説明

携帯情報装置およびそのモード切替方法

【課題】携帯情報装置の内蔵モニタに、内部出力と外部入力とを自動的に切り替えて表示することが可能な携帯情報装置およびそのモード切替方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ビデオ信号を出力するグラフィックスアダプタ12と、グラフィックスアダプタ12から出力されたビデオ信号を表示する内蔵LCDパネル11と、外部とビデオ信号を入出力するためのビデオポート19とを有するノート型コンピュータ装置10において、モニタ検出回路18は、ビデオポート19を介して、モニタ仕様信号であるEDID情報の入力の有無を検出し、その検出結果に基づいて、内蔵LCDパネル11をグラフィックスアダプタ12で使用するPCモードと、内蔵LCDパネル11を外部PCが使用するモニタモードと、を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯情報装置およびそのモード切替方法に関し、詳細には、ビデオ信号を出力するビデオ信号出力手段と、前記ビデオ信号出力手段から出力されたビデオ信号を表示する内蔵モニタと、外部とビデオ信号を入出力するためのビデオポートとを有する携帯情報装置およびその切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パーソナルコンピュータ装置は、机上に固定して使用するディスクトップ型パソコンと、持ち運び可能なように小型軽量に作られて携帯可能なノート型パソコンとに大別することができる。ディスクトップ型パソコンは、外付けモニタを使用するのに対して、ノート型パソコンは、内蔵モニタを使用する。
【0003】
従来のノート型パソコンにおいては、その内蔵モニタは、ディスクトップ型パソコンのモニタのように内蔵モニタと本体は分離することはできず、内蔵モニタは、ノート型パソコン専用であるため、他のパソコンからノート型パソコンの内蔵モニタに情報を表示することができず、使用効率が悪いという問題があった。
【0004】
ノート型パソコンの内蔵モニタの操作性を向上させるために、例えば、特許文献1では、ビデオカードから出力されたビデオ信号と、外部ビデオ信号入力端子から入力する外部ビデオ信号とを、ユーザ操作に応答する切替スイッチによって選択的に切り替えて、液晶モニタに表示する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2では、ディスプレイと、本体とを有するノート型パーソナルコンピュータにおいて、ディスプレイ切替手段が、ユーザ操作に応答して、本体からディスプレイへ出力するディスプレイ信号を遮断し、外部のパーソナルコンピュータ本体からのディスプレイ信号を本体へ入力してディスプレイに表示するように切り替え、ディスプレイを外部のパーソナルコンピュータ本体で使用可能とする技術が開示されている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1,2では、ノート型パソコンの内蔵モニタにノート型パソコン本体のビデオ信号と、外部入力されるビデオ信号と切り替え表示することが可能であるが、ユーザが切替スイッチを操作して、モニタに表示するビデオ信号を選択する構成であるため、ユーザにとって、その切替操作が煩わしいという問題がある。
【0007】
ところで、パソコン用のモニタは、DDC(Display Data Channel)機能を備えたものが多い。かかるDDC機能は、コンピュータシステム上で自動環境設定機能、いわゆるプラグアンドプレイ方式を実現するためのDDC規格において規定される機能である。DDC規格によると、コンピュータとディスプレイモニタ間においてデータを交換する際の信号ラインとその手順が規定されている。つまり、DDC規格を支援するディスプレイモニタをコンピュータに接続した場合、該コンピュータはディスプレイモニタとのDDC通信により、ディスプレイモニタからプラグアンドプレイに必要なディスプレイモニタに関する情報(以下、EDID(Extended Display IDentification DATA)という)を取り出すことが可能となる。このEDID情報は、ディスプレイモニタ内部の例えばEEPROM(Electrically Erasable and ProgrammableRead Only Memory)等の不揮発性メモリに記憶されており、製造者/製品ID、ディスプレイモニタの仕様、支援タイミング等の情報が含まれる。
【0008】
図8−1および図8−2は、DDC仕様のVGAコネクタの一例を説明するための図であり、図8−1は、DDC仕様のVGAコネクタの構成の一例を示す図であり、図8−2は、図8−1の各ピンの名称および機能を説明するための図である。
【0009】
図8−1および図8−2において、DDC通信に使用される信号ラインは2本であり、それぞれ、双方向のシリアルデータラインであるSDAラインと、クロックとして使用されるSCLラインである。コンピュータが、VGAコネクタの12番ピン(SDA)と15番ピン(SCL)を介してモニタにEDID情報を転送することを要求すると、モニタは、12番ピン(SDA)を介してEDID情報のコンピュータへの転送を開始する。そして、コンピュータが、EDID情報が十分転送されたと判断すると、EDIE情報転送の停止をモニタに要求し、それを受けてモニタはEDID情報の転送を停止する。
【0010】
【特許文献1】特開2000−250504号公報
【特許文献2】特開2002−244776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、携帯情報装置の内蔵モニタに、内部出力と外部入力とを自動的に切り替えて表示することが可能な携帯情報装置およびそのモード切替方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ビデオ信号を出力するビデオ信号出力手段と、前記ビデオ信号出力手段から出力されたビデオ信号を表示する内蔵モニタと、外部とビデオ信号を入出力するためのビデオポートとを有する携帯情報装置において、前記ビデオポートからのモニタ仕様信号の入力の有無を検出するモニタ仕様信号検出手段と、前記モニタ仕様信号検出手段の検出結果に基づいて、前記内蔵モニタを前記ビデオ信号出力手段で使用するPCモードと、前記内蔵モニタを外部コンピュータが使用するモニタモードと、を切り替えるモード切替手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記モード切替手段は、前記モニタ仕様信号検出手段が前記ビデオポートからモニタ仕様信号の入力を検出しなかった場合に、前記モニタモードに切り替えることが望ましい。
【0014】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記ビデオポートにビデオケーブルが接続されているか否かを検出するケーブル接続検出手段と、前記モニタ仕様信号検出手段は、前記ケーブル接続検出手段で前記ビデオケーブルの接続を検出した場合に、前記ビデオポートからモニタ仕様信号の入力の有無を検出することが望ましい。
【0015】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記モード切替手段は、ソフトウェアによる切替えまたはメカニカルスイッチのユーザ操作に応答して、前記PCモードと前記モニタモードとを切替えることが望ましい。
【0016】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記モニタ仕様信号は、EDID(Extended Display IDentification Data)情報であることが望ましい。
【0017】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ビデオ信号を出力するビデオ信号出力手段と、前記ビデオ信号出力手段から出力されたビデオ信号を表示する内蔵モニタと、外部とビデオ信号を入出力するためのビデオポートとを有する携帯情報装置のモード切替方法において、前記ビデオポートからのモニタ仕様信号の入力の有無を検出するモニタ仕様信号検出工程と、前記モニタ仕様信号の検出結果に基づいて、前記内蔵モニタを前記ビデオ信号出力手段で使用するPCモードと、前記内蔵モニタを外部コンピュータが使用するモニタモードと、を切り替えるモード切替工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、ビデオ信号を出力するビデオ信号出力手段と、前記ビデオ信号出力手段から出力されたビデオ信号を表示する内蔵モニタと、外部とビデオ信号を入出力するためのビデオポートとを有する携帯情報装置において、前記ビデオポートを介してモニタ仕様信号の入力の有無を検出するモニタ仕様信号検出手段と、前記モニタ仕様信号検出手段の検出結果に基づいて、前記内蔵モニタを前記ビデオ信号出力手段で使用するPCモードと、前記内蔵モニタを外部コンピュータが使用するモニタモードとを切り替えるモード切替手段と、を備えているので、ノート型パソコン装置の内蔵モニタに、内部出力と外部入力とを自動的に切り替えて表示することが可能な携帯情報装置を提供することが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるものまたは実質的に同一のものが含まれる。以下の実施例では、本発明に係る携帯情報装置として、ノート型コンピュータ装置を例示して説明する。なお、本発明に係る携帯情報装置は、ノート型コンピュータ装置に限られるものではなく、PDA、デジタルカメラ、携帯電話等の各種の携帯型の情報装置が含まれる。
【実施例】
【0020】
図1−1および図1−2を参照して、本発明に係るノート型コンピュータ装置(以下、「ノート型PC」と称する)を適用したパソコンシステムの構成について説明する。本発明に係るノート型PC10は、DDC機能を有する内蔵LCDパネル11を備えており、PCモード(通常モード)とモニタモードを有している。PCモードは、ノート型PC10を、通常のPCとして使用するモードであり、内蔵LCDパネル11を使用し、また、DDC機能を有する外部モニタが接続された場合には、外部モニタの使用が可能となる。また、モニタモードは、ノート型PC10の内蔵LCDパネル11が外部PCから使用可能となるモードである。
【0021】
図1−1に示すように、本発明に係るノート型PC10とDDC機能を有する外部モニタ30をビデオケーブル50で接続した場合には、ノート型PC10はPCモードとなり、ノート型PC10は、外部モニタ30が使用可能となる。また、図1−2に示すように、本発明に係るノート型PC10と外部PC20をビデオケーブル50で接続した場合には、ノート型PC10はモニタモードとなり、外部PC20は、ノート型PC10の内蔵LCDパネル11が使用可能となる。
【0022】
図2は、本発明に係るノート型PC10の要部構成を示すブロック図である。同図では本発明に関係する部分のみを示している。図3は、ノート型パソコン10のPCモードとモニタモードとの切替え動作を説明するためのフローチャートである。図4は、本発明に係るノート型PC10のPCモードを説明するための図、図5は、本発明に係るノート型PC10のモニタモードを説明するための図である。
【0023】
ノート型パソコン10は、図2に示すように、内蔵LCDパネル(内蔵モニタ)11と、グラフィックスアダプタ(ビデオ信号出力手段)12と、LCD入力切替えスイッチ13と、第1のEDID切替えスイッチ14と、第2のEDID切替スイッチ15と、Video I/F変換回路16と、ポート入出力切替えスイッチ17と、モニタ検出回路(モニタ仕様信号検出手段、ビデオケーブル接続検出手段、モード切替手段)18と、ビデオポート19とを備えている。
【0024】
内蔵LCDパネル11は、グラフィックスアダプタ12または外部PCから入力されるビデオ信号に基づいて情報を表示する。内蔵LCDパネル11は、DDC機能を備えており、モニタ仕様情報であるEDID情報を格納するEEPROM11aを有している。
【0025】
グラフィックスアダプタ12は、内部で生成されたテキストファイルや画像ファイルのデータをビデオ信号に変換して、LCD入力切替スイッチ13を介して、内蔵LCDパネル13にビデオ信号を表示させる。また、グラフィックスアダプタ12は、外部モニタがビデオポート19に接続されている場合には、ポート入出力切替スイッチ17、モニタ検出回路18、およびビデオポート19を介して、外部モニタにビデオ信号を出力して表示させる。
【0026】
LCD入力切替スイッチ13は、モニタ検出回路18から入力される切替信号に基づいて、グラフィックスアダプタ12側とVideo I/F変換回路16側との接続を択一的に切り替える。
【0027】
Video I/F変換回路16は、ポート入出力切替えスイッチ17を介してビデオポート19から入力されるビデオ信号を、内蔵LCDパネル11のフォーマットに適合するように変換して、LCD入力切替えスイッチ13を介して内蔵LCDパネル11に出力する。
【0028】
第1のEDID切替スイッチ14は、モニタ検出回路18から入力される切替信号に基づいて、グラフィックスアダプタ12側と第2のEDID切替スイッチ15側との接続を択一的に切り替える。
【0029】
第2のEDID切替スイッチ15は、モニタ検出回路18から入力される切替信号に基づいて、グラフィックスアダプタ12側と第1のEDID切替スイッチ15側との接続を切り替える。
【0030】
ポート入出力切替スイッチ17は、モニタ検出回路18から入力される切替信号に基づいて、グラフィックスアダプタ12側と、Video I/F変換回路16側との接続を択一的に切り替える。
【0031】
モニタ検出回路18は、ビデオポート19にビデオケーブル50が接続されているか否かを検出する。また、モニタ検出回路18は、ビデオポート19にビデオケーブル50が接続されている場合に、ビデオポート19からEDID(Extended Display IDentification Data)情報が入力したか否かを検出する。また、モニタ検出回路18は、ビデオポート19からのEDID情報の入力の有無に応じて、ポート入出力切替スイッチ17、LCD入力切替スイッチ13、第1および第2のEDID切替えスイッチ14,15に切替信号(例えば、「0」:PCモード、「1」:モニタモード)を出力する。
【0032】
図3〜図5を参照して、ノート型パソコン10のPCモードとモニタモードとの切替え動作を説明する。図3において、ノート型パソコン10が起動すると、デフォルトでPCモードに設定され(ステップS1)、LCD入力切替スイッチ13、第1、第2のEDID切替スイッチ14,15、およびポート入出力切替スイッチ17はPCモードの設定となる(ステップS2)。
【0033】
具体的には、図4に示すように、モニタ検出回路18は、PCモードの場合には、切替信号(「0」:PCモード)をLCD入力切替スイッチ13、第1、第2のEDID切替スイッチ14,15、およびポート入出力切替スイッチ17に出力する。これに応じて、LCD入力切替スイッチ13、第1、第2のEDID切替スイッチ14,15、およびポート入出力切替スイッチ17は、接続先をグラフィックスアダプタ12側に切り替える。
【0034】
グラフィクスアダプタ12は、第1のEDID切替スイッチ14を介して、内蔵LCDパネル11にEDID情報の転送を要求し、内蔵LCDパネル11は、EEPROM11aに格納しているEDID情報をグラフィックスアダプタ12に転送する。これにより、グラフィックスアダプタ12では、受信したEDID情報に基づいて、内蔵LCDパネル11の属性に応じた設定を行った後、ビデオ信号を内蔵LCDパネル11に出力してビデオ信号を表示させることができる。
【0035】
つぎに、モニタ検出回路18は、ビデオポート19にビデオケーブル50が接続されているか否かを検出する(ステップS3)。ビデオケーブル50の接続の検出方法としては、公知の方法を使用することができ、如何なる方法を使用してもよいが、例えば、(1)特殊ケーブルを使用して接続を検出する方法と、(2)ビデオケーブルの接続を、メカニカル・スイッチを使用して検出する方法がある。(1)特殊ケーブルを使用して接続を検出する方法としては、例えば、上記図8−1および図8−2に示したVGAコネクタ(グラフィックポート19)を使用する場合には、通常使用されていないピン(例えば、4番ピン(N/C))を特殊ケーブル内でGNDに落とし、ノート型PC10内で同ピンを、抵抗を介して電源にプルアップする。モニタ検出回路18は、同ピンの状態(特殊ケーブルが接続されていない時に「H」、接続されている時に「L」)を検出して、特殊ケーブルの接続の有無を検出することができる。
【0036】
ここで、ビデオケーブル50に外部モニタ30が接続されている場合は、グラフィクスアダプタ12は、第2のEDID切替スイッチ15、モニタ検出回路18,およびビデオポート19を介して、外部モニタ30にEDID情報の転送を要求し、外部モニタ30は、EDID情報をグラフィックスアダプタ12に転送することになる(図4参照)。
【0037】
そこで、モニタ検出回路18は、ビデオケーブル50の接続を検出した場合には(ステップS3の「Yes」)、所定期間、ビデオポート19から入力されるEDID情報のモニタリングを行う(ステップS4)。所定期間内に、ビデオポート19から入力されるEDID情報を検出した場合には(ステップS4)、外部モニタ30を使用する(ステップS5)。具体的には、グラフィクスアダプタ12は、受信したEDID情報に基づいて、外部モニタ30の属性に応じた設定を行った後、ポート入出力切替スイッチ17、モニタ検出回路18、およびビデオポート19を介して、ビデオ信号を外部モニタ30に出力してビデオ信号を表示させる(図4参照)。
【0038】
モニタ検出回路18は、所定期間内に、ビデオポート19から入力されるEDID情報を検出できなかった場合には(ステップS4の「No」)、ノート型PC10は、モニタモードに設定され(ステップS6)、LCD入力切替スイッチ13、第1、第2のEDID切替スイッチ14,15、およびポート入出力切替スイッチ17はモニタモードの設定となる(ステップS7)。
【0039】
具体的には、図5に示すように、モニタ検出回路18は、モニタモードの場合には、切替信号(「1」:モニタモード)をLCD入力切替スイッチ13、第1、第2のEDID切替スイッチ14,15、およびポート入出力切替スイッチ17に出力する。これに応じて、LCD入力切替スイッチ13は、Video I/F変換回路16側に、第1のEDID切替スイッチ14は、第2のEDID切替スイッチ15側に、第2のEDID切替スイッチ15は第1のEDID切替スイッチ15側に、ポート入出力切替スイッチ17は、Video I/F変換回路16側に接続先をそれぞれ切り替える。
【0040】
外部PC20が接続されている場合は、内蔵LCDパネル11が外部PC20によって使用される(ステップS8)。具体的には、外部PC20は、ビデオポート19,モニタ検出回路18,第2のEDID切替スイッチ15,および第1のEDID切替スイッチ14を介して、内蔵LCDパネル11にEDID情報の転送を要求し、内蔵LCDパネル11は、EEPROM11aに格納しているEDID情報を外部PC20に転送する。
【0041】
これにより、外部PC20では、受信したEDID情報に基づいて、内蔵LCDパネル11の属性に応じた設定を行った後、ビデオポート19,モニタ検出回路18,ポート入出力切替スイッチ17,Video I/F変換回路16、およびLCD入力切替スイッチ13を介して、ビデオ信号を内蔵LCDパネル11に出力してビデオ信号を表示させることができる。
【0042】
なお、外部PC20が接続されていないにも拘わらずモニタモードとなっているのを防止するために、モニタ検出回路18では、モニタモードにスイッチを切り替えた後に、所定期間内に、ビデオポート19からEDID情報が外部に出力されたか否かを検出して、所定期間内にビデオポート19からのEDID情報の出力を検出できなかった場合には、PCモードに変更する構成としてもよい。
【0043】
つぎに、図6および図7を参照して、本発明に係るノート型PC同士をビデオケーブル50で接続する場合の動作を説明する。図6は、本発明に係るノート型PC10A、10Bをビデオケーブル50で接続したパソコンシステムを示している。ノート型PC10A、10Bの構成は、図2のノート型PC10と同様な構成である。図7は、本発明に係るノート型PC10A、10Bをビデオケーブル50で接続する場合の動作を説明するためのフロー図である。ここでは、ノート型PC10Bにビデオケーブル50を接続した後に、ノート型PC10Aに接続する場合の動作を説明する。
【0044】
図7において、まず、本発明に係るノート型PC10A、10Bは、デフォルトでPCモードである(ステップS11,T11)。ノート型PC10Bにビデオケーブル50を接続すると(ステップT12)、ノート型PC10Bはビデオケーブル50の接続を検出し(ステップT13)、また、ビデオポート19からのEDID情報の入力を検出できないので(ステップT14)、PCモードからモニタモードに変更される(ステップT15)。つづいて、ノート型PC10Bが接続されているビデオケーブル50をノート型PC10Aに接続すると(ステップS12)、ノート型PC10Aからの要求に応じて、ノート型PC10BからEDID情報が送信されることになる(ステップT16)。ノート型PC10Aでは、ビデオケーブル50の接続を検出するとともに(ステップS13)、ビデオポート19からのEDID情報の入力を検出し(ステップS14)、PCモードを保持する(ステップS15)。これにより、ノート型PC10Aは、ノート型PC10Bの内蔵LCDパネル11を使用可能となり、ノート型PC10Aから送信されるビデオ信号がノート型PC10Bの内蔵LCDパネル11に表示される(ステップS16、T17)。
【0045】
このように、本発明に係るノート型PC10A、10B同士を接続した場合には、ビデオケーブル50を先に接続した方がモニタモード、ビデオケーブル50を後から接続された方がPCモードとなり、後からビデオケーブル50を接続した方が他方をモニタとして使用することが可能となる。なお、ノート型PC10A、10Bでは、ソフトウェアによる切替えまたはメカニカルスイッチのユーザ操作に応答して、PCモードとモニタモードとの切替えを変更可能な構成としてもよい。これにより、ケーブル50を接続する順番によらずに、PCモードとモニタモードとを切り替えることが可能となる。
【0046】
以上説明したように、本実施例によれば、ビデオ信号を出力するグラフィックスアダプタ12と、グラフィックスアダプタ12から出力されたビデオ信号を表示する内蔵LCDパネル11と、外部とビデオ信号を入出力するためのビデオポート19とを有するノート型コンピュータ装置10において、モニタ検出回路18は、ビデオポート19からのモニタ仕様信号であるEDID情報の入力の有無を検出し、その検出結果に基づいて、内蔵LCDパネル11をグラフィックスアダプタ12で使用するPCモードと、内蔵LCDパネル11を外部PCが使用するモニタモードと、を切り替えることとしたので、ユーザは、外部PCをノート型PCにビデオケーブルで接続するだけで、ノート型PCを自動的にモニタモードとすることができ、ノート型PCの内蔵モニタに、内部出力と外部入力とを自動的に切り替えて表示することが可能となる。
【0047】
また、本発明によれば、モニタ検出回路18は、ビデオポートからモニタ仕様信号の入力を検出しなかった場合に、モニタモードに切り替えることとしたので、簡単かつ低コストな構成でモニタモードへの切り替えが可能となる。
【0048】
また、本実施例によれば、モニタ検出回路18で、ビデオポート10にビデオケーブル50が接続されているか否かを検出し、ビデオケーブルの接続を検出した場合に、ビデオポートからのモニタ仕様信号の入力の有無を検出することとしたので、ビデオケーブルが接続されていない場合に、誤ってモニタモードとなることを防止することが可能となる。
【0049】
また、本実施例によれば、モニタ検出回路18は、ソフトウェアによる切替えまたはメカニカルスイッチのユーザ操作に応答して、PCモードとモニタモードとを切替え可能な構成としたので、ユーザが所望のモードに強制的に切り替えることが可能となる。
【0050】
なお、上記実施例では、モニタ仕様信号は、EDID情報を使用することとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、モニタの仕様を示す情報であれば、他の情報を使用することにしてもよい。
【0051】
また、グラフィックスアダプタ12と各切替スイッチ(入出力切替スイッチ17、LCD入力切替スイッチ13、第1および第2のEDID切替えスイッチ14,15)をGPIO(General Purpose Input/Output)などで接続し、U/I(ユーザインターフェース)からPCモードとモニタモードを切替可能な構成としてもよい。
【0052】
また、ノート型PCのポインティングデバイス(マウス等)の動きを検出して、ポインティングデバイスが動いている場合にはPCモード、動いていない場合にはモニタモードに切り替える構成としてもよい。
【0053】
また、外部PCのアプリケーションから入力される制御信号に応じて、ノート型PCのPCモードとモニタモードを切り替える構成としてもよい。
【0054】
また、ノート型PCの電源がOFFの状態でも、モニタ機能だけをONにすることにしてもよい。例えば、モニタ検知回路を常時給電状態とし、内蔵LCDパネルをONにするコントローラをモニタ検知回路に追加し、モニタ検知回路で外部PCからの信号を検知した場合に、内蔵LCDパネルをONさせて、外部PCからのビデオ信号を表示することにしてもよい。
【0055】
また、上記実施例では、本発明に係る携帯情報装置として、ノート型PCを例示して説明したが、本発明に係る携帯情報装置は、ノート型PCに限られるものではなく、内蔵モニタを備えた情報処理装置であればよく、例えば、PDA、デジタルカメラ、携帯電話端末等の各種の携帯可能な情報処理装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る携帯情報装置およびそのモード切替方法は、携帯情報装置に備えられた内蔵モニタの使用効率を向上させる場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1−1】本発明に係るノート型PCを適用したパソコンシステムの構成を説明するための図である(その1)。
【図1−2】本発明に係るノート型PCを適用したパソコンシステムの構成を説明するための図である(その2)。
【図2】本発明に係るノート型PCの要部構成を示すブロック図である。
【図3】ノート型パソコンのPCモードとモニタモードとの切替え動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明に係るノート型PCのPCモードを説明するための図である。
【図5】本発明に係るノート型PCのモニタモードを説明するための図である。
【図6】本発明に係るノート型PCを適用したパソコンシステムの構成を説明するための図である(その3)。
【図7】本発明に係るノート型PC同士をビデオケーブルで接続する場合の動作を示すフロー図である。
【図8−1】DDC仕様のVGAコネクタの構成の一例を示す図である。
【図8−2】図8−1の各ピンの名称および機能を説明するための図である。
【符号の説明】
【0058】
10 ノート型PC
11 内蔵LCDパネル
12 グラフィックスアダプタ
13 LCD入力切替えスイッチ
14 第1のEDID切替えスイッチ
15 第2のEDID切替スイッチ
16 Video I/F変換回路
17 ポート入出力切替えスイッチ
18 モニタ検出回路
19 ビデオポート
20 外部PC
30 外部モニタ
50 ビデオケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオ信号を出力するビデオ信号出力手段と、前記ビデオ信号出力手段から出力されたビデオ信号を表示する内蔵モニタと、外部とビデオ信号を入出力するためのビデオポートとを有する携帯情報装置において、
前記ビデオポートからのモニタ仕様信号の入力の有無を検出するモニタ仕様信号検出手段と、
前記モニタ仕様信号検出手段の検出結果に基づいて、前記内蔵モニタを前記ビデオ信号出力手段で使用するPCモードと、前記内蔵モニタを外部コンピュータが使用するモニタモードとを切り替えるモード切替手段と、
を備えたことを特徴とする携帯情報装置。
【請求項2】
前記モード切替手段は、前記モニタ仕様信号検出手段が前記ビデオポートからモニタ仕様信号の入力を検出しなかった場合に、前記モニタモードに切り替えることを特徴とする請求項1に記載の携帯情報装置。
【請求項3】
前記ビデオポートにビデオケーブルが接続されているか否かを検出するケーブル接続検出手段と、
前記モニタ仕様信号検出手段は、前記ケーブル接続検出手段で前記ビデオケーブルの接続を検出した場合に、前記ビデオポートからモニタ仕様信号の入力の有無を検出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯情報装置。
【請求項4】
前記モード切替手段は、ソフトウェアによる切替えまたはメカニカルスイッチのユーザ操作に応答して、前記PCモードと前記モニタモードとを切替えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の携帯情報装置。
【請求項5】
前記モニタ仕様信号は、EDID(Extended Display IDentification Data)情報であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の携帯情報装置。
【請求項6】
ビデオ信号を出力するビデオ信号出力手段と、前記ビデオ信号出力手段から出力されたビデオ信号を表示する内蔵モニタと、外部とビデオ信号を入出力するためのビデオポートとを有する携帯情報装置のモード切替方法において、
前記ビデオポートからのモニタ仕様信号の入力の有無を検出するモニタ仕様信号検出工程と、
前記モニタ仕様信号の検出結果に基づいて、前記内蔵モニタを前記ビデオ信号出力手段で使用するPCモードと、前記内蔵モニタを外部コンピュータが使用するモニタモードとを切り替えるモード切替工程と、
を含むことを特徴とする携帯情報装置のモード切替方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【公開番号】特開2009−180892(P2009−180892A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19130(P2008−19130)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
【Fターム(参考)】