説明

携帯ライト用楕円反射板および湾曲レンズシステム

小さい円形の集中ライトビーム(50)と、より暗く大きい外側楕円フラッドライト(52)とを生成する楕円反射板(28)が設けられている。反射板(28)の外側リム(44)は湾曲しており、整合する湾曲レンズ(30)が反射板(28)の外側リム(44)を覆って設けられている。反射板(28)の湾曲外側リム(44)と湾曲レンズ(30)とにより、ライトビームが水平方向に広い光パターンに伸び、潜在的に180度に近い照明を提供することができる。必要に応じて、光の一部を、例えば、暗い道を照らすように下方に向けられるようにしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本件特許出願は、両出願共に本出願にその全体が取り込まれた、2004年3月5日に出願された米国仮特許出願第60/550414号、および、2003年12月8日に出願された米国仮特許出願第60/527693号に基づく優先権を主張し、両者の内容はこの明細書にすべて組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、照明反射およびレンズのシステムに関し、特に、光源からフラッドライト(散光;flood light)パターンを投射する反射板およびレンズのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
携帯用照明器具、例えば、小型フィラメント光源を持つ懐中電灯などは、一般的に、遠方の物体を照らすため、焦点が狭められたスポットビームを作るように形成された反射板を用いて構成されている。しかし、近くて広い領域を照らすため、フィラメント光源を用いて広いフラッドビームを作り出すことが要求される場合も多い。David R. Schallerらの米国特許第5424927号(1996年6月13日発行)には、矩形の開口端を持つパラボラ反射板を持つ懐中電灯が開示されている。反射板の焦点にフィラメントが位置され、該フィラメントから放出された光がパラボラ反射板により平行化される。電子回路により制御される矩形の電気光学装置が矩形の開口を覆い、第1の状態で平行光を通過させてスポットビームを形成する。フラッドビームを作り出すため、電気光学装置の状態が、パラボラ反射板により作り出された平行ビームを屈折させるように切り替えられる。しかしながら、電気光学装置と、必要な電子制御回路の両方を使用するためコストが高く、また、電気光学装置は反射板から向けられた光量を減少させてしまう。
【0004】
矩形の開口用の反射板は、平面反射部により接続された一対の対向するパラボラ形または楕円形反射部を持つものとして知られている。しかしながら、平面反射部による反射は、不均一なフラッドビームを形成してしまう場合が多い。Geoffrey R. Draperの米国特許第4386824号(1983年6月7日発行)には、無数のパラボラまたは楕円カーブを備えた、パラボラ形側面反射部と、上部および下部反射部とを有する、車両用矩形ランプ反射板が開示されている。これらのパラボラまたは楕円カーブは、反射板本体から前方へ延在し、その前面矩形開口で終わっている。上部および下部反射部は、反射板の中心から側面反射部にかけて焦点距離を漸次増加させる、一致した複数の焦点および複数の焦点軸を有する。この結果、フラッドビームを作るために、上部および下部反射部において比較的複雑なカーブ配置が必要となる。さらに、凹形状のパラボラ形側面反射板の使用は、生成されたフラッドビームを不均一にさせる。
【0005】
本発明の所有者に譲渡されたSedovicらの米国特許第6048084号は、懐中電灯等の照明具の反射板に関するものである。反射板は、カップ形状の本体を有し、該カップ形状本体は、該カップ形状本体の中心に位置する孔から矩形の開口へ延在する、第1の一対の対向壁および、第2の一対の対向壁を有する。
【0006】
Sedovicの反射板の壁の内面は反射体である。第1の一対の壁は各々凹形状にカーブしてカップ状の本体中でフィラメント光源の前方に焦点を有し、第2の一対の壁は各々凸形状にカーブしてカップ状の本体の外側に焦点を有する。第1の一対の対向壁および第2の一対の対向壁は、フィラメントイメージを崩して、その結果としての光を反射することにより、フィラメント光源からの光を矩形の開口を通して反射し、所定のフラッドビームを生成するように形成されている。
【0007】
Sedovicの特許における反射板は、垂直方向よりも水平方向に広い矩形の光パターンなど、種々の利点をもたらす。しかしながら、Sedovicらの特許における反射板は、反射板が四面を有するため、意図した目的のためにはうまく機能するが、光を外側ではなくランダムな方向に反射するデッドスペースが反射板中に存在する。この結果、光パターンは広い四角エリアを照らすものの、多数の暗い線と明るい点を含むこととなる。
【特許文献1】米国特許第5424927号
【特許文献2】米国特許第4386824号
【特許文献3】米国特許第6048084号
【発明の開示】
【発明の概要】
【0008】
本発明の基本的な理解のため、以下において本発明の実施形態の幾つかについて、簡単な概要を説明する。この概要は、発明の外延を示すものではない。本発明の鍵となる/重要な要素を特定するためのものではなく、また、本発明の範囲を画定するためのものではない。後に詳述する本発明の幾つかの実施形態に導くために、これら形態を簡単に説明することだけを目的としている。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、小さい円形の集中光ビームと、より暗く大きい外側楕円を生成する楕円反射板が提供される。本発明の一実施形態によれば、反射板の外側リムが湾曲しており、一致する湾曲レンズが反射板の外側リムを覆うように設けられる。反射板の湾曲した外側リムおよび湾曲レンズにより、光ビームが水平方向に広い光パターンに広がり、潜在的に180度に近い角度の照明を提供することができる。さらに、楕円反射板および湾曲レンズは、光を垂直方向において制限するために使用される。
【0010】
一実施形態によれば、楕円反射板および湾曲レンズは、人間の視覚能力にきわめて一致する光パターンを提供するように構成することができる。すなわち、目の直接視野にきわめて一致する、小さい円形集中光ビームと、ユーザの周縁視野にきわめて一致する、より暗い大きい楕円光が提供される。必要でない上方または下方へ光を向けるかわりに、光をより広い水平面において、より良く利用することができる。さらに、必要に応じて、例えば暗い道を照らすため、光を下方へ向けられるようにしてもよい。このため、本発明の一実施形態によれば、反射を広いパターンで下方へ向けることができるように、円形反射板の下部を、開いた状態とする。代替的に、一部の光が直接下方へ向くように、反射板の内壁を構成したり、および/または、電球を配置してもよい。
【0011】
本発明のその他の特徴は、次の詳細な説明および図面により明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下において、本発明の種々の実施形態について説明する。説明を目的として、実施形態の十分な理解を提供するために、特定の構成と詳細を開示する。しかしながら、当業者であれば、本発明は特定の詳細がなくとも実施できることは明らかである。さらに、説明する実施形態を不明瞭にしないため、よく知られた特徴については省略されまたは簡略化される場合がある。
【0013】
次に、図面を参照して説明する。幾つかの図において、同様の構成については同様の符号を用いる。図1に、本発明の一実施形態が組み込まれた懐中電灯20を示す。懐中電灯20は、電池保持部24の一端に位置するヘッド22を有する。公知の方法により、懐中電灯20を点灯および消灯させるためのスイッチ26が設けられている。
【0014】
懐中電灯20として、ヘッド22に隣接してスイッチ26を備えるものを示すが、スイッチ26は、電池保持部24またはヘッド22の他の位置に配置されていてもよく、さらには他の手段により設けられていてもよい。また、ヘッド22として、電池保持部24に対して一直線上に設けられているものを示すが、ヘッド22を、電池保持部24に対して角度を付して設けてもよい。さらに、電池保持部24およびヘッド22を図示の形態とは異なる手段により構成してもよい。
【0015】
例えば、ユーザがその一端で立てて使用できるように、懐中電灯20を構成してもよい。ヘッド22により懐中電灯20が立つように構成してもよい。このため、必要に応じて、突起をヘッド22の外周縁に備えて、懐中電灯20を保管用に立てた状態となるようにする。
【0016】
簡潔に説明すると、本発明の一実施形態によれば、楕円反射板28および湾曲レンズ30がヘッド22に設けられている。楕円反射板28および湾曲レンズ30により、光を一般的な円形ではなく、水平方向に広い平面とすることができる。懐中電灯20を参照して説明したが、本発明の反射板28および/または湾曲レンズ30は、自転車用ライト、ヘッドランプ、自動車用ライト、および、フラッドライトなどの光源にも使用できる。本発明は、特に携帯用ライトに適用されるが、すべての実施形態は、そのような適用に限定されることはない。
【0017】
楕円反射板28は、円形開口部32を中心に持つ、全体としてカップ形状の本体からなり、円形開口部32中に電球34(図6)または他の光源(例えば、発光ダイオード(LED))が挿入される。図3および図4に示すように、カップ形状の本体は、右壁36、左壁38、上部壁40および下部壁42を有する。
【0018】
図3および図4の断面はそれぞれ、楕円反射板28の垂直中心(水平断面)と水平中心(垂直断面)の断面を示す。以下において詳述するように、本発明の一実施形態において、壁36、38、40、42はそれぞれ、電池保持部24から湾曲レンズ30にかけた方向と、該方向と垂直な方向の両方へ、湾曲している。したがって、異なる位置での水平または垂直断面は、相違した形状となる。しかしながら、楕円反射板28の形状を説明するため、図3および図4に示された形状を用いる。
【0019】
図3からわかるように、上部壁40は、カップ状本体の内部に対して湾曲する下向きの凹状に形成され、楕円反射板28の円形開口部32と外側リム44との間を伸長する。同様に、下部壁42は、カップ状本体の内部に対して湾曲する上向きの凹状に形成され、楕円反射板28の円形開口部32と外側リム44との間を伸長する。
【0020】
本発明の一実施形態においては、図4に示すように、左壁38は、楕円反射板28の円形開口部32と外側リム44との間で、カップ状本体の内部に向けて湾曲する外向きの凸状に形成されている。本実施形態では、右壁36についても、楕円反射板28の円形開口部32と外側リム44との間で、カップ状本体の内部に向けて湾曲する外向きの凸状に形成されている。
【0021】
再度、図3を参照すると、本発明の一実施形態では、上部壁40および下部壁42は、カップ状本体の中心軸に対して対称となっている。上部壁40および下部壁42の内側の反射表面は、カップ状本体の中心軸に対して窪むように形成されている。これら内側の反射表面は、これに衝突する光を、電球34(図2)の前の焦点から外側リム44へ向けるように形成されており、所定の垂直方向範囲を持つ実質的に均一なビームパターンを生成する。
【0022】
下部壁42の反射表面により形成された湾曲は、上部壁40の湾曲に対して対称であってよいが、以下に詳細に説明するように、必ずしもその必要はない。楕円反射板28の上部壁40および下部壁42の正確な湾曲形状については、望ましい光パターンに基づいて、本技術分野で周知のコンピュータモデリング技術により決定することができる。
【0023】
再度、図4を参照すると、左壁38および右壁36は、カップ状本体の中心軸に対して対称となっている。右壁36および左壁38の内側の反射表面は、外向きの凸状湾曲からなり、衝突した光を外側リムへ向けるように構成され、所定の水平方向範囲を持つビームパターンが形成される。右壁36および左壁38の反射表面は、光源から発せられて衝突する光線を方向付けて、矩形の開口から発せられる光線が所定の水平方向範囲にわたって均一なビームを形成するようにする。
【0024】
この曲線の焦点は、カップ状本体の外側であって、カップ状ボディの背後に位置する。図示の実施形態では、右壁36の反射表面により形成された曲線は、左壁38の曲線に対して対称であるが、この構成は必ずしも必要ではない。楕円反射板28の右壁36および左壁38の正確な湾曲形状については、望ましい光パターンに基づいて、コンピュータモデリング技術により決定することができる。
【0025】
凹状に湾曲する上部壁40および下部壁42と、外側に凸状である右壁36および左壁38との組み合わせにより、ビームの範囲が垂直方向と水平方向の両方において制限されて、均一なフラッドビームが提供される。この構成については、本明細書の従来技術において示したSedovicらの特許において、さらに詳細に説明されている。
【0026】
図4に示す実施形態では、右壁36および左壁38の凸状表面は、右壁36および左壁38の外側の範囲に設けられていることが好ましい。楕円反射板28は曲面であるため、右壁36および左壁38と上部壁40および下部壁42の接続部は明確には形成されない。しかしながら、一実施形態によれば、図4の例で示すように、楕円反射板28の中央部において、右壁36および左壁38は断面形状が凸状となっていることが好ましい。さらに、一実施形態によれば、図3の例で示すように、上部壁40および下部壁42は、楕円反射板28の中心における垂直断面において、これら二つの壁が楕円反射板28の中心に対して凹状となっている。
【0027】
本発明の一実施形態においては、凸状の右壁36および左壁38と、凹状の上部壁40および下部壁42とが滑らかに変化する。すなわち、図4に示す右壁36および左壁38の凸形状から、図3に示す上部壁40および下部壁42の凹形状へ変化するように、楕円反射板28の側面は連続的にカーブしている。このように、連続して変化する表面が外側に反射するように楕円反射板28が構成されているので、楕円反射板28により提供される光パターン中に、暗い点が含まれることがない。連続的に変化する表面の正確な湾曲については、望ましい光パターンに基づいて、コンピュータモデリング技術により決定することができる。
【0028】
本発明の他の実施形態では、右壁36および左壁38は、図3の上部壁40および下部壁42と同様の凹形状を有する。したがって、右壁36および左壁38と上部壁および下部壁40、42との変化は凹状のままである。このような壁の湾曲もまた、コンピュータモデリング技術により決定することができ、所望の光パターンを生成するために一致させることができる。
【0029】
本発明の一実施形態では、図5および図6に示すように、楕円反射板28は、集中した小さい光ビーム50と、フラッドビームのような広い外側光ビーム52とを生成する。小さい中心光ビーム50は、例えば、円形または楕円等の所望の形状とすることができる。同様に、外側の光ビーム52も所望の形状とすることができる。しかし、本発明の一実施形態では、人の周縁視野に合わせて楕円としている。これにより、楕円反射板28により供給される光パターンは、人間の視野ときわめて一致する。すなわち、小さい集中した光ビーム50は、目の直接視界と一致し、より暗い、大きい楕円光ビーム52は、ユーザの周縁視野とぴったり一致する。これにより、図6に示すように、楕円反射板28は人間の目(E)の形状ときわめて類似する形状となる。
【0030】
必要に応じて、楕円反射板28の壁36〜42は、明るい中心光ビーム50に向けて光を平行化するように構成してもよい。楕円反射板28の残りの内部表面を、光を外側へ広げ、より広い楕円光ビーム52を供給するために使用する。例えば、図4に示す凸状の右壁36および左壁38を、より多くの光が電球34から直接放射されるように使用して、広い楕円の光ビーム52の最も外側の縁を照らすようにしてもよい。
【0031】
本発明の一実施形態では、懐中電灯20は、ほとんどの光を外側の光ビーム52のため外方向(例えば、反射板から直接、かつ、懐中電灯20の軸延長上に沿って)に向けるように設計されている。しかし、道、例えば山道を照らすように、光の一部を下側に向けるようにも設計されている。例えば、図7の光ビーム60は、主として懐中電灯20から外側に伸びるが、下方にも伸びる。
【0032】
この機能を提供するため、楕円反射板28は、上部壁40および下部壁42が対称でなくてもよい。したがって、上部壁40および下部壁42に入射した電球34(図2)の光により、図7に示すように光パターン60が生成されるか、光パターンが主として外側で、少なくとも一部が下方に向くように生成される。この機能を提供する他の手段として、電球34を楕円反射板28の中心に配置しないことがあげられる。
【0033】
他の変形例として、楕円反射板28の外側リム44は対称でなくてもよい。例えば、図3の破線62で示されているように、光が下方に向かうように、下部壁42が下方に伸長するようにしてもよい。すなわち、本実施形態では、上部壁40および下部壁42は、対称ではない。代わりに、下部壁は光パターンの一部を下方に向ける縦長部を有する。
【0034】
このような実施形態では、楕円反射板から放射された光パターンは、外側光ビーム52が下方に広がるという相違点を除き、図5に示すものと同様となり得る。この場合、集中内側光ビーム50は外側光ビーム52の中心とはならない。
【0035】
したがって、楕円反射板28は、必ずしも「楕円」という言葉の定義に制限されて楕円である必要がないことは明らかである。代わりに、楕円反射板28は、カップ状であって、光を垂直方向よりも水平方向に生成するように形成され、好ましくは、縁が丸く、少なくともある程度事実上の楕円であればよい。すなわち、本明細書で用いられている「楕円」とは、対称でなくとも、そのような形状を包含するものであって、一次元方向またはそれ以上の次元の長円形状、または、一平面またはそれ以上の平面において非対称な形状など、設計者の要求による種々の形状であり得る。しかしながら、一般的に、楕円反射板28により生成された光パターンは、垂直方向より水平方向に長い。この特徴は、楕円反射板28自体が水平方向に長いことに多くは起因する。しかしながら、必ずしもそうでなくてもよい。また、一実施形態によれば、楕円反射板28は、楕円反射板28から放出される光パターン中に、暗い点を全く、またはほとんど与えないように、丸みを帯びた内側表面を有する。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、懐中電灯20は、電球34(図2)の相対位置を楕円反射板28に対して相対的に変動することができるように構成することができる。このような特徴は、本技術分野で公知であり、この特徴により、一般的に懐中電灯20から放出される光を広く拡散した状態から狭く集中した状態へ調節することができる。電球34を楕円反射板28に対して相対的に移動させることにより、所望のビームサイズが提供される。
【0037】
図2には、電池保持部24の部位71上にマーキング70が示されている。本発明の一実施形態では、電池保持部24の部位71はスリーブ72に対して回転することにより、電球34が楕円反射板28に対して内方または外方へ移動する。
【0038】
本発明の一実施形態においては、楕円反射板28の外側リム44は湾曲している。図2の平面図からわかるように、外側リム44は、懐中電灯20を垂直に貫通する中心軸を持つアーチ形状を形成している。湾曲レンズ30は外側リム44に嵌合される。
【0039】
外側リム44および対応する湾曲レンズ30により、水平方向に広い光パターンを生成するための追加構造が提供される。外側リム44の湾曲構造により、後退部が提供される。すなわち、楕円反射板28の対向位置、特に、外側リム44の外方の左側および右側端縁に、開口80(図3)が設けられる。これにより、図3、図4、および図7に示すように、丸みを帯びた外側リム44により、外側リム44の右壁36および左壁38の頂部が、上部壁40および下部壁42の外側縁部よりも後退した状態となる。この特徴により、設計者は、光ビームを垂直方向に制限し、水平方向に光を広げることができ、垂直方向より水平方向により広がる光パターンの提供を可能とできる。必要に応じて、外側リム44および湾曲レンズ30を、外側左右壁の外側において、水平方向の照明を約140度まで広げるために十分な量切除してもよい。または、いくつかの適用においては、さらに広くてもよい。例えば、160度、さらには180度まで広い水平方向の照明を提供してもよい。
【0040】
一実施形態においては、より暗く広い楕円光ビーム52のアスペクト比が横縦約5:1となるように楕円反射板28を形成する。上記のように、楕円反射板28の壁の内側の輪郭および形状は、この機能を提供するために構成される。図示の実施形態では、開口80もまたこの機能を提供する補助となっているが、この機能を提供するためには開口は必要ではない。
【0041】
図7に示すように、本発明の一実施形態においては、上部壁40および下部壁42の前縁を横切って描かれた線Xで示されているように、上部壁40および下部壁42の外側縁部は、懐中電灯20の前から同距離だけ伸長するようにできる。本発明の他の実施形態においては、追加的な下方へ向かう照明を提供するため、下部壁42の外側縁部を上部壁40の外側縁部より後退させることで、下部壁42の外側縁部は、上部壁40の外側縁部ほど伸長しないようにする。図示はしていないが、図7の実施形態の上部壁40および下部壁42の外側縁部と交差する線の例として、線Yを持つ実施形態も可能である。このような実施形態では、主に外側を向くビームに加えて、部分的に下方に光を向けるという楕円反射板28の能力をさらに向上させることができる。
【0042】
要約すると、楕円反射板28および湾曲レンズ30は、標準的な円形反射板およびレンズパターンを超える利点を提供する。特に、楕円反射板28および湾曲レンズ30は、最も必要とされる位置(例えば、外側、および、おそらくは下方)であって、人間の視野にきわめて一致する、楕円であって、主として水平方向のパターンにて光を供給する。
【0043】
楕円反射板28は、ユーザの中心集中視野と、これに関連するユーザの周縁視野との両方にきわめて一致する、集中した小さい光ビーム(例えば、光ビーム50)および広い外側光ビーム(例えば、光ビーム52)の両方を提供する。さらに、一般的な円形レンズのように光を上方に向けるのではなく、光は幅広の水平面に供給される。さらに、必要に応じて、暗い道等を照らすために追加的な光を下方に向けてもよい。
【0044】
一実施形態では、反射板の前端縁は、平面図で見ると、X=78*Yで定義された曲率を持つ放物線として形成されている。反射板の後端縁は、同じ断面において、X=115.56*Yにより定義される。垂直平面による断面は、放物線X=13*Yで定義された後端縁を持つ。これは、楕円光パターンを提供する反射板の一実施形態である。
【0045】
図8に、本発明に係る他の実施形態としての反射板128を示す。反射板128が懐中電灯120に取り付けられているものが示されているが、他の携帯用または非携帯用照明装置に用いられてもよい。
【0046】
反射板128は、楕円反射板28と同様に、電球、レンズ、または他の照明機構を受けるための開口132を有する。開口132は、ベース134により囲まれている。また、反射板128は、左壁138、右壁136(いずれも図10に示されている。)、上部壁140、および、下部壁142(いずれも図11に最もよく示されている。)を有する。
【0047】
図示の実施形態では、反射板128は、下部カップ状部150および上部カップ状部156を有する。下部カップ状部150および上部カップ状部156は、図12の電球148のような電球の上方と下方とに位置している。上部カップ状部150および下部カップ状部は、電球148の側面からのやや離れて等間隔となるように形成された部位により形成された円弧からなる、円弧形状を有する。上部カップ状部150および下部カップ状部位156は、電球148からの光を屈折、反射させることを補助するとともに、その光を、図5を用いて説明した小さい光ビーム50等の集中部に向ける。
【0048】
また、反射板128は、左側カップ状部152および右側カップ状部154を有する。これらカップ状部は、ベース134から外側に、反射板128の外側最左端部および最右端部まで伸長する。カップ状部152および154は、凹状に構成されている。カップ状部152および154は、好ましくは、電球148と一列に並ぶように配置され、一般的に、カップ状部152および154の一部に入射した電球からの光を、集中した箇所、例えば図5を参照して説明した小さい光ビーム50に向けるように構成されている。
【0049】
左側および右側カップ状部152および154は、上部壁140および下部壁142に隣接し、これらの下方および上方に延在している。これら表面の外側限界は、点160に頂点を有する。上部壁140および下部壁142がカップ状であり、左側カップ状部152および右側カップ状部154もカップ状であることから、その外側限界、すなわち反射板128の外側部位162が傾斜し、大部分において、電球148から放射された光はこれら表面に入射しない。
【0050】
一実施形態においては、所望の効果を得るために、反射板128が高い反射性を有する、すなわち研磨された選択的表面を備え、その一方で、他の表面が曇り、研磨されておらず、または粗いものとすることができる。例えば、図示の実施形態では、上部および下部カップ状部150および156、上部壁140、下部壁142、および外側部位162は、すべて曇った表面(表面に点を付して示す)を有し、左側および右側カップ状部位152および154、およびベース134は、高い反射性を有する(点が付されていない)表面を持つ。これにより、例えば、図5の明るさが集中する中心点50を(ベース134を介して)形成するとともに、(左側および右側カップ状部152および154からの反射を介して)より暗い外側光ビーム52を形成するために、光をより適切に集光することができる。
【0051】
必要に応じて、図12に示すように、反射板128から発せられる光を、広く拡散した状態から狭く集中した状態へ調整することができるように、電球148が反射板128中に格納可能であってもよい。電球148を反射板128に対して相対的に移動させることにより、所望のビームサイズを提供できる。
【0052】
図8の実施形態ではまた、垂直方向に制限された幅広い光パターンが提供される。一実施形態では、電球148から発せられた光は、上部壁140および下部壁142により71.91度に制限され、左壁138および右壁136により148.68度に広められる。他の角度であってもよい。
【0053】
他の変形例についても本発明の思想の範囲内に含まれる。したがって、本発明は種々の変形および他の構成を許容できるが、図示された特定の実施形態について図面に示し、上記に詳細に説明した。しかしながら、開示された特定の形態に限定する意図はなく、逆に、特許請求の範囲により定義される本発明の思想および範囲に含まれるすべての改良、代替構成、および均等物を含むことが意図されていると理解されるべきである。
【0054】
本明細書で引用した刊行物、特許出願、および特許を含むすべての参考文献は、本明細書中に全体的に開示されることにより、各文献が個別および特定の参考文献として組み込まれると同様の範囲において、参考文献として組み込まれる。
【0055】
本発明を説明する文脈中(特に、特許請求の範囲の文脈中)における「一つの」「前記」および同様の指示物の語は、本発明中に特に明示がなければ、または明らかな矛盾がなければ、単数および複数両方を含むと解釈される。「構成され」「有し」「含み」および「含有し」との語は、非制限的な語として解釈される(例えば、「含むが、これに限られない」を意味する)。「連結され」との語は、何らかのものが介在していたとしても、部分的または全体的に内包され、取り付けられ、または互いに連結されていると解釈される。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書中で特に示されていなければ、単に当該範囲中に入る別個の値を独立して引用するための簡略方法として意図されたものであり、各別個の値は、本明細書中に独立して列挙されているように本明細書中に組み込まれている。本明細書に記載されたすべての方法は、本明細書中で特に示されていなければ、または、文脈上明らかに矛盾していなければ、いかなる順番でも適当たり得る。本明細書で提供された、いかなるまたはすべての例示の使用、または、例示言語(例えば「等」)は、特に断りがなければ、単に本発明の実施形態をよりよく修飾するものにすぎず、本発明の範囲に制限を与えるものではないと意図される。本明細書中のいかなる用語も、特許請求の範囲にない要素を、本発明を実行するために必須な要素の示唆であると解釈されるべきものではない。
【0056】
本発明を実行するために本発明者らが知る最適な実施形態を含む本発明の好ましい実施形態は、本明細書中に記載されている。本技術分野における通常の知識を有する者にとって、上記の記載を読めば、これら好ましい実施形態の変形は明らかである。発明者らは、当業者がそのような変形を適切に実施することを期待する。また、発明者らは、本明細書中に特に記載された以外の方法により本発明が実行されることも意図している。すなわち、本発明は、添付された特許請求の範囲中に列挙された主題のすべての変形および均等物についても、該当する法律により権利が与えられたものとして包含する。さらに、本明細書中で特に示されていなければ、または文脈上明らかに矛盾していなければ、すべての可能な変形中における上記に記載された要素のいかなる組み合わせも、本発明により包含される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態が組み込まれた懐中電灯の正面斜視図である。
【図2】図1の懐中電灯の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る、図1の懐中電灯に使用可能な反射板の垂直方向に沿った断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る、図1の懐中電灯に使用可能な反射板の水平方向に沿った断面図である。
【図5】発せられた光を示す図1の懐中電灯の背面斜視図である。
【図6】図1の懐中電灯と人間の目とを比較した正面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る懐中電灯から発せられた光ビームを示す、図1の懐中電灯の側面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る懐中電灯に使用可能な、他の実施形態に係る反射板の正面斜視図である。
【図9】図8の反射板の正面図である。
【図10】図9の線10−10に沿った、図8および図9の反射板の断面図である。
【図11】図9の線11−11に沿った、図8および図9の反射板の断面図である。
【図12】電球が反射板中に格納可能な他の実施形態について示す、図8の懐中電灯の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲する外側リムを備えた楕円反射板と、前記反射板に取り付けられた湾曲レンズとを備える、携帯用ライト。
【請求項2】
前記反射板は、小さい集中した光ビームと、外側の楕円フラッドビームとを供給するように構成され配置されている、請求項1に記載の携帯用ライト。
【請求項3】
前記反射板は、側部よりも長く伸長する中央部を有する先端縁を備えた、請求項1に記載の携帯用ライト。
【請求項4】
主な光ビームが該反射板から直進するとともに、追加的な光が、前記反射板から上方よりも下方へ向かう、光パターンを提供するように前記反射板が構成され配置されている、請求項1に記載の携帯用ライト。
【請求項5】
光の一部が下方へ向かうように、前記反射板の下部壁が、下方へ、上部壁より長く伸長する、請求項4に記載の携帯用ライト。
【請求項6】
前記携帯用ライトは懐中電灯である、請求項1に記載の携帯用ライト。
【請求項7】
前記懐中電灯は、前記反射板の近傍で、懐中電灯の外側部が係合することにより、一表面に対して立てた状態で支持されるように構成されている、請求項6に記載の携帯用ライト。
【請求項8】
前記懐中電灯の前記外側部は、前記表面と係合する突起を備える、請求項7に記載の携帯用ライト。
【請求項9】
前記反射板の上部壁は、前記反射板の内部に対して下向きの凹形状を有し、下部壁は、前記反射板の内部に対して上向きの凹形状を有する、請求項1に記載の携帯用ライト。
【請求項10】
左壁および右壁が、各々前記内部に向かって外向きの凸形状を有する、請求項9に記載の携帯用ライト。
【請求項11】
前記反射板は、上部壁、下部壁、右壁、および、左壁を備え、前記上部壁および下部壁は、前記反射板から放出される光を第1の次元方向に制限するように間隔づけられ、前記左壁および右壁は、前記反射板から放出される光を第2次元方向に放射するように間隔づけて配置されている、請求項1に記載の携帯用ライト。
【請求項12】
前記懐中電灯は、前記第1の次元方向が垂直方向となり、前記第2の次元方向が水平方向となるように配置されている、請求項11に記載の携帯用ライト。
【請求項13】
前記左壁および右壁は、光を少なくとも140度に放射するように間隔づけて配置されている、請求項11に記載の携帯用ライト。
【請求項14】
前記左壁および右壁は、光を少なくとも160度に放射するように間隔づけて配置されている、請求項13に記載の携帯用ライト。
【請求項15】
前記左壁および右壁は、光を少なくとも180度に放射するように間隔づけて配置されている、請求項14に記載の携帯用ライト。
【請求項16】
前記楕円反射板中の光源と、前記楕円反射板を貫通して延在し、前記光源から発せられて前記楕円反射板から出る光の方向に沿って位置決めされた軸とをさらに備え、前記左壁および右壁の外側先端縁は、前記軸と平行に後退し、前記上部壁および下部壁の外側先端縁よりも前記光源側に寄っている、請求項11に記載の携帯用ライト。
【請求項17】
前記右壁および左壁は各々、前記光源から外方向へ延在するとともに、少なくともその一部が前記上部壁および下部壁の外縁まで延在しない、凹カップ状の内表面を備える、請求項16に記載の携帯用ライト。
【請求項18】
前記凹カップ状の内表面は、前記左壁および右壁の外側部まで外側に延在する、請求項17に記載の携帯用ライト。
【請求項19】
前記凹カップ状の内表面は、小さい集中した光ビームを供給するように構成され、前記楕円反射板の他の部位は、外側楕円フラッドビームを供給する、請求項17に記載の携帯用ライト。
【請求項20】
前記凹カップ状の内表面は、前記他の部位よりも反射率が高い、請求項19に記載の携帯用ライト。
【請求項21】
前記凹カップ状の内表面は、研磨されている、請求項20に記載の携帯用ライト。
【請求項22】
前記右壁および左壁は各々、前記光源から外方向へ延在するとともに、少なくともその一部が前記上部壁および下部壁の外縁まで延在しない、凹カップ状の内表面を備えた、請求項11に記載の携帯用ライト。
【請求項23】
前記凹カップ状の内表面は、前記左壁および右壁の外側部位まで外側に延在する、請求項22に記載の携帯用ライト。
【請求項24】
前記凹カップ状の内表面は、小さい集中した光ビームを供給するように構成され、前記楕円反射板の他の部位は、外側楕円フラッドビームを供給する、請求項22に記載の携帯用ライト。
【請求項25】
前記凹カップ状の内表面は、前記他の部位よりも反射率が高い、請求項24に記載の携帯用ライト。
【請求項26】
前記凹カップ状の内表面は、研磨されている、請求項25に記載の携帯用ライト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−513487(P2007−513487A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542890(P2006−542890)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/041096
【国際公開番号】WO2005/057080
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(593107454)ザ・コールマン・カンパニー・インコーポレイテッド (44)
【氏名又は名称原語表記】THE COLEMAN COMPANY, INC.
【Fターム(参考)】