説明

携帯型決済端末及び制御プログラム

【課題】 非接触ICカードを支払いに加えた携帯型決済端末は、多機能化にともない印刷中に他のプログラムを動作させてしまうと十分なCPUの処理能力、電力を確保できず顧客に渡るレシートなどの印刷がかすれてしまい印刷品位が悪化するおそれがあった。
【解決手段】各種制御を行う制御部と印刷部と操作部とを有する携帯型決済端末であって、
電子マネーを決済する非接触ICカード通信部を備え、前記印刷部が前記決済の結果に対応した印刷中において前記制御部は、前記操作部による操作を制限することを特徴とする携帯型決済端末を用いることで解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は持ち運び可能なプリンタ部を備えた携帯型決済端末および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、決済端末においてPOSシステムが広く使われている。POSシステムとは一般に、POS端末にバーコードリーダを備え、購入される商品に付けられたバーコードを読み込み対応した商品コードを認識する。
【0003】
現金での支払いにおいては釣銭が発生するため、販売店には釣銭の準備、顧客側は釣銭の受領という負担がある。そのため電磁誘導で発生した電流で動作するアンテナコイルを備えたプリペイド式の非接触式ICカードが開発されている。そのため、非接触ICカードに電子マネーを入金し、販売店で支払いを行える非接触ICカードR/Wを備えたPOS端末が普及している。
【0004】
また、電子決済の普及に伴い電子マネーも発行管理会社の異なる複数種類が存在するため特許文献1に記されるように、非接触ICカードに入金された複数種類の電子マネーの支払いに対応したセルフレジシステムが知られている。
【0005】
また、持ち運び可能な携帯型決済端末も知られる。プリンタ部を有する携帯型決済端末は、筐体内に格納したバッテリーの電力によってレシートを印刷するため、携帯型決済端末では電力消費の大きい印刷に関して様々な提案がなされている。
【0006】
特許文献2に知られるように、バッテリーの電圧によって、印刷を不可としその後の処理も電圧に対応させることが記載されている。
【0007】
近年は、携帯型決済端末においても携帯型決済端末に電磁誘導を利用した非接触ICカードに記憶された電子マネーによる支払いが望まれ、磁界の発生や専用アプリケーションの起動など、CPUの負荷やバッテリー消費が増加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−15532公報
【特許文献2】特開2003−140785公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1のPOS端末は、装置が大きく持ち運びができるようなものではない。特許文献2においては、バッテリーの電圧によって、印刷を行わない時の処理が記載されているが、他者に金額を証明する時など、レシートが必要な顧客にとっては、自動的にレシートが発行されないことは好ましくない。
【0010】
また、携帯型決済端末が多機能化するにつれて、複数の機能を同時に動かした場合プログラムを実行するCPUの負荷は増加し、電力の消費も増加する。印刷中に他のプログラムの動作を行うと十分なCPUの処理能力、電力を確保できず、顧客に渡るレシートなどの印刷がかすれてしまい印刷品位が悪化するおそれがあった。そこで、本発明は上述した事情に鑑み、非接触ICカード通信部とプリンタ部を備えた携帯型決済端末において、発券を行う際に印刷物がかすれにくい携帯型決済端末および制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
各種制御を行う制御部と印刷部と操作部を有する携帯型決済端末であって、電子マネーを決済する非接触ICカード通信部とを備え、前記印刷部が前記決済の結果に対応した印刷中において、前記制御部は、前記操作部による操作を制限することを特徴とする携帯型決済端末を利用することで解決される。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、非接触ICカード通信部とプリンタ部を備えた携帯型決済端末において、印刷中にCPU、バッテリーに係る負担を増加させないことによって、印刷物のかすれのおそれを減少させた印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用できる携帯型決済端末内の正面図である。
【図2】本発明を適用できる携帯型決済端末内のハードウェア構成図である。
【図3】本発明を適用できる携帯型決済端末の決済処理フローチャート1である。
【図4】本発明を適用できる携帯型決済端末の決済処理フローチャート2である。
【図5】本発明を適用できる携帯型決済端末により出力されたレシートである。
【図6】実施例1の携帯型決済端末のハードウェア構成図である。
【図7】実施例1の清算におけるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明を実施するための形態を図1〜図5に基づいて詳細に説明する。図1において、本発明を適用できる携帯型決済端末100の正面図を示す。図2に本発明を適用できる携帯型決済端末100のハードウェア構成を示す。
【0015】
プロセッサであるCPU101、メモリであるRAM102、ROM103、フラッシュメモリ107を備える。フラッシュメモリ107は、耐衝撃性、小型化、省電力性を備えたNANDフラッシュメモリが好ましいが、使用条件によっては、HDDやSSDなどの記録媒体でも構わない。
【0016】
CPU101は四則演算や比較演算等の各種の演算や、ハードウェアやソフトウェアの制御を行う。RAM102には、フラッシュメモリ107や着脱式記録媒体R/W110に装着されたSDカード、CFカード等の記憶媒体から読み出されたオペレーションシステム(OS)のプログラムや各種アプリケーションプログラム(アプリ)や様々なプログラムに必要な各種情報が読み出される。
【0017】
CPU101は、RAM102にOSやアプリのプログラムや各種情報を読み込み、携帯型決済端末100の制御部として動作する。
【0018】
例えば、RAM102は非接触ICカードで決済するためのプログラムや不図示のネットワークを介してサーバから携帯決済端末100へ各種情報を受信するアプリや各種情報が記憶されこれらはCPU101の制御の下に実行される。
【0019】
ROM103は、OSと協働してフラッシュメモリ107への入出力を司るいわゆるBIOS等が記憶される。
【0020】
携帯型決済端末100に入力を行う操作部104、携帯型決済端末100の選択画面などの画像表示を行う表示部105、操作部104と表示部105はタッチパネルシートとディスプレイを貼り合わせて、タッチディスプレイとしてもよい。不図示の電源スイッチが操作部104と別に設けられている。ただし、OSを終了させることで電源を切ることができるので、操作部104の操作により電源を切ることもできる。
【0021】
操作部104は、携帯型決済端末100の各種機能の選択や実行を行う。各種機能の専用のボタンを用いてもよいし、表示部105の表示内容に合わせてCPU101は適宜操作の結果を変更できるようにしてもよい。
【0022】
また携帯型決済端末100は、電話回線や無線LANなどを利用して外部ネットワークと情報をやり取りする無線通信部106を備える。無線通信部106は、CPU101によって制御されるOSの通信プログラムやアプリと協働してネットワークを介した外部との通信を行う。
【0023】
印刷を行うプリンタ部108は、携帯性の面からサーマルプリンタが好ましいが、ドットインパクト、インクジェットなどの方式でも構わない。
【0024】
非接触ICカードR/W109は、コイルに電流を流すことで磁界を発生させ、電磁誘導により非接触ICカードに起電力を発生させる。非接触ICカードは、その起電力により金額などの情報を発信する。記憶された電子マネーに対して電子決済を行う非接触ICカードR/W109は、複数の電子マネーの電子決済に対応している。SDカードやCFカードに情報の読み書きを行う着脱式記録媒体R/W110は複数のスロットを備えれば様々なカードに対応させることができる。
【0025】
情報を読み込む情報読み取り部111はそれぞれシステムバス112を介して互いに接続されている。情報読み取り部111は、バーコードリーダであれば、バーコード、2Dスキャナであれば、QRコード等も読み込むことができる。情報読み取り部111が撮像装置であれば、OCR認識や複数の撮像装置による立体認識も可能である。またICタグリーダを用いてもよい。いずれの場合も、光、規格に沿った電磁波の帯域などを読み取り時に情報読み取り部111から発し、読み取り対象から反射または応答した電磁波を受信することで情報を読み取ることができる。また複数情報読み取り部を備えることや磁気カードリーダで、磁気カードを読み取ることもできる。
【0026】
システムバス112は、例えば、PCIバス、PCIeバス、メモリバス等を意味する。各バス間の接続用チップやいわゆるUSBのような入出力用インタフェースは省略している。バッテリー113は、CPU101の制御に応じて、電源ラインを介して携帯型決済端末100の各部へ電力を供給する。各部に接続される電源ラインは省略する。
【0027】
CPU101は、情報読み取り部111によって読み込んだ情報に対応した対応情報をいずれかの記録媒体や無線通信部106により接続された外部ネットワークのサーバからダウンロードし、RAM102に出力する。RAM102に出力された情報で領収書として、印刷することを予め設定された情報や操作部104により印刷することを選択された情報は、CPU101によって、印刷手段であるプリンタ部108により印刷を行う。
【0028】
ここで、対応情報とは、商品の金額や決済時に必要としないサービス等の情報も含む。対応情報の中でも、商品の性質やクーポンの情報など決済を行う際のサービス等の情報は付加情報とする。
【0029】
また、フラッシュメモリ107や、着脱式記録媒体R/W110に装着された不揮発性記憶媒体に記憶された各種情報はCPU101の制御の下、RAM102を利用して対応情報の書き換えを行うことができる。
【0030】
情報読み取り部111は、操作部104の操作に対応して、情報読み取り部111で読み込み可能な情報の読み込みを行う。
【0031】
つまり、無線通信部106、非接触ICカード読み取り部109、情報読み取り部111は、CPU101の制御の下、各々電磁波を用いて外部にある情報を直接または、読み取った情報を変換しRAM102出力する。
【0032】
CPU101は、いずれかの記録媒体に記憶された1種または複数のアプリを使用してアプリに対応した非接触ICカードから、非接触ICカードR/W109により電子決済を行う。CPU101は、アプリまたはOSの機能を利用して、プリンタ部108により印刷を行う前に、携帯型決済端末100の機能に対して制限を行う。
【0033】
図3及び図4に、本発明の実施の形態における決済のフローチャートを示す。
【0034】
S101において、携帯型決済端末100を操作部104で操作し、情報読み取り部111を読み取り対象を読み取り可能な状態に起動する。
【0035】
S102において、操作部104を操作することにより、携帯型決済端末100は、情報読み取り部111から情報の読み込みを行いRAM102に出力する。CPU101は、読み込んだ情報に対応した対応情報をフラッシュメモリ107、または、着脱式記録媒体R/W110に装着された不揮発性記憶媒体からRAM102に読み込み、対応情報で表示される設定がなされているものを表示部105に表示する。無線通信が行える場合は無線通信部106により外部のサーバから対応情報をダウンロードする。
【0036】
S103において、読み取り対象を更に選択するか表示部105に表示する。操作部104により読み取り対象をさらに選択する場合は、S102にもどる。商品の選択を終了することを操作部104で選択した場合は情報読み取り部111の起動を解除し読み取り不可な休止状態としてS104へ進む。
【0037】
S104において、表示部105で使用する非接触ICカードを選択する画面が表示される。操作部104で支払いに使用したい非接触ICカードを選択するとS105へ進む。
【0038】
S105において、他の非接触ICカードを使用するかの選択画面が表示部105に表示される。2枚以上の非接触ICカードを使用する場合は操作部104によりYESを選択しS104にもどる。選択した非接触ICカードで決済に進む場合は、NOを選択しS106へ進む。
【0039】
S106において、CPU101は使用される電子マネーの決済に対応したアプリを起動し、非接触ICカードR/W109を読み取り可能な状態にする。S104で選択した非接触ICカードのアプリが複数のアプリを必要とする場合、選択された順番にアプリを起動させる。アプリが起動して非接触ICカードを各々対応したアプリの起動中に非接触ICカードR/W109の磁界の届く範囲を通過させる。非接触ICカードは、非接触ICカードR/W109の発生させた磁界を通過すると電磁誘導により動作電力を得て、電磁波を発し非接触ICカードR/W109と非接触通信を行う。その結果、表示部105は電子マネーの入金額を読み込み表示させる。このとき商品合計金額も表示部105に表示されている。
【0040】
決済を行うかの確認画面でYESを選択し、非接触ICカードを一枚しか選択していない場合の動作を説明する。
【0041】
決済を行うことに同意すると非接触ICカードR/W109の読み取り範囲に選択した非接触ICカードを通過させると金額を読み込み、決済後の残高を非接触ICカードに送信しS107へ進む。
【0042】
複数の非接触ICカードを選択していた場合は、各々の使用金額を操作部104で選択し、決済を行うことを決定する。その後、各々の非接触ICカードを再度、非接触ICカードR/W109の読み取り範囲に選択した非接触ICカードを通過させ各々の金額を読み込み決済後の残高を各々の非接触ICカードに送信する。残高を送信し終わると非接触ICカードR/W109の磁界の発生を中止して、S107に進む。ここで決済を行わないことを選択した場合は、S108へ進む。
【0043】
S107において、表示部105に、決済の結果を発券するかの選択画面を表示される。操作部104でYESを選択するとS109に進みNOを選択すると一連の決済動作を終了し、次の決済を行うことができるようになる。
【0044】
S108において、表示部105に選択のやり直しは、商品か非接触ICカードであるかの選択画面が表示される。操作部104で非接触ICカードを選択した場合S104に戻り、選択した商品の情報は保存され、非接触ICカードの情報は消去される。商品を選択した場合S102へ進む。S102に戻る際、それまでのステップで選択された商品、選択された非接触ICカードの情報は消去される。
【0045】
S109において、情報読み取り部111で、読み取った対応情報の中から付加情報を選択する選択画面が表示部105に表示され、操作部104で選択を行うことができる。情報読み取り部111で複数の商品を読み取った場合は、各々の付加情報が表示される。複数選択することも可能である。このときの操作でレシートが不要で付加情報のみが必要であるという設定も行うことができる。
【0046】
S110において、無線通信部106が接続先を探して電波を発している状態であれば、電波の発生を停止する。無線通信部106がいずれかのサーバと接続中であれば、接続を切断し新たにサーバを検索する電波を発生させることも停止する。電波の発生を終了させるとS111へ進む。
【0047】
S111において、バックライトの輝度を事前に設定した任意の設定値に減少させる。このとき、完全に消してしまうことも可能である。輝度の減少量をバッテリー残量に対応させる設定も行える。
【0048】
S112において、表示部105に印刷中ということと印刷を中止するための操作を示した静止画を表示させ、カーソル等の移動も禁止する。
【0049】
S113において、CPU101は現在起動していないアプリの起動を禁止するアプリをいずれかの記憶媒体からRAM102に読み込み実行する。OSのサービスを用いて行うこともできる。そのため、情報読み取り部111により読み取り対象から情報を読み取る操作を操作部104から行えない。また、同様に非接触ICカードR/W109が磁界を発することも禁止される。
【0050】
S114において、CPU101はプリンタ部108で決済結果の印刷を開始する。印刷を終え、表示部105に印刷終了の表示が現れる。印刷が終了し表示部105は待機画面を表示すると、印刷中は携帯型決済端末100で禁止されていた機能の禁止が解除される。
【0051】
図5に、付加情報選択画面で、商品Aの付加情報として、生産者、生産地、含有アレルギー物質と商品Aのクーポン情報を選択して印刷されたレシートを例示する。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、印刷中に操作部104は制限を受けるので、印刷がかすれてしまうことを軽減することができる。操作部104を動かしカーソルを動かすような場合も、表示部105の表示を変更させるために、CPU101の処理を必要とする。印刷中の表示に静止画を用いて、カーソルが動かないようにすることでも効果がある。
【0053】
機能の禁止及び制限の順番は適宜変更可能であり、CPUの使用率に応じて、印刷時の負荷が印刷物のかすれを起こさない程度であれば行う制限を事前に選択することができる。
【0054】
新たにアプリを立ち上げると、CPU101は、プログラムの記憶媒体からのRAM102に読み込み実行するため、携帯型決済端末100の各部との連携が必要になる。そのためCPU101の負荷が特に増大する。新たなアプリケーションの起動を制限すると、CPU101は処理能力、バッテリー113からの電力をプリンタ部108に集中できるため、印刷がかすれてしまうといった状況を回避しやすい。
【0055】
非接触ICカードR/W109への操作部104での操作は、プログラムの立ち上げ、読み取りのための磁界の発生、非接触ICカードのからの応答を受信し、読み取り金額を差し引きし支払い後の残高を非接触ICカードに書き込みを行うことまでを含む。
【0056】
情報読み取り部111への操作部104での操作は、プログラムの立ち上げ、読み取りのための電磁波の発生、RAM102への出力、RAM102への対応情報の出力までを含む。
【0057】
無線通信部106への操作部104での操作は、プログラムの立ち上げ、ネットワークとの接続のための電磁波の発生、ネットワークの内のサーバから情報をダウンロードし電磁波を受信してRAM102への対応情報の出力までを含む。
【0058】
さらに、非接触ICカードR/W109のアプリを立ち上げ読み取り状態まで進むと、アプリ実行の負荷と電磁誘導のための電力も使用してしまう。
【0059】
また、情報読み取り部111も、読み取りのためにCPU101の処理能力を必要とし、電磁波を発生するため電力を消費する。
【0060】
無線通信部106もサーバと接続するためには常に電磁波を発する必要があるため電力を消費する。サーバに接続されていない場合も無線通信部106が機能していると接続先を探すために広範囲に電磁波を発する必要があるためより多くの電力を必要とする。
【0061】
さらに、付加情報も印刷し印刷時間が長い場合には、機能を制限し印刷している時間の長さに比例して節電効果が高まる。また無線通信により付加情報を得るためのブラウザなどのアプリを付加情報のダウンロードが終わると自動的に終了させ、起動を制限することでも、印刷中のCPU101の負荷は低減する。
【0062】
本発明の実施の形態では、非接触ICカードはプリペイド式であるため、必要な情報を携帯型決済端末内に備えれば、無線通信が行えない場所などでも支払いを行い、レシートを印刷して、顧客が残高を気にせず安心して買い物することができる。また非接触ICカードで決済を行えるため携帯型決済端末にカードを挿入せずに、決済を行うことができ、顧客利便性も高く、販売員も迅速に決済を行うことができる。売り上げ情報等は、携帯型決済端末のいずれかの記憶媒体に記憶し、販売後にPOSシステムに出力を行えばよい。着脱式記録媒体R/W110に装着された不揮発性記憶媒体に記録し、状況に応じて取替えを行えば、大容量の販売管理情報の移動が簡便である。
【0063】
さらに、顧客は、購入前に非接触ICカードの残高を確認でき、購入後も非接触ICカードの残高を記したレシートを保存しておくことで、残高が分からなくなる不便さを減らすことができる。また他者に支払いを証明する場合にも使用できる。
【0064】
加えて、付加情報は任意に設定可能である。付加情報が画像データである場合、印刷をかすれないで行えることは顧客満足度の向上につながる。
【実施例1】
【0065】
第1の実施例は、切符の清算端末として本発明を適用しうる携帯型決済端末を利用した場合に関する。
【0066】
図6に携帯型決済端末200のハードウェア構成を示す。CPU201の各部の制御方法は、図1の制御方法と同様である。支払い金額を決定するための情報読み取り部が複数あり、操作部と表示部がタッチディスプレイ205として情報の入出力が同じ部位に設けられていることが異なる。磁気リーダ208または2Dスキャナ211から読み取られた内容を各々CPU201により処理しタッチディスプレイ205に表示を行う。本実施例において、情報の読み込み手段は、磁気リーダ208または2Dスキャナ211となる。2Dスキャナ211は、カメラ等の撮像部で構成されている。フラッシュメモリ207もしくはSDカードR/W210に装着されたSDカードに切符のテンプレートが保存されている。2Dスキャナ211で読み取りを行う場合、切符という定型的なものを読み取るため、テンプレートを保持しテンプレートとの比較により、文字認識精度を向上させている。
【0067】
以下に電車内での清算におけるフローチャート図7を用いて説明する。乗客が、特急券を購入もしくは切符の精算を希望する。
【0068】
S201において、磁気リーダ208または2Dスキャナ211にて切符の読み取りを行う。磁気リーダ208で読み取った場合は、直接、磁気リーダ208で読み取った情報をCPU101で処理することができる。2Dスキャナ211で読み取った場合は、読み取った画像は、SDカードR/W210に装着されたSDカードに保存されている切符のテンプレートと比較し、OCR認識が行われる。認識結果によって、提示された切符の乗車駅や降車駅を特定する。これら処理は、RAM202に読み込まれたアプリをCPU201が実行することで行われる。
【0069】
S202において、清算のための情報である降車駅や特急券の有無などを聞き取り、タッチディスプレイ205により清算に必要な情報の入力を行う。その結果、CPU201はタッチディスプレイ205に清算金額を表示する。
【0070】
S203において、CPU201は、非接触ICカードの決済のためのアプリを実行し、非接触ICカードR/W209により非接触ICカードの残高を読み取る。
【0071】
S204において、CPU201はS203で読み取った非接触ICカードの残高をタッチディスプレイ205に表示する。
【0072】
S205において、CPU201は残高と清算金額の比較を行う。残高が足りている場合は、タッチディスプレイ205に清算の決定と指定席選択を行うかの選択画面を表示する。タッチディスプレイ205で清算の決定を選択することによってS306へ進む。さらに、指定席を発券する場合はタッチディスプレイ205で指定席選択の表示を選択し、S209へ進む。ここで、CPU201は、乗車券の清算を行った残高から購入できる指定席が存在しない場合は、指定席選択の表示を行わない。
【0073】
S206において、CPU201は、決済処理後の非接触ICの残高をタッチディスプレイ205に表示し、非接触ICカードR/W209で決済金額に基づいた支払い後の残高を非接触ICカードに書き込む。
【0074】
S207において、タッチディスプレイの表示部分205全体に印刷中、印刷中止をするにはここをタッチしてくださいという静止画の表示を行う。タッチディスプレイ205は、表示されたデータに対応した入力をCPU201に行うので、タッチディスプレイ205は印刷中止の操作しか行えない。従って、タッチディスプレイ205からの入力による新たなアプリケーションの起動は制限される。
【0075】
ここで、制限されるアプリは、磁気リーダ、2Dスキャナを操作するアプリ等であり、OCRやブラウザなども起動できなくなる。
【0076】
S208において、決済した内容に従った乗車券、特急券、指定席などの切符をサーマルプリンタ206により発券する。一般に清算乗車券や特急券も支払い金額は印字される。この場合も乗車駅、区間、下車駅情報等に対応した付加情報を追加できる。清算後の下車駅でのクーポン情報や地図、乗り換えが必要であれば乗り換えの時刻情報等を追加できる。
【0077】
S209において、ブラウザを含む専用アプリを起動し、PHSアンテナ206により、車内指定席予約管理サーバに接続する。タッチディスプレイ205に表示される画面で、該当する列車予約画面を選択する。
【0078】
S210において、乗客の所望とする座席の選択を行い。清算券と指定席券を支払った後の残高がタッチディスプレイ205に表示され、清算決定を選択するとS206へ進む。
【0079】
本実施例において、画像を扱う2Dスキャナや撮影画像を認識するOCR認識ソフト、無線通信を利用したブラウザなどは扱うデータのサイズが大きく、印刷中は使用を制限することで、印刷をかすれずに行うことができる。
【0080】
印刷中にタッチディスプレイ205の全面に表示することで印刷と表示を除いた全ての動作を禁止し、タッチディスプレイ205から印刷中止以外の動作を行えなくすることができる。路線ごとにSDカードを取り替えると付加情報の充実を行いやすい。
【0081】
本実施例では読取対象を切符とし列車を用いたが、形式の決まっているチケットであれば本発明の思想を応用可能であり、航空機の乗り継ぎ変更や、コンサートの座席変更等の場合にも応用することができる。
【符号の説明】
【0082】
100 携帯型決済端末
101 CPU
104 操作部
105 表示部
106 無線通信部
107 フラッシュメモリ
108 プリンタ部
109 非接触ICカードR/W
111 情報読み取り部
113 バッテリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種制御を行う制御部と印刷部と操作部とを有する携帯型決済端末であって、
電子マネーを決済する非接触ICカード通信部を備え、前記印刷部が前記決済の結果に対応した印刷中において
前記制御部は、前記操作部による操作を制限することを特徴とする携帯型決済端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記操作部の非接触ICカード通信部への操作を禁止することを特徴とする請求項1に記載の携帯型決済端末。
【請求項3】
さらに、操作部による操作に対応した表示を行う表示部を備え、
前記印刷部が決済の結果に対応した印刷中において、前記制御部は表示部の表示の変化を禁止することを特徴とした請求項1または請求項2に記載の携帯型決済端末。
【請求項4】
さらに、前記操作部により操作される前記決済金額を決定するための情報読み取り部を備え、
前記印刷中において、前記制御部は、前記操作部による前記情報読み取り部への操作を禁止することを特徴とした請求項1から請求項3に記載の携帯型決済端末。
【請求項5】
さらに、前記情報読み取り部で読み取った情報に対応した対応情報を保存したサーバから前記対応情報をダウンロードする無線通信部とを備え、
前記印刷中において、前記制御部は、前記無線通信部による前記対応情報のダウンロードを禁止することを特徴とした請求項4に記載の携帯型決済端末。
【請求項6】
前記対応情報には、付加情報を含み前記印刷部により付加情報が印刷されることを特徴とした請求項5に記載の携帯型決済端末。
【請求項7】
各種制御を行う制御部と印刷部と操作部とを有する携帯型決済端末の制御をコンピュータに機能させるためのプログラムであって、
電子マネーを決済する非接触ICカード通信部と前記操作部により操作される前記決済の金額を決定するための情報読み取り部とを備え、
前記印刷部が前記決済の結果に対応した印刷工程中において
前記制御部に、前記操作部による操作を制限することを特徴とする携帯型決済端末の制御プログラム。
【請求項8】
前記制御部に、前記操作部によるアプリケーションの起動を禁止することを特徴とする請求項7に記載の携帯型決済端末の制御プログラム。
【請求項9】
さらに、前記情報読み取り部で読み取った情報に対応した対応情報を保存したサーバから前記対応情報をダウンロードする無線通信部とを備え、
前記印刷工程中において、前記制御部に、前記無線通信部による前記対応情報のダウンロードを禁止することを特徴とした請求項7および請求項8に記載の携帯型決済端末の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−253410(P2011−253410A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127631(P2010−127631)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】