説明

搬送車システム

【課題】搬送車を、ステーションに対し正確に停止させる。
【解決手段】荷台8がステーション4の中央部に存在しない場合、一方のプッシャーがステーション4に先に当接するので、その反力により荷台8は左右方向にスライドする。そして一対のプッシャー20,20が共にステーション4に当接すると、スプロケット14,15は回転しなくなり、これをロータリエンコーダなどで検出する。次にモータを僅かに逆転させて、プッシャー20とステーション4との当接を解除し、モータを停止させロックする。この時、荷台8はステーション4の中央部に位置決めされており、パンタグラフを用いて荷台8を上昇させると、ロールを荷台8に対して、センタリングした状態で位置決めできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無人搬送車やスタッカークレーン、有軌道台車などの、搬送車のシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
無人搬送車などの搬送車により、ステーションとの間で物品を移載するには、搬送車をステーションに対し正確に停止させる必要がある(特許文献1)。しかしながら搬送車を通常の走行方向とは直角に横行させるような場合、搬送車の停止精度が低くなる。そこでこのような場合、搬送車の停止位置の精度が低くても、ステーションに対し正確な位置決めができるようにする必要がある。
【特許文献1】特開平8−161044
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明の課題は、搬送車の荷台をステーションに対して正確に位置決めすることにある。
請求項2の発明での追加の課題は、走行中に荷台を搬送車の台車に対してセンタリングすることにある。
請求項3の発明での追加の課題は、簡単な機構で荷台を位置決めすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の搬送車システムは、ステーションと搬送車の荷台との間で物品を移載する、搬送車システムにおいて、
前記搬送車に、水平面内でかつ荷台の位置決め方向に沿って、搬送車の台車に対してスライド自在に前記荷台を支持するスライド部と、前記位置決め方向に沿って前記荷台の両端部に設けた少なくとも一対のプッシャーと、前記少なくとも一対のプッシャーを前記位置決め方向に沿って互いに逆向きに進退させる駆動部とを設けると共に、
前記ステーションに、前記少なくとも一対のプッシャーと当接する少なくとも一対の当接部を設けたことを特徴とする。
【0005】
好ましくは、前記台車に、前記少なくとも一対のプッシャーと当接する位置決め部を設ける。
また好ましくは、前記駆動部を、エンドレスの巻き掛け伝動部材と、該伝動部材を駆動する少なくとも一対のスプロケットまたは歯車と、モータとで構成し、前記伝動部材に前記少なくとも一対のプッシャーを取り付ける。
【発明の効果】
【0006】
この発明では、搬送車の荷台に設けた少なくとも一対のプッシャーを、ステーションに設けた少なくとも一対の当接部に当接させる。一対のプッシャーのうち一方が当接部に先に接触すると、その反力で荷台は搬送車の台車に対してスライドし、荷台は一対のプッシャーが共にステーションの当接部に当接する位置で停止する。このため荷台をステーションに対して正確に位置決めできる。
【0007】
台車に位置決め部を設けて、少なくとも一対のプッシャーと当接させると、荷台を台車に対して位置決めできる。このため走行時などに、荷台を台車に対しセンタリングできる。
またプッシャーの駆動部を、チェーンやベルトなどのエンドレスの巻き掛け伝動部材と、モータと、スプロケットや歯車で構成し、プッシャーを伝導部材に取り付けると、簡単にプッシャーを進退動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。
【実施例】
【0009】
図1〜図5に、実施例とその変形とを示す。各図において、2は無人搬送車で、有軌道台車などでもよく、4は地上側に固定のステーションで、V字溝などを備えた載置部5を設けてある。6は無人搬送車2の本体部である台車で、8はその荷台である。台車6の上面の例えば4箇所にリニアガイド10を設け、荷台8側に設けたガイドレール12との間でスライドさせる。なおリニアガイド10などの個数は任意で、またリニアガイド10を荷台8側に、ガイドレール12を台車6側に設けても良い。
【0010】
荷台8のカバーの下部に、左右一対のスプロケット14,15を設け、エンドレスにチェーン16を巻き掛ける。なおこの明細書において、左右は荷台8の位置決めを行う方向で、無人搬送車2の走行方向でもある。チェーン16に一対の移動子18,19を固定し、チェーン16が駆動されると、移動子18,19は左右逆方向に進退する。そして移動子18,19にそれぞれプッシャー20を取り付け、ステーション4の左右の部分からなる当接面に当接させる。21は位置決め部で、台車6に対して荷台8を位置決めする部材で、台車6から上向きに孔22を介して荷台8内に配置する。24はパンタグラフで、台車6に対して荷台8を昇降させるリフターの例で、26は荷受けである。28は走行車輪で、ステーション4に対して無人搬送車2は走行方向を90°変えて横行して、ステーション4内に進入する。このためステーション4に対する無人搬送車2の停止位置の精度は低い。30は移載物品としてのロールで、鋼材などから成り、心棒31の周囲に巻き取られ、ステーション4の載置部5と荷受け26との間で移載される。
【0011】
実施例の動作を説明する。無人搬送車2はステーション4に対し横行して入り込むので、停止位置の精度は低い。ここで停止位置の精度が低いまま、ロール30を載置部5から荷積みすると、次のステーションへ荷下ろしする際には、ロール30の位置は無人搬送車2の停止位置の誤差の約2倍ばらつくことになる。このような搬送を繰り返すと、ロール30が載置部5から落下したり、荷受け26に正しく荷受けできなかったりすることがある。
【0012】
図3に、走行中の荷台8の状況を示す。プッシャー20は無人搬送車2上に引き込まれ、移動子18,19は位置決め部21に当接する位置にあり、スプロケット14,15はロックされている。なおスプロケット14,15は図示しないモータで動作し、モータと一体のブレーキによりロックできる。荷台8を台車6に対してセンタリングする際には、一対の移動子18,19が共に位置決め部21に当接するまで、スプロケット14,15を駆動する。荷台8が台車6に対してセンタリングされていないと、一対の移動子18,19のうち、一方が先に位置決め部21に当接する。
【0013】
荷台8はガイドレール12とリニアガイド10とにより、台車6に対し左右方向にスライド自在である。このため一方の移動子が先に当接すると、当接によって移動子が位置決め部21から受ける反力により荷台8がスライドし、一対の移動子18,19が共に位置決め部21に当接するまでスライドする。一対の移動子18,19が共に位置決め部21に当接すると、スプロケット14,15は回転しない。このことをロータリエンコーダなどで検出し、モータあるいはブレーキをロックする。以上によって、荷台8は台車6に対してセンタリングされる。
【0014】
図4に、ステーション4への荷台8の位置決めを示す。無人搬送車2がステーション4の内部に横行して進入し、目的の距離だけ進入すると停止する。ここでリフターとしてのパンタグラフ24を動作させる前に、スプロケット14,15を駆動し、移動子18,19を左右方向逆向きに駆動する。荷台8がステーション4の中央部に存在しない場合、一方のプッシャーがステーション4に先に当接するので、その反力により荷台8は左右方向にスライドする。そして一対のプッシャー20,20が共にステーション4に当接すると、スプロケット14,15は回転しなくなり、これをロータリエンコーダなどで検出する。次にモータを僅かに逆転させて、プッシャー20とステーション4との当接を解除し、モータを停止させロックする。この時、荷台8はステーション4の中央部に位置決めされており、パンタグラフ24を用いて荷台8を上昇させると、ロール30を荷台8に対して、センタリングした状態で位置決めできる。そしてパンタグラフ24を下降させ、図3のようにして、荷台8を台車6に対しセンタリングする。
【0015】
以上のようにすると、ステーション4に対し荷台8を正確に位置決めして移載でき、物品を荷受け26に載置した後は、荷台8を台車6に対して正確にセンタリングできる。なお空荷の際は、荷台8を台車6に対してセンタリングしなくても良い。センタリングには図示しないモータでチェーン16を駆動すれば良い。またステーション4にプッシャーを当接させた後に後退させるので、プッシャー20とステーション4との摩擦がパンタグラフ24の動作を妨げない。さらにプッシャーの先端にローラを設ければ、ステーションにプッシャーを当接させたまま、荷台を昇降できる。実施例ではステーション4へ無人搬送車2が横行する例を示したが、ステーション4への無人搬送車2の停止精度の不足を補うため、横行に限らず、この発明を適用できる。
【0016】
実施例では無人搬送車への応用を示したが、スタッカークレーンなどにも応用できる。このような例を図5に示し、図1〜図4と同じ記号は同じものを表す。40はスタッカークレーンの昇降台、42はスライドフォークで、荷台8はスライドフォーク42のトップユニット上にリニアガイド10とガイドレール12とを介して左右にスライド自在に取り付けられ、位置決め部21もトップユニット上に取り付けられている。44は棚の支柱で、46は棚受けである。そして移載のために荷台8を棚内に進入させると、チェーン16によりプッシャー20,20を左右に前進させて、例えば棚受け46を用いて位置決めする。次にモータを僅かに逆転させて、棚受け46とプッシャー20との接触を解除する。この後、昇降台40を昇降させて、棚受け46との間で物品を移載する。スライドフォーク42を復帰させ、荷台8を昇降台40上に戻すと、スライドフォーク42のトップユニットに固定した位置決め部21を用い、昇降台40に対し荷台8をセンタリングする。

【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例での、無人搬送車とステーションとの平面図
【図2】実施例での、無人搬送車とステーションの側面図
【図3】実施例での、走行中の無人搬送車を荷台カバーを外して示す平面図
【図4】実施例での、ステーションへの無人搬送車の荷台の位置決めを示す平面図
【図5】実施例の荷台をスタッカークレーンのスライドフォークに搭載した変形例を示す図で、荷台カバーを外して示す
【符号の説明】
【0018】
2 無人搬送車
4 ステーション
5 溝
6 台車
8 荷台
10 リニアガイド
12 ガイドレール
14,15 スプロケット
16 チェーン
18,19 移動子
20 プッシャー
21 位置決め部
22 孔
24 パンタグラフ
26 荷受け
28 走行車輪
30 ロール
31 心棒
40 昇降台
42 スライドフォーク
44 支柱
46 棚受け

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステーションと搬送車の荷台との間で物品を移載する、搬送車システムにおいて、
前記搬送車に、水平面内でかつ荷台の位置決め方向に沿って、搬送車の台車に対してスライド自在に前記荷台を支持するスライド部と、前記位置決め方向に沿って前記荷台の両端部に設けた少なくとも一対のプッシャーと、前記少なくとも一対のプッシャーを前記位置決め方向に沿って互いに逆向きに進退させる駆動部とを設けると共に、
前記ステーションに、前記少なくとも一対のプッシャーと当接する少なくとも一対の当接部を設けたことを特徴とする、搬送車システム。
【請求項2】
前記台車に、前記少なくとも一対のプッシャーと当接する位置決め部を設けたことを特徴とする、請求項1の搬送車システム。
【請求項3】
前記駆動部を、エンドレスの巻き掛け伝動部材と、該伝動部材を駆動する少なくとも一対のスプロケットまたは歯車と、モータとで構成し、前記伝動部材に前記少なくとも一対のプッシャーを取り付けたことを特徴とする、請求項1または2の搬送車システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−23812(P2009−23812A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190402(P2007−190402)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】