説明

携帯用および固定用ビデオカメラの小型低コストパン/チルト磁気作動

【課題】本発明は、PTZビデオカメラ等の画像形成システム用のパン/チルト機構の改良する、パン/チルト機器を提供することを目的とする。
【解決手段】画像キャプチャリングシステム用のパン/チルト機器は、基部と、基部に回転可能に接続され、基部に対して第1の軸を中心にして回転可能であるステージと、ステージに装着された光学機器と、基部に対してステージの回転位置を制御するパン手段と、磁気構造物に加えられた磁場を変えるチルト手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTZビデオカメラ等の画像形成システム用のパン/チルト機構の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
最も一般的な小型化パン/チルトカメラシステムは、一般にドーム型PTZ(パン/チルトズーム用)カメラと称され、複雑な歯車列およびドーム形状の保護カバーを有するモータオンモータジンバル搭載パン/チルト機構を使用する。従来のPTZカメラの問題は、カメラ(すなわち、レンズおよび画像キャプチャリング装置を含む)およびチルトモータの両方が、パンモータによって駆動される回転プラットフォーム上に支持されていることである。典型的な従来のPTZビデオカメラシステムの全体的なサイズは、依然として直径数インチである。そのようなシステムがさらに小型化されていない1つの可能な理由は、パンおよびチルト角度要件が非常に大きいことである(典型的に、パンは180度より大きく、チルトは+/−45度より大きい)。加えて、カメラ全体がチルトモータによって動かされなければならないため、且つ、カメラおよびチルトモータの両方がパンモータによって動かされなければならないため、携帯電話の最新小型静止カメラでさえその運動質量は、MEMS等の小型化技術が従来動かすことができる荷重に比較して、非常に大きい。大きな質量は、パン/チルト操作スピードを減少し、パンモータの小型化を制限し、PTZパン/チルト機構のモータオンモータジンバル構造物のため交差軸トラッキングエラーを生じる可能性がある。
【0003】
パン/チルト機構技術の現在の状態を要約では、巨視的モータ系パン/チルト機構の主な利点は、パンおよびチルト位置が、簡単なパルス駆動DCモータかまたは保持位置でほとんどまたはまったく消費電力がないステッピングモータを使用して、位置決めされ維持することができることである。より大きな視野を構築する必要なく、即座に大きな画像を取ることができる。MEMS系アプローチの主な利点は、小型でおそらくより低いコスト設計である。しかし、MEMSシステムは、普通、一定の消費電力を必要とし、そのため、自立用途またはリモートワイヤレス用途では有用ではない。
【0004】
必要なことは、携帯用および固定用のビデオカメラ装置とともに使用される低コストパン/チルト作動プラットフォームであり、それは、上述の様々な従来のパン/チルト機構に関連した問題を回避する。特に、必要なことは、マイクロミラー系小型パン/チルトシステムであり、これは、保持状態で理想的に低い電力消費で、高い帯域幅および広い範囲のパンおよびチルト運動を達成することができる。
【0005】
【特許文献1】米国特許第5945898号
【特許文献2】米国特許第6356308号
【特許文献3】米国特許第6461021号
【特許文献4】米国特許第3482189号
【特許文献5】米国特許第5613861号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、PTZビデオカメラ等の画像形成システム用のパン/チルト機構の改良する、パン/チルト機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1実施形態は、画像キャプチャリングシステム用のパン/チルト機器であって、基部と、前記基部に回転可能に接続され、前記基部に対して第1の軸を中心にして回転可能であるステージと、前記ステージに装着された光学機器であって、フレームと、前記フレームに接続され、第2の軸を中心にして旋回可能である磁気構造物と、前記磁気構造物に固定して接続される光学要素であって、入射軸に沿って方向づけられた画像を受け取り且つ前記画像を前記第1の軸に沿って方向づける手段を含む前記光学要素と、を含む前記光学機器と、前記基部に対して前記ステージの回転位置を制御するパン手段であって、前記光学要素に、前記第1の軸に対して選択されたパン角度を取らせる前記パン手段と、前記磁気構造物に加えられた磁場を変えるチルト手段であって、前記磁場の選択された変化が、前記磁気構造物を前記第2の軸を中心にして旋回させ、前記光学要素に、前記第2の軸に対して選択されたチルト角度を取らせる前記チルト手段と、を備えるパン/チルト機器である。
【0008】
本発明の第2実施形態は、画像キャプチャリングシステムであって、光学軸を有する画像キャプチャリング装置と、パン/チルト画像形成システムであって、前記画像キャプチャリング装置に固定して接続された基部と、前記基部に回転可能に接続され、前記光学軸を中心にして回転可能であるステージと、前記ステージに装着された光学機器であって、フレームと、前記フレームに接続され、チルト軸を中心にして旋回可能である磁気構造物と、前記磁気構造物に固定して接続されるミラーであって、入射軸に沿って方向づけられた画像を受け取り、前記画像を前記光学軸に沿って方向づけるように配置されるミラーと、を含む前記光学機器と、前記基部に対して前記ステージの回転位置を制御するパン機構であって、前記光学要素に、前記光学軸に対して選択されたパン角度を取らせる前記パン機構と、前記磁気構造物に加えられた磁場を変えるチルト機構であって、前記磁場の選択された変化が、前記磁気構造物を前記チルト軸を中心にして旋回させ、前記ミラーに、前記チルト軸に対して選択されたチルト角度を取らせる前記チルト機構と、を備える前記パン/チルト画像形成システムと、を備える画像キャプチャリングシステムである。
【0009】
本発明の第3実施形態は、光学システム用の非接触チルト機器であって、チルト軸を中心にして回転するように旋回可能に支持される磁気構造物と、前記磁気構造物に固定して接続されるミラーと、を含む光学機器と、永久磁石と、前記永久磁石を前記磁気構造物に対して位置決めする手段と、を含むチルト機構であって、前記永久磁石によって生成され且つ前記磁気構造物に加えられた磁場の選択された変化が、前記磁気構造物に、前記チルト軸を中心にして旋回させ、それによって、前記ミラーに、前記チルト軸に対して選択されたチルト角度を取らせるチルト機構と、を備える非接触チルト機器である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
下記の説明は、当業者が、特定の用途およびその要件のコンテクストで提供されるように、本発明を作り使用することができることを呈する。本願で使用されるように、「上部」、「上方に」、「下部」、「下方に」、「前部」、「後部」等の方向用語は、説明目的のために相対位置を提供するように意図され、絶対的な座標系を示すことは意図していない。加えて、「一体的に接続された」および「一体的に成形された」および「に一体的に形成された」というフレーズは、本願では、単一成形された構造物かまたは機械加工された構造物の2つの部分の間の接続関係を説明するのに使用され、「接続された」または「連結された」(「一体的に」という修飾語がない)という用語とは区別され、これらは、たとえば、接着剤、締結具、クリップまたは可動ジョイントによって結合される2つの別個の構造物を示す。好適な実施形態への様々な修正が、当業者には明らかであり、ここで規定された一般原則が、他の実施形態に適用されてもよい。したがって、本発明は、示され説明された特定の実施形態に限定されることを意図せず、本願に開示される原則および新規特徴に一致する最も広い範囲に合致するものである。
【0011】
図1は、本発明の汎用実施形態にしたがってカメラ101およびパン/チルト機器110を含む画像キャプチャリングシステム100を示す分解斜視図である。
【0012】
カメラ101は、画像キャプチャリング装置103(たとえば、電荷結合素子(CCD)またはCMOS画像形成チップ)と、光学軸Zに沿って進む光を画像キャプチャリング装置103に方向づけるように配列されるレンズ105と、を含む。1つの実施形態において、カメラ101は、基部111の下部表面に固定して接続され、カメラ101によってキャプチャされた光が、基部111を通って画成された開口115を通って進む。代替の実施形態(図示せず)において、カメラ101は、基部111の上部表面に装着されてもよい。カメラ101の特定のタイプは、本発明には重要ではないが、本発明は、比較的小さいフォームファクタのカメラ(たとえば、およそ1/3”(インチ)から1/4”の直径の開口部よりも小さい画像キャプチャリング装置を有する)に特に適している。
【0013】
パン/チルト機器110は、基部111と、基部111に装着された回転ステージ(回転部材)120であって、ステージ120が光学軸Z(図面では基部111に対して垂直に整列配置される)を中心にして回転可能な回転ステージ(回転部材)120と、パン機構140と、チルト機構150と、を含む。
【0014】
回転ステージ120は、中心開口125を画成する上部表面122を含み、基部の開口115上に装着される低プロファイル中空シャフト軸受127によって基部111に回転可能に支持され、点線矢印Aによって示されるように、回転ステージ120が光学軸Zを中心にして回転可能であるようにする。
【0015】
光学機器130は、ステージ120に装着され、光を、ステージの中心開口125および基部の開口115を通ってカメラ101へ下方に方向づけるように作用する。本発明の態様にしたがって、光学機器130は、フレーム132と、フレーム132に接続される磁気構造物134であって、磁気構造物134がフレーム132に対してチルト(水平)軸Tを中心にして旋回可能であるようにする(点線矢印Bによって示される)磁気構造物134と、磁気構造物134の前側部に固定して接続されるミラー(光学要素)135と、を含む。フレーム132は、図1には一般化された形態で描かれ、様々なタイプのフレームが、下記に開示される実施形態を参照して説明される。磁気構造物134は、所定のパターンに形成され、かつフレーム132に固定される磁性金属を含む。磁性金属材料は、たとえば、ニッケル、鉄、コバルト等の強磁性元素を含んでもよく、または、他の添加剤または少量の他の元素を含む不純物と共にこれら3つの磁性元素のいずれの組み合わせを含む金属合金もよい。最も望ましい磁性材料は、ソフトパーマロイ(たとえば、NiFe)、NiCo合金、または、パーメンジュール(典型的に少量のバナジウムを含むFeCo合金)を含む。そのような軟強磁性合金は、数種類の望ましい特質を共有する。第1に、最小ボウ(bow)を有する少なくとも1つの光学的に平らな表面で、数百ミクロンの範囲の厚さに非常に低い応力で容易に電気めっきされる。第2に、これらの合金は、軟強磁性材料であるため、磁気保磁力(magnetic coercivity)が低く、外部から加えられた磁界の極性および大きさを切り換えるときに、誘発磁気ヒステリシス(hysteresis)を最小限にするようにする。ミラー135は、公知の技術を使用して形成され、入射軸Iに沿って方向づけられるキャプチャされた画像に連結した光ビームを受け取り、光ビーム(画像)を、光学軸Zに沿ってカメラ101へ再方向づける。ミラー135は、磁気構造物134に一体的に接続されるかまたは別のやり方で装着される。従って、トーションバー136(フレーム132の2本のレッグの間に吊されている)によってチルト軸Tを中心にして磁気構造物134が旋回(チルト)することは、結果として、対応してチルト軸Tを中心にしてミラー135が旋回することになり、それは、トーションバー136によって画成される。代替の実施形態では、ミラー135は、1つまたはそれ以上の他の光学要素(たとえば、レンズ)に取って代わられてもよい。
【0016】
本発明の別の態様にしたがって、パン機構140は、基部111に対するステージ120(および、したがって、ミラー135)の回転位置Aを制御するように提供され、それによって、光学要素に、光学軸Zに対して選択されたパン角度を取らせる。一般化された実施形態において、パン機構140は、回転ステージ120に配置された動力構造物(たとえば、ウォームギア歯)129に係合するモータ145(たとえば、簡単な歯車付DCモータまたはステッピングモータ)を含み、ステージ120が軸Zを中心にして選択された量を回転するように、動力構造物129を操作する。図2Aおよび図2Bに示されるように、1つの特定の実施形態において、パンモータ145は、基部111に固定して装着され、外部の源(図示せず)から制御されて回転力を加え、これが、ミラー135を光学軸Zを中心にして選択されたパン角度へ選択的にパン(回転)する。これらの図面に示されるように、パン操作は、入射光ビームIの角度を変え、これが、ミラー135によって光学軸Zに沿って再方向づけられる。たとえば、図2Aに示された第1のパン位置A1(すなわち、任意に選択された基点Oからおよそ90度)から図2Bに示された第2のパン位置A2(すなわち、任意の基点Oからおよそ135度)へ動かすために、モータ145は、ステージ120をおよそ45度回転するように制御される。代替の実施形態では、パンモータ145は、基部111以外の構造物に装着されてもよいことに注意されたい。
【0017】
本発明のさらに別の態様にしたがって、チルト機構150は、磁気構造物134に加えられる磁場Hを選択的に変え、それによって、磁気構造物134はチルト軸Tを中心にして選択的に旋回し、それによってミラー135に、ステージ120に対して選択されたチルト角度Bを取らせる。1つの実施形態において、チルト機構150は、永久磁石152を含み、これは、磁気構造物134に加えられるように、磁場Hを変える(たとえば、強さおよび/または場勾配を調整する)ために、線状アクチュエータ155によってトラック154に沿って動くことができる。上述のように、ミラー135および磁気構造物134は、チルト軸Tを中心にして回転可能(旋回可能)であり、磁石152の強さおよび/または場勾配の調整が、磁気構造物134に磁気トルクを誘発し、それがミラー135を所望のチルト位置内に回転させるようにする。図3Aおよび図3Bに示されるように、1つの特定の実施形態において、モータ155は、基部111に固定して装着され、外部の源(図示せず)から制御されて平行移動力を加え、これが、磁石152を基部111に対して選択的に動かし、それによって、磁気構造物134に加えられる磁気トルクを変える。このようにして、ミラー135を、チルト軸Tを中心にして選択されたチルト角度へ選択式に回転する。磁石152の少量の線状運動を閉鎖空間で実現するために、多くの異なるタイプの低コストの小型線状アクチュエータを使用してもよい(たとえば、圧電効果に基づいた線状超音波モータまたは形状記憶合金線状アクチュエータ)。これらの図面に示されるように、チルト操作は、入射光ビームIの角度を変え、これは、ミラー135によって任意の水平軸Oに対して再方向づけられる。たとえば、図3Aに示された第1のチルト角度B1(すなわち、任意の基点Oの下およそ30度)から図3Bに示された第2のチルト角度B2(すなわち、任意の基点Oの上およそ30度)へ動くために、モータ155が駆動され、磁石152を、磁気構造物134下で所定の距離Xだけ動かす。
【0018】
チルト機構150のモデリングは、業界で公知の技術を使用して達成される。チルト軸Tのまわりのトルクは、磁石152によってかけられた外部磁場Hと、磁気構造物134の誘発された磁化との相互作用によって生成される。磁気構造物134/135は、相対的にディスク状の形状であるため、強力量の形状異方性エネルギがあり、これは、誘発された磁化を、磁気構造物の表面に沿って整列配置して保つ傾向がある。磁気構造物134/135の誘発された磁化と外部磁場Hとの間の相対角度のため、誘発されたトルクがあり、これは、磁化構造物134/135をチルト軸Tのまわりによじらせる傾向があり、そのため、磁化構造物134/135内の誘発された磁化は、外部磁場Hに再整列配置することができる。誘発されたトルクは、結果として、磁気構造物/ミラー134/135のねじれ運動になり、これは、トーションバー136によってフレーム132によって提供された機械的復元トルクによってバランスを取られる。所望のチルト角度Tを達成するために、所与のパン角度A用に、磁気構造物/ミラー134/135に対する永久磁石152の位置の間の関係は、公知の技術を使用して決定することができる。簡単で合理的な一次近似および推定値は、(a)外側場Mが均一であると想定することによって、(b)永久磁石152が強力であり且つ磁気構造物/ミラー134/135に十分に近く、磁気構造物/ミラーの飽和保磁力よりも大きい場強さを提供し、それによって、磁気構造物/ミラー134/135の磁化は大きさが一定であると想定することができると想定することによって、(c)簡単なトーションバーの等価物を使用してミラーが吊されていることによって、達成することができる。理想的には、磁気構造物134/135に磁化を誘発するために使用される永久磁石152は、永久磁石の磁束密度と称されることが多い非常に高い残留磁場Hを備えた硬強磁性材料から構成される。そのような強磁性材料の例は、焼結サマリウムコバルト、焼結ネオジム鉄ボロン、または、アルニコを含むが、それらに限定されない。
【0019】
上述のように、パン/チルト機器110は、パンモータ145および回転ステージ120によって360度のパンを容易にし、磁石152、チルトモータ155および磁気構造物134によって非常に広い範囲のチルト撓みを容易にする。非接触磁気作動を利用してチルト操作を行うことによって、パン/チルト機器110は、チルトモータ155を回転ステージ120に装着する必要なく、チルト位置決めを呈し、それによって、回転ステージ120に担持される重量を減少し、このようにして、パン作動モータ145の必要なサイズを減少する。さらに、永久磁石を使用して磁石152が実施されるときには、チルトモータ155は、所望のチルト角度が達成されたときにオフにすることができ、スタティック電力コストを発生しない(すなわち、パン/チルト機器110に供給されるすべての電力は、ひとたび所望のパン/チルト位置が達成されたときに、オフにされてもよい)。磁気作動の別の重要な利点は、その頑健さである。すなわち、磁場を使用してチルト作動を達成し、そのため、静電場は加えられず、したがって、装置パッケージングに厳しい要件はない。
【0020】
下記の特定の実施形態は、用途の特定の分野を参照して、本発明のさらなる詳細および特徴を述べ、それは、ビデオカメラ、ロボット工学、軍事偵察、医療用生体内画像形成システム、顕微鏡下カテーテル手術、および、相互ビデオテレビ会議用途を含む。ただし、それらに限定されない。
【0021】
図4は、本発明の第2の実施形態にしたがって、小型化された画像キャプチャリング装置の小型パン/チルトユニット用に設計されるパン/チルト機器210を示す斜視図である。汎用実施形態に類似して、パン/チルト機器210は、基部(たとえば、プリント基板)211と、基部211に装着された回転ステージ220と、回転ステージ220に装着された光学機器230と、双方とも基部211に装着されるパン機構240およびチルト機構250と、を含む。
【0022】
汎用実施形態に類似して、回転ステージ220は、中心開口225を画成し、それを通って光が、上述のやり方で、光学機器によって画像キャプチャリング装置(図示せず)へ方向づけられる。回転ステージ220は、上述のやり方で、基部開口上に装着される低プロファイルの中空シャフト軸受スピンドル227によって基部211に回転可能に支持される。軸受スピンドル227は、その周辺縁のまわりに配置された歯車227を含む。そのような小型中空シャフト軸受スピンドルは、ポータブルディスクドライブ用途に一般に使用される低コスト大量生産部品として販売されており、または、射出成形プラスチックからより安い価格でさえ販売されている。
【0023】
光学機器230は、上述のやり方で、回転ステージ220に装着され、光を下方へ、ステージの中心開口225を通ってカメラまたは他の画像キャプチャリング装置へ方向づけるように作用する。本発明の態様にしたがって、光学機器230は、フレームサポート231と、金属フレーム232と、を含む。金属フレーム232は、下記にさらに詳細に説明され、実質的に平らな部材であり、磁気構造物234およびミラー235を有し、これらは、トーションバー236によってフレーム232の側部部分に接続される。よって、磁気構造物234が、フレーム232に対してトーションバー236によって画成されるチルト(水平)軸を中心にして旋回可能であるようにする。磁気構造物234(および場合によってはミラー235)は、磁性材料を使用して形成される。フレームサポート231は、フレーム232を、回転ステージ220の上部表面に対しておよそ45度の角度で維持し、それによって、汎用実施形態で上述したものに類似したやり方で、ミラー235の操作を容易にする。
【0024】
本発明の新規態様にしたがって、フレームサポート231および金属フレーム232は、透明な容器238内部に装着され、それは、減衰流体(図示せず)で満たされてもよい。ミラー235の運動質量は小さいため、振動には敏感であると予測され、100Hzから1kHzの範囲の共鳴振動数を有し、外側テーピング振動に敏感であってもよい。振動を減衰し可能性のある行き過ぎを排除するために、透明な容器238を誘電性流体たとえば鉱油またはシリコーン油で満たすことができる。この減衰流体がミラー235の共鳴振動数を低下する一方、60Hzより上の共鳴振動数が依然として適切であるが、それは、大半のパン/チルトシステムの設定時間が、数秒の範囲であるからである。代替の減衰制御として、減衰流体がない場合には、ミラーと周辺フレームとの間の切り欠き領域をできるだけ小さく作り、したがって、それらの間の気流を限定し、抗力を増大する。加えて、磁気構造物の誘発された磁化と永久磁石の外部磁場との間に磁気減衰効果があることを経験的実験が示している。
【0025】
パン機構240は、中空シャフト軸受スピンドル227によって基部211に対してミラー235のパン角度を制御するために設けられる。パン機構240は、スピンドル227の歯車229に係合するウォームギア248を有するモータ245(たとえば、小型ステッピングモータまたはパルス式DCブラシまたはブラシレスモータ)を含み、ステッピングモータ245によるウォームギア248の回転が、回転ステージ220の選択された量の回転を生成する。
【0026】
本発明の実施形態の新規態様にしたがって、チルト機構250は、小型ステッピングモータ255の出力シャフトに装着された外側硬強磁性体(永久)252を含み、それは、基部211の下部表面に固定して装着される。チルト作動は、ステッピングモータ255を駆動することによって達成され、基部211の下で外側強磁性体252を回転する。外側強磁性体252の回転は、ニッケルまたは軟強磁性材料から形成される磁気構造物234の角度を、ねじれ梁(ヒンジ)236によって画成されたチルト軸を中心にして回転させる。上述の実施形態のように、磁気構造物234の回転は、ミラー235の表面を旋回(チルト)させる。この配列で、従来のパン/チルト機構に利用されるモータオンモータ形状が排除され、簡略化の観点で設計空間を劇的に広げ、フォームファクタを減少し、コストを減少する。
【0027】
このようにして、パン機構240の正確な詳細および使用されるモータの正確なタイプ(超音波またはインチウォーム系、DCブラシまたはブラシレス、ステッピング、MEMS静電気マイクロドライブ、または、ボイスコイルモータも使用することができる)とは無関係に、パンおよびチルトを作動させるために使用されるモータ245および255は、劇的にサイズを縮小することができるが、それは、これらのモータが駆動する必要がある荷重が、サイズおよび重量を劇的に減少するからである。加えて、従来のパン/チルト機構ではそうであるが、もはやモータオンモータ形状に一緒に連結されないため、相対配置には、かなり柔軟性がある。従来のMEMSアプローチとは異なり、パンモータ245および中空シャフト軸受スピンドル227は、完全360度パン範囲を提供し、チルトモータ255は、非常に小さい電力で広い角度のチルトを提供する。加えて、運動質量が小さいため、高スピードパンおよびチルトを達成することができる。パン/チルト機器210は、おそらく1立方インチ内に嵌ることができるが、依然として、主にカメラおよびディスクドライブ中空シャフト軸受に使用される既存の非常に低コストのモータから作ることができ、したがって、パン/チルト機器210を、多くの現在の且つ実現された小型高帯域低コストパン/チルトカメラ用途に適切にする。
【0028】
図5Aから図5Fは、上述の特定の実施形態に利用されたものに類似したミラーフレーム300を製造するための方法を示す。プロセスは、厚さが12から500ミクロンの範囲である磁気ホイル301の滑らかなシートで開始する(図5A)。図5Bに示されるように、ホイル301は、次いで、公知の技術を使用して光化学エッチングを受け、外側フレーム部分310および中心ミラー部分320を画成する。光化学エッチングは、磁気構造物の質量の中心を通って進む線に沿ってねじれヒンジを位置決めするために、前側部および後側部の両方に同時に行うことができる。図5Cは、その後のレーザカッティングプロセスを示す上面図であり、それを使用して、外側フレーム部分310と中心ミラー部分320との間にトーションバー(ヒンジ)330を画成する。ホイル301は、次いで、任意に、電解研磨を受け(図5D)、表面粗さを減少する。次に、反射金属層がトーションバー(ヒンジ)330に置かれ、それによって、ミラー表面335を形成する(図5E)。高い反射金属層は業界では公知であり、銀、アルミニウム、金、または、これらの合金の薄層を含むことができ、さらに、下にある磁気構造物に反射層が接着するのを高めるために、反射層の下に配置された薄い接着層(たとえば、クロム)を含むことができる。最後に、ホイル301は次いで、個別のミラーフレーム(ダイ)300に分断され(singulate)(図5F)、クリーニングされる。このプロセスは、ミラーフレームを製造するためのコスト効果的な方法を提供し、より高い容量の磁化を確実にする。電鋳および/または電気めっき技術を使用してパターン化された厚さの磁気フィルムを構築することによって、そのような一体化磁気構造物を形成することもまた可能である。加えて、ヒンジは、材料の弾性率を減少し高い歪の降伏変形を排除することによって運動の範囲を上げるために、磁気金属以外の異なる材料から作られてもよい。このようにして、薄いポリイミドのパターン化された層を使用して、ねじれヒンジを形成することができ、薄い磁気材料の2つの層の間にラミネートされることができる。上述の同一の光化学エッチング技術を使用して、ミラー品質表面を備えた磁気構造物を両側面に形成することができる。
【0029】
図6は、パン/チルト機器の一部、本発明の代替の実施形態にしたがって形成された光学要素430を示す図である。光学要素430は、たとえば、図4を参照して上述されたパン/チルト機器210の光学要素230の代わりに使用されてもよい。光学要素430は、簡単な低コストの応力金属プロセスを利用して、フレーム432を形成する。フレーム432は、ねじれヒンジ436を経由してフレーム432に取り付けられた磁気構造物434および小型ミラー435を上げ、そこで、高い光学平坦性のミラー435が、磁気構造物434の後ろの反対側(図示せず)に形成される。フレーム432は、数本の吊り梁を含み、それらは、固定端でガラス基板431に取り付けられ、磁気構造物/ミラー434/435は、ねじれヒンジ436を経由してこれらの梁の自由端に一体的に接続される。後述のように、フレーム432は、ガラス基板431から部分的に剥離され、梁内の内部応力が、磁気構造物/ミラー434/435を基板431から離れて上げる。先の実施形態と同様に、磁気構造物/ミラー434/435は、次いで、磁気構造物/ミラー434/435から1から20mm距離に配置された1つまたはそれ以上の小さな永久磁石(図示せず)を調整することによって、広い角度範囲上にチルトされることができる。図6は、基板431によって画成された平面からおよそ45度上げられた磁気構造物/ミラー434/435を示す。1つの実施形態において、磁気構造物/ミラー434/435は、薄い(1ミクロン)サポート層の頂部に形成された8ミクロン厚のニッケル層から構成される。フレーム432を形成する吊り梁は、公知の技術にしたがって、応力をかけられた金属が配置される区域を有する。磁気構造物/ミラー434/435および吊り梁の一部は、次いで、二フッ化キセノン剥離エッチングを使用して犠牲アモルファスシリコン層を除去(エッチング)することによって、基部から剥離される。磁気構造物434が電気めっきされるため、かなり粗い頂部表面を有し、この表面をミラーとして使用するために製作プロセスに研磨ステップを追加することを必要とすることに注意されたい。しかし、ミラー435は、磁気構造物434の後側部に位置しており、光学的に滑らかになり、剥離前に、高い反射性金属たとえば金でコーティングされることができ、したがって、たとえば、透明な基板431と組み合わせて使用されることができる。
【0030】
図7A、図7Bおよび図7Cは、小型でディスクタイプの希土類金属永久磁石(NdFeB)が磁気構造物/ミラー434/435の近辺(数mm)にもたらされ且つ基板の表面に平行な軸に沿って平行移動されたときの、光学要素430の拡大写真(顕微鏡画面例)である。磁石は、磁気構造物/ミラー434/435を構築する軟強磁性ニッケル層に力をかけ、ミラーの本体の平面を、磁石を囲繞する磁場線に整列配置させる傾向がある。図7A、図7Bおよび図7Cは、磁石(図示せず)の運動に応答した磁気構造物/ミラー434/435の作動を描く。図7Aは、およそ70度のチルド角度の磁気構造物/ミラー434/435を示し、図7Bは、およそ53度のチルド角度の磁気構造物/ミラー434/435を示し、図7Cは、およそ0度のチルド角度の磁気構造物/ミラー434/435を示す(すなわち、基板431の上部表面に対して押圧される)。
【0031】
図8Aから図8Gは、内視鏡用途およびボロスコープ用途におそらくより良好に適しているマイクロミラーを有する光学要素430を作るための別のプロセスを描く。磁気構造物/ミラー434/435の厚さは、厚フィルムフォトレジスト/SU8に限定されるため且つ均一にめっきすることによって、このプロセスは、直径およそ1.5mmまたはそれ以下のサイズまでの小さなミラーにほぼ限定される。
【0032】
図8Aを参照すると、プロセスは、アニールされていないガラス基板431で開始し、公知のPECVD技術を使用してa−Si剥離材料層510を配置することを含む。図8Bに示されるように、剥離材料層510は次いで、パターン化されドライエッチングされて、ビア(開口)515を提供し、これは、基板431の上部表面の一部を露出する。薄い接着およびミラー層517が配置される。そのような層は、接着のためにクロムまたはチタン、および、反射のために金、アルミニウムまたは銀から構成されることができる。
【0033】
図8Cを参照すると、マスク520が次いで剥離材料層510上でパターン化され、ニッケルがマスク520のウインドウを通って電気めっきされる。電気めっきされたニッケルを使用してミラー435を形成し、マスク520は開口515に整列配置され、支持梁支柱(固定端)530の形成を容易にし、それは、基板431の上部表面に実質的に延出する(すなわち、接着材料による)。
【0034】
図8Dに示されるように、支持梁マスク540が次いでミラー435上でパターン化され、トレンチ状ウインドウ(図示せず)が画成され、それが支持梁支柱530の上部表面からミラー435に隣接して位置する領域へ(すなわち、図6のフレーム432を形成するサポートアームの形状に)延出するようにする。ばねフィルム550が、次いで、制御されたやり方で、支持梁マスク540に形成されたトレンチ状ウインドウを通って形成され、支持梁支柱530からミラー435へ延出する支持梁を形成する。図9に示されるように、ばねフィルム550は、最も低い部分550L(すなわち、剥離材料層510に最も近くに位置するフィルム材料)が、最も高い部分550U(すなわち、剥離材料層510から最も遠くに位置するフィルム材料)よりも高い内部圧縮応力を有するように形成され(たとえば、スパッタリングされるかまたはめっきされ)、それによって、成長方向に内部応力変動を形成する(たとえば、応力勾配Δσ+、これは、基板431の上部表面に垂直な方向に増加する)。ばねフィルム550の厚さは、部分的には、選択されたばね材料、形成技術、所望のばね定数、および、最終ばね構造物の形状によって決定される。
【0035】
適切な応力勾配Δσ+(図9参照)を有するようにばねフィルム550を形成するためのスパッタリング系の方法は、たとえば、米国特許第3,842,189号(個となる内部応力を有する2つの金属を配置する)、および、米国特許第5,613,861号(たとえば、プロセスパラメータを変えながら単一の金属がスパッタリングされる)に教示されており、双方とも、その全体が参照してここに組み込まれる。1つの実施形態において、応力工学的なばね材料フィルム550は、ばね構造物を形成するのに適切な1つまたはそれ以上の金属を含む(たとえば、1つまたはそれ以上のモリブデン(Mo)、「モリクロム(moly−chrome)」合金(MoCr)、タングステン(W)、チタン−タングステン合金(Ti:W)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)およびニッケルジルコニウム合金(NiZr))。
【0036】
別の実施形態にしたがって、ばねフィルム550(たとえば、Ni、Cu、合金)は、電気めっきまたは無電解めっき技術を使用して、シード層(たとえば、Au、Ni)に置かれる。上述のスパッタリング実施形態に類似して、1つの実施形態において、プロセスパラメータはめっき中に変わり、適切な応力勾配Δσ+を生成するが、プロセスパラメータを変えずに適切なフィルムを形成することは可能である。本実施形態の態様にしたがって、めっきの化学的性質が使用されて、少なくとも2つの要素をフィルム内に置き、その後、たとえば、本願に記載されたアニーリングプロセスを使用して金属間層に変形されることができ、結果として得られたばね構造物を曲げて、その先端が、下にある基板表面から離れた目標距離に位置決めされるようにする。1つの特定の実施形態において、Auシード層は、リソグラフ的にパターン化され、次いで、順次、Ni3P(第1)溶液に露出され、これは、比較的圧縮性の下部ばね層部分を剥離層に形成し、次いで、Ni3B(第2)溶液に露出され、これは、比較的張力のある上部ばね層部分を下部ばね層部分に形成する。他のめっきされたばねタイプは、加えられた様々な硬化材料を備えたCuを含んでもよく、それらは、無電解めっきまたは電気めっきのいずれかを使用して形成される。Cuめっきプロセスは、たとえば、めっきプロセス中にパラメータを変えることによって(たとえば、めっきしながら現在の密度を変える)、または、異なる応力特性を備えた2つの異なるめっき槽を使用することによって、のいずれかで、応力勾配がめっきされた材料にめっき方向に形成されるように(すなわち、スパッタリング実施形態で上述されたものに類似して)、実行される。さらに別の代替の実施形態において、めっきは、電気めっき技術を使用して実行されてもよい(すなわち、適切なシード材料(たとえば、Au、図示せず)を剥離材料の上部表面に置いた後に)。剥離層210は、電気めっきを行うために、たとえばTi等の導電性材料でなければならないことに注意されたい。めっきされた材料は、連続層として形成され、次いで、後述のようにエッチングされて、個別のばね構造物を形成するか、または、ハードマスクを通ってめっきすることによって個別のばね構造物が直接形成されてもよいことにもまた注意されたい。
【0037】
図8Eを参照すると、支持梁マスクおよびその上に形成されたばね材料が、次いで、公知のリフトオフ技術を使用して除去され、厚いフォトレジスト磁気構造マスク560が、磁気構造物434を形成するために使用されるミラー435上でパターン化される。1つの実施形態において、磁気構造物434は、マスク560の開口を通ってNiを電気めっきすることによって形成される。
【0038】
図8Fに示されるように、すべての残っているマスク材料およびTi/Auの一部が、次いで、除去され、吊りレッグおよび磁気構造物/ミラー434/435を囲繞するa−Si犠牲剥離材料層510の上部表面部分512を露出する。次いで、XeF2エッチャントを使用して剥離材料層510を除去し、それによって、フレーム432の吊りレッグおよび磁気構造物/ミラー434/435を基板431から部分的に剥離し、図8Gに示されるように、ばね材料内の内部応力に、磁気構造物/ミラー434/435を基板431から離れて上げさせる。基板431は、次いで、XeF2剥離ステップ前にまたは後に、ダイスカットされて個別光学機器430を形成してもよいことに注意されたい。
【0039】
図10は、GRINレンズ660へ且つこれから光を方向づけるために光学機器430を利用するパン/チルト機構610を含む内視鏡的用途用の画像キャプチャリングシステム600の一部を示す斜視図である。光学機器430の基板431は、パンマイクロモータ645によって回転されるステージ620に装着される。チルト操作(すなわち、磁気構造物/ミラー434/435の撓み)は、GRINレンズ660を囲繞する非常に高いNターンコイル650によって容易にされ、非常に局所的な磁場勾配を生成し、これを調整して、上述のやり方でミラー435のチルトを生成する。光信号は、光バンドル670によってGRINレンズ660へ且つこれから伝達される。内視鏡用途を容易にするために、パンモータ645およびコイル650は、非常に小さい直径の円筒形軸に沿って配列される。コイル650の電界強度は永久磁石の電界強度に近づかないが、コイル650は、絶縁ガラスGRINレンズのまわりに置くことができるか、または、金属化GRINレンズにらせんコイル形状をレーザエッチングすることによって一体的に形成されることができる。GRINレンズおよびコイルアセンブリは、応力をかけられた金属マイクロミラーのすぐ隣に置かれ、生成された電界の強さを最大限にするようにし、応力をかけられた金属磁気マイクロミラーは、磁気構造物/ミラー434/435のわずかな質量のため減少したねじり剛性で作ることができる。装置600のパン/チルト機器全体は、困難な非平面ワイヤ結合を必要とせず、マイクロミラー基板431をステージ620にグルー接着する単一ステップのみであり、2.0mm未満の直径を有するシリンダ内に嵌ることができる。
【0040】
本発明は組み合わせパン/チルト機器を参照して述べられているが、本発明の新規非接触ラッチ可能(すなわち、いずれの保持位置で消費電力なし)ミラーチルト機構は、上述のパン/チルト配列とは無関係に利用されてもよい。たとえば、光ファイバの分野において、電力が止められたときでさえミラーの位置を維持するためのラッチ可能手段は、用途を切り換えるかルートづけるために望ましいが、小さなフォームファクタの装置で実施するのは非常に困難である。図11は、光学システム(たとえばトランシーバ)705およびチルト機構710を含む簡略化された光学切換機器700を描き、その中で、光学トランシーバ705によって生成された入射光ビームIINがチルト機構710の光学機器730に方向づけられ、光学機器730によって反射された脱出光ビームIOUTが光学装置705(または別の光学装置)へ戻るように方向づけられる。先の実施形態に類似して、光学機器730は、磁気構造物734と、軸T(端図で示される)を中心にしてチルト可能でありフレーム(図示せず)によって支持されるミラー表面735と、を含む。描かれたように、ミラー735のチルト角度は、出力ビームIOUTの場所を決定し、それによって、たとえば2つまたはそれ以上の出力光ファイバケーブルの間の選択的な切換を可能にする。先の実施形態と同様に、磁気構造物734およびミラー表面735のチルトは、チルト機構750によって達成され、それは、永久磁石752と、制御可能な線状式にまたは回転式に磁石752を動かすように作用的に配置されるモータ755と、を含む。この非接触チルト配列は非常に望ましいが、それは、光学機器730が、密封されてもよいエンクロージャ760によって囲繞されるかまたは部分的に囲繞されることを可能にし、一方、モータ755は、密封と不適合な材料を有することが多く、エンクロージャ760の内部または外部に位置してもよいからである。磁気構造物734に加えられた局所磁場を変えるために、多くの異なるタイプの小型モータを使用して永久磁石752を動かすことができる。特に、モータ755は、磁石752の線状平行移動用に小型圧電インチウォーム装置から構成されることができ、または、磁石752のポール(poll)の角度回転用に精密ステッピングモータから構成されることができる。磁気構造物/ミラーのチルトの位置の精密な制御が必要な場合には、低コストの小さなフォームファクタの磁気ホール(hall)位置センサを使用して、磁気構造物のチルト角度の精密な調整を確実にするためにエンクロージャの内部または外部のいずれかにフィードバック信号を提供することができる。そのような非接触ラッチ可能チルト機構は、光の1つまたはそれ以上の入射または出力光線を備えた光ファイバ切換用途には非常に望ましいことがある。
【0041】
本発明は一定の特定の実施形態を参照して述べてきたが、本発明の発明的特徴は他の実施形態にも同様に適用可能であることは当業者には明らかであり、それらの実施形態はすべて、本発明の範囲内に入ることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態にしたがったカメラおよびパン/チルト機器を含む画像キャプチャリングシステムを示す分解斜視図である。
【図2A】図1のパン/チルト機器のパン操作を示す上部平面図である。
【図2B】図1のパン/チルト機器のパン操作を示す上部平面図である。
【図3A】図1のパン/チルト機器のチルト操作を示す側立面図である。
【図3B】図1のパン/チルト機器のチルト操作を示す側立面図である。
【図4】本発明の別の実施形態にしたがったパン/チルト機器を示す斜視側面図である。
【図5A】本発明の実施形態にしたがったパン/チルト機器の磁気ミラー構造物を形成する方法を示す簡略化された断面図である。
【図5B】本発明の実施形態にしたがったパン/チルト機器の磁気ミラー構造物を形成する方法を示す簡略化された断面図である。
【図5C】本発明の実施形態にしたがったパン/チルト機器の磁気ミラー構造物を形成する方法を示す簡略化された立面図である。
【図5D】本発明の実施形態にしたがったパン/チルト機器の磁気ミラー構造物を形成する方法を示す簡略化された断面図である。
【図5E】本発明の実施形態にしたがったパン/チルト機器の磁気ミラー構造物を形成する方法を示す簡略化された断面図である。
【図5F】本発明の実施形態にしたがったパン/チルト機器の磁気ミラー構造物を形成する方法を示す簡略化された立面図である。
【図6】湾曲した応力(stressy)金属系レッグを使用して支持基板の平面から上げられ、このようにして、磁気構造物に、ねじれ軸に沿った大きな程度のよじれおよびチルト方向に沿った撓みを可能にするねじれヒンジを備えた磁気構造物を示す斜視図である。
【図7A】操作中の応力金属系光学要素を示す図面である。
【図7B】操作中の応力金属系光学要素を示す図面である。
【図7C】操作中の応力金属系光学要素を示す図面である。
【図8A】図6の応力金属系光学要素を製作する方法を示す簡略化された断面図である。
【図8B】図6の応力金属系光学要素を製作する方法を示す簡略化された断面図である。
【図8C】図6の応力金属系光学要素を製作する方法を示す簡略化された断面図である。
【図8D】図6の応力金属系光学要素を製作する方法を示す簡略化された断面図である。
【図8E】図6の応力金属系光学要素を製作する方法を示す簡略化された断面図である。
【図8F】図6の応力金属系光学要素を製作する方法を示す簡略化された断面図である。
【図8G】図6の応力金属系光学要素を製作する方法を示す簡略化された断面図である。
【図9】図8Aから図8Gの製作方法中に応力金属系光学要素の支持梁が形成されるのを示す断面図である。
【図10】本発明の特別の実施形態にしたがった内視鏡画像キャプチャリングシステムを示す斜視図である。
【図11】本発明の別の実施形態にしたがった光学システム用の非接触チルト機器を示す簡略化された図である。
【符号の説明】
【0043】
100 画像キャプチャリングシステム
101 カメラ
103 画像キャプチャリング装置
105 レンズ
110 パン/チルト機器
111 基部
115 開口
120 回転ステージ
122 上部表面
125 中心開口
127 低プロファイル中空シャフト軸受
129 動力構造物
130 光学機器
132 フレーム
134 磁気構造物
135 ミラー
136 トーションバー
140 パン機構
145 モータ、パンモータ
150 チルト機構
152 永久磁石
154 トラック
155 モータ、チルトモータ、線状アクチュエータ
210 パン/チルト機器
211 基部
220 回転ステージ
225 中心開口
227 中空シャフト軸受スピンドル、歯車
229 歯車
230 光学機器
231 フレームサポート
232 金属フレーム
234 磁気構造物
235 ミラー
236 トーションバー、ねじれ梁(ヒンジ)
238 透明な容器
240 パン機構
245 モータ、パンモータ、ステッピングモータ
248 ウォームギア
250 チルト機構
252 外側強磁性体
255 モータ、チルトモータ、小型ステッピングモータ
300 ミラーフレーム
301 磁気ホイル
310 外側フレーム部分
320 中心ミラー部分
330 トーションバー(ヒンジ)
430 光学要素、光学機器
431 ガラス基板
432 フレーム
434 磁気構造物
435 ミラー
436 ねじれヒンジ
510 剥離材料層
512 上部表面部分
515 ビア(開口)
517 接着およびミラー層
520 マスク
530 支持梁支柱(固定端)
540 支持梁マスク
550 ばねフィルム
560 磁気マスク
600 画像キャプチャリングシステム
610 パン/チルト機構
620 ステージ
645 パンモータ
650 コイル
660 GRINレンズ
670 光バンドル
700 光学切換機器
705 光学システム、光学トランシーバ、光学装置
710 チルト機構
730 光学機器
734 磁気構造物
735 ミラー表面、ミラー
752 永久磁石
755 モータ
760 エンクロージャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像キャプチャリングシステム用のパン/チルト機器であって、
基部と、
前記基部に回転可能に接続され、前記基部に対して第1の軸を中心にして回転可能であるステージと、
前記ステージに装着された光学機器であって、
フレームと、
前記フレームに接続され、第2の軸を中心にして旋回可能である磁気構造物と、
前記磁気構造物に固定して接続される光学要素であって、入射軸に沿って方向づけられた画像を受け取り且つ前記画像を前記第1の軸に沿って方向づける手段を含む前記光学要素と、
を含む前記光学機器と、
前記基部に対して前記ステージの回転位置を制御するパン手段であって、前記光学要素に、前記第1の軸に対して選択されたパン角度を取らせる前記パン手段と、
前記磁気構造物に加えられた磁場を変えるチルト手段であって、前記磁場の選択された変化が、前記磁気構造物を前記第2の軸を中心にして旋回させ、前記光学要素に、前記第2の軸に対して選択されたチルト角度を取らせる前記チルト手段と、
を備えるパン/チルト機器。
【請求項2】
画像キャプチャリングシステムであって、
光学軸を有する画像キャプチャリング装置と、
パン/チルト画像形成システムであって、
前記画像キャプチャリング装置に固定して接続された基部と、
前記基部に回転可能に接続され、前記光学軸を中心にして回転可能であるステージと、
前記ステージに装着された光学機器であって、
フレームと、
前記フレームに接続され、チルト軸を中心にして旋回可能である磁気構造物と、
前記磁気構造物に固定して接続されるミラーであって、入射軸に沿って方向づけられた画像を受け取り、前記画像を前記光学軸に沿って方向づけるように配置されるミラーと、
を含む前記光学機器と、
前記基部に対して前記ステージの回転位置を制御するパン機構であって、前記光学要素に、前記光学軸に対して選択されたパン角度を取らせる前記パン機構と、
前記磁気構造物に加えられた磁場を変えるチルト機構であって、前記磁場の選択された変化が、前記磁気構造物を前記チルト軸を中心にして旋回させ、前記ミラーに、前記チルト軸に対して選択されたチルト角度を取らせる前記チルト機構と、
を備える前記パン/チルト画像形成システムと、
を備える画像キャプチャリングシステム。
【請求項3】
光学システム用の非接触チルト機器であって、
チルト軸を中心にして回転するように旋回可能に支持される磁気構造物と、前記磁気構造物に固定して接続されるミラーと、を含む光学機器と、
永久磁石と、前記永久磁石を前記磁気構造物に対して位置決めする手段と、を含むチルト機構であって、前記永久磁石によって生成され且つ前記磁気構造物に加えられた磁場の選択された変化が、前記磁気構造物に、前記チルト軸を中心にして旋回させ、それによって、前記ミラーに、前記チルト軸に対して選択されたチルト角度を取らせるチルト機構と、
を備える非接触チルト機器。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−306727(P2008−306727A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148923(P2008−148923)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(502096543)パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド (393)
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
【Fターム(参考)】