説明

携帯型電子機器

【課題】バッテリ残量を考慮した最良の画質で画像再生を行うことが可能な携帯型電子機器を提供する。
【解決手段】電池を動作電力として駆動する携帯型電子機器において、画像を表示する表示手段と、表示手段に表示させる画像の画質を向上させる複数の高画質化処理を選択的に実施可能な表示制御手段と、電池が蓄積する電力量を検出する電力量検出手段と、この電力量検出手段が検出した電力量に応じて、表示制御手段が実施する高画質化処理を選択する処理選択手段とを具備して構成するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、例えば携帯電話機や携帯型パーソナルコンピュータなどの携帯型電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、携帯電話機やノート型パーソナルコンピュータなどの携帯型電子機器においては、充電式のバッテリを駆動電力として用いている。また、充電しながらその運用が可能なものもある。
また近時、携帯型電子機器は、動画像の再生や、地上ディジタル放送の受信などの機能を備えるようになった。これらの機能は、プロセッサに高い負荷を与えるため、その消費電力も大きい。
【0003】
これに対して従来は、プロセッサに対する負荷を抑制する低消費電力モードを備え、このモードをユーザが選択すると、例えば動画像の再生品質などを抑制することでプロセッサ負荷を軽減することが考えられている。
【0004】
しかしながら、ユーザによるモード選択では、必要以上に再生品質を落としてしまうことや、あるいは十分な消費電力抑制が行われずに、いざというときに通信機能が使えなくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−314332公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の携帯型電子機器では、バッテリ残量に応じた品質の画像再生を行うことができないという問題があった。そこで、バッテリ残量に応じた品質の画像再生を行うことが可能な携帯型電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、電池を動作電力として駆動する携帯型電子機器において、画像を表示する表示手段と、表示手段に表示させる画像の画質を向上させる複数の高画質化処理を選択的に実施可能な表示制御手段と、電池が蓄積する電力量を検出する電力量検出手段と、この電力量検出手段が検出した電力量に応じて、表示制御手段が実施する高画質化処理を選択する処理選択手段とを具備して構成するようにした。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】携帯型電子機器の一実施形態の構成を示す回路ブロック図。
【図2】図1に示した携帯型電子機器の消費電力制御機能に関わる動作を説明するためのフローチャート。
【図3】二次電池が蓄える電力量の変化を予測した図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係わる携帯型電子機器の構成を示すブロック図である。以下の説明では、携帯型電子機器の一例として、多機能型の携帯電話機、いわゆるスマートフォンを例に挙げて説明する。
【0010】
図1に示す携帯電話機は、主な構成要素として、無線通信部10と、表示部20と、照度センサ21と、通話部30と、操作部40と、記憶部50と、放送受信部60と、GPS受信部70と、ディジタルカメラ80と、赤外線通信部90と、制御部100と、充電回路110と、二次電池120と、電源回路130とを備える。
【0011】
この携帯電話機は、主な機能としては、基地局装置BSおよび移動通信網MNを介して、音声通信やデータ通信を行う通信機能と、放送局BCから送信される地上ディジタル放送信号を受信する放送受信機能と、自己の位置を測位する測位機能、他の携帯電話機MSと赤外線通信を行う赤外線通信機能などを備えるとともに、これらを利用したアプリケーションソフトウェアを実行する機能を備える。その他、Bluetooth(登録商標)や、非接触型の近距離無線通信により、クレジット決済を行う機能や、交通機関の利用や商品購入代金の支払いを行う電子マネー機能などを備える。
【0012】
無線通信部10は、制御部100の指示にしたがって、移動通信網MNに収容された基地局装置BSと無線通信を行うものであって、これにより音声データや電子メールデータなどの送受信、Webデータやストリーミングデータなどの受信を行う。
【0013】
表示部20は、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスを用いたものであって、制御部100の制御により、画像(静止画像および動画像)や文字情報などを表示して、視覚的にユーザに情報を伝達するものである。なお、表示部20は、LED(Light Emitting Diode)などの光源を複数用いたバックライト20aを備え、上記表示デバイスを背面から照明する。バックライト20aは、エッジライト方式あるいは直下型方式のどちらでもよい。なお、表示部20は、有機EL(Electro Luminescence)パネルを用いてもよい。この場合、バックライト20aは不要であり、代わりに有機ELパネルの発光量を制御する。
【0014】
照度センサ21は、表示部20に入射する光の量を検出するものであり、検出した光量を制御部100に通知する。なお、制御部100は、上記光量や表示コンテンツに基づいて、上記バックライト20aを構成する複数光源の各発光量を制御することで、表示デバイスに表示される映像をユーザが見やすいように調整する。
【0015】
通話部30は、スピーカ31やマイクロホン32を備え、マイクロホン32を通じて入力されたユーザの音声を制御部100にて処理可能な音声データに変換して制御部100に出力したり、無線通信部10を介して通話相手などから受信した音声データを復号してスピーカ31から出力するものである。
【0016】
操作部40は、複数のキースイッチなどの他に、上記表示部20上に設けられたタッチパネルを備え、これを通じてユーザから指示を受け付けるものである。タッチパネルは、抵抗膜方式、静電容量式、電磁誘導式などいずれの方式でもよく、ユーザが操作したタッチパネル上の座標を検出し、これを制御部100に通知する。
【0017】
なお、制御部100は、操作部40から通知された座標に基づき、この座標に対応する表示部20上の表示領域に表示しているアイコンや機能キーを検出し、これに対する操作として認識する。操作は、ワンクリック、ダブルクリック、ドラッグ、その他、多点接触によるアクションなどを検出して、ユーザが意図する命令(選択、実行、移動、表示の拡大や縮小、画面スライド(ページ送り)など)を制御部100が認識し、実行する。
【0018】
記憶部50は、制御部100の制御プログラムや制御データ、アプリケーションソフトウェア、通信相手の名称や電話番号などを対応づけたアドレスデータ、送受信した電子メールのデータ、WebブラウジングによりダウンロードしたWebデータや、ダウンロードしたコンテンツデータを記憶する。例えば、HDD(Hard Disk Drive)、NAND型メモリ、SDRAMなどを用いて実現する。
【0019】
放送受信部60は、放送局BCから送信される地上ディジタル放送信号を受信し、映像信号が例えばMPEG2やH.264などの形式で符号化された放送データ(符号化ストリーム)を得るディジタルチューナであって、ワンセグメントあるいはフルセグメントを選択的に受信できる。また放送局BCは、広域に対して放送を行う通常の放送局でもよいし、大型店舗や公共施設などの特定の地域を受信エリアとするエリア限定の放送局であってもよい。
【0020】
GPS受信部70は、GPS衛星ST1〜STnから送信されるGPS(Global Positioning System)信号を受信して、位置(緯度、経度、高度)を測位するものであって、この測位によって得た位置情報(緯度、経度、高度)を制御部100に出力する。
【0021】
ディジタルカメラ80は、CCD(Charge-Coupled Device)あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を用いて撮像を行うディジタルカメラであって、制御部100によって制御され、撮像によって得た画像データを制御部100に出力する。
【0022】
赤外線通信部90は、赤外線通信機能を有する対向機器(例えば、他の携帯電話機MS)と赤外線通信を行うものであって、制御部100によって動作設定がなされ、制御部100から与えられる送信データを赤外線光で送信したり、対向機器から赤外線光で送信されるデータを受信し、これを受信データとして制御部100に出力する。
【0023】
制御部100は、マイクロプロセッサを備え、当該移動無線端末装置の各部を統括して制御するものであって、通常の音声通信機能以外にも、種々のマルチメディア機能を実現するための制御を実施する。
【0024】
具体的な制御としては、例えば音声通信やデータ通信を行うために、通信系の各部を制御する通信制御機能と、電子メールの作成や送受信を行うためのメールソフトウェアや、Webブラウジングを行うためのブラウザソフトウェア、インターネットNWを通じてサーバSVからストリーミングデータをダウンロードし再生を行うためのメディア再生ソフトウェア、放送局BCから送信される地上ディジタル放送信号を受信するための放送受信ソフトウェア、ディジタルカメラ80を制御して撮影を行う画像処理ソフトウェア、QR(Quick Response)コード(登録商標)を画像解析により復号する画像解析ソフトウェアを選択的に実行し、これらに係わる各部を制御するアプリケーション処理機能を備える。
【0025】
そしてまた制御部100は、後述する充電回路110や電源回路130から通知される情報に基づいて、例えば、二次電池120が充電状態にありながらも、供給電力よりも消費電力が上回る状態(いわゆるマイナス充電状態)あるいはそれに近い状態を検出し、実行中のアプリケーションによる消費電力を制御する消費電力制御機能を備える。
【0026】
なお、制御部100は、充電回路110から通知される二次電池120の電圧レベルから、二次電池120が蓄積している電力量を推定する機能を備える。そして、制御部100は、電源回路130から通知される供給電流に基づいて、消費電力を推定する機能を備える。
【0027】
充電回路110は、制御部100の制御にしたがって、二次電池120の電圧や温度を検出して制御部100に通知するとともに、外部電源から供給される電力を源にして、二次電池120を充電する。具体的には、二次電池120の温度検出および電圧検出と、上記充電を、間欠的に交互に繰り返して、二次電池120に対して過充電を行わないように制御する。また充電回路110は、外部電源である充電器の種別(ACアダプタによる給電、燃料電池による給電、太陽光発電による給電の別。あるいは電力供給能力(ワット数))を検出し、制御部100に通知する。この通知により、制御部100は、二次電池120に対する充電が行われているか否かを判定する。
【0028】
二次電池120は、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池であって、繰り返し充電が可能な二次電池である。
電源回路130は、二次電池120を電力源として、当該携帯電話機の各部に駆動電力を供給するものであって、電圧変換機能や整流機能を備えるとともに、各部への供給電流を測定して制御部100に通知する機能を備える。
【0029】
次に、上記構成の携帯電話機の動作について説明する。以下の説明では特に、消費電力制御機能について説明する。図2は、この消費電力制御機能を説明するためのフローチャートであって、制御部100によって実行される。なお、消費電力制御機能の制御プログラムや制御データは、記憶部50に記憶され、これらの情報にしたがって制御部100が動作することにより、上記消費電力制御機能を実現する。この消費電力制御機能は、当該携帯電話機の電源が投入されると、電源が切られるまで繰り返し実行される。
【0030】
まず、ステップ2aにおいて制御部100は、充電回路110からの通知を監視し、充電回路110になんらかの充電器が接続されて、充電のための電力が供給されているか否かを判定する。ここで、充電が行われている場合には、ステップ2bに移行し、一方、充電が行われていない場合には、ステップ2cに移行する。
【0031】
ステップ2bにおいて制御部100は、充電回路110から充電器の種別の通知を受け付ける。そして、制御部100は、上記通知から、当該携帯電話機に接続されている充電器の充電能力(二次電池120に対する電力供給能力)を検出し、ステップ2cに移行する。
【0032】
ステップ2cにおいて制御部100は、充電回路110から二次電池120の電圧の通知を受け付け、ステップ2cに移行する。なお、充電回路110は、二次電池120に対して間欠的に充電を行っており、充電を行っていないタイミングで、二次電池120の電圧を検出する。
【0033】
ステップ2dにおいて制御部100は、ステップ2cで通知された電圧に基づいて、二次電池120が蓄積している電力量Pのレベル判定を行い、ステップ2eに移行する。これは、一般に、二次電池の電圧は、蓄積している電力量と相関があるからである。
【0034】
そして、レベルは、例えば、Th1、Th2(Th2>Th1>0)に基づいて3段階に分ける。すなわち、電圧が、0以上Th1未満であればP1と判定し、Th1以上Th2未満であればP2と判定し、Th2以上であればP3と判定する。
【0035】
ステップ2eにおいて制御部100は、ステップ2dで検出した電力量PがP3であれば、ステップ2aに移行し、一方、P3でない場合は、ステップ2fに移行する。すなわち、電力量PがP3の場合には、十分な電力量が蓄えられているため、後段の処理は行わない。
【0036】
ステップ2fにおいて制御部100は、電源回路130から供給電流の通知を受け付け、現在の消費電力を検出または推定し、ステップ2gに移行する。
ステップ2gにおいて制御部100は、現在実行中の処理を検出し、ステップ2hに移行する。なお、現在実行中の処理とは、通信制御機能(着信待受処理も含む)や、前述した各種ソフトウェアの実行によって実現される機能である。
【0037】
ステップ2hにおいて制御部100は、ステップ2gで検出した処理のうち、消費電力の制御が可能な画像表示に関する処理(例えば、静止画像の表示、あるいはストリーミングデータや地上ディジタル放送などの動画像の表示など)を検出するとともに、ステップ2bで検出した充電器の充電能力(ステップ2aでNoと判定した場合は、充電能力「0」)、ステップ2dで判定した電力量のレベル、およびステップ2fで検出した消費電力に基づいて、所定時間後に二次電池120が蓄積している電力量を推定して、所定時間後に上記電力量が予め設定したレベルを維持するように、上記検出した処理の消費電力量を制御する割り込み処理を実施し、ステップ2aに移行する。
【0038】
なお、ステップ2bで検出した充電能力が低いほど、より多くの消費電力を抑制する処理が施される。またステップ2dで判定した電力量のレベルが低いほど、より多くの消費電力を抑制する処理が施される。これにより、マイナス充電状態あるいはそれに近い状態から、充電と消費が平衡する平衡状態あるいは消費より充電が上回るプラス充電状態に移行させる。
【0039】
以下、消費電力の制御が可能な画像表示に関する処理の例(1)〜(4)を説明する。
【0040】
・例(1)
画像表示において、高画質化を図る高画質化画像処理としては、色差補正、輝度補正、エッジ強調、ノイズ除去などの画素値を補正することにより実現する画素処理や、連続するフレーム間に新たなフレームを補間するフレーム補間処理、同一フレーム上の連続する画素間に新たな画素を補間(あるいは連続する画素から間引き)して画像サイズを変更するリサイズ処理、照度センサ21が検出した光量や表示コンテンツに基づいて、上記バックライト20aを構成する複数光源(LED)の各発光量を制御する輝度制御処理などがある。
【0041】
そこで、ステップ2hの割り込み処理では、ステップ2bで検出した充電器の充電能力、ステップ2dで判定した電力量のレベル、およびステップ2eで検出した消費電力に基づいて、現状の運用が継続した場合の所定時間後における二次電池120が蓄える電力量を推定する。例えば、二次電池120が蓄える電力量を、現在蓄積する電力量、充電量、消費電流量から予測する。そして、この推定した電力量が予め設定したレベルを維持できるように、複数ある高画質化画像処理のうち、実施する処理(負荷)を選択的に決定して、残る処理を実施しない。これにより、所定時間後の二次電池120が蓄える電力量が所定レベルを維持しつつ、できるだけ高画質化画像処理を実行して、再生画質の向上を図る。
【0042】
なお、より具体的には、各高画質化画像処理(画素処理、フレーム補間処理、リサイズ処理、輝度制御処理など)のそれぞれの消費電流量を示すテーブルを、予め記憶部50に記憶している。そして、制御部100は、1つまたは複数の高画質化画像処理を実行した際に、二次電池120が蓄える電力量の変化(傾き)を予測する。そして、制御部100は、図3に示すように、所定時間後に、あるレベルの電力量Pを蓄えることができる目標の傾きの閾値THと、上記予測の結果を比較して、上記電力量Pを蓄えることができ、かつ最大数の高画質化処理が実行できるように、上記複数の高画質化画像処理から実行すべき処理を選択して実行する。また、予め上記テーブルに、各高画質化画像処理の優先度を示す情報を記録しておき、制御部100が、優先度の高い処理から優先的に選択するようにしてもよい。
【0043】
・例(2)
制御部100が画像表示処理により、複数の画像データを並行してデコードし、このデコードによって得た複数の映像信号に基づいて、複数画像を同時に表示部20に表示することがある。このように複数の画像を同時に表示部20に表示しているとき、制御部100は、フォーカスが当たっている画像をメインの表示として扱い、残る画像をサブの表示として扱う。
【0044】
このように複数画像を同時に表示する状況において、一部の画像に対して、上記したような高画質化の画像処理を抑制することで低消費電力化を図る割り込み処理を実施する。すなわち、メインの表示については、種々の画素処理、フレーム補間処理、リサイズ処理、輝度制御処理などのすべてを適用し、さらにバックライト20aによる輝度(明るさ)を増すことで、高画質で見やすい画像を表示する。
【0045】
一方、サブの表示については、例(1)で説明したように、上記高画質化画像処理を選択的に抑制して、画質を落として、消費電力を抑制する。例えば、フレームレートの高速化は行わなかったり(あるいは低速化を行う)、バックライト20aによる輝度(明るさ)の増量を行わなかったり(あるいは減光による低輝度化を行う)して、メインの表示よりも、高画質化画像処理に要する処理量などを抑制する。
【0046】
・例(3)
上記フレーム補間処理は、二次電池120が蓄積している電力量が閾値以上の場合にだけ行うようにする。このため、二次電池120が蓄積している電力量が閾値未満の場合には、フレームレートの高速化は行わなかったり、あるいは低速化を行う。あるいは、I-frameのみを順次表示させるようにしたり、あるいは次のフレームについて映像信号を生成せず、その時点で表示している画像を固定して表示(フリーズ表示)するようにする。
【0047】
なお、フリーズ表示させた状態から、通常の表示に復帰させる場合には、フリーズさせた時点からの経過時間を考慮して、その時点から現時点まで進行した画像データに基づいて、映像信号を生成して表示させてもよいし、あるいは、いわゆるタイムシフト再生を実施して、フリーズさせた時点以降の画像データをバッファしておき、バッファしておいた画像データを順次映像信号を生成して表示させるようにしてもよい。
【0048】
・例(4)
輝度制御処理は、二次電池120が蓄積している電力量が閾値以上の場合にだけ行うようにする。このため、二次電池120が蓄積している電力量が閾値未満の場合には、輝度制御処理は行わなかったり、あるいは一定の低輝度で光源を発光させる。光源に有機ELパネルに代表されるような自発光パネルを用いる場合には、有機ELパネルの発光量について、同様の制御を行う。
【0049】
以上のように、上記構成の携帯電話機では、二次電池120が蓄積している電力量、充電のための電力供給源の充電能力、消費電力、実行中の処理などを考慮して、複数存在する高画質化画像処理を選択的に実行して、再生画質をできるだけ高く維持するようにしている。
【0050】
したがって、上記構成の携帯電話機によれば、二次電池120が蓄積している電力量に応じた品質の画像再生を行うことができ、バッテリの持続時間と処理能力のバランスが取れた運用を行うことができる。これにより、充電状況を考慮した最良の画質で画像処理を行って表示することができる。
【0051】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0052】
その一例として例えば、充電中であることを検出した場合においてのみ、ステップ2b移行の処理を実施するようにしてもよい。これにより、マイナス充電状態に陥ることを防止することを目的とした制御が可能である。また、充電によって供給される電力(ステップ2cで検出)と、消費電力(ステップ2f)を比較し、マイナス充電状態に陥った場合に、高画質化画像処理を選択的に抑制して、プラス充電状態となるように制御してもよい。
【0053】
また、上記実施の形態では、図2に示した処理は、当該携帯電話機の電源が投入されると、電源が切られるまで繰り返し実行するものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、制御部100が、カウントダウンタイマを用いて、予め設定した時間が経過する毎に、図2に示した処理を実行するようにしてもよい。すなわち、間欠的に図2に示した処理を実行するようにしてもよい。
【0054】
また、図2に示した処理は、動画像のコンテンツの再生を開始した場合に、図2に示した処理を実行するようにし、コンテンツ再生が終了すると、図2に示した処理を終了する。あるいは、表示している画像の切替が生じた場合に、図2に示した処理を実行するようにしてもよい。
【0055】
そしてまた、図2に示した処理のステップ2fでは、電源回路130が測定した供給電流に基づいて、消費電力を検出するようにしたが、これに代わって例えば、ステップ2gで検出した実行中の処理に基づいて、消費電力を推定するようにしてもよい。この場合、処理の識別情報と商品電力を対応づけたテーブルを記憶部50に記憶しておき、このテーブルを制御部100が参照することで、消費電力を推定する。
【0056】
また上記実施の形態では、バッテリの一例として、二次電池を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、燃料電池と二次電池を組み合わせた電池であってもよく、さらに、燃料電池の燃料の残量に応じて、情報処理の負荷量を可変して、消費電力を抑制するようにしてもよい。
【0057】
そしてまた、図2に示した処理のステップ2hにより、割り込み制御を実施して、消費電力を低減させる場合には、制御部100が、その旨を表示部20やスピーカ32を通じて、ユーザに報知するようにしてもよい。これにより、ユーザは、二次電池120に対する充電が十分に行われていないことが認識できるので、ユーザがその意志により、不必要な処理を終了させることができる。
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を施しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0058】
10…無線通信部、20…表示部、20a…バックライト、21…照度センサ、30…通話部、31…スピーカ、32…マイクロホン、40…操作部、50…記憶部、60…放送受信部、70…GPS受信部、80…ディジタルカメラ、90…赤外線通信部、100…制御部、110…充電回路、120…二次電池、130…電源回路、BC…放送局、BS…基地局装置、MN…移動通信網、MS…携帯電話機、ST1〜STn…GPS衛星。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を動作電力として駆動する携帯型電子機器において、
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示させる画像の画質を向上させる複数の高画質化処理を選択的に実施可能な表示制御手段と、
前記電池が蓄積する電力量を検出する電力量検出手段と、
この電力量検出手段が検出した電力量に応じて、前記表示制御手段が実施する高画質化処理を選択する処理選択手段とを具備することを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
さらに、前記電池に対する充電が行われているか否かを判定する充電判定手段を備え、
前記処理選択手段は、前記電力量検出手段が検出した電力量と、前記充電判定手段の判定結果に応じて、前記表示制御手段が実施する高画質化処理を選択することを特徴とする請求項1に記載の携帯型電子機器。
【請求項3】
さらに、前記電池を充電する機器の充電能力を検出する充電能力検出手段を備え、
前記処理選択手段は、前記電力量検出手段が検出した電力量と、前記充電能力検出手段の検出結果に応じて、前記表示制御手段が実施する高画質化処理を選択することを特徴とする請求項1に記載の携帯型電子機器。
【請求項4】
さらに、消費電力を検出する消費電力検出手段を備え、
前記処理選択手段は、前記電力量検出手段が検出した電力量と、前記消費電力検出手段の検出結果に応じて、前記表示制御手段が実施する高画質化処理を選択することを特徴とする請求項1に記載の携帯型電子機器。
【請求項5】
電池を動作電力として駆動する携帯型電子機器において、
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示させる画像の画質を向上させる複数の高画質化処理を選択的に実施可能な表示制御手段と、
前記電池を充電する機器の充電能力を検出する充電能力検出手段と、
消費電力を検出する消費電力検出手段と、
前記充電能力検出手段が検出した充電能力と、前記消費電力検出手段が検出した消費電力に応じて、前記表示制御手段が実施する高画質化処理を選択する処理選択手段とを具備することを特徴とする携帯型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−249866(P2011−249866A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117595(P2010−117595)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(310022372)富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】