説明

携帯情報端末および書籍画像表示方法

【課題】携帯情報端末における書籍画像の閲覧の利便性を向上させる。
【解決手段】携帯情報端末100は、書籍のページの全体を示す画像データをタッチパネル12に収まるサイズで表示させる通常表示制御部84と、書籍のページの行数に関連する情報をユーザから受け付ける行設定受付部76と、上記画像データがユーザにより指定された行数を含むものと仮定して、上記画像データから書籍のページの1行にあたる部分を行データとして抽出する行抽出部80と、抽出された行データを、通常表示制御部84による表示サイズよりも大きいサイズでディスプレイに表示させる拡大表示制御部86とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、データ処理技術に関し、特に、書籍の画像を表示する携帯情報端末およびその表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の画像データを表示可能な携帯情報端末が普及している。また、イメージスキャナを利用して紙媒体の書籍を電子ファイル化し、その電子ファイルを携帯情報端末に取り込むことにより書籍の閲覧がなされることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的に携帯情報端末のディスプレイのサイズには制約があり比較的低い解像度にならざるを得ない一方、書籍をスキャンした画像データは、ディスプレイの解像度と比較して大きいサイズになることがあった。そのため、書籍の画像データを携帯情報端末に表示させると、文字の視認性が低くなり、ユーザの利便性を低下させることがあった。
【0004】
本発明は、こうした課題を鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、携帯情報端末における書籍画像の閲覧の利便性を向上させるための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の携帯情報端末は、書籍のページの全体を示す画像データをディスプレイに収まるサイズで表示させる第1表示制御部と、書籍のページの行数に関連する情報をユーザから受け付ける行情報受付部と、画像データがユーザにより指定された行数を含むものと仮定して、画像データから書籍のページの1行にあたる部分を行データとして抽出する抽出部と、抽出された行データを、第1表示制御部による表示サイズよりも大きいサイズでディスプレイに表示させる第2表示制御部と、を備える。
【0006】
本発明の別の態様は、書籍画像表示方法である。この方法は、携帯情報端末が実行する方法であって、書籍のページの全体を示す画像データをディスプレイに収まるサイズで表示させる第1表示ステップと、書籍のページの行数に関連する情報をユーザから受け付ける行情報受付ステップと、画像データがユーザにより指定された行数を含むものと仮定して、画像データから書籍のページの1行にあたる部分を行データとして抽出する抽出ステップと、抽出された行データを、第1表示ステップにおける表示サイズよりも大きいサイズでディスプレイに表示させる第2表示ステップと、を備える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、携帯情報端末における書籍画像の閲覧の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態の携帯情報端末の外観を示す図である。
【図2】タッチディスプレイに書籍画像を表示した状態を示す図である。
【図3】図2の書籍画像を拡大表示するユーザインタフェースを示す図である。
【図4】図3において行数を過剰に設定した場合の表示例を示す図である。
【図5】図3において次行ボタンが押下された場合の表示例を示す図である。
【図6】携帯情報端末のハードウェア構成を示す図である。
【図7】携帯情報端末の機能構成を示すブロック図である。
【図8】設定情報保持部に保持される設定値を示す図である。
【図9】図8の設定値を書籍拡大表示画面を用いて示す図である。
【図10】書籍画像の行画像を拡大表示エリア22へ転記する擬似コードを示す図である。
【図11】携帯情報端末の動作を示すフローチャートである。
【図12】図11のS16の書籍拡大表示画面処理を詳細に示すフローチャートである。
【図13】図12のS46の行拡大表示処理を詳細に示すフローチャートである。
【図14】タッチディスプレイに横書きの書籍画像を表示した状態を示す図である。
【図15】図14の書籍画像を拡大表示するユーザインタフェースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、実施の形態の携帯情報端末100の外観を示す。携帯情報端末100は、ユーザが持ち運び可能なサイズの情報処理装置である。携帯情報端末100は、ユーザの操作に応じて、書籍のページを示す画像データ(以下、「書籍画像」とも呼ぶ。)をディスプレイに表示する。
【0011】
実施の形態における書籍画像は、書籍のページの内容をラスタ画像形式で保存した画像データ(以下、「ラスタ画像」とも呼ぶ。)であり、ビットマップファイル・JPEGファイル等であってもよい。また書籍画像は、紙媒体の書籍(例えば文芸書・ビジネス書・雑誌等)のページをイメージスキャナで読み込み電子ファイル化したものであってもよい。また携帯情報端末100は、携帯型ゲーム機や、携帯電話機、スマートフォン、タブレット型情報端末、電子書籍の閲覧端末であってもよい。
【0012】
携帯情報端末100はタッチパネル12とディスプレイ10を備え、タッチパネル12はディスプレイ10の全面に亘り配置される。ディスプレイ10とタッチパネル12が一体的に構成されてよいことはもちろんであり、ディスプレイ10とタッチパネル12を総称する場合、「タッチディスプレイ14」と呼ぶこととする。図1には図示しないが、ディスプレイ10は背面タッチパネル18をさらに備える。背面タッチパネル18は、携帯情報端末100においてタッチディスプレイ14が設けられた面とは異なる面に設けられ、実施の形態では、タッチディスプレイ14が設けられた面の反対側の面(背面)に設けられている。
【0013】
また携帯情報端末100は、ユーザが携帯情報端末100を操作するための各種ボタンや十字キー等のコントローラ16をさらに備える。ただし以下の説明においては、携帯情報端末100に対するユーザの操作は、タッチパネル12および背面タッチパネル18を介して行われることとする。
【0014】
図2は、タッチディスプレイ14に書籍画像20を表示した状態を示す。携帯情報端末100はユーザによる持ち運びを前提としたものであるため、その筐体サイズ・ディスプレイサイズには制約があり、したがってディスプレイの解像度も比較的低い値となる。例えば、筐体サイズが幅6.2cm×高さ11.6cm、ディスプレイサイズが幅5.2cm×高さ7.8cm、ディスプレイの解像度が幅320ピクセル×高さ480ピクセルとなることもある。その一方、紙媒体の書籍をスキャンしたラスタ画像は、例えば幅1480ピクセル×高さ2221ピクセルになることもある。
【0015】
この例において書籍画像20をタッチディスプレイ14のサイズに収めて表示させた場合、タッチディスプレイ14に表示される書籍画像20のサイズは、元々の書籍画像20のサイズの約21%に縮小されてしまう。その結果、文字が非常に小さく表示されることになり、また文字がつぶれて表示されることもあり、ユーザにとって文章の視認性が悪化し、読みにくいものとなってしまう。
【0016】
そこで実施の形態の携帯情報端末100は、書籍画像20に記述された文章を行単位に切り出して、各行の画像データをそれまでよりも大きいサイズで表示する。すなわち、タッチディスプレイ14のサイズに収めて書籍画像20を表示させた場合の各行の表示サイズよりも大きいサイズで表示する。したがって、書籍画像20のサイズがタッチディスプレイ14の解像度よりも大きい場合であっても、ユーザは読みやすい文字サイズで文章を行単位に読み進めていくことができる。以下、実施の形態の書籍画像20は、文章が縦書きで記述されたものとする。
【0017】
図3は、図2の書籍画像を拡大表示するユーザインタフェースを示す。拡大表示エリア22は、書籍画像20に記述された文章を行単位に拡大表示する領域である。先頭位置ガイド24は、書籍画像20において文章が記述された開始位置、例えば縦書きの文章では右上端の位置をユーザが指定するためのオブジェクトである。末尾位置ガイド26は、書籍画像20において文章が記述された末尾位置、例えば縦書きの文章では左下端の位置をユーザが指定するためのオブジェクトである。後述するように、先頭位置ガイド24および末尾位置ガイド26の指定により、書籍画像20のうち文章が記述されていない余白領域を拡大表示対象から除外する。
【0018】
行間調整エリア30は、書籍画像20の行数(言い換えれば書籍画像20の行間であり行幅でもある)をユーザが調整するための操作領域である。行ガイド32は、行間調整エリア30での調整結果に応じた行幅で設けられた仮想的な行を示すオブジェクトである。拡大行インジケータ34は、拡大表示エリア22に表示された行、すなわち現在において拡大表示対象となっている行を示すオブジェクトである。図3では太枠で示しているが、拡大表示対象の行と拡大表示対象外の行とが、視覚的に区別可能な他の態様であってもよいことはもちろんである。前行ボタン36は、拡大表示対象の行を1つ前に戻すためのボタンオブジェクトであり、次行ボタン38は、拡大表示対象の行を1つ後ろに進めるためのボタンオブジェクトである。
【0019】
次に、書籍画像を拡大表示して閲覧する手順を説明する。ユーザは、携帯情報端末100に対して以下の3ステップの操作を実行する。
(ステップ1)拡大対象エリア28の設定:
ユーザは先頭位置ガイド24をドラッグして先頭位置ガイド24の右上端部分を文章の開始位置、典型的には本文が記述された方形領域の右上端位置にあわせる。また末尾位置ガイド26をドラッグして末尾位置ガイド26の左下端部分を文章の末尾位置、典型的には本文が記述された方形領域の左下端位置にあわせる。これにより、拡大表示の対象とする1以上の行が含まれる拡大対象エリア28を設定する。
【0020】
(ステップ2)拡大対象エリア28における行数の設定:
ユーザは、行間調整エリア30に対してタップ操作もしくはトレース操作(言い換えれば、なぞり操作)を行って、拡大対象エリア28の行数を増加もしくは減少させ、行ガイド32の行間に拡大対象エリア28の各行の文字列が収まるよう調整する。例えば図3の拡大対象エリア28は19行であるため、行数が19行になるよう調整する。実施の形態では、ユーザのタップ位置もしくはトレース操作の終了位置が行間調整エリア30の左端に近いほど行数が増える、言い換えれば行間が狭まり、行幅が狭まる。逆に、ユーザのタップ位置もしくはトレース操作の終了位置が行間調整エリア30の右端に近いほど行数が減少する、言い換えれば行間が拡大し、行幅が拡大する。
【0021】
図4は、図3において行数を過剰に設定した場合の表示例を示す。同図は、拡大対象エリア28の文章が実際には19行であるところ、行間調整エリア30において行数を24行と設定した場合の表示例を示している。この場合、行ガイド32の行間には書籍画像20の1行の一部しか収まっていないため、拡大表示エリア22には書籍画像20の1行の一部しか表示されないこととなる。具体的には、文字の左側が表示されないこととなる。図4の状態でユーザは、拡大表示エリア22の表示状態や、拡大対象エリア28における行ガイド32の表示状態を見ながら行数を減少させる。すなわち、行間調整エリア30においてそれまでより右側の位置をタップして行数を減少させる。図3に戻る。
【0022】
(ステップ3)行単位の閲覧:
図3で示すように、ユーザは行数を調整後、拡大対象エリア28の1行目を閲覧する。1行目を閲覧後、ユーザは次行ボタン38をタップして拡大対象エリア28の2行目を拡大表示エリア22に表示させる。図5は、図3において次行ボタン38が押下された場合の表示例を示す。同図では、拡大表示エリア22に拡大対象エリア28の2行目が表示されているとともに、拡大行インジケータ34も拡大対象エリア28の1行目から2行目へ移動している。ユーザは2行目の閲覧を終えると、再度次行ボタン38をタップして拡大対象エリア28の3行目を拡大表示エリア22に表示させる。これを繰り返して、ユーザは書籍画像20を行単位に読み進める。
【0023】
詳細は後述するが、携帯情報端末100は、書籍画像20がユーザにより指定された行数を含むものと仮定して、書籍画像20から行単位に画像データを切り出して拡大表示エリア22に表示させる。これにより、行数や行幅等の情報を持たないラスタ画像であっても各行の画像を切り出して大きなサイズでユーザに提示することができ、ユーザによる書籍画像閲覧の利便性を向上させることができる。以下では、図3で示すユーザインタフェースを「書籍拡大表示画面」とも呼び、これに対して図2で示すユーザインタフェースを「書籍通常表示画面」とも呼ぶ。
【0024】
以上説明したユーザインタフェースを実現する携帯情報端末100の構成を説明する。
図6は、携帯情報端末100のハードウェア構成を示す。携帯情報端末100は、タッチディスプレイ14で総称されるディスプレイ10およびタッチパネル12と、背面タッチパネル18と、電源部40と、CPU42と、メインメモリ44と、フラッシュメモリ46を備える。これらのデバイスはバスを介して直接もしくは間接的に接続される。
【0025】
フラッシュメモリ46は、OS、各種ドライバソフトウェア、および書籍画像の閲覧アプリケーション(以下、「書籍閲覧アプリケーション」とも呼ぶ。)を保持する。CPU42は、フラッシュメモリ46に格納されたOSにより携帯情報端末100全体を統括的に制御するとともに、書籍閲覧アプリケーションにしたがって書籍画像の表示処理を実行する。なおCPU42は、積和演算等、グラフィック処理に特化したGPUを含むものであってよい。メインメモリ44は、CPU42で実行されるプログラムモジュールの一時的な格納領域であり、CPU42の処理データが一時的に格納される作業領域としても使用される。メインメモリ44は、例えばRAM等により構成される。電源部40は、ACアダプタや充電池を備え、CPU42の制御にしたがって各デバイスへ電力を提供する。
【0026】
ディスプレイ10は、CPU42の制御にしたがって各種情報を表示する。具体的にはCPU42により指定された書籍画像のデータをビデオ信号に変換し、そのビデオ信号に応じて各種情報を画面表示する。ディスプレイ10は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであってもよい。タッチパネル12および背面タッチパネル18は、不図示の座標検出装置を備え、ユーザの指でタップされたタップ位置や、ユーザの指でトレースされた軌跡点を検出して、タップ位置およびトレースの軌跡点の位置を示す座標情報をCPU42へ通知する。
【0027】
図7は、携帯情報端末100の機能構成を示すブロック図である。携帯情報端末100は、ディスプレイ10と、タッチパネル12と、背面タッチパネル18と、タッチパネルドライバ50と、ディスプレイドライバ52と、背面タッチパネルドライバ54と、データ保持部60と、書籍閲覧処理部70を備える。
【0028】
本明細書のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。例えば、書籍閲覧処理部70は書籍閲覧アプリケーションとしてフラッシュメモリ46に格納され、各機能ブロックに対応するプログラムモジュールがメインメモリ44へ適宜読み出されてCPU42により実行されることにより実現されてもよい。またデータ保持部60は、フラッシュメモリ46およびメインメモリ44により実現されてよい。
【0029】
タッチパネルドライバ50、ディスプレイドライバ52および背面タッチパネルドライバ54は、ハードウェアとしてのタッチパネル12、ディスプレイ10および背面タッチパネル18と、書籍閲覧処理部70とを仲介するドライバソフトウェアである。
【0030】
データ保持部60は、書籍画像保持部62と設定情報保持部64を含む。書籍画像保持部62は、ユーザが閲覧する書籍画像のデータ、すなわち書籍のページの内容を示すラスタ画像データを保持する。なお書籍画像のデータは、図示しないUSBインタフェースを介して外部のスキャナ装置やPC等から携帯情報端末100が読み込み、書籍画像保持部62に格納してもよい。設定情報保持部64は、書籍閲覧処理部70による書籍画像の拡大表示処理において参照される各種設定値を保持する。
【0031】
図8は、設定情報保持部64に保持される設定値を示す。また図9は、図8の設定値を書籍拡大表示画面を用いて示したものである。図8の「表記」欄は、以下の説明での表記態様を示している。また「定数・変数の別」欄で定数とした設定値は、書籍閲覧アプリケーションのインストール時に固定値として設定されてもよい。例えば、端末画面幅、端末画面高さは、携帯情報端末100の機種により特定されるディスプレイサイズや、インストール時にユーザにより入力されたディスプレイサイズが設定されてもよい。また実施の形態では、最大行数は25行であり、最小行数は10行であることとする。上マージン、下マージン、行マージンについても予め定められたマージン値(例えば画素数)が設定されてもよい。「定数・変数の別」欄で変数とした設定値は所定の初期値が定められたものであるが、後述するように、書籍閲覧処理部70の各機能ブロックによりその値は動的に変更される。
【0032】
図7に戻り、書籍閲覧処理部70は、操作検出部72と、文章範囲受付部74と、行設定受付部76と、行領域特定部78と、行抽出部80と、表示制御部82を含む。表示制御部82は、ディスプレイ10に対する書籍画像の表示処理を実行し、通常表示制御部84と拡大表示制御部86を含む。
【0033】
操作検出部72は、タッチパネル12からタッチパネルドライバ50を介して入力された座標情報にもとづいて、タッチパネル12に対するユーザの操作内容を検出する。また操作検出部72は、背面タッチパネル18から背面タッチパネルドライバ54を介して入力された座標情報にもとづいて、背面タッチパネル18に対するユーザの操作内容を検出する。ユーザの操作内容は、例えば、タップ操作の事実とタップ位置、トレース操作の事実とトレース位置を示す情報であってもよい。またトレース操作の開始位置が先頭位置ガイド24もしくは末尾位置ガイド26の表示位置である場合は、先頭位置ガイド24もしくは末尾位置ガイド26のドラッグ操作として検出する。
【0034】
また操作検出部72は、書籍画像保持部62に保持された書籍画像を指定した操作であり、その書籍画像を書籍通常表示画面で表示させることを指示する操作(以下、「通常表示指示」とも呼ぶ。)を受け付ける。また書籍通常表示画面で表示された書籍画像を書籍拡大表示画面にて表示させることを指示する操作(以下、「拡大表示指示」とも呼ぶ。)を検出する。
【0035】
通常表示制御部84は、書籍画像の通常表示指示を示す所定操作が操作検出部72により検出された場合、図2で示した書籍通常表示画面の表示を制御する。具体的には、通常表示指示において指定された書籍画像のデータを書籍画像保持部62から取得して、書籍画像の全体をディスプレイ10の画面サイズに収めて表示させる。
【0036】
通常表示制御部84は、書籍画像を表示させる際、その書籍画像の幅および高さをIMAGEWIDTHおよびIMAGEHEGHTとして設定情報保持部64へ格納する。また、WIDTH/IMAGEWIDTHを表示倍率(DISPRATIO)として設定情報保持部64へ格納する。変形例として、HEIGHT/IMAGEHEIGHTを表示倍率としてもよく、WIDTH/IMAGEWIDTHとHEIGHT/IMAGEHEIGHTの小さい方を表示倍率としてもよい。通常表示制御部84は、表示倍率にしたがって書籍画像を縮小表示させる。言い換えれば、書籍画像の幅および高さを表示倍率の分だけ縮小したサイズの縮小画像をディスプレイ10に表示させる。
【0037】
拡大表示制御部86は、書籍画像の拡大表示指示を示す所定操作が操作検出部72により検出された場合、図3で示した書籍拡大表示画面の表示を制御する。具体的には、通常表示制御部84により表示された書籍画像の上に重ねて、拡大表示エリア22、先頭位置ガイド24、末尾位置ガイド26、行間調整エリア30、行ガイド32、拡大行インジケータ34を表示させる。なお、先頭位置ガイド24、末尾位置ガイド26、および行間調整エリア30が未調整の初期状態では通常、書籍画像の文章と行ガイド32とが整合しないため、図4で示したような表示状態となる。
【0038】
拡大表示制御部86は、拡大表示エリア22の設定値を以下のように算出し、その設定値にしたがって拡大表示エリア22をディスプレイ10の中心に表示させるとともに、その設定値を設定情報保持部64へ格納する。なお実施の形態では、拡大表示エリア22における各行の画像の表示サイズは、書籍画像における原寸大のサイズとする。
ZOOMDISPHEGHT = (ENDY−STARTY)−(UPPERMARGIN+LOWERMARGIN)
ZOOMDISPLINENUM = (ENDY−STARTY)/DISPRATIO/ZOOMDISPHEIGHT
なお、CURRENTLINEの初期値は0であり、すなわち拡大対象エリア28の1行目(厳密には1行目と想定される位置)を示す。
【0039】
文章範囲受付部74は、書籍拡大表示画面における先頭位置ガイド24のドラッグ操作が操作検出部72により検出された場合、タッチパネル12における先頭位置ガイド24の右上端座標を操作検出部72から取得する。そして、その右上端座標の値をSTARTXおよびSTARTYとして設定情報保持部64へ格納する。同様に、書籍拡大表示画面における末尾位置ガイド26のドラッグ操作が操作検出部72で検出された場合、タッチパネル12における末尾位置ガイド26の左下端座標を操作検出部72から取得する。そして、その左下端座標の値をENDXおよびENDYとして設定情報保持部64へ格納する。
【0040】
拡大表示制御部86は、書籍拡大表示画面における先頭位置ガイド24のドラッグ操作が操作検出部72により検出された場合、そのドラッグ操作の軌跡点の座標を操作検出部72から取得し、ドラッグ操作に応じて先頭位置ガイド24の表示位置を変化させる。同様に、書籍拡大表示画面における末尾位置ガイド26のドラッグ操作が操作検出部72により検出された場合、そのドラッグ操作の軌跡点の座標を操作検出部72から取得し、ドラッグ操作に応じて末尾位置ガイド26の表示位置を変化させる。また拡大表示制御部86は、(STARTX,STARTY)を右上端座標とし、(ENDX,ENDY)を左下端座標とする方形領域を拡大対象エリア28として特定する。そして、拡大表示対象外の領域をユーザに提示するために、ディスプレイ10における拡大対象エリア28以外の領域をグレーアウトの態様で表示させる。
【0041】
行設定受付部76は、書籍拡大表示画面の行間調整エリア30におけるユーザのタップ操作が操作検出部72により検出された場合、そのタップ位置の座標を操作検出部72から取得する。また行間調整エリア30におけるユーザのトレース操作が操作検出部72により検出された場合、そのトレース終了位置の座標を操作検出部72から取得する。このタップ位置およびトレース終了位置を総称する場合、「ユーザ指定位置」と呼ぶ。
【0042】
行設定受付部76は、行間調整エリア30におけるユーザ指定位置にもとづいて拡大対象エリア28の行数および行幅を決定する。なお、行間調整エリア30の幅は、拡大表示制御部86により拡大対象エリア28と同一に設定されることとし、拡大対象エリア28の幅が変更された場合には行間調整エリア30の幅も変更されることとする。
【0043】
具体的には、行設定受付部76は以下のように行数および行幅を算出する。
LINENUM =(ユーザ指定位置の横座標−STARTX)/(ENDX−STARTX)×(MAXLINENUM−MINLINENUM)+MINLINENUM(小数点以下は切り上げ)
LINEWIDTH =(ENDX−STARTX)/LINENUM
すなわち、行間調整エリア30におけるユーザ指定位置が行間調整エリア30の左端に近いほどLINENUMは大きい値となり(すなわち25に近づき)、LINEWIDTHは小さい値となる。その一方、ユーザ指定位置が右端に近いほどLINENUMは小さい値となり(すなわち10に近づき)、LINEWIDTHは大きい値となる。行設定受付部76はLINENUMおよびLINEWIDTHを設定情報保持部64へ格納する。
【0044】
拡大表示制御部86は、書籍拡大表示画面の行間調整エリア30におけるユーザのタップ操作もしくはトレース操作が検出された場合、行ガイド32の表示を更新する。具体的には、拡大表示エリア22をLINENUMが示す行数に分割するよう、(LINENUM−1)本の行ガイド32を、LINEWIDTHが示す間隔で拡大対象エリア28上に設定する。
【0045】
なお実施の形態では、行間調整エリア30の左を指定するほど行数が増えることをユーザに示唆するために、拡大表示制御部86は、拡大対象エリア28の左側に位置する行ガイド32ほど、その長さを長く表示させる。変形例として、行間調整エリア30には、拡大対象エリア28とは独立した行ガイド32を表示させてもよい。そして、行間調整エリア30の左側ほど行ガイド32の間隔を狭めた、逆に行間調整エリア30の右側ほど行ガイド32の間隔を広げた態様で表示させてもよい。
【0046】
行領域特定部78は、設定情報保持部64に格納された設定値を参照し、拡大対象エリア28が、LINENUMが示す行数を含むものであると仮定して、書籍画像の一部領域であり、拡大対象エリア28において文章1行が記述されたと想定される領域を特定する。言い換えれば、行領域特定部78は、拡大対象エリア28が、LINEWIDTHが示す行幅により構成されたものと仮定して、拡大対象エリア28の文章1行にあたる領域を特定する。さらに言い換えれば、行領域特定部78は、LINENUMおよびLINEWIDTHにしたがって書籍画像において文章1行の記述が占める領域を推定する。
【0047】
行抽出部80は、書籍画像から、行領域特定部78により特定された領域の画像データを「行画像」として抽出する。拡大表示制御部86は、行抽出部80により抽出された行画像を拡大対象エリア28内に折り返して表示させる。具体的には、拡大表示制御部86は、設定情報保持部64に格納された設定値を参照して行画像を転記すべき領域を特定し、その領域に行画像のデータを転記する。
【0048】
図10は、書籍画像の行画像を拡大表示エリア22へ転記する擬似コードを示す。同図のコードブロック90は行領域特定部78の処理内容を示しており、コードブロック92は行抽出部80の処理内容を示しており、コードブロック94は拡大表示制御部86の処理内容を示している。同図で示すように、拡大対象エリア28の行毎に、オリジナルの書籍画像におけるコピー元座標が特定されて行画像(ここではオリジナルの書籍画像における文章1行の一部を意味する)が抽出される。そして、拡大対象エリア28の行毎に、行画像のコピー先座標が特定されて上記の行画像がコピーされる。これにより、拡大表示エリア22の各行には書籍画像における1行の画像の一部が表示されることになる。すなわち、書籍画像における文章1行の画像が、拡大表示エリア22の複数行に亘って折り返して表示されることになる。
【0049】
書籍拡大表示画面における前行ボタン36に対するタップ操作が操作検出部72により検出されると、行領域特定部78は、設定情報保持部64のCURRENTLINEをデクリメントし、図10の処理が再実行される。すなわち、行領域特定部78は、書籍画像20におけるそれまでの拡大対象行の前行が記載されたと想定される領域を特定する。行抽出部80は、行領域特定部78により新たに特定された領域にしたがって前行に対応する新たな行画像を抽出し、拡大表示制御部86は、それまでの行画像に代えて新たな行画像を拡大表示エリア22に表示させる。
【0050】
書籍拡大表示画面における次行ボタン38に対するタップ操作が操作検出部72により検出されると、行領域特定部78は、設定情報保持部64のCURRENTLINEをインクリメントし、図10の処理が再実行される。すなわち、行領域特定部78は、書籍画像20におけるそれまでの拡大対象行の次行が記載されたと想定される領域を特定する。行抽出部80は、行領域特定部78により新たに特定された領域にしたがって次行に対応する新たな行画像を抽出し、拡大表示制御部86は、それまでの行画像に代えて新たな行画像を拡大表示エリア22に表示させる。
【0051】
書籍拡大表示画面の表示中に、背面タッチパネル18に対するタップ操作が操作検出部72により検出されると、書籍拡大表示画面から書籍通常表示画面へ切り替わる。具体的には、拡大表示制御部86は、書籍拡大表示画面において書籍画像20の上に重ねて表示させた各種オブジェクト(拡大表示エリア22や行間調整エリア30等)を非表示とすることによりディスプレイ10の表示内容を書籍通常表示画面に戻す。実施の形態では、書籍画像の拡大表示指示を示す所定操作が操作検出部72により新たに検出された場合に、拡大表示制御部86は書籍拡大表示画面を再度表示させる。変形例としては、背面タッチパネル18が再度タップされた場合に、拡大表示制御部86は書籍拡大表示画面を再度表示させてもよい。
【0052】
以上の構成による携帯情報端末100の動作を以下説明する。
図11は、携帯情報端末100の動作を示すフローチャートである。携帯情報端末100のユーザは閲覧する書籍画像を選択して通常表示指示を示す所定操作を行う。操作検出部72がその操作を検出すると(S10のY)、通常表示制御部84は通常表示指示で指定された書籍画像を書籍画像保持部62から取得して、その書籍画像全体をタッチディスプレイ14の画面サイズに収まるよう縮小表示させる(S12)。すなわち通常表示制御部84は書籍通常表示画面を表示させる。書籍通常表示画面において文字が読みにくい場合、ユーザは拡大表示指示を示す所定操作を行う。操作検出部72がその操作を検出すると(S14のY)、後述の書籍拡大表示画面処理が実行される(S16)。拡大表示指示が受け付けられなければ(S14のN)、S16はスキップされる。
【0053】
書籍拡大表示画面から書籍通常画面へ切り替えたいとき、ユーザは背面タッチパネル18をタップする。背面タッチパネル18に対するタップ操作を操作検出部72が検出したとき(S18のY)、書籍拡大表示画面を表示中であれば(S20のY)、拡大表示制御部86は書籍画像20に重ねて表示させた書籍画像20等、書籍拡大表示画面の各種オブジェクトを非表示とする。これにより、書籍拡大表示画面から書籍通常表示画面へ切り替わってS14へ戻る(S22)。背面タッチパネル18に対するタップ操作が未検出であれば(S18のN)、S20をスキップして書籍画像表示の終了判定を実行する。また、背面タッチパネル18に対するタップ操作が受け付けられたものの書籍拡大表示画面を表示中でなければ(S20のN)、書籍画像表示の終了判定を実行する。
【0054】
書籍画像表示の終了を指示する所定操作が操作検出部72により検出されず(S24のN)、書籍拡大表示画面を表示中であれば(S26のY)、S16に戻る。その一方、書籍通常表示画面を表示中であれば(S26のN)、S14へ戻る。書籍画像表示の終了を指示する所定操作が検出されると(S24のY)、本図のフローを終了する。また書籍画像の通常表示指示が未検出であれば(S10のN)、以降のステップをスキップして本図のフローを終了する。
【0055】
図12は、図11のS16の書籍拡大表示画面処理を詳細に示すフローチャートである。書籍拡大表示画面が未表示であれば(S30のY)、拡大表示制御部86は、拡大表示エリア22等、図3で示した各種オブジェクトを書籍画像の上に重ねて表示させることにより書籍拡大表示画面を表示させる(S32)。書籍拡大表示画面が表示済みであれば(S30のN)、S32はスキップされる。先頭位置ガイド24もしくは末尾位置ガイド26のドラッグ操作が検出された場合(S34のY)、文章範囲受付部74は、そのドラッグ操作に応じてSTARTXとSTARTY、もしくは、ENDXとENDYの座標値を更新する(S42)。拡大表示制御部86は、そのドラッグ操作に応じて先頭位置ガイド24もしくは末尾位置ガイド26の表示位置を更新するとともに、拡大対象エリア28の表示領域を更新する(S44)。そして後述の行拡大表示処理が実行される(S46)。
【0056】
ユーザは、拡大表示エリア22における行画像の表示や、書籍画像上の行ガイド32の表示を随時確認して、書籍画像の行数が適切に設定されているか否かを判断する。拡大表示エリア22における行間に文字列が収まっていない場合や、行ガイド32の行間に文字列が収まっていない場合、ユーザは行間調整エリア30を介して行数を増減させる。先頭位置ガイド24もしくは末尾位置ガイド26のドラッグ操作が未検出で(S34のN)、行間調整エリア30に対する操作が検出された場合(S36のY)、行設定受付部76は、行間調整エリア30におけるユーザ指定位置に応じてLINENUMおよびLINEWIDTHの値を更新する(S42)。拡大表示制御部86はそのユーザ指定位置に応じて行ガイド32の本数および行間(言い換えれば行幅)を更新する(S44)。そして後述の行拡大表示処理が実行される(S46)。
【0057】
行間調整エリア30に対する操作が未検出で(S36のN)、前行ボタン36に対するタップ操作が検出された場合(S38のY)、拡大表示制御部86はCURRENTLINEをデクリメントする(S42)。それとともに拡大行インジケータ34の表示位置を前行の位置へ変更する(S44)。そして後述の行拡大表示処理が実行される(S46)。前行ボタン36に対するタップ操作が未検出で(S38のN)、次行ボタン38に対するタップ操作が検出された場合(S40のY)、拡大表示制御部86はCURRENTLINEをインクリメントする(S42)。それとともに拡大行インジケータ34の表示位置を次行の位置へ変更する(S44)。そして後述の行拡大表示処理が実行される(S46)。次行ボタン38に対するタップ操作も未検出の場合(S40のN)、S42およびS44をスキップしてS46が実行される。
【0058】
図13は、図12のS46の行拡大表示処理を詳細に示すフローチャートである。行領域特定部78は、書籍画像20がLINENUMの行数を含むものと仮定して、言い換えれば、書籍画像20がLINEWIDTHの幅の行により構成されると仮定して、書籍画像20における文章1行が占める領域の座標を特定する(S50)。行抽出部80は、書籍画像20における文章1行が占める領域の画像データを行画像として書籍画像20から抽出する(S52)。拡大表示制御部86は、抽出された行画像を、拡大表示エリア22の複数行に亘り折り返して表示させる(S54)。具体的には、S52において、書籍画像20における文章1行が占める領域を分割した各領域の画像データを抽出し、S54において、拡大表示エリア22の各行に、S52で抽出された各領域の画像データを表示させる。
【0059】
本実施の形態の携帯情報端末100によれば、書籍のラスタ画像がディスプレイ10のサイズよりも大きい場合であっても、ユーザは書籍の文章を行単位に拡大表示させて、行単位に読みやすい文字サイズで読み進めることができる。また、書籍のラスタ画像における文章1行の画像を折り返して表示させることで、文章1行の全体を拡大表示エリア22に収めて表示させることができる。
【0060】
また携帯情報端末100によれば、先頭位置ガイド24や、末尾位置ガイド26、行間調整エリア30等を調整した結果が拡大表示エリア22の表示内容へ即時にフィードバックされる。これにより、ユーザは拡大表示エリア22の表示内容を見て確認しつつ、拡大対象エリア28の範囲や行間調整エリア30のユーザ指定位置を調整することができる。また、書籍画像上に行ガイド32が表示されるため、ユーザは行数の設定が適切か否かを容易に判断することができる。
【0061】
また、背面タッチパネル18に対するタップ操作によって書籍拡大表示画面のオブジェクトが非表示となるため、それまで後ろ側に表示された書籍画像が前面に表示されることとなる。すなわち、後ろから前に押す形となる背面タッチパネル18に対するタップ操作により、書籍画像が後ろから前に出てくる形となり、直観的な操作手段をユーザへ提供できる。例えば書籍画像に文章以外の絵図(例えば挿絵や図表等)が含まれ、ユーザがその絵図を確認したい場合、背面タッチパネル18をタップすることで、拡大表示エリア22等に邪魔されずに絵図を確認できる。
【0062】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下変形例を示す。
【0063】
第1の変形例を説明する。上記実施の形態における書籍画像は縦書きの文章が記述されたものとしたが、変形例における書籍画像は横書きの文章が記述されたものであってもよい。この場合、拡大表示制御部86は横書きの書籍画像用の書籍拡大表示画面を表示させてもよい。図14は、タッチディスプレイ14に横書きの書籍画像を表示した状態を示す。また、図15は、図14の書籍画像を拡大表示するユーザインタフェース(すなわち書籍拡大表示画面)を示す。
【0064】
図15では、横書きの書籍画像の1行目が拡大表示エリア22において拡大表示されている。同図で示すように、横書きの書籍画像用の書籍拡大表示画面では、先頭位置ガイド24を本文が記述された方形領域の左上端位置にあわせ、末尾位置ガイド26を本文が記述された方形領域の右下端位置にあわせる。また、行間調整エリア30においてユーザのタップ位置もしくはトレース操作の終了位置が行間調整エリア30の下端に近いほど行数が増加する。
【0065】
なお、拡大表示制御部86は、書籍画像の拡大表示指示をユーザから受け付けた場合、書籍画像が縦書きが横書きをユーザに指定させるための不図示の選択画面をタッチディスプレイ14に表示させてもよい。そしてユーザが縦書きを指定した場合、実施の形態に記載の縦書き用の書籍拡大表示画面(図3)を表示させ、ユーザが横書きを選択した場合、本変形例に記載の横書き用の書籍拡大表示画面(図15)を表示させてもよい。
【0066】
第2の変形例を説明する。上記実施の形態では言及していないが、複数の書籍画像が互いに対応づけられて書籍画像保持部62に格納されてもよい。例えば、あるページの内容を示す書籍画像Aと、書籍画像Aの前のページの内容を示す書籍画像Bと、書籍画像Aの次のページの内容を示す書籍画像Bとが、閲覧順序がB→A→Cであることを示す情報とともに書籍画像保持部62に保持されてもよい。
【0067】
この場合に、書籍画像Aに対する書籍拡大表示画面において、次行ボタン38のタップに伴いCURRENTLINEをインクリメントした結果、CURRENTLINEの値がLINENUMと等しくなった場合、言い換えれば、拡大対象エリア28の最終行で次行ボタン38がタップされた場合、通常表示制御部84は閲覧順序が書籍画像Aの次であると定められた書籍画像Cを、書籍画像Aに代えてタッチディスプレイ14に表示させる。拡大表示制御部86は、書籍画像Cに対する書籍拡大表示画面において、CURRENTLINEを先頭行を示す0に戻す以外、書籍画像Aに対する書籍拡大表示画面における他の設定値をそのまま引き継いで拡大表示エリア22を表示させる。例えば、書籍画像Aに対する書籍拡大表示画面のLINENUMおよびLINEWIDTHを、書籍画像Cに対する書籍拡大表示画面のLINENUMおよびLINEWIDTHとしてそのまま使用して拡大表示エリア22に行画像を表示させる。
【0068】
一般的に同一の書籍内のページ間では行数は同じであるため、ユーザは書籍画像Cに対する書籍拡大表示画面において、先頭位置ガイド24および末尾位置ガイド26の位置を再設定すれば、行間調整エリア30での行数の再設定を行うことなく、行単位の閲覧を開始できる。
【0069】
また、書籍画像Aに対する書籍拡大表示画面において、前行ボタン36のタップに伴いCURRENTLINEをデクリメントした結果、CURRENTLINEの値がマイナス値となった場合、言い換えれば、拡大対象エリア28の先頭行で前行ボタン36がタップされた場合、通常表示制御部84は閲覧順序が書籍画像Aの前であると定められた書籍画像Bを、書籍画像Aに代えてタッチディスプレイ14に表示させる。拡大表示制御部86は、書籍画像Bに対する書籍拡大表示画面において、CURRENTLINEを最終行を示す(LINUM−1)とする以外、書籍画像Aに対する書籍拡大表示画面における他の設定値をそのまま引き継いで拡大表示エリア22を表示させる。例えば、書籍画像Aに対する書籍拡大表示画面のLINENUMおよびLINEWIDTHを、書籍画像Bに対する書籍拡大表示画面のLINENUMおよびLINEWIDTHとしてそのまま使用して拡大表示エリア22に行画像を表示させる。
【0070】
この場合も、ユーザは書籍画像Bに対する書籍拡大表示画面において、先頭位置ガイド24および末尾位置ガイド26の位置を再設定すれば、行間調整エリア30での行数の再設定を行うことなく、行単位の閲覧を開始できる。
【0071】
なお、第2の変形例では書籍画像が変更された場合にSTARTX、STARTY、ENDX、ENDYの値もそのまま引き継がれる。したがって、書籍画像A〜C間で本文が記述された領域(すなわち拡大対象エリア28)の位置が変わらない場合、ユーザは先頭位置ガイド24および末尾位置ガイド26の位置も再設定することなく、行単位の閲覧をそのまま継続することができる。
【0072】
第3の変形例を説明する。上記実施の形態では先頭位置ガイド24および末尾位置ガイド26は書籍画像の閲覧中にいつでもドラッグ可能であることとしたが、変形例としては所定のタイミングではドラッグ操作が制限、言い換えれば禁止されてもよい。以下、説明の簡明化のため、先頭位置ガイド24を対象として説明するが末尾位置ガイド26についても同様である。
【0073】
この変形例において、先頭位置ガイド24の初期状態は移動可能モードであり、移動可能モードを示す態様(例えば赤色)で表示され、ユーザのドラッグ操作に応じて移動する。その一方、先頭位置ガイド24に対するダブルタップ操作(2回続けてのタップ操作)が検出された場合、拡大表示制御部86は、先頭位置ガイド24を位置決定済みモードへ切り替えて、位置決定済みモードを示す表示態様(例えば青色)へ切り替える。拡大表示制御部86は、先頭位置ガイド24が位置決定済みモードの場合、ドラッグ操作が検出されても先頭位置ガイド24の表示位置を変更しない。同様に文章範囲受付部74は、先頭位置ガイド24が位置決定済みモードの場合、ドラッグ操作が検出されてもSTARXおよびSTARTYを変更しない。また拡大表示制御部86は、先頭位置ガイド24が位置決定済みモードで、先頭位置ガイド24に対するダブルタップ操作が検出されると、先頭位置ガイド24を移動可能モードへ戻し、移動可能モードを示す表示態様に戻す。
【0074】
第3の変形例によれば、移動中の書籍画像の閲覧において、ユーザが誤ってタッチディスプレイ14に触れてしまった場合であっても、意図せずに先頭位置ガイド24および末尾位置ガイド26の位置が変化してしまうことを防止できる。
【0075】
第4の変形例を説明する。上記実施の形態では先頭位置ガイド24および末尾位置ガイド26に対するドラッグ操作はタッチディスプレイ14上で行われることとした。変形例としては、そのドラッグ操作は背面タッチパネル18において行われてもよい。例えば、先頭位置ガイド24を移動させるための所定の操作が受け付けられると先頭位置ガイド24の移動モードとなり、その移動モードにおいて背面タッチパネル18がドラッグ操作なされた場合にそのドラッグ操作に応じて先頭位置ガイド24の表示位置が移動し、またSTARTXおよびSTARTYの値が更新されてもよい。末尾位置ガイド26についても同様である。この態様によると、ユーザが閲覧中の文書をユーザ自身の手で覆い隠すことなく先頭位置ガイド24および先頭位置ガイド24の位置をユーザに調整させることができる。
【0076】
第5の変形例を説明する。上記実施の形態では言及していないが、操作検出部72は拡大表示エリア22におけるユーザのトレース操作を検出してもよい。また文章範囲受付部74はそのトレース操作に応じてSTARTXおよびSTARTYの位置を変更してもよく、拡大表示制御部86はそのトレース操作に応じて先頭位置ガイド24の表示位置を変更してもよい。具体的には、拡大表示エリア22において右方向へのトレース操作が検出された場合、文章範囲受付部74はSTARTXをそれまでより大きい値に変更し、拡大表示制御部86は先頭位置ガイド24をそれまでより左に表示させる。この結果、拡大表示エリア22において、それまで表示された文字列がより右へ移動した態様で新たに表示される。
【0077】
また拡大表示エリア22において左方向へのトレース操作が検出された場合、文章範囲受付部74はSTARTXをそれまでより小さい値に変更し、拡大表示制御部86は先頭位置ガイド24をそれまでより右に表示させる。この結果、拡大表示エリア22において、それまで表示された文字列がより左へ移動した態様で新たに表示される。また拡大表示エリア22において上方向へのトレース操作が検出された場合、文章範囲受付部74はSTARTYをそれまでより小さい値に変更し、拡大表示制御部86は先頭位置ガイド24をそれまでより上に表示させる。この結果、拡大表示エリア22において、それまで表示された文字列がより下へ移動した態様で新たに表示される。
【0078】
また拡大表示エリア22において上方向へのトレース操作が検出された場合、文章範囲受付部74はSTARTYをそれまでより大きい値に変更し、拡大表示制御部86は先頭位置ガイド24をそれまでより下に表示させる。この結果、拡大表示エリア22において、それまで表示された文字列がより上へ移動した態様で新たに表示される。第5の変形例によれば、文章を拡大表示した拡大表示エリア22に対する操作により、その文章の表示態様が変化するため、ユーザは拡大表示エリア22における文章の表示状態を見ながら先頭位置ガイド24を操作することができ、適切な位置に調整することが容易になる。
【0079】
第6の変形例を説明する。上記実施の形態では、拡大表示エリア22において書籍画像の行画像を原寸大のサイズで表示させることとした。変形例としては、書籍画像の行画像を、原寸大とは異なるサイズであり、かつ、常表示画面における表示サイズ、言い換えれば、表示倍率だけ縮小された表示サイズよりも大きいサイズで表示させてもよい。
【0080】
例えば、オリジナルの書籍画像をコピー元(言い換えれば行画像抽出のソース)とした場合に、拡大画面行数(ZOOMDISPLINENUM)が所定値以下であれば、実施の形態と同様にオリジナルの書籍画像をコピー元として原寸大の書籍画像を抽出して表示させてもよい。その一方、拡大画面行数(ZOOMDISPLINENUM)が所定値を超過する場合、オリジナルの書籍画像をタッチディスプレイ14のサイズに収めて表示する場合の第1の表示倍率よりも大きな第2の表示倍率でオリジナルの書籍画像を縮小したコピー元画像を生成してもよい。この場合、第2の表示倍率をDISPRATIOとして用いて新たな拡大画面行数を設定し、またそのDISPRATIOにしたがってコピー元画像から行画像を抽出して拡大表示エリア22に表示させてもよい。この変形例によると、オリジナルの書籍画像が大きい場合でも、拡大表示エリア22の行数の増加を抑制でき、拡大表示エリア22の行数の増加によりかえって閲覧の利便性が損なわれることを防止できる。
【0081】
第7の変形例を説明する。上記実施の形態では行間調整エリア30において書籍画像の行数が指定されることとしたが、変形例では書籍画像における1行の幅のサイズ(以下、「行幅」とも呼ぶ。)、言い換えれば行間のサイズが指定されてもよい。この場合、行設定受付部76は行間調整エリア30で指定された行幅をLINEWIDTHに設定してもよく、その行幅にしたがって書籍画像の行数(LINENUM)を算出してもよい。すなわち請求項に記載の「行数に関連する情報」は、行数そのものであってもよく、行数を算出するための行幅のサイズであってもよく、行間のサイズであってもよいことは当業者には理解されるところである。
【0082】
上述した実施の形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【0083】
請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。例えば、請求項に記載の抽出部は、行領域特定部78と行抽出部80の組み合わせにより実現されてもよい。
【符号の説明】
【0084】
10 ディスプレイ、 12 タッチパネル、 18 背面タッチパネル、 62 書籍画像保持部、 64 設定情報保持部、 74 文章範囲受付部、 76 行設定受付部、 78 行領域特定部、 80 行抽出部、 84 通常表示制御部、 86 拡大表示制御部、 100 携帯情報端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書籍のページの全体を示す画像データをディスプレイに収まるサイズで表示させる第1表示制御部と、
前記書籍のページの行数に関連する情報をユーザから受け付ける行情報受付部と、
前記画像データがユーザにより指定された行数を含むものと仮定して、前記画像データから前記書籍のページの1行にあたる部分を行データとして抽出する抽出部と、
抽出された行データを、前記第1表示制御部による表示サイズよりも大きいサイズで前記ディスプレイに表示させる第2表示制御部と、
を備えることを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
前記第2表示制御部は、前記行データの表示領域において前記行データが示す文章の画像を折り返して表示させることを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記第2表示制御部は、前記書籍のページの全体が表示された領域に重ねて前記行データを表示させ、
前記行情報受付部は、前記行データの表示結果を確認したユーザから、前記行数の変更を受け付け、
前記抽出部は、変更後の行数に基づいて、前記画像データから新たな行データを抽出し、
前記第2表示制御部は、それまでの行データに代えて前記新たな行データを表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯情報端末。
【請求項4】
前記第2表示制御部は、ディスプレイに表示された前記書籍のページ上に、ユーザにより指定された行数に応じた仮想的なラインを表示させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の携帯情報端末。
【請求項5】
前記書籍のページにおける次の行を閲覧する旨の指示がユーザから受け付けられた場合、
前記抽出部は、前記書籍のページの先頭行から前記次の行までの距離に基づいて、前記画像データから前記次の行にあたる部分を新たな行データとして抽出し、
前記第2表示制御部は、それまでの行データに代えて前記新たな行データを表示させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の携帯情報端末。
【請求項6】
あるページの最終行を拡大表示中に次の行を閲覧する旨の指示がユーザから受け付けられた場合、
前記抽出部は、それまでのページにおける行数を次のページにおける行数として引き継ぎ、前記次のページの全体を示す画像データから新たな行データを抽出することを特徴とする請求項5に記載の携帯情報端末。
【請求項7】
前記書籍のページにおいて文章が記述された範囲の指定をユーザから受け付ける範囲受付部をさらに備え、
前記抽出部は、前記画像データがユーザにより指定された範囲に前記行数を含むものと仮定して、前記画像データから前記行データを抽出することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の携帯情報端末。
【請求項8】
背面タッチパネルをさらに備え、
前記第2表示制御部は、前記書籍のページの全体が表示された領域に重ねて前記行データを表示させ、
前記タッチパネルに対するユーザのタップ操作が検出された場合、前記行データを非表示にして、前記書籍のページの全体が表示されるよう前記ディスプレイにおける表示が切り替わることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の携帯情報端末。
【請求項9】
携帯情報端末が実行する方法であって、
書籍のページの全体を示す画像データをディスプレイに収まるサイズで表示させる第1表示ステップと、
前記書籍のページの行数に関連する情報をユーザから受け付ける行情報受付ステップと、
前記画像データがユーザにより指定された行数を含むものと仮定して、前記画像データから前記書籍のページの1行にあたる部分を行データとして抽出する抽出ステップと、
抽出された行データを、前記第1表示ステップにおける表示サイズよりも大きいサイズで前記ディスプレイに表示させる第2表示ステップと、
を備えることを特徴とする書籍画像表示方法。
【請求項10】
携帯情報端末に、
書籍のページの全体を示す画像データをディスプレイに収まるサイズで表示させる第1表示制御機能と、
前記書籍のページの行数に関連する情報をユーザから受け付ける行情報受付機能と、
前記画像データがユーザにより指定された行数を含むものと仮定して、前記画像データから前記書籍のページの1行にあたる部分を行データとして抽出する抽出機能と、
抽出された行データを、前記第1表示制御機能による表示サイズよりも大きいサイズで前記ディスプレイに表示させる第2表示制御機能と、
を実現させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−97626(P2013−97626A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240620(P2011−240620)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】