説明

携帯型通信端末およびその動作方法

【課題】着信や操作を利用者に確実に知らせることができ、しかも周囲の他人の迷惑とならないようにする。また、設定・切換えを環境の変化に応じて行うことが可能な携帯型通信端末およびその動作方法を提供する。
【解決手段】操作情報に基づいて操作音信号を出力するための操作音信号出力部と、着信情報に基づいて着信音信号を出力するための着信音信号出力部と、非指向性スピーカと、指向性スピーカと、信号出力先となるスピーカを含むインターフェイスへの信号切換を定める設定情報を保持する設定情報保持部と、前記操作情報および/又は着信情報に基づいて設定情報保持部から設定情報を取得する設定情報取得部と、取得した設定情報に従って信号出力先を前記いずれかのインターフェイスに切換える切換部とを有する携帯型通信端末およびその動作方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指向性スピーカを備えた携帯型通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機をはじめとする携帯型通信端末(以下単に「端末」と略すことがある。)は、屋外や公共施設内などを移動中に使用されることも多い。このため、特に周囲に他人が存在する環境で使用されるケースが多々あり、このような場合には端末の操作音や着信音がこれら周囲の他人の迷惑とならないように配慮する必要がある。
このため、従来から、いわゆるマナーモードや消音設定などにより、操作音を消音(無音)としたり、着信音の代わりに振動や光で着信を報知する手段を用いたりといった方法が用いられてきたところである。例えば、特許文献1には、マナーモードへの変換機能を持つ携帯用通信機器が開示されており、マナーモードへの変換によって周囲の人々への迷惑を未然に防止することができるとの効果がうたわれている(特許文献1参照)。
一方、スピーカから出力される音がその指向方向に位置する者のみに聞こえるようにした指向性スピーカを搭載した携帯電話機も知られており、例えば、特許文献2にこのような携帯電話機が開示されている。もっとも、同文献の発明は、従来の携帯電話機では着信音を知らせるスピーカが背面に位置しており携帯電話機をテーブルに置く際にスピーカをテーブル面に接触させて置く場合が生じ、着信音が聞き取りにくくなることに鑑み、このような聞き取りにくさを改善することを解決課題としている。そして、そのための解決手段として、筐体側面に指向性スピーカを搭載した携帯電話機を提案し、これにより着信音が前方に進むようにすることで着信音が聞き取りやすくなるようにしている。このように特許文献2の発明は着信音が周囲の他人に迷惑とならないようにすることを解決課題とするものではないが、かかる指向性スピーカを携帯電話機等の端末に搭載することで、着信音等がスピーカの指向方向に位置する利用者のみに聞こえ周囲の他人には聞こえないようにでき、もって周囲の他人の迷惑を防止することが可能であることは、従来から知られていたといえるであろう(特許文献2参照)。
【特許文献1】特表2002‐524940号公報
【特許文献2】特開2003‐179676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、操作音や着信音はそもそも利用者に対してきちんと操作が行われていることや着信があったことを確実に知らせるためのものであるから、周囲の他人の迷惑にならないようにするあまりこの本来の機能が発揮できなくなってしまうのでは本末転倒であることはいうまでもない。つまり、携帯型通信端末には、利用者に対してきちんと操作が行われていることや着信があったことを確実に知らせるという本来の機能を確保した上で、周囲の他人の迷惑にならないようにすることができることが求められている。
この点、まず操作に関しては、マナーモードや消音設定などにより操作音を消音とする方法には次のような問題がある。即ち、携帯型通信端末ではキーを確実に押したかどうかを指の感触だけで確認することは必ずしも容易ではない。この点、操作音は、操作キーがきちんと押されて端末の操作が確実に行われていることを確認するための手段として極めて有用なものである。にもかかわらず操作音を消音にした場合には、操作が確実に行われていることを確認することが困難となり、利用者が誤操作に気付かないおそれがある。
一方、着信に関しては、マナーモードにより着信音の代わりに振動や光で着信があったことを報知する方法は、一般には有効な方法である。しかし、利用者がこのような方法により着信に気付くためには、端末が利用者の身体に直接にもしくは被服を介して間接的に接触しているか、あるいは、端末が利用者の視界に入っていることが必要である。従って、例えば利用者が端末を手提げカバンなどに入れて持ち歩いている場合のように、端末が利用者に接していない状態であり、かつ利用者の視界にも入っていない状態のときには、利用者が着信に気付かない場合もあり得るので、やはりこれのみに頼ることには問題がある。
また、着信音を出力するための指向性スピーカを備えた端末の場合も、当該指向性スピーカが利用者の顔面に略正対していない限り利用者が着信に気付かないことがあり得る。しかも、指向性スピーカが利用者の顔面に略正対していない場合というのは往々にして指向性スピーカが周囲の他人に向かって略正対している場合であり、このような場合に周囲の他人に向かって着信音が発せられてしまい迷惑になるということも考えられる。
【0004】
このように、従来のマナーモードや指向性スピーカは、いずれも利用者や周囲の他人の状態を含む周囲の環境が一定の条件下にある場合にのみ、操作や着信を利用者が確実に知る上で有効な方法となり得るものであり、その条件が満たされていない場合には有効な方法とはならないものであった。しかし、周囲に他人がいるかどうかなど、端末を使用している環境は様々であるから、どのような環境であっても着信や操作を利用者に確実に知らせることができ、しかも周囲の他人の迷惑とならないようにするためには、環境の変化に応じた操作・着信の報知の仕方を設定して切り換える必要がある。しかし、従来このような設定・切換えが可能な携帯型通信端末は存在していなかった。
そこで、本発明の解決すべき課題は、着信や操作を利用者に確実に知らせることができ、しかも周囲の他人の迷惑とならないようにすることにある。また、設定・切換えを環境の変化に応じて行うことが可能な携帯型通信端末およびその動作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、本発明のうち、第一の発明は、操作情報に基づいて操作音信号を出力するための操作音信号出力部と、着信情報に基づいて着信音信号を出力するための着信音信号出力部と、非指向性スピーカと、指向性スピーカと、信号出力先となるスピーカを含むインターフェイスへの信号切換を定める設定情報を保持する設定情報保持部と、前記操作情報および/又は着信情報に基づいて設定情報保持部から設定情報を取得する設定情報取得部と、取得した設定情報に従って信号出力先を前記いずれかのインターフェイスに切換える切換部とを有する携帯型通信端末を提供する。
また、第二の発明は、第一の発明を基礎として、前記指向性スピーカは、操作機能部品と、この操作機能部品による操作関連情報を表示するディスプレイとを配置した面に配置されている携帯型通信端末を提供する。
また、第三の発明は、第一又は第二の発明を基礎として、把持されて操作面に利用者の顔が略正対している状態を検出するための検出部と、切換部は、検出部での検出結果にも応じて切換えを行う検出結果切換手段を有する携帯型通信端末を提供する。
また、第四の発明は、第一から第三のいずれか一の発明を基礎として、指向性スピーカと非指向性スピーカとは、両機能を備えた一のスピーカであり、音声信号および/又は超音波搬送波信号が供給される携帯型通信端末を提供する。
【0006】
また、第五の発明は、非指向性スピーカおよび指向性スピーカを備えた携帯型通信端末の動作方法であって、操作情報および/又は着信情報を検知したか否かを判断する判断ステップと、前記判断ステップにおける判断結果が検知したとの判断結果である場合に、信号出力先となるインターフェイスであって非指向性スピーカ、指向性スピーカを含むインターフェイスへの信号切換を定める設定情報を取得する設定情報取得ステップと、取得した設定情報に従って信号出力先を前記いずれかのインターフェイスに切換える切換ステップとを有する携帯型通信端末の動作方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、着信や操作を利用者に確実に知らせることができ、しかも周囲の他人の迷惑とならないようにすることができる。また、設定・切換えを環境の変化に応じて行うことが可能な携帯型通信端末およびその動作方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の実施例を説明する。実施例と請求項の相互の関係は以下のとおりである。実施例1は主に請求項1、請求項5などに関し、実施例2は主に請求項2などに関し、実施例3は主に請求項3などに関し、実施例4は主に請求項4などに関する。なお、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【実施例1】
【0009】
<概要>
本発明の携帯型通信端末は、指向性スピーカ・非指向性スピーカを含む複数種類の出力インターフェイスを備え、環境に応じて操作・着信を利用者に確実に知らせることができるとともに、他人の迷惑とならないような出力を行うための設定・切換えが可能とした点に特徴がある携帯型通信端末である。
はじめに、本発明の携帯型通信端末の概要について簡単に説明する。
【0010】
図1は、本発明の携帯型通信端末の概要を説明するための図である。本図の携帯型通信端末は携帯電話機の例である。また、本図では、着信時と操作時のそれぞれの場面で当該端末の着信音または操作音がどのように出力されるかを示している。
まず、図中上方に示すのは着信時の場合である。このとき、携帯型通信端末0100の着信音はスピーカ0130(本図の例は指向性スピーカと非指向性スピーカの両機能を備えた一のスピーカである)から非指向性スピーカ機能を用いた非指向性の音声として、矢印が示しているように四方八方に向けて出力される。本例で着信音を非指向性の音声として出力するようにしている理由は、上述のように、着信音の代わりに振動などを用いたのでは、本例のように携帯電話機を手提げカバンなどに入れて持ち歩いている場合には利用者が着信に気付かないおそれがあるためである。また、指向性の音声を出力した場合には、本例のように指向性スピーカが利用者の顔面に略正対していない場合には、やはり利用者が着信に気付かないおそれがあるばかりでなく、指向性スピーカが略正対している周囲の他人に向かって着信音が発せされてしまい、その他人の迷惑になることも考えられるためである。なお、後述のように着信音の音量を調整することも可能であるので、音量を小さく調整しておけば、このように四方八方に向けて出力しても周囲の他人の迷惑になることはないと考えられる。
【0011】
次に、図中下方に示すのは操作時の場合である。このとき、携帯型通信端末0100の操作音はスピーカ0130から指向性スピーカ機能を用いた指向性の音声として、矢印が示しているように前方、すなわち利用者が対面している方向にのみ出力される。本例で操作音を指向性のある音声として出力するようにしている理由は、これも上述したように、例えば操作音を消音にした場合には、操作が確実に行われていることを確認することが困難となり、誤操作に気付かないおそれが生じるという問題があるためである。そして、着信音の場合と異なり、操作時には利用者は端末に顔を向けているのが通例であるから、指向性のある音声を出力すれば操作音を確認できることが本発明の携帯型通信端末の特徴である。
【0012】
そして、着信時には非指向性の音声の出力、操作時には指向性のある音声出力といったように、どのような場合にどのような出力を行うかは、本発明では、設定情報という形で設定することにより決定される。この設定をどのように行うかは、周囲の環境などに応じて任意に設定可能であり、このように任意に設定できる点にも本発明の携帯型通信端末の特徴がある。
以下、このような特徴を発揮するための構成等について詳細に説明する。
【0013】
<構成>
(全般)
図2は、本実施例の携帯型通信端末の機能ブロックの一例を示す図である。本図に示すように、本実施例の「携帯型通信端末」0200は、「操作音信号出力部」0210と、「着信音信号出力部」0220と、「非指向性スピーカ」0230と、「指向性スピーカ」0240と、「設定情報保持部」0250と、「設定情報取得部」0260と、「切換部」0270とを有する。
なお、以下に説明する本発明に係る携帯型通信端末の機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの両方として実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUやメインメモリ、バス、あるいは二次記憶装置、外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のI/Oポート、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、情報入力に利用される利用者インターフェイスなどが挙げられる。
そしてメインメモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、インターフェイスを介して入力されメモリやハードディスク上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、上記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。また、この発明は情報視聴装置として実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品、及び同製品を記録媒体に固定した記録媒体も、当然にこの発明の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0014】
(携帯型通信端末)
本発明の「携帯型通信端末」は、典型的には携帯電話機であり、本明細書でも携帯電話機の例で説明する。ただし、本発明の携帯型通信端末は携帯電話機に限られることなく、文字どおり携帯型の通信端末がすべて含まれる。例えば、PHS(Personal Handy‐phone System)、ポケットベル、通信ネットワークを介したダウンロード機能を有する携帯型デジタル音楽プレーヤーなどであってもよい。
【0015】
なお、本発明の携帯型通信端末は、必須構成要素として上の各部等を備えるほか、これ以外の構成要素を備えていてもよい。
図3は、本実施例の携帯型通信端末の機能ブロックの別の一例を示す図であって、上記の必須構成要素以外の構成要件を備える携帯電話機の例で示した図である。本図は上の必須構成要素以外はいずれも公知技術を用いた機能を備えるものであるので細部の説明は省略するが、例えば、本図に示すように、携帯型通信端末0300がマナーモードに切り換えるためのマナーモードボタン0301およびその他の操作部0302を備えていてもよい。また、カメラ部0303を備え、その撮像機能および画像認識処理機能などにより公共施設内であるかどうかなどを判断できるようにしてもよいし、あるいは端末の操作面に利用者の顔が略正対している状態であるかどうかを検出できるようにしてもよい(かかる例については別の実施例にて後述する)。また、GPS部0304を備え、その位置特定機能および地図判読処理機能などにより公共施設内であるかどうかなどを判断できるようにしてもよい。また、人感センサーを含む検出部0395を備え、その検知機能により、端末が利用者によって把持されているかを判断できるようにしてもよい。この場合の検知手段としては、例えば携帯を把持する利用者や端末の近くに存在する利用者の体温を赤外線などを利用して検知する手段、携帯を把持する利用者の指紋や掌紋を検知する手段、利用者に装着された非接触タグなどを利用して利用者の存在を磁気的に検知する手段などが考えられる。
上述した機能より得られた撮像した画像、位置特定機能および地図判読処理機能より得られる位置情報、人物情報等により操作情報および着信情報の報知方法である音声出力や表示、振動等に適宜切り換えて行うことが考えられる。
【0016】
これらの判断結果は、切換部0370に渡される。一方、設定情報保持部0350が保持し設定情報取得部0360が取得する設定情報には例えばカメラ部の判断結果が公共施設内であるとの判断結果の場合には操作音信号は指向性スピーカから出力するとの内容が含まれる。そこで、例えば利用者の操作キー押下により操作情報が取得された場合、設定情報取得部は、メモリ内に保持された設定情報と照合を行い、その結果に基づき切換部に対し出力先を指向性スピーカに切り換えるように指示する。切換部はこのような設定情報に従って操作音信号の出力先を指向性スピーカに切り換える。この結果、操作音信号出力部/着信音信号出力部0305(ここでは操作音信号出力部と着信音信号出力部の両者を包含する手段として記載したが、図2に示した別々の手段として備えられるものを単にまとめて記載したにすぎない)が指向性スピーカ0340を介して操作音信号を出力することが可能となる。
【0017】
(操作音信号出力部)
図2に戻り、次に本実施例の携帯型通信端末の各構成要素について順次説明する。まず「操作音信号出力部」0210は、操作情報に基づいて操作音信号を出力するためのものである。操作音信号の出力は、非指向性スピーカ、指向性スピーカその他のインターフェイスを介して行われる。
「操作情報」とは、携帯型通信端末の操作に関する情報をいい、典型的には、端末のどのキーが押されたかとか、どのキーとどのキーが連続して押されたかといったようなキーの押下に関する情報である。例えば、「どのキーが押下されたかを示す情報」の例として、キーコード「104」で表わされるキー(例えば数字キー「4」)が押下されたことを示す「SOINF_KEYNO_104」という情報がこの操作情報に該当する。
【0018】
(着信音信号出力部)
「着信音信号出力部」0220は、着信情報に基づいて、着信音信号を出力するためのものである。着信音信号の出力は、非指向性スピーカ、指向性スピーカその他のインターフェイスを介して行われる。
「着信情報」とは、携帯型通信端末に着信があったことを示す情報をいう。例えば、音声電話(通常の電話)の着信があったことを示す着信情報(例えば「RINF_VOIC」というコードで表わされる)という情報がこの着信情報に該当する。
【0019】
(非指向性スピーカ、指向性スピーカなど)
本発明の携帯型通信端末は、操作音信号または/及び着信音信号を出力するためのインターフェイスとして、少なくとも非指向性スピーカと指向性スピーカとを備える。それぞれのスピーカの数は一つずつであってもよいし、一方または双方が複数備えられていてもよい。特に、指向性スピーカを複数備える場合には、それぞれのスピーカの指向方向を変えることで、そのスピーカからの音声の聞こえる範囲を調整することが可能となる。非指向性スピーカと指向性スピーカは、それぞれが独立したスピーカとして備えられていてもよいし、両機能を備えた一のスピーカとして備えられていてもよい(後者の例については別の実施例にて後述する)。
なお、本発明における「スピーカ」は、端末本体に直接備えられるものであっても、端末本体に接続可能なイヤーフォン、ヘッドフォンなどに備えられるものであってもよい。また、本発明における「スピーカ」は、出力音量を調整できるものであることが望ましい。これにより、例えば、着信音を非指向性スピーカから出力する場合であっても、音量を利用者だけに聞こえる程度に絞ることによって周囲の他人に迷惑をかけずにすむことも可能となる。
【0020】
指向性スピーカは、特定の方向にだけ音声信号を出力するスピーカであるので、特に利用者の顔に向くような使用状態に好適な出力用インターフェイスとなる。従って、操作時には、指向性スピーカが最適のインターフェイスとなる。一方、利用者が端末を手提げカバンに入れて持ち歩いているなど、利用者の顔がスピーカの指向方向にない場合が多い着信時には、非指向性スピーカなどが最適のインターフェイスとなる。ただし、本発明は、環境の変化に応じて設定・切換えを柔軟に行え、それぞれの環境に応じて最適のインターフェイスに切り換える構成となっている。
【0021】
なお、指向性スピーカは超指向性スピーカであってもよい。かかる超指向性スピーカに関する技術は、例えば非特許文献1に開示されている(非特許文献1:中島悠輔ほか「携帯型超指向性スピーカの試作」NTTDoCoMoテクニカル・ジャーナルVol.14 No.1参照)。かかる超指向性スピーカの技術を利用すれば、波長の短い超音波を利用することで小口径のスピーカでも高い指向性の音場を再生できるので、本発明の携帯型通信端末への指向性スピーカの搭載をより好適に実現することが可能となる。その他、超指向性スピーカはこの方式に限ったものではなく、他の方式のものでも本発明には利用可能である。
【0022】
(設定情報保持部)
再び図2に戻り、「設定情報保持部」0250は、設定情報を保持するように構成されている。
「設定情報」とは、操作音信号および/又は着信音信号の信号出力先となるスピーカを含むインターフェイスへの信号切換えを定める情報をいう。例えば、操作音信号は常に指向性スピーカから出力するように切り換えるとか、着信音信号は常に非指向性スピーカから出力するように切り換えるといった切換えのルールを定める情報がこれに該当する。設定情報の設定の仕方には様々なパターンが考えられるが、最も単純な一例としては、操作情報および/又は着信情報の取得があった場合に、信号出力先となるインターフェイスを、例えば常に指向性スピーカとするといったように一義的に定めるものが考えられる。
【0023】
図4は、設定情報のバリエーションの一例を示す図である。本図は、操作情報および/又は着信情報によりインターフェイスを定める例である。本図では、信号出力先となるインターフェイスの数が一つの場合、二つの場合、三つの場合等のそれぞれの場合ごとに出力先として考えられるインターフェイス例を列挙したものである。このように信号出力先となるインターフェイスは一つだけであってもよいし、二つ以上を用いる(例えば、指向性スピーカから出力するとともにディスプレイにも表示する)というものであってもよい。設定情報保持部は、これらのバリエーションの中から、利用者が予め設定した情報や製品に予め組込み仕様として入っている情報等が例えばテーブルデータとして記憶されている。
【0024】
図4において、信号出力先となるインターフェイスごとに定められる設定情報には、当該設定情報を一意的に識別するための設定情報IDが付される。設定情報IDは設定情報ごとにユニークに付与される番号列・符号列である。例えば、出力先となるインターフェイスの数が一つの場合において、当該インターフェイスを「非指向性スピーカ」と定める設定情報には設定情報ID「01001」が付与される。
この設定情報IDを構成する各桁の番号等には、それぞれ独自の意味を持たせてもよい。上の例では、万の位の「0」は設定情報でインターフェイスが一義的に特定される場合を示している。これと異なり取得した操作情報等に基づいて特定のインターフェイスに切り換えることを定める場合は万の位を「1」で表すといったことが考えられる。また、千の位の数字は、出力先となるインターフェイスの数を示す。
設定情報保持部は、このように設定情報IDと設定情報の内容を関連付けて保持する。これにより、次に述べる設定情報取得部が、設定情報IDによって設定情報を一義的に特定して取得することが可能となる。
【0025】
以上では、設定情報が操作音信号および着信音信号を出力するための共通する一つの設定情報として生成、保持される例について述べたが、設定情報が操作音信号出力用の設定情報と着信音信号出力用の設定情報とが別々に生成、保持されていてもよい。
【0026】
(設定情報取得部)
図2に戻り、「設定情報取得部」0260は、設定情報保持部から設定情報を取得するように構成されている。この取得は、操作情報および/又は着信情報を検知した場合に行われる。なぜなら、操作情報および/又は着信情報を検知した場合にはじめて操作音信号および/又は着信音信号を設定情報に従って特定のインターフェイスから出力することが必要になるためである。このため、設定情報取得部は、操作情報等があったことを知る必要があるが、これは、例えば利用者によるキー操作に基づく信号入力を受け付けたとの情報や着信信号を受信したとの情報を、操作信号を受け付けた手段や着信信号を受信した手段から取得することで可能となる。
【0027】
(切換部)
次に、「切換部」は、取得した設定情報に従って信号出力先を前記いずれかのインターフェイスに切り換えるように構成されている。この切換えは、上述のように、設定情報だけに従って行うようにしてもよいし、取得した操作情報および/又は着信情報にも基づいて行うようにしてもよい。また、設定情報だけに従って切換えを行う場合にあっても、取得した操作情報および/又は着信情報に基づいて生成された設定情報に従って切換えを行うようにしてもよいことも上述したとおりである。
【0028】
ここでは、最も単純な予め設定された設定情報だけに従って切換えを行う場合について説明する。具体的には、操作情報および/又は着信情報の取得があった場合に、その情報の内容を問わず信号出力先となるインターフェイスを指向性スピーカに切り換えると定めている例を用いて切換えのための構成を説明すると、以下のとおりである。設定情報取得部が設定情報を取得すると、当該設定情報を切換部に渡す。これを受けて切換部は、当該設定情報、ここでは「信号出力先となるインターフェイスを指向性スピーカに切り換える」との情報を読み出し、その内容に従って、取得した操作情報および/又は着信情報に基づく操作音信号および/又は着信音信号の信号出力先を指向性スピーカに切り換える。
【0029】
(ハードウェア構成)
次に、本実施例の携帯型通信端末のハードウェア構成について説明する。
図5は本実施例の携帯型通信端末のハードウェア構成の一例を示す概略図である。本図に示すように、本例の携帯型通信端末の操作音信号出力部と、着信音信号出力部とは「メインメモリ」0502と、「CPU」0503と、「I/O」0504とから構成される。設定情報保持部は「記憶装置(記録媒体)」0501と、「メインメモリ」と、「CPU」とから構成される。設定情報取得部と、切換部とは「メインメモリ」と、「CPU」とから構成される。また、非指向性スピーカ0505と、指向性スピーカ0506とは、「I/O」に接続されている。また、本実施例の携帯型通信端末は、本図に示すようにその他のインターフェイスを有していてもよく、これも「I/O」に接続される。
【0030】
これらは「システムバス」0508などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。記憶装置はCPUによって実行される各種プログラムなどを記憶している。またメインメモリは、プログラムがCPUによって実行される際の作業領域であるワーク領域を提供する。また、このメインメモリや記憶装置にはそれぞれ複数のメモリアドレスが割り当てられており、CPUで実行されるプログラムは、そのメモリアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。本例では、操作音信号出力プログラムと、着信音信号出力プログラムと、設定情報取得プログラムと、切換プログラムが記憶装置に記憶されており、これらのプログラムは例えば電源投入とともに自動的に記憶装置から読み出されてメインメモリに常駐する。
また、記憶装置に記憶されている設定情報なども同様に例えば電源投入とともに自動的に記憶装置から読み出されてメインメモリに常駐する。
以上、記憶装置上にプログラムが保存され、システムの立ち上げに合わせてメインメモリに読み出される例を説明したが、記憶装置が具体的はフラッシュメモリ等不揮発性のメモリであれば、システム立ち上げの都度メインメモリ上にプログラムを読み出して実行しなくとも、フラッシュメモリ上でプログラムの実行を行ってもよい。
【0031】
次に、各部に係るハードウェア構成について具体的に説明する。まず、設定情報保持部に係るハードウェア構成について説明する。記憶装置には、予め生成された設定情報が不揮発性の情報として保持される。あるいは、記憶装置から設定情報保持部であるメインメモリに読み出された設定情報を保持するという構成でもよい。設定情報の具体的内容の例は上に説明したとおりである。
次に、設定情報取得部に係るハードウェア構成について説明する。設定情報取得プログラムは、操作や着信に応じた操作情報および/又は着信情報を検知した場合には、例えばメインメモリに格納されている設定情報を読み出す。設定情報が操作音信号出力用の設定情報と着信音信号出力用の設定情報とに別々に保持されている場合には、例えば操作情報があった場合には操作音信号出力用の設定情報だけを読み出せばよい。
次に、切換部に係るハードウェア構成について説明する。切換プログラムは、設定情報取得プログラムが上記の処理によって読み出した設定情報に従って切換えを行う。具体的には、例えば、設定情報が「出力先を指向性スピーカに切り換えるように定める」という情報の場合には、これに従い、「出力先を指向性スピーカに切り換える」との切換命令を生成し、この切換命令に基づいてI/Oを設定して切換えを行わせる。
【0032】
<処理の流れ>
図6は、本実施例の携帯型通信端末における処理の流れの一例を示す図である。
本図に示すように、まず、携帯型通信端末は、操作情報および/又は着信情報を検知したか否かについての判断ステップS0601において当該判断を行い、検知したとの判断結果の場合には、設定情報取得ステップS0602に進んで設定情報を取得する。
次に、携帯型通信端末は、前記ステップS0602にて取得した設定情報に従った信号出力先が、非指向性スピーカ、指向性スピーカ又はその他のインターフェイスのいずれか、または、組み合わせであるかを判断する(ステップS0603)。そして、当該判断結果が非指向性スピーカであるとの判断結果の場合には、携帯型通信端末は、信号出力先を非指向性スピーカに切り換える(ステップS0604)。さらに、携帯型通信端末は、当該操作情報および/又は着信情報に基づいて、当該操作音信号および/又は着信音信号を非指向性スピーカから出力する(ステップS0605)。
【0033】
一方、当該判断結果が指向性スピーカであるとの判断結果の場合には、携帯型通信端末は、信号出力先を指向性スピーカに切り換える(ステップS0606)。さらに、携帯型通信端末は、当該操作情報および/又は着信情報に基づいて、当該操作音信号および/又は着信音信号を指向性スピーカから出力する(ステップS0607)。
また、当該判断結果がその他のインターフェイス(例えばバイブレーション出力手段)であるとの判断結果の場合には、携帯型通信端末は、信号出力先を当該インターフェイスに切り換える(ステップS0608)。さらに、携帯型通信端末は、当該操作情報および/又は着信情報に基づいて、当該操作音信号および/又は着信音信号を当該インターフェイスから出力する(ステップS0609)。
ここで、非指向性スピーカまたは指向性スピーカとその他のインターフェイスは同時に選択される場合がある。例えば、音声出力と合わせてバイブレーション出力することもできる。(図6には具体的には明示していないがS0603の中で制御される。)
【0034】
なお、上述のように、出力先をどのインターフェイスに切り換えるかは、マナーモードなどの機能状態にも従って判断されてもよい。ここで本発明の理解の便宜のため、マナーモードの例でごく一般的な処理の流れを示しておく。
図7は、本発明の携帯型通信端末における処理の流れの一例を示す図であって、かかる場合の一般的な処理の流れを着信音信号の出力の例で示したものである。具体例に即して処理の流れを示したものである。なお、簡単のために設定情報の取得にかかるステップの図示は省略した。
【0035】
まず、携帯型通信端末は、着信情報を検知したか否かについての判断ステップS0701において当該判断を行い、検知したとの判断結果の場合には、図示を省略した設定情報取得ステップにおいて着信に関する設定情報を取得する。
次に、端末は、マナーモードが選択されているか否かの判断ステップにおいて、かかる判断を行う(ステップS0702)。この結果、マナーモードが選択されていないとの判断結果が得られた場合は、上で取得した設定情報に従って、例えば非指向性スピーカに切り換えて報知する(ステップS0703)。ここで着信に関する設定情報を取得するタイミングはマナーモードが選択されているか否かの判断の後に行ってもよい。
【0036】
一方、上記判断において、マナーモードが選択されているとの判断結果が得られた場合、携帯型通信端末は、消音が設定されているか否かについての判断ステップS0704において当該判断を行い、設定されているとの判断結果が得られた場合には、音で報知しないという処理を行う(ステップS0705)。これに対し、消音が設定されていないとの判断結果が得られた場合には、バイブレーションが設定されているか否かの判断ステップS0706に進み、当該判断を行う。この結果、設定されているとの判断結果が得られた場合にはバイブレーションに切り換えて報知を行う(ステップS0707)。
【0037】
一方、バイブレーションが設定されていないとの判断結果が得られた場合は、上で取得した設定情報に従って、例えば指向性スピーカに切り換えて報知する(ステップS0708)。なお、ステップS0703の処理もステップS0708の処理もどちらも設定情報に従うが、例えば、設定情報で非指向性スピーカまたは指向性スピーカを設定した上で、別途定められるルールとして「マナーモードが設定されているとき(ただし、消音やバイブレーションが設定されていないときに限る)は指向性スピーカ、マナーモードが設定されていないときは非指向性スピーカに特定する」というルールを定め、これを参照することで異なる処理を行うことが可能となる。あるいは、設定情報自体を「指向性スピーカ又は非指向性スピーカに切り換える」と定めておき、設定情報に加えて後述する機能状態情報(ここではマナーモードが設定されているかどうかを示す情報)にも応じて切換えを行うようにしてもよい。以上では一つの出力時について説明したが、上述したように設定により音声出力とバイブレーション出力を同時に行うこともできる。
【0038】
<効果>
本実施例の発明により、着信や操作を利用者に確実に知らせることができ、しかも周囲の他人の迷惑とならないようにすることができる。また、設定・切換えを環境の変化に応じて行うことが可能な携帯型通信端末およびその動作方法を提供することが可能となる。
【実施例2】
【0039】
<概要>
本実施例の携帯型通信端末は基本的に実施例1の携帯型通信端末と共通する。ただし、本実施例の端末では、指向性スピーカが操作機能部品とこの操作機能部品による操作関連情報を表示するディスプレイとを配置した面に配置されている点に特徴がある。
【0040】
<構成>
(全般)
図8は、本実施例の携帯型通信端末における指向性スピーカ、操作機能部品、および操作機能部品による操作関連情報を表示するディスプレイの配置の一例を示す図である。このうち、図8(a)は、典型的に考えられる配置である。本図においては、本例の携帯型通信端末0800の指向性スピーカ0840が、操作機能部品0801と、この操作機能部品による操作関連情報を表示するディスプレイ0802とを配置した面に配置されていることが示されている。あるいは別の配置例として、図8(b)に示すように、携帯型通信端末0800のディスプレイ0802が操作面のほぼ全面を占めており、当該ディスプレイの中に指向性スピーカ0840および操作機能部品0801が配置されているものであってもよい。この場合、操作機能部品が例えばタッチパネルであるものが考えられる。
【0041】
本実施例の目的は、指向性スピーカ、操作機能部品、および操作機能部品による操作関連情報を表示するディスプレイを、端末の使用時に利用者の頭部に略正対していることが通例である操作面に配置することで、操作キーなどの操作機能部品がきちんと押下されていることを指向性スピーカからの音声出力により確実に利用者に知らせるようにすることにある。
【0042】
(ハードウェア構成)
図9は、本実施例の携帯型通信端末のハードウェア構成の一例を示す概略図である。本実施例の携帯型通信端末のハードウェア構成は、実施例1などと基本的に共通する。
ただし、本図に示すように、本実施例では「I/O」0904を介して接続されている指向性スピーカ0908、操作機能部品0909、およびディスプレイ0910がすべて同一の面(図中では便宜的に「操作面」として示した)に配置されている。
【0043】
<効果>
本実施例の発明により、操作キーなどの操作機能部品がきちんと押下されていることを指向性スピーカからの音声出力により確実に利用者に知らせるようにすることが可能となる。
【実施例3】
【0044】
<概要>
本実施例の携帯型通信端末は、基本的に実施例1などの端末と共通する。ただし、本実施例の端末は、把持されて操作面に利用者の顔が略正対している状態を検出するための手段を有するとともに、当該手段での検出結果にも応じて切換えを行う手段を有する点に特徴がある。
【0045】
<構成>
図10は、本実施例の携帯型通信端末の機能ブロックの一例を示す図である。本図に示すように、本実施例の「携帯型通信端末」1000の構成は、実施例1などの携帯型通信端末と基本的に共通する。ただし、本実施例の端末は「検出部」1095を有するとともに、「切換部」が「検出結果切換手段」を有する。以下、これらの手段の構成について説明する。なお、その他の構成は実施例1などの端末と同様であるから、説明を省略する。
【0046】
(検出部)
「検出部」は、把持されて操作面に利用者の顔が略正対している状態を検出するためのものである。「略正対」の範囲は厳密でなくともよいが、概ね指向性スピーカから音声を出力したときに利用者が聞こえる範囲をいう。端末が利用者によって把持されており、かつこのような範囲に利用者の顔が略正対している状態の場合には、指向性スピーカを用いて音声を出力すれば利用者に聞こえ、着信や操作を利用者に確実に知らせることができる蓋然性が高い。逆にこのような状態でない場合には指向性スピーカを用いても利用者に聞こえる蓋然性が低く、指向性スピーカを用いることの意義は薄いと考えられる。そこで、本実施例の構成の目的は、利用者の顔が操作面に略正対している状態かどうかを検出してインターフェイスの切換えができるようにすることにある。つまり、本実施例は、主に検出結果を指向性スピーカに切り換えるかどうかの選択に用いることを念頭に置いたものである。従って、本実施例の端末は、指向性スピーカが操作面または表示面に配置されていることが望ましい。
【0047】
検出部がかかる検出を行うタイミングとしては、例えば設定情報が取得されたときに自動的に検出を行うようにすればよい。あるいは端末の電源をONにした場合にしたときに自動的に検出を行うようにしてもよい。利用者による検出用キー(このキーは通常の操作用のキーと兼用としてもよい)の押下に基づいて検出を行うようにしてもよい。
なお、かかる検出のための具体的手段としては、例えば画像認識処理技術などの公知技術を利用可能である。
【0048】
(切換部:検出結果切換手段)
次に、「切換部」の「検出結果切換手段」は、設定情報に従うだけでなく、検知部での検出結果にも応じて切換えを行うように構成されている。上に述べた目的に照らせば、検出結果切換手段は、典型的には操作面または表示面に利用者の顔が略正対している状態を検出したときは出力先を指向性スピーカに切り換えるように構成される。
【0049】
(ハードウェア構成)
次に、本実施例の携帯型通信端末のハードウェア構成について、図3および図5を用いて説明する。
本実施例の携帯型通信端末のハードウェア構成は、実施例1などと基本的に共通する。
ただし、図5に示すように、本実施例では記憶装置に検出プログラムが記憶されている(このプログラムも例えば電源投入により自動的にメインメモリに読み出される)。そして、例えば、実施例1で述べたのと同様の手順に従って設定情報の取得がなされた場合に、検知プログラムは把持されて操作面に利用者の顔が略正対している状態かどうかの検出を行う。この検出のための手段として、例えば図3に示すような人感センサーが接続される。その他、カメラ部を動作させ、そこから得られた映像情報から利用者の顔が略正対している状態かどうかの検出を行うこともできる。具体的な検知処理のための構成としては、画像認識処理技術などの公知技術を利用可能である。
その他の構成は、実施例1などと同様であるので説明を省略する。
【0050】
<処理の流れ>
図11は、本実施例の携帯型通信端末における処理の流れの一例を示す図である。本図に示す処理の流れは基本的に実施例1などの処理の流れと共通する。ただし、本実施例では、設定情報が取得された場合に、携帯型通信端末は、把持されて操作面に利用者の顔が略正対している状態を検出するためにかかる検出を行う(ステップS1103)。そして、検出の結果が利用者の顔が略正対しているか否かの判断ステップS1104において当該判断を行い、略正対しているとの判断結果の場合には、携帯型通信端末は、設定情報に従った信号出力先が非指向性スピーカ、指向性スピーカ又はその他のインターフェイスのいずれであるかの判断ステップS1105に進み、当該判断を行う。なお、上述した本実施例の目的に照らせば、設定情報においてかかる検出結果の場合には指向性スピーカを切換先として定めることが望ましいため、好適には、当該判断は指向性スピーカに切り換えるとの判断結果となることが考えられる。
その他の処理の流れは実施例1などと同様であるから、説明を省略する。
【0051】
<効果>
本実施例の発明により、操作面または表示面に利用者の顔が正対している場合には、指向性スピーカを用いて、着信や操作を利用者に確実に知らせることができる。
【実施例4】
【0052】
<概要>
本実施例の携帯型通信端末は、基本的に実施例1などの端末と共通する。ただし、本実施例の端末は、指向性スピーカと非指向性スピーカとは、両機能を備えた一のスピーカである点に特徴がある。
【0053】
<構成>
本実施例の携帯型通信端末の構成は、基本的に実施例1などの構成と同様である。ただし、本実施例の端末における指向性スピーカと非指向性スピーカとは、両機能を備えた一のスピーカである。かかる構成とする目的は、携帯型通信端末をよりコンパクトにすることにある。
【0054】
このように一のスピーカで指向性スピーカと非指向性スピーカの両機能を備えるためには、広帯域の音声を再生できるスピーカである必要があるが、かかる広帯域スピーカに関する技術は、例えば特許文献3に開示されている(特許文献3:特開2003‐299194号公報参照)ので、かかる公知技術を利用可能である。
このような、可聴音帯域から超音波帯域まで再生できるスピーカにより、本発明の非指向性スピーカと指向性スピーカを実現することができる。
【0055】
図12は、本実施例の携帯型通信端末の音声出力切換えに係る機能ブロックの一例を示す図である。本図に示すように、本実施例の端末では、操作音声情報、着信音声情報及び電話音声等の音声情報を非指向性スピーカモードで出力するか、指向性スピーカモードにより出力するか、またはその他のインターフェイス1209で出力するか適宜切換部1270により切り換えられる。非指向性スピーカモードの音声情報は音声増幅部1203にて増幅が行われる。一方指向性スピーカモードの場合は音声情報で超音波変調部1204にて超音波搬送波に変調され、及び適宜増幅される。これらはスピーカモード情報により音声切換部1202で切り換えられ、その出力は広帯域スピーカ1201に出力される。
【0056】
(ハードウェア構成)
図13は、本実施例の携帯型通信端末のハードウェア構成の一例を示す概略図である。本実施例の携帯型通信端末のハードウェア構成は、実施例1などと基本的に共通するが、本図に示すように、本実施例では「I/O」3104を介して接続されている指向性スピーカと非指向性スピーカは、両機能を備えた一のスピーカである。
【0057】
<効果>
本実施例の発明により、携帯型通信端末から出力される音声情報を同じスピーカより聞くことができるため利便性が改善されることと、よりコンパクトなものとする可能性につながる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の携帯型通信端末の概要を説明するための図
【図2】実施例1の携帯型通信端末の機能ブロックの一例を示す図
【図3】実施例1の携帯型通信端末の機能ブロックの一例を示す図
【図4】設定情報のバリエーションの一例を示す図
【図5】実施例1の携帯型通信端末のハードウェア構成の一例を示す概略図
【図6】実施例1の携帯型通信端末における処理の流れの一例を示す図
【図7】本発明の携帯型通信端末における処理の流れの一例を示す図
【図8】実施例2の携帯型通信端末における指向性スピーカ、操作機能部品、および操作機能部品による操作関連情報を表示するディスプレイの配置の一例を示す図
【図9】実施例2の携帯型通信端末のハードウェア構成の一例を示す概略図
【図10】実施例3の携帯型通信端末の機能ブロックの一例を示す図
【図11】実施例3の携帯型通信端末における処理の流れの一例を示す図
【図12】実施例4の携帯型通信端末の音声出力切換えに係る機能ブロックの一例を示す図
【図13】実施例4の携帯型通信端末のハードウェア構成の一例を示す概略図
【符号の説明】
【0059】
0100 携帯型通信端末
0130 スピーカ
0200 携帯型通信端末
0210 操作音信号出力部
0220 着信音信号出力部
0230 非指向性スピーカ
0240 指向性スピーカ
0250 設定情報保持部
0260 設定情報取得部
0270 切換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作情報に基づいて操作音信号を出力するための操作音信号出力部と、
着信情報に基づいて着信音信号を出力するための着信音信号出力部と、
非指向性スピーカと、
指向性スピーカと、
信号出力先となるスピーカを含むインターフェイスへの信号切換を定める設定情報を保持する設定情報保持部と、
前記操作情報および/又は着信情報に基づいて設定情報保持部から設定情報を取得する設定情報取得部と、
取得した設定情報に従って信号出力先を前記いずれかのインターフェイスに切換える切換部と、
を有する携帯型通信端末。
【請求項2】
前記指向性スピーカは、操作機能部品と、この操作機能部品による操作関連情報を表示するディスプレイとを配置した面に配置されている請求項1に記載の携帯型通信端末。
【請求項3】
把持されて操作面に利用者の顔が略正対している状態を検出するための検出部と、
切換部は、検出部での検出結果にも応じて切換えを行う検出結果切換手段を有する請求項1又は2に記載の携帯型通信端末。
【請求項4】
指向性スピーカと非指向性スピーカとは、両機能を備えた一のスピーカであり、音声信号および/又は超音波搬送波信号が供給される請求項1から3のいずれか一に記載の携帯型通信端末。
【請求項5】
非指向性スピーカおよび指向性スピーカを備えた携帯型通信端末の動作方法であって、
操作情報および/又は着信情報を検知したか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおける判断結果が検知したとの判断結果である場合に、信号出力先となるインターフェイスであって非指向性スピーカ、指向性スピーカを含むインターフェイスへの信号切換を定める設定情報を取得する設定情報取得ステップと、
取得した設定情報に従って信号出力先を前記いずれかのインターフェイスに切換える切換ステップと、
を有する携帯型通信端末の動作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−56877(P2010−56877A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219653(P2008−219653)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】