説明

携帯情報端末

【課題】 リセット動作を制限する。
【解決手段】 携帯電話1は、アプリケーションプログラムを実行可能なCPU21と、電源をオンした状態とオフした状態とに切換える指示を受付けるための電源スイッチ14Bと、電源スイッチ14Bが所定時間閉ざされると、CPU21を再起動させるためのリセット信号を出力するリセット検出回路20とを備え、CPU21は、リセット可能な状態とリセット不可能な状態とのいずれかを示す状態信号SL1を出力し、リセット検出回路20は、状態信号SL1がリセット可能な状態を示すこことを条件に、ハイの信号S4(リセット信号)をリセット回路41に出力する論理積素子27を含む。リセット回路41は、リセット検出回路20からハイの信号S4(リセット信号)が入力されると、CPU21にローの信号SL5(リセット信号)を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯情報端末に関し、特にアプリケーションプログラムを実行する携帯情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話の機能が向上し、携帯電話をラジオ、オーディオ、ゲーム機器等として使用可能となっている。携帯電話をラジオ、オーディオ、ゲーム機器等として駆動させるために、携帯電話が備える中央演算装置で種々のアプリケーションプログラムが実行される。しかしながら、アプリケーションプログラムにバグがある場合、または、想定されない操作等により、中央演算装置が暴走してしまう場合がある。中央演算装置は、暴走すると自らをリセットすることはできないため、電源の操作をソフトウェアで監視して行う場合などには、電源の遮断すら行うことができない。また、中央演算装置でウォッチドッグタイマをクリアして暴走を防ぐ方法があるが、中央演算装置がウォッチドッグタイマをクリアしながら暴走する場合には、有効な方法でない。これらの場合、携帯電話に電源として装着された電池を取り外すなどして、中央演算装置に供給する電力を遮断するしか暴走を止める手立てがなかった。
【0003】
リセットスイッチを用いて、コンピュータをリセットするリセット装置が特公平5−3005号公報に記載されている。特公平5−3005号公報に記載のリセット装置は、リセットスイッチと、前記リセットスイッチからのリセット信号に応答してコンピュータにコンピュータシステムに割り込み要求信号を出力し、該コンピュータシステムにソフトウェアリセット動作を行わせる割り込み要求信号出力部と、前記リセット信号がある一定期間、継続するとトリガ信号を出力するトリガ信号出力部と、前記トリガ信号に応答して前記コンピュータシステムにハードウェアリセット信号を出力し、前記コンピュータシステムにハードウェアリセット動作を行わせるリセット信号出力部とを有する。
【0004】
しかしながら、中央演算装置が暴走することなくアプリケーションプログラムを実行している最中にリセットされると、中央演算装置でそれまで処理してきたデータが失われたり、設定データを書き込みすることなくアプリケーションプログラムが終了して、次に電力が供給されたときに、正常に起動しなくなって故障したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平5−3005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の一つは、リセット動作を制限することが可能な携帯情報端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、携帯情報端末は、アプリケーションプログラムを実行可能な制御部と、電源をオンした状態とオフした状態とに切換える指示を受付けるためのスイッチと、スイッチが所定時間閉ざされると、制御部を再起動させるためのリセット信号を出力するリセット手段とを備え、制御部は、リセット可能な状態とリセット不可能な状態とのいずれかを示す状態信号を出力する状態信号出力手段を含み、リセット手段は、状態信号がリセット可能な状態を示すことを条件に、リセッ
ト信号を制御部に出力する判定手段を含む。
この局面に従えば、制御部が、リセット可能な状態を示す状態信号を出力することを条件に、リセット信号が制御部に出力されるので、制御部は、リセット不可能な状態を示す状態信号を出力する間に、リセット信号が入力されることがない。このため、制御部がアプリケーションプログラムのバグ等が原因で暴走した場合に限って、制御部をリセットさせて再起動させることができる。その結果、リセット動作を制限することが可能な携帯情報端末を提供することができる。
【0008】
好ましくは、リセット手段は、コンデンサと、スイッチが閉ざされている間定電流をコンデンサに与え、コンデンサの蓄電容量が所定容量を超える間、リセット信号を出力する遅延回路とを含む。
【0009】
この局面によれば、電源をオンした状態とオフした状態とに切換える指示を受付けるためのスイッチが閉ざされている間、コンデンサが蓄電され、コンデンサの蓄電容量が所定容量を超えると、リセット信号が制御部に出力される。このため、制御部と独立した回路で、制御部をリセットすることができる。
【0010】
好ましくは、状態信号出力手段は、リセット信号が入力されると、リセット不可能な状態の状態信号を出力する。
【0011】
この局面によれば、リセット信号が入力されると、リセット不可能な状態の状態信号を出力するので、制御部は、再起動後にスイッチが閉ざされ続けてコンデンサの蓄電容量が所定容量を超えていたとしてもリセット信号が入力されない。このため、スイッチが継続して閉ざされた場合でも、制御部がリセットを繰り返すのを防止することができる。
【0012】
好ましくは、判定手段は、制御部にリセット信号を出力することに応じて、遅延回路から継続して入力されるリセット信号を無効にするリセット信号無効手段をさらに含む。
【0013】
この局面に従えば、リセット信号無効手段により、リセット信号が出力されることに応じて、遅延回路から継続して入力されるリセット信号が無効にされるので、制御部は、再起動後にスイッチが閉ざされ続けてコンデンサの蓄電容量が所定容量を超えていたとしてもリセット信号が入力されない。このため、スイッチが継続して閉ざされた場合でも、制御部がリセットを繰り返すのを防止することができる。
【0014】
好ましくは、スイッチが閉ざされるとオンとなり開かれるとオフとなる信号を出力するスイッチ回路をさらに備え、状態信号出力手段は、スイッチ回路の出力を所定時間間隔で検出して、スイッチ回路のオンの出力が検出されている間リセット不可能な状態を示す状態信号を出力するスイッチ切換手段をさらに含む。
【0015】
この局面に従えば、検出手段により、スイッチが閉ざされていることが検出されている間、スイッチ切換手段により、リセット不可能な状態を示す状態信号が出力されるので、スイッチが閉ざされたことを制御部が検出している間は、制御部はリセットされない。スイッチが押下されたにもかかわらず、制御部が、スイッチが閉ざされたことを検出できないときに、リセット可能な状態を示す状態信号が出力されていれば、制御部をリセットすることができる。また、コンデンサが所定容量を超えて蓄電されるまでの時間を、スイッチが閉ざされていることを検出する所定時間間隔よりも長くすればよく、スイッチを閉ざして制御部がリセットされるまでの時間を短くすることができる。
【0016】
好ましくは、制御部は、スイッチ回路の出力がオンからオフへの変化を検出することに応じて、リセット可能な状態を示す状態信号を出力する開放時切換手段をさらに含み、開
放時切換手段は、少なくともスイッチ切換手段よりも制御部により実行される優先順位が高い。
【0017】
この局面に従えば、制御部により実行される優先順位がスイッチ切換手段よりも高い開放時切換手段により、スイッチ回路の出力がオンからオフへの変化を検出することに応じて、リセット可能な状態を示す状態信号が出力されるので、スイッチが閉ざされたにもかかわらず、制御部が、スイッチが閉ざされたことを検出できないときに、制御部にリセット可能な状態を示す状態信号を出力させることができる。このため、確実に制御部をリセットすることができる。
【0018】
好ましくは、制御部は、起動直後に遅延回路がリセット信号を出力している場合には、電源をオフした状態に切換える。
【0019】
この局面に従えば、再起動後に電源がオフとされるので、制御部がリセットされたことをユーザに知らせることができる。また、制御部がリセットを繰り返すのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態における携帯電話の外観を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態における携帯電話の分解斜視図である。
【図3】第1の実施の形態における携帯電話1のリセット検出回路を含むブロック図である。
【図4】CPUが実行する状態信号切換処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】リセット検出回路のタイミングチャートである。
【図6】第2の実施の形態における携帯電話のリセット検出回路を含むブロック図である。
【図7】第2の実施の形態における携帯電話のCPUで実行される再起動終了処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】第3の実施の形態における携帯電話のCPUで実行されるスイッチ切換処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】第3の実施の形態における携帯電話のCPUで実行される開放時割り込み処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態における携帯電話の外観を示す斜視図である。図1を参照して、携帯電話1は、操作側部3と、表示側部2とを含む。操作側部3の内側面には、電源キー14A、テンキーおよび通話キー等を含む操作キー14と、マイク13とが配置され、表示側部2の内側面には、液晶表示装置(LCD)15と、第1スピーカ11とが配置される。なお、ここでは携帯電話1がLCD15を備える例を示すが、LCD15に代えて、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイを用いてもよい。操作側部3と表示側部2とは、ヒンジ機構で回転可能に連結され、操作側部3と表示側部2とは開閉自在である。
【0022】
図2は、第1の実施の形態における携帯電話の分解斜視図である。図では、閉状態にある携帯電話1を操作側部3の外側面を斜め上方向から見た斜視図である。図2を参照して、携帯電話1は、操作側部3の外側面には、バッテリ4を収納するための収納部3Aと、
スイッチ開放片7が装着されるスイッチ収納部3Bとが設けられる。携帯電話1は、防犯ベルを備えており、スイッチ開放片7がスイッチ収納部3Bに装着された状態で、防犯ベル動作回路が開放される。スイッチ開放片7がスイッチ収納部3Bから引き抜かれると、防犯ベル動作回路が閉じられて、防犯ベルが鳴る。バッテリ4は、収納部3Aに収納された状態で、ビス5でねじ止めして固定され、容易に取り外しできないようになっている。防犯ベルが鳴っている最中に、バッテリ4を取り外して防犯ベルを容易に停止させるのを防止するためである。収納部3Aにバッテリ4を固定した状態で、収納部3Aが蓋6で覆われる。蓋6は、操作側部3に嵌合して装着される。
【0023】
図3は、第1の実施の形態における携帯電話1のリセット検出回路を含むブロック図である。図3を参照して、携帯電話1は、携帯電話1の全体を制御するための中央演算装置(CPU)21と、システム電源IC(Integrated Circuit)29と、リセット検出回路20を含む。リセット検出回路20は、電源スイッチ14Bと、電源スイッチ14Bに接続されたスイッチ回路23と、電源スイッチ14Bに接続された遅延回路25と、遅延回路25に接続されたコンデンサC1と、遅延回路25の出力が入力される論理積素子27とを含む。
【0024】
システム電源IC29は、リセット回路41と、電源ON/OFF回路42とを含む。電源ON/OFF回路42は、携帯電話1をONまたはOFFの状態に切換え、ONの状態では携帯電話1の各回路に電圧Vddを印加し、OFFの状態では携帯電話1の各回路に電圧Vddを印加しない。
【0025】
電源スイッチ14Bは、電源キー14Aが押下されている間閉となり、電源キー14Aが押下されていない間開となる。スイッチ回路23は、システム電源IC29により携帯電話1がONまたはOFFのいずれの状態にあるときでも電圧Vbが印加されており、電源スイッチ14Bの開閉を検出する。CPU21は、システム電源IC29により携帯電話1がONの状態で、電源スイッチ14Bが開のときに電圧Vddが印加されるが、電源スイッチ14Bが閉のときにスイッチ回路23のトランジスタT1が電流を流すので電圧Vddが印加されない。すなわち、スイッチ回路23は、電源スイッチ14Bが閉ざされているときにローとなり開かれているときにハイとなる信号SL2をCPU21に出力する。
【0026】
CPU21は、アプリケーションプログラムを実行する。CPU21が実行するアプリケーションプログラムは、C言語やJAVA(登録商標)などのプログラム言語で記述されるが、アプリケーションプログラムが記述されるプログラム言語は、これらに限定されることなく、他のいかなるプログラム言語で記述されてもよい。また、複数のアプリケーションプログラムが携帯電話1に搭載されるが、複数のアプリケーションプログラムは、単一のプログラム言語で記述されたものであってもよいし、異なるプログラム言語で記述されたものであってもよい。すなわち、複数のプログラム言語で記述されたアプリケーションプログラムが混在してもよい。
【0027】
また、CPU21は、電源キー14Aが継続して押下される時間を計測し、一定時間、たとえば、3秒押下されると、電源をOFFするために、電源OFF信号を電源ON/OFF回路42に出力する。
【0028】
遅延回路25は、コンデンサC1に接続される。携帯電話1がONの状態で電圧VddがトランジスタT3のエミッタに印加される。電源スイッチ14Bが開いている間はトランジスタT3のベースに電圧Vbが印加されているのでトランジスタT3は電流を流さないが、電源スイッチ14Bが閉じるとベース電位が低下するのでトランジスタT3は定電流を流し、コンデンサC1を充電する。遅延回路25は、携帯電話1がONの状態で電源
スイッチ14Bが閉の間、コンデンサC1は電荷を蓄積する。また、遅延回路25は、コンデンサC1と接続されたトランジスタT2を有し、電源スイッチ14Bが開放されると、トランジスタT2が電流を流し、コンデンサC1は蓄積した電荷を放電する。さらに、遅延回路25は、コンデンサC1の電圧と、しきい値電圧refとが入力される比較器31を含む。比較器31は、コンデンサC1の電圧がしきい値電圧ref以上でハイとなり、コンデンサC1の電圧がしきい値電圧ref未満でローとなる信号SL3を論理積素子27に出力する。
【0029】
遅延回路25は、コンデンサC1が充電されてからしきい値電圧refに達するまでの時間が、上述したCPU21が電源をOFFするために計測する時間(電源キー14Aが継続して押下される時間)よりも長くなるように構成される。CPU21が暴走していない場合に、CPU21をリセットすることなく、携帯電話1を正常に電源OFFにするためである。
【0030】
論理積素子27は、比較器31から信号SL3が入力され、CPU21から状態信号SL1が入力される。状態信号SL1は、CPU21により出力され、CPU21がリセットを許可するときにハイとなり、リセットを許可しないときにローとなる。論理積素子27は、コンデンサC1の電圧がしきい値電圧ref以上で、かつ、CPU21がリセットを許可することを示す状態信号SL1を出力するときにハイとなり、そうでないときにローとなる信号SL4をリセット回路41に出力する。ハイの信号SL4は、CPU21をリセットするためのリセット信号である。
【0031】
リセット回路41は、論理積素子27から入力される信号SL4がローのとき、ハイとなる信号SL5をCPU21に出力するが、論理積素子27から入力される信号SL4がハイになると、リセット回路41のリセットを開始してリセットしている期間ローとなる信号SL5をCPU21に出力する。リセット回路41が出力するローの信号SL5はリセット信号である。リセット回路41は、リセットが修了するとリセットを開放してハイとなる信号SL5をCPU21に出力する。CPU21は、信号SL5がローからハイに変化すると、リセットされて再起動を開始する。
【0032】
図4は、CPUが実行する状態信号切換処理の流れを示すフローチャートである。この状態信号切換処理は、CPU21に電源が投入されて起動した場合、または起動している状態からリセット信号が入力されて再起動した場合に実行され、CPU21が駆動中に継続して実行される処理である。図4を参照して、CPU21は、起動すると状態信号SL1をローにする(ステップS01)。ローの状態信号SL1は、リセットを許可しないことを示す信号である。ユーザが電源キー14Aを起動後も押し続けた場合に、CPU21がリセット後に再起動したときに再びリセットされないようにするためである。そして、電源スイッチ14Bがオフとなったか否かを判断し(ステップS02)、電源スイッチがオフとなったならば処理をステップS03に進め、そうでなければ処理をステップS01に戻す。CPU21は、スイッチ回路23が出力する信号SL2がハイとなることを検出することにより、電源スイッチ14Bがオフとなったことを判断する。CPU21は、起動後に電源スイッチ14Bが最初にオフとなるまで状態信号SL1をローにする。
【0033】
CPU21は、ステップS03では、状態信号SL1をハイにする。ハイの状態信号SL1は、リセットを許可することを示す信号である。そして、CPU21は、リセット不許可の変更指示があったか否かを判断し(ステップS04)、変更指示があれば処理をステップS07に進め、変更指示がなければ処理をステップS05に進める。リセット不許可の変更指示は、例えば、防犯ベルを作動させている場合、更新プログラムの書換え処理を実行する場合など、CPU21がリセットされることが好ましくない状態を、CPU21が検出すると、CPU21により取得される。例えば、CPU21が、防犯ベルを作動
させるアプリケーションプログラムを実行すると、リセット不許可の変更指示が取得される。
【0034】
CPU21は、ステップS05では、リセット回路41からリセット信号が入力されたか否かを判断し、リセット信号が入力されなければ処理をステップS04に戻す。CPU21は、リセット信号が入力されるとリセットされ、リセットに伴い状態信号SL1を自動的にローにする。ローの状態信号SL1は、リセットを不許可にすることを示す信号である。
【0035】
一方、CPU21は、ステップS07では、状態信号をローにする。そして、CPU21は、リセット許可の変更指示があったか否かを判断し(ステップS08)、変更指示があれば処理をステップS09に進め、なければ変更指示があるまで待機状態となる。リセット許可の変更指示は、上述した、CPU21がリセットされることが好ましくない状態でなくなったことを、CPU21が検出すると、CPU21により取得される。例えば、CPU21が、防犯ベルを作動させるアプリケーションプログラムの実行を終了すると、リセット許可の変更指示が取得される。CPU21は、ステップS09では、状態信号SL1をハイにして、処理をステップS04に戻す。
【0036】
図5は、リセット検出回路のタイミングチャートである。図5を参照して、CPU21が上述した状態信号切換処理を実行して状態信号SL1をハイにした状態で、電源キー14Aが押下されて電源スイッチ14Bが閉となると、遅延回路25への入力がハイからローに切換わる。これにより、遅延回路25のトランジスタT3に定電流が流れてコンデンサC1の充電が開始される。
【0037】
比較器31は、コンデンサC1の電圧がしきい値電圧refより低い間は、信号SL3をローにするが、コンデンサC1が充電されて蓄電容量が増加してコンデンサC1の電圧がしきい値電圧refになると、信号SL3をハイに変化させる。論理積素子27は、ハイの状態信号SL1が入力され、ローの信号SL3が入力されている間、リセット回路41にローの信号SL4を出力するが、比較器31が出力する信号SL3がローからハイに変化すると、信号SL4をハイに変化させる。リセット回路41は、論理積素子27からローの信号SL4が入力されている間、ハイの信号SL5をCPU21に出力するが、論理積素子27が出力する信号SL4がローからハイに変化すると、リセット回路41が信号SL5をローにする。これにより、CPU21にリセットを指示するローの信号SL5が入力され、CPU21はリセットされる。CPU21のリセットに伴い状態信号SL1が自動的にローとなる。リセット回路41は、リセットしている間ローの信号SL5を出力するが、リセットが終了するとリセットを開放して信号SL5をハイに変化させる。これにより、CPU21がリセット後の起動を開始する。
【0038】
CPU21は、起動後に電源キー14Aが最初に開放されるまで、状態信号SL1をローにするため、論理積素子27の出力する信号SL4がローとなり、論理積素子が出力する信号SL4がハイにならない。このため、電源キー14Aを押下し続けて、リセットが繰り返されるのが防止される。また、CPU21がリセットされるとLCD15の表示などが初期画面に切換わるので、ユーザにリセットが受付けられたことを知らせることができ、電源キー14Aを開放する時期を知らせることができる。
【0039】
以上説明したように第1の実施の形態においては、リセット検出回路20は、CPU21がリセット可能な状態を示すハイの状態信号SL1を出力することを条件に、ハイの信号SL4(リセット信号)を出力する。これに伴い、リセット回路41がローの信号SL5(リセット信号)をCPU21に出力してCPU21がリセットされる。リセット検出回路20は、CPU21がリセット不可能な状態を示すローの状態信号SL1を出力する
間は、ハイの信号SL4(リセット信号)を出力することがないので、CPU21はリセットされない。このため、CPU21がアプリケーションプログラムのバグ等が原因で暴走した場合に限って、CPU21をリセットさせて再起動させることができる。
【0040】
また、リセット検出回路20は、電源をオンした状態とオフした状態とに切換える指示を受付けるための電源スイッチ14Bが閉ざされている間定電流をコンデンサC1に与え、コンデンサC1の蓄電容量が所定容量を超える間、ハイの信号SL3を出力する比較器31とを含む。このため、CPU21と独立した回路で、CPU21をリセットすることができる。
【0041】
また、CPU21は、ローの信号SL5(リセット信号)が入力されることに応じて、状態信号SL1をリセット可能な状態を示すハイからリセット不可能な状態を示すローに切換えるので、CPU21は、電源スイッチ14BがCPU21の再起動後まで閉ざされ続けてコンデンサC1の蓄電容量が所定容量を超えていたとしても、ローの信号SL5(リセット信号)が入力されない。このため、電源スイッチ14Bが継続して閉ざされた場合でも、CPU21がリセットを繰り返すのを防止することができる。
【0042】
<第2の実施の形態>
次に第2の実施の形態における携帯電話1について説明する。第2の実施の携帯における携帯電話1は、CPU21が出力する状態信号SL1が不安定となる場合に有効となるように、第1の実施の形態における携帯電話1のリセット検出回路20を変更したものである。また、第2の実施の形態における携帯電話1は、CPU21の再起動後に電源をOFFするようにしたものである。その他の構成は、第1の実施の形態における携帯電話1と同じなのでここでは説明を繰り返さない。
【0043】
図6は、第2の実施の形態における携帯電話のリセット検出回路を含むブロック図である。図6を参照して、図3に示した第1の実施の形態における携帯電話1と異なる点は、リセット検出回路20の論理積素子27を、フリップフロップ回路27Aに変更した点、および比較器31の出力する信号SL3をフリップフロップ回路27Aに加えてCPU21にも出力するようにした点である。その他の構成は同じなのでここでは説明を繰り返さない。フリップフロップ回路27Aは、入力DにCPU21から状態信号SL1が入力され、入力CKに比較器31から信号SL3が入力され、入力CLRにリセット回路41から信号SL5が入力される。フリップフロップ回路27Aは、信号SL3がハイで、かつ、状態信号SL1がハイのとき、出力Qからハイの信号SL4をリセット回路41に出力し、それ以外のとき、出力Qからローの信号SL4をリセット回路41に出力する。状態信号SL1が不安定な場合であっても、一度でも信号SL3がハイで、かつ、状態信号SL1がハイとなれば、フリップフロップ回路27Aは、出力Qからハイの信号SL4をリセット回路41に出力する。これに応じて、リセット回路41が、信号SL5をハイからローに変化させる。フリップフロップ回路27Aは、入力CLRに入力される信号SL5がハイからローに変化すると、入力CKが次にハイになるまでの間出力Qをローに固定する。これにより、電源キー14Aが押下され続けて信号SL5が出力された後は、電源キー14Aの押下が継続している間に信号SL4がハイになることはない。このため、リセット回路41がリセット開放後に、再度リセットされるのを防止することができる。
【0044】
第2の実施の形態におけるCPU21では、図4に示した状態信号切換処理が実行される。ただし、第2の実施の形態においては、フリップフロップ回路27Aが、入力CLRに入力される信号SL5がハイからローに変化すると、入力CKが次にハイになるまでの間出力Qをローに固定するので、図4のステップS02においては、CPU21は、電源スイッチ14Bがオフとなるのを検出することなく、起動後の所定時間の経過を検出するようにしてもよい。CPU21が、起動後の所定時間経過後に状態信号SL1をローから
ハイにするようにすれば、起動後の所定時間にコンデンサC1の電圧がしきい値電圧refになったとしてもCPU21がリセットされることはない。
【0045】
また、CPU21は、比較器31の出力する信号SL3が入力される。CPU21は、ローの信号SL5(リセット信号)が入力されて再起動した直後に1回のみ信号SL3を検出し、信号SL3がハイならば電源をOFFする信号を電源ON/OFF回路42に出力する。これにより、携帯電話1の電源がOFFの状態にされる。このため、電源キー14Aを押下し続けてCPU21がリセットされて再起動した後に電源がOFFの状態にされるので、ユーザに電源キー14Aを開放する時期を知らせることができる。
【0046】
図7は、第2の実施の形態における携帯電話のCPUで実行される再起動終了処理の流れを示すフローチャートである。この再起動終了処理は、CPU21が起動した直後に1度だけ実行される処理である。図7を参照して、CPU21は、比較器31の出力する信号SL3がハイか否かを検出し(ステップS11)、ハイならば処理をステップS12に進め、ローならば処理を終了する。ステップS12では、CPU21は、電源OFF信号を電源OFF回路42に出力し、処理を終了する。
【0047】
なお、第1の実施の携帯における携帯電話1で、比較器31の出力する信号SL3をCPU21に入力するようにし、CPU21に図7に示した再起動終了処理を実行させるようにしてもよい。
【0048】
第2の実施の形態における携帯電話1は、フリップフロップ回路27Aを備え、ハイの信号SL4を出力することに応じて、リセット回路41からローの信号SL5が入力されると、比較器31から継続して入力されるハイの信号SL3(リセット信号)を無効にするので、CPU21は、再起動後に電源スイッチ14Bが閉ざされ続けてコンデンサC1の蓄電容量が所定容量を超えていたとしてもローの信号SL5(リセット信号)が入力されない。このため、電源スイッチ14Bが継続して閉ざされた場合でも、CPU21がリセットを繰り返すのを防止することができる。
【0049】
また、CPU21は、再起動後に比較器31がハイの信号SL3を出力している場合には、電源をオフした状態に切換えるので、CPU21がリセットされたことをユーザに知らせることができる。また、CPU21がリセットを繰り返すのを防止することができる。
【0050】
<第3の実施の形態>
次に第3の実施の形態における携帯電話について説明する。第3の実施の携帯における携帯電話1は、第1または第2の実施の形態における携帯電話1のCPU21にスイッチ切換処理および開放時割り込み処理を実行させるようにしたものである。その他の構成は、第1または第2の実施の形態における携帯電話1と同じなので、ここでは説明を繰り返さない。
【0051】
図8は、第3の実施の形態における携帯電話のCPUで実行されるスイッチ切換処理の流れを示すフローチャートである。このスイッチ切換処理は、CPU21が起動した後に、継続して実行される処理である。図8を参照して、CPU21は、スイッチ回路23の出力する信号SL2を検出する(ステップS21)。スイッチ回路23の出力する信号SL2は、電源キー14Aが押下されて電源スイッチ14Bが閉のときローとなり、開のときハイとなる信号である。CPU21は、電源キー14Aが押下されたか否かを判断し(ステップS22)、押下されたならば処理をステップS23に進め、押下されていなければ処理をステップS24に進める。ステップS21で検出した信号SL2がローならば電源キー14Aが押下されたと判断し、ハイならば電源キー14Aが押下されていないと判
断する。CPU21は、ステップS23では、状態信号をローにして、処理をステップS24に進める。CPU21は、ステップS21でスイッチ回路23の出力を検出してから所定時間待機状態となり(ステップS24でNO)、所定時間経過すると処理をステップS21に進める。すなわち、CPU21は、所定時間間隔でスイッチ回路23の出力する信号SL2を検出する。
【0052】
図9は、第3の実施の形態における携帯電話のCPUで実行される開放時割り込み処理の流れを示すフローチャートである。この開放時割り込み処理は、CPU21にスイッチ回路23から入力される信号SL2がローからハイに変化した時点でCPU21により実行される割り込み処理である。図9を参照して、CPU21は、状態信号をハイにして(ステップS31)、処理を終了する。開放時割り込み処理は、スイッチ切換処理よりもCPU21で実行される優先順位が高い。このため、スイッチ切換処理が、ステップS23で状態信号SL1をローにした後に、CPU21が暴走した場合であっても、開放時割り込み処理が実行されるので、状態信号SL1がハイにされる。開放時割り込み処理の優先順位は、ウォッチドッグタイマをクリアする処理と、同じ順位またはそれよりも高い順位にするのが好ましい。
【0053】
第3の実施の形態における携帯電話1によれば、電源キー14Aが押下されている間は、状態信号SL1がローとなり、電源キー14Aの押下が開放されると状態信号SL1がハイとなる。このため、CPU21でスイッチ切換処理が実行されている間は、リセット検出回路20がハイとなる信号SL4が出力されることはない。CPU21で、アプリケーションプログラムが暴走して、スイッチ切換処理を実行できなくなった状態に限って、電源キー14Aが継続して押下されると、論理積素子27またはフリップフロップ回路27Aがハイの信号SL4(リセット信号)を出力する。
【0054】
また、第1または第2の実施の形態における携帯電話1では、CPU21で電源キー14Aが継続して一定時間押下されることを検出して電源をOFFする場合には、リセットされる前に電源をOFFにするために、リセット検出回路20でコンデンサC1の電圧がしきい値電圧refになるまでの時間を、CPU21が計時する時間よりも長くする必要がある。これに対して、第3の実施の形態における携帯電話1では、リセット検出回路20でコンデンサC1の電圧がしきい値電圧refになるまでの時間を、スイッチ切換処理を実行するCPU21がスイッチ回路23の出力する信号SL2を検出する間隔よりも長くすれば十分である。このため、第3の実施の形態における携帯電話1は、リセットされるまでの時間を短くすることができる。また、リセット検出回路20でコンデンサC1の電圧がしきい値電圧refになるまでの時間は、回路部品の性能のばらつきや温度によるコンデンサC1の容量の変動により変化する。さらにこの変化は、リセット検出回路20でコンデンサC1の電圧がしきい値電圧refになるまでの時間が長いほど、変化の幅が大きくなる。このため、第3の実施の形態における携帯電話1は、リセットされるまでの時間のバラツキを小さくすることができる。
【0055】
第3の実施の形態における携帯電話1は、CPU21が、スイッチ回路23の出力を所定時間間隔で検出するので、電源スイッチ14Bが閉ざされたことをCPU21が検出している間は、CPU21はリセットされない。電源スイッチ14Bが閉ざされたにもかかわらず、CPU21が、電源スイッチ14Bが閉ざされたことを検出できないときに、リセット可能な状態を示すハイの状態信号SL1が出力されていれば、CPU21をリセットすることができる。また、コンデンサC1が所定容量を超えて蓄電されるまでの時間を、電源スイッチ14Bが閉ざされていることを検出する時間間隔よりも長くすればよく、電源スイッチ14Bが閉ざされてCPU21がリセットされるまでの時間を短くすることができる。
【0056】
また、CPU21は、スイッチ回路23の出力がロー(オン)からハイ(オフ)になることに応じて、リセット可能な状態を示すハイの状態信号SL1を出力する(S31)ので、電源スイッチ14Bが閉ざされたにもかかわらず、CPU21が、電源スイッチ14Bが閉ざされたことを検出できないときに、CPU21を確実にリセットすることができる。
【0057】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0058】
<付記>
(1) 前記遅延回路は、前記スイッチが開かれている間は、前記コンデンサを放電させる、請求項2に記載の携帯情報端末。
(2) 前記制御部は、前記スイッチが閉ざされている時間を計測する計測手段と、
前記スイッチが所定時間閉ざされることに応じて、電源をオフにする状態にする電源オフ手段とをさらに含み、
前記遅延回路は、前記コンデンサに蓄電を開始させてから蓄電容量が前記所定容量となるまでの時間が、前記所定時間よりも長く構成される、請求項2に記載の携帯情報端末。(3) 前記遅延回路は、前記コンデンサに蓄電を開始させてから蓄電容量が前記所定容量となるまでの時間が、前記検出手段が、前記スイッチが押下されていることを検出する間隔よりも長く構成される、請求項5に記載の形態情報端末。
【符号の説明】
【0059】
1 携帯電話、2 表示側部、3 操作側部、3A 収納部、3B スイッチ収納部、4 バッテリ、5 ビス、6 蓋、7 スイッチ開放片、11 スピーカ、13 マイク、14 操作キー、14A 電源キー、14B 電源スイッチ、20 リセット検出回路、23 スイッチ回路、25 遅延回路、27 論理積素子、27A フリップフロップ回路、31 比較器、41 リセット回路、42 電源ON/OFF回路、29 システム電源IC、C1 コンデンサ、T1〜T3 トランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、
スイッチと、
前記スイッチが所定時間閉ざされると、前記制御部を起動させるためのリセット信号を出力するリセット手段とを備え、
前記制御部は、所定の機能が実行されている状態に基づいて、リセット可能な状態とリセット不可能な状態とのいずれかを示す状態信号を出力する状態信号出力手段を含み、
前記リセット手段は、前記状態信号がリセット可能な状態を示すことを条件に、前記リセット信号を前記制御部に出力する判定手段を含み、
前記スイッチは、
電源をオンした状態とオフした状態とに切換える指示を受け付けるスイッチである携帯通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−65334(P2013−65334A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−253627(P2012−253627)
【出願日】平成24年11月19日(2012.11.19)
【分割の表示】特願2011−48469(P2011−48469)の分割
【原出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】