説明

携帯情報端末、情報処理装置、及び文字入力支援システム

【課題】キーボード等を装備しないモバイル機器等の情報処理装置の携帯性を犠牲にすることなく操作性を改善することができる文字入力支援システムを提供する。
【解決手段】携帯端末1とモバイル機器2とを備えており、携帯端末1は、外部からのキー操作によりキー操作情報を入力する入力装置11と、入力装置11により入力されたキー操作情報に基づいて、外部に設けられたモバイル機器2のためのイベント情報を生成する情報処理部13と、情報処理部13により生成されたイベント情報をモバイル機器2に対して無線通信により送信する無線通信装置14とを有し、モバイル機器2は、無線通信装置14から無線通信により送信されたイベント情報を受信する無線通信装置21と、無線通信装置21において受信したイベント情報の画面表示を行う表示部23とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーボード等を装備しないモバイル機器等の情報処理装置の操作性を改善する文字入力支援システム及び当該システムに使用する携帯情報端末並びに情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化・軽量化が進み、携帯性やウェアラブル(身体に装着可能)といった機能を重視したパーソナルコンピュータあるいはPDA(Personal Digital Assistant)等のモバイル機器が多く普及しつつある。屋内で使用される通常のパーソナルコンピュータは、入力デバイスとしてキーボードを採用するのが一般的であるが、ある程度のサイズを必要とし、持ち運びに不向きであるため、上述したモバイル機器には採用されない場合が多い。小型化したキーボードを採用するモバイル機器も存在するが、単純に小型化したキーボードは、キーが押しづらく使用が困難になり、またハードウェアとしてのコストがかかるといった問題点も有する。
【0003】
したがって、PDAに代表される最近のモバイル機器は、文字入力デバイスとしてのキーボードに代わる入力デバイスとして、タッチパネルによる手書き入力や画面にキーボードを表示してマウスで画面上のキーをクリックすることで文字入力等を行うソフトウェアキーボード等を採用する場合が多い。
【0004】
特許文献1には、表示画面上でのポインティング操作のみにより高速に文字の入力を行うことができ、キーボードを使用せずに文字の入力が可能であるとともに、意図する語句の漢字がわからない場合においても入力を容易とする情報機器が記載されている。この情報機器は、操作入力部の操作に基づいて文書作成を行う文書作成機能を有しており、登録語を格納する格納手段と、操作入力部の操作に基づいて登録語に含まれる候補文字列の優先順位を決定するとともに該優先順位により入力する文字の候補を表示する候補文字表示手段と、候補のカテゴリを指定するカテゴリ指定手段とを備えることにより実現される。さらに、当該情報機器内の候補文字表示手段は、指定されたカテゴリに応じた優先順位で表示する機能を有する。
【0005】
したがって、特許文献1記載の情報機器によれば、文字列辞書内に格納されている全文字列の中から文字列をその抽出優先順位と抽出閾値との大小関係に基づいて候補文字列として抽出し、操作入力部での操作により発生した閾値変更指令信号に基づいて文字列の抽出閾値を連続的に変更するので、操作入力部での操作により、文字列辞書から抽出される候補文字列の数を連続的に変更することができる。また、操作入力部材としてマウスやタブレットなどを用いた2次元の表示画面上で指定位置の座標を変化させる等の操作により、初期時点で一覧表示されている候補文字列のリストが表示画面上をシフトして、目的とする候補文字列が表示画面上に現れるまで、一覧表示される候補文字列の内容が連続的に変化することとなるので、動的に変化する候補文字列の一覧表示リストの中から、適切なものを、操作入力部の選択操作により選択することにより、ポインティング操作のみで高速に文字列としての語,文節,あるいは文を逐次入力することができる。この場合、キーボードによる文字の入力とは異なり、入力操作における言語依存性はなく、また日本語における漢字や英語等におけるスペルが分からない場合でも文を正しく入力することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−123553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、タッチパネルによる手書き入力やソフトウェアキーボードによる入力は、キーボードに比して操作性が損なわれてしまい、短文を入力する際には特に問題無いが、長文を短時間で入力する際には操作が煩雑であり不向きである。特許文献1に記載された情報機器を使用した場合においても、ポインティング操作による煩雑な操作性は改善されておらず、また必ずしも意図する語句が候補文字列の一覧表示リストに存在するとは限らないので、手軽に短時間で様々な長文を入力するのは困難である。
【0008】
モバイル機器の中には専用の外部接続のキーボードを使用可能なものも存在する。このようなモバイル機器は、例えば屋内において使用する際にはキーボードを接続して文字入力を行い、屋外で使用する際にはタッチパネルによる手書き入力やソフトウェアキーボードによる入力を行うといった使い方が可能である。しかしながら、屋外においてキーボードによる操作を望む場合には、ユーザは、結局キーボードを持ち歩くこととなるため、携帯性及び操作性を両立する上で問題となる。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題点を解決するもので、キーボード等を装備しないモバイル機器等の情報処理装置の携帯性を犠牲にすることなく操作性を改善することができる文字入力支援システム及び当該システムに使用する携帯情報端末並びに情報処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る携帯情報端末は、上記課題を解決するために、外部からのキー操作によりキー操作情報を入力する入力部と、前記入力部により入力されたキー操作情報に基づいて、外部に設けられた所定の情報処理装置のためのイベント情報を生成する入力情報処理部と、前記入力情報処理部により生成されたイベント情報を前記情報処理装置に対して無線通信により送信する第1無線通信部とを備え、前記入力情報処理部は、前記入力部により入力されたキー操作情報に基づいて、前記第1無線通信部による前記イベント情報の送信タイミングを制御することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る情報処理装置は、上記課題を解決するために、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の携帯情報端末から無線通信により送信されたイベント情報を受信する第2無線通信部と、前記第2無線通信部において受信したイベント情報を画面表示制御のための制御情報に変換する入力変換部と、前記入力変換部により出力された制御情報に対応した画面表示を行う第2表示部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る文字入力支援システムは、上記課題を解決するために、携帯情報端末と情報処理装置とを備えており、前記携帯情報端末は、外部からのキー操作によりキー操作情報を入力する入力部と、前記入力部により入力されたキー操作情報に基づいて、外部に設けられた前記情報処理装置のためのイベント情報を生成する入力情報処理部と、前記入力情報処理部により生成されたイベント情報を前記情報処理装置に対して無線通信により送信する第1無線通信部とを有し、前記情報処理装置は、前記携帯情報端末内部の前記第1無線通信部から無線通信により送信されたイベント情報を受信する第2無線通信部と、前記第2無線通信部において受信したイベント情報を画面表示制御のための制御情報に変換する入力変換部と、前記入力変換部により出力された制御情報に対応した画面表示を行う第2表示部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、キーボード等を装備しないモバイル機器等の情報処理装置の携帯性を犠牲にすることなく操作性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1の形態の文字入力支援システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1の形態の文字入力支援システムによる無線通信イメージを示す図である。
【図3】本発明の実施例1の形態の文字入力支援システムにおける携帯情報端末の動作を示すフローチャート図である。
【図4】本発明の実施例1の形態の文字入力支援システムにおける情報処理装置(モバイル機器)の動作を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の実施例1の形態の文字入力支援システムによる動作イメージを示す図である。
【図6】本発明の実施例1の形態の文字入力支援システムによる動作イメージの別例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の携帯情報端末、情報処理装置、及び文字入力支援システムの実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1の文字入力支援システムの構成を示すブロック図である。図1を参照して、文字入力支援システムの構成を説明する。本実施例の文字入力支援システムは、図1に示すように、携帯端末1とモバイル機器2とからなるシステムである。
【0017】
まず、携帯端末1の構成について説明する。携帯端末1は、本発明の携帯情報端末に対応し、入力装置11、表示部12、情報処理部13、及び無線通信装置14から構成される。この携帯端末1は、例えばスマートフォンや携帯電話等のデバイスである。
【0018】
入力装置11は、本発明の入力部に対応し、外部からのキー操作によりキー操作情報を入力する。具体的には、入力装置11は、携帯端末1に装備された入力操作を行うためのデバイスであり、例えば携帯電話表面に設けられたテンキー等が該当する。
【0019】
情報処理部13は、本発明の入力情報処理部に対応し、入力装置11により入力された情報に基づいて、外部に設けられた所定の情報処理装置(本実施例におけるモバイル機器2)のためのイベント情報を生成するとともに、入力装置11により入力されたキー操作情報に基づいて、無線通信装置14によるイベント情報の送信タイミングを制御する。また、情報処理部13は、無線通信装置14において無線通信を行うために、イベント情報を通信方式に応じた適切な電気信号に変換する役割も担う。具体的には、情報処理部13は、携帯端末1上で動作する本発明を実施するためのソフトウェアを備えたCPUが該当する。
【0020】
表示部12は、入力装置11により入力されたキー操作情報を情報処理部13を経由して受け取り、当該キー操作情報に対応する表示を行う。具体的には、携帯電話に通常装備されているディスプレイが該当し、ユーザは、ディスプレイ(表示部12)を見ることにより、テンキー等の入力装置11を操作して入力した内容を確認することができる。
【0021】
なお、情報処理部13は、入力装置11により入力されたキー操作情報が文字列である場合に、予測変換を行って表示部12に表示させるとしてもよい。ここで、予測変換とは、多くの携帯電話で採用されている手法であり、ユーザの入力した文字に対してユーザが入力しようとしている語句を予測してそれを選択候補として出力する検索手法である。
【0022】
無線通信装置14は、本発明の第1無線通信部に対応し、情報処理部13により生成されたイベント情報をモバイル機器2に対して無線通信により送信する。この無線通信装置14は、具体的な例として無線LANやBluetooth等が挙げられる。
【0023】
次に、モバイル機器2の構成について説明する。モバイル機器2は、本発明の情報処理装置に対応し、無線通信装置21、入力変換部22、及び表示部23から構成される。このモバイル機器2は、例えばキーボードを装備しないPC(パーソナルコンピュータ)やPDA等の情報機器であり、本発明の文字入力支援システムにおいてキーボード等の操作を必要とする側のデバイスである。
【0024】
なお、図1に示すモバイル機器2内の構成には示していないが、モバイル機器2は、タッチパネル等の入力装置も備えており、例えユーザがたまたま携帯端末1を所持していない場合であっても、タッチパネル等の当該入力装置を用いることにより単体で文字入力が可能である。しかしながら、本発明の文字入力支援システムにおいては、モバイル機器2に備えられた入力装置を使用せずに携帯端末1を使用して文字入力等を行うため、図1の記載は、モバイル機器2内の入力装置を省略したものとなっている。
【0025】
無線通信装置21は、本発明の第2無線通信部に対応し、携帯端末1から無線通信により送信されたイベント情報を受信する。この無線通信装置21は、具体的な例として無線LANやBluetooth等が挙げられ、当然のことながら携帯端末1内の無線通信装置14に対応した無線通信規格を使用する必要がある。
【0026】
入力変換部22は、無線通信装置21において受信したイベント情報を画面表示のための制御情報に変換する。具体的には、入力変換部22は、無線通信装置14経由で受信したイベント情報を解析し、OS(オペレーティングシステム)にイベントとして渡すための部分である。ここで、イベントとは、ユーザのキー操作に基づいてモバイル機器2で発生させる動作を意味し、例えば、文字入力はもちろんカーソルキーやタブキー等によるカーソルの移動やエスケープボタンやページアップ/ページダウンボタン等によるモバイル機器2のOS上で動作するアプリケーション上の動作が挙げられる。
【0027】
表示部23は、本発明の第2表示部に対応し、入力変換部22により出力された制御情報に対応した画面表示を行う。具体的には、キーボードを装備しないPCやPDA等のモバイル機器2に通常装備されているディスプレイが該当する。ユーザは、ディスプレイ(表示部23)を見ることにより、携帯端末1で入力した情報が正しくモバイル機器2に送信されたか否かを確認することができる。
次に、上述のように構成された本実施の形態の作用を説明する。図2は、本発明の実施例1の文字入力支援システムによる無線通信イメージを示す図である。図2に示すように、ユーザは、携帯端末1とモバイル機器2とを携帯し、必要に応じて携帯端末1に文字や情報を入力することにより、モバイル機器2に対して当該文字や情報を無線通信で送信することができる。
【0028】
携帯端末1は、例えば上述した本発明の構成を備えた携帯電話である。普段から携帯電話を持ち歩いているユーザは、あらためてモバイル機器2に対する文字入力専用の携帯端末1を持つ必要は無く、本発明の構成を備えた携帯電話を携帯していればよい。近年において、世の多くの人々が携帯電話を所有し携帯していることから、ユーザは、自己の携帯電話を様々なモバイル機器2に対する入力端末として使用できることとなり、本発明は利便性・携帯性において非常に優れたものといえる。
【0029】
モバイル機器2は、上述したようにキーボードを装備しないPCやPDA等が例として挙げられる。基本的に、ユーザは、モバイル機器2を携帯するものとするが、必ずしも携帯が必須条件ではない。1例として、ユーザは、離れた位置にあるモバイル機器2に対して、自己が携帯する携帯端末1で無線通信により情報を入力することが考えられる。
【0030】
また、モバイル機器2は、1つとは限らない。例えば、ユーザは、複数のモバイル機器2を所有している状況が考えられる。この場合、ユーザは、携帯端末1を利用して、無線通信可能なモバイル機器2を探索し、複数ある場合には携帯端末1を操作することにより送信先として希望するモバイル機器2を選択し、情報送信を行うといった利用方法も考えられる。
【0031】
本実施例においては、ユーザは、携帯端末1とモバイル機器2とをいずれも携帯しているものとし、モバイル機器2の数は1つであるとして説明する。また、便宜上、携帯端末1を「クライアント側」とし、モバイル機器2を「サーバー側」とする。
【0032】
図3は、本実施例の文字入力支援システムにおける携帯端末1の動作を示すフローチャート図である。なお、ユーザは、携帯端末1における本発明を動作させるためのプログラムを起動したものとする。
【0033】
最初に、携帯端末1内の情報処理部13は、ユーザによるプログラムの終了操作がされたかを判断する(ステップS101)。ユーザは、プログラムを終了させたい場合には、携帯端末1の表面にあるキー(入力装置11)を操作することにより、プログラムを終了させる。ユーザによりプログラムを終了する旨のキー操作情報が入力された場合には、情報処理部13は、プログラムを終了させる(ステップS109)。
【0034】
次に、情報処理部13は、ユーザにより送信操作がされたか否かを判断する(ステップS103)。ユーザによる送信操作がされる前においては、ユーザは、入力装置11におけるキー操作により、表示部12に表示された内容を確認しながら自由に文字列の編集等を行うことができる。また、ユーザによる送信操作がされない限り、情報処理部13は、ステップS101に戻り、プログラムの終了操作(ステップS101)及び送信操作(ステップS103)の有無を監視し続ける。
【0035】
ユーザが文字列を編集する際に、情報処理部13は、当該文字列に対して予測変換を行い、表示部12に表示させる。上述したように、予測変換は、多くの携帯電話が既に採用している手法であるため、本発明の携帯情報端末(携帯端末1)は、もともと多くの携帯電話が有している予測変換等の機能を利用して、迅速且つ簡便にモバイル機器2に対して文字入力を行うことができるという利点を有している。
【0036】
文字列の編集等が終了して情報の送信を希望する際に、ユーザは、入力装置11のキーを使用して送信操作を行う。1例として、ユーザは、表示部12に表示された「送信」ボタン等をカーソルで選択して押すことにより送信操作を行う。ユーザにより送信する旨のキー操作情報が入力装置11から入力されると、情報処理部13は、入力装置11により入力されたキー操作情報に基づいて、外部に設けられた所定のモバイル機器2のためのイベント情報を生成する(ステップS105)。このイベント情報は、ユーザにより編集された文字列の他、カーソルキー、タブ、エスケープ等のキーを押すことにより発生するイベント情報を含む。
【0037】
情報処理部13は、ユーザによる送信操作が行われてはじめてイベント情報を生成して無線通信装置14に出力するため、「入力装置11により入力されたキー操作情報に基づいて、無線通信装置14によるイベント情報の送信タイミングを制御する」といえる。
【0038】
無線通信装置14は、情報処理部13により生成されたイベント情報をサーバー側(モバイル機器2)に対して無線通信により送信する(ステップS107)。送信が終了した後はステップS101に戻り、本発明の携帯端末1は、ユーザによるプログラムの終了操作がされるまで上述した一連の動作を続ける。
【0039】
次に、モバイル機器2の動作について説明する。図4は、本実施例の文字入力支援システムにおけるモバイル機器2の動作を示すフローチャート図である。なお、ユーザは、モバイル機器2における本発明を動作させるためのプログラムを起動したものとする。
【0040】
最初に、モバイル機器2内の入力変換部22は、ユーザによるプログラムの終了操作がされたかを判断する(ステップS201)。ユーザは、プログラムを終了させたい場合には、モバイル機器2が備えるタッチパネル等を操作することにより、プログラムを終了させる。ユーザによりプログラムを終了する旨の操作がタッチパネル等により入力された場合には、入力変換部22は、プログラムを終了させる(ステップS209)。
【0041】
次に、入力変換部22は、携帯端末1により送信された受信データの有無を判断する(ステップS203)。無線通信装置21により受信したイベント情報が受信データとして出力されていない場合には、入力変換部22は、ステップS201に戻り、プログラムの終了操作(ステップS201)及び受信データ(ステップS203)の有無を監視し続ける。
【0042】
携帯端末1内の無線通信装置14によりイベント情報が無線通信で送信されると、無線通信装置21は、携帯端末1から無線通信により送信されたイベント情報を受信し、受信したイベント情報を受信データとして入力変換部22に出力する。入力変換部22は、無線通信装置21において受信したイベント情報を分析し、画面表示のための制御情報に変換する(ステップS205)。例えば、入力変換部22は、受信したイベント情報がカーソルキーやタブキー等によるキーイベントに関するものであるのか、あるいは貼り付けを行うための文字列からなるテキスト情報であるのか等を判断し、ユーザによるキー操作の意図に沿った制御情報に変換する。
【0043】
その後、表示部23は、入力変換部22により出力された制御情報に対応した画面表示を行う。言い換えれば、入力変換部22は、生成した制御情報に基づいて表示部23の画面表示を制御し、キーイベントの発生やテキストの貼り付け処理を実行する(ステップS207)。ユーザは、ディスプレイ(表示部23)を見ることにより、携帯端末1で入力した情報が正しくモバイル機器2に送信されたか否かを確認することができる。
【0044】
図5は、本実施例の文字入力支援システムによる動作イメージを示す図であり、携帯端末1内の表示部12及びモバイル機器2内の表示部23における表示の1例を示すものである。なお、図5においては、携帯端末1によるテキスト入力(文字入力)を行う場合について説明する。
【0045】
まず、ユーザは、本発明の文字入力支援システムを利用するために、モバイル機器2側で専用のサーバプログラム(本発明に対応するプログラム)を起動するとともに、携帯端末1側で専用のクライアントプログラム(本発明に対応するプログラム)を起動する。
【0046】
次にユーザは、入力装置11(例えば携帯端末1の表面に設けられたキー)を使用して、携帯端末1側のクライアントプログラムの動作モードをテキスト入力モードに切り替える。その後、ユーザは、図5の1に示すように、モバイル機器2側でテキスト入力を行う箇所にフォーカスを合わせる。これは、ユーザがモバイル機器2のタッチパネル等を操作することにより行われる。
【0047】
次に、ユーザは、図5の2に示すように、携帯端末1側で起動したクライアントプログラムによりテキスト入力を行う。ここでは、ユーザは、携帯端末1のキーを操作することにより、「明日の打ち合わせ」の文字を入力している。
【0048】
テキスト入力が終了した後に、ユーザは、図5の3に示すように、携帯端末1より入力したテキストの確定操作を行い、送信操作によりモバイル機器2側にイベント情報を送信する。1例として、ユーザは、図5に示すように、携帯端末1の画面(表示部12)に表示された「OK」ボタンにフォーカスを合わせて押すことにより、テキストの確定操作及び送信操作を行う。
【0049】
携帯端末1内の情報処理部13は、上述したように、送信操作が行われたと判断(ステップS103)した上で、入力をイベント情報に変換(ステップS105)し、無線通信装置14に出力する。無線通信装置14は、情報処理部13により生成されたイベント情報をサーバー側(モバイル機器2)に対して無線通信により送信する。
【0050】
モバイル機器2側の無線通信装置21は、携帯端末1から無線通信により送信されたイベント情報を受信し、入力変換部22に対して受信データとして出力する。入力変換部22は、携帯端末1により送信された受信データが有ると判断し(ステップS203)、無線通信装置21において受信したイベント情報を分析し、画面表示のための制御情報に変換する(ステップS205)。ここで、イベント情報は「明日の打ち合わせ」の文字列からなるテキスト情報であるため、入力変換部22は、「明日の打ち合わせ」の文字列を現在画面(表示部23)上でフォーカスされている位置に貼り付けるための制御情報を生成する。
【0051】
その後、表示部23は、入力変換部22により出力された制御情報に対応した画面表示を行う(ステップS207)。具体的には、表示部23は、図5の4に示すように、現在フォーカスされている位置に「明日の打ち合わせ」の文字列を貼り付ける。ユーザは、ディスプレイ(表示部23)を見ることにより、携帯端末1で入力した文字列「明日の打ち合わせ」が、正しくモバイル機器2の画面表示に反映されていることを確認することができる。
【0052】
図6は、本実施例の文字入力支援システムによる動作イメージの別例を示す図であり、携帯端末1内の表示部12及びモバイル機器2内の表示部23における表示の1例を示すものである。なお、図6においては、携帯端末1によるカーソル操作を行う場合について説明する。
【0053】
まず、ユーザは、本発明の文字入力支援システムを利用するために、モバイル機器2側で専用のサーバプログラム(本発明に対応するプログラム)を起動するとともに、携帯端末1側で専用のクライアントプログラム(本発明に対応するプログラム)を起動する。
【0054】
次にユーザは、図6の1に示すように、入力装置11(例えば携帯端末1の表面に設けられたキー)を使用して、携帯端末1側のクライアントプログラムの動作モードをカーソル操作モードに切り替える。
【0055】
次に、ユーザは、図6の2に示すように、携帯端末1のキーパッド(入力装置11)を操作する。ここでは、ユーザは、「タブキー」を押している。
【0056】
カーソル操作モードにおいては、情報処理部13は、「タブキー」が押されることにより送信操作が行われたと判断(ステップS103)する。その後、情報処理部13は、入力をイベント情報に変換(ステップS105)し、無線通信装置14に出力する。無線通信装置14は、情報処理部13により生成されたイベント情報をサーバー側(モバイル機器2)に対して無線通信により送信する。
【0057】
モバイル機器2側の無線通信装置21は、携帯端末1から無線通信により送信されたイベント情報を受信し、入力変換部22に対して受信データとして出力する。入力変換部22は、携帯端末1により送信された受信データが有ると判断し(ステップS203)、無線通信装置21において受信したイベント情報を分析し、画面表示のための制御情報に変換する(ステップS205)。ここで、イベント情報は「タブキー」が押されたことによるキーイベントに関する情報であるため、入力変換部22は、「タブキー」によるカーソル操作に相当する制御情報を生成する。
【0058】
その後、表示部23は、入力変換部22により出力された制御情報に対応した画面表示を行う(ステップS207)。具体的には、表示部23は、図6の3に示すように、「タブキー」によるカーソル操作に相当する制御が行われ、「サブジェクト」のテキストボックスから「宛先」のテキストボックスにフォーカスが移動している。ユーザは、ディスプレイ(表示部23)を見ることにより、携帯端末1で入力した「タブキー」操作により、モバイル機器2の画面表示におけるフォーカス位置が正しく次のテキストボックスに移動していることを確認することができる。
【0059】
上述のとおり、本発明の実施例1の形態に係る文字入力支援システム及び当該システムに使用する携帯情報端末(携帯端末1)並びに情報処理装置(モバイル機器2)によれば、キーボード等を装備しないモバイル機器2等の情報処理装置の携帯性を犠牲にすることなく操作性を改善することができる。すなわち、ユーザは、キーボード等を装備しないモバイル端末であっても携帯端末を利用してキーボード操作(文字入力やカーソル操作)を代行させることができる。
【0060】
普段から携帯電話を持ち歩いているユーザは、あらためてモバイル機器2に対する文字入力専用の携帯端末1を持つ必要は無く、本発明の構成を備えた携帯電話を携帯端末1として使用することにより、モバイル機器2の携帯性を犠牲にすることなく操作性を改善することができる。モバイル機器2専用のキーボードが不要であるため、本発明は、キーボードを装備しないモバイル機器2の優れた携帯性を維持するとともに低コスト化・軽量化に資するという利点があり、近年における携帯電話の普及率を鑑みても有益であると考えられる。
【0061】
さらに、近年の携帯電話は、文字入力の操作性において、予測変換等の優れた機能を有しているため、キーボードに比して遜色無く使用できるという利点がある。また、多くの人々が携帯電話によるメールのやり取りを経験しており、携帯電話による文字入力に慣れているといった事情も本発明の効果である利便性・携帯性に貢献している。
【0062】
さらに、本発明の文字入力支援システムにおいて、本発明の携帯情報端末としての携帯電話は、モバイル機器に限らない様々な情報機器に対する文字入力手段として利用することができる。1例として、ATMや駅の自動券売機等を本発明の情報処理装置として利用することが考えられる。当該ATMや駅の自動券売機等は、無線通信装置21、入力変換部22、及び表示部23を備えることにより本発明の情報処理装置として使用することができる。したがって、ユーザは、自己の所有する携帯電話を本発明の携帯情報端末として使用することにより、前述したATMや駅の自動券売機等に対して文字入力等を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明に係る携帯情報端末、情報処理装置、及び文字入力支援システムは、キーボード等を装備しないPCやPDA等のモバイル機器の操作性を改善する文字入力支援システム、及び当該システムに利用する携帯電話並びに当該モバイル機器としての情報処理装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 携帯端末
2 モバイル機器
11 入力装置
12 表示部
13 情報処理部
14 無線通信装置
21 無線通信装置
22 入力変換部
23 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からのキー操作によりキー操作情報を入力する入力部と、
前記入力部により入力されたキー操作情報に基づいて、外部に設けられた所定の情報処理装置のためのイベント情報を生成する入力情報処理部と、
前記入力情報処理部により生成されたイベント情報を前記情報処理装置に対して無線通信により送信する第1無線通信部とを備え、
前記入力情報処理部は、前記入力部により入力されたキー操作情報に基づいて、前記第1無線通信部による前記イベント情報の送信タイミングを制御することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
前記入力部により入力されたキー操作情報に対応する表示を行う表示部を備えることを特徴とする請求項1記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記入力情報処理部は、前記入力部により入力されたキー操作情報が文字列である場合に予測変換を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の携帯情報端末。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の携帯情報端末から無線通信により送信されたイベント情報を受信する第2無線通信部と、
前記第2無線通信部において受信したイベント情報を画面表示制御のための制御情報に変換する入力変換部と、
前記入力変換部により出力された制御情報に対応した画面表示を行う第2表示部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
携帯情報端末と情報処理装置を備える文字入力支援システムであって、
前記携帯情報端末は、
外部からのキー操作によりキー操作情報を入力する入力部と、
前記入力部により入力されたキー操作情報に基づいて、外部に設けられた前記情報処理装置のためのイベント情報を生成する入力情報処理部と、
前記入力情報処理部により生成されたイベント情報を前記情報処理装置に対して無線通信により送信する第1無線通信部とを有し、
前記情報処理装置は、
前記携帯情報端末内部の前記第1無線通信部から無線通信により送信されたイベント情報を受信する第2無線通信部と、
前記第2無線通信部において受信したイベント情報を画面表示制御のための制御情報に変換する入力変換部と、
前記入力変換部により出力された制御情報に対応した画面表示を行う第2表示部とを有することを特徴とする文字入力支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−198489(P2010−198489A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44642(P2009−44642)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】