cの一端は、搬送板70a〜70cに固定されている。すなわち、図7に示すように、搬送板70a〜70cには、従動ピン37cが嵌合する貫通孔76が形成され、この貫通孔76に従動ピン37cが固定されている。なお、搬送板70a〜70cには、従動ピン37a,37bが貫通する貫通孔74,75が形成されている。貫通孔74,75は、従動ピン37a,37bの運動が伝達されないように、従動ピン37a,37bに対して大きな断面積を有している。
【0028】
なお、搬送板群50a〜50cに運動を伝達する機構と、搬送板群60a〜60cに運動を伝達する機構は、上述した搬送板群70a〜70cに運動を伝達する機構と同様に構成されている。これらの運動伝達機構は、搬送方向に間隔を空けて配置されることで、これらの運動伝達機構のカム溝34a,34b,34c及びカム面(上下方向の運動を伝達するカム面)が同一の円筒カム32に形成されている。このため、これらの運動を容易に同期させることができる。
【0029】
運動変換機構30bは、運動変換機構30aとほぼ同様に構成され、搬送板ユニット18d,b,eの一端(搬送終了端)を駆動する。ただし、運動変換機構30bでは、運動変換機構30aと異なり、搬送板ユニット18d,b,eを上下方向にのみ駆動し、搬送方向には駆動しない点でのみ異なる。なお、運動変換機構30bの円筒カムが形成される回転軸20dは、回転軸20c,20bを介してモータ12の出力軸20aに連結されている。このため、運動変換機構30aと運動変換機構30bは同期して運動する。搬送板ユニット18a〜18eは、その両端を運動変換機構30a、30bによって駆動されることで、安定した運動を行うことができる。
【0030】
ここで、運動変換機構30aと運動変換機構30bによって、搬送板ユニット18a〜18eに伝達される運動について説明しておく。なお、搬送板ユニット18a〜18eのうち第1の搬送板群(搬送板50a〜50c等)に伝達される運動と、第2の搬送板群(搬送板60a〜60c等)に伝達される運動と、第3の搬送板群(搬送板70a〜70c等)に伝達される運動は、その運動周期が異なるだけで同一の運動を行う。このため、ここでは、これらを区別することなく各搬送板50,60,70の運動について説明する。
【0031】
図10に示すように、各搬送板50,60,70は、その上面が搬送面Sと一致する位置で搬送方向に移動する送り運動(図10(a)→図10(b)の運動(図4のA〜Bの区間))と、その上面が搬送面Sから下方となるように移動し(図4のB〜Cの区間)、次いで、その位置で搬送方向とは反対の方向に移動し(図4のC〜Dの区間)、最後に、その上面が搬送面Sと一致する位置まで上昇する運動(図4のD〜Aの区間)からなる戻り運動(図10(b)→(c)→(a))を行う。各搬送板50,60,70が送り運動をする際は、各搬送板50,60,70の上面はワークWの下面と接触し、ワークWを搬送方向に搬送する。各搬送板50,60,70が戻り運動をする際は、各搬送板50,60,70の上面とワークWの下面とが非接触となり、ワークWの搬送に影響を与えることはない。
【0032】
上述したように、第1の搬送板群(搬送板50a〜50c)に伝達される運動と、第2の搬送板群(搬送板60a〜60c)に伝達される運動と、第3の搬送板群(搬送板70a〜70c)に伝達される運動は、周期が120度ずつずれている。そして、第1の搬送板群と第2の搬送板群と第3の搬送板群の一つが送り運動をする際には、他の2つが戻り運動するように設定されている。すなわち、3つの搬送板群のそれぞれは、原則、中心角120°分ずつ搬送運動を分担し、これによって、ワークWを搬送方向に連続して送ることができる。ただし、既に説明したように、円筒カム32のカム面の区間A〜Bの中心角が(120+α)°となっているため(図4参照)、中心角αの分だけ各搬送板群の搬送方向の運動がオーバーラップする。なお、カム溝34a,34b,34cの運動曲線を調整することで、ワークWを搬送方向に等速で送ることもできる。
【0033】
上述した搬送装置10の動作について説明する。搬送装置10によりワークWを搬送するには、搬送開始端側より搬送板ユニット18a〜18eの上面にワークWを載置し、モータ12を回転させる。モータ12が回転すると、出力軸20a及び回転軸20b〜20dが回転する。これによって、運動変換機構30a,30bが動作を開始し、搬送板ユニット18a〜18eが運動を開始する。すなわち、第1の搬送板群(50a〜50c等)と第2の搬送板群(60a〜60c等)と第3の搬送板群(70a〜70c等)のいずれか1つが送り運動をし、残りの2つが戻り運動をする。搬送板ユニット18a〜18eの上面のワークは、送り動作をする1つの搬送板群によって搬送方向に送られる。戻り動作を行っていた搬送板群が戻り動作を完了すると(図9(a)の状態)、送り動作を行っていた搬送板群が送り動作を完了する。次いで、戻り動作を完了した搬送板群が送り動作を開始し、送り動作を完了した搬送板群は戻り動作を開始する。これにより、搬送板ユニット18a〜18e上のワークは、搬送方向(搬送終了端)に向かって連続して送られる。
【0034】
上述した説明から明らかなように、本実施例の搬送装置10では、3枚の搬送板(薄板)からなる搬送板ユニット18a〜18eを搬送経路に沿って配置し、搬送板ユニット18a〜18eの各搬送板に送り動作及び戻り動作を繰返し実行させることで、ワークWを搬送方向に搬送する。このため、各搬送板は、搬送経路上の一部の領域を搬送方向に進退動するだけでよい。したがって、搬送経路上にワークWを洗浄する洗浄領域が設けられていても、搬送板ユニット18a〜18eの全体に洗浄液が付着することはなく、洗浄領域を進退動する部分にのみ洗浄液が付着する。このため、新たに投入されるワークのためだけに、搬送板ユニット18a〜18eから洗浄液を除去する作業を行う必要はない。
また、搬送板ユニット18a〜18eの3つの搬送板群(50a〜50c等),(60a〜60c等),(70a〜70c等)の運動周期をずらすことで、ワークWは搬送面S上を搬送方向に移動する。ワークWを搬送面Sより上方に持ち上げる動作がないため、その分だけエネルギーロスを少なくすることができる。
【0035】
なお、上述した実施例では、運動変換機構30aと運動変換機構30bとが異なる運動を伝達するようにしたが、運動変換機構30aと運動変換機構30bとが同一の運動を伝達するようにしてもよい。例えば、運動変換機構30aと運動変換機構30bがともに搬送板を搬送方向に進退動させると共に上下方向に運動させるようにしてもよい。なお、本実施例のように、複数の運動変換機構の一つが搬送板を搬送方向に進退動させる機能を備えれば、搬送板ユニット18a〜18eが連結部40a〜40dによって一体化されているため、搬送板ユニット18a〜18eの全体に搬送方向への進退動を伝達することができる。このように搬送板を進退動させる機構を一つの運動変換機構にのみ設けることで、運動変換機構を簡略化できる。
また、上述した実施例では、搬送経路に対して直交する方向に3組の搬送板ユニットを並設して被搬送物を搬送したが、本発明はこのような例に限られない。例えば、1組の搬送板ユニットのみを配置してもよいし、2組以上の任意の数の搬送板ユニットを配置してもよい。すなわち、搬送板ユニットの数は被搬送物の種類に応じて適宜決定することができる。
また、上述した実施例では、搬送経路に対して直交する方向に並設した3組の搬送板ユニットのそれぞれによって被搬送物を搬送したが、本発明はこのような例に限られない。例えば、1組の搬送板ユニットを運動変換機構と連結する一方で、その搬送板ユニットには被搬送物を搬送する機能を実行させず、その搬送板ユニットと連結された他の搬送板ユニットによって被搬送物を搬送するようにしてもよい。
【0036】
(第2実施例) 次に、第2実施例の搬送装置100について説明する。第2実施例の搬送装置100は、搬送経路に曲線部が設けられている点で第1実施例と大きく異なり、その他の構成については第1実施例と略同一となっている。このため、以下の説明では、第1実施例と異なる点を中心に説明する。
【0037】
図11,12に示すように、搬送装置100は、直線状の第1縦フレーム80a,80bと、第1縦フレーム80a,80bの一端に取付けられる円弧状の第2縦フレーム82a,82bと、第2縦フレーム82a,82bの一端に取付けられる直線状の第3縦フレーム84a,84bを有している。縦フレーム80a,82a,84aと縦フレーム80b,82b,84bの間にワークWを搬送する搬送路(搬送経路)が形成されている。
【0038】
縦フレーム80a〜84aと縦フレーム80b〜84bの間には、搬送板ユニット88a〜88eが配置されている。各搬送板ユニット88a〜88eは、第1実施例の搬送板ユニットと同様に、3枚の搬送板(薄板)によって構成されている。搬送板ユニット88a,88bは、第1縦フレーム80a,80bの間に直線状に配置されている。搬送板ユニット88d,88eは、第3縦フレーム84a,84bの間に直線状に配置されている。搬送板ユニット88cは、第2縦フレーム84a,84bの間に円弧状に配置されている。すなわち、搬送板ユニット88cは、複数枚の搬送板(薄板)で構成され、水平方向に容易に弾性変形することができる。また、図11から明らかなように、搬送板ユニット88cの一端が連結部86cによって搬送板ユニット88a,88bに連結され、かつ、搬送板ユニット88cの他端が連結部86dによって搬送板ユニット88d,88eに連結される一方で、搬送板ユニット88cの中間部は水平方向の弾性変形が拘束されていない。これらのため、搬送板ユニット88cは、第2縦フレーム84a,84bの間の搬送経路に沿って容易に弾性変形でき、円弧状に配置されている。なお、各連結部86c,86dの構成は第1実施例と同様に構成される。
【0039】
また、搬送装置100は、搬送板ユニット88a〜88eを駆動する3つの運動変換機構90a,90b,90cを備えている。各運動変換機構90a,90b,90cの構成は、第1実施例と同様に構成される。運動変換機構90a,90bは搬送板ユニット88a,88bに連結されており、運動変換機構90cは搬送板ユニット88d,88eに連結されている。各運動変換機構90a,90b,90cには、回転軸92a,92b,92cによってモータ96の回転が伝達される。なお、回転軸92bと回転軸92cは、図13に示すように、これらの先端に取付けられたベベルギヤ98b,98cにより接続されている。
【0040】
第2実施例の搬送装置100も、第1実施例と同様にしてワークWを搬送する。すなわち、モータ96が回転すると、回転軸92a〜92cが回転する。回転軸92a〜92cが回転すると、運動変換機構90a,90b,90cが動作し、搬送板ユニット18a〜18eが運動する。これによって、搬送板ユニット18a〜18eの中の1つの搬送板群が送り運動をし、残りの搬送板群が戻り動作をする。その結果、搬送板ユニット18a〜18eの上面に載置されたワークは、送り動作をする搬送板群によって搬送方向に送られる。
【0041】
なお、上述したように、搬送板ユニット88cは、円弧状の搬送経路に沿って配置されている。このため、搬送板ユニット88cの各搬送板を送り動作又は戻り動作をする際に、その曲率が変化する部分がある。すなわち、図14に示すように、搬送板ユニット88cの各搬送板は、図14(a)の状態から図14(b)の状態となり、次いで、図14(b)の状態から図14(a)の状態に戻る。したがって、搬送板ユニット88cの各搬送板は、直線状から円弧状となり、円弧状から直線状となる部分を有する(図14のC,D点)。本実施例では、各搬送板が薄板であり、水平方向に容易に弾性変形することができるため、送り動作・戻り動作による曲率の変化を、搬送板の水平方向の弾性変形で吸収することができる。これによって、搬送板ユニット88cは、円弧状の搬送経路に沿って好適に送り動作及び戻り動作をすることができる。
【0042】
上述した説明から明らかなように、第2実施例の搬送装置100では、搬送板ユニット88cを複数の搬送板(薄板)で構成し、その両端を連結部86c,86dを介して直線状に配置された搬送板ユニット88a,88b,88c,88dで支持する構成としている。このため、搬送板ユニット88cを円弧状の搬送経路に沿って容易に配置することができ、また、搬送板ユニット88cの送り動作及び戻り動作による曲率の変化を、搬送板ユニット88cの水平方向の弾性変形で吸収することができる。これによって、搬送経路に曲線部が設けられても、ワークWを好適に搬送することができる。
【0043】
以上、本実施例の搬送装置10,100について説明したが、本発明はこのような実施例に限られない。例えば、運動変換機構には、本実施例以外の種々の機構を用いることができ、また、運動変換機構の数や配置については、搬送経路に応じて適宜変更することができる。また、本発明は、薄板を重ね合わせた搬送板ユニットを用いることで多様な搬送経路に対応できるため、搬送経路に曲線部や屈曲部が設けられた種々の搬送装置に好適に用いることができる。例えば、図15に示すようなパーツフィーダ110に適用することができる。パーツフィーダ110では、その一部が螺旋状に曲げられたフレーム112によって搬送経路が形成される。搬送経路内には、その一端が螺旋状に曲げられる一方でその他端が直線状となる搬送板ユニット114が配置される。また、搬送板ユニット114の螺旋状に曲げられた部位の内側には、搬送板ユニット116が配置される。搬送板ユニット114は、運動変換機構118と運動変換機構120a〜120cによって駆動され、搬送板ユニット116は運動変換機構120a〜120cによって駆動される。搬送板ユニット114,116が駆動されることで、搬送経路を一つずつ部品を搬送することができる。また、本発明は、カーブコンベアのような搬送装置にも適用することができる。
【0044】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0045】
10:搬送装置
12、96:モータ
14a,14b,14c,14d:横フレーム
16a,16b:縦フレーム
18a,18b,18c:搬送板ユニット
22a,22b,22c:連結部
30:運動変換機構
32:円筒カム
34a,34b,34c:カム溝
36a,36b,36c:従動部材
37a,37b,37c:従動ピン
38a,38b,38c:縦方向ガイド
39a,39b,39c:横方向ガイド
42,44,46:連結ピン
50a〜50c,60a〜60c,70a〜70c:搬送板
51〜56,61〜66,71〜76:貫通孔
80a,80b,82a,82b,84a,84b:縦フレーム
88a,88b,88c,88d,88e:搬送板ユニット
90a,90b,90c:駆動機構
92a,92b,92c:回転軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物を搬送する搬送装置に関する。特に、曲線部が設けられた搬送経路を有する搬送装置に好適に用いられる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
曲線部が設けられた搬送経路上で被搬送物を搬送する搬送装置が開発されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の搬送装置では、搬送経路に沿って無端状のチェーンを配置し、このチェーンに被搬送物を載置する受け皿が取付けられる。モータによりチェーンを駆動すると、チェーンは搬送経路に沿って回転する。これによって、受け皿上に載置された被搬送物が搬送経路上を移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−192661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の搬送装置では、無端状のチェーンを用いることで、曲線部が設けられた搬送経路に沿ってチェーンを配置でき、この搬送経路に沿って被搬送物を搬送することができる。しかしながら、無端状のチェーンを用いるため、このチェーンは搬送経路上の全ての領域を通過することとなる。このため、被搬送物の搬送形態によっては種々の問題が発生する。例えば、搬送経路上に被搬送物を洗浄する洗浄領域が設けられる場合、チェーンが洗浄領域を通過する毎に、洗浄液等がチェーン(及び受け皿)に付着する。チェーンに洗浄液等が付着した状態で新しい被搬送物(ワーク)を載置できない場合には、チェーンに付着した洗浄液を除去する作業が必要となる。
【0005】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、無端状のチェーンを用いることなく、搬送経路に曲線部が設けられた場合であっても、その搬送経路上で被搬送物を搬送することができる搬送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の搬送装置は、搬送経路に沿って配置されており、その上面に被搬送物が載置される複数の板部材と、複数の板部材を駆動する駆動機構と、を備えている。複数の板部材のそれぞれは、搬送経路上の少なくとも一部において水平方向に弾性変形可能に配置されている。駆動機構は、複数の板部材のそれぞれに対して、(1)当該板部材の上面が被搬送物の下面と接触した状態で、当該板部材を搬送方向に送る動作と、(2)当該板部材の上面が被搬送物の下面と非接触の状態で、当該板部材を搬送方向と反対の方向に戻す動作と、を繰り返し実行するようになっている。そして、駆動機構による各板部材を駆動する周期がずれており、複数の板部材の一部が上記(1)の送り動作を行う期間の少なくとも一部において、複数の板部材の他の一部が上記(2)の戻り動作を行うことを特徴とする。
【0007】
この搬送装置では、複数の板部材の一つが送り動作を行う際は、その板部材に載置されている被搬送物が搬送方向に送られる。一方、板部材が戻り動作を行う際は、その板部材と被搬送物とが非接触とされる一方で、他の一部の板部材に被搬送物が載置された状態となる。このため、被搬送物が搬送方向と逆方向に送られることはない。以下、板部材が送り動作と戻り動作を繰返すことによって、被搬送物を搬送方向に搬送することができる。したがって、各板部材は限られた領域で送り動作と戻り動作を行えばよいため、板部材の各部位が搬送経路上の全ての領域を通過する必要はない。
また、複数の板部材のそれぞれは、搬送経路上の少なくとも一部において水平方向に弾性変形可能に配置されている。このため、搬送経路に曲線部が設けられた場合には、その曲線部において板部材を水平方向に弾性変形させることで、曲線状の搬送経路に沿って板部材を配置できると共に、板部材を曲線部に沿って送り動作及び戻り動作を行うことができる。その結果、曲線部が設けられた搬送経路であっても、その搬送経路に沿って被搬送物を搬送することができる。
【0008】
上記の搬送装置においては、駆動機構は、複数の板部材のそれぞれに対して、板部材を搬送方向に進退動させると共に上下方向に移動させる第1駆動ユニットと、板部材を少なくとも上下方向に移動させる第2駆動ユニットを有することができる。この場合に、第1駆動ユニットと第2駆動ユニットとが、搬送方向に間隔を空けて配置されていることが好ましい。このように構成することで、板部材に円滑な送り動作と戻り動作を行わせることができる。
【0009】
上記の搬送装置は、搬送経路に曲線部が設けられている場合に好適に用いることができる。この場合に、複数の板材は、曲線部の形状に合わせて配置されると共に、搬送経路の曲率が変化する部分において、前記(1)の送り動作及び前記(2)の戻り動作をする際に水平方向に弾性変形して曲線部の形状に沿うことが好ましい。このように構成することで、板部材に搬送経路に沿った送り動作及び戻り動作を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施例に係る搬送装置の平面図。
【図2】図1に示す搬送装置の正面図。
【図3】駆動機構の正面図。
【図4】図3のIV−IV線断面図。
【図5】図「3のV−V線断面図。
【図6】駆動機構の平面図。
【図7】搬送板の正面図。
【図8】搬送板群を連結する連結構造を拡大して示す図。
【図9】図8の連結構造を搬送板50cの表面で切断した断面を示す図。
【図10】搬送板の動作を模式的に示す図。
【図11】第2実施例の搬送装置の平面図。
【図12】第2実施例の搬送装置の正面図。
【図13】駆動軸を連結する歯車機構を示す図。
【図14】曲線部における搬送板の動作を模式的に示す図。
【図15】本願発明をパーツフィーダに適用した一実施例の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施例) 本発明の第1実施例に係る搬送装置について説明する。まず、搬送装置10の全体の構成について、図1,2を参照して説明する。図1,2に示すように、搬送装置10は、横フレーム14a〜14dと、縦フレーム16a,16bと、その縦フレーム16a,16bの間に配置された搬送板ユニット18a〜18eと、その搬送板ユニット18a〜18eを駆動する駆動機構(モータ12,運動変換機構30a,30b等)から構成される。
【0012】
縦フレーム16a,16bは、搬送方向に伸びる長方形状の板材であり、互いに間隔を空けて配置されている。縦フレーム16a,16bの間は被搬送物を搬送する搬送路となり、被搬送物は縦フレーム16a,16bの一端側(横フレーム14a側)から他端側(横フレーム14d側)に送られる。すなわち、第1実施例では搬送経路が直線状となる。
【0013】
横フレーム14a〜14dは、縦フレーム16a,16bの下面に固定され、搬送方向に間隔を空けて配置されている。横フレーム14aは縦フレーム16a,16bの一端(搬送開始端)に配置され、横フレーム14dは縦フレーム16a,16bの他端(搬送終了端)に配置され、横フレーム14b,14cは搬送開始端と搬送終了端の間に配置されている。横フレーム14a〜14dには、後述する回転軸20b,20dを回転可能に支持する軸受(図示しない)が設けられている。
【0014】
搬送板ユニット18a〜18eは、後で詳述するように3枚の薄板から構成されており、搬送経路に沿って配置されている。搬送板ユニット18a〜18eの上面は、ワークWを載置する載置面となる。この載置面は、縦フレーム16a,16bの上面よりも低い位置に設定される。このため、搬送板ユニット18a〜18eの上面にワークWを載置すると、ワークWの側面が縦フレーム16a,16bの内側面に接触する。その結果、ワークWは、縦フレーム16a,16bに案内されながら搬送経路を搬送されることとなる。
【0015】
搬送板ユニット18a,18cは縦フレーム16a,16bの搬送開始端側に配置され、搬送板ユニット18d,18eは縦フレーム16a,16bの搬送終了端側に配置されている。搬送板ユニット18bは、搬送板ユニット18a,18c及び18d,18eの間に配置され、縦フレーム16a,16bの搬送開始端近傍から搬送終了端近傍まで伸びている。搬送板ユニット18a,18b,18cは連結部40a,40bによって連結され、搬送板ユニット18b,18d,18eは連結部40c,40dによって連結されている。これによって、搬送板ユニット18a〜18eは一体となっている。
なお、本実施例では、搬送開始端側に搬送板ユニット18a,18cを配し、搬送終了端側に搬送板18d,18eを配置したが、これらを一体としてもよい。すなわち、搬送板ユニット18a,18dを一体とし、搬送板ユニット18c,18eを一体としてもよい。また、搬送板ユニット18b,18d,18eの間には、搬送方向に垂直な方向に比較的広めの間隔を設けたが、このような間隔を設けなくてもよい。
【0016】
モータ12は、縦フレーム16a,16bの搬送開始端よりも上流側に配置されている。モータ12の出力軸20aは、連結部22aによって回転軸20bの一端と連結されている。回転軸20bの他端は連結部22bによって回転軸20cの一端に接続され、回転軸20cの他端は連結部22cによって回転軸20dの一端に接続されている。このため、モータ12が回転すると、出力軸20a及び回転軸20b,20c,20dが同一の回転方向に同一の回転速度で回転する。回転軸20bの両端は横フレーム14a,14bの軸受によって回転可能に支持され、回転軸20dの両端は横フレーム14c,14dの軸受によって回転可能に支持されている。なお、上述の説明から明らかなように、モータ12の回転を回転軸20b〜20dに伝達できればよいため、モータ12を配置する位置は搬送開始端側に限られず、搬送終了端側に設けることもできるし、搬送経路の途中に配置することもできる。
【0017】
運動変換機構30a,30bは、モータ12の回転を搬送板ユニット18a〜18eの運動に変換する。運動変換機構30aは、横フレーム14a,14bの間に配置され、搬送板ユニット18a,18b,18cに連結されている。運動変換機構30aは、回転軸20bの回転を搬送板ユニット18a,18b,18cの運動に変換する。また、運動変換機構30bは、横フレーム14c,14dの間に配置され、搬送板ユニット18b,18d,18eに連結されている。運動変換機構30bは、回転軸20dの回転を搬送板ユニット18b,18d,18eの運動に変換する。運動変換機構30a,30bの構成については、後で詳述する。
【0018】
次に、図7〜9を参照して、搬送板ユニット18a〜18eと、搬送板ユニット18a〜18eを連結する連結部40a〜40dについて説明する。なお、搬送板ユニット18a〜18eのそれぞれは同一の構成を有しており、また、搬送板ユニット18a〜18eを連結する連結部40a〜40dも同一の構成を有している。このため、搬送板ユニット18a〜18cと、この搬送板ユニット18a〜18cを連結する連結部40aの構成について詳細に説明する。
【0019】
図8に示すように、搬送板ユニット18a,18b,18cのそれぞれは、3枚の搬送板50a〜70a,50b〜70b,50c〜70cによって構成されている。各搬送板50a〜70cは、搬送方向を長手方向とし、上下方向を短手方向とする薄板である。搬送板50a〜70cのそれぞれは、水平方向(すなわち、搬送板の長手方向に伸びる側面に対して垂直な方向)の厚みが薄い薄板である。このため、各搬送板50a〜70cは水平方向に容易に弾性変形可能であり、また、搬送板ユニット18a,18b,18cも全体として水平方向に容易に弾性変形可能となっている。
【0020】
上記の搬送板ユニット18a,18b,18cでは、搬送板ユニット18aの搬送板50aと、搬送板ユニット18bの搬送板50bと、搬送板ユニット18cの搬送板50cが連結ピン42で連結されている。同様に、搬送板60a,60b,60cが連結ピン44で連結され、搬送板70a,70b,70cが連結ピン46で連結されている。このため、搬送板群50a〜50cは一体となって運動し、搬送板群60a〜60cは一体となって運動し、搬送板群70a〜70cは一体となって運動する。
【0021】
ここで、搬送板群50a〜50cと搬送板群60a〜60cと搬送板群70a〜70cのそれぞれが独立して運動できるように、搬送板群50a〜50cは連結ピン44,46に対して干渉されず、搬送板群60a〜60cは連結ピン42,46に対して干渉されず、搬送板群70a〜70cは連結ピン42,44に対して干渉されないようになっている。すなわち、図7(a),図9に示すように、搬送板50a〜50cのそれぞれには、連結ピン42が嵌合(固定)する貫通孔51が形成され、また、連結ピン44,46が貫通する貫通孔52,53が形成されている。貫通孔52,53は、搬送板群の間の相対運動が拘束されない程度に大きな貫通孔とされている。同様に、図7(b)に示すように、搬送板60a〜60cには、連結ピン44が嵌合(固定)する貫通孔62と、連結ピン42,46が貫通する貫通孔61,63が形成される。また、図7(c)に示すように、搬送板70a〜70cには、連結ピン46が嵌合(固定)する貫通孔73と、連結ピン42,44が貫通する貫通孔71,72が形成される。
【0022】
なお、搬送板ユニット18d,18eは、上記の搬送板ユニット18a〜18cと同様に構成され、連結部40b〜40dも連結部40aと同様に構成されている。
【0023】
次に、図3〜6を参照して、運動変換機構30a,30bについて説明する。なお、運動変換機構30a,30bは同一の構成を有しているため、ここでは、運動変換機構30aについて詳細に説明する。
【0024】
図3,6に示すように、運動変換機構30aは、搬送板ユニット18a〜18cの搬送板群50a〜50c,60a〜60c,70a〜70cに運動を伝達する機構(34a〜c,36a〜c,37a〜c等)を備えている。各搬送板群50a〜50c,60a〜60c,70a〜70cに運動を伝達する機構は同一であるため、ここでは、搬送板群70a〜70cに運動を伝達する伝達機構を詳細に説明する。
【0025】
搬送板70a〜70cに運動を伝達する運動伝達機構は、円筒カム32と、円筒カム32に案内されるローラ33a〜33c,35a〜35cを備える接触子36cと、接触子36cに固定される従動ピン37cによって構成される。
円筒カム32は回転軸20bに形成される。このため、回転軸20bが回転すると、円筒カム32も回転する。円筒カム32には、カム溝34cが形成されている。カム溝34cは、搬送板群70a〜70cに搬送方向の運動を伝達するための溝である。図3,5に示すように、接触子36cの第2ローラ35cがカム溝34cの側面に案内されることで、接触子36cが搬送方向に運動する。なお、カム溝34a,34b,34cは、同一の運動曲線を有しているが、その周期は120度ずつずれている。
また、円筒カム32のカム溝34cの近傍には、搬送板群70a〜70cに上下方向の運動を伝達するためのカム面が形成されている。このカム面に接触子36cの第1ローラ33cが案内されることで、接触子36cが上下方向に運動する。図4に示すように、このカム面は、中心角A〜B(中心角(120+α)°(αは適宜決定される。本実施例では、α=30°))の間の半径と、中心角C〜Dの間の半径は一定とされ、また、中心角A〜B間の半径は中心角C〜D間の半径より大きくされている。中心角A〜B間を第2ローラ33cが案内される際は、搬送板群70a〜70cは上下方向に運動することなく搬送方向に運動して、被搬送物を搬送する。一方、中心角B〜C,C〜D,D〜A間を第2ローラ33cが案内される際は、搬送板群70a〜70cは搬送方向に対して逆方向に運動し、被搬送物の搬送に寄与しない。なお、このようなカム面によって伝達される各搬送板群50a〜50c,60a〜60c,70a〜70cの上下方向の運動は、カム溝34a,34b,34cによる搬送方向の運動と同期しており、その周期は120度ずつずれている。
【0026】
接触子36cは、上記した円筒カム32に案内されて、ワークWを搬送する方向に進退動すると共に上下方向に運動する。接触子36cは、縦方向ガイド38cにより上下方向に案内される。縦方向ガイド38cは、横方向ガイド39cにより横方向(搬送方向)に案内される。縦方向ガイド38cは、縦フレーム16aの外側面に固定されている。このため、接触子36cは、縦フレーム16aに固定された横方向ガイド39c及び縦方向ガイド38cに案内されることで、縦フレーム16aに対して、安定した運動が可能となっている。
【0027】
従動ピン37cは、接触子36aの上端に固定されている。従動ピン37cは、縦フレーム16aに形成された貫通孔17cを貫通している。貫通孔17cは、縦フレーム16aが従動ピン37cの運動を干渉しないように、従動ピン37cに対して大きな断面積を有している。従動ピン37cの一端は、搬送板70a〜70cに固定されている。すなわち、図7に示すように、搬送板70a〜70cには、従動ピン37cが嵌合する貫通孔76が形成され、この貫通孔76に従動ピン37cが固定されている。なお、搬送板70a〜70cには、従動ピン37a,37bが貫通する貫通孔74,75が形成されている。貫通孔74,75は、従動ピン37a,37bの運動が伝達されないように、従動ピン37a,37bに対して大きな断面積を有している。
【0028】
なお、搬送板群50a〜50cに運動を伝達する機構と、搬送板群60a〜60cに運動を伝達する機構は、上述した搬送板群70a〜70cに運動を伝達する機構と同様に構成されている。これらの運動伝達機構は、搬送方向に間隔を空けて配置されることで、これらの運動伝達機構のカム溝34a,34b,34c及びカム面(上下方向の運動を伝達するカム面)が同一の円筒カム32に形成されている。このため、これらの運動を容易に同期させることができる。
【0029】
運動変換機構30bは、運動変換機構30aとほぼ同様に構成され、搬送板ユニット18d,b,eの一端(搬送終了端)を駆動する。ただし、運動変換機構30bでは、運動変換機構30aと異なり、搬送板ユニット18d,b,eを上下方向にのみ駆動し、搬送方向には駆動しない点でのみ異なる。なお、運動変換機構30bの円筒カムが形成される回転軸20dは、回転軸20c,20bを介してモータ12の出力軸20aに連結されている。このため、運動変換機構30aと運動変換機構30bは同期して運動する。搬送板ユニット18a〜18eは、その両端を運動変換機構30a、30bによって駆動されることで、安定した運動を行うことができる。
【0030】
ここで、運動変換機構30aと運動変換機構30bによって、搬送板ユニット18a〜18eに伝達される運動について説明しておく。なお、搬送板ユニット18a〜18eのうち第1の搬送板群(搬送板50a〜50c等)に伝達される運動と、第2の搬送板群(搬送板60a〜60c等)に伝達される運動と、第3の搬送板群(搬送板70a〜70c等)に伝達される運動は、その運動周期が異なるだけで同一の運動を行う。このため、ここでは、これらを区別することなく各搬送板50,60,70の運動について説明する。
【0031】
図10に示すように、各搬送板50,60,70は、その上面が搬送面Sと一致する位置で搬送方向に移動する送り運動(図10(a)→図10(b)の運動(図4のA〜Bの区間))と、その上面が搬送面Sから下方となるように移動し(図4のB〜Cの区間)、次いで、その位置で搬送方向とは反対の方向に移動し(図4のC〜Dの区間)、最後に、その上面が搬送面Sと一致する位置まで上昇する運動(図4のD〜Aの区間)からなる戻り運動(図10(b)→(c)→(a))を行う。各搬送板50,60,70が送り運動をする際は、各搬送板50,60,70の上面はワークWの下面と接触し、ワークWを搬送方向に搬送する。各搬送板50,60,70が戻り運動をする際は、各搬送板50,60,70の上面とワークWの下面とが非接触となり、ワークWの搬送に影響を与えることはない。
【0032】
上述したように、第1の搬送板群(搬送板50a〜50c)に伝達される運動と、第2の搬送板群(搬送板60a〜60c)に伝達される運動と、第3の搬送板群(搬送板70a〜70c)に伝達される運動は、周期が120度ずつずれている。そして、第1の搬送板群と第2の搬送板群と第3の搬送板群の一つが送り運動をする際には、他の2つが戻り運動するように設定されている。すなわち、3つの搬送板群のそれぞれは、原則、中心角120°分ずつ搬送運動を分担し、これによって、ワークWを搬送方向に連続して送ることができる。ただし、既に説明したように、円筒カム32のカム面の区間A〜Bの中心角が(120+α)°となっているため(図4参照)、中心角αの分だけ各搬送板群の搬送方向の運動がオーバーラップする。なお、カム溝34a,34b,34cの運動曲線を調整することで、ワークWを搬送方向に等速で送ることもできる。
【0033】
上述した搬送装置10の動作について説明する。搬送装置10によりワークWを搬送するには、搬送開始端側より搬送板ユニット18a〜18eの上面にワークWを載置し、モータ12を回転させる。モータ12が回転すると、出力軸20a及び回転軸20b〜20dが回転する。これによって、運動変換機構30a,30bが動作を開始し、搬送板ユニット18a〜18eが運動を開始する。すなわち、第1の搬送板群(50a〜50c等)と第2の搬送板群(60a〜60c等)と第3の搬送板群(70a〜70c等)のいずれか1つが送り運動をし、残りの2つが戻り運動をする。搬送板ユニット18a〜18eの上面のワークは、送り動作をする1つの搬送板群によって搬送方向に送られる。戻り動作を行っていた搬送板群が戻り動作を完了すると(図9(a)の状態)、送り動作を行っていた搬送板群が送り動作を完了する。次いで、戻り動作を完了した搬送板群が送り動作を開始し、送り動作を完了した搬送板群は戻り動作を開始する。これにより、搬送板ユニット18a〜18e上のワークは、搬送方向(搬送終了端)に向かって連続して送られる。
【0034】
上述した説明から明らかなように、本実施例の搬送装置10では、3枚の搬送板(薄板)からなる搬送板ユニット18a〜18eを搬送経路に沿って配置し、搬送板ユニット18a〜18eの各搬送板に送り動作及び戻り動作を繰返し実行させることで、ワークWを搬送方向に搬送する。このため、各搬送板は、搬送経路上の一部の領域を搬送方向に進退動するだけでよい。したがって、搬送経路上にワークWを洗浄する洗浄領域が設けられていても、搬送板ユニット18a〜18eの全体に洗浄液が付着することはなく、洗浄領域を進退動する部分にのみ洗浄液が付着する。このため、新たに投入されるワークのためだけに、搬送板ユニット18a〜18eから洗浄液を除去する作業を行う必要はない。
また、搬送板ユニット18a〜18eの3つの搬送板群(50a〜50c等),(60a〜60c等),(70a〜70c等)の運動周期をずらすことで、ワークWは搬送面S上を搬送方向に移動する。ワークWを搬送面Sより上方に持ち上げる動作がないため、その分だけエネルギーロスを少なくすることができる。
【0035】
なお、上述した実施例では、運動変換機構30aと運動変換機構30bとが異なる運動を伝達するようにしたが、運動変換機構30aと運動変換機構30bとが同一の運動を伝達するようにしてもよい。例えば、運動変換機構30aと運動変換機構30bがともに搬送板を搬送方向に進退動させると共に上下方向に運動させるようにしてもよい。なお、本実施例のように、複数の運動変換機構の一つが搬送板を搬送方向に進退動させる機能を備えれば、搬送板ユニット18a〜18eが連結部40a〜40dによって一体化されているため、搬送板ユニット18a〜18eの全体に搬送方向への進退動を伝達することができる。このように搬送板を進退動させる機構を一つの運動変換機構にのみ設けることで、運動変換機構を簡略化できる。
また、上述した実施例では、搬送経路に対して直交する方向に3組の搬送板ユニットを並設して被搬送物を搬送したが、本発明はこのような例に限られない。例えば、1組の搬送板ユニットのみを配置してもよいし、2組以上の任意の数の搬送板ユニットを配置してもよい。すなわち、搬送板ユニットの数は被搬送物の種類に応じて適宜決定することができる。
また、上述した実施例では、搬送経路に対して直交する方向に並設した3組の搬送板ユニットのそれぞれによって被搬送物を搬送したが、本発明はこのような例に限られない。例えば、1組の搬送板ユニットを運動変換機構と連結する一方で、その搬送板ユニットには被搬送物を搬送する機能を実行させず、その搬送板ユニットと連結された他の搬送板ユニットによって被搬送物を搬送するようにしてもよい。
【0036】
(第2実施例) 次に、第2実施例の搬送装置100について説明する。第2実施例の搬送装置100は、搬送経路に曲線部が設けられている点で第1実施例と大きく異なり、その他の構成については第1実施例と略同一となっている。このため、以下の説明では、第1実施例と異なる点を中心に説明する。
【0037】
図11,12に示すように、搬送装置100は、直線状の第1縦フレーム80a,80bと、第1縦フレーム80a,80bの一端に取付けられる円弧状の第2縦フレーム82a,82bと、第2縦フレーム82a,82bの一端に取付けられる直線状の第3縦フレーム84a,84bを有している。縦フレーム80a,82a,84aと縦フレーム80b,82b,84bの間にワークWを搬送する搬送路(搬送経路)が形成されている。
【0038】
縦フレーム80a〜84aと縦フレーム80b〜84bの間には、搬送板ユニット88a〜88eが配置されている。各搬送板ユニット88a〜88eは、第1実施例の搬送板ユニットと同様に、3枚の搬送板(薄板)によって構成されている。搬送板ユニット88a,88bは、第1縦フレーム80a,80bの間に直線状に配置されている。搬送板ユニット88d,88eは、第3縦フレーム84a,84bの間に直線状に配置されている。搬送板ユニット88cは、第2縦フレーム84a,84bの間に円弧状に配置されている。すなわち、搬送板ユニット88cは、複数枚の搬送板(薄板)で構成され、水平方向に容易に弾性変形することができる。また、図11から明らかなように、搬送板ユニット88cの一端が連結部86cによって搬送板ユニット88a,88bに連結され、かつ、搬送板ユニット88cの他端が連結部86dによって搬送板ユニット88d,88eに連結される一方で、搬送板ユニット88cの中間部は水平方向の弾性変形が拘束されていない。これらのため、搬送板ユニット88cは、第2縦フレーム84a,84bの間の搬送経路に沿って容易に弾性変形でき、円弧状に配置されている。なお、各連結部86c,86dの構成は第1実施例と同様に構成される。
【0039】
また、搬送装置100は、搬送板ユニット88a〜88eを駆動する3つの運動変換機構90a,90b,90cを備えている。各運動変換機構90a,90b,90cの構成は、第1実施例と同様に構成される。運動変換機構90a,90bは搬送板ユニット88a,88bに連結されており、運動変換機構90cは搬送板ユニット88d,88eに連結されている。各運動変換機構90a,90b,90cには、回転軸92a,92b,92cによってモータ96の回転が伝達される。なお、回転軸92bと回転軸92cは、図13に示すように、これらの先端に取付けられたベベルギヤ98b,98cにより接続されている。
【0040】
第2実施例の搬送装置100も、第1実施例と同様にしてワークWを搬送する。すなわち、モータ96が回転すると、回転軸92a〜92cが回転する。回転軸92a〜92cが回転すると、運動変換機構90a,90b,90cが動作し、搬送板ユニット18a〜18eが運動する。これによって、搬送板ユニット18a〜18eの中の1つの搬送板群が送り運動をし、残りの搬送板群が戻り動作をする。その結果、搬送板ユニット18a〜18eの上面に載置されたワークは、送り動作をする搬送板群によって搬送方向に送られる。
【0041】
なお、上述したように、搬送板ユニット88cは、円弧状の搬送経路に沿って配置されている。このため、搬送板ユニット88cの各搬送板を送り動作又は戻り動作をする際に、その曲率が変化する部分がある。すなわち、図14に示すように、搬送板ユニット88cの各搬送板は、図14(a)の状態から図14(b)の状態となり、次いで、図14(b)の状態から図14(a)の状態に戻る。したがって、搬送板ユニット88cの各搬送板は、直線状から円弧状となり、円弧状から直線状となる部分を有する(図14のC,D点)。本実施例では、各搬送板が薄板であり、水平方向に容易に弾性変形することができるため、送り動作・戻り動作による曲率の変化を、搬送板の水平方向の弾性変形で吸収することができる。これによって、搬送板ユニット88cは、円弧状の搬送経路に沿って好適に送り動作及び戻り動作をすることができる。
【0042】
上述した説明から明らかなように、第2実施例の搬送装置100では、搬送板ユニット88cを複数の搬送板(薄板)で構成し、その両端を連結部86c,86dを介して直線状に配置された搬送板ユニット88a,88b,88c,88dで支持する構成としている。このため、搬送板ユニット88cを円弧状の搬送経路に沿って容易に配置することができ、また、搬送板ユニット88cの送り動作及び戻り動作による曲率の変化を、搬送板ユニット88cの水平方向の弾性変形で吸収することができる。これによって、搬送経路に曲線部が設けられても、ワークWを好適に搬送することができる。
【0043】
以上、本実施例の搬送装置10,100について説明したが、本発明はこのような実施例に限られない。例えば、運動変換機構には、本実施例以外の種々の機構を用いることができ、また、運動変換機構の数や配置については、搬送経路に応じて適宜変更することができる。また、本発明は、薄板を重ね合わせた搬送板ユニットを用いることで多様な搬送経路に対応できるため、搬送経路に曲線部や屈曲部が設けられた種々の搬送装置に好適に用いることができる。例えば、図15に示すようなパーツフィーダ110に適用することができる。パーツフィーダ110では、その一部が螺旋状に曲げられたフレーム112によって搬送経路が形成される。搬送経路内には、その一端が螺旋状に曲げられる一方でその他端が直線状となる搬送板ユニット114が配置される。また、搬送板ユニット114の螺旋状に曲げられた部位の内側には、搬送板ユニット116が配置される。搬送板ユニット114は、運動変換機構118と運動変換機構120a〜120cによって駆動され、搬送板ユニット116は運動変換機構120a〜120cによって駆動される。搬送板ユニット114,116が駆動されることで、搬送経路を一つずつ部品を搬送することができる。また、本発明は、カーブコンベアのような搬送装置にも適用することができる。
【0044】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0045】
10:搬送装置
12、96:モータ
14a,14b,14c,14d:横フレーム
16a,16b:縦フレーム
18a,18b,18c:搬送板ユニット
22a,22b,22c:連結部
30:運動変換機構
32:円筒カム
34a,34b,34c:カム溝
36a,36b,36c:従動部材
37a,37b,37c:従動ピン
38a,38b,38c:縦方向ガイド
39a,39b,39c:横方向ガイド
42,44,46:連結ピン
50a〜50c,60a〜60c,70a〜70c:搬送板
51〜56,61〜66,71〜76:貫通孔
80a,80b,82a,82b,84a,84b:縦フレーム
88a,88b,88c,88d,88e:搬送板ユニット
90a,90b,90c:駆動機構
92a,92b,92c:回転軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って配置されており、その上面に被搬送物が載置される複数の板部材と、
複数の板部材を駆動する駆動機構と、を備えており、
複数の板部材のそれぞれは、搬送経路上の少なくとも一部において水平方向に弾性変形可能に配置されており、
駆動機構は、複数の板部材のそれぞれに対して、(1)当該板部材の上面が被搬送物の下面と接触した状態で、当該板部材を搬送方向に送る動作と、(2)当該板部材の上面が被搬送物の下面と非接触の状態で、当該板部材を搬送方向と反対の方向に戻す動作と、を繰り返し実行するようになっており、
駆動機構による各板部材を駆動する周期がずれており、複数の板部材の一部が上記(1)の送り動作を行う期間の少なくとも一部において、複数の板部材の他の一部が上記(2)の戻り動作を行うことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
駆動機構は、複数の板部材のそれぞれに対して、板部材を搬送方向に進退動させると共に上下方向に移動させる第1駆動ユニットと、板部材を少なくとも上下方向に移動させる第2駆動ユニットと、を有しており、
第1駆動ユニットと第2駆動ユニットとが、搬送方向に間隔を空けて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
搬送経路に曲線部が設けられている請求項1又は2に記載の搬送装置において、
前記複数の板材は、曲線部の形状に合わせて配置されると共に、搬送経路の曲率が変化する部分において、前記(1)の送り動作及び前記(2)の戻り動作をする際に水平方向に弾性変形して曲線部の形状に沿うことを特徴とする搬送装置。
【請求項1】
搬送経路に沿って配置されており、その上面に被搬送物が載置される複数の板部材と、
複数の板部材を駆動する駆動機構と、を備えており、
複数の板部材のそれぞれは、搬送経路上の少なくとも一部において水平方向に弾性変形可能に配置されており、
駆動機構は、複数の板部材のそれぞれに対して、(1)当該板部材の上面が被搬送物の下面と接触した状態で、当該板部材を搬送方向に送る動作と、(2)当該板部材の上面が被搬送物の下面と非接触の状態で、当該板部材を搬送方向と反対の方向に戻す動作と、を繰り返し実行するようになっており、
駆動機構による各板部材を駆動する周期がずれており、複数の板部材の一部が上記(1)の送り動作を行う期間の少なくとも一部において、複数の板部材の他の一部が上記(2)の戻り動作を行うことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
駆動機構は、複数の板部材のそれぞれに対して、板部材を搬送方向に進退動させると共に上下方向に移動させる第1駆動ユニットと、板部材を少なくとも上下方向に移動させる第2駆動ユニットと、を有しており、
第1駆動ユニットと第2駆動ユニットとが、搬送方向に間隔を空けて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
搬送経路に曲線部が設けられている請求項1又は2に記載の搬送装置において、
前記複数の板材は、曲線部の形状に合わせて配置されると共に、搬送経路の曲率が変化する部分において、前記(1)の送り動作及び前記(2)の戻り動作をする際に水平方向に弾性変形して曲線部の形状に沿うことを特徴とする搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−26090(P2011−26090A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175715(P2009−175715)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(596026039)有限会社西岡設計事務所 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(596026039)有限会社西岡設計事務所 (3)
【Fターム(参考)】
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