説明

携帯断熱容器

【課題】断熱蓋部を取り外してこれを凍らせておき、これを断熱容体の開口部に装着して収納部を閉塞することで、缶ビールなどの炭酸飲料であっても保冷可能で且つ効率良く冷却保冷できる画期的な携帯断熱容器を提供すること。
【解決手段】断熱容体1の開口部に着脱自在に断熱蓋部2を設けた携帯断熱容器において、前記断熱蓋部2内の内側に保冷剤4を設け、この保冷剤4の外側に断熱部5を設け、冷凍庫で冷やして前記断熱容体1の開口部に装着することで、前記収納部3を閉塞しこの収納部3内の収納物6を冷却するように構成した携帯断熱容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水やお茶あるいは缶ビールや缶ジュースなどの収納物を保冷する携帯断熱容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
真空断熱層や断熱材を設けた断熱構造の容体で形成した水筒などの携帯断熱容器は、断熱するだけで積極的に冷却するものではないため冷温状態が長く続かず保冷作用が十分でない。またビールや炭酸ジュースなどの炭酸飲料などを収納することも好ましくない。
【0003】
一方、冷温状態が長時間つづき保冷作用が良好となるように、冷凍庫で凍結させた保冷剤入り保冷パックを一緒に収納したのでは逐次保冷パックを洗わなければならないし、清潔感にかける。
【0004】
また、飲料缶容器を収納して保冷するようにすれば、このような問題もないしビールや炭酸飲料も保冷できることになるが、この場合には収納部に保冷パックの収納スペースも確保しなければならないし、収納取り出しがやっかいとなったり、無駄にスペースが空いてしまって保冷作用が逆に劣ってしまう場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、閉塞蓋に保冷剤を収納し、この外側に断熱部を設けた構成とした閉塞蓋(断熱蓋部)自体を冷凍庫に入れて凍結させる保冷具とする画期的な発想により上記問題点を解決したもので、この断熱蓋部を取り外してこれを凍らせておき、これを断熱容体の開口部に装着して収納部を閉塞することで、単に断熱容体によって保冷するだけでなく、冷凍庫で冷やした断熱蓋部内の保冷剤によって冷却できるため保冷作用が良好となり、しかも収納物と一緒に収納部内に保冷パックを入れる構成でないから清潔であり、また収納スペースを占有しないから、例えば飲料缶容器を丁度収納できるように断熱容体を構成すれば、出し入れが容易で、しかもビールや炭酸ジュースなどの炭酸飲料であっても保冷可能で且つ効率良く冷却保冷できる画期的な携帯断熱容器となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
断熱容体1の開口部に着脱自在に断熱蓋部2を設けた携帯断熱容器において、前記断熱容体1の収納部3側となる前記断熱蓋部2内の内側に保冷剤4を設け、この保冷剤4の外側に断熱部5を設け、この断熱部5の内側に保冷剤4を内装した断熱蓋部2を冷凍庫で冷やして前記断熱容体1の開口部に装着することで、前記収納部3を閉塞しこの収納部3内の収納物6を保冷若しくは冷却するように構成したことを特徴とする携帯断熱容器に係るものである。
【0008】
また、前記断熱蓋部2は、保冷剤収納部7に前記保冷剤4を収納し、断熱材で直接若しくは封止板8で封止し、この保冷剤4の外側に断熱材若しくは断熱層で構成した前記断熱部5を配設した構成としたことを特徴とする請求項1記載の携帯断熱容器に係るものである。
【0009】
また、前記断熱蓋部2に、前記断熱容体1の開口部に設けた螺着部9に着脱自在に螺着する螺子部10を設けてこの断熱蓋部2を開口部に着脱自在に螺着するように構成し、この螺子部10を外周に設けた蓋本体11に設けた前記保冷剤収納部7に前記保冷剤4を封入し断熱材若しくは断熱層で構成した前記断熱部5でこの外側を覆った構成としたことを特徴とする請求項2記載の携帯断熱容器に係るものである。
【0010】
また、前記断熱蓋部2は、前記保冷剤収納部7に前記保冷剤4を封入し、この保冷剤4を封入した外側に断熱材収納部12を設け、この断熱材収納部12に断熱材13を収納し外キャップ14で閉塞して前記保冷剤4の外側に前記断熱部5を配設した構成としたことを特徴とする請求項2,3のいずれか1項に記載の携帯断熱容器に係るものである。
【0011】
また、前記断熱容体1の開口部から出し入れして前記収納部3内に市販の飲料缶容器を前記収納物6として取り出し自在に収納するように構成し、前記断熱蓋部2の内側の前記収納部3にのぞむ内端面の形状を、前記飲料缶容器6の上端面若しくは下端面の全部若しくは一部の形状と合致した形状に設定して、この断熱蓋部2と飲料缶容器6とが当接若しくは接近する面積を大きくしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の携帯断熱容器に係るものである。
【0012】
また、前記断熱容体1の収納部3に収納した前記収納物6としての飲料缶容器6の底部の凹部15内に配設する凸部16を有する形状に前記断熱蓋部2の前記内端面の形状を設定して、前記断熱蓋部2と前記飲料缶容器6との間隙を小さくしたことを特徴とする請求項5記載の携帯断熱容器に係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述のように構成したから、断熱蓋部に保冷剤を収納し、この保冷剤の外側に断熱部を設けた構成とした断熱蓋部自体が冷凍庫に入れて冷却する保冷具となるもので、この画期的な発想により、この取り外して冷却済の断熱蓋部を断熱容体の開口部に装着して収納部を閉塞するだけで、単に断熱容体によって保冷するだけでなく、冷凍庫で冷やした断熱蓋部内の保冷剤によって冷却できるため保冷作用が良好となり、しかも収納物と一緒に収納部内に保冷パックを入れる構成でないから清潔であり、また収納スペースを占有しないから、例えば飲料缶容器を丁度収納できるように断熱容体を構成すれば、出し入れが容易で、しかもビールや炭酸ジュースなどの炭酸飲料であっても保冷可能で且つ効率良く冷却できる画期的な携帯断熱容器となる。
【0014】
また、請求項2,3,4記載の発明においては、一層簡易な構成で本発明を容易に実現でき、効率良く冷却・保冷作用が発揮される携帯断熱容器となる。
【0015】
また、請求項5,6記載の発明においては、飲料缶容器を保冷・冷却でき、ビールや炭酸ジュースなどの炭酸飲料でも収納保冷でき、しかも取り出し容易であり更に保冷剤により冷却できるだけでなく、この保冷剤による冷却・保冷作用が一層効率良く発揮される極めて優れた携帯断熱容器となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施例の斜視図である。
【図2】本実施例の分解斜視図である。
【図3】本実施例の断熱蓋部の分解斜視図を示す分解斜視図である。
【図4】本実施例の収納状態の正断面図である。
【図5】本実施例の取り出し途中の説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0018】
断熱蓋部2を冷凍庫で冷やして例えば断熱蓋部2内の保冷剤4を凍結させておき、断熱容体1の収納部3に保冷したい収納物6例えば水やお茶を入れたり、飲料缶容器6を収納した後、前記冷やしておいた断熱蓋部2を冷凍庫から取り出して閉塞する。
【0019】
例えば断熱容体1の開口部から収納部3内に飲料缶容器6を収納し、開口部に前記断熱蓋部2を装着して閉塞するだけで、この飲料缶容器6を保冷剤4により冷却しつつ保冷できる。
【0020】
収納部3には保冷パック用の収納スペースなどを設ける必要がないから飲料缶容器6がピッタリと収納できる形状に設計でき、出し入れし易い上に無駄なスペースも生じず断熱容体1の断熱作用も保冷剤4による冷却作用も効率良く発揮される。
【0021】
また、前述のように収納物6を飲料缶容器6とすれば炭酸飲料でも保冷できる。
【0022】
しかも、このように保冷パックを用いなくても断熱蓋部2が保冷パックをかねることとなり、この断熱蓋部2を冷やしておいてこれで閉塞することによって収納物6を冷却することができ、更にこの断熱蓋部2内の保冷剤4の外側には断熱部5を配設しているから、この保冷剤4による冷却作用も効率良く発揮される極めて優れた携帯断熱容器となる。
【実施例】
【0023】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0024】
本実施例は、クーラーボックスと違って携帯性に優れ、ザックやカバンに入るサイズのボトル型の断熱容体1の上部開口部に着脱自在に断熱蓋部2を設けた携帯断熱容器に本発明を適用している。
【0025】
断熱容体1は、円筒状の真空(減圧)二重容体で構成して外周に真空(減圧)断熱層を形成して保冷性を高めた断熱容体1としている。
【0026】
本実施例では、この断熱容体1の上部開口部から内部の収納部3に水やお茶を直接入れたり、ブロックアイスを入れて保冷できるようにしているが、丁度(未開栓)の市販の350ml缶を丸ごと丁度収納できる形状に設計し、例えば350mlビール缶6を一本(二本や三本直列に収納できるように設計しても良い。)収納できる形状に設定している。
【0027】
また、本実施例の断熱蓋部2は、前記断熱容体1の収納部3側となる前記断熱蓋部2内の内側に保冷剤4を設け、この保冷剤4の外側に断熱部5を設け、この断熱部5の内側に保冷剤4を内装した断熱蓋部2を冷凍庫で冷やして凍結させておき、これを前記断熱容体1の開口部に装着することで、前記収納部3を閉塞しこの収納部3内の収納物6を冷却するように構成している。
【0028】
即ち、断熱蓋部2は、最も内側寄りに形成した保冷剤収納部7に前記保冷剤4を収納し、その上部を封止板8で封止し、この上部即ち保冷剤4の外側に断熱材若しくは断熱層で構成した前記断熱部5を配設した構成としている。
【0029】
本実施例では、断熱蓋部2に前記断熱容体1の開口部に設けた螺着部9に着脱自在に螺着する螺子部10を設けてこの断熱蓋部2を開口部に着脱自在に螺着するように構成し、この螺子部10を外周に設けた蓋本体11に設けた前記保冷剤収納部7に前記保冷剤4を封入し断熱材若しくは断熱層で構成した前記断熱部5でこの外側を覆った構成としている。
【0030】
更に説明すると、本実施例では、前記保冷剤収納部7に前記保冷剤4を封入し、この保冷剤4を封入した外側に断熱材収納部12を設け、この断熱材収納部12に断熱材13(発泡スチロールなどの軽量で断熱性に優れたものが望ましい。)を収納し外キャップ14で閉塞して前記保冷剤4の外側に前記断熱部5を配設した構成としている。
【0031】
尚、図中符号17は、断熱蓋部2の外周に被嵌するパッキンである。これにより若干の結露等による水漏れも防げる。
【0032】
また、本実施例では、前述のように断熱容体1の上部開口部から出し入れして前記収納部3内に市販の飲料缶容器(350ml)を前記収納物6として取り出し自在に収納するように構成し、前記断熱蓋部2の内側の前記収納部3にのぞむ内端面の形状、即ち断熱蓋部2の内側底面の形状を前記飲料缶容器6の上端面若しくは下端面の全部若しくは一部の形状と合致した形状に設定して、この断熱蓋部2と飲料缶容器6とが当接若しくは接近する面積を大きくしている。即ち、できるだけ間隙を小さくして断熱蓋部2内の保冷剤4による冷却作用が良好となるように構成している。
【0033】
具体的には、前記断熱容体1の収納部3に収納した前記収納物6としての飲料缶容器6(350ml缶ビール)の底部の凹部15内に配設する凸部16を有する形状に前記断熱蓋部2の前記内端面の形状を設定して、前記断熱蓋部2と前記飲料缶容器6との間隙を小さくしている。
【0034】
即ち、できるだけ収納物6に保冷剤4を接近させて間隙を小さくし冷却作用と保冷作用を良好とし、またこれによりガタ付きもなくする構成としている。
【0035】
このように本実施例では飲料缶をそのままスッポリと収納でき、しかもガタ付きなく密着性の高い形状に工夫することで取り出し収納も上部開口部から極めて簡単に出し入れ可能な構成で、しかも、この上部開口部を断熱蓋部2で閉塞するだけで、断熱部5で外側から覆われた保冷剤4によって効率良く冷却でき、しかもこの断熱蓋部2の内端面の形状を前述のように飲料缶の底部の凹部15に入り込む凸部16を有する形状とすることで一層効率良く冷却することができる。従って、例えば登山の山頂でザックから本製品を取り出し、断熱蓋部2を外して中から取り出した冷えた缶ビールを飲むことなどができ非常に実用性に優れ商品価値の高いものとなる。
【0036】
保冷剤4は様々なものが採用可能だが、約99%の水と高吸水性樹脂(ポリアクリル酸ナトリウム)、防腐剤、形状安定剤が含まれているものなどを採用し、保冷剤自体が温まってもまた冷凍させることによって何回でも繰り返し使うことができるものを採用している。
【0037】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0038】
1 断熱容体
2 断熱蓋部
3 収納部
4 保冷剤
5 断熱部
6 収納物(飲料缶容器)
7 保冷剤収納部
8 封止板
9 螺着部
10 螺子部
11 蓋本体
12 断熱材収納部
13 断熱材
14 外キャップ
15 凹部
16 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱容体の開口部に着脱自在に断熱蓋部を設けた携帯断熱容器において、前記断熱容体の収納部側となる前記断熱蓋部内の内側に保冷剤を設け、この保冷剤の外側に断熱部を設け、この断熱部の内側に保冷剤を内装した断熱蓋部を冷凍庫で冷やして前記断熱容体の開口部に装着することで、前記収納部を閉塞しこの収納部内の収納物を保冷若しくは冷却するように構成したことを特徴とする携帯断熱容器。
【請求項2】
前記断熱蓋部は、保冷剤収納部に前記保冷剤を収納し、断熱材で直接若しくは封止板で封止し、この保冷剤の外側に断熱材若しくは断熱層で構成した前記断熱部を配設した構成としたことを特徴とする請求項1記載の携帯断熱容器。
【請求項3】
前記断熱蓋部に、前記断熱容体の開口部に設けた螺着部に着脱自在に螺着する螺子部を設けてこの断熱蓋部を開口部に着脱自在に螺着するように構成し、この螺子部を外周に設けた蓋本体に設けた前記保冷剤収納部に前記保冷剤を封入し断熱材若しくは断熱層で構成した前記断熱部でこの外側を覆った構成としたことを特徴とする請求項2記載の携帯断熱容器。
【請求項4】
前記断熱蓋部は、前記保冷剤収納部に前記保冷剤を封入し、この保冷剤を封入した外側に断熱材収納部を設け、この断熱材収納部に断熱材を収納し外キャップで閉塞して前記保冷剤の外側に前記断熱部を配設した構成としたことを特徴とする請求項2,3のいずれか1項に記載の携帯断熱容器。
【請求項5】
前記断熱容体の開口部から出し入れして前記収納部内に市販の飲料缶容器を前記収納物として取り出し自在に収納するように構成し、前記断熱蓋部の内側の前記収納部にのぞむ内端面の形状を、前記飲料缶容器の上端面若しくは下端面の全部若しくは一部の形状と合致した形状に設定して、この断熱蓋部と飲料缶容器とが当接若しくは接近する面積を大きくしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の携帯断熱容器。
【請求項6】
前記断熱容体の収納部に収納した前記収納物としての飲料缶容器の底部の凹部内に配設する凸部を有する形状に前記断熱蓋部の前記内端面の形状を設定して、前記断熱蓋部と前記飲料缶容器との間隙を小さくしたことを特徴とする請求項5記載の携帯断熱容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−202259(P2010−202259A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50905(P2009−50905)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000138336)株式会社スノーピーク (19)
【Fターム(参考)】