説明

携帯情報処理装置、外部装置およびそれらを含んだシステム

【課題】ハードウェア的なキーに代えてファームウェアを備えたタッチパネルなどを入力デバイスとして搭載している場合でも、種々の動作モードを選択して起動することが可能な携帯情報処理装置を提供すること。
【解決手段】外部機器接続端子14が外部装置2の接続による電源供給を起動のトリガとして受けたときに、電源制御モジュール22が外部機器接続端子14を介して供給される電源を用いて多機能CPU21の起動を行なう。そして、多機能CPU21は、外部機器接続端子14を介して外部装置2から受信したデータに基づいて起動後の動作モードを決定する。したがって、ハードウェア的なキーに代えてファームウェアを備えたタッチパネルなどを入力デバイスとして携帯情報処理装置に搭載されている場合でも、種々の動作モードを選択して起動することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機などの携帯情報処理装置に関し、特に、ハードウェア的なキーに代えてファームウェアを備えたタッチパネルなどを入力デバイスとして搭載した携帯情報処理装置、それに接続される外部装置およびそれらを含んだシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機などの携帯情報処理装置が広く普及している。このような携帯情報処理装置においては、開発途中の開発作業現場で本体のソフトウェアを更新したり、開発中のプログラムの動作確認やデバッグを行なったり、商品として生産するための生産ライン工程で動作確認を行なったり、市場で不良が発生した場合の不具合解析やリカバリ対策を行なったり、様々な異なる目的で通常動作とは異なる起動モードで携帯情報処理装置を起動させる必要がある。
【0003】
このような様々な要望を満足させるために、携帯情報処理装置に装備されている複数のキーを入力しながら電源起動を行なうといった方法が採られている。このとき、携帯情報処理装置の全体的な制御を行なうCPU(Central Processing Unit)が、各デバイスを動作させるための初期設定を行なうためのブート処理を開始するが、汎用ポート(GPIO(General Purpose Input Output)ポート)などに接続されている複数のキー入力の組み合わせ状態を判断し、分岐先を変更することによって様々な起動モードでの起動を実現している。
【0004】
しかしながら、携帯電話機などの携帯情報処理装置においては、入力デバイスとしてキーではなく、ファームウェアによって制御されるタッチパネルが主流となりつつあり、搭載されるキーの数が減少傾向にある。キーの数が減少して、電源起動を実行する電源キーのみとなった場合、ファームウェアによって行なわれるタッチパネル制御がCPUの制御とは非同期で行なわれるため、複数キー入力が不可能となり、開発途中の開発現場環境などにおいて必要とされる起動モードでの起動が不可能となる。
【0005】
ブート部でタッチパネルの制御が可能であれば、キーの代用としてタッチパネルを用いることも可能である。しかしながら、タッチパネルのファームウェアが、ブート処理を行なうCPU制御とは非同期で動作しているため、CPUがブート処理を行なう時点ではタッチパネルに対して初期化を行ない、非同期で動作しているタッチパネルに対してトリガをかけることのみが可能であり、キーの代用として流用することができない。これに関連する技術として、下記の特許文献1に開示された発明がある。
【0006】
特許文献1は、キャビネットを開いてCPUの端子と接続されたテストポイントにプローブを接触させることなく、USBコネクタを利用してCPUの制御コマンドを変更することを目的とする。USBドライバのD+/D−信号線とCPUのプログラム書換え用シリアル通信TX/RXラインを直接接続し、しかもUSBコネクタのReserve端子をCPUのBOOT端子に接続し、さらにBOOT端子にプルダウン抵抗を接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−053607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の特許文献1に開示された発明においては、外部機器との接続のための通信インタフェースとしてUSB(Universal Serial Bus)を採用し、Reserve端子への電圧の印加の有無によって制御用CPUの動作モードを通常動作モードから特殊書換え動作モードに変更することが可能である。しかしながら、2種類の動作モードの選択のみが可能であり、開発作業に必要とされる2種類以上の動作モードの起動には対応できないといった問題点があった。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、ハードウェア的なキーに代えてファームウェアを備えたタッチパネルなどを入力デバイスとして搭載している場合でも、種々の動作モードを選択して起動することが可能な携帯情報処理装置を提供することである。
【0010】
他の目的は、携帯情報処理装置を種々の動作モードで起動させることが可能な外部装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある局面に従えば、外部装置との接続によって起動する携帯情報処理装置であって、外部装置との接続を行なうためのインタフェース手段と、電源を制御するための電源制御手段と、携帯情報処理装置を制御するための制御手段とを含み、インタフェース手段が外部機器の接続による電源供給を起動のトリガとして受けたときに、電源制御手段がインタフェース手段を介して供給される電源を用いて制御手段の起動を行ない、制御手段は、インタフェース手段を介して外部装置から受信したデータに基づいて起動後の動作モードを決定する。
【0012】
好ましくは、携帯情報処理装置はさらに、インタフェース手段に接続された機器を識別するための識別手段を含み、識別手段がインタフェース手段に外部装置が接続されたことを検出すると、制御手段は、インタフェース手段を介して外部装置からデータを受信して起動後の動作モードを決定する。
【0013】
好ましくは、携帯情報処理装置はさらに、外部装置から受信したデータの正常値を格納する第1の格納手段と、外部装置から受信したデータに対応する動作モードを格納する第2の格納手段と、動作モードに対応する関数アドレスを格納する第3の格納手段とを含み、制御手段は、第1〜第3の格納手段を参照することによって、外部装置から受信したデータに基づく起動後の動作モードを決定して当該動作モードに移行する。
【0014】
本発明の別の局面に従えば、携帯情報処理装置との接続によって携帯情報処理装置に動作モードを指示する外部装置であって、動作モードを設定するための複数の入力手段と、携帯情報処理装置との接続を行なうためのインタフェース手段と、電源を制御するための電源制御手段と、外部装置を制御するための制御手段とを含み、制御手段は、電源制御手段を制御してインタフェース手段に携帯情報処理装置に対する電源供給を起動のトリガとして出力させ、複数の入力手段によって設定された動作モードを携帯情報処理装置に送信させる。
【0015】
好ましくは、外部装置はさらに、外部装置をリセットするためのリセット手段を含み、リセット手段によって制御手段がリセットされたときに、制御手段は複数の入力手段によって設定された動作モードを取得して、インタフェース手段に送信させる。
【0016】
好ましくは、外部装置はさらに、インタフェース手段を介して携帯情報処理装置に外部装置であることを示す情報を出力するための出力手段を含む。
【0017】
本発明のさらに別の局面に従えば、外部装置と、外部装置との接続によって起動する携帯情報処理装置とを含んだシステムであって、外部装置は、動作モードを設定するための複数の入力手段と、携帯情報処理装置との接続を行なうための第1のインタフェース手段と、電源を制御するための第1の電源制御手段と、外部装置を制御するための第1の制御手段とを含み、携帯情報処理装置は、外部装置との接続を行なうための第2のインタフェース手段と、電源を制御するための第2の電源制御手段と、携帯情報処理装置を制御するための第2の制御手段とを含み、第1の制御手段は、第1の電源制御手段を制御して第1のインタフェース手段に携帯情報処理装置に対する電源供給を起動のトリガとして出力させ、複数の入力手段によって設定された動作モードを携帯情報処理装置に送信させ、第2のインタフェース手段が外部機器の接続による電源供給を起動のトリガとして受けたときに、第2の電源制御手段が第2のインタフェース手段を介して供給される電源を用いて第2の制御手段の起動を行ない、第2の制御手段は、第2のインタフェース手段を介して外部装置から受信したデータに基づいて起動後の動作モードを決定する。
【発明の効果】
【0018】
本発明のある局面によれば、インタフェース手段が外部機器の接続による電源供給を起動のトリガとして受けたときに、電源制御手段がインタフェース手段を介して供給される電源を用いて制御手段の起動を行ない、制御手段は、インタフェース手段を介して外部装置から受信したデータに基づいて起動後の動作モードを決定するので、ハードウェア的なキーに代えてタッチパネルなどのファームウェアを入力デバイスとして携帯情報処理装置に搭載されている場合でも、種々の動作モードを選択して起動することが可能となる。
【0019】
また、携帯情報処理装置はさらに、インタフェース手段に接続された機器を識別するための識別手段を含むので、外部装置が接続されているか否かを容易に判定することが可能となる。
【0020】
また、制御手段が、第1〜第3の格納手段を参照することによって、外部装置から受信したデータに基づく起動後の動作モードを決定して当該動作モードに移行するので、所望の動作モードへの移行が確実に行なえるようになる。
【0021】
本発明の別の局面によれば、制御手段が、電源制御手段を制御してインタフェース手段に携帯情報処理装置に対する電源供給を起動のトリガとして出力させ、複数の入力手段によって設定された動作モードを携帯情報処理装置に送信させるので、携帯情報処理装置を種々の動作モードで起動させることが可能となる。
【0022】
また、リセット手段によって制御手段がリセットされたときに、制御手段は複数の入力手段によって設定された動作モードを取得して、インタフェース手段に送信させるので、任意のタイミングで所望の動作モードへの移行が可能となる。
【0023】
また、外部装置はさらに、インタフェース手段を介して携帯情報処理装置に外部装置であることを示す情報を出力するので、携帯情報処理装置側で外部装置が接続されていることを容易に判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態における携帯情報処理装置1の外観例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における携帯情報処理装置1の構成例を示すブロック図である。
【図3】図2に示す外部接続I/Fモジュール27をさらに詳細に説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態における携帯情報処理装置1に格納される起動モード分岐用データテーブルの構成例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における外部装置2の外観例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における携帯情報処理装置1と外部装置2との接続例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における外部装置2の構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態における携帯情報処理装置1の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図9】図8に示すステップS17〜S20の処理をさらに詳細に説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態における携帯情報処理装置1のID検知モジュール33の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の実施の形態における携帯情報処理装置の外観例を示す図である。図1(a)は、本実施の形態における携帯情報処理装置1の正面図であり、タッチパネル入力エリア15および表示エリア16が設けられており、その上にスピーカ12が配置されている。また、タッチパネル入力エリア15の下部には特定の入力操作を行なうためのタッチパネル特定入力エリア17が設けられている。
【0026】
図1(b)は、本実施の形態における携帯情報処理装置1の側面図であり、電源ON/OFF用の電源キー13と、外部機器接続端子14とが設けられている。また、図1(c)は、本実施の形態における携帯情報処理装置1の底面図であり、マイク11が設けられている。
【0027】
図2は、本発明の実施の形態における携帯情報処理装置1の構成例を示すブロック図である。この携帯情報処理装置1は、携帯情報処理装置1全体の制御を行なうための多機能CPU21と、システムを構成する各デバイスへの電源供給制御および外部装置2からの自動起動などを制御する電源制御モジュール22と、各種プログラムやデータなどがロードされるRAM(Random Access Memory)23と、RAM23にロードされる各種プログラムやデータなどが予め格納されるフラッシュROM(Read Only Memory)/eMMC(embedded Multi-Media Card)24とを含む。
【0028】
携帯情報処理装置1はさらに、写真撮影を行なうカメラ25と、外部の各種メモリカードに対応した外部ストレージI/F(Interface)モジュール26と、後述する外部装置2との接続を行なうための外部接続I/Fモジュール27と、電話機能として音声などの入力/出力を行なうマイク/スピーカ11,12と、電話番号などのデータ入力を行なうタッチパネルやキーなどの入力モジュール28と、液晶パネル、EL(Electro Luminescence)パネルなどの画面表示を行なう表示モジュール29と、基地局との間で通信を行なうことにより電話機能などのデータ通信を行なうCDMA(Code Division Multiple Access)方式、GSM(登録商標)(Global System for Mobile communication)方式などのRF(Radio Frequency)モジュール30とを含む。
【0029】
なお、以下の説明においては、外部接続I/Fモジュール27と外部装置2との間の接続を行なう通信インタフェースの一例としてUSBを使用する場合について説明するが、シリアルWiFi(Wireless Fidelity)、BlueTooth(登録商標)、IrDA(Infrared Data Association)など、データ通信が可能であれば有線/無線のいずれの通信インタフェースであってもよい。
【0030】
また、多機能CPU21は、内部に複数の周辺デバイスの機能が組み込まれており、電源ON後に最初に実行される初期プログラムなどが格納されるマスクROM31と、多機能CPU21がマスクROM31に格納される初期プログラムなどを実行するときにワークエリアとして使用される内蔵RAM32とを含む。
【0031】
携帯情報処理装置1の電源ON後に、多機能CPU21は、マスクROM31に格納される初期プログラムの実行を開始し、フラッシュROM/eMMC24に書き込まれている起動処理プログラムをRAM23にロードする。起動処理プログラムがRAM23にロードされた後、多機能CPU21は、RAM23にロードされた起動処理プログラムの実行に移行する。この起動処理プログラムの詳細については、後述する。
【0032】
図3は、図2に示す外部接続I/Fモジュール27をさらに詳細に説明するための図である。外部接続I/Fモジュール27は、外部機器接続端子(以下、USB接続用端子とも呼ぶ。)14と、ID検知モジュール33とを含む。USB接続用端子14は、シリアルバス規格の1つであるUSB規格に準拠しており、電源であるVBUS端子、送受信用のデータ(D−/D+)端子、機器識別用のID端子、およびGND端子を含む。
【0033】
電源制御モジュール22は、USB接続用端子14のVBUS端子に接続されており、電源キー13がOFFの状態で外部装置2からのVBUS電圧を検出すると、各モジュールにその電源供給を開始すると共に、多機能CPU21を起動させる。このとき、多機能CPU21は、上述のようにマスクROM31に格納される初期プログラムの実行を開始する。
【0034】
なお、電源制御モジュール22は、電源キー13がONとなったとき、すなわち通常の動作モードでの起動が行なわれたときに、図示しない内蔵バッテリからの電圧を各モジュールに供給する。
【0035】
USB接続用端子14のD−端子、D+端子は、それぞれ多機能CPU21に接続されており、USB接続用端子14を介して外部装置2との間でデータ通信を行なう。
【0036】
ID検知モジュール33は、USB接続用端子14のID端子に接続されており、外部装置2から出力されるIDを判定することによって、他の外部機器と区別して接続判定を行なう。
【0037】
また、ID検知モジュール33は、多機能CPU21からI2C(Inter-Integrated Circuit)を介して電圧設定値を受けて内部に設定し、USB接続用端子14のID端子の電圧値と比較することによって、USB接続用端子14に接続される外部機器が外部装置2であるか否かを判定する。
【0038】
図4は、本発明の実施の形態における携帯情報処理装置1に格納される起動モード分岐用データテーブルの構成例を示す図である。この起動モード分岐用データテーブルは、フラッシュROM/eMMC24に予め格納されているものとして説明するが、携帯情報処理装置1内のどの記憶部に格納されていてもよい。
【0039】
多機能CPU21は、後述のように、外部接続I/Fモジュール27を介して外部装置2から受信したデータ(以下、キー入力データと呼ぶ。)を判断し、起動後の動作モードを決定する。入力データ判定テーブル41は、キー入力データが正しいデータの組み合わせであるか否かを判定するのに用いられ、予め正しいデータの組み合せが格納されている。
【0040】
入力データ分岐テーブル42は、入力データ判定テーブル41を参照して正しいと判定されたキー入力データに割り当てられている起動後の起動モードの種類を判定するために用いられ、キー入力データに対応する起動モードの種類がインデックス形式で定義されている。
【0041】
起動モード分岐テーブル43は、入力データ分岐テーブル42を参照して定められたインデックス番号に対応する起動モードへ処理を移行するための関数アドレス(分岐先アドレス)が格納されている。
【0042】
図5は、本発明の実施の形態における外部装置2の外観例を示す図である。図5(a)は、外部装置2の正面図であり、入力操作を行なうための入力キー51〜54と、携帯情報処理装置1との接続を行なって処理を再開するためのリセットスイッチ55とが設けられている。なお、本実施の形態においては、入力キーが4つの場合について説明するが、入力キーの個数はこれに限定されるものではない。
【0043】
図5(b)は、外部装置2の側面図であり、携帯情報処理装置接続端子(以下、USB接続用端子とも呼ぶ。)56が設けられている。また、図5(c)は、外部装置2の底面図であり、電源を供給するためのACアダプタが接続されるACアダプタ接続端子57が設けられている。
【0044】
図6は、本発明の実施の形態における携帯情報処理装置1と外部装置2との接続例を示す図である。本実施の形態においては、USBケーブル3によって、携帯情報処理装置1と外部装置2とが接続される。
【0045】
図7は、本発明の実施の形態における外部装置2の構成例を示すブロック図である。外部装置2は、USBケーブル3を介して携帯情報処理装置1の外部接続I/Fモジュール27と接続されるUSB接続用端子56と、トリガ操作を行なうためのタッチパネルやキーで構成されるデータ入力モジュール61と、RAMやROMなどを内蔵しており外部装置2全体の制御を行なうメイン制御モジュール62とを含む。
【0046】
外部装置2はさらに、ACアダプタ58が接続されて外部装置2を構成する各モジュールへの電源供給制御を行なう電源制御モジュール63と、外部装置2を構成する全モジュールを初期化して、再度データ入力モジュール61からのトリガ入力を可能とするリセットモジュール64と、メイン制御モジュール62の制御によってUSB接続用端子56を介して携帯情報処理装置1との間でデータ送受信を行なうデータ制御I/Fモジュール65と、携帯情報処理装置1に外部装置2の接続を通知するためのID制御モジュール66とを含む。
【0047】
ACアダプタ58によって電源供給が行なわれている状態でリセットスイッチ55が押下されると、リセットモジュール64は、外部装置2を構成する各モジュールを初期化する。リセットモジュール64による初期化後に、メイン制御モジュール62は、内蔵ROMに格納されるプログラムの実行を開始して各モジュールの初期設定を行なう。このとき、メイン制御モジュール62は、ID制御モジュール66に外部装置2が接続されていることを通知させると共に、データ入力モジュール61から入力用キー51〜54の状態を取得してデータ制御I/Fモジュール65にキー入力データを送信させる。
【0048】
また、電源制御モジュール63は、ACアダプタ58によって電源供給が行なわれると、USB接続用端子56のVBUS端子に電源を供給する。
【0049】
図8は、本発明の実施の形態における携帯情報処理装置1の処理手順を説明するためのフローチャートである。まず、携帯情報処理装置1と外部装置2とがUSBケーブル3によって接続されると(S11)、電源制御モジュール22が、外部装置2から供給されたVBUS電圧を検出する(S12)。このとき、ACアダプタ58によって外部装置2に電源供給が行なわれているため、電源制御モジュール22は、外部装置2からVBUSが供給されていることを検出する。
【0050】
電源制御モジュール22がVBUS電圧の供給を検出すると、各モジュールに対してその電源供給を開始すると共に、多機能CPU21を起動してマスクROM31に格納される初期プログラムの実行を開始させる(S13)。
【0051】
多機能CPU21が初期プログラムの実行を開始すると、RAM23、フラッシュROM/eMMC24などの各モジュールの初期化を行ない(S14)、フラッシュROM/eMMC24から起動処理プログラムを読み出してRAM23にロードし、起動処理プログラムの実行を開始する(S15)。
【0052】
多機能CPU21が起動処理プログラムの実行を開始すると、電源制御モジュール22から起動要因を取得する(S16)。そして、起動要因がUSB接続用端子14のVBUS電圧の供給によるものであるか否かを判定する(S17)。
【0053】
USB接続用端子14のVBUS電圧の供給によるものでなければ、外部装置2からの起動ではないと判断し(S17,No)、起動処理を続行する(S18)。また、USB接続用端子14のVBUS電圧の供給によるものであり、ID端子によって外部装置2が接続されていることを検知すれば、外部装置2からの起動であると判断し(S17,Yes)、USB接続用端子14を介して外部装置2から受信したデータの判定を行なう(S19)。
【0054】
そして、多機能CPU21は、判定されたデータに割り当てられた起動モードによる起動処理を開始する(S20)。
【0055】
図9は、図8に示すステップS17〜S20の処理をさらに詳細に説明するためのフローチャートである。多機能CPU21は、外部装置2との間で通信を行なうための初期設定を行なった後に、USB接続用端子14を介して外部装置2との間でデータ通信を開始する(S21)。初期設定として、通信エラーの場合のリトライ回数の設定やエラーカウンタの初期化などが含まれる。
【0056】
そして、多機能CPU21は、外部装置2から受信したキー入力データを取得して(S22)、キー入力データが正常値であるか否かを判定する(S23)。
【0057】
上述のように、外部装置2には4つの入力用キー51〜54が設けられており、その組み合わせによって16通りのキー操作が可能である。多機能CPU21は、キー操作に対応したキー入力データを受け、入力データ判定テーブル41に格納される全データと比較を行なうことにより、キー入力データが正しい値であるか否かを判定する。
【0058】
キー入力データが正しくなければ(S23,No)、エラーカウンタ値が予め設定されたリトライ回数未満であるか否かを判定する(S24)。リトライ回数未満であれば(S24,Yes)、エラーカウンタをインクリメントし(S25)、ステップS22に戻って以降の処理を繰り返す。また、リトライ回数を超えていれば(S24,No)、キー未入力として(S26)、ステップS27に処理が進む。
【0059】
キー入力データが正しければ(S23,Yes)、多機能CPU21は、入力データ分岐テーブル42を参照することにより、キー入力データに対応する起動モードに対応したインデックス番号を検索して、起動モードを選択する(S27)。そして、多機能CPU21は、起動モード分岐テーブル43を参照することによって、検索されたインデックス番号に対応した起動モードへ処理を移行させるために関数アドレスを取得し、その関数アドレスに処理を移行させる。これによって、外部装置2によって指定された起動モードでの処理が開始される(S28)。
【0060】
図10は、本発明の実施の形態における携帯情報処理装置1のID検知モジュール33の処理手順を説明するためのフローチャートである。多機能CPU21が起動処理プログラムの実行を開始した後、外部装置2のID制御モジュール66によって設定された電圧設定値を検知するために、I2Cを用いてID検知モジュール33に、ID制御モジュール66によって設定された電圧設定値と同じ電圧値を設定する(S31)。そして、ID検知モジュール33によってIDを判定し(S32)、USB接続用端子14に外部装置2が接続されているか否かを判定する(S33)。
【0061】
USB接続用端子14に外部装置2が接続されている場合には(S33,Yes)、図9に示すキー入力データ判定フローに従って、受信されたキー入力データの判定を行なって起動モードへの移行処理を行なう(S35)。また、USB接続用端子14に外部装置2が接続されていない場合には(S33,No)、起動処理を続行する(S34)。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態における携帯情報処理装置1によれば、外部装置2からの電源起動をトリガとして多機能CPU21が起動してキー入力データを受信し、キー入力データに対応した起動モードで動作を行なうようにした。したがって、電源キー以外の入力用キーが装備されていないタッチパネルを搭載した携帯情報処理装置などであっても、ソフトウェアの更新、生産工程用の動作確認、開発中のソフトウェアの動作確認、市場での不良発生時におけるデータ解析などの様々な起動モードによる起動が可能となった。
【0063】
また、商品開発作業、生産工程作業、市場不具合分析、データバックアップやリストアなどのメンテナンス作業など、様々な状況で必要とされる起動モードを携帯情報処理装置に組み込むことができるため、開発効率の向上、生産ラインにおける生産性の向上、市場における不良率の削減、不良解析やユーザメンテナンスの品質向上などを図ることが可能となった。
【0064】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
1 携帯情報処理装置、2 外部装置、3 USBケーブル、11 マイク、12 スピーカ、13 電源キー、14 外部機器接続端子、21 多機能CPU、22 電源制御モジュール、23 RAM、24 フラッシュROM/eMMC、25 カメラ、26 外部ストレージI/Fモジュール、27 外部接続I/Fモジュール、28 入力モジュール、29 表示モジュール、30 RFモジュール、31 マスクROM、32 内蔵RAM、33 ID検知モジュール、41 入力データ判定テーブル、42 入力データ分岐テーブル、43 起動モード分岐テーブル、51〜54 入力用キー、55 リセットスイッチ、56 携帯情報処理装置接続端子、57 ACアダプタ接続端子、61 データ入力モジュール、62 メイン制御モジュール、63 電源制御モジュール、64 リセットモジュール、65 データ制御I/Fモジュール、66 ID制御モジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置との接続によって起動する携帯情報処理装置であって、
前記外部装置との接続を行なうためのインタフェース手段と、
電源を制御するための電源制御手段と、
前記携帯情報処理装置を制御するための制御手段とを含み、
前記インタフェース手段が前記外部機器の接続による電源供給を起動のトリガとして受けたときに、前記電源制御手段が前記インタフェース手段を介して供給される電源を用いて前記制御手段の起動を行ない、該制御手段は、前記インタフェース手段を介して前記外部装置から受信したデータに基づいて起動後の動作モードを決定する、携帯情報処理装置。
【請求項2】
前記携帯情報処理装置はさらに、前記インタフェース手段に接続された機器を識別するための識別手段を含み、
前記識別手段が前記インタフェース手段に前記外部装置が接続されたことを検出すると、前記制御手段は、前記インタフェース手段を介して前記外部装置からデータを受信して起動後の動作モードを決定する、請求項1記載の携帯情報処理装置。
【請求項3】
前記携帯情報処理装置はさらに、前記外部装置から受信したデータの正常値を格納する第1の格納手段と、
前記外部装置から受信したデータに対応する動作モードを格納する第2の格納手段と、
動作モードに対応する関数アドレスを格納する第3の格納手段とを含み、
前記制御手段は、前記第1〜第3の格納手段を参照することによって、前記外部装置から受信したデータに基づく起動後の動作モードを決定して当該動作モードに移行する、請求項1または2記載の携帯情報処理装置。
【請求項4】
携帯情報処理装置との接続によって該携帯情報処理装置に動作モードを指示する外部装置であって、
動作モードを設定するための複数の入力手段と、
前記携帯情報処理装置との接続を行なうためのインタフェース手段と、
電源を制御するための電源制御手段と、
前記外部装置を制御するための制御手段とを含み、
前記制御手段は、前記電源制御手段を制御して前記インタフェース手段に前記携帯情報処理装置に対する電源供給を起動のトリガとして出力させ、前記複数の入力手段によって設定された動作モードを前記携帯情報処理装置に送信させる、外部装置。
【請求項5】
前記外部装置はさらに、該外部装置をリセットするためのリセット手段を含み、
前記リセット手段によって前記制御手段がリセットされたときに、該制御手段は前記複数の入力手段によって設定された動作モードを取得して、前記インタフェース手段に送信させる、請求項4記載の外部装置。
【請求項6】
前記外部装置はさらに、前記インタフェース手段を介して前記携帯情報処理装置に外部装置であることを示す情報を出力するための出力手段を含む、請求項4または5記載の外部装置。
【請求項7】
外部装置と、該外部装置との接続によって起動する携帯情報処理装置とを含んだシステムであって、
前記外部装置は、動作モードを設定するための複数の入力手段と、
前記携帯情報処理装置との接続を行なうための第1のインタフェース手段と、
電源を制御するための第1の電源制御手段と、
前記外部装置を制御するための第1の制御手段とを含み、
前記携帯情報処理装置は、前記外部装置との接続を行なうための第2のインタフェース手段と、
電源を制御するための第2の電源制御手段と、
前記携帯情報処理装置を制御するための第2の制御手段とを含み、
前記第1の制御手段は、前記第1の電源制御手段を制御して前記第1のインタフェース手段に前記携帯情報処理装置に対する電源供給を起動のトリガとして出力させ、前記複数の入力手段によって設定された動作モードを前記携帯情報処理装置に送信させ、
前記第2のインタフェース手段が前記外部機器の接続による電源供給を起動のトリガとして受けたときに、前記第2の電源制御手段が前記第2のインタフェース手段を介して供給される電源を用いて前記第2の制御手段の起動を行ない、該第2の制御手段は、前記第2のインタフェース手段を介して前記外部装置から受信したデータに基づいて起動後の動作モードを決定する、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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