説明

携帯型音楽再生装置、音楽情報表示方法

【課題】利用者が使用し易く、かつ表示画面のスペースを有効に活用することのできる携帯型音楽再生装置を提供する。
【解決手段】音データを有する音楽に関する音楽情報を文字情報としてスクロールして表示する表示部2を有する携帯型音楽再生装置100であって、音データの処理方法を指定する操作部3と、処理方法に基づいて、音データの処理を実行し、文字情報の表示形態を指定する制御部4とを有することで、利用者が使用し易く、かつ表示画面のスペースを有効に活用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクやハードディスク、メモリカード等の記録媒体に記録された音楽データ、音楽情報を再生、表示する携帯型音楽再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ディスクやハードディスク、メモリカード等の記録媒体にディジタル形式で記録された音楽データを再生する携帯型音楽再生装置が広く普及している。この携帯型音楽再生装置には、小型の液晶ディスプレイからなる表示部が設けられ、音楽データに付随して記録媒体に記録された音楽のタイトルやジャンル、アルバムタイトル、アーティスト等の音楽情報を文字情報で表示する。これによって利用者は、再生中の音楽のタイトルやジャンル、アルバムタイトル、アーティスト等を知ることができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−304873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記したような従来の携帯型音楽再生装置で表示部に表示される文字情報は、音楽のタイトルやジャンル、アルバムタイトル、アーティスト等の音楽情報のみであり、再生中や一時停止、早送り、早戻し等の装置の動作状態はアイコンを用いて表示している。このため、利用者は、各動作状態に対応して多くのアイコンを覚えておく必要がある。また、アイコンや文字情報を同時に表示画面へ表示する必要があり、多くの表示領域が必要となるという事情があった。さらに、表示画面のサイズの制限から、アイコンは一般的に小さくならざるを得ず、利用者にとって視認が困難であるという事情がある。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、利用者が使用し易く、かつ表示画面のスペースを有効に活用することのできる携帯型音楽再生装置、音楽情報表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の第1の携帯型音楽再生装置は、音データを有する音楽に関する音楽情報を文字情報としてスクロールして表示する表示部を有する携帯型音楽再生装置であって、前記音データの処理を実行するデータ処理実行部と、前記データ処理実行部の動作状態に基づいて、所定の複数の表示形態から前記文字情報の表示形態を指定する表示形態指定部とを有する構成としている。
【0006】
この構成により、利用者が使用し易く、かつ表示画面のスペースを有効に活用することができる。また、利用者は、再生や一時停止、停止、早送り、早戻し等の装置の動作状態を表示部に表示される文字情報の状態で表現することができるので、利用者の視認が容易になるとともに、アイコンが不要となって表示画面のスペースを有効に活用することが可能となる。
【0007】
また、本発明の第2の携帯型音楽再生装置は、前記表示形態指定部が、前記動作状態に基づいて、前記文字情報を提示する文字のスクロールの速度を指定する構成としている。
【0008】
この構成により、利用者は、再生や一時停止、停止、早送り、早戻し等の装置の動作状態を表示部に表示される文字のスクロール速度で容易に知ることができるので、利用者の視認が容易になるとともに、アイコンが不要となって表示画面のスペースを有効に活用することが可能となる。
【0009】
また、本発明の第3の携帯型音楽再生装置は、前記表示形態指定部が、前記動作状態に基づいて、前記文字情報を提示する文字の表示色を指定する構成としている。
【0010】
この構成により、利用者は、再生や一時停止、停止、早送り、早戻し等の装置の動作状態を表示部に表示される文字の表示色で容易に知ることができるので、利用者の視認が容易になるとともに、アイコンが不要となって表示画面のスペースを有効に活用することが可能となる。
【0011】
また、本発明の第4の携帯型音楽再生装置は、前記表示形態指定部が、前記動作状態に基づいて、前記文字情報を提示する文字のスクロールの方向を指定する構成としている。
【0012】
この構成により、利用者は、再生や一時停止、停止、早送り、早戻し等の装置の動作状態を表示部に表示される文字のスクロール方向で容易に知ることができるので、利用者の視認が容易になるとともに、アイコンが不要となって表示画面のスペースを有効に活用することが可能となる。
【0013】
また、本発明の第5の携帯型音楽再生装置は、前記表示形態指定部が、前記データ処理実行部によって前記音楽の早戻し、逆再生およびコマ戻しのいずれかの処理を実行された場合、前記フレーム処理実行部によって前記音楽の再生の処理を実行された場合とは前記スクロール方向が反対方向となるように前記スクロール方向を指定する構成としている。
【0014】
この構成により、利用者は、装置の動作状態のうち特に早戻し、逆再生、コマ戻し等に関して、表示部に表示される文字のスクロール方向が再生時とは逆向きであることから容易に知ることができるので、利用者の視認が容易になるとともに、アイコンが不要となって表示画面のスペースを有効に活用することが可能となる。
【0015】
また、本発明の第6の携帯型音楽再生装置は、音楽のジャンルに関するジャンル情報を含む音楽情報のうち、所定の情報を文字情報として表示する表示部を有する携帯型音楽再生装置であって、前記音楽情報に含まれる前記ジャンル情報から前記音楽のジャンルを判定するジャンル判定部と、前記ジャンル判定部による判定結果に基づいて、前記文字情報を提示する文字の種類を指定する文字種類指定部とを有する構成としている。
【0016】
この構成により、利用者は、再生中、或いは再生しようとしている音楽のジャンルを表示部に表示される文字の種類、つまり文字のフォントによって容易に知ることができるので、利用者の視認が容易になるとともに、アイコンが不要となって表示画面のスペースを有効に活用することが可能となる。
【0017】
また、本発明の第7の携帯型音楽再生装置は、音データを有する音楽に関する音楽情報を文字情報として表示する表示部を有する携帯型音楽再生装置であって、前記音データの処理を実行するデータ処理実行部と、前記データ処理実行部によって音楽の再生処理が行われる場合の音量の大きさを示す音量値を取得する音量値取得部と、前記音量値取得部によって取得された音量値に基づいて、前記文字情報を提示する文字の表示濃度を指定する表示濃度指定部とを有する構成としている。
【0018】
この構成により、再生中、或いは再生しようとしている音楽の音量を表示部に表示される文字の表示濃度で容易に知ることができるので、利用者の視認が容易になるとともに、アイコンが不要となって表示画面のスペースを有効に活用することが可能となる。
【0019】
また、本発明の第1の音楽情報表示方法は、音データを有する音楽に関する音楽情報が文字情報としてスクロールして表示される音楽情報表示方法であって、前記音データの処理が実行されるデータ処理実行ステップと、前記データ処理実行ステップを実施するデータ処理部の動作状態に基づいて、所定の複数の表示形態から前記文字情報の表示形態が指定されるステップとを有する方法としている。
【0020】
この方法により、利用者が使用し易く、かつ表示画面のスペースを有効に活用することができる。また、利用者は、再生や一時停止、停止、早送り、早戻し等の装置の動作状態を表示部に表示される文字情報の状態で表現することができるので、利用者の視認が容易になるとともに、アイコンが不要となって表示画面のスペースを有効に活用することが可能となる。
【0021】
また、本発明の第2の音楽情報表示方法は、音楽のジャンルに関するジャンル情報を含む音楽情報のうち、所定の情報が文字情報として表示される音楽情報表示方法であって、前記音楽情報に含まれる前記ジャンル情報から前記音楽のジャンルが判定されるジャンル判定ステップと、前記ジャンル判定ステップにおいて判定された結果に基づいて、前記文字情報を提示する文字の種類が指定されるステップとを有する方法としている。
【0022】
この方法により、利用者は、再生中、或いは再生しようとしている音楽のジャンルを表示部に表示される文字の種類、つまり文字のフォントによって容易に知ることができるので、利用者の視認が容易になるとともに、アイコンが不要となって表示画面のスペースを有効に活用することが可能となる。
【0023】
また、本発明の第3の音楽情報表示方法は、音データを有する音楽に関する音楽情報が文字情報として表示される音楽情報表示方法であって、前記音データの処理が実行されるデータ処理実行ステップと、前記データ処理実行ステップにおいて音楽の再生処理が行われる場合の音量の大きさを示す音量値が取得される音量値取得ステップと、前記音量値取得ステップにおいて取得された音量値に基づいて、前記文字情報を提示する文字の表示濃度が指定されるステップとを有する方法としている。
【0024】
この方法により、再生中、或いは再生しようとしている音楽の音量を表示部に表示される文字の表示濃度で容易に知ることができるので、利用者の視認が容易になるとともに、アイコンが不要となって表示画面のスペースを有効に活用することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、利用者が使用し易く、かつ表示画面のスペースを有効に活用することのできる携帯型音楽再生装置および音楽情報表示方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る携帯型音楽再生装置について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る携帯型音楽再生装置100の全体的な概略構成を示す図である。
【0027】
図1において、携帯型音楽再生装置100は、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に記録された音楽データ及び音楽情報を含む信号を読み取るとともに、読み取った信号を音声信号に変換して出力する再生部1、装置の動作状況や、再生部1で読み取った音楽情報の信号に基づいて、再生する音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等を文字情報で表示する表示部2、利用者が音楽の再生に際して装置を起動したり、操作を入力するための電源スイッチ、再生キー、一時停止キー、停止キー、早送りキー、早戻しキー、再生音量を調節するボリューム等からなる操作部3、再生部1における再生動作の制御、表示部2の表示制御、及び操作部4のキー操作を検出する等、装置の動作を統括管理する制御部4を有する構成である。
【0028】
ここで、再生部1はデータ処理実行部の一例である。また、制御部4の一部は表示形態指定部の一例である。
【0029】
表示部2は、例えば、図3に示すように、ドットマトリクス方式の液晶ディスプレイによって所定桁数の文字表示が可能とされるように構成され、装置の動作状況、再生する音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等の音楽情報を順次スクロールしながら表示する。スクロールの方法は、装置の動作状況などにより変更することが可能である。図3は本発明の実施形態における表示部2による文字表示例を示した図である。尚、スクロールの速度や方向、文字表示色などの詳細に関しては後述する。
【0030】
制御部4は、マイクロコンピュータによって構成され、ソフトウエアにより再生等の装置動作時における各部の動作を制御するとともに、表示部2における文字情報の表示制御を行う。以下、制御部4の機能および動作について詳細に説明する。図2は、本発明の実施形態における携帯型音楽再生装置100の制御部4の機能的な構成を示すブロック図である。
【0031】
図2に示すとおり、制御部4は、装置起動部41、音楽情報取得部42、文字フォント制御部43、音量値取得部44、キー操作情報取得部45、動作状態判定部46、文字色制御部47、スクロール速度制御部48、および
スクロール方向制御部49を有する。
【0032】
ここで、音楽情報取得部42の一部はジャンル判定部の一例である。また、文字フォント制御部43は文字種類指定部の一例である。また、音量値取得部44は音量値取得部の一例である。また、文字色制御部47は表示濃度指定部の一例である。
【0033】
装置起動部41は、利用者による操作部3の電源スイッチの操作によって装置を起動制御する。音楽情報取得部42は、再生部1から再生する音楽のタイトルやジャンル、アルバムタイトル、アーティスト等の音楽情報を取得する。文字フォント制御部43は、取得した音楽情報に応じて、表示部2で表示する文字情報のフォントを制御する。
【0034】
音量値取得部44は、利用者が操作部3のボリュームを調整することにより得られた音量値を取得する。キー操作情報取得部45は、音楽の再生に際し、利用者によって再生キー、一時停止キー、停止キー、早送りキー、早戻しキー等のキーが操作されたことの情報(キー操作情報とも呼ぶ)を取得する。動作状態判定部46は、取得したキー操作情報に応じて再生部1の動作状態を判定する。
【0035】
文字色制御部47は、音量値及び動作状態に応じて表示部2に表示する文字情報の表示色を制御する。スクロール速度制御部48は、動作状態に応じて表示部2に表示する文字情報のスクロール速度を制御する。スクロール方向制御部49は、動作状態に応じて表示部2に表示する文字情報のスクロール方向を制御する。
【0036】
次に、再生部1の各動作状態における音楽データの処理について説明する。図10は本発明の実施形態における音楽データの概略図である。本実施形態における音楽データはMPEG−4(Moving Pecture Experts Group phase 4)などを想定している。図10に示すように、恩実施形態における音楽データには一定の間隔でアクセスポイントが存在している。
【0037】
操作部3による操作によって早送りが指示された場合は、あるアクセスポイントから鳴動期間だけ鳴動して次のアクセスポイントに移動する。鳴動期間は再生部1が音飛びのような音を発する期間であり、例えば250msなどのある一定の期間である。同様に、早戻しが指示された場合は、あるアクセスポイントから鳴動期間だけ鳴動して前のアクセスポイントに移動する。
【0038】
コマ送りを行う前の操作指示を行わない状態においては、あるアクセスポイントにおいて音楽データの処理を停止した一時停止の状態であるが、操作部3による操作によってコマ送りが指示された場合は、あるアクセスポイントから次のアクセスポイントへ移動し、再度一時停止状態となる。同様に、コマ戻しが指示された場合は、あるアクセスポイントから前のアクセスポイントへ移動し、再度一時停止状態となる。
【0039】
操作部3による操作によって再生が指示された場合は、アクセスポイントの存在を意識することなく、図10において音データの左から右へ順次音楽データの処理を行う。同様に、逆再生が指示された場合は、図10において音データの右から左へ順次音楽データの処理を行う。
【0040】
次に、以上のように構成された携帯型音楽再生装置100の動作について説明する。始めに、携帯型音楽再生装置100の起動時の動作手順について説明する。図4は、本発明の実施形態における携帯型音楽再生装置100の起動時の動作手順を説明するためのフローチャートである。
【0041】
まず、利用者によって操作部3の電源スイッチが操作され、制御部4の装置起動部41により装置が起動されると、音楽情報取得部42により再生部1から音楽情報を取得し(ステップS101)、取得した音楽情報から音楽ジャンルを判定する(ステップS102)。
【0042】
ステップS102の処理手順で、音楽ジャンルが例えば「クラシック」であると判定されると、文字フォント制御部43は、表示部2で表示する音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等をフォント種別A、例えば、明朝体で表示するように制御する(ステップS103)。
【0043】
同様に、ステップS102において、取得した音楽ジャンルが「J−POP」であると判定された場合は、フォント種別B、例えば、ゴシック体を用いて音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等を表示する(ステップS104)。
【0044】
また、取得した音楽ジャンルが「演歌」であった場合は、図5に示すように、タイトル「川の流れのように」をフォント種別C、例えば楷書体で表示する(ステップS105)。図5は本発明の実施形態における音楽ジャンルが演歌の場合の表示例を示した図である。
【0045】
以下、同様に、取得した音楽ジャンルが「ロック」である場合は、フォント種別D、例えば、丸ゴシック体を用いて音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等を表示する(ステップS106)。
【0046】
次に、制御部4によって後述する音量制御サブルーチンを実行する(ステップS107)。その後、制御部4は利用者の操作により、再生キー、一時停止キー、停止キー、早送りキー、早戻しキー等の再生に関わるキー操作がなされたか否かを判定し(ステップS108)、キー操作がなされている場合は、制御部4は後述するキー操作サブルーチンを実行する(ステップS109)。
【0047】
ステップS108の処理手順で制御部4によりキー操作がなされていないと判定された場合、及びステップS109の処理手順でキー操作サブルーチンが実行された後は、制御部4は装置が起動中であるか否かを判定する(ステップS110)。
【0048】
判定の結果、装置が起動中であると判定された場合は、ステップS108の処理手順に戻り、以降の処理が行われる。
【0049】
一方、ステップS110の処理手順で装置が起動中でないと判定された場合は、装置起動の処理が終了される。
【0050】
このように、表示部2で表示する音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等を音楽ジャンルに応じて異なるフォントで表示することにより、利用者は再生する音楽のジャンルを直感的に認識することができる。
【0051】
次に、本実施形態に係る携帯型音楽再生装置100の前述したキー操作サブルーチン動作手順について説明する。図6は、本発明の実施形態におけるキー操作に関する動作フロー図である。
【0052】
まず、制御部4のキー操作情報取得部15は、利用者によるキー操作がなされたことを示すキー操作情報を取得し(ステップS201)、取得したキー操作情報に基づいて制御部4はキー操作の種類を判定する(ステップS202)。
【0053】
ステップS202における判定の結果で、操作部3によるキー操作が再生操作であると判定された場合は、ステップS203において、動作状態判定部16は装置の動作状態を判定する(ステップS203)。尚、ここでの再生操作とは、再生、逆再生、停止、一時停止、早送り、早戻し、コマ送り、コマ戻しなどの操作を含むものである。
【0054】
ステップS203における判定の結果、装置の動作状態が「再生」状態である場合、例えば文字色制御部47は表示部2に表示する音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等の文字情報の表示色を文字表示色Aとし、スクロール速度制御部48は文字情報のスクロール方向を右から左へとし、スクロール方向制御部49は文字情報を通常の速度で順次スクロールして表示する(ステップS204、S205)。
【0055】
また、ステップS203において再生動作が停止している状態、つまり装置の動作状態が「停止」状態であると判定された場合は、スクロール速度制御部48がスクロールを停止する(ステップS206)と共に、文字色制御部47が音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等の文字表示色をB色に変更する(ステップS207)。
【0056】
さらに、ステップS203において装置の動作状態が「一時停止」状態であると判定された場合は、スクロール速度制御部48がスクロールを停止する(ステップS208)と共に、文字色制御部47が音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等の文字表示色をA色に変更する(ステップS209)。
【0057】
また、ステップS203において装置の動作状態が「早送り」状態の場合は、文字色制御部47は音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等の文字表示色をA色とし、スクロール方向制御部49はスクロール方向を右から左へとし、スクロール速度制御部48は2倍速の文字スクロールを行う(ステップS210、S211)。なお、2倍速のスクロールとは、音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等の文字を通常の2倍の速度で順次スクロールすることをいう。
【0058】
また、ステップS203において装置の動作状態が曲のプレーバックや頭出し等のための「早戻し」状態であると判定された場合は、文字色制御部47は音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等の文字表示色をA色とし、スクロール方向制御部49は文字スクロールの方向を右から左へとし、スクロール速度制御部48は文字スクロールを2倍速で行う(ステップS212、S213)。図7(a)〜(l)は、例えばタイトル「Turandot」を左から右へ2倍速で順次スクロールして表示する場合の例、つまり本発明の実施形態における早戻しを行う際の文字表示の状態遷移を示した図である。
【0059】
つまり、状態(a)では表示部2には文字情報が何も表示されていないが、状態(b)では「t」、状態(c)では「dot」、状態(d)では「andot」、状態(e)では「urandot」、状態(f)では「 Turandot」、状態(g)では「 Turandot」、状態(h)では「t Turando」、状態(i)では「dot Turan」、状態(j)では「andot Tur」、状態(k)では「urandot T」、状態(l)では「 Turandot 」となり、2文字ずつ左から右へスクロールされていることが確認できる。尚、状態(a)〜状態(h)における表示部2の右側空白部分の表記はここでは省略しており、状態(f)と状態(l)とは同一の表示を示している。状態(l)以降の表示に関しては、状態(g)〜状態(l)を繰り返す。
【0060】
また、ステップS203において装置の動作状態が「コマ送り」や「コマ戻し」状態であると判定された場合、図示はしないが、文字色制御部47は音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等の文字表示色をA色とし、スクロール速度制御部48は文字スクロールを通常の速度の2分の1の速度でスクロールを行う。ここではスクロール速度を通常速度の2分の1としたが、通常の速度よりもスクロール速度が遅ければ、これ以外の速度でもよい。また、スクロール方向制御部49は、「コマ送り」の場合は文字スクロールの方向を右から左へとし、「コマ戻し」の場合は文字スクロールの方向を左から右へと指定する。
【0061】
一方、ステップS202の処理手順において、利用者によって行われた操作の種類が音量操作であると制御部4が判定した場合は、音量制御サブルーチンを実行し、その後に処理が終了される(ステップS214)。
【0062】
このように、表示部2で音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等を表示する際に、利用者のキー操作による装置の動作状態に応じてスクロール速度、スクロール方向および文字の表示色を変更することにより、利用者は再生する装置の動作状態を直感的に認識することができる。また、装置の動作状態を表示するための従来のアイコンが不要となり、表示画面のスペースを有効に活用することが可能となる。
【0063】
次に、本実施形態に係る携帯型音楽再生装置の音量制御サブルーチンの動作手順について説明する。図8は、本発明の実施形態における音量制御に関する動作手順を説明するためのフローチャートである。
【0064】
まず、キー操作情報取得部45は、利用者によって再生音量を調整するためのボリュームを含むキーの操作がなされたことを示すキー操作情報を取得し(ステップS301)、音量値取得部44は取得したキー操作情報の中から音量値情報を取得する(ステップS302)。ここで、音量値情報はキー操作情報に含まれている情報であり、音量の大小を示す情報である。
【0065】
次いで、制御部4は、取得した音量値情報から利用者によって調整された再生音量値を判定する(ステップS303)。そして、判定の結果、再生音量が“0”の状態にある場合は、文字色制御部47は表示部2に背景色を付し、音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等の文字情報を反転表示する(ステップS304)。
【0066】
ここで、図9は本発明の実施形態における音量レベルに応じた文字情報の文字表示例を示した図である。図9(a)は音量レベル0の場合の文字表示の例である。尚、図9では一例として音楽のタイトル「ABC」の文字表示部分を示しているが、表示画面としては基本的には図3や図5のような表示画面を想定している。文字の濃淡に関しては、ここではドット量が多いか少ないかにより示している。また、音楽のタイトル以外のアルバムタイトル、アーティスト等の文字情報の表示に関しても、上記と同様である。
【0067】
また、ステップS303で再生音量値がレベル1〜5にあると制御部4が判定した場合は、文字色制御部47は音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等の表示部2における表示文字の濃淡をやや淡い濃淡種別Aに設定する(ステップS305)。図9(b)は音量レベル1〜5の場合の文字表示の例である。
【0068】
さらに、ステップS303で再生音量値がレベル6〜10にあると制御部4が判定した場合は、文字色制御部47は音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等の表示部2における表示文字の濃淡を種別Aより濃い濃淡種別Bに設定する(ステップS306)。図9(c)は音量レベル1〜5の場合の文字表示の例である。
【0069】
また、ステップS303で再生音量値が最大のレベルにあると制御部4が判定した場合は、音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等の表示部2における表示文字の濃淡を最大の濃度、つまり最も濃い濃淡種別Cに設定する(ステップS307)。図9(d)は音量レベル1〜5の場合の文字表示の例である。
【0070】
尚、音量値は音量レベルが上記に示した以外のレベルが存在してもよく、例えば音量レベル12のときに文字表示の濃淡種別Dに設定するようにしてもよい。
【0071】
このように、利用者がキー操作によって調節した再生音量に応じて、表示部2で表示する音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等の表示文字の濃淡を変更することにより、利用者は再生中の音楽の再生音量レベルを直感的に認識することができる。また、再生音量を表示するための従来のアイコンが不要となり、表示画面のスペースを有効に活用することが可能となる。
【0072】
このような本発明の実施形態に係る携帯型音楽再生装置100によれば、音データを有する音楽に関する音楽情報を文字情報としてスクロールして表示する表示部2を有する携帯型音楽再生装置100であって、音データの処理方法を指定する操作部3と、処理方法に基づいて、音データの処理を実行し、文字情報の表示形態を指定する制御部4とを有することで、利用者が使用し易く、かつ表示画面のスペースを有効に活用することができる。
【0073】
また、再生する音楽の音楽情報を取得し、取得した音楽情報に基づいて音楽ジャンルを判定し、そして、表示部2に表示する音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等の文字を音楽ジャンル毎に異なるフォントで表示する。これにより、利用者は再生中の音楽情報を直感的に認識することができる。
【0074】
また、利用者によってなされたキー操作に基づいて、再生、停止、一時停止、早送り及び早戻し等の装置の動作状態を判定し、装置の動作状態に応じて表示部2に表示する音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等の文字のスクロール速度、スクロール方向、文字表示色を制御して表示する。これにより、小型の表示部を備えた携帯型音楽再生装置であっても、アイコンを用いることなく装置の動作状態を表示することができるので、表示画面のスペースを有効に活用することが可能となる。
【0075】
さらに、利用者がキー操作によって調節した再生音量に基づいて、表示部2に表示する音楽のタイトルやアルバムタイトル、アーティスト等の文字の濃淡を変更する。これにより、利用者は再生中の音楽の音量を直感的に認識することができるとともに、アイコンを用いることなく再生音量を表示することが可能となるので、表示画面のスペースを有効に活用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、利用者が使用し易く、かつ表示画面のスペースを有効に活用することのできる携帯型音楽再生装置等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施形態における携帯型音楽再生装置の全体的な概略構成を示す図
【図2】本発明の実施形態における携帯型音楽再生装置の制御部の機能的な構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施形態における表示部による文字表示例を示した図
【図4】本発明の実施形態に係る携帯型音楽再生装置の起動時の動作手順を説明するためのフローチャート
【図5】本発明の実施形態に係る携帯型音楽再生装置において、演歌「川の流れのように」を再生した場合の表示例を示す図
【図6】本発明の実施形態におけるキー操作に関する動作フロー図
【図7】本発明の実施形態における早戻しを行う際の文字表示の状態遷移を示した図
【図8】本発明の実施形態における音量制御に関する動作フロー図
【図9】本発明の実施形態における音量レベルに応じた文字情報の文字表示例を示した図
【図10】本発明の実施形態における音楽データの概略図
【符号の説明】
【0078】
100 携帯型音楽再生装置
1 再生部
2 表示部
3 操作部
4 制御部
41 装置起動部
42 音楽情報取得部
43 文字フォント制御部
44 音量値取得部
45 キー操作情報取得部
46 動作状態判定部
47 文字表示色制御部
48 スクロール速度制御部
49 スクロール方向制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音データを有する音楽に関する音楽情報を文字情報としてスクロールして表示する表示部を有する携帯型音楽再生装置であって、
前記音データの処理を実行するデータ処理実行部と、
前記データ処理実行部の動作状態に基づいて、所定の複数の表示形態から前記文字情報の表示形態を指定する表示形態指定部と
を有する携帯型音楽再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯型音楽再生装置であって、
前記表示形態指定部は、
前記動作状態に基づいて、前記文字情報を提示する文字のスクロールの速度を指定する携帯型音楽再生装置。
【請求項3】
請求項1に記載の携帯型音楽再生装置であって、
前記表示形態指定部は、
前記動作状態に基づいて、前記文字情報を提示する文字の表示色を指定する携帯型音楽再生装置。
【請求項4】
請求項1に記載の携帯型音楽再生装置であって、
前記表示形態指定部は、
前記動作状態に基づいて、前記文字情報を提示する文字のスクロールの方向を指定する携帯型音楽再生装置。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯型音楽再生装置であって、
前記表示形態指定部は、
前記データ処理実行部によって前記音楽の早戻し、逆再生およびコマ戻しのいずれかの処理が実行された場合、前記データ処理実行部によって前記音楽の再生の処理が実行された場合とは前記スクロール方向が反対方向となるように前記スクロール方向を指定する携帯型音楽再生装置。
【請求項6】
音楽のジャンルに関するジャンル情報を含む音楽情報のうち、所定の情報を文字情報として表示する表示部を有する携帯型音楽再生装置であって、
前記音楽情報に含まれる前記ジャンル情報から前記音楽のジャンルを判定するジャンル判定部と、
前記ジャンル判定部による判定結果に基づいて、前記文字情報を提示する文字の種類を指定する文字種類指定部と
を有する携帯型音楽再生装置。
【請求項7】
音データを有する音楽に関する音楽情報を文字情報として表示する表示部を有する携帯型音楽再生装置であって、
前記音データの処理を実行するデータ処理実行部と、
前記データ処理実行部によって音楽の再生処理が行われる場合の音量の大きさを示す音量値を取得する音量値取得部と、
前記音量値取得部によって取得された音量値に基づいて、前記文字情報を提示する文字の表示濃度を指定する表示濃度指定部と
を有する携帯型音楽再生装置。
【請求項8】
音データを有する音楽に関する音楽情報が文字情報としてスクロールして表示される音楽情報表示方法であって、
前記音データの処理が実行されるデータ処理実行ステップと、
前記データ処理実行ステップを実施するデータ処理実行部の動作状態に基づいて、所定の複数の表示形態から前記文字情報の表示形態が指定されるステップと
を有する音楽情報表示方法。
【請求項9】
音楽のジャンルに関するジャンル情報を含む音楽情報のうち、所定の情報が文字情報として表示される音楽情報表示方法であって、
前記音楽情報に含まれる前記ジャンル情報から前記音楽のジャンルが判定されるジャンル判定ステップと、
前記ジャンル判定ステップにおいて判定された結果に基づいて、前記文字情報を提示する文字の種類が指定されるステップと
を有する音楽情報表示方法。
【請求項10】
音データを有する音楽に関する音楽情報が文字情報として表示される音楽情報表示方法であって、
前記音データの処理が実行されるデータ処理実行ステップと、
前記データ処理実行ステップにおいて音楽の再生処理が行われる場合の音量の大きさを示す音量値が取得される音量値取得ステップと、
前記音量値取得ステップにおいて取得された音量値に基づいて、前記文字情報を提示する文字の表示濃度が指定されるステップと
を有する音楽情報表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−65960(P2008−65960A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−245827(P2006−245827)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】