説明

携帯型の超音波画像診断装置

【課題】携帯型の超音波診断装置において、充電作業やバッテリパックの交換作業を効率良く行うようにする。
【解決手段】検査予約作成部31は、検査種−プローブテーブル記憶部32と検査種−検査所要時間テーブル記憶部33から、検査予約情報内の検査種に対応する超音波プローブの種別と検査所要時間を抽出し、検査予約情報に付加する。検査可否判断部36は、検査予約情報に含まれる超音波プローブの種別に基づいて、プローブ−消費電力テーブル記憶部38から、対応する消費電力を抽出し、抽出した消費電力と検査所要時間からバッテリの使用量を算出する。検査可否判断部36は、算出したバッテリの使用量とバッテリ残り容量取得部37から取得したバッテリの残り容量に基づいて、検査が実施可能か否かを判断する。検査可否リスト作成表示部39は、その判断結果を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型の超音波画像診断装置に関し、特に、充電作業やバッテリパックの交換作業を効率良く行うことが可能な携帯型の超音波画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波プローブを体表から当てるだけの簡単な操作で心臓の拍動や胎児の動きの様子がリアルタイム表示で得られ、かつ安全性が高いため、繰り返して検査を行うことができる。この他、システムの規模がX線装置、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などの他の診断機器に比べて小さく、ベッドサイドへ移動して行っての検査も容易に行えるなど簡便な診断手法であると言える。この超音波診断装置は、それが具備する機能の種類によって様々に異なるが、小型なものは片手で持ち運べる程度のものが開発されており、超音波診断はX線などのように被曝の影響がなく、産科や在宅医療等においても使用することができる。
【0003】
この様な特性から、近年ベッドサイドでの使用および持ち運びを両立させた超音波診断装置が開発されてきている。例えば、特許文献1には、持ち運び可能な小型超音波装置を支持機構に着脱自在に接続する超音波撮影装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−200079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
医師は、バッテリ駆動によって超音波診断装置を使用している場合、あとどれくらい検査を行うことができるかを判断することが難しいため、検査途中でバッテリが切れて患者に不快感を与えてしまったり、身体への悪影響を与えてしまったりする恐れがある。
【0006】
そこで、これらを回避するために、医師は、早めに充電作業を行ったり、早めにバッテリパックの交換作業を行わなければならず、検査のスループットが上がらないばかりか、バッテリが劣化しやすくなってしまう課題があった。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、携帯型の超音波画像診断装置において、充電作業やバッテリパックの交換作業を効率良く行うことが可能な携帯型の超音波画像診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明の特徴は、携帯型の超音波画像診断装置において、検査種に対する検査所要時間を定義した時間テーブルを記憶する時間テーブル記憶手段と、ユーザからの入力情報、および、時間テーブル記憶手段に記憶されている時間テーブルに基づいて、検査予約情報を作成する検査予約作成手段と、バッテリの残りの容量を取得するバッテリ残り容量取得手段と、検査予約作成手段により作成された検査予約情報、および、バッテリ残り容量取得手段により取得されたバッテリの残りの容量に基づいて、検査予約情報に対応する検査が実施可能であるか否かを判断する検査可否判断手段と、検査可否判断手段による判断結果を表示する表示手段とを備えることである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、携帯型の超音波画像診断装置において、充電作業やバッテリパックの交換作業を効率良く行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態に係る超音波診断システムの外観構成例を示す図である。
【図2】携帯型の超音波画像診断装置の内部の構成例を示すブロック図である。
【図3】バッテリ残容量管理部の機能構成例を示すブロック図である。
【図4】検査予約情報入力画面の表示例を示す図である。
【図5】検査種−プローブテーブルの例を示す図である。
【図6】検査種−検査所要時間テーブルの例を示す図である。
【図7】検査リストの例を示す図である。
【図8】プローブ−消費電力テーブルの例を示す図である。
【図9】検査可否リストの例を示す図である。
【図10】検査可否の確認画面の表示例を示す図である。
【図11】検査リスト作成処理を説明するフローチャートである。
【図12】検査リストの更新処理を説明するフローチャートである。
【図13】検査可否リスト表示処理を説明するフローチャートである。
【図14】予備のバッテリパックがある場合の検査可否リスト表示処理を説明するフローチャートである。
【図15】検査可否の確認画面の他の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る超音波診断システム1の外観構成例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、超音波診断システム1は、携帯型の超音波画像診断装置10とドッキングステーション20の結合によって構成されている。
【0014】
携帯型の超音波画像診断装置10は、ノート型パーソナルコンピュータに類似した外観を持ち、コントロールパネル11、超音波プローブ12、およびモニタ13などを備えている。
【0015】
コントロールパネル11は、キーボード、トラックボール、ボタン、およびスイッチなどで構成されており、ユーザにより、検査情報の入力、および、検査開始や終了などの指示が行われる。
【0016】
超音波プローブ12は、被検体の体表面にその先端面を接触させ超音波の送受波を行うものであり、複数個の圧電振動子を有しており、それらは2次元的に配列されている。
【0017】
モニタ13は、超音波プローブ12で受波され処理された超音波画像を表示する。
【0018】
ドッキングステーション20は、携帯型の超音波画像診断装置10の機能拡張用の各種のエレクトロニクス系、例えば、機能が強化されたプローブ駆動系、データ処理系、メモリ系、電源系、周辺機器接続系等を備えている。ドッキングステーション20は、走行用の車輪を有し、カートとしても機能する。
【0019】
図2は、携帯型の超音波画像診断装置10の内部の構成例を示すブロック図である。
【0020】
送受信部10aは、超音波プローブ12から送信超音波を発生させるための超音波駆動信号を生成して超音波プローブ12に送信する。また送受信部10aは、超音波プローブ12の圧電振動子から得られる複数チャンネルの超音波受信信号に対して整相加算を行った後、信号処理部10bに出力する。
【0021】
信号処理部10bは、Bモード処理部、ドプラ処理部、およびカラーモード処理部を有しており、送受信部11から出力されたデータは、いずれかの処理部で所定の処理が施される。Bモード処理部は、エコーの振幅情報の映像化を行い、エコー信号からBモード超音波ラスタデータを生成する。ドプラ処理部は、ドプラ偏移周波数成分を取り出し、さらにFFT(Fast Fourier Transform)処理などを施して血流情報を有するデータを生成する。カラーモード処理部は、動いている血流情報の映像化を行い、カラー超音波ラスタデータを生成する。所定の処理が施されて生成されたラスタデータは、DSC(Digital Scan Converter)10cに供給される。
【0022】
DSC10cは、直交座標系で表される画像を得るために、超音波ラスタデータを直交座標で表されるデータに変換(スキャンコンバージョン処理)する。例えば、Bモード処理部から出力されたデータに対してスキャンコンバージョン処理が施されると、披検体の組織形状を2次元情報として表わす断層像データが生成される。
【0023】
画像生成部10dは、断層像データからボクセルデータを生成し、さらにボリュームレンダリング処理を行って超音波画像データなどを生成してモニタ13に表示させる。
【0024】
制御部10eは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などからなり、コントロールパネル11からの入力信号に基づいて、ROMに記憶されている制御プログラムなどを読み出して実行することにより各部の制御を行う。
【0025】
制御部10eは、CPUが実行するプログラムとして、例えば、バッテリ残容量を管理するためのアプリケーションをROMに記憶している。以下、バッテリ残容量を管理するためのアプリケーションをバッテリ残容量管理アプリケーションという。
【0026】
ここで、バッテリ残容量アプリケーションは、携帯型の超音波画像診断装置10がドッキングステーション20から外された場合に起動され、携帯型の超音波画像診断装置10に取り付けられている図示せぬバッテリの残り容量を管理する。このバッテリ残容量管理プリケーションが実行されることによって、制御部10eにバッテリ残容量管理部30が実装される。
【0027】
図3は、バッテリ残容量管理部30の機能構成例を示すブロック図である。
【0028】
検査予約作成部31は、コントロールパネル11から入力された情報に基づき検査予約情報を作成する。
【0029】
例えば、ユーザは、モニタ13上に、図4に示すような検査予約情報入力画面50を表示させる。図4の例では、検査予約情報入力画面50上に、患者名、患者ID、および検査種別を入力する入力エリア51乃至53が設けられている。また入力情報を登録する場合に押下されるOKボタン54と、入力情報を中止する場合に押下されるキャンセルボタン55も設けられている。この検査予約情報入力画面50上で、ユーザがコントロールパネル11を用いて各種情報を入力することに応じて、検査予約情報が作成される。
【0030】
なお、検査予約情報入力画面50は、携帯型の超音波画像診断装置10の起動時に初期画面として表示させるようにしてもよいし、マウスクリックによって簡単に起動できるようにするアプリケーションソフトである、ランチャの起動によって表示させるようにしてもよい。
【0031】
検査予約作成部31は、検査種−プローブテーブル記憶部32から、検査種に対する超音波プローブの種別を定義したテーブルのデータファイルを参照し、作成した検査予約情報内の検査種に対応する超音波プローブの種別を得る。
【0032】
また検査予約作成部31は、検査種−検査所要時間テーブル記憶部33から、検査種に対する検査所要時間を定義したテーブルのデータファイルを参照し、作成した検査予約情報内の検査種に対応する検査所要時間を得る。
【0033】
検査予約作成部31は、作成した検査予約情報に、検査種−プローブテーブル記憶部32から得た超音波プローブの種別、および、検査種−検査所要時間テーブル記憶部33から得た検査所要時間を付加して1件の検査予約情報を作成し、それを検査リスト管理部34に供給する。この検査予約作成部31が検査予約作成手段として機能する。
【0034】
検査種−プローブテーブル記憶部32は、種別テーブル記憶手段として機能し、検査種に対する超音波プローブの種別を定義したテーブル(種別テーブル)のデータファイルを記憶する。以下、検査種に対する超音波プローブの種別を定義したテーブル(種別テーブル)を、検査種−プローブテーブルと称する。
【0035】
図5は、検査種−プローブテーブルの例を示している。図5に示す検査種−プローブテーブルの例では、「頚動脈」の検査種に「リニアI」のプローブ種が関連付けられ、「腹部」の検査種に「コンベ(コンベックス)II」のプローブ種が関連付けられ、「下肢」の検査種に「リニアII」のプローブ種が関連付けられ、「心臓」の検査種に「セクタI」のプローブ種が関連付けられている。
【0036】
検査種−検査所要時間テーブル記憶部33は、時間テーブル記憶手段として機能し、検査種に対する検査所要時間を定義したテーブル(時間テーブル)のデータファイルを記憶する。以下、検査種に対する検査所要時間を定義したテーブル(時間テーブル)を、検査種−検査所要時間テーブルと称する。
【0037】
図6は、検査種−検査所要時間テーブルの例を示している。図6に示す検査種−検査所要時間テーブルの例では、「頚動脈」の検査種に「10分」の検査所要時間が関連付けられ、「腹部」の検査種に「15分」の検査所要時間が関連付けられ、「下肢」の検査種に「5分」の検査所要時間が関連付けられ、「心臓」の検査種に「20分」の検査所要時間が関連付けられている。
【0038】
このように、検査種に応じて使用する超音波プローブの種別が決まること、および、検査種に応じておおよその検査所要時間が決まることを利用して、予め、検査種−プローブテーブルと検査種−検査所要時間テーブルを作成し、検査種−プローブテーブル記憶部32と検査種−検査所要時間テーブル記憶部33にそれぞれ記憶させておくようにする。
【0039】
検査リスト管理部34は、検査リスト管理手段として機能し、検査予約作成部31から供給された検査予約情報(患者名、患者ID、検査種別、検査種に対するプローブ種、および検査種に対する検査所要時間)を、1件の検査として検査リストに登録(追加)し、それを検査リスト記憶部35に記憶する。また検査リスト管理部34は、一連の検査予約情報が登録された検査リストを検査可否判断部36に供給する。
【0040】
検査リスト管理部34は、コントロールパネル11を介してユーザにより入力された検査完了の通知を受け、検査リスト記憶部35に記憶されている検査リストから、完了した検査に対応する検査予約情報を削除して検査リストを更新する。
【0041】
検査リスト管理部34は、コントロールパネル11を介してユーザによって検査リストの変更が行われた場合、検査リスト記憶部35に記憶されている検査リストを読み出し、その内容を更新する。
【0042】
検査リスト記憶部35は、検査リスト管理部34によって登録された検査リストを記憶する。
【0043】
図7は、検査リスト記憶部35に記憶される検査リストの例を示す。
【0044】
図7に示す検査リストの例では、患者を一意に特定する「患者ID」、「患者名」、検査の種別を表わす「検査種」、検査種に対応して使用する超音波プローブの種別を表わす「使用プローブ」、および当該検査の所要時間を表わす「検査所要時間」の項目から構成されている。例えば、「1234567-001」の患者IDと、「××太郎」の患者名と、「頚動脈」の検査種と、「リニアI」の使用プローブと、「10分」の検査所要時間とが1件の検査予約情報として検査リストに登録されている。
【0045】
検査可否判断部36は、検査リスト管理部34から検査リストを得るとともに、バッテリ残り容量取得部37からバッテリの残り容量を得る。検査可否判断部36は、プローブ−消費電力テーブル記憶部38から、超音波プローブの種別に対する消費電力を定義したテーブルのデータファイルを参照し、検査リスト内の全ての検査に関して、残りのバッテリで検査の実施が可能か否かを判断する。検査可否判断部36は、検査実施の可否判断結果を検査可否リスト作成表示部39に供給する。検査可否判断部36は、このような検査実施の可否の判断を、内蔵するタイマによって所定時間毎に行う。この検査可否判断部36が検査可否判断手段として機能する。
【0046】
バッテリ残り容量取得部37は、図示せぬバッテリの総容量および残容量を監視しており、常時、バッテリの残り容量を取得している。このバッテリ残り容量取得部37がバッテリ残り容量取得手段として機能する。
【0047】
プローブ−消費電力テーブル記憶部38は、電力テーブル記憶手段として機能し、超音波プローブの種別に対する消費電力を定義したテーブル(電力テーブル)のデータファイルを記憶する。以下、超音波プローブの種別に対する消費電力を定義したテーブル(電力テーブル)を、プローブ−消費電力テーブルと称する。
【0048】
図8は、プローブ−消費電力テーブルの例を示している。図8に示すプローブ−消費電力テーブルの例では、「コンベI」のプローブ種に「10W」の消費電力が関連付けられ、「コンベII」のプローブ種に「15W」の消費電力が関連付けられ、「セクタI」のプローブ種に「10W」の消費電力が関連付けられ、「セクタII」のプローブ種に「5W」の消費電力が関連付けられ、「リニアI」のプローブ種に「15W」の消費電力が関連付けられ、「リニアII」のプローブ種に「20W」の消費電力が関連付けられている。
【0049】
このように、プローブ種に応じて消費電力が決まることを利用して、予め、プローブ−消費電力テーブルを作成し、プローブ−消費電力テーブル記憶部38に記憶させておくようにする。
【0050】
検査可否リスト作成表示部39は、検査可否判断部36から供給された、全ての検査に関する検査実施の可否判断結果に基づいて、図9に示すような検査可否リストを作成する。
【0051】
図9に示す検査可否リストの例では、図7に示した検査リストに、検査実施の可否を表わす「検査可否」の項目がさらに追加されて構成されている。例えば、第1乃至第3番目に登録されている検査については、「○(検査可能)」、第4番目に登録されている検査については、「△(ほぼ検査可能)」、第5および第6番目に登録されている検査については、「×(検査不可)」の判断結果が追記されている。
【0052】
検査可否リスト作成表示部39は、表示手段として機能し、作成した検査可否リストに基づいて実施可能な検査数を算出し、その算出結果とともに検査可否の確認を行うための画面をモニタ13に表示させる。
【0053】
図10は、検査可否リスト作成表示部39によりモニタ13に表示される検査可否の確認画面60の表示例を示している。図10の例においては、基本的に、図9に示した検査可否リストと同様の構成を有する検査可否リスト61が画面上に表示されており、第1乃至第3番目に登録されている検査の表示項目には、実施可能(図中における「○」)であることを表わす色や柄(例えば、白色)が付され、第4番目に登録されている検査の表示項目には、ほぼ実施可能(図中における「△」)であることを表わす色や柄(例えば、黄色)が付され、第5および第6番目に登録されている検査の表示項目には、実施不可(図中における「×」)であることを表わす色や柄(例えば、赤色)が付されている。
【0054】
つまり、ユーザが残りのバッテリ容量を容易に把握することができるように、検査の実施可能のレベルに合わせて、視覚的に表示されている。また、検査可否リスト61の下方には、実施可能な検査数を表わす情報部62が表示されている。これによっても、ユーザが直感的に残りのバッテリ容量を把握することができる。
【0055】
次に、図11のフローチャートを参照して、携帯型の超音波画像診断装置10が実行する検査リスト作成処理について説明する。なお、この処理は、ユーザによって、図4に示す検査予約情報入力画面50が表示され、この画面上で検査予約情報の入力が行われた場合に開始される。
【0056】
ステップS1において、検査予約作成部31は、コントロールパネル11を介して入力されたユーザからの検査予約情報(患者名、患者ID、検査種別)を取得する。
【0057】
ステップS2において、検査予約作成部31は、検査種−プローブテーブル記憶部32に記憶されている検査種−プローブテーブルを参照し、ステップS1の処理で取得した検査予約情報に含まれる検査種に対応するプローブ種を抽出する。例えば、検査予約情報に「頚動脈」の検査種が含まれていた場合、図5に示す検査種−プローブテーブルから、「リニアI」のプローブ種が抽出される。
【0058】
ステップS3において、検査予約作成部31は、検査種−検査所要時間テーブル記憶部33に記憶されている検査種−検査所要時間テーブルを参照し、ステップS1の処理で取得した検査予約情報に含まれる検査種に対応する検査所要時間を抽出する。例えば、検査予約情報に「頚動脈」の検査種が含まれていた場合、図6に示す検査種−検査所要時間テーブルから、「10分」の検査所要時間が抽出される。
【0059】
ステップS4において、検査リスト管理部34は、ステップS1の処理で取得した検査予約情報、ステップS2の処理で抽出したプローブ種、およびステップS3の処理で抽出した検査所要時間を、1件の検査として検査リストに追加し、それを検査リスト記憶部35に記憶する。
【0060】
以上のように、ユーザからの検査予約情報の入力に応じて、検査リストに検査が追加されていき、図7に示すような検査リストが作成される。
【0061】
次に、図12のフローチャートを参照して、携帯型の超音波画像診断装置10が実行する検査リストの更新処理について説明する。
【0062】
ステップS11において、検査リスト管理部34は、検査完了が通知されたか否か、すなわち、ユーザによってコントロールパネル11を介して検査完了が入力されたか否かを判定し、検査完了が通知されていないと判定した場合、ステップS12に進む。
【0063】
ステップS12において、検査リスト管理部34は、検査リストが変更されたか否か、すなわち、ユーザによってコントロールパネル11を介して、検査リスト中の使用プローブや検査所要時間が変更されたか否かを判定し、検査リストが変更されていないと判定した場合、ステップS11に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0064】
そして、検査リスト管理部34は、ステップS11において、検査完了が通知されたと判定した場合、または、ステップS12において、検査リストが変更されたと判定した場合、ステップS13に進み、検査リスト記憶部35から検査リストを読み出して更新する。
【0065】
例えば、図7に示す検査リストにおいて、第1番目に登録されている検査が終了し、ユーザによってコントロールパネル11を用いて検査終了が入力された場合には、当該検査の検査予約情報が検査リストから削除される。
【0066】
また例えば、図7に示す検査リストの第1番目に登録されている検査予約情報において、ユーザによってコントロールパネル11を用いて、使用プローブや検査所要時間が変更された場合には、当該検査の検査予約情報が書き換えられる。
【0067】
以上のように、検査完了または入力内容の変更が行われることによって、検査リストが更新される。
【0068】
次に、図13のフローチャートを参照して、携帯型の超音波画像診断装置10が実行する検査可否リスト表示処理について説明する。なお、この処理は、バッテリ残容量管理プリケーションの起動時または検査可否判断部36が内蔵するタイマによって所定時間毎に行われる。
【0069】
ステップS21において、バッテリ残り容量取得部37は、図示せぬバッテリの残り容量Rを取得する。
【0070】
ステップS22において、検査可否判断部36は、検査リスト管理部34を介して検査リスト記憶部35から検査リストを取得する。
【0071】
ステップS23において、検査可否判断部36は、ステップS22の処理で取得した検査リストに検査があるか否かを判定し、検査がある、すなわち、検査予約情報が検査リストに登録されていると判定した場合、ステップS24に進む。
【0072】
ステップS24において、検査可否判断部36は、ステップS22の処理で取得した検査リストに登録されている当該検査の使用プローブと検査所要時間を取得する。
【0073】
例えば、図7に示す検査リストの第1番目に登録されている検査予約情報から、「リニアI」の使用プローブと、「10分」の検査所要時間が取得される。
【0074】
ステップS25において、検査可否判断部36は、取得した使用プローブに基づいて、プローブ−消費電力テーブル記憶部38から、プローブ−消費電力テーブルのデータファイルを参照し、当該検査で使用する超音波プローブの消費電力を得る。そして検査可否判断部36は、ステップS24の処理で取得した検査所要時間と、プローブ−消費電力テーブルから得た消費電力から、消費電力バッテリ使用量Cを次式(1)に従って算出する。
【0075】
バッテリ使用量C=使用プローブの消費電力×検査時間 ・・・(1)
【0076】
例えば、プローブ−消費電力テーブルから、「リニアI」の使用プローブに対応する「15W」の消費電力が得られる。そして、「15W」の消費電力と「10分」の検査所要時間とから、上記の式(1)によって、2.5W(=15W×10/60時間)が算出される。
【0077】
ステップS26において、検査可否判断部36は、ステップS25の処理で算出した当該検査のバッテリ使用量Cを除くバッテリの残り容量Rが所定値Tより多いか否か、すなわち、R−C>Tであるか否かを判定し、当該検査のバッテリ使用量Cを除くバッテリの残り容量Rが所定値Tより多いと判定した場合、ステップS27に進む。
【0078】
ステップS27において、検査可否判断部36は、当該検査は実施可能(「○」)と判断する。そして、検査可否リスト作成表示部39は、この判断結果を検査リストに追記して、図9に示すような検査可否リストを作成する。
【0079】
ステップS26において、検査可否判断部36は、当該検査のバッテリ使用量Cを除くバッテリの残り容量Rが所定値Tより少ないと判定した場合、ステップS28に進み、さらに、当該検査のバッテリ使用量Cよりはバッテリの残り容量Rの方が多いか否か、つまり、R−C>0であるか否かを判定する。
【0080】
ステップS28において、検査可否判断部36は、当該検査のバッテリ使用量Cよりはバッテリの残り容量Rの方が多いと判定した場合、ステップS29に進み、ほぼ実施可能(「△」)と判断する。そして、検査可否リスト作成表示部39は、この判断結果を検査リストに追記して、図9に示すような検査可否リストを作成する。
【0081】
ステップS30において、検査可否判断部36は、次式(2)に示すように、バッテリの残り容量Rから当該検査のバッテリ使用量Cを引いたものを、新たなバッテリの残り容量Rとする。
【0082】
新たなバッテリの残り容量R=R−C ・・・(2)
【0083】
ステップS28において、検査可否判断部36は、当該検査のバッテリ使用量Cがバッテリの残り容量Rより少ない、つまり、R−C≦0と判定した場合、ステップS31に進み、実施不可(「×」)と判断する。そして、検査可否リスト作成表示部39は、この判断結果を検査リストに追記して、図9に示すような検査可否リストを作成する。
【0084】
ステップS30またはステップS31の処理の後、ステップS32に進み、検査可否判断部36は、検査リストに登録されている次の検査をチェックし、ステップS23に戻り、検査リストに登録されている全ての検査について、上述した処理を繰り返し実行する。
【0085】
ステップS23において、検査可否判断部36は、検査がない、つまり、全ての検査について検査の実施可否の判断を行ったと判定した場合、ステップS33に進む。
【0086】
ステップS33において、検査可否リスト作成表示部39は、作成した検査可否リストに基づいて、実施可能な検査数を算出する。例えば、図9に示す検査可否リストでは、実施可能な検査数として「3」が算出される。
【0087】
ステップS34において、検査可否リスト作成表示部39は、作成した検査可否リスト、および、ステップS33で算出した実施可能検査数に基づいて、図10に示すような検査可否の確認画面60をモニタ33に表示させる。
【0088】
以上のように、超音波プローブの種別に応じた消費電力と、検査の種別に応じた検査所要時間をそれぞれテーブルとして記憶しておき、それらのテーブルに基づいて検査毎にバッテリ使用量を算出することで、検査毎に検査実施の可否を判断することが可能となる。
【0089】
またバッテリの残り容量を、時間で表示させるのではなく、実施可能検査数として表示させることによって、ユーザは、直感的にバッテリの残り容量を把握することが可能となる。
【0090】
さらに、検査リストは、検査完了や入力内容の変更に伴って常に更新され、検査可否リストも所定時間毎に更新されることで、常に最新の検査可否の確認画面60を表示させることができ、ユーザは、充電作業やバッテリパックの交換作業を常に意識する必要がなくなり、効率良く検査を行うことが可能となる。
【0091】
なお、以上においては、予備のバッテリパックがあることを考慮していないが、本実施の形態では、予備のバッテリパックがあることを考慮して検査可否を判断することも可能である。
【0092】
図14は、予備のバッテリパックがある場合の検査可否リスト表示処理について説明する。なお、この処理も、図13に示した処理と同様に、バッテリ残容量管理プリケーションの起動時または検査可否判断部36が内蔵するタイマによって所定時間毎に行われる。
【0093】
ステップS41乃至ステップS45の処理は、図13の処理で説明したステップS21乃至ステップS25の処理と同様であるため、その説明は省略する。
【0094】
ステップS46において、検査可否判断部36は、ステップS45の処理で算出した当該検査のバッテリ使用量Cよりはバッテリの残り容量Rの方が多いか否か、つまり、R−C>0であるか否かを判定する。
【0095】
ステップS46において、検査可否判断部36は、当該検査のバッテリ使用量Cよりはバッテリの残り容量Rの方が多いと判定した場合、ステップS49に進む。
【0096】
一方、ステップS46において、検査可否判断部36は、当該検査のバッテリ使用量Cがバッテリの残り容量Rより少ない、つまり、R−C≦0と判定した場合、ステップS48に進み、当該検査の直前をバッテリパック交換のタイミングと判断し、当該検査のバッテリパックの番号を更新する。
【0097】
ステップS48において、検査可否判断部36は、バッテリの残り容量Rをフル(満充電)にする。
【0098】
そして、検査可否判断部36は、ステップS46において、当該検査のバッテリ使用量Cよりはバッテリの残り容量Rの方が多いと判定した場合、または、ステップS48の処理の後、ステップS49に進み、上記の式(2)で示したように、バッテリの残り容量Rから当該検査のバッテリ使用量Cを引いたものを、新たなバッテリの残り容量Rとする。
【0099】
ステップS50において、検査可否判断部36は、検査リストに登録されている次の検査をチェックし、ステップS43に戻り、検査リストに登録されている全ての検査について、上述した処理を繰り返し実行する。
【0100】
ステップS43において、検査可否判断部36は、検査がない、つまり、全ての検査について検査の実施可否の判断を行ったと判定した場合、ステップS51に進む。
【0101】
ステップS51において、検査可否リスト作成表示部39は、作成した検査可否リストに基づいて、現バッテリパックで実施可能な検査数を算出する。
【0102】
ステップS52において、検査可否リスト作成表示部39は、作成した検査可否リスト、および、ステップS51の処理で算出した実施可能検査数に基づいて、図15に示すような検査可否の確認画面70をモニタ33に表示させる。
【0103】
図15の例においては、基本的に、図10に示した検査可否の確認画面60と同様の構成を有しているが、検査可否リスト61における検査可否の項目の代わりに、図15に示す検査可否リスト71では、バッテリパックの番号を表わす項目が表示されている。すなわち、検査可否リスト71の第1乃至第3番目に登録されている検査は、番号1のバッテリパックで検査実施可能であることを表わし、第4と第5番目に登録されている検査は、番号2のバッテリパックで検査実施可能であることを表わし、第6番目に登録されている検査は、番号3のバッテリパックで検査実施可能であることを表わしている。
【0104】
また、検査可否リスト71におけるバッテリパックの交換タイミング位置に矢印Y1,Y2が表示されている。さらに、検査可否リスト71の下方には、現バッテリパックで実施可能な検査数を表わす情報部72、および、必要な予備のバッテリパック数を表わす情報部73が表示されている。
【0105】
以上のように、全検査を実施するために必要なバッテリパックの数およびバッテリパックの交換のタイミングを表示させることで、ユーザは、バッテリパックの交換時期を容易に把握することができ、効率良く検査を行うことが可能となる。
【0106】
本実施の形態によれば、現バッテリで実施可能な検査数やドッキングステーション20での充電時期、あるいは、バッテリパックの交換時期を容易に知ることができる。従って、検査途中でバッテリが切れて患者に不快感を与えてしまったり、身体への悪影響を与えてしまったりするといった状況を回避することが可能となる。
【0107】
また、充電作業やバッテリパックの交換作業を効率良く行うことができるため、検査のスループットが上がり、バッテリの劣化を抑えることができる。
【0108】
この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化したり、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせたりすることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0109】
10 携帯型の超音波画像診断装置
31 検査予約作成部
32 検査種−プローブテーブル記憶部
33 検査種−検査所要時間テーブル記憶部
34 検査リスト管理部
36 検査可否判断部
37 バッテリ残り容量取得部
38 プローブ−消費電力テーブル記憶部
39 検査可否リスト作成表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査種に対する検査所要時間を定義した時間テーブルを記憶する時間テーブル記憶手段と、
ユーザからの入力情報、および、前記時間テーブル記憶手段に記憶されている前記時間テーブルに基づいて、検査予約情報を作成する検査予約作成手段と、
バッテリの残りの容量を取得するバッテリ残り容量取得手段と、
前記検査予約作成手段により作成された前記検査予約情報、および、前記バッテリ残り容量取得手段により取得された前記バッテリの残りの容量に基づいて、前記検査予約情報に対応する検査が実施可能であるか否かを判断する検査可否判断手段と、
前記検査可否判断手段による判断結果を表示する表示手段と
を備えることを特徴とする携帯型の超音波画像診断装置。
【請求項2】
検査種に対する超音波プローブの種別を定義した種別テーブルを記憶する種別テーブル記憶手段と、
前記超音波プローブの種別に対する消費電力を定義した電力テーブルを記憶する電力テーブル記憶手段と、
をさらに備え、
前記検査予約作成手段は、ユーザからの入力情報、前記種別テーブル記憶手段に記憶されている前記種別テーブル、および、前記時間テーブル記憶手段に記憶されている前記時間テーブルに基づいて、検査予約情報を作成し、
前記検査可否判断手段は、前記検査予約作成手段により作成された前記検査予約情報、前記バッテリ残り容量取得手段により取得された前記バッテリの残りの容量、および、前記電力テーブル記憶手段に記憶されている前記電力テーブルに基づいて、前記検査予約情報に対応する検査が実施可能であるか否かを判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯型の超音波画像診断装置。
【請求項3】
前記検査予約作成手段は、前記入力情報に含まれる検査種に基づいて、前記種別テーブル記憶手段から、前記検査種に一致する前記超音波プローブの種別を抽出するとともに、前記時間テーブル記憶手段から、前記検査種に一致する前記検査所要時間を抽出し、抽出した前記超音波プローブの種別と前記検査所要時間を前記入力情報に付加して、前記検査予約情報を作成する
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯型の超音波画像診断装置。
【請求項4】
前記検査可否判断手段は、前記検査予約情報に含まれる前記超音波プローブの種別に基づいて、前記電力テーブル記憶手段から、前記超音波プローブの種別に一致する前記消費電力を抽出し、抽出した前記消費電力と、前記検査予約情報に含まれる前記検査所要時間から前記バッテリの使用量を算出し、算出した前記バッテリの使用量と前記バッテリの残りの容量に基づいて、前記検査予約情報に対応する検査が実施可能であるか否かを判断する
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の携帯型の超音波画像診断装置。
【請求項5】
前記検査予約作成手段により作成された複数の前記検査予約情報を一連の検査リストとして管理する検査リスト管理手段をさらに備え、
前記検査可否判断手段は、前記検査リストに登録されている全ての検査予約情報について実施可能であるか否かを判断し、その判断結果に基づいて検査可能な検査数を算出し、
前記表示手段は、算出された前記検査可能な検査数をさらに表示する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の携帯型の超音波画像診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−101730(P2011−101730A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257801(P2009−257801)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】