説明

携帯型測定器

【課題】1つまたは2つ以上の測定ユニットを接続でき、必要としない測定ユニットは携帯しなくても済む携帯型測定器を提供する。
【解決手段】携帯型測定器1は、共通ユニット2、測定ユニット3、バッテリユニット4の順に連結して積層された状態で各ユニット2,3,4間がコネクタ接続される。各ユニット2,3,4間のコネクタ接続構造は、共通ユニット2、測定ユニット3、バッテリユニット4の順に連結された状態で対向するコネクタ同士の嵌合により実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯して移動しながら所望の測定を行うことができる携帯型測定器に関し、特に、周波数帯や通信規格(例えばGSM(Global System for Mobile Communications )やW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)等)ごとに測定ユニットが用意される電界強度測定装置に最適な携帯型測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯して移動しながら所望の測定を行う携帯型測定器として、例えば下記特許文献1に開示されるものが知られている。この特許文献1に開示される携帯型測定器100は、図7に示すように、単一の筐体から分割された共通ユニット101と測定ユニット102とで構成される。共通ユニット101には、操作部110、表示部111、インターフェース部、制御部からなる共通手段が設けられ、断面部分にはコネクタが露出されている。測定ユニット102には、測定手段と、測定手段に測定を行わせて測定データを制御部に演算処理させるプログラムが記憶される記憶部が設けられ、断面部分にはコネクタが露出されている。これら共通ユニット101と測定ユニット102とは、お互いの断面部分の周縁部を整合させた状態でコネクタ同士が接続される。そして、共通ユニット101に対してコネクタ接続される測定ユニット102を交換して連結させることにより、携帯性を保ちつつ異なる複数種類の携帯型測定器を構成している。
【特許文献1】特開2001−74515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1に開示される従来の携帯型測定器100では、種類の異なる測定を行う場合に、共通ユニット101に対してコネクタ接続される測定ユニット102を交換して再度コネクタ接続する必要があり、共通ユニット101に対して複数種類の測定ユニットを同時にコネクタ接続して、複数種類の測定を同時に行うことができなかった。
【0004】
そこで、複数種類の測定を同時に行える1つの測定ユニットを用意することも考えられる。しかし、このような構成では、測定ユニットの体積や重量が嵩むだけでなく、複数種類の測定を必要としない場合でも、無駄な構成要素を含む測定ユニットを常に携帯しなければならなくなるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、1つまたは2つ以上の測定ユニットを接続でき、必要としない測定ユニットは携帯しなくても済む携帯型測定器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載された携帯型測定器は、本体をなす略直方体形状の共通側筐体27と、測定の開始・終了の指示を含む各種測定に関する制御を行う制御部24と、前記共通側筐体の厚み方向に垂直な一側面27aに設けられた共通側コネクタ25とを含む共通ユニット2と、
前記共通側筐体と略同一の高さ及び横幅を持つ測定側筐体37と、前記共通ユニットの前記制御部からの指示に基づいて所望の測定を行う測定部と、前記測定側筐体が前記共通側筐体に厚み方向に積層された状態で前記共通側コネクタと嵌合する測定側第1コネクタ35aと、該測定側第1コネクタと表裏関係にある位置に設けられた測定側第2コネクタ35bとを含む少なくとも1つの測定ユニット3とから成り、
前記測定ユニットが1つのときは、前記共通ユニットと前記測定ユニットとが厚み方向に積層されて両ユニット間がコネクタ接続され、
前記測定ユニットが複数のときは、当該複数の測定ユニット同士が厚み方向に積層されてコネクタ接続され、かつ前記共通ユニットと前記複数の測定ユニットのうち測定側第1コネクタが露出している測定ユニットとが厚み方向に積層されてコネクタ接続されることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載された携帯型測定器は、請求項1の携帯型測定器において、
前記共通ユニット2は、前記共通側筐体27上において、前記共通側コネクタ25が設けられた側面27bを構成する稜のうち当該共通側コネクタから最も遠い稜又は当該稜の外側を回転軸とするように設けられた共通側連結部材26を備え、
前記測定ユニット3は、前記測定側筐体37上において、前記測定側第1コネクタ35aが設けられた側面37bを構成する稜のうち当該測定側第1コネクタから最も遠い稜又は当該稜の外側を回転軸とするように設けられるとともに、前記測定側第2コネクタ35bが設けられた側面37aを構成する稜のうち当該測定側第2コネクタから最も遠い稜又は当該稜の外側を回転軸とするように設けられた測定側連結部材36を備え、
前記共通側連結部材と前記測定側連結部材、及び前記測定側連結部材と他の測定ユニットの測定側連結部材は、各々協働して、前記稜又は当該稜の外側を回転軸として回動可能に相互係止するが、前記共通ユニットと前記測定ユニットとの積層方向又は前記測定ユニットと他の測定ユニットとの積層方向に対して所定の角度以上をなす方向からでないと解放状態から係止状態へ移行できないことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載された携帯型測定器は、前記共通側筐体と略同一の高さ及び横幅を持つバッテリ側筐体45と、前記共通ユニット及び前記測定ユニットの各部に駆動電源を供給するための電源部と、前記バッテリ側筐体が前記測定側筐体の厚み方向に積層された状態で前記測定側第2コネクタと嵌合するバッテリ側コネクタ43とを含むバッテリユニット4をさらに備え、
前記共通ユニットと積層された1つ又は複数の測定ユニットのうち、前記測定側第2コネクタが露出している測定ユニットと前記バッテリユニットとが厚み方向に積層されてコネクタ接続されることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載された携帯型測定器は、前記バッテリユニット4は、前記バッテリ側筐体45上において、前記バッテリ側コネクタ43が設けられた側面45bを構成する稜のうち当該バッテリ側コネクタから最も遠い稜又は当該稜の外側を回転軸とするように設けられたバッテリ側連結部材を備え、
前記測定側連結部材と前記バッテリ側連結部材は、各々協働して、前記稜又は当該稜の外側を回転軸として回動可能に相互係止するが、前記測定ユニットと前記バッテリユニットとの積層方向に対して所定の角度以上をなす方向からでないと解放状態から係止状態へ移行できないことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載された携帯型測定器は、請求項1乃至4の何れかの携帯型測定器において、
前記測定ユニット3が複数コネクタ接続されているときは、それぞれの測定ユニットが同時に測定を行うことができることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載された携帯型測定器は、請求項1乃至5の何れかの携帯型測定器において、
前記測定ユニット3は、電界強度を測定する電界強度測定ユニットであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、必要な測定ユニットだけを選択して接続することができ、測定器の体積や重量を必要最小限に抑えることができる。しかも、複数の測定ユニットによる測定を一緒に行うことができるので、時間を無駄せずに様々な測定を行うことができる。
【0013】
特に、測定ユニットが周波数帯や通信規格(例えばGSMやW−CDMA等)ごとに用意される電界強度測定器に採用した場合には、これら周波数帯や通信規格に応じた同時測定を行うことができる。
【0014】
また、将来、測定ユニットを開発したり、カスタマイズする場合でも、測定ユニットだけの追加又は交換で済むので、ユーザ側のコスト削減に貢献できる。
【0015】
さらに、従来のようなケーブル接続等の結線作業を必要とせず、作業ミスを防ぐことができる。
【0016】
また、回転させながらでないとユニット間を分離できないので、ユニット間のコネクタのよじれを防止することができる。しかも、コネクタ同士を嵌合する際の位置合わせが不要なので、使いやすく、かつコネクタの破損も防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら具体的に説明する。図1は本発明に係る携帯型測定器を構成する共通ユニットと測定ユニットとバッテリユニットの分離状態を示す概略側面図、図2(a)〜(c)は本発明に係る携帯型測定器のユニット間の連結構造の一例を示す概略側面図、図3(a),(b)は本発明に係る携帯型測定器の構成例を示す概略斜視図、図4は本発明に係る携帯型測定器の共通ユニットの内部構成を示す概略ブロック図、図5は本発明に係る携帯型測定器の測定ユニットの内部構成を示す概略ブロック図、図6は本発明に係る携帯型測定器のバッテリユニットの内部構成を示す概略ブロック図である。
【0018】
本発明に係る携帯型測定器は、携帯して移動しながら所望の測定を行うもので、特に、周波数帯や通信規格(例えばGSMやW−CDMA等)ごとに測定ユニットが用意される電界強度測定装置に最適である。
【0019】
携帯型測定器1は、図1に示すように、単一の共通ユニット2と、選択的に用いられる少なくとも1個の測定ユニット3と、単一のバッテリユニット4とから構成される。この携帯型測定器1は、図3(a),(b)に示すように、単一の共通ユニット2、単一又は複数(図1(b)の例では3個)の測定ユニット3、単一のバッテリユニット4の順に連結して積層した状態で各ユニット2,3,4間をコネクタ接続して使用される。
【0020】
以下、電界強度測定装置に採用した場合における各ユニット2,3,4の構成について説明する。
【0021】
まず、共通ユニット2は、図4に示すように、操作部21、表示部22、外部制御用IF部23、制御部24、共通側コネクタ25、共通側連結部材26(図2参照)が、図1乃至図3に示すような略直方体の形状をなす共通側筐体27に設けられている。
【0022】
操作部21は、図1に示すように、回路基板に設けられた共通側コネクタ25のコネクタ面が露出する共通側筐体27の側面27aとは反対側の側面27bに配置され、測定ユニット3による各種測定の開始や停止、測定条件(測定間隔)の設定など、各種測定に関する操作を行う操作ボタン等で構成される。
【0023】
なお、この操作部21は必須の構成要素ではなく、後述する外部制御用IF部23を介して接続された端末装置等から各種測定に関する操作を行うようにしてもよい。
【0024】
表示部22は、操作部21と並設して共通側筐体27の側面27bに配置され、例えば液晶表示器等で構成され、測定ユニット3による各種測定結果の表示、設定画面の表示など、各種測定に関する表示を行っている。
【0025】
なお、本例において、表示部22は、測定ユニット3が測定中であるか否かを、例えば点灯や点滅、色分けにより示すLEDなどを含むものである。
【0026】
また、この表示部22は必須の構成要素ではなく、後述する外部制御用IF部23を介して接続された端末装置等に各種測定結果の表示等を行うようにしてもよい。
【0027】
外部制御用IF部23は、携帯型測定器外部の端末装置等と共通ユニット2を接続するためのもので、測定結果を端末装置等に送出したり、端末装置等から入力された各種測定条件等を受け取ることができる。また、外部トリガを入力信号として取り込むインターフェースを更に設けて、この外部トリガによって測定ユニット3ごとの時刻同期を図るようにしてもよい。なお、この外部制御用IF部23は、必須の構成要素ではなく、省略することも可能である。
【0028】
制御部24は、共通ユニット2にコネクタ接続された測定ユニット3に対する測定の開始・終了の指示や測定条件(測定間隔)などの設定の指示をする機能、共通ユニット2にコネクタ接続された測定ユニット3の測定データを収集して記憶媒体に記憶させる機能、表示部22に測定結果を表示させる機能、各測定ユニット3に割り振られたアドレスによって各測定ユニット3を識別する機能、測定ユニット3の測定プログラムを更新する機能など、各種測定に関する制御を行っている。
【0029】
なお、外部制御用IF部23を介して端末装置等に共通ユニット2を接続し、測定結果から更に詳細な解析を行ったり、記憶媒体を取り出して別の装置で測定結果を解析することも可能である。
【0030】
また、共通ユニット2は、コネクタ接続されている測定ユニット3に対し、測定の開始・終了や測定条件(測定間隔)等を指示しているが、測定プログラムを持っておらず、実際の測定プログラムは測定ユニット3中に存在する。
【0031】
共通側コネクタ25は、共通ユニット2と測定ユニット3とを連結して厚み方向に積層したときに、測定ユニット3の後述する測定側第1コネクタ35aとちょうど嵌合して接続されるように、共通側筐体27の厚み方向に垂直な1側面(側面27a:操作部21や表示部22が配置される側面27bとは反対側の側面27a)上に設けられる。
【0032】
共通側連結部材26は、図2に示すように、共通側コネクタ25が設けられる側面27aを構成する4つの稜のうち、共通ユニット2と測定ユニット3との間の積層の邪魔にならず、共通側コネクタ25から最も遠い稜28の両端に近い位置(図2の紙面と直交する筐体27の短手方向の側面27cの両端上部に近い位置)に対をなして設けられる。図2の例では、半円状の溝を有する部材で共通側連結部材26が構成される。この共通側連結部材26は、共通ユニット2と測定ユニット3とを厚み方向に積層するときに、測定ユニット3の後述する測定側第1連結部材36aに係合して連結される。
【0033】
次に、測定ユニット3は、周波数帯や通信規格(例えばGSMやW−CDMA等)ごとに複数用意される電界強度測定ユニットであり、図5に示すように、バス制御部31、記憶部32、受信部33、測定制御部34、測定側コネクタ35(35a,35b)、測定側連結部材36(図2参照)が、共通ユニット2の共通側筐体27と略同一形状の測定側筐体37に設けられている。なお、本例では、記憶部32、受信部33、測定制御部34によって測定部を構成している。
【0034】
バス制御部31は、データとコマンドの伝送と電力の供給を兼ねた共通バスを制御している。
【0035】
記憶部32は、周波数帯や通信規格に応じて複数に分けられた測定プログラムの中の1つの測定プログラム、受信部33が受信した電界に基づく測定結果などを記憶している。
【0036】
受信部33は、測定制御部34の制御により、不図示の基地局との間の電界を受信し、受信した電界を測定制御部34に入力している。
【0037】
測定制御部34は、共通ユニット2から共通バスを介して測定開始の指示があったときに、記憶部32に記憶された測定プログラムに従い、独立して所望の測定を実行するべく受信部33を制御している。また、測定制御部34は、バス制御部31を介して測定結果を共通バスに出力している。
【0038】
測定側コネクタ35は、図1に示すように、回路基板に設けられる測定側第1コネクタ35aと測定側第2コネクタ35bから構成される。測定側第1コネクタ35aは、共通ユニット2と測定ユニット3とを連結して厚み方向に積層したときに、共通ユニット2の共通側コネクタ25とちょうど嵌合して接続されるように、測定側筐体37の厚み方向に垂直な1側面(側面27aと対向する側面37b)上に設けられる。
【0039】
測定側連結部材36は、測定側第1連結部材36aと測定側第2連結部材36bとから構成される。さらに説明すると、測定側第1連結部材36aは、図2に示すように、測定側第1コネクタ35aが設けられる側面37bを構成する4つの稜のうち、共通ユニットユニット2と測定ユニット3との間の積層の邪魔にならず、測定側第1コネクタ35aから最も遠い稜38の両端に近い位置(図2の紙面と直交する筐体37の短手方向の側面37cの両端下部に近い位置)に対をなして設けられる。また、測定側第2連結部材36bは、図2に示すように、測定側第2コネクタ35bが設けられる側面37aを構成する4つの稜のうち、共通ユニット2と測定ユニット3との間の積層の邪魔にならず、測定側第2コネクタ35bから最も遠い稜39の両端に近い位置(図2の紙面と直交する筐体37の短手方向の側面37cの両端上部に近い位置)に対をなして設けられる。
【0040】
図2の例では、円柱状の突起を有する部材で測定側第1連結部材36aが構成され、半円状の溝を有する部材で測定側第2連結部材36bが構成される。この測定側連結部材36は、共通ユニット2、単一又は複数の測定ユニット3、バッテリユニット4の順に厚み方向に積層するときに、測定側第1連結部材36aが共通ユニット2の共通側連結部材26に係合して連結されるとともに、測定側第2連結部材36bが他の測定ユニット3の測定側第1連結部材36a又はバッテリユニット4の後述する不図示のバッテリ側連結部材に係合して連結される。
【0041】
なお、測定ユニット3は、電界強度測定ユニットに限定されるものではなく、例えばスペクトラムアナライザ、OTDR(光パルス試験器)、ガス濃度測定装置等、携帯して移動しながら測定する必要があるものであれば良い。
【0042】
次に、バッテリユニット4は、図6に示すように、バッテリ41、バッテリ制御部42、バッテリ側コネクタ43、バッテリ側連結部材(不図示)が、共通ユニット2の共通側筐体27と略同一形状のバッテリ側筐体45に設けられている。
【0043】
なお、本例では、バッテリ41とバッテリ制御部42によって電源部を構成している。また、上述した各ユニット2,3,4の筐体27,37,45は、略同一の高さ及び横幅を有するものであり、高さや横幅が若干大きいものや若干小さいものも含み、厚みのみ異なっていてもよい。
【0044】
バッテリ41は、例えばバッテリ側筐体45の内部に交換可能に内蔵されるバッテリパックで構成される。
【0045】
バッテリ制御部42は、共通ユニット2や各測定ユニット3に対するバッテリ41からの電源供給を制御している。
【0046】
また、バッテリ制御部42は、バッテリユニット4が外部電源と接続されたときに(後述のように、共通ユニット2又は測定ユニット3に設けられた電力供給用のインタフェースを介して外部電源と間接的に接続されたときを含む)、バッテリ41の充電制御を行っている。具体的には、バッテリ制御部42は、バッテリ41の充電の必要性を判断し、充電が必要であると判断したときはバッテリ41の充電を開始し、充電が終了したと判断したときはバッテリ41の充電を終了する。
【0047】
バッテリ側コネクタ43は、図1に示すように、測定ユニット3とバッテリユニット4を連結して厚み方向に積層したときに、測定ユニット3の測定側第2コネクタ35bとちょうど嵌合して接続されるように、バッテリ側筐体45の厚み方向に垂直な1側面45b上に設けられる。
【0048】
不図示のバッテリ側連結部材は、バッテリ側コネクタ43が設けられる側面45bを構成する4つの稜のうち、ユニット3,4間の積層の邪魔にならず、バッテリ側コネクタ43から最も遠い稜46の両端に近い位置(図1の紙面と直交する筐体45の短手方向の側面45cの両端左部に近い位置)に対をなして設けられる。本例では、測定ユニット2の測定側第2連結部材36bに係合する円柱状の突起を有する部材でバッテリ側連結部材が構成される。このバッテリ側連結部材は、測定ユニット3とバッテリユニット4とを厚み方向に積層するときに、測定ユニット3の測定側第2連結部材36bに係合して連結される。
【0049】
上記構成による携帯型測定器1では、共通ユニット2、測定に必要な数の測定ユニット3(1つ又は複数)、バッテリユニット4の順に連結して積層された状態で各ユニット2,3,4間がコネクタ接続される。
【0050】
なお、バッテリユニット4は必須の構成要素ではなく、外部の電源が利用できるときはバッテリユニット4を省略することができる。この場合、共通ユニット2に電力供給用のインタフェースを設け、このインタフェースを介して外部電源から電力を供給し、測定ユニット3には共通ユニット2からコネクタを介して電力を供給するような構成にすればよい。あるいは、測定ユニット3に電力供給用のインタフェースを設けてもよい。
【0051】
ここで、各ユニット2,3,4間の連結構造は、各ユニット2,3,4が備える連結部材間の係合によって実現される。本例では、円柱状の突起を有する部材と、この円柱状の突起を受ける半円状の溝を有する部材との組み合わせによって連結構造を実現している。
【0052】
また、各ユニット2,3,4間のコネクタ接続構造は、共通ユニット2、測定ユニット3、バッテリユニット4の順に上述した連結構造により各ユニット2,3,4間を連結した状態で対向するコネクタ同士を嵌合することにより実現される。
【0053】
例えば共通ユニット2に対して測定ユニット3を連結する場合には、図2(a)に示すべく、共通ユニット2の側面27aに対して測定ユニット3の側面37bが所定角度傾斜した状態を保ちながら測定ユニット3の稜38が共通ユニット2の稜28に近づくように、共通ユニット2の連結部材26における半円状の溝に対し、測定ユニット3の連結部材36における円柱状の突起を図2(a)の矢印A方向に移動させ、半円状の溝に円柱状の突起を係合させる。その後、半円状の溝に係合した円柱状の突起を中心軸として、図2(b)の矢印B方向に測定ユニット3を回転させる。そして、共通ユニット2の共通側コネクタ25のある側面27aと測定側第1コネクタ35aのある側面37bとのなす角度を0°に近づけていくと、図2(c)に示すように、測定側第1コネクタ35aを共通側コネクタ25に嵌合してコネクタ間が接続される。なお、測定ユニット3とバッテリユニット4のコネクタ接続も同様の手順によって行われる。
【0054】
これに対し、共通ユニット2と測定ユニット3を連結する際、共通ユニット2の側面27aと測定ユニット3の側面37bの平行を保ったまま両ユニット2,3を重ね合わせるように共通ユニット2に対して測定ユニット3を積層すると、測定ユニット3の連結部材36における円柱状の突起が共通ユニット2の連結部材26における半円状の溝の外縁部にぶつかり、円柱状の突起が半円状の溝に係合しない。すなわち、本例では、連結対象となるユニット間の対向する側面の角度が所定角度傾斜した一方向からのみ円柱状の突起が半円状の溝に係合するようになっている。
【0055】
また、各ユニット2,3,4間において、連結構造をなす円柱状の突起が半円状の溝に係合してコネクタ接続されている状態(図2(c)の状態)から、ユニット2,3,4間の筐体27,37,45の側面27a,27b,37a,37b,45a,45bの平行度を保ったままコネクタの嵌合を解こうとすると(図2(c)の矢印C方向に移動)、連結構造における半円状の溝の内縁部が円柱状の突起の移動を阻止するので、コネクタの嵌合状態を解くことができないようになっている。
【0056】
これに対し、図2(c)のコネクタの嵌合状態から、図2(b)に示すように、一定の角度以上回動させ(図2(b)の矢印Bと逆方向)、コネクタの嵌合が解けると、連結構造における円柱状の突起が半円状の溝から離れて移動することができるようになっている。
【0057】
これにより、各ユニット2,3,4間のコネクタ同士を嵌合させる際に、コネクタの位置合わせを行う必要がないので、使いやすく、かつコネクタの破損も防止できる。
【0058】
また、コネクタの嵌合を解く際に、必ずコネクタの嵌合方向とほぼ同一方向からしか力がかからないので、コネクタのねじれを防止することができる。
【0059】
なお、厳密にはコネクタに係る力の向きはコネクタの嵌合方向とはわずかにずれる。しかし、連結構造における回転中心軸は、ユニット2,3,4間の積層の邪魔にならず、コネクタから最も遠い稜の両端に近い位置(稜及びその外側を含む)にあるため、このずれは問題にならない。
【0060】
また、上述した連結構造は、図2の構成に限定されるものではなく、上述した効果を奏する構成であればよい。
【0061】
そして、各ユニット2,3,4間が連結かつコネクタ接続された状態で、電源が投入されると、共通ユニット2は、どのような測定ユニット3が接続されているかを調べ、共通ユニット2から近い接続順に各測定ユニット3に対してアドレス付けを行う。
【0062】
また、共通ユニット2は、測定動作終了時に、測定ユニット3の構成(接続順番を含む)と測定条件(測定間隔)を保存する。そして、共通ユニット2は、次回の電源投入時に、測定ユニット3の構成が保存済みの構成と同一であれば、同一の測定条件で測定を開始できるように準備する。
【0063】
このように、本発明に係る携帯型測定器によれば、以下に示すような効果を奏する。
必要な測定ユニットだけを選択して接続することができ、測定器の体積や重量を必要最小限に抑えることができる。
【0064】
複数の測定ユニットによる測定を一緒に行うことができるので、時間を無駄せずに様々な測定を行うことができる。
【0065】
特に、本発明に係る携帯型測定器の構成を電界強度測定器に採用した場合、測定ユニットが周波数帯や通信規格(例えばGSMやW−CDMA等)ごとに用意され、これら周波数帯や通信規格に応じた同時測定を行うことができ、その効果は大きい。
【0066】
将来、測定ユニットを開発したり、カスタマイズする場合でも、測定ユニットだけの追加又は交換で済むので、ユーザ側のコスト削減に貢献できる。
【0067】
従来のようなケーブル接続等の結線作業を必要とせず、作業ミスを防ぐことができる。特に、本発明に係る携帯型測定器の構成を電界強度測定器に採用した場合には、想定される使用者が工事会社の作業員であり、技術に詳しいとは言い切れないため、ケーブル接続等の結線作業を省き、簡単で使いやすいことが重要となる。
【0068】
また、図2に示すような連結構造を採用することにより、回転させながらでないとユニット2,3,4間の分離できないようにしているので、ユニット間のコネクタのよじれを防止することができる。
【0069】
さらに、図2に示すような連結構造の採用により、コネクタ同士を嵌合する際の位置合わせが不要となり、使いやすく、かつコネクタの破損も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る携帯型測定器を構成する共通ユニットと測定ユニットとバッテリユニットの分離状態を示す概略側面図である。
【図2】(a)〜(c) 本発明に係る携帯型測定器のユニット間の連結構造の一例を示す概略側面図である。
【図3】(a),(b) 本発明に係る携帯型測定器の構成例を示す概略斜視図である。
【図4】本発明に係る携帯型測定器の共通ユニットの内部構成を示す概略ブロック図である。
【図5】本発明に係る携帯型測定器の測定ユニットの内部構成を示す概略ブロック図である。
【図6】本発明に係る携帯型測定器のバッテリユニットの内部構成を示す概略ブロック図である。
【図7】特許文献1に開示される従来の携帯型測定器の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0071】
1 携帯型測定器
2 共通ユニット
3 測定ユニット
4 バッテリユニット
21 操作部
22 表示部
24 制御部
25 共通側コネクタ
26 共通側連結部材
27 共通側筐体
33 受信部
35(35a,35b) 測定側コネクタ
36(36a,36b) 測定側連結部材
37 測定側筐体
41 バッテリ
43 バッテリ側コネクタ
45 バッテリ側筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体をなす略直方体形状の共通側筐体(27)と、測定の開始・終了の指示を含む各種測定に関する制御を行う制御部(24)と、前記共通側筐体の厚み方向に垂直な一側面(27a)に設けられた共通側コネクタ(25)とを含む共通ユニット(2)と、
前記共通側筐体と略同一の高さ及び横幅を持つ測定側筐体(37)と、前記共通ユニットの前記制御部からの指示に基づいて所望の測定を行う測定部と、前記測定側筐体が前記共通側筐体に厚み方向に積層された状態で前記共通側コネクタと嵌合する測定側第1コネクタ(35a)と、該測定側第1コネクタと表裏関係にある位置に設けられた測定側第2コネクタ(35b)とを含む少なくとも1つの測定ユニット(3)とから成り、
前記測定ユニットが1つのときは、前記共通ユニットと前記測定ユニットとが厚み方向に積層されて両ユニット間がコネクタ接続され、
前記測定ユニットが複数のときは、当該複数の測定ユニット同士が厚み方向に積層されてコネクタ接続され、かつ前記共通ユニットと前記複数の測定ユニットのうち測定側第1コネクタが露出している測定ユニットとが厚み方向に積層されてコネクタ接続されることを特徴とする携帯型測定器。
【請求項2】
前記共通ユニット(2)は、前記共通側筐体(27)上において、前記共通側コネクタ(25)が設けられた側面(27b)を構成する稜のうち当該共通側コネクタから最も遠い稜又は当該稜の外側を回転軸とするように設けられた共通側連結部材(26)を備え、
前記測定ユニット(3)は、前記測定側筐体(37)上において、前記測定側第1コネクタ(35a)が設けられた側面(37b)を構成する稜のうち当該測定側第1コネクタから最も遠い稜又は当該稜の外側を回転軸とするように設けられるとともに、前記測定側第2コネクタ(35b)が設けられた側面(37a)を構成する稜のうち当該測定側第2コネクタから最も遠い稜又は当該稜の外側を回転軸とするように設けられた測定側連結部材(36)を備え、
前記共通側連結部材と前記測定側連結部材、及び前記測定側連結部材と他の測定ユニットの測定側連結部材は、各々協働して、前記稜又は当該稜の外側を回転軸として回動可能に相互係止するが、前記共通ユニットと前記測定ユニットとの積層方向又は前記測定ユニットと他の測定ユニットとの積層方向に対して所定の角度以上をなす方向からでないと解放状態から係止状態へ移行できないことを特徴とする請求項1記載の携帯型測定器。
【請求項3】
前記共通側筐体と略同一の高さ及び横幅を持つバッテリ側筐体(45)と、前記共通ユニット及び前記測定ユニットの各部に駆動電源を供給するための電源部と、前記バッテリ側筐体が前記測定側筐体の厚み方向に積層された状態で前記測定側第2コネクタと嵌合するバッテリ側コネクタ(43)とを含むバッテリユニット(4)をさらに備え、
前記共通ユニットと積層された1つ又は複数の測定ユニットのうち、前記測定側第2コネクタが露出している測定ユニットと前記バッテリユニットとが厚み方向に積層されてコネクタ接続されることを特徴とする請求項1又は2記載の携帯型測定器。
【請求項4】
前記バッテリユニット(4)は、前記バッテリ側筐体(45)上において、前記バッテリ側コネクタ(43)が設けられた側面(45b)を構成する稜のうち当該バッテリ側コネクタから最も遠い稜又は当該稜の外側を回転軸とするように設けられたバッテリ側連結部材を備え、
前記測定側連結部材と前記バッテリ側連結部材は、各々協働して、前記稜又は当該稜の外側を回転軸として回動可能に相互係止するが、前記測定ユニットと前記バッテリユニットとの積層方向に対して所定の角度以上をなす方向からでないと解放状態から係止状態へ移行できないことを特徴とする請求項3記載の携帯型測定器。
【請求項5】
前記測定ユニット(3)が複数コネクタ接続されているときは、それぞれの測定ユニットが同時に測定を行うことができることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の携帯型測定器。
【請求項6】
前記測定ユニット(3)は、電界強度を測定する電界強度測定ユニットであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の携帯型測定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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