説明

携帯型撮像装置

【課題】 携帯型撮像装置において明るい色の外観でありながら十分な遮光性を備え、部品数を少なくして、組立の時間や労力を低減させる。
【解決手段】 バーコード読取装置10は、筐体ケース20の内側部材22i、24iが黒色等の遮光性の高い樹脂材料からなるため、筐体ケース20自体に遮光性を持たせることができる。このため、筐体ケース20内に遮光部材を設ける必要が無くなり、構造を簡略化できると共に、部品数が少なくなり、組立の時間や労力を低減させることができる。また、外側部材22o、24oにアイボリー等の明るい色合いを用いることでデザイン性を高めながら、十分な遮光性を備える筐体ケース20を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードへ照射した光の反射光によりバーコードの画像を読み取るバーコード読取装置やディジタルカメラ付き携帯電話機等の携帯型撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
商品などに付着されているバーコードに、発光ダイオード等の照明光源からの照明光を照射し、結像光学系で反射光を結像させ、受光素子で上記バーコードの画像を読み取るバーコード読取装置が知られている。このようなバーコード読取装置は、清潔な印象を与えるアイボリー等の白色系の明るい色が好まれる。
【0003】
ここで、バーコード読取装置の外色を白色系にするため筐体ケースを白色系樹脂で成形すると、外来光が筐体ケースを透過して、結像光学系、受光素子に入射しバーコードの画像を読み取れなくことがある。このため、白色系の筐体ケースを用いる際には、結像光学系、受光素子を遮光する遮光部材を別途必要となっていた。特許文献1には、結像光学系の組み付けを容易にするため、結像光学系レンズ、ミラーを保持する保持部材を用いるバーコード読取装置が開示されている。係るバーコード読取装置では、一般的に、該保持部材に遮光板としての役割を持たせている。
【特許文献1】特開平7−334599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、係るバーコード読取装置では、遮光板、遮光部材を筐体ケース内に取り付けるため、組立には多くの時間や労力を必要とした。このため、少しでも部品点数を少なくして組立にかかる時間や労力を削減することが望まれている。
【0005】
光学絞り等の結像光学系は、光学的な精密性を維持して取り付けるため、特に組み立てに時間や労力を必要とした。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、携帯型撮像装置において明るい色の外観でありながら十分な遮光性をもち、部品数を少なくして、組立の時間や労力を低減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、結像光学系34、30と、受光素子36と、制御回路44が実装された回路基板38とを筐体ケース20に収容してなる携帯型撮像装置10であって、
前記筐体ケース20が、遮光性樹脂材料を用い成形型によって成形され、前記結像光学系34、30及び前記受光素子36への外来光の入射に対して遮光する内側部材22i、24iと、
前記内側部材22i、24iの外側に2重成形法によって、当該内側部材22i、24iと一体に成型された外側部材22o、24oとからなることを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1では、筐体ケース20の内側部材22i、24iが遮光性の高い遮光性樹脂材料からなるため、筐体ケース20自体に遮光性を持たせることができる。このため、携帯型撮像装置10の筐体ケース20内に遮光部材を設ける必要が無くなり、構造を簡略化できると共に、部品数が少なくなって、携帯型撮像装置10の組立の時間や労力を低減させることができる。また、外側部材22o、24oに明るい色合いを用いることでデザイン性を高めながら、十分な遮光性を備える筐体ケース20を実現できる。
【0009】
請求項2では、外側部材22o、24oが内側部材22i、24iよりも遮光性の低い樹脂材料からなり、即ち、外側部材22o、24oの樹脂材料の選択に制限がないため、携帯型撮像装置10の外色を自由に選択できる。
【0010】
請求項3では、内側部材22i、24iと共に光学絞り34を一体成型するため、光学絞りを別途設ける必要が無くなり、構造を簡略化できると共に、部品数が少なくなり、光学絞り34の組み付けの時間や労力を低減させることができる。
【0011】
請求項4では、内側部材22i、24iが外側部材22o、24oのほぼ全内面に設けられているため、結像光学系34、30及び受光素子36を確実に遮光することができる。
【0012】
請求項5では、内側部材22iは外側部材22oの一部内面に設けられ、回路基板38と共に結像光学系34、30及び受光素子36を遮光するため、内部部材の製造コストを低減することができる。
【0013】
請求項6では、内側部材22iの一部を筐体ケース20の表面に露出させることで、2色を組み合わせた外観にできるため、廉価にデザイン性の高い筐体ケース20を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について、図に基づいて説明する。図1は本発明の携帯型撮像装置の構成を適用したバーコード読取装置の断面図である。
バーコード読取装置10は、筐体ケース20、読取部14、および、データ処理出力部16を備えている。筐体ケース20の後方部は操作者が手で握るための把持部18が形成されている。筐体ケース20は、上ケース22と下ケース24とからなり、上ケース22と下ケース24との間に基板38を挟持している。筐体ケース20の前方部の下部には、左右(図1では紙面に垂直方向)に長い、すなわち幅方向に長い読取口12が設けられている。
【0015】
読取部14は、照射用赤色発光ダイオード40、第1反射鏡32f、光学絞り34、結像レンズ30、第2反射鏡32sおよび光学的センサ(受光素子)36を備えてなる。第1反射鏡32f、光学絞り34、結像レンズ30、第2反射鏡32sは、結像光学系を構成する。照射用赤色発光ダイオード40からの光は、筐体ケース20外部のバーコード80へ照射される。基板38には反射光を通すための開口38aが設けられている。バーコード80により反射された赤色光は、再度、筐体ケース20内に入り、基板38の開口38aを通り、第1反射鏡32fで反射されて、光学絞り34を通り、結像レンズ30へ入射し、第2反射鏡32sで反射され、受光素子がリニアに1列配列された光学的センサ36にバーコード80の像を結像させる。このバーコード80の像を光電変換して読み取った光学的センサ36は、像のパターンを表す電気信号としてデータ処理出力部16側に出力する。
【0016】
筐体ケース20内部のデータ処理出力部16には、基板38上に配置された波形整形部50、メモリ42、マイクロコンピュータ(制御回路)44、およびレジスタやホストコンピュータ等の本体装置への出力回路46が備えられている。データ処理出力部16は、読取部14の光学的センサ36からバーコード80の読み取りデータを、波形整形部50を介して入力すると、マイクロコンピュータ44の処理により、そのデータをデコード(解読)して、バーコード80が表している情報を得、その情報をメモリ42に一旦記憶する。次に、このメモリ42内に記憶された情報を出力回路46により、所定タイミングで、光や電波による無線通信あるいは有線通信で本体装置へ送信する。
【0017】
第1実施形態の筐体ケース20を構成する上ケース22、下ケース24は、それぞれ遮光性に優れる黒色樹脂からなる内側部材22i、24iと、遮光性の低いアイボリー色樹脂からなる外側部材22o、24oとから構成される。該上ケース22、下ケース24は、内側部材22i、24iと外側部材22o、24oとを2重成型法により成型して成る。上ケース22の内側部材22iは、更に、光学絞り34が一体成型されている。
【0018】
即ち、内側部材22i及び光学絞り34形成用の上型、下型の間に黒色樹脂を射出することで、一体に内側部材22i及び光学絞り34を形成する。引き続き、下型をそのままに、上型を外側部材22o用の上型に代え、アイボリー色樹脂を射出することにより、内側部材22i上に外側部材22oを一体に成型することで、上ケース22は形成される。
【0019】
第1実施形態のバーコード読取装置10は、筐体ケース20の内側部材22i、24iが黒色系遮光性の高い樹脂材料からなるため、筐体ケース20自体に遮光性を持たせることができる。このため、筐体ケース20内に遮光部材を設ける必要が無くなり、構造を簡略化できると共に、部品数が少なくなり、組立の時間や労力を低減させることができる。また、外側部材22o、24oにアイボリー等の明るい色合いを用いることでデザイン性を高めながら、同時に遮光性を備える筐体ケース20を実現できる。即ち、外側部材22o、24oが内側部材22i、24iよりも遮光性の低い樹脂材料からなり、即ち、外側部材22o、24oの樹脂材料の選択に制限がないため、携帯型撮像装置10の外色を自由に選択できる。更に、内側部材22i、24iが外側部材22o、24oのほぼ全内面に設けられているため、光学絞り34、結像レンズ30及び受光素子36を確実に遮光することができる。
【0020】
また、第1実施形態のバーコード読取装置10では、内側部材22i、24iと共に光学絞り34を一体成型するため、光学絞りを別途設ける必要が無くなり、構造を簡略化できると共に、部品数が少なくなり、光学絞り34を組み付けるための時間や労力を削減させることができる。
【0021】
[第2実施形態]
図2を参照して本発明の第2実施形態に係るバーコード読取装置を説明する。図2は第2実施形態に係るバーコード読取装置の断面図である。
図1を参照して上述した第1実施形態では、内側部材22i、24iが外側部材22o、24oのほぼ全内面に設けられていた。これに対して、第2実施形態では、内側部材22iが上ケース22の外側部材22oの一部内面に設けられ、回路基板38と共に光学的センサ36及び結像光学系(第1反射鏡32f、光学絞り34、結像レンズ30、第2反射鏡32s)を遮光する。ここで、基板38はガラスエポキシ積層基板であって、表面に塗布されたソルダーレジストにより遮光性を備える。この第2実施形態でも、内側部材22iと一体に光学絞り34が成形されている。
【0022】
図2で示した第2実施形態では、基板38上面に光学的センサ36及び結像光学系(第1反射鏡32f、光学絞り34、結像レンズ30、第2反射鏡32s)が配置されているため、上ケース22側に遮光性内側部材22iが設けられた。ここで、基板下面側に光学的センサ及び結像光学系が配置される場合には、下ケース24側に遮光性内側部材24iを設ける。
【0023】
第2実施形態のバーコード読取装置10では、内側部材22iが外側部材22oの一部内面にのみ設けられるため、内部部材の製造コストを低減することができる。
【0024】
[第3実施形態]
図3及び図4を参照して本発明の第3実施形態に係るバーコード読取装置を説明する。図3は第3実施形態に係るバーコード読取装置の断面図であり、図4は斜視図である。
図1、図2を参照して上述した第1、第2実施形態では、内側部材が外側部材の内面のみに設けられていた。これに対して、第2実施形態では、内側部材22iの一部を、筐体ケース20の表面から露出させてある。即ち、図4に示すようにアイボリー色の外側部材22oに開口22bを設け、該開口22bから黒色の内側部材22iを露出させ、デザイン上でのアクセントとしている。
【0025】
第3実施形態のバーコード読取装置10では、内側部材22iの一部を筐体ケース20の表面に露出させることで、外色を2色にできるため、廉価にデザイン性の高い筐体ケース20を実現できる。なお、外側部材22と内側部材22iの露出部とは、段差が無いようにフラットに形成することも、意匠性を更に高めるために段差を持たせることも可能である。また、第3実施形態は、第2実施形態の様に、内側部材22iが上ケース22の外側部材22oの一部内面にのみ設けられる際にも適用可能である。
【0026】
上述した実施形態では、内側部材22i、24iとして黒色の樹脂を用いる例を挙げたが、内側部材22i、24iは遮光性を備えれば、どのような色の材質の樹脂であっても可能である。また、外側部材22o、24oとして、アイボリー色の樹脂を用いる例を挙げたが、外側部材22o、24oとしてはどのような樹脂でも良く、例えば、透明等の遮光性をほとんど備えない材質から、内側部材22i、24iよりも高い遮光性を備える材質まで使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
上述した実施形態では、本発明の構成をバーコード読取装置に適用した例について説明したが、本発明はバーコード読取装置に限定されず、例えば、筐体が樹脂で形成され、絞りが固定されたデジタルカメラ付き携帯電話等の携帯型撮像装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に係るバーコード読取装置の断面図である。
【図2】第2実施形態に係るバーコード読取装置の断面図である。
【図3】第3実施形態に係るバーコード読取装置の断面図である。
【図4】第3実施形態に係るバーコード読取装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
10 バーコード読取装置
20 ケース
22 上ケース
22i 内側部材
22o 外側部材
24 下ケース
22i 内側部材
22o 外側部材
26 照射用赤色発光ダイオード
38 基板
42 マイクロコンピュータ
80 バーコード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結像光学系と、受光素子と、制御回路が実装された回路基板とを筐体ケースに収容してなる携帯型撮像装置であって、
前記筐体ケースが、遮光性樹脂材料を用い成形型によって成形され、前記結像光学系及び前記受光素子への外来光の入射に対して遮光する内側部材と、
前記内側部材の外側に2重成形法によって、当該内側部材と一体に成型された外側部材とからなることを特徴とする携帯型撮像装置。
【請求項2】
前記外側部材は、前記内側部材よりも遮光性の低い樹脂材料からなることを特徴とする請求項1の携帯型撮像装置。
【請求項3】
前記内側部材と共に光学絞りを一体成型してなる請求項1又は請求項2の携帯型撮像装置。
【請求項4】
前記内側部材は、前記外側部材のほぼ全内面に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1の携帯型撮像装置。
【請求項5】
前記内側部材は、前記外側部材の一部内面に設けられ、前記回路基板と組み合わせることにより前記結像光学系及び前記受光素子への外来光の入射に対して遮光することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1の携帯型撮像装置。
【請求項6】
前記内側部材の一部を、前記筐体ケースの表面に露出させたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1の携帯型撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−109046(P2007−109046A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299908(P2005−299908)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成17年9月14日から9月16日 社団法人日本自動認識システム協会開催の「第7回 自動認識総合展」に出品
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】