説明

携帯機器

【課題】電池の着脱を容易に行うことができる携帯機器を提供する。
【解決手段】電気接点に対向する側壁に設けられ、電池20を電気接点に向かって付勢する付勢部材を備え、開閉蓋4は、開閉蓋が封鎖位置に位置するときに前記付勢部材に当接する押圧部を備え、付勢部材は、開閉蓋が電池収納凹部11を開放した状態では、電気接点から離間する向きに変位した状態にあり、開閉蓋を封鎖位置に位置させたとき、開閉蓋の押圧部により電気接点に近接する向きに変位されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型テレビジョン受像機などの携帯機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型テレビジョン受像機や携帯電話端末などの携帯機器は、一般的に電池からの給電により駆動するよう構成されている。このような構成の場合、電池(一次電池)を新品に交換したり、電池(二次電池)を充電したりするために、電池を携帯機器に着脱することがあるが、電池を携帯機器から容易に着脱することができる工夫が必要である。
【0003】
また、電池を電池収納凹部に装着した際に、電池の電極を携帯機器の端子に確実に電気的接続するために、電池収納凹部における端子を板バネやコイルバネなどの弾性手段で形成する構成がある。このような構成とすることで、電池における電極を電池収納凹部における端子に押し当てることができ、電極と端子とを確実に接続することができる。しかし、このような構成において、電極と端子との接続をより確実なものにするためにはバネのレートを高くすればよいが、バネのレートを高くすると電池を携帯端末に対して着脱する際に大きな力が必要となり、着脱しにくいという問題がある。
【0004】
特許文献1には、電池を携帯機器から容易に離脱することができるように、携帯機器の電池収納凹部において、電池の下部に紐を配し、紐の一端を電池収納凹部に固定し、紐の他端を蓋に固定する構成が開示されている。このような構成において、蓋を開くことで紐のテンションが上がり、電池を離脱方向へ移動させ、電池を電池収納凹部から離脱させることができる。
【特許文献1】特開昭61−96655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に開示されている構成では、電池と携帯機器とを確実に電気的接続するために電池を付勢するバネのレートを高くした場合、電池の離脱は容易に行うことができるが、電池を装着する際はバネを圧縮させるための大きな力が必要となり、容易に装着することができない。また、電池を電池収納凹部に装着する場合、紐を電池の下部に配置させる必要があり、煩雑である。
【0006】
本発明の目的は、電池の着脱を容易に行うことができる携帯機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の携帯機器は、電池を収納可能な電池収納凹部と、前記電池収納凹部を囲む側壁の一面に配された電気接点と、前記電池収納凹部を封鎖するための開閉蓋とを備えた携帯機器であって、前記電気接点に対向する側壁に設けられ、前記電池を前記電気接点に向かって付勢可能な付勢部材と、前記開閉蓋に設けられ、当該開閉蓋が封鎖位置に位置するときに前記付勢部材を押圧する押圧部とを備え、前記付勢部材は、前記開閉蓋が前記電池収納凹部を開放している状態では、前記電池に接触可能な位置にあり、前記開閉蓋が前記電池収納凹部を封鎖している状態では、前記開閉蓋の前記押圧部により前記電気接点に近接する向きに変位されるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電池の着脱を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の携帯機器は、上記構成を基本として、以下のような態様をとることができる。すなわち、本発明の携帯機器において、前記押圧部は、前記開閉蓋を封鎖位置に位置させたとき、前記付勢部材と前記電池収納凹部の前記側壁との間に挿入され、前記付勢部材を前記電気接点に近接する向きに押圧する構成とすることができる。このような構成とすることで、簡単な構成で、電池の着脱操作性を向上させることができる。
【0010】
(実施の形態)
図1Aは、本実施の形態の携帯機器の一例である携帯型テレビジョン受像機(以下、携帯テレビと称する)の前面側の斜視図である。図1Bは、本実施の形態の携帯テレビの背面側の斜視図である。なお、本実施の形態では、携帯機器の一例として携帯テレビを挙げているが、少なくとも電池で駆動する機器であればよく、例えば携帯電話端末や携帯型ゲーム機などがある。
【0011】
図1Aに示すように、携帯テレビは、薄型の筐体1の前面に液晶ディスプレイ2を備えている。液晶ディスプレイ2は、受信した放送波を復調して得られた映像をカラー表示することができるディスプレイであり、本実施の形態では画面サイズを5インチとした。また、筐体1の上面には、携帯テレビの電源のオン/オフを切り換え操作可能な電源スイッチ3a、受信チャンネルを切り換え操作可能なチャンネル切り換えスイッチ3b、音声の音量を調節可能な音量調節スイッチ3cを備えている。また、筐体1の右側面には、記録媒体であるメモリーカードを着脱可能なメモリーカードスロット(不図示)と、メモリーカードスロットを開閉可能な第1のカバー部材6とを備えている。また、図1Bに示すように、筐体1の背面には、電池を収容可能な電池収納部と、電池収納部を封鎖する開閉蓋4と、スタンド部材5と、アンテナ8とを備えている、また、筐体1の左側面には、入出力端子(不図示)と、入出力端子を開閉可能な第2のカバー部材7とを備えている。本実施の形態は、電池収納部及び開閉蓋4の構造に特徴がある。
【0012】
図2は、電池着脱構造の構成を示す分解斜視図である。図2に示すように、筐体1には、電池20を収納可能な凹状の電池収納凹部11を備えている。電池収納凹部11は、樹脂製の壁部12で囲まれ、上面11a、下面11b、左側面11c、右側面11d、底面11eを有する。壁部12の外周部には、シリコンなどの弾性樹脂で形成された支持部材13が配されている。また、電池収納凹部11の下面11bには、電気接点15が配されている。また、電池収納凹部11の上面11aには、板バネ16が配されている。また、電池収納凹部11の電気接点15の近傍における底面11eに対向する部分には、リブ17が形成されている。また、筐体1の背面上における電池収納凹部11の外側には、凹部18が形成されている。
【0013】
支持部材13は、壁部13を囲むように配されている。また、支持部材13は、筐体1の背面と同一面上に溝部13aが形成されている。壁部12の外周部は、筐体1の一部で囲まれている。したがって、支持部材13は、壁部12と筐体1により挟持されている。また、筐体1の背面において、支持部材13と筐体1の上面との間には、2カ所の孔部14が形成されている。
【0014】
孔部14は、開閉蓋4に形成された爪部44(後述)が係合可能な大きさを有する。
【0015】
電気接点15は、筐体1内に配された電源回路に接続されている。また、電気接点15は、一部が下面11bにおいて露出して配され、電池20が電池収納凹部11に装着された際に電気接点15の露出部分が電池20の電極21と接触する。
【0016】
板バネ16は、電池収納凹部11に装着された電池20を下面11b側に付勢することができる。また、板バネ16は、上面11aとの間に僅かな隙間を有する。また、板バネ16は、開閉蓋4が装着されていない状態では、電池20の上面20aとの間に僅かな隙間を有するか、板バネ16が弾性変形しない程度に上面20aと板バネ16とが接している。よって、電池20は、下面11b側に付勢されていない状態にある。
【0017】
リブ17は、電池20の誤挿入による電気接点15の破損や変形を防止するものである。すなわち、電池20を底面11eの法線方向に移動させて電池収納凹部11に挿入した場合、電池20の端部が電気接点15の上面に当接し、電気接点15が破損したり変形したりしてしまう可能性がある。本実施の形態のようにリブ17を備えることで、電池20を底面11eに対して斜め方向から挿入しなければならない構造となるため、電池20の端部が電気接点15の上面に当接することがなく、電気接点15が破損したり変形したりすることを防止することができる。
【0018】
凹部18は、電池収納凹部11を封鎖した状態の開閉蓋4の端部に接する位置に形成され、使用者が開閉蓋4を離脱する際に開閉蓋4の端部に指や爪などを引っ掛けやすくするためのものである。
【0019】
電池20は、略直方体形状の二次電池で構成されている。また、電池20の下面20bには、携帯テレビの電池収納凹部11内に配された電気接点15に電気的に接続することで、携帯テレビに給電を行うことができる端子21を備えている。なお、電池20の形状は一例である。また、電池20は二次電池に限らず、一次電池であってもよく、一次電池の場合は電気接点15をプラス側接点とし板バネ16をマイナス側接点とすれば、本実施の形態と同様に機能する。
【0020】
図3は、開閉蓋4の構成を示す斜視図である。開閉蓋4は、電池収納凹部11を覆うことが可能な大きさを有する略板状の蓋部41の裏面に、壁部42と突起部43とが形成されている。また、開閉蓋4は、一側面に2個の爪部44が形成されている。
【0021】
壁部42は、支持部材13の溝部13aに嵌合可能なように略ロの字状に形成されている。また、壁部42は、溝部13aの溝幅よりも大きい厚さを有し、溝部13aを押し広げながら嵌合する。
【0022】
突起部43は、開閉蓋4で電池収納凹部11を覆った状態において、板バネ16と電池収納凹部11の上面11aとの間に挿入され、板バネ16を下面11b側に押圧する。よって、突起部43の厚さは、板バネ16と電池収納凹部11の上面11aとの隙間よりも大きい厚さを有する。また、突起部43は、傾斜面43aが形成され、先端が細くなっている。傾斜面43aは、開閉蓋4を筐体1に装着する際に、板バネ16と電池収納凹部11の上面11aとの間に突起部43を挿入しやすくするためのものである。
【0023】
次に、電池20及び開閉蓋4の装着動作について説明する。
【0024】
図4は、電池20及び開閉蓋4が装着されていない状態の電池収納凹部11及びその近傍の平面図である。図5は、図4におけるZ−Z部の断面図である。図4及び図5に示す状態の電池収納凹部11に、電池20を装着する際は、矢印Aに示すように電池20の下面20b側をリブ17と電池収納凹部11の底面11eとの間に挿入し、次に矢印Bに示すように電池20全体を電池収納凹部11に挿入する。電池収納凹部11に電池20が挿入された状態を図6(断面図)に示す。
【0025】
図6に示すように、電池収納凹部11に電池20が装着された状態では、電池収納凹部11の上面11aと下面11bと左側面11cと右側面11dとにより、電池20の水平方向の大まかな位置決めがなされている。また、電極21は電気接点15に接触可能な位置(電気接点15に対向する位置)にあるが、板バネ16と電池20との間には隙間があるか、板バネ16が弾性変形しない程度に板バネ16と電池20とが接している状態(板バネ16が低バネ圧状態)にあり、板バネ16による付勢力が電池20に作用していないため、電極21と電気接点15とは確実な電気的接続となっていない。
【0026】
次に、電池収納凹部11を開閉蓋4で封鎖する。開閉蓋4を装着する手順は、まず開閉蓋4に形成された爪部44を孔部14に挿入し、次に壁部42を支持部材13の溝部13aに挿入する。電池収納凹部11が開閉蓋4で封鎖された状態を図7(断面図)に示す。
【0027】
図7に示すように、開閉蓋4は、電池収納凹部11を封鎖している状態において、壁部42が溝部13aを押し広げながら溝部13aに挿入されている。よって、壁部42は、支持部材13の弾性復帰力によって挟持されるため、これにより支持部材13は開閉蓋4を保持することができる。また、爪部44が孔部14に係合しているため、開閉蓋4の離脱を防ぐことができる。
【0028】
また、突起部43は、板バネ16と上面11aとの間に挿入されている。板バネ16と上面11aとの隙間は、突起部43の厚さよりも小さいため、突起部43が挿入されると板バネ16が電池20の上面20a側(矢印Cに示す向き)へ押されて弾性変形し、板バネ16のバネ圧が上がる。弾性変形した板バネ16は、電池20を矢印Cに示すように下面11b側へ付勢する。これにより、電極21は電気接点15に押し当てられ、両者は確実に電気的接続する。また、電池20は、強固に位置決めされる。
【0029】
次に、電池20及び開閉蓋4の離脱動作について説明する。
【0030】
図7に示すように、開閉蓋4が支持部材13によって保持されている状態において、筐体1の背面における開閉蓋4に接する部分には凹部18が形成され、開閉蓋4の側面に指をかけることができるように構成されている。凹部18を介して開閉蓋4の側面に指をかけた状態で、矢印Dに示す向きに開閉蓋4を持ち上げることで、開閉蓋4は爪部44と孔部14との係合部を軸に回動し、壁部42が溝部13aから離脱する。次に、爪部44を孔部14から離脱させることで、開閉蓋4は筐体1から離脱する。
【0031】
図6に示すように、開閉蓋4を筐体1から離脱させることにより、突起部43が板バネ16と上面11aとの隙間から離脱するので、電池20に対する板バネ16の付勢が解除される。これにより、板バネ16のバネ圧が低下し、電池20の位置決めは緩くなる。この状態で、電池20の上面20aと電池収納凹部11の上面11aとの間の隙間に使用者が指や爪を挿入し、電池20を矢印Eに示す離脱方向へ持ち上げることで、電池20は矢印Fに示すようにリブ17で保持されている部位を軸に回動する。上面20aが電池収納凹部11から離脱する位置まで回動させることで、電池20の下面20b側の端部とリブ17との係合を外すことができる。これにより、電池20を電池収納凹部11から離脱させることができる。
【0032】
本実施の形態によれば、図6に示すように電池収納凹部11に電池20のみが装着されている状態では、電池20は位置が固定されずに電池収納凹部11内に位置しているため、大きな力を必要とせず容易に電池20を電池収納凹部11から着脱させることができる。すなわち、使用者は、電池20を容易に着脱できる状態にするためには、開閉蓋4を筐体1から取り外すだけでよい。
【0033】
また、図7に示すように電池20を電池収納凹部11に挿入した状態で、開閉蓋4を電池収納凹部11を封鎖する位置に装着した際に、突起部43が板バネ16を押圧して板バネ16が電池20を電気接点15側に押圧する構成としたことにより、電池20の位置を固定して電極21を電気接点15に押し当てることができるので、電極21と電気接点15とを確実に接続することができる。また、板バネ16のバネ圧を高くすることができるので、電池20を電池収納凹部11に強固に位置決めすることができる。すなわち、使用者は、携帯機器に対する電池20の確実な電気的接続と、電池20の強固な位置決めとを実現するためには、開閉蓋4を電池収納凹部11を覆う位置に装着するだけでよい。
【0034】
また、本実施の形態では、特許文献1に開示されているような煩雑な操作(紐を電池の下部に配置させる操作)が必要なく、電池20の着脱操作性を向上させることができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、携帯機器の一例として携帯型テレビジョン受像機を挙げたが、携帯電話端末、携帯ゲーム機、携帯型医療機器など、少なくとも機器に対して着脱可能な電池で駆動する機器であれば本実施の形態は有効である。
【0036】
また、本実施の形態における板バネ16は、本発明における付勢部材の一例である。また、本実施の形態における突起部43は、本発明における押圧部の一例である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、電池を着脱可能な携帯機器に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1A】本実施の形態における携帯機器の外観を示す斜視図
【図1B】本実施の形態における携帯機器の外観を示す斜視図
【図2】携帯機器、電池、開閉蓋の分解斜視図
【図3】開閉蓋の斜視図
【図4】携帯機器における電池収納凹部近傍の平面図
【図5】図4におけるZ−Z部の断面図
【図6】電池収納凹部に電池が収納された状態における電池収納凹部近傍の断面図
【図7】開閉蓋が装着された状態における電池収納凹部近傍の断面図
【符号の説明】
【0039】
1 筐体
4 開閉蓋
11 電池収納凹部
15 電気接点
16 板バネ
20 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を収納可能な電池収納凹部と、
前記電池収納凹部を囲む側壁の一面に配された電気接点と、
前記電池収納凹部を封鎖するための開閉蓋とを備えた携帯機器であって、
前記電気接点に対向する側壁に設けられ、前記電池を前記電気接点に向かって付勢可能な付勢部材と、
前記開閉蓋に設けられ、当該開閉蓋が封鎖位置に位置するときに前記付勢部材を押圧する押圧部とを備え、
前記付勢部材は、
前記開閉蓋が前記電池収納凹部を開放している状態では、前記電池に接触可能な位置にあり、
前記開閉蓋が前記電池収納凹部を封鎖している状態では、前記開閉蓋の前記押圧部により前記電気接点に近接する向きに変位される、携帯機器。
【請求項2】
前記押圧部は、前記開閉蓋を封鎖位置に位置させたとき、前記付勢部材と前記電池収納凹部の前記側壁との間に挿入され、前記付勢部材を前記電気接点に近接する向きに押圧する、請求項1記載の携帯機器。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−295445(P2009−295445A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148478(P2008−148478)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】