説明

携帯型電子機器

【課題】揮発性メモリがデータ等を保持するため消費する電力を低減した携帯型電子機器を提供する。
【解決手段】制御部100は、操作部40を通じたユーザが一定時間検出されないと、揮発性メモリ50bに読み出していたアプリの数を減らすようにしている。また制御部100は、ユーザが利用したアプリの時間帯を学習しておき、その時間帯になると、学習結果に基づいて、利用頻度の低いアプリについては、揮発性メモリ50bから削除(もしくは保持しない)ようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば携帯電話機や携帯型パーソナルコンピュータなどの携帯型電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、NAND型メモリなどの不揮発性メモリは、電源がなくてもデータを保持することができる一方、アクセススピードがSDRAMなどの揮発性メモリに比べると劣っている。
【0003】
このため、携帯電話機や携帯型パーソナルコンピュータなどの携帯型電子機器においては、プログラムやデータ(以下、データ等)を予めNAND型メモリに保持しておき、このデータ等をNAND型メモリからSDRAMに読み出してCPUを動作させることで、高速な動作を可能としている。
【0004】
しかしながら、SDRAMに読み出したデータ等を保持するために電力を消費する。携帯型電子機器は、バッテリ電力によって駆動するため、消費電力を低減させることは重要な課題であり、揮発性メモリがデータ等を保持するために必要となる電力も無視することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−48342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
揮発性メモリにデータ等を保持するために電力を消費するが、携帯型電子機器にあっては、その消費電力も無視することはできないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、実施形態では、データ等を記憶する不揮発性の第1のメモリと、前記第1のメモリに記憶されているデータ等の一部を記憶する揮発性の第2のメモリと、ユーザ操作が所定時間検出されないとき、前記第2のメモリに記憶されているデータ等のから、所定の条件を満たさないデータ等を消去または無効化する記憶制御手段とを具備して構成するようにした。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態に係わる携帯型電子機器の構成を示す回路ブロック図。
【図2】図1に示した携帯型電子機器の保持情報量管理処理を説明するためのフローチャート。
【図3】図2に示した処理によって、不揮発性メモリに読み出される情報を模式的に示した図。
【図4】図2に示した処理によって、不揮発性メモリに読み出される情報を模式的に示した図。
【図5】図2に示した処理によって、不揮発性メモリに読み出される情報を模式的に示した図。
【図6】図2に示した処理によって、不揮発性メモリに読み出される情報を模式的に示した図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態について説明する。
図1は、この実施形態に係わる携帯型電子機器の構成を示すブロック図である。以下の説明では、携帯型電子機器の一例として、多機能型の携帯電話機、いわゆるスマートフォンを例に挙げて説明する。
【0010】
図1に示すように、上記携帯端末装置は、主な構成要素として、制御部100と、無線通信部10と、表示部20と、通話部30と、操作部40と、記憶部50と、放送受信部60と、GPS受信部70と、ディジタルカメラ80と、赤外線通信部90とを備える。主な機能としては、基地局装置BSおよび移動通信網MNを介して、音声通信やデータ通信を行う通信機能と、放送局BCから送信される地上ディジタル放送信号を受信する放送受信機能と、自己の位置を測位する測位機能、他の携帯電話機MSと赤外線通信を行う赤外線通信機能などを備えるとともに、これらを利用したアプリケーションソフトウェアを実行する機能を備える。その他、Bluetooth(登録商標)や、非接触型の近距離無線通信により、クレジット決済を行う機能や、交通機関の利用や商品購入代金の支払いを行う電子マネー機能などを備える。
【0011】
無線通信部10は、制御部100の指示にしたがって、移動通信網MNに収容された基地局装置BSと無線通信を行うものであって、これにより音声データや電子メールデータなどの送受信、Webデータやストリーミングデータなどの受信を行う。
表示部20は、制御部100の制御により、画像(静止画像および動画像)や文字情報などを表示して、視覚的にユーザに情報を伝達するものである。
【0012】
通話部30は、スピーカ31やマイクロホン32を備え、マイクロホン32を通じて入力されたユーザの音声を制御部100にて処理可能な音声データに変換して制御部100に出力したり、無線通信部10を介して通話相手などから受信した音声データを復号してスピーカ31から出力するものである。
【0013】
操作部40は、複数のキースイッチなどの他に、上記表示部20上に設けられたタッチパネルを備え、これを通じてユーザから指示を受け付けるものである。タッチパネルは、抵抗膜方式、静電容量式、電磁誘導式などいずれの方式でもよく、ユーザが操作したタッチパネル上の座標を検出し、これを制御部100に通知する。
【0014】
なお、制御部100は、操作部40から通知された座標に基づき、この座標に対応する表示部20上の表示領域に表示しているアイコンや機能キーを検出し、これに対する操作として認識する。操作は、シングルクリック、ダブルクリック、ドラッグ、その他、多点接触によるアクションなどを検出して、ユーザが意図する命令(選択、実行、移動、表示の拡大や縮小、画面スライド(ページ送り)など)を制御部100が認識し、実行する。また、制御部100の内部には図示しない時刻情報を出力する計時部が設けられている。
【0015】
記憶部50は、NAND型メモリを用いた不揮発性メモリ50aと、SDRAMを用いた揮発性メモリ50bとを備える。
不揮発性メモリ50aは、制御部100の制御プログラムや制御データ、アプリケーションソフトウェア、通信相手の名称や電話番号などを対応づけたアドレスデータ、送受信した電子メールのデータ、WebブラウジングによりダウンロードしたWebデータや、ダウンロードしたコンテンツデータを記憶する。
【0016】
揮発性メモリ50bは、制御部100によって不揮発性メモリ50aから読み出されたアプリケーションプログラム、制御プログラム、および制御データをはじめとするデータ等を記憶する。この結果、制御部100は、高速アクセス可能な揮発性メモリ50bに記憶されているデータ等にしたがって動作することにより、高速動作を可能にしている。
【0017】
なお、揮発性メモリ50bは、複数の記憶素子(ICチップ)で1つの連続した記憶領域を形成し、制御部100が選択的に記憶素子に電力を供給することで、記憶素子単位でリフレッシュ動作させて、データ等を保持させることを可能としている。また、アドレスを指定することで1つの記憶素子の特定のエリアに対して電力を供給して、リフレッシュ動作させ、データ等情報を保持させることも可能である。
【0018】
放送受信部60は、放送局BCから送信される地上ディジタル放送信号のうち、ワンセグメントを受信し、映像信号が例えばH.264などの形式で符号化された放送データ(符号化ストリーム)を得る。なお、ここでは、放送受信部60は、低フレームレートのワンセグメントを受信する場合を例に挙げるが、これに限らず、より高いフレームレートのフルセグメントを受信するディジタルチューナであってもよい。また放送局BCは、広域に対して放送を行う通常の放送局でもよいし、大型店舗や公共施設などの特定の地域を受信エリアとするエリア限定の放送局であってもよい。
【0019】
GPS受信部70は、GPS衛星ST1〜STnから送信されるGPS(Global Positioning System)信号を受信して、位置(緯度、経度、高度)を測位するものであって、この測位によって得た位置情報(緯度、経度、高度)を制御部100に出力する。
【0020】
ディジタルカメラ80は、CCD(Charge-Coupled Device)あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を用いて撮像を行うディジタルカメラであって、制御部100によって制御され、撮像によって得た画像データを制御部100に出力する。
【0021】
赤外線通信部90は、赤外線通信機能を有する対向機器(例えば、他の携帯電話機MS)と赤外線通信を行うものであって、制御部100によって動作設定がなされ、制御部100から与えられる送信データを赤外線光で送信したり、対向機器から赤外線光で送信されるデータを受信し、これを受信データとして制御部100に出力する。
【0022】
制御部100は、マイクロプロセッサを備え、当該移動無線端末装置の各部を統括して制御するものであって、不揮発性メモリ50aに保持されるデータ等を揮発性メモリ50bに読み出し、そして揮発性メモリ50bに保持データ等に基づいて動作することで、種々の制御動作を実行する。すなわち、揮発性メモリ50bをワークエリアとして利用する。
【0023】
具体的な制御動作としては、例えば音声通信やデータ通信を行うために、通信系の各部を制御する通信制御機能と、電子メールの作成や送受信を行うためのメールソフトウェアや、Webブラウジングを行うためのブラウザソフトウェア、ストリーミングデータのダウンロードや再生を行うためのメディア再生ソフトウェア、放送局BCから送信される地上ディジタル放送信号を受信するための放送受信ソフトウェア、ディジタルカメラ80を制御して撮影を行う画像処理ソフトウェア、QR(Quick Response)コード(登録商標)を画像解析により復号する画像解析ソフトウェアを選択的に実行し、これらに係わる各部を制御するアプリケーション処理機能を備える。
【0024】
次に、上記構成の携帯型電子機器の動作について説明する。以下の説明では特に、揮発性メモリ50bに読み出されたデータ量の管理に関する保持データ量管理処理について説明する。図2は、上記保持データ量管理処理を説明するためのフローチャートであって、当該携帯型電子機器の電源が投入されると、その電源が切られるまで制御部100によって繰り返し実行される。
【0025】
また保持情報量管理処理のプログラムは、不揮発性メモリ50aから揮発性メモリ50bに読み出され、この読み出されたプログラムにしたがって制御部100が動作することにより、保持データ量管理処理が実現する。
なお、以下の説明では、説明を簡明にするために、保持データ量管理処理による管理対象を、アプリケーションソフトウェアに特化して説明するが、これに限定されるものではなく、その他の情報についても同様の管理が可能である。
【0026】
まずステップ2aにおいて制御部100は、標準モードに対応するアプリケーションプログラム(以下、アプリと略称する)だけを、不揮発性メモリ50aから揮発性メモリ50bに読み出し、ステップ2bに移行する。なお、初期状態において、揮発性メモリ50bには、その特性からデータ等は記録されていない。
【0027】
具体的には、例えば図3に示すように、不揮発性メモリ50aが記憶するアプリのうち、通信アプリ、メールアプリ、住所録アプリ、アラームアプリ、カメラアプリ、GPSアプリを揮発性メモリ50bに読み出しておき、通信アプリ、メールアプリやGPSアプリについては実行し、その他のアプリについては、ユーザからの要求などに応じて、すぐに実行できるように準備する。
【0028】
なお、通信アプリは、音声通信やデータ通信を行うために各部を制御するための制御プログラムである。メールアプリは、電子メールを送受信するために各部を制御するための制御プログラムである。住所録アプリは、名前、電話番号、電子メールアドレス、住所などの情報を対応づけたアドレス帳を管理(記憶、表示)するプログラムである。アラームアプリは、ユーザが設定した時刻に、アラームを発するプログラムである。カメラアプリは、ディジタルカメラ80を制御して、静止画像や動画像を撮影するためのプログラムである。GPSアプリは、GPS受信部70を制御して、現在位置を測位するプログラムである。
【0029】
したがって、ステップ2aにより、音声通話の着信の待ち受け、電子メールの受信待ち受け、現在位置の測位が開始される。また、住所録アプリ、アラームアプリ、カメラアプリが揮発性メモリ50bに読み出されているので、例えば操作部40を通じたユーザからの要求により、これらのアプリがすぐに実行できる状態となっている。
【0030】
また制御部100は、揮発性メモリ50bの記憶領域のうち、図3に示したように、アプリを保持している領域についてのみ、リフレッシュ動作を行って、アプリが消滅しないように記憶を保持する。すなわち、アプリを保持している領域のみ、電力を消費することになる。
【0031】
ステップ2bにおいて制御部100は、タイマTを始動し、経過時間のカウントを開始して、ステップ2cに移行する。
ステップ2cにおいて制御部100は、操作部40を通じて、ユーザ操作が行われたか否かを判定する。ここで、ユーザ操作が行われた場合には、ステップ2dに移行し、一方、ユーザ操作が行われていない場合には、ステップ2gに移行する。
【0032】
ステップ2dにおいて制御部100は、ステップ2cで検出したユーザ操作が、アプリを実行する要求であるか否かを判定する。ここで、アプリを実行する要求である場合には、ステップ2mに移行し、一方、アプリを実行する要求でない場合には、ステップ2eに移行する。
【0033】
ステップ2eにおいて制御部100は、ステップ2cで検出したユーザ操作が、揮発性メモリ50bに読み込んだアプリを削除する要求であるか否かを判定する。ここで、アプリを削除する要求である場合には、ステップ2fに移行し、一方、アプリを削除する要求でない場合には、ステップ2bに移行する。
【0034】
ステップ2fにおいて制御部100は、ステップ2cで削除要求されたアプリを、揮発性メモリ50bから消去(あるいは無効化)し、ステップ2bに移行する。
例えば、図3に示すような標準モードに対応するアプリが揮発性メモリ50bに読み込まれた状態において、ステップ2dでGPSアプリを削除する要求が為されたとすると、図4に示すように、揮発性メモリ50bからGPSアプリを消去(あるいは無効化)する。
【0035】
したがって、ステップ2fにより、GPSアプリを消去されると、音声通話の着信の待ち受け、電子メールの受信待ち受けが継続して実行される。また、住所録アプリ、アラームアプリ、カメラアプリが揮発性メモリ50bに読み出されているので、例えば操作部40を通じたユーザからの要求により、これらのアプリがすぐに実行できる状態となっている。
【0036】
また制御部100は、揮発性メモリ50bの記憶領域のうち、図4に示したように、アプリを保持している領域についてのみ、リフレッシュ動作を行って、アプリが消滅しないように記憶を保持する。すなわち、情報を保持している領域のみ、電力を消費することになる。
【0037】
一方、ステップ2gにおいて制御部100は、タイマTが、予め設定した時間t1を経過したか否かを判定する。ここで、タイマTが、予め設定した時間t1を経過した場合には、ステップ2jに移行し、一方、未だ時間t1を経過していない場合には、ステップ2hに移行する。
【0038】
ステップ2hにおいて制御部100は、現在時刻が、予め学習により設定した時刻(以下、学習設定時刻と称する)を経過した否かを判定する。ここで、現在時刻が学習設定時刻を経過した場合には、ステップ2iに移行し、一方、経過していない場合には、ステップ2cに移行して、再びユーザ操作を監視する。
【0039】
ステップ2iにおいて制御部100は、学習モードに対応するアプリだけを、不揮発性メモリ50aから揮発性メモリ50bに読み出し、ステップ2kに移行する。すなわち、学習情報に基づいて、揮発性メモリ50bに読み出しているアプリのうち、現在時刻においてユーザの使用頻度の低いアプリを消去(あるいは無効化)し、一方、利用頻度の高いアプリや、通信アプリなど必須のアプリだけを揮発性メモリ50bに読み出す。
【0040】
なお、学習情報は、一日24時間を複数の時間帯に分け、時間帯毎に、アプリの使用頻度を記録したものであり、例えば、不揮発性メモリ50aに記憶される。すなわち、時間帯毎に、アプリの識別情報と、その使用頻度を示す情報が対応づけられたテーブルである。
【0041】
そして制御部100は、揮発性メモリ50bの記憶領域のうち、アプリを保持している領域についてのみ、リフレッシュ動作を行って、アプリが消滅しないように記憶を保持する。すなわち、情報を保持する領域のみ、電力を消費することになる。
【0042】
ステップ2jにおいて制御部100は、待受モードに対応するアプリだけを、不揮発性メモリ50aから揮発性メモリ50bに読み出し、ステップ2kに移行する。なお、ここで、すでに待受モードに対応するアプリが揮発性メモリ50bに読み出されている場合には、そのアプリの読み出しは行わず、一方、すでに待受モードに対応しないアプリが揮発性メモリ50bに読み出されている場合には、そのアプリを揮発性メモリ50bから消去(あるいは無効化)する。
【0043】
具体的には、例えば図5に示すように、不揮発性メモリ50aが記憶するアプリのうち、通信アプリ、メールアプリ、住所録アプリ、アラームアプリを揮発性メモリ50bに読み出しておき、通信アプリやメールアプリについては実行し、その他のアプリについては、ユーザからの要求などに応じて、すぐに実行できるように準備する。
すでに図3に示すようなアプリが読み出されている場合には、カメラアプリとGPSアプリを揮発性メモリ50bから消去(あるいは無効化)する。
【0044】
したがって、ステップ2jにより、音声通話の着信の待ち受け、電子メールの受信待ち受けが継続して実行される。また、住所録アプリ、アラームアプリが揮発性メモリ50bに読み出されているので、例えば操作部40を通じたユーザからの要求により、これらのアプリがすぐに実行できる状態となっている。
【0045】
また制御部100は、揮発性メモリ50bの記憶領域のうち、図5に示したように、アプリを保持している領域についてのみ、リフレッシュ動作を行って、アプリが消滅しないように記憶を保持する。すなわち、アプリを保持する領域のみ、電力を消費することになる。
【0046】
ステップ2kにおいて制御部100は、操作部40を通じて、ユーザ操作が行われたか否かを判定する。ここで、ユーザ操作が行われた場合には、ステップ2lに移行し、一方、ユーザ操作が行われていない場合には、ステップ2nに移行する。
【0047】
ステップ2lにおいて制御部100は、ステップ2kで検出したユーザ操作が、アプリを実行する要求であるか否かを判定する。ここで、アプリを実行する要求である場合には、ステップ2mに移行し、一方、アプリを実行する要求でない場合には、ステップ2nに移行する。
【0048】
ステップ2mにおいて制御部100は、揮発性メモリ50bに読み出しているアプリに、ステップ2kで実行が要求されたアプリが含まれているか否かを判定する。ここで、アプリが含まれている場合には、ステップ2qに移行し、一方、アプリが含まれていない場合には、ステップ2pに移行する。
【0049】
ステップ2qにおいて制御部100は、ステップ2kで実行が要求されたアプリを不揮発性メモリ50aから揮発性メモリ50bに読み出し、ステップ2qに移行する。
ステップ2qにおいて制御部100は、揮発性メモリ50bに読み出したアプリに基づいて、ステップ2kで実行が要求されたアプリを実行するとともに、このアプリを現在時刻が含まれる時間帯に実行したことを上記学習情報に反映させ、ステップ2bに移行する。
【0050】
一方、ステップ2nにおいて制御部100は、タイマTが、予め設定した時間t2(>t1)を経過したか否かを判定する。ここで、タイマTが、予め設定した時間t2を経過した場合には、ステップ2oに移行し、一方、未だ時間t2を経過していない場合には、ステップ2kに移行する。
【0051】
ステップ2oにおいて制御部100は、低消費電力モードに対応するアプリだけを、不揮発性メモリ50aから揮発性メモリ50bに読み出し、ステップ2kに移行する。なお、ここで、すでに低消費電力モードに対応するアプリが揮発性メモリ50bに読み出されている場合には、そのアプリの読み出しは行わず、一方、すでに低消費電力モードに対応しないアプリが揮発性メモリ50bに読み出されている場合には、そのアプリを揮発性メモリ50bから消去(あるいは無効化)する。
【0052】
具体的には、例えば図6に示すように、不揮発性メモリ50aが記憶するアプリのうち、通信アプリ、メールアプリを揮発性メモリ50bに読み出して実行し、その他のアプリは読み出さない。
すでに図5に示すようなアプリが読み出されている場合には、住所録アプリとアラームアプリを揮発性メモリ50bから消去(あるいは無効化)する。
【0053】
したがって、ステップ2oにより、音声通話の着信の待ち受け、電子メールの受信待ち受けが継続して実行される。また、他のアプリは揮発性メモリ50bに読み出されていないので、すぐには実行できない状態となっている。
【0054】
また制御部100は、揮発性メモリ50bの記憶領域のうち、図6に示したように、アプリを保持している領域についてのみ、リフレッシュ動作を行って、アプリが消滅しないように記憶を保持する。すなわち、アプリを保持している領域のみ、電力を消費することになる。
【0055】
以上のように、上記構成の携帯型電子機器では、一定の時間t1の間、ユーザが操作を行わないと、揮発性メモリ50bに読み出していたアプリの数を減らすようにしているので、揮発性メモリ50bにおける消費電力を低減することができる。すなわち、一定時間ユーザ操作が検出されない場合は、揮発性記憶手段が記憶するデータ等の一部を消去または無効化することでデータ等を保持するために必要となる電力を低減することができる。
【0056】
また、さらに一定時間t2(>t1)が経過しても、ユーザが操作を行わないと、さらに、揮発性メモリ50bに読み出していたアプリの数を減らすようにしている。すなわち、ユーザ操作が行われない時間が長くなるにしたがって、さらに揮発性メモリ50bにおける消費電力を低減することができる。
【0057】
そして、ユーザが利用したアプリの時間帯を学習しておき、その時間帯になると、学習結果に基づいて、利用頻度の低いアプリについては、揮発性メモリ50bから削除(もしくは保持しない)ようにしている。このため、ユーザの利用の仕方に応じたアプリが優先的に揮発性メモリ50bに残るので、利用頻度の低いアプリを保持することによる電力消費を抑制できる。
【0058】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0059】
その一例として例えば、上記実施の形態では、揮発性メモリ50bに読み出すデータ等として、アプリケーションプログラムを例に挙げて説明したが、これ以外のデータ等であっても適用可能であることはいうまでもない。例えば、住所録のデータや、発着信の履歴、送受信した電子メールのデータ、ディジタルカメラ80によって撮像した画像データなどが考えられる。
【0060】
また、ステップ2cおよびステップ2kでは、操作部40を通じたユーザ操作を監視するようにしたが、これ以外の手法で、ユーザが利用する可能性の有無を判断するようにしてもよい。例えば、加速度センサを搭載し、所定レベル以上の急激な加速度変化を検出した場合に、制御部100がユーザ操作ありと判定する。また、照度センサを設けて、周囲が所定レベルより照度が低い(暗い)場合には、制御部100がユーザ操作はないものと判断するようにしてもよい。
【0061】
またステップ2qで生成した学習情報を、ユーザが操作部40を通じて、任意に編集できるようにしてもよい。すなわち、制御部100が、ユーザによる任意の設定を受け付けて、時間帯毎に、揮発性メモリ50bに読み出すアプリの識別情報を記録したタイムテーブルを生成する。そして、このタイムテーブルにしたがって、所望のアプリだけを揮発性メモリ50bに読み出すようにする。
【0062】
これにより、時間帯に応じて、揮発性メモリ50bに保持される情報量を制御部100が制御するようにしてもよい。つまり、深夜など、ユーザが使用する可能性の低い時間に時間帯については、通信アプリなど、特定の機能だけを揮発性メモリ50bに保持するようにしてもよい。なお、上記タイムテーブルは、不揮発性メモリ50aに記録しておくことはいうまでもない。
【0063】
そしてまた上記実施の形態では、種々の条件に応じて、標準モード、待受モード、低消費電力モード、学習モードのいずれかの動作モードを制御部100が選択するようにしたが、操作部40を通じてユーザが動作モードを選択し、これに応動して制御部100が、ユーザが選択した動作モードに対応する情報を不揮発性メモリ50aから読み出して揮発性メモリ50bに保持させるとともに、上記選択した動作モードに対応しない情報については、揮発性メモリ50bから削除(もしくは保持しない)ようにしてもよい。
【0064】
その他の動作モードとしては、着信音などを発しないようにするマナーモードなどが考えられる。マナーモード設定時は、特定のアプリ、例えば放送受信ソフトウェアなどの使用頻度は、極めて低いことが多いからである。
【0065】
さらにまた、上記実施の形態では、携帯型電子機器の一例として、スマートフォンを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、携帯型のパーソナルコンピュータ、ディジタルカメラ、カーナビゲーションシステムをはじめとする種々の電子機器に適用できる。
【0066】
また上記実施の形態では、揮発性メモリ50bからアプリを消去(あるいは無効化)するようにしていたが、これに代わって例えば、各モードに応じて揮発性メモリ50bに保持すべき情報を記憶する領域についてのみリフレッシュ動作を行うようにすることで、必要な情報だけを揮発性メモリ50bが保持するようにしてもよい。すなわち、積極的に消去(あるいは無効化)する処理を行わなくても、必要なデータ等を記憶する領域についてのみリフレッシュ動作を継続させることで、同様な効果を発揮できる。
【符号の説明】
【0067】
10…無線通信部、20…表示部、30…通話部、31…スピーカ、32…マイクロホン、40…操作部、50…記憶部、50a…不揮発性メモリ、50b…揮発性メモリ、60…放送受信部、70…GPS受信部、80…ディジタルカメラ、90…赤外線通信部、100…制御部、BC…放送局、BS…基地局装置、MN…移動通信網、MS…携帯電話機、ST1〜STn…GPS衛星。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ等を記憶する不揮発性の第1のメモリと、
前記第1のメモリに記憶されているデータ等の一部を記憶する揮発性の第2のメモリと、
ユーザ操作が所定時間検出されないとき、前記第2のメモリに記憶されているデータ等のから、所定の条件を満たさないデータ等を消去または無効化する記憶制御手段と
を具備することを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
前記第1のメモリは、さらに時間帯とこの時間帯に揮発性メモリに記憶するデータ等とを対応づけた条件情報を記憶し、
計時部から出力される時刻情報が前記第1のメモリに記憶されている時間帯に含まれると、前記第2のメモリに記憶されているデータ等のから、前記条件情報を満たさないデータ等を消去または無効化するとともに、前記条件情報を満たすデータ等を第1のメモリから第2のメモリに読み出す記憶制御手段と
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の携帯型電子機器。
【請求項3】
さらに、前記第2のメモリに記憶されているデータ等のうち、利用されたデータ等があると、この利用されたデータ等と利用されたときの時刻情報とを用いて前記条件情報を更新する学習手段とを具備することを特徴とする請求項2に記載の携帯型電子機器。
【請求項4】
不揮発性の記憶媒体を用いて、情報を記憶する不揮発性記憶手段と、
揮発性の記憶媒体を用いて、情報を記憶する揮発性記憶手段と、
前記不揮発性記憶手段から情報を読み出して、前記揮発性記憶手段に記憶させる第1記憶制御手段と、
ユーザから指示を受け付ける操作手段と、
この操作手段を通じてユーザから指定された情報を、前記揮発性記憶手段から消去する第2記憶制御手段とを具備することを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項5】
不揮発性の記憶媒体を用いて、情報を記憶する不揮発性記憶手段と、
揮発性の記憶媒体を用いて、情報を記憶する揮発性記憶手段と、
ユーザから動作モードの指示を受け付ける受付手段と、
この受付手段が受け付けた動作モードに対応づけられた情報を前記不揮発性記憶手段から情報を読み出して、前記揮発性記憶手段に記憶させるとともに、前記受付手段が受け付けた動作モードに対応づけられてない情報を前記揮発性記憶手段から消去する記憶制御手段とを具備することを特徴とする携帯型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−238124(P2011−238124A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110417(P2010−110417)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(310022372)富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】