説明

搭載装置及び搭載方法

【課題】 車体にアンダモジュールを搭載する搭載装置において、設備の簡素化及び省スペース化を達成する。
【解決手段】 オーバヘッドコンベア2によって複数の車体Bを連続的に搬送し、各車体Bを搭載位置で一旦停止する。フロアコンベア12、48によって台車11、47を搬送し、台車10、47の搭載テーブル上でアンダモジュールMを組立てる。アンダモジュールMを載置した台車10、47を搭載位置に搬入し、搭載位置の床面Gに固定されたリフタ10、46によって台車10、47の搭載テーブルを持上げて、アンダモジュールMを車体Bに組付ける。車体BとアンダモジュールMとを同期搬送する必要がなく、また、リフタ10、46と、台車11、47と、フロアコンベア12、48とを別体としたので、設備の簡素化及び省スペース化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両組立ラインにおいて、オーバヘッドコンベアによって搬送される車体に、エンジン、変速機、サスペンションメンバ等を含む重量物を搭載するための搭載装置及び搭載方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、FR(フロントエンジン・リアドライブ)形式の自動車の車両組立ラインにおいては、車体前部に搭載されるエンジン、トランスミッション、フロントアクスル、フロントサスペンション、フロントサスペンションメンバ等を含むフロントモジュールと、車体後部に搭載されるリアアクスル、デファレンシャル、リアサスペンション、リアサスペンションメンバ等を含むリアモジュールと、トランスミッション、デファレンシャル間を連結するプロペラシャフトとは、オーバヘッドコンベアによって懸吊されて空中搬送される車体に下方から搭載される。
【0003】
この場合、重量物であるフロントモジュール、リアモジュール及びプロペラシャフトを車体に搭載するため、これらをオーバヘッドコンベアによる車体の搬送と同期して搭載位置に搬入し、更に、車体への組付位置まで持上げる同期機能及びリフト機能を有する搭載装置が用いられる。そして、複数(通常、6台以上)の搭載装置をループ状に配置し、各搭載装置上でフロントモジュール、リアモジュール及びプロペラシャフトを準備し、順次搭載位置へ搬入する。なお、特許文献1には、車体を懸吊して搬送するオーバヘッドコンベア及びアンダボディ(車体下部)を取付位置まで持上げるリフタに関する先行技術が記載されている。
【特許文献1】特公平3−5354号公報
【0004】
上述の搭載装置は、同期機能及びリフト機能を有するため、構造が複雑で寸法が大きく、これらを複数台配置すると、設備が非常に大がかりなものとなり、設備の導入、切替及び維持管理に膨大なコストがかかる。また、工程集約による組付作業性及び生産性の改善の要求から、フロントモジュール、リアモジュール及びプロペラシャフトは、予め一体に組立てた後、車体に搭載することが望まれており、このような一体搭載を行う場合、搭載装置が更に巨大になるため、特に問題となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みて成されたものであり、設備の簡素化及び省スペース化を達成することができる車体に重量物を搭載するための搭載装置及び搭載方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係る搭載装置は、複数の車体を連続的に空中搬送して、各車体を搭載位置で順次一旦停止させるオーバヘッドコンベアと、前記車体に搭載する重量物を載置するためのテーブルを有し、床面上を移動可能な複数の台車と、前記複数の台車を搬送して前記搭載位置に順次搬入及び搬出するフロアコンベアと、前記搭載位置に搬入された前記台車のテーブルを前記重量物の前記車体への組付位置まで持上げる前記搭載位置の床面に固定されたリフタとを備えていることを特徴とする。
請求項2の発明に係る搭載装置は、上記請求項1の構成において、前記搭載位置の床面には、複数の前記リフタが固定され、前記フロアコンベアは、前記搭載位置に固定された各リフタに対して前記台車を搬入及び搬出し、搬入時に各台車相互間の位置関係を一定に保持することを特徴とする。
請求項3の発明に係る重量物の車体への搭載方法は、オーバヘッドコンベアによって、複数の車体を連続的に空中搬送して、各車体を順次搭載位置で一旦停止し、フロアコンベアによって、床面上を移動可能な台車を搬送し、前記台車に設けたテーブルに、前記車体に搭載する重量物を載置し、前記台車を前記搭載位置に搬入し、前記搭載位置の床面に固定したリフタによって、前記搭載位置に搬入した前記台車のテーブルを持上げて、前記重量物を前記車体へ組付けることを特徴とする。
請求項4の発明に係る重量物の車体への搭載方法は、上記請求項3の構成において、前記搭載位置の床面に、複数の前記リフタを固定し、前記フロアコンベアによって、前記搭載位置に固定した各リフタに対して前記台車を搬入及び搬出し、搬入時に各台車相互間の位置関係を一定に保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る搭載装置及び搭載方法によれば、フロアコンベアによる搬送機能とリフタによるリフト機能を台車から分離したことにより、設備の簡素化及び省スペース化を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るアンダモジュール搭載装置1(搭載装置)は、複数の車体B(一台のみ図示する)を懸吊して連続的に空中搬送するオーバヘッドコンベア2と、フロントモジュールF、リアモジュールR及びプロペラシャフトSを一体化したアンダモジュールM(重量物)を搬送及びリフトするためのフロア搬送装置3とを備えている。
【0009】
オーバヘッドコンベア2は、搬送ラインに沿って延びるガイドレール2A及び駆動装置4と、ガイドレール2Aから吊下げられて車体Bを把持するボディハンガ5とを備えている。ボディハンガ5は、ガイドローラ6によってガイドレール2Aに沿って移動可能に案内されている。駆動装置4は、走行台車7をボディハンガ5に連結して、複数のボディハンガ5をガイドレール2Aに沿って連続的に搬送し、各ボディハンガ5を所定の搭載位置で一旦停止し、また、搬送速度を適宜調整することができる。
【0010】
車体Bは、FR形式の自動車の車体であり、車体組立後、塗装され、内装、外装、エンジンルーム内、トランクルーム内において、アンダモジュールMの搭載前に組付が必要な部品が前工程で既に組み付けられている。フロントモジュールFは、エンジン、変速機、フロントアクスル、フロントサスペンション、フロントサスペンションメンバ等が組立てられて一体化されたものであり、車体Bの前部に下方から搭載されてボルト等によって固定される。リアモジュールRは、デファレンシャル、リアアクスル、リアサスペンション、リアサスペンションメンバ等が組立てられて一体化されたものであり、車体Bの後部に下方から搭載されてボルト等によって固定される。フロントモジュールFと、リアモジュールRと、これらの変速機、ディファレンシャル間を連結するプロペラシャフトSとは、互いに結合されて一体化され、アンダモジュールMとして車体Bに組み付けられる。
【0011】
フロア搬送装置3は、フロントモジュールFの搭載位置に対応するフロントフロア搬送装置8及びリヤモジュールRの搭載位置に対応するリアフロア搬送装置9を備えている。
フロントフロア搬送装置8は、フロントモジュールFの搭載位置に配置されたリフタ10と、リフタ10に対応して、略矩形のループ状に配置された6つの台車11(6つの位置を符号11A〜11Fで示す。なお、図2中では、位置11Bは、位置11B´として示している。)と、これらの台車11をループ状の搬送ラインに沿って搬送するフロアコンベア12とを備えている。
【0012】
図6及び図7に示すように、リフタ10は、フロントモジュールFの搭載位置の床面Gに固定されている。リフタ10は、昇降テーブル13を有しており、昇降テーブル13は、油圧サーボモータによって、図6に示す下降位置と図7に示す上昇位置との間で昇降可能になっている。昇降テーブル13には、後述する台車11の搭載テーブル14(テーブル)の下面に突出された係合ピン15に係合する係合穴16が設けられている。
【0013】
図3乃至図5に示すように、台車11は、一端側に開口を有するコの字形のベースフレーム17の下面に4つの自在輪18が設けられており、床面G上を自由に移動させることができる。ベースフレーム17のコの字形の両腕部には、搭載テーブル14を載置するテーブル支柱19が立設されている。そして、図6に示すように、テーブル支柱19上に載置された搭載テーブル14は、下降位置にあるリフタ10の昇降テーブル13の上方に配置されるようになっている。搭載テーブル14は、その下側に設けられた係合穴20とテーブル支柱19に先端部に設けられた係合ピン21との係合によって位置決めされているる。搭載テーブル14とテーブル支柱19の基部との間は、伸縮可能な蛇腹カバー22で連結されている。なお、搭載テーブル14には、フロントモジュールFを組立てるための治具(図示せず)が設けられている。
【0014】
これにより、図6に示すように、搭載テーブル14がリフタ10の上に配置されるように台車11を位置決めし、図7に示すように、リフタ10の昇降テーブル13を上昇させることによって、搭載テーブル14をフロントモジュールFの車体Bへの組付位置まで上昇させることができる。このとき、蛇腹カバー22が搭載テーブル14とテーブル支柱19との間を覆って作業者のアクセスを防止する。
【0015】
ベースフレーム17の下面の四隅には、係合穴23a〜23dが設けられている。また、ベースフレーム14の下面のコの字形の各辺には、その長手方向に沿って延びる係合長穴24a〜24cが設けられている。係合穴23a〜23d及び係合長穴24a〜24cの開口部の縁部は、係合ピン(後述)の挿入を容易にするため、テーパ状に形成されている。
【0016】
図2に示すように、フロアコンベア12は、リフタ10の前方からオーバヘッドコンベア2の搬送ラインに沿って延びる一対の高速搬出ユニット25、26と、リフタ10の後方からオーバヘッドコンベア2の搬送ラインに垂直に延びる高速搬入ユニット27と、高速搬出ユニット26の終端部からオーバヘッドコンベア2の搬送ラインに垂直に延びる低速搬送ユニット28と、低速搬送ユニット28の終端部からオフセットされて平行に延びる低速搬送ユニット29と、低速搬送ユニット29から垂直方向に延びる低速搬送ユニット30と、この低速搬送ユニット30の終端部から垂直方向に高速搬入ユニット27の始端部まで延びて、高速ユニット27からオフセットされた低速搬送ユニット31とを備えている。低速搬送ユニット28と低速搬送ユニット29及び高速搬入ユニット27と低速搬送ユニット31のオフセットは、台車11の係合穴23a、23d間及び係合穴23b、23c間のピッチと等しくなっている。
【0017】
高速搬出ユニット26の終端部付近には、ターンユニット32が設けられている。また、高速搬入ユニット27と高速搬出ユニット26との間の接続部、低速搬送ユニット28、29間の接続部、低速搬送ユニット30、31間の接続部及び低速搬送ユニット31と高速搬入ユニット27との間の接続部には、それぞれストッパユニット33、34、35、36、37が設けられている。
【0018】
高速搬出ユニット26、高速搬入ユニット27、低速搬送ユニット28、29、30、31の構造について説明する。これらのユニットは、係合ピンの数、搬送距離及び搬送速度の設定が異なるが、ほぼ同様の構造であるから、ここでは、代表例として、低速搬送ユニット31の構造について、図8乃至図11を参照して説明する。
【0019】
図8及び図9に示すように、低速搬送ユニット31は、床面Gに設けられた溝に、搬送方向に沿って延びるガイドレール38が敷設されており、ピン昇降ベース39がガイドローラ40によってガイドレール38に沿って移動可能に案内されている。ピン昇降ベース39は、一対のプーリ41、42に巻装されたベルト43に取付けられており、プーリ41、42を電動モータ(図示せず)で駆動することにより、ガイドレール38に沿って移動させることができる。ピン昇降ベース39には、搬送方向に沿って所定の間隔で配置された2本(高速搬出ユニット25、26では1本)の係合ピン31Aが上下方向に進退動可能に案内されている。係合ピン31Aは、エア圧によって駆動され、図8及び図9に示すように、その先端部が床面Gと面一となる格納位置と、図10及び図11に示すように、床面から突出して台車11の係合穴23a及び係合長穴24aにそれぞれ係合可能な突出位置とを選択的に移動可能になっている。また、ガイドレール38、ピン昇降ベース39及びベルト43は、床面Gと面一となって床面Gに凹凸及び開口が形成されないように構成されており、台車11及び作業者等の円滑な移動を確保すると共に、部品等の落込みを防止している。
【0020】
図2及び図4を参照して、低速搬送ユニット31は、台車11が位置11Eにあるとき、係合ピン31Aを台車11の係合穴23a及び係合長穴24aに係合することができ、これにより、台車11を位置11Eから位置11Fへ低速搬送することができる。
【0021】
上述の低速搬送ユニット31に対して、高速搬入ユニット27は、台車11が位置11Fにあるとき、係合ピン27Aを台車11の係合穴23c及び係合長穴24aに係合することができ、これにより、台車11を位置Fから位置Aへ高速搬送することができる。
【0022】
高速搬出ユニット25、26には、台車11が位置11Aにあるとき、それぞれ、係合長穴24a及び係合穴23bに1本の係合ピン25A、26Aを係合することができ、これにより、台車11を位置11Aから位置11B´へ高速搬送することができる。このとき、高速搬出ユニット26は、高速搬出ユニット25よりも搬送距離が長く、係合ピン26Aが係合ピン25Aよりも先に移動を開始し、また、係合ピン25Aが係合長穴24aに係合していることにより、台車11を回動させて、リフタ10に干渉することなく、位置11Aから位置11B´へ移動させることができる。
【0023】
低速搬送ユニット28は、台車11が位置11B(図14参照)にあるとき、係合ピン28Aを係合穴23b及び係合長穴24aに係合することができ、これにより、台車11を位置11Bから位置11Cへ低速搬送することができる。
低速搬送ユニット29は、台車11が位置11Cにあるとき、係合ピン29Aを係合穴23d及び係合長穴24cに係合することができ、これにより、台車11を位置11Cから位置11Dへ低速搬送することができる。
低速搬送ユニット30は、台車11が位置11Dにあるとき、係合ピン30Dを係合穴23c及び係合長穴24bに係合することができ、これにより、台車11を位置11Dから位置11Fへ低速搬送することができる。
【0024】
図13に示すように、ターンユニット32は、台車11が位置11B´にあるとき、その台車11の係合穴23cに係合可能な固定ピン44及び係合長穴24bに係合可能な可動ピン45を備えている。固定ピン44及び可動ピン45は、エア圧によって駆動され、床面Gに面一となる格納位置と係合穴23に係合可能な突出位置とを選択的に移動させることができる。また、可動ピン45は、上述の低速搬送ユニット31と同様な構造によって、高速搬出ユニット26に垂直な方向に移動させることができる。
【0025】
これにより、ターンユニット32は、位置11B´にある台車11の係合穴23c及び係合長穴24bに固定ピン44及び可動ピン45を係合し、可動ピン45を移動させることにより、台車11を位置B´から位置Bへ固定ピン44を中心として回動させることができる。このとき、可動ピン45を係合長穴24bに係合させているので、可動ピン45の直線運動によって台車11を回動させることができる。
【0026】
ストッパユニット33、34、35、36、37は、それぞれ、台車11が位置11A、11C、11D、11E、11Fにあるとき、係合長穴24b、24a、24c、24bに係合可能な2本の係合ピン33A、34A、35A、36A、37Aが設けられている。係合ピン33A、34A、35A、36A、37Aは、エア圧によって駆動され、床面Gに面一となる格納位置と係合長穴24b、24b、24a、24c、24bに係合可能な突出位置と選択的に移動させることができる。これにより、ストッパユニット33、34、35、36、37は、それぞれ、係合ピン33A、34A、35A、36A、37Aを係合長穴24b、24b、24a、24c、24b係合することによって、台車11を位置11A、11C、11D、11E、11Fに確実に固定することができる。
【0027】
次に、リアフロア搬送装置9について、図1及び図2を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、リアフロア搬送装置9は、リアモジュールRの搭載位置の下方に配置されたリフタ46と、リフタ46に対応して、略矩形のループ状に配置された6つの台車47(6つの位置を符号47A〜47Fで示す。なお、図2中では、位置47Bは、位置47B´として示している。)と、これらの台車47をループ状の搬送ラインに沿って搬送するフロアコンベア48とを備えている。
【0028】
フロアコンベア48は、上述のフロントフロア搬送装置8のフロアコンベア12と同様、一対の高速搬出ユニット49、50と、高速搬入ユニット51と、低速搬送ユニット52、53、54、55と、ターンユニット56とストッパユニット57、58、59、60、61を備えている。そして、リアフロア搬送装置9は、フロントフロア搬送装置8に対して、フロアコンベア12の搬送方向が逆(図2において反時計回り)であること以外は、同様の構造となっているので、詳細な説明は省略する。なお、フロアコンベア48の高速搬入ユニット51及び低速搬送ユニット55と、フロントフロア搬送装置8の高速搬入ユニット27及び低速搬送ユニット31とは、互いに平行に配置され、同期搬送が可能になっている。
【0029】
以上のように構成したアンダモジュール搭載装置1を用いて車体BにアンダモジュールMを搭載する工程について、次に説明する。
オーバヘッドコンベア2による工程について図16を参照して説明する。
矢印は、車体Bの搬送方向を示し、符号Pは、アンダモジュールMの搭載位置を示している。オーバヘッドコンベア2は、複数の車体Bを懸吊し、低速で連続的に搬送する(矢印63参照)。搭載位置Pの手前で搬送速度を中速に切替える(矢印64参照)。なお、中速時の搬送速度は、搬送中に作業者が部品の組付等を行うことが可能な速度として300mm/秒程度としている。更に、搬送速度を高速に切替えて搭載位置Pへの搬入を行う(矢印65参照)。搭載位置Pで、所定時間停止して、アンダモジュールMの搭載を行った後、高速で搬出を行い(矢印66参照)、搬送速度を中速に切替え(矢印67参照)、更に、搬送速度を低速に切替える。このように、搭載位置Pへの搬入及び搬出時に、搬送速度を高速化することによって、搭載位置Pでの停止時間T、すなわち、アンダモジュールMの搭載時間を確保することができる。なお、アンダモジュールMの車体Bへの搭載に作業遅れが生じて、停止時間がT´になった場合でも、搭載位置Pの前後に調整停止時間T1、T2、T3,T4を設けることにより、組立ライン全体を停止することなく、対処することができる
【0030】
次に、フロア搬送装置3による工程について説明する。
図2を参照して、フロントフロア搬送装置8では、位置11B、11C、11D、11Eにある台車11を低速搬送ユニット28、29、30、31によって、順次、次の位置へ、ほぼ同時に低速搬送する。このとき、各台車11では、位置11Cから位置11Eへ移動する間に、フロントサスペンションメンバに、エンジン、変速機、フロントサスペンション、フロントアクスル等が装着されてフロントモジュールFが組立てられ、更に、変速機にプロペラシャフトSの一端が結合される。
【0031】
一方、リアフロア搬送装置9では、位置47B、47C、47D、47Eにある台車47を低速搬送ユニット52、53、54、55によって、順次、次の位置へ、ほぼ同時に低速搬送する。このとき、各台車47では、位置47Cから位置47Eへ移動する間に、リアサスペンションメンバに、デファレンシャル、リアサスペンション、リアアクスル等が装着されてリアモジュールRが組立てられる。
【0032】
そして、フロントフロア搬送装置8の位置11Eから位置11Fの間及びリアフロア搬送装置9の位置47Eから位置47Fの間で、一端部がフロントモジュールFの変速機に結合されたプロペラシャフトSの他端部がリアモジュールRのデファレンシャルに連結されて、アンダモジュールMが構成され、また、各部品の組付状態が検査される。このとき、フロントフロア搬送装置8の低速搬送ユニット31とリアフロア搬送装置9の低速搬送ユニット55とは、互いに平行に配置されて同期されているので、フロントモジュールF、リアモジュールR及びプロペラシャフトSを一体化したアンダモジュールMを搬送することができる。
【0033】
次に、フロントフロア搬送装置8の高速搬入ユニット27とリアフロア搬送装置9の高速搬入ユニット51とを同期させて、台車11及び台車47をそれぞれ位置11F及び位置47Fから位置11A及び位置47Aへ移動させて、アンダモジュールMを搭載位置へ搬入する。ストッパユニット33、57によって台車11、47を位置11A、47Aに固定する。このとき、オーバヘッドコンベア2によって搬送される車体Bは、搭載位置で停止している。
【0034】
次に、フロントフロア搬送装置8及びリアフロア搬送装置9の搭載位置、すなわち、位置11A、47Aにおけるリフタ10、46及び台車11、47の作動について説明するが、これらの動作は、ほぼ同様であるから、以下、主にフロントフロア搬送装置8について説明する。
【0035】
図7に示すように、リフト10の昇降テーブル13を上昇させ、台車11の搭載テーブル14を上昇させて、アンダモジュールMを車体Bへの組付位置まで持上げる。そして、アンダモジュールMをボルト等によって車体Bに組付ける。その後、リフタ10の昇降テーブル13を下降させて、搭載テーブル14を台車11のテーブル支持19に載置する。このようにして、アンダモジュールMの車体Bへの搭載を完了し、その後、台車11、47をそれぞれ位置11A、47Aから位置11B´、47B´へ移動させると同時に、次の台車11、47を位置11F、47Fから位置11A、47Aへ移動させて、順次、アンダモジュールMを搭載位置へ搬入する。
【0036】
次に、台車11の搭載位置への搬入及び搬出について、図4及び図12乃至図15を参照して更に詳細に説明する。
図12は、アンダモジュールMの車体Bへの搭載が完了して、次の台車11の搭載位置への搬入及び搬出を行う直前の状態を示している。高速搬入ユニット27の係合ピン27Aは、位置11Fにある台車11の係合穴23c及び係合長穴24cに係合している。高速搬出ユニット25、26の係合ピン25A、26Aは、位置11Aにある台車11の係合長穴24a及び係合穴24aに係合している。高速搬出ユニット25、26と、高速搬入ユニット27とは、同時に高速作動して、位置Aにある台車11の位置B´への移動(搬出)と、位置Fにある台車11の位置Aへの移動(搬入)を同時に行う(図13参照)。
【0037】
図13を参照して、位置11Aにある台車11の係合長穴24bにストッパユニット33の係合ピン33Aを係合して、この台車11を固定し、高速搬入ユニット27の係合ピン27を格納して位置11Fへ移動させる。また、位置11B´にある台車11の係合穴23c及び係合長穴24bにターンユニット32の固定ピン44及び可動ピン32を係合して、この台車11を保持し、高速搬出ユニット25、26の係合ピン25A、26Aを格納して位置Aへ移動させる。そして、ターンユニット32の可動ピン32を位置11B´側から位置11B側へ移動させて、位置11B´にある台車11を固定ピン44を中心として回動させて位置11Bへ移動させる(図14参照)。
【0038】
図14を参照して、位置11Bにある台車11の係合穴23b及び係合長穴24aに、低速搬送ユニット28の係合ピン28Aを係合して、この台車11を保持し、ターンユニット32の固定ピン44及び可動ピン45を格納し、可動ピン45を位置B´側へ移動させる。そして、低速搬送ユニット28によって、位置11Bにある台車11を位置11Cへ低速搬送する(図15参照)。このとき、同時に、位置11C、11D、11Eにある台車11も低速搬送ユニット29、30、31によって次の位置へ低速搬送する。
【0039】
図15を参照して、低速搬送ユニット28は、台車11を位置11Bから位置B12へ搬送し、その台車11をストッパユニット34の係合ピン34Aによって固定した後、係合ピン28Aを格納して位置11Bへ戻す。同様に、他の低速搬送ユニット29、30、31においても、台車11を次の位置へ搬送してストッパユニット35、36、37の係合ピン35、36、37で固定した後、係合ピン29A、30A、31Aを格納して前の位置へ戻す。
【0040】
このようにして、順次、アンダモジュールMを車体Bに搭載することができる。このとき、フロントフロア搬送装置8とリアフロア搬送装置9とを独立した構成としたので、フロントモジュールF用の台車11とリアモジュールR用の台車47とを別々の経路で搬送することができ、また、台車11、47を小型化することができるので、スペース効率及び組立作業性を向上させることができる。オーバヘッドコンベア2によって搬送される車体Bを停止した状態でアンダモジュールMを搭載することができるので、車体BとアンダモジュールMとの同期搬送が不要となり、フロント側及びリア側の台車11、47を同時に搭載位置に搬入すればよいので、設備の簡素化及び位置合せ等の作業性の向上を達成することができる。リフタ10、46、台車11、47及びフロアコンベア12、48を別体としたことにより、設備の簡素化が可能であり、また、台車11、47は、フロアコンベア12、48とのピン係合を解除することにより、必要に応じて手動で自由に移動させることができるので、不具合発生時、車種変更時等の際、台車11、47の入替えを容易に行うことができる。また、各搬送ユニットは、台車を1台ずつ搬送するので、送り動力の低出力化が可能である。
【0041】
なお、上記実施形態では、フロントフロア搬送装置8とリアフロア搬送装置9とを組合せて、アンダモジュールMを車体Bに搭載するアンダモジュール搭載装置1について説明しているが、これらは、単独で使用することもでき、また、フロントモジュール及びリアモジュールに限らず、他の重量物の組付にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に係るアンダモジュール搭載装置の全体図である。
【図2】図1に示すアンダモジュール搭載装置のフロア搬送装置を示す平面図である。
【図3】図1に示すアンダモジュール搭載装置の台車の正面図である。
【図4】図3に示す台車のベースプレート部の平面図である。
【図5】図3に示す台車の側面図である。
【図6】図2に示すフロント搭載装置の搭載位置におけるリフタ及び台車の正面図である。
【図7】図6に示すリフタ及び台車において、昇降テーブル及び搭載テーブルが上昇した状態を示す図である。
【図8】図2に示すフロア搬送装置の低速搬送ユニットの概略構成を示す縦断面図である。
【図9】図8の搬送方向における縦断面図である。
【図10】図8に示す低速搬送ユニットの係合ピンが台車の係合穴及び係合長穴に係合した状態を示す縦断面図である。
【図11】図10の搬送方向における縦断面図である。
【図12】図2に示すフロア搬送装置において、搭載完了直後の搭載位置の状態を示す平面図である。
【図13】図2に示すフロア搬送装置において、台車を搭載位置に搬入及び搬出した状態を示す平面図である。
【図14】図2に示すフロア搬送装置において、台車を搭載位置に搬入及び搬出した後、ターンユニットを作動させて搬出された台車を回動させた状態を示す平面図である。
【図15】図2に示すフロア搬送装置において、搭載位置から搬出された台車を次の位置へ搬送した状態を示す平面図である。
【図16】図1に示すアンダモジュール搭載装置のオーバヘッドコンベアによる車体の搬送工程を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0043】
1 アンダモジュール搭載装置(搭載装置)、2 オーバヘッドコンベア、10 リフタ、11 台車、12 フロアコンベア、14 搭載テーブル(テーブル)、46 リフタ、47台車、48 フロアコンベア、車体B、アンダモジュールM(重量物)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車体を連続的に空中搬送して、各車体を搭載位置で順次一旦停止させるオーバヘッドコンベアと、前記車体に搭載する重量物を載置するためのテーブルを有し、床面上を移動可能な複数の台車と、前記複数の台車を搬送して前記搭載位置に順次搬入及び搬出するフロアコンベアと、前記搭載位置に搬入された前記台車のテーブルを前記重量物の前記車体への組付位置まで持上げる前記搭載位置の床面に固定されたリフタとを備えていることを特徴とする搭載装置。
【請求項2】
前記搭載位置の床面には、複数の前記リフタが固定され、前記フロアコンベアは、前記搭載位置に固定された各リフタに対して前記台車を搬入及び搬出し、搬入時に各台車相互間の位置関係を一定に保持することを特徴とする請求項1に記載の搭載装置。
【請求項3】
オーバヘッドコンベアによって、複数の車体を連続的に空中搬送して、各車体を順次搭載位置で一旦停止し、フロアコンベアによって、床面上を移動可能な台車を搬送し、前記台車に設けたテーブルに、前記車体に搭載する重量物を載置し、前記台車を前記搭載位置に搬入し、前記搭載位置の床面に固定したリフタによって、前記搭載位置に搬入した前記台車のテーブルを持上げて、前記重量物を前記車体へ組付けることを特徴とする重量物の車体への搭載方法。
【請求項4】
前記搭載位置の床面に、複数の前記リフタを固定し、前記フロアコンベアによって、前記搭載位置に固定した各リフタに対して前記台車を搬入及び搬出し、搬入時に各台車相互間の位置関係を一定に保持することを特徴とする請求項3に記載の搭載方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−232022(P2006−232022A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−47331(P2005−47331)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】