説明

携帯端末、プログラム及び入力制御方法

【課題】操作対象のキーを適切に特定することが可能な携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯端末は、タッチパネルを備え、前記タッチパネルの表示領域に配置されている複数のキー毎に、当該キーに対する操作を当該キーのキー表示領域に対する接触によって受け付け、前記複数のキー毎に、当該キーに対して受け付けた接触箇所の当該キーのキー表示領域内の基準位置に対する相対位置を算出し、前記複数のキーについての前記相対位置の算出が完了した後に、前記タッチパネルへの新たな接触を受け付けた場合に、受け付けた接触箇所と、前記複数のキーのうちの少なくとも当該接触箇所から所定範囲内にある2以上のキーについての各相対位置とに基づいて、当該2以上のキーのうちの1つのキーを操作対象として特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを備える携帯端末に関し、特に、ユーザインタフェースの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルを備える携帯端末においては、一般的に、ユーザが指等を接触させたタッチパネル上の接触位置と、携帯端末における認識位置とのずれを補正するための処理(いわゆるキャリブレーション)が行われる。
タッチパネルを構成するタッチセンサとLCD(Liquid Crystal Display)等との位置ずれや、経年変化や使用環境の影響により、ユーザが指等を接触させたタッチパネル上の接触位置と、携帯端末における認識位置とにずれが生じる場合があるためである。
【0003】
このキャリブレーションを適切に行うための技術として、例えば、特許文献1〜5が知られている。
特許文献1及び2の技術は、タッチパネル上の複数の位置に、タッチ位置を示す画像を表示し、その画像の表示位置への接触を受け付け、受け付けた接触位置と画像の表示位置との各差分が所定値以内である場合に、接触位置を補正するための直線近似式を算出するというものである。
【0004】
また、特許文献3の技術は、ユーザの視点位置を検出し、タッチパネルの接触位置を、検出した視点位置に応じて決定されるずれ量分補正するというものである。
また、特許文献4、5の技術は、ユーザが通常の操作を行っている際に、タッチパネル上のある表示物の表示位置への接触があった場合に、その接触位置と表示物の重心とに基づいて、接触位置を補正するための換算式を生成するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2008−108275号公報
【特許文献2】特開2000−089913号公報
【特許文献3】特開平09−044310号公報
【特許文献4】特開2006−139655号公報
【特許文献5】特開2000−089913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、タッチパネルを備える携帯端末の中には、タッチパネル上に表示されている複数のキー(いわゆるソフトウェアキー)を用いて入力を行うものがある。
ソフトウェアキーを用いて入力を行った場合、各キーにおける指等の接触箇所に関してユーザの指の形状、指の角度、タッチパネルとユーザとの距離と視野角等により、ユーザ固有の特徴があらわれると考えられる。
【0007】
例えば、あるキーにおける接触箇所は、そのキーの中央より右上方向にずれるが、他のキーにおける接触位置は、そのキーの中央より右下方向にずれるといったような特徴である。
しかしながら、このようなソフトウェアキーを用いて入力を行う携帯端末に、上記特許文献1〜5のキャリブレーション技術を適用した場合、タッチパネル上のいずれのキーに対しユーザの指等が接触された場合でも一律の補正が施されるため、携帯端末が認識する操作対象のキーが、ユーザが意図したキーとは異なるキーに特定され得る。
【0008】
そこで、本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、操作対象のキーを適切に特定することが可能な携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯端末は、タッチパネルを備え、当該タッチパネルへの入力に基づいて処理を実行する携帯端末であって、前記タッチパネルの表示領域に配置されている複数のキー毎に、当該キーに対する操作を当該キーのキー表示領域に対する接触によって受け付ける受付部と、前記複数のキー毎に、当該キーに対して前記受付部が受け付けた接触箇所の当該キーのキー表示領域内の基準位置に対する相対位置を算出する算出部と、前記算出部による前記複数のキーについての前記相対位置の算出が完了した後に、前記タッチパネルへの新たな接触を受け付けた場合に、受け付けた接触箇所と、前記複数のキーのうちの少なくとも当該接触箇所から所定範囲内にある2以上のキーについての各相対位置とに基づいて、当該2以上のキーのうちの1つのキーを操作対象として特定する特定部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記構成を備える本発明に係る携帯端末によれば、操作対象のキーを適切に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態に係る携帯電話機100の閉状態及び開状態の外観を示す図
【図2】キャリブレーション用画面G1の表示例を示す図
【図3】ソフトウェアキーD1に対するユーザ操作例を示す図
【図4】キャリブレーション用画面G2の表示例を示す図
【図5】キャリブレーション用画面G3の表示例を示す図
【図6】キャリブレーション用画面G4の表示例を示す図
【図7】携帯電話機100の主要部の機能構成を示すブロック図
【図8】エリア情報テーブル10のデータ構成及び内容例を示す図
【図9】Qキーの左上座標値及び右下座標値と平均ずれ量と差分値との関係を説明するための図
【図10】携帯電話機100の制御部156による相対位置算出処理を示すフローチャート
【図11】携帯電話機100の制御部156によるキー特定処理を示すフローチャート
【図12】タッチパネル110にメール画面が、タッチパネル120にソフトウェアキーが表示されている様子を示す図
【図13】エリア情報テーブル20のデータ構成及び内容例を示す図
【図14】変形携帯電話機の変形制御部による変形相対位置算出処理を示すフローチャート
【図15】変形携帯電話機の変形制御部による変形キー特定処理を示すフローチャート
【図16】複数のキーの補正範囲が重複する場合において操作対象のキーを特定する方法を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る携帯端末の実施の形態としての携帯電話機について説明する。
≪実施の形態≫
<装置構成>
まず、実施の形態に係る携帯電話機100の装置構成について説明する。
図1(a)は、携帯電話機100の閉状態の外観を示す斜視図であり、図1(b)は、携帯電話機100の開状態の外観を示す斜視図であり、図1(c)は、携帯電話機100の開状態の外観を示す正面図である。
【0013】
携帯電話機100は、図1(a)〜(c)に示されるように、第1筐体1と第2筐体2とが相対的に移動可能な、いわゆるスライド式の端末であり、第1筐体1、第2筐体2、及び第1筐体1と第2筐体2とを連結する連結機構4、4’を備えている。
第1筐体1には、タッチパネル110、スピーカ7及びマイク8が備えられており、第2筐体2には、タッチパネル120及び開閉検出センサ130が備えられている。
【0014】
なお、開閉検出センサ130は、後述するように、携帯電話機100が開状態なのか、閉状態なのかを検出するセンサである。
連結機構4は、図1(a)、(b)に示すように、第1筐体1の側面と第2筐体2の側面とを互いに連結するための連結駒5とピン30、31とを有している。また、連結機構4’は、第1筐体1の側面と第2筐体2の側面とを互いに連結するための連結駒5’とピン30’、31’とを有している。なお、ピン30’、31’については、図示していない。ピン30、30’は第1筐体1に枢支されると共に、ピン31、31’は第2筐体2にスライド可能に係合している。
【0015】
また、第2筐体2の連結機構4が備えられる側面には、図1(a)、(b)に示すように、ピン31がスライド可能となるようガイド溝6が設けられている。なお、第2筐体2の連結機構4’が備えられる側面においても、同様に、ピン31’がスライド可能となるようガイド溝6’(図示せず)が設けられている。
携帯電話機100は、図1(a)に示すように、第2筐体2に第1筐体1が重ね合わさり、タッチパネル120が視認できない閉状態から、連結機構4、4’により、ピン31、31’がガイド溝6、6’に沿ってスライドすることにより、第1筐体1が第2筐体2の表面に沿って移動し、その後、ピン30、30’それぞれがピン31、31’それぞれを中心として回転することにより、図1(b)、(c)に示すように、第1筐体1の表面と第2筐体2の表面とが略同一平面上に揃う開状態となり、タッチパネル110及び120が視認可能になる。
【0016】
<キャリブレーション用画面>
次に、携帯電話機100において表示されるキャリブレーション用画面について説明する。
図2は、キャリブレーション用画面G1の表示例を示す図である。
このキャリブレーション用画面G1は、携帯電話機100の運用開始時や、携帯電話機100が所定のユーザ操作を受け付けた際に、携帯電話機100において表示される。
【0017】
キャリブレーション用画面G1には、ソフトウェアキーD1及び文字列D5が含まれており、携帯電話機100は、自機の開閉状態が「閉」であり、筐体の向きが「縦」であるとした場合にユーザが視認できるように、キャリブレーション用画面G1を表示する。
ここで、ソフトウェアキーD1には、特に、それぞれ異なるアルファベットの文字を表す複数のキーが含まれている。
【0018】
なお、同図において、ソフトウェアキーD1中に実線で表される矩形で示す各範囲は、各キーの範囲を示しており、ユーザが各キーの範囲を視認できるようにするために表示されている。
また、以下の説明では、ユーザが各キーの範囲に指等を接触させることを、キーへの接触を行う、又はキーを選択するということとする。
【0019】
また、文字列D5は、いわゆるパングラムと呼ばれる、アルファベット26文字の全てを含むように構成された文字列(自然文)である。
携帯電話機100のユーザは、キャリブレーション用画面G1が表示されているときに、この画面に含まれている文字列D5を構成する各文字を表すキーを順に選択していく。
図3は、図2においてタッチパネル110に表示されている文字列D5を構成する各文字を表す各キーを順に、ユーザが操作している様子を示している。
【0020】
なお、同図では、ユーザが既に指等を接触させたキーに対応する文字の部分を、下線付きの太字で示している(文字列D5’参照)。即ち、図3は、「The qui」を表す各キー(「T」、「h」、「e」、「 」(スペース)、「q」、「u」、「i」)に対し、順にユーザが指等を接触させた直後の様子を示している。
携帯電話機100は、ユーザがキーに対し指等を接触させると、その接触箇所のそのキーに対する相対位置を算出し記憶する。
【0021】
各キーについて算出された相対位置は、例えば、あるキーを選択する際には、接触箇所が、そのキーの基準位置(以下では、中央とする)より上方向にずれるといったユーザの入力の特徴が反映されたものになる。
上述のように文字列D5は、アルファベット26文字の全てを含むように構成されているため、携帯電話機100は、アルファベット26文字のキー毎に、そのキーに対する上記相対位置を算出し、記憶することになる。
【0022】
携帯電話機100は、この各キーについての相対位置の算出を、携帯電話機100の使用状態(開閉状態及び筐体の向き)毎に行う(図4〜6参照)。
即ち、携帯電話機100は、自機の開閉状態が「閉」であり、筐体の向きが「横」であるとした場合にユーザが参照できるように、キャリブレーション用画面G2を表示し(図4参照)、各キーについての相対位置の算出を行う。同様に、キャリブレーション用画面G3を表示させ、各キーについての相対位置の算出を行い、キャリブレーション用画面G4を表示させ、各キーについての相対位置の算出を行う。
【0023】
このように、携帯電話機100は、使用状態毎に、各キーについての相対位置を予め算出し記憶しておくことで、その後に、ユーザがキーを操作したときに、そのキーに対する接触箇所を、そのときの携帯電話機100の使用状態に応じたそのキーについての相対位置を用いて補正することができる。
即ち、使用状態毎に、各キーについて算出した相対位置は、携帯電話機100のユーザの入力の特徴が反映されたものであるため、そのユーザによるキーの接触の箇所に基づいて、適切に操作対象のキーを特定することが可能になる。
【0024】
なお、本実施の形態では、接触とは、ユーザの指、顔等の身体やタッチペン等が各タッチパネルに接触した状態をいう他、ユーザの指、顔等の身体やタッチペン等、各タッチパネルの静電容量を変化させるものが、各タッチパネルの静電容量を所定の閾値以上に変化させる程度に各タッチパネルに近接した状態を含む。
また、携帯電話機100の各タッチパネルに表示されるキャリブレーション用画面に配置されるキーの種類、並び順、及び配置は一例であり、適宜変更することができる。
【0025】
<機能構成>
図7は、携帯電話機100の主要部の機能構成を示すブロック図である。
携帯電話機100は、同図に示すように、タッチパネル110、タッチパネル120、開閉検出センサ130、加速度センサ131、記憶部140、及び制御部156を備える。
【0026】
なお、携帯電話機100は、通常の携帯電話機が備える通信部や、図1で示したスピーカ7、マイク8等を備えるが、同図では、図示を省略している。また、携帯電話機100は、プロセッサ及びメモリを含んで構成されており、制御部156の機能は、上述のメモリに記憶されているプログラムを上述のプロセッサが実行することにより実現される。
ここで、タッチパネル110は、表示部111と入力部112とを、タッチパネル120は、表示部121と入力部122とを備える。
【0027】
各表示部は、LCDを含み、制御部156からの指示を受けて文字やアイコン等の画像をLCDに表示する回路である。各LCDの画素数は、一例として480×800画素であるものとする。なお、LCDの画素数は、480×800画素に限定されるものではなく、適宜、他の画素数とすることもできる。
また、各入力部は、ユーザによる接触を検出し、検出している間、単位時間(例えば、25ms)毎に、その接触位置の座標値(x,y)を制御部156に送出する回路であり、例えば、静電容量方式のタッチセンサにより実現される。
【0028】
なお、図5に示すように、各タッチパネルの左上の頂点の座標値は(0,0)であるものとし、右下の頂点の座標値は(479,799)であるものとする。
開閉検出センサ130は、携帯電話機100が開状態と閉状態とのいずれの状態であるかを示す信号を制御部156に出力する機能を有し、例えば、第1筐体1に埋め込まれた磁石の磁力を検知するホールセンサにより実現される。
【0029】
加速度センサ131は、携帯電話機100に生じる地面方向への重力を加速度として検出し、検出結果を示す信号を制御部156に出力する機能を有し、例えば、3軸加速度センサにより実現される。
記憶部140は、エリア情報テーブル10を記憶するためのメモリ領域である。
エリア情報テーブル10のデータ構成等については、後に詳細に説明するが、エリア情報テーブル10は、携帯電話機100の使用状態(開閉状態及び筐体の向き)毎に、各キーの位置を示す情報(左上座標値及び右下座標値)及び相対位置を示す情報(平均ずれ量及び差分値)を登録したテーブルである(図8参照)。
【0030】
以下では、キーについての相対位置の一例として、そのキーに対するユーザの接触箇所の座標値から、そのキーの中心座標値を引いた値(以下、「ずれ量」という)を用いて説明する。
制御部156は、一般的な携帯電話機が有する制御機能の他、特に、携帯電話機100の使用状態(開閉状態及び筐体の向き)毎に、各キーについての相対位置を算出する機能と、算出した各相対位置を用いて、ユーザの指等の接触箇所に対応するキーを、ユーザ操作の対象として特定する機能を有する。
【0031】
制御部156は、受付部150、算出部151、状態特定部152、キー特定部153、表示制御部154、処理実行部155を含んで構成される。
ここで、受付部150は、各タッチパネルへの接触を受け付ける、即ち、各入力部から送出された座標値を受領する機能と、座標値の受領に基づいて、接触の有無を検出する機能を有する。
【0032】
算出部151は、受付部150が受領した座標値に基づいて、携帯電話機100の使用状態(開閉状態及び筐体の向き)毎に、各キーについての相対位置を算出し、記憶部140のエリア情報テーブル10に登録する機能を有する。
状態特定部152は、開閉検出センサ130及び加速度センサ131から出力された各信号に基づいて携帯電話機100の使用状態を特定する機能を有する。
【0033】
筐体の向きには、各筐体1、2が、縦長になる向き(以下、「縦向き」という)と、横長になる向き(以下、「横向き」という)とがある。
状態特定部152は、加速度センサ131から出力された信号に基づいて、縦向きと横向きとのうち、より近い向きに、携帯電話機100の筐体の向きに特定する。
キー特定部153は、記憶部140のエリア情報テーブル10に登録されている、状態特定部152が判定した携帯電話機100の使用状態に対応する各キーについての相対位置を示す情報を用いて、受付部150が受領した、ユーザの指等の接触箇所の座標値を補正した補正箇所の座標値を算出し、算出した補正箇所の座標値に基づいて、ユーザ操作の対象となるキーを特定する機能を有する。
【0034】
表示制御部154は、各表示部への表示を制御する機能を有し、特に、携帯電話機100の各使用状態におけるキャリブレーション用画面(G1〜G4)や、処理実行部155による処理結果の画面を表示部111又は各表示部(111、121)に表示する機能を有する。
処理実行部155は、ユーザ操作に応じて既定の処理を行う機能を有し、特に、キー特定部153が特定したキーを入力として各種処理を実行する機能を有する。
【0035】
<データ>
以下では、携帯電話機100が使用するデータについて、図8を用いて説明する。
図8は、エリア情報テーブル10のデータ構成及び内容例を示す図である。
エリア情報テーブル10は、同図に示すように、開閉状態11、筐体の向き12、キーID13、パネルID14、左上座標値15、右下座標値16、平均ずれ量17、差分値18を対応付けて構成される情報である。
【0036】
なお、同図に示すx1〜x7、x11〜x24、x30〜x33、y1〜y7、y11〜y24、y30〜y33は、具体的な数値を表しているものとする。
ここで、開閉状態11は、携帯電話機100が開状態か閉状態かを示す情報であり、筐体の向き12は、携帯電話機100の各筐体が縦向きか横向きかを示す情報である。
また、キーID13は、キーの識別情報であり、この例では、ソフトウェアキーを構成する各キーのキーIDとして、その配置順に1ずつ増加させた数字を用いている。
【0037】
即ち、図2、4〜6に示すように、左上に配置されるキー(Qキー)のキーIDは「1」であり、同じ行の最右に配置されるキー(Pキー)のキーIDは「10」、次の行の最左に配置されるキー(Aキー)のキーIDは「11」であり、右下に配置されるキー(エンタキー)のキーIDは「35」である。
また、パネルID14は、対応するキーIDが示すキーが配置されるタッチパネルの識別情報であり、この例では、タッチパネル110のパネルIDは「1」であり、タッチパネル120のパネルIDは「2」であるものとしている。
【0038】
左上座標値15は、対応するキーIDが示すキーの範囲(矩形領域)の左上の頂点の座標値であり、右下座標値16は、そのキー範囲の右下の頂点の座標値である。
なお、左上座標値15及び右下座標値16は、携帯電話機100のメーカにより予め登録されている。
また、平均ずれ量17は、対応する携帯電話機の使用状態における各キーについてのずれ量の平均値である。
【0039】
ここで、キーについてのずれ量とは、そのキーに対しユーザが指等を接触させた際の接触箇所の、そのキーの中心に対するずれ量のことをいう。
また、差分値18は、対応する携帯電話機の使用状態において、対応するキーIDが示すキーについてのずれ量から対応する平均ずれ量を減じた値である。
同図は、例えば、開閉状態が「閉」であり、筐体の向きが「縦」である場合のキーIDが「1」であるキー(Qキー)の範囲の左上座標値は「(x11,y11)」、右下座標値は「(x12,y12)」であり、平均ずれ量は「(x30,y39)」であり、差分値は「(x1,y1)」であることを示している。
【0040】
ここで、各キーの左上座標値及び右下座標値と平均ずれ量と差分値との関係について、携帯電話機100の開閉状態が「閉」であり、筐体の向きが「縦」である場合におけるQキーを例に説明する。
図9は、Qキーの左上座標値及び右下座標値と平均ずれ量と差分値との関係を説明するための図である。
【0041】
同図では、携帯電話機100の開閉状態が「閉」であり、筐体の向きが「縦」である場合に表示されるキャリブレーション用画面G1のソフトウェアキーD1のみを示しており、携帯電話機100の筐体などは省略している。
ここで、接触箇所P1は、キャリブレーション用画面G1において、ユーザがQキーに指等を接触させた場合に、受付部150が入力部112から受領した座標値に対応する位置を示している。
【0042】
左上座標値(x11,y11)及び右下座標値(x12,y12)で特定される矩形領域で示されるQキーの範囲の中心((x11+x12)/2,(y11+y12)/2)に対する接触箇所P1の相対位置(x10−(x11+x12)/2,y10−(y11+y12)/2)が、Qキーのずれ量である。
このキャリブレーション用画面G1において、他のアルファベットの文字を表すキー(Wキー〜Mキー)に対するユーザの指等の接触を受け付け、ずれ量についても算出し、アルファベット26文字を表す全てのキーのずれ量の平均値(平均ずれ量)を算出する。なお、図8では、記載を簡略化するために、この平均ずれ量を(x30,y30)として記載している。
【0043】
また、算出したQキーのすれ量からこの平均ずれ量を減じた値(x10−(x11+x12)/2−x30,y10−(y11+y12)/2−y30)が差分値である。なお、図8では、記載を簡略化するために、この差分値を(x1,y1)と記載している。
<動作>
次に、上記構成を備える携帯電話機100の動作について、図10、11を用いて説明する。
【0044】
<相対位置算出処理>
図10は、携帯電話機100の制御部156による相対位置算出処理を示すフローチャートである。
同図に示す相対位置算出処理は、携帯電話機100の運用開始時及び所定のユーザ操作を受け付けた場合に開始される。
【0045】
まず、制御部156は、携帯電話機100の使用状態を示すフラグを「1」に初期化する(ステップS1)。
以下では、フラグが「1」である場合には、携帯電話機100の開閉状態が「閉」であり、筐体の向きが「縦」であることを示すものとする。また、フラグが「2」である場合には、開閉状態が「閉」であり、筐体の向きが「横」であることを、フラグが「3」である場合には、開閉状態が「開」であり、筐体の向きが「縦」であることを、フラグが「4」である場合には、開閉状態が「閉」であり、筐体の向きが「横」であることをそれぞれ示すものとする。
【0046】
表示制御部154は、フラグの内容に応じた画面を表示部111又は各表示部(111、121)に表示させる(ステップS2)。
以下では、「1」〜「4」であるフラグに応じた各画面は、キャリブレーション用画面G1〜キャリブレーション用画面G4(図2、図4〜図6参照)であるものとする。
なお、表示制御部154は、フラグに応じたキャリブレーション用画面を表示させる場合に、記憶部140のエリア情報テーブル10において、フラグが示す携帯電話機100の使用状態(開閉状態及び筐体の向き)と対応付けられている各キーの左上座標値及び右下座標値で特定される位置に各キーを表示させる。
【0047】
例えば、フラグが「1」であり、キャリブレーション用画面G1を表示部111に表示させる場合において、Qキーの範囲を示す矩形は、左上の頂点の座標値が(x11,y11)、右下の頂点の座標値が(x12,y12)になる位置に表示されることになる。
なお、表示制御部154は、キャリブレーション用画面G2〜G4を表示させる際も、キャリブレーション用画面G1を表示させる場合と同様に、エリア情報テーブル10に基づいて特定される位置に各キーの範囲を示す矩形を表示させる。
【0048】
続いて、状態特定部152は、開閉検出センサ130及び加速度センサ131から出力された各信号に基づいて、実際の携帯電話機100の使用状態(開閉状態及び筐体の向き)を特定し、フラグが示す使用状態と一致するか否かを判定し(ステップS3)、一致しない間(ステップS3:NO)、ステップS3の処理を繰り返し実行する。
実際の携帯電話機100の使用状態と、フラグが示す使用状態とが一致する場合に(ステップS3:YES)、算出部151は、文字列D5を構成する各文字を表す全てのキーについてのずれ量の算出を完了したか否かを判定する(ステップS4)。
【0049】
各ずれ量の算出が完了してない場合には(ステップS4:NO)、算出部151は、ずれ量の算出が完了していないキーのうち、キーIDが最小であるキーを選択する。以下、この選択したキーを、「対象キー」という。
また、受付部150は、いずれかの入力部から座標値を受領したか否かに基づいて、ユーザが指等をいずれかのタッチパネルに接触させたか否かを判定する(ステップS5)。
【0050】
いずれの入力部からも座標値を受領していない場合、受付部150は、ユーザが指等を接触させていないと判定し(ステップS5:NO)、再びステップS5の処理を実行する。
また、いずれかの入力部から座標値を受領した場合には、受付部150は、ユーザが指等を接触させたと判定し(ステップS5:YES)、算出部151は、対象キーの中心の座標値に対する、受領した座標値、つまり、接触箇所の座標値のずれ量を算出する(ステップS6)。
【0051】
ステップS6の処理を完了すると、算出部151は、再びステップS4から処理を行い、文字列D5を構成する各文字を表す全てのキーについてのずれ量の算出を完了した場合には(ステップS4:YES)、算出した各ずれ量の平均値(平均ずれ量)を算出し、フラグが示す使用状態と対応付けて、記憶部140のエリア情報テーブル10に登録する(ステップS7)。
【0052】
また、算出部151は、算出した文字列D5を構成する各文字を表す全てのキーについて、そのキーについて算出したずれ量から平均ずれ量を減じた値(差分値)を算出し、フラグが示す使用状態と対応付けて、そのキーの差分値として記憶部140のエリア情報テーブル10に登録する(ステップS8)。
また、算出部151は、フラグが「4」であるか否かを判定する(ステップS9)。
【0053】
フラグが「4」である場合には(ステップS9:YES)、制御部156は、相対位置算出処理を終了し、フラグが「4」でない場合には(ステップS9:NO)、フラグの値を1増加させて(ステップS10)、再びステップS2から処理を行う。つまり、携帯電話機100の未処理の使用状態における、文字列D5を構成する各文字を表す全てのキーについての差分値と平均ずれ量とを算出する。
【0054】
<特定処理>
図11は、携帯電話機100の制御部156によるキー特定処理を示すフローチャートである。
なお、以下の説明を開始する時点において、携帯電話機100の処理実行部155は、例えば、図12に示すように、ソフトウェアキーを用いて入力を行うアプリケーション(この例ではメールアプリケーション)を実行しているものとする。
【0055】
図11に示すように、制御部156の状態特定部152は、開閉検出センサ130及び加速度センサ131から出力された各信号に基づいて携帯電話機100の使用状態(開閉状態及び筐体の向き)を特定する(ステップS11)。
受付部150は、いずれかの入力部から座標値を受領したか否かに基づいて、ユーザが指等をいずれかのタッチパネルに接触させたか否かを判定する(ステップS12)。
【0056】
いずれの入力部からも座標値を受領していない場合、受付部150は、ユーザが指等を接触させていないと判定し(ステップS12:NO)、再びステップS12の処理を実行する。
いずれかの入力部から座標値を受領した場合には、受付部150は、ユーザが指等を接触させたと判定し(ステップS12:YES)、キー特定部153は、表示しているソフトウェアキーを構成する全てのキーについて、以下説明するステップS14の処理を行ったか否かを判定する(ステップS13)。
【0057】
全てのキーについての処理を完了した場合には(ステップS13:YES)、制御部156は、再びステップS11から処理を行う。
また、全てのキーについての処理を完了してない場合には(ステップS13:NO)、キー特定部153は、未処理のキーのうち、キーIDが最小であるキー(対象キー)を選択し、ステップS11で特定した使用状態と対応付けられている平均ずれ量と、対象キーの差分値と左上座標値及び右下座標値とを、記憶部140のエリア情報テーブル10から取得する。
【0058】
なお、上述の相対位置算出処理(図10参照)では、ソフトウェアキーのうち、文字列D5を構成する各文字(アルファベット26文字)を表すキー以外のキーについての差分値は算出されず、つまり、アルファベット26文字を表すキー以外のキーについての差分値は、エリア情報テーブル10に登録されないことになる。
従って、対象キーの差分値がエリア情報テーブル10に登録されていない場合には、キー特定部153は、差分値が「0」であるものとして以下の処理を行う。
【0059】
キー特定部153は、ステップS12で受領した接触箇所の座標値から、取得した平均ずれ量及び差分値を減じて、補正箇所の座標値を算出し(ステップS14)、算出した補正箇所の座標値が、対象キーの範囲(取得した左上座標値及び右下座標値で特定される矩形領域)に含まれるか否かを判定する(ステップS15)。
キー特定部153は、補正箇所の座標値が対象キーの範囲に含まれない場合には(ステップS15:NO)、再びステップS13から処理を行い、補正箇所の座標値が対象キーの範囲に含まれる場合には(ステップS15:YES)、キー特定部153は、対象キーをユーザ操作の対象と特定する(ステップS16)。
【0060】
処理実行部155は、このユーザ操作の対象であるキーを入力として処理を行い、制御部156は再びステップS11から処理を行う。
≪変形例≫
上記実施の形態では、各キーについてのずれ量(平均ずれ量及び差分値)を用いて、携帯電話機100のキー特定部153が、ユーザ操作の対象となるキーを特定する場合について説明した。
【0061】
以下では、上記ずれ量の代わりに、各キーの範囲を補正した補正範囲を用いて、ユーザ操作の対象となるキーを特定する場合について説明する。
この変形例に係る携帯電話機(以下、「変形携帯電話機」ともいう)は、実施の形態に係る携帯電話機100のキー特定部153の機能と、エリア情報テーブル10のデータ構成を若干変更したものである。従って、ここでは、変更部分を中心に説明する。
【0062】
<データ>
まず、変形携帯電話機が使用するデータについて、図13を用いて説明する。
図13は、エリア情報テーブル20のデータ構成及び内容例を示す図である。
エリア情報テーブル20は、同図に示すように、開閉状態11、筐体の向き12、キーID13、パネルID14、左上座標値15、右下座標値16、補正左上座標値21、補正右下座標値22を対応付けて構成される情報である。
【0063】
なお、実施の形態で説明したのと同様に、同図に示すx1〜x7、x11〜x24、x30〜x33、x41〜x53、y1〜y7、y11〜y24、y30〜y33、y41〜y53は、具体的な数値を表しているものとする。
エリア情報テーブル20は、実施の形態に係るエリア情報テーブル10の平均ずれ量17及び差分値18に代えて、補正左上座標値21及び補正右下座標値22を含む点で、エリア情報テーブル10とは異なる。
【0064】
ここで、補正左上座標値21は、対応するキーIDが示すキーの範囲の補正後の範囲(矩形領域)の左上の頂点の座標値であり、補正右下座標値22は、その補正後の範囲の右下の頂点の座標値である。
同図は、例えば、開閉状態が「閉」であり、筐体の向きが「縦」である場合のキーIDが「1」であるキー(Qキー)の範囲の左上座標値は「(x11,y11)」、右下座標値は「(x12,y12)」であり、補正左上座標値は「(x41,y41)」、補正右下座標値は「(x42,y42)」であることを示している。
【0065】
<動作>
次に、変形携帯電話機の動作について説明する。
<変形相対位置算出処理>
まず、変形携帯電話機の制御部(以下、「変形制御部」という)による相対位置算出処理(以下、「変形相対位置算出処理」という)について図14を用いて説明する。
【0066】
図14は、変形携帯電話機の変形制御部による変形相対位置算出処理を示すフローチャートである。
同図に示すように、変形相対位置算出処理は、実施の形態で説明した図10に示す相対位置算出処理のステップS7及びS8に代えて、ステップS20を含む点で、図10に示す相対位置算出処理とは異なる。
【0067】
以下、このステップS20の処理を中心に説明する。
変形制御部は、実施の形態に係る制御部156と同様に、ステップS1〜S6の処理を行う。
即ち、変形制御部は、フラグの初期化処理を行い(ステップS1)、表示制御部154は、フラグの内容に応じた画面の表示制御処理を行い(ステップS2)、状態特定部152は、実際の携帯電話機100の使用状態とフラグが示す使用状態とが一致するか否かの判定処理を行う(ステップS3)。
【0068】
実際の携帯電話機100の使用状態とフラグが示す使用状態とが一致する場合に(ステップS3:YES)、算出部151は、文字列D5を構成する各文字を表す全てのキーについてのずれ量の算出を完了したか否かの判定処理を行う(ステップS4)。
各ずれ量の算出が完了してない場合に(ステップS4:NO)、受付部150は、ユーザが指等をいずれかのタッチパネルに接触させたか否かの判定処理を行い(ステップS5)、ユーザが指等を接触させたと判定した場合に(ステップS5:YES)、算出部151は、対象キーの中心の座標値に対する接触箇所の座標値のずれ量の算出処理を行い(ステップS6)、再びステップS4から処理を行う。
【0069】
文字列D5を構成する各文字を表す全てのキーについてのずれ量の算出を完了した場合に(ステップS4:YES)、変形制御部のキー特定部(以下、「変形キー特定部」という)は、ソフトウェアキーを構成する各キーについての補正左上座標値及び補正右下座標値を算出する(ステップS20)。
ここで、アルファベット26文字を表す各キーについては、ステップS6で算出したそのキーについてのずれ量を、そのキーの範囲(左上座標値及び右上座標値)に加えた値をそのキーの補正左上座標値及び補正右下座標値とし、フラグが示す使用状態と対応付けて、記憶部140のエリア情報テーブル20に登録する。
【0070】
また、図10のステップS7と同様に、平均ずれ量の算出を行い、ソフトウェアキーを構成する各キーのうち、アルファベット26文字を表す各キー以外のキーについては、そのキーの範囲(左上座標値及び右上座標値)に平均ずれ量を加えた値をそのキーの補正左上座標値及び補正右下座標値とし、フラグが示す使用状態と対応付けて、記憶部140のエリア情報テーブル20に登録する。
【0071】
続いて、算出部151は、フラグの値の判定処理を行い(ステップS9)、フラグが「4」である場合に(ステップS9:YES)、変形制御部は変形相対位置算出処理を終了し、フラグが「4」でない場合に(ステップS9:NO)、フラグの値を1増加させて(ステップS10)、再びステップS2から処理を行う。
<変形キー特定処理>
次に、変形携帯電話機の変形制御部によるキー特定処理(以下、「変形キー特定処理」という)について図15を用いて説明する。
【0072】
図15は、変形携帯電話機の変形制御部による変形キー特定処理を示すフローチャートである。
同図に示すように、変形キー特定処理は、実施の形態で説明した図11に示すキー特定処理のステップS13〜S16に代えて、ステップS21〜S25を含む点で、図11に示すキー特定処理とは異なる。
【0073】
以下、このステップS21〜S25の処理を中心に説明する。
変形制御部は、実施の形態に係る制御部156と同様に、ステップS11及びS12の処理を行う。
即ち、変形制御部の状態特定部152は、変形携帯電話機の使用状態の特定処理を行い(ステップS11)、受付部150は、ユーザが指等をいずれかのタッチパネルに接触させたか否かの判定処理を行う(ステップS12)。
【0074】
受付部150が、ユーザが指等を接触させたと判定した場合に(ステップS12:YES)、変形キー特定部は、表示しているソフトウェアキーを構成する全てのキーについて、以下説明するステップS22の処理を行ったか否かを判定する(ステップS21)。
全てのキーについての処理を完了してない場合に(ステップS21:NO)、変形キー特定部は、未処理のキーのうち、キーIDが最小であるキー(対象キー)を選択し、ステップS11で特定した使用状態と対応付けられている対象キーについての補正左上座標値及び補正右下座標値を記憶部140のエリア情報テーブル20から取得する。
【0075】
また、変形キー特定部は、ステップS12で受付部150が受領した接触箇所の座標値が、対象キーの補正後の範囲(取得した補正左上座標値及び補正右下座標値で特定される矩形領域)に含まれるか否かを判定し(ステップS22)、再びステップS21の処理を行う。
全てのキーについての処理を完了した場合に(ステップS21:YES)、変形キー特定部は、ステップS22において、ステップS12で受付部150が受領した接触箇所の座標値が、対象キーの補正後の範囲に含まれると判定した対象キーの数を判定する(ステップS23)。
【0076】
該当する対象キーの数が「0」である場合には(ステップS23:0)、特に何も処理を行うことなく、変形制御部は、再びステップS11から処理を行う。
また、該当する対象キーの数が1つである場合には(ステップS23:1)、この対象キーをユーザ操作の対象と特定し(ステップS24)、また、該当する対象キーの数が2つ以上である場合には(ステップS23:2以上)、該当する対象キーのうちの1つの対象キーを選択し、選択した対象キーをユーザ操作の対象と特定し(ステップS25)、変形制御部は、再びステップS11から処理を行う。
【0077】
なお、ステップS25では、例えば、該当の対象キーのうち、キーIDが最小であるキーを選択する。
≪補足≫
以上、本発明に係る携帯端末を、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、以下のように変形することも可能であり、本発明は上述した実施の形態及び変形例で示した通りの携帯電話機に限られないことは勿論である。
【0078】
(1)変形例では、変形キー特定処理(図15参照)において、接触箇所が補正範囲に含まれるキーの数が複数ある場合に(ステップS23:2以上)、この複数の対象キーのうち、キーIDが最小であるキーをユーザ操作の対象として選択するものとして説明した(ステップS25)。しかしながら、該当する複数の対象キーから1つのキーを選択する方法はこれに限らない。
【0079】
ここで、接触箇所が補正範囲に含まれるキーの数が複数ある場合、複数のキーの補正範囲が重複していることになる。
図16は、複数のキーの補正範囲が重複する場合において操作対象のキーを特定する方法を説明するための図である。
例えば、図16(a)は、2つのキーの補正範囲A1と補正範囲A2の間に重複範囲A3が存在し、この重複範囲A3に、ユーザの接触箇所P2が含まれる場合を示している。
【0080】
なお、図16(a)では、補正範囲A1を点線で、補正範囲A2を一点鎖線で示している。
図16(a)に示すように2つのキーの範囲が重複する場合に、図16(b)に示すように、補正範囲A1とA2とを、補正範囲A11とA21とに変更し、ユーザの接触箇所P2が含まれる変更後の補正範囲(同図では補正範囲A11)に対応する対象キーを選択するようにしてもよい。
【0081】
ここで、変更後の補正範囲A11は、重複範囲A3を等分して得られる2つの範囲(A31及びA32)のうちの補正範囲A1に隣接する範囲A31と、補正範囲A1とからなるものである。
また、変更後の補正範囲A21は、重複範囲A3を等分して得られる2つの矩形範囲(A31及びA32)のうちの補正範囲A2に隣接する範囲A32と、補正範囲A2とからなるものである。
【0082】
また、例えば、図16(c)は、2つのキーの補正範囲A4と補正範囲A5との間に重複範囲A6が存在し、この重複範囲A6に、ユーザの接触箇所P3が含まれる場合を示している。
なお、図16(c)では、補正範囲A4を点線で、補正範囲A5を一点鎖線で示している。
【0083】
図16(c)に示すように2つのキーの補正範囲がずれて重複する場合に、図16(d)に示すように、補正範囲A4とA5とを、台形の形状である補正範囲A41とA51とに変更し、ユーザの接触箇所P3が含まれる変更後の補正範囲(同図では補正範囲A41)に対応する対象キーを選択するようにしてもよい。
ここで、変更後の補正範囲A41は、重複範囲A6を等分して得られる2つの三角形の範囲(A61及びA62)のうちの補正範囲A4に隣接する範囲A61と、補正範囲A4とからなるものである。
【0084】
また、変更後の補正範囲A51は、重複範囲A3を等分して得られる2つの三角形の範囲(A61及びA62)のうちの補正範囲A5に隣接する範囲A62と、補正範囲A5とからなるものである。
(2)変形例では、変形キー特定処理(図15参照)において、全てのキーについて、接触箇所がそのキーの補正範囲に含まれるか否かを判定し(ステップS21、S22)、接触箇所が補正範囲に含まれるキーの数に応じて、操作対象を特定する(ステップS23〜S25)ものとして説明した。しかしながら、全てのキーについて接触箇所がそのキーの補正範囲に含まれるか否かを判定せずに、接触箇所が補正範囲に含まれると最初に判定されたキーを操作対象と特定するようにしてもよい。
【0085】
即ち、ステップS21で全てのキーの処理が完了していない場合に(ステップS21:NO)、ステップS22の処理に進み、接触箇所がそのキーの補正範囲に含まれると判定した場合に、ステップS24の処理を行い、再びステップS11から処理を行うようにする。また、一方、ステップS21で全てのキーの処理が完了したと判定した場合に(ステップS21:YES)、再びステップS11から処理を行うようにする。
【0086】
(3)実施の形態では、キー特定処理(図11参照)において、ユーザの指等の接触箇所を補正した補正箇所が、その範囲に含まれると最初に判定されたキーを操作対象として特定するものとして説明したが(ステップS15、S16)、これ以外の方法で操作対象を特定するようにしてもよい。
例えば、各キーのうち、そのキーの中心と補正箇所との距離が最短であるキーを操作対象として特定してもよい。
【0087】
変形例、及び上記(1)の変形で説明した操作対象のキーの特定方法についても、同様に、各キーのうち、そのキーの補正後の範囲の中心と、ユーザの指等の接触箇所との距離が最短であるキーを操作対象として特定してもよい。
(4)変形例では、エリア情報テーブル20に示すように、各キーについての補正箇所(補正左上座標値及び補正右下座標値)を予め算出しておくものとして説明したが、実施の形態で説明したエリア情報テーブル10を用いるようにし、ユーザが操作を行おうとタッチパネルに指等を接触させた場合に、各キーについての補正箇所を算出するようにしてもよい。
【0088】
(5)実施の形態では、アルファベット26文字を含む文字列D5をユーザに入力させ、相対位置を算出するものとして説明したが、これに限らず、例えば、ひらがな50文字を含む文字列をユーザに入力させるようにしてもよい。このひらがな50文字を含む文字列は、文字列D5と同様、自然文であることが望ましく、一例として、いろは歌を用いることが考えられる。
【0089】
また、実施の形態では、ソフトウェアキーにはアルファベット26文字を表す各キーが含まれているものとして説明したが、ひらがな50文字を表す各キーが含まれるものとしてもよい。
また、ソフトウェアキーには、アルファベットやひらがな等の文字以外にも、数字、記号等も含めることができると共に、shiftキー、スペースキー、リターンキー、ファンクションキー、テンキー、方向キー等も含めることができる。
【0090】
(6)実施の形態で説明したキー特定処理(図11参照)のステップS14及びS15の処理、及び変形例で説明した変形キー特定処理(図15参照)のステップS22の処理は、ソフトウェアキーを構成する全てのキーについて行うものとして説明した(図11のステップS13、図15のステップS21参照)。
しかしながら、ユーザの指等の接触があった際に、エリア情報テーブル(10又は20)において、そのときの携帯電話機100の実際の使用状態と対応付けられている、キーの範囲(左上座標値及び右下座標値で特定される矩形範囲)が、ユーザの接触箇所(座標値)から一定範囲内にあるキーを特定し、特定したキーについてのみ、上記処理(ステップS14及びS15の処理、又はステップS21の処理)を行うようにしてもよい。
【0091】
(7)実施の形態及び変形例に係る携帯電話機は、各キャリブレーション用画面(G1〜G4)を表示させ、ユーザに各キャリブレーション用画面に表示されている文字列D5を構成する各文字を表すキーを操作させることで、携帯電話機の各使用状態における各キーについての相対位置を算出するものとして説明した。
しかしながら、各キャリブレーション用画面(G1〜G4)のうちの一部のキャリブレーション用画面を表示させ、そのキャリブレーション用画面に表示されている文字列D5を構成する各文字を表すキーをユーザに操作させるようにしてもよい。
【0092】
即ち、携帯電話機の各使用状態のうちの一部については、ユーザ操作に基づいて各キーについての相対位置を算出するようにし、その他の使用状態については、ユーザ操作に基づいて算出してある各キーについての相対位置(以下、「直接算出した相対位置」ともいう)に基づいて、算出するようにしてもよい。
例えば、キャリブレーション用画面G1を表示させて、文字列D5を構成する各文字を表すキーをユーザに操作させて、携帯電話機100の開閉状態が「閉」であり、筐体の向きが「縦」である場合における各キーについての相対位置を直接算出し、この直接算出した相対位置に基づいて、その他の使用状態における各キーについての相対位置を算出するようにしてもよい。
【0093】
その他の使用状態における各キーについての相対位置の算出は、例えば、各キーについての相対位置を直接算出する際に表示するキャリブレーション用画面(上述の例では、G1)における各キーの縦横の大きさと、その他のキャリブレーション用画面(上述の例では、G2〜G4)における各キーの縦横の大きさとの比率に比例するように決定することが考えられる。
【0094】
例えば、キャリブレーション用画面G1におけるQキーの縦の大きさが「a0」で、横の大きさが「b0」で、相対位置(例えば、ずれ量が(x0,y0))であり、キャリブレーション用画面G2におけるQキーの縦の大きさが「a1」で、横の大きさが「b1」である場合には、キャリブレーション用画面G2におけるQキーのずれ量を(x0×a1/a0,y0×b1/b0)と算出することができる。
【0095】
(8)実施の形態及び変形例では、各表示部のLCDの画素数は同一であり、LCDの形状は、略矩形状であるものとして説明したが、各LCDの画素数は異なってもよいし、各LCDの形状は、例えば、円形状、その他多角形状であってもよい。
(9)実施の形態及び変形例に係る携帯電話機は、スライド式の携帯電話機であるものとして説明したが、折りたたみ式や、ストレートタイプ等の他の外観を有する携帯電話機であってもよい。
【0096】
また、実施の形態及び変形例に係る携帯電話機は、2つのタッチパネルを備えるものとして説明したが、各タッチパネルの配置は、実施の形態で説明したように、各タッチパネルが略同一平面上に配置される場合に限られず、また、1つのタッチパネルのみを備えるものや、3つ以上のタッチパネルを備えるものとしてもよい。
また、実施の形態及び変形例に係る携帯電話機では、キャリブレーション用の文字列D5がタッチパネルに表示される例を説明したが、このような場合に限定されず、キャリブレーション用の文字列D5が表示される画面は、タッチパネル以外の表示画面、例えば、タッチパネル機能を有していないLCD、有機EL(Electro−Luminescence)等の表示画面にキャリブレーション用の文字列D5が表示されるとしてもよい。
【0097】
(10)実施の形態及び変形例に係る各タッチパネルの入力部は、静電容量方式のタッチセンサにより実現するものとして説明したが、この静電容量方式のタッチセンサとして、多数の電極パターンをプラスチックやガラス等の基板上に形成し、接触点の近傍の複数の電極パターンによる電流量の比率を計測することで判別する投影型や、導電膜と基板とを有して構成され、基板の隅に電極を設け、導電膜による均一な電界を形成し、指等の接触による隅の端子の電流量の比率を計測して接触位置を判別する表面型等、適宜なものを用いることができる。
【0098】
また、各タッチパネルの入力部は、静電容量方式のタッチセンサにより実現される場合に限らず、電子ペン等の専用のペンを用いる電磁誘導方式や、2層構造の透明電極からなるマトリクススイッチ方式や、2枚の抵抗膜の1枚に電圧を印加し、他方の抵抗膜において操作した位置に応じた電圧を検知する抵抗膜方式や、振動波の跳ね返りを圧電素子の電圧変化によって検出し、指等の接触を検知する表面弾性波方式や、遮光された赤外線により指等が接触した位置を検出する赤外線方式や、画面に光センサを組み込んで接触位置を検知する光センサ方式等により実現されてもよい。
【0099】
(11)実施の形態及び変形例において説明した各構成要素のうち、全部又は一部を1チップ又は複数チップの集積回路で実現してもよいし、コンピュータのプログラムで実現してもよいし、その他どのような形態で実現してもよい。
また、実施の形態及び変形例において説明した各構成要素は、携帯電話機が有するプロセッサと協働することにより、その機能を実現する。
【0100】
(12)実施の形態及び変形例において説明した携帯電話機の処理(図10、11、14、15参照)をプロセッサに実行させるためのプログラムを、記録媒体に記録し又は各種通信路等を介して、流通させ頒布することもできる。このような記録媒体には、ICカード、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等がある。流通、頒布されたプログラムは、機器におけるプロセッサで読み取り可能なメモリ等に格納されることにより利用に供され、そのプロセッサがそのプログラムを実行することにより実施の形態及び変形例で示した携帯電話機の各機能が実現される。
【0101】
(13)実施の形態及び変形例に係る携帯電話機に、上記(1)〜(12)の一部又は全部の変形を組み合わせて適用してもよい。
(14)以下、更に本発明の一実施形態に係る携帯端末の構成及びその変形例と各効果について説明する。
(a)本発明の実施の形態に係る携帯端末は、タッチパネルを備え、当該タッチパネルへの入力に基づいて処理を実行する携帯端末であって、前記タッチパネルの表示領域に配置されている複数のキー毎に、当該キーに対する操作を当該キーのキー表示領域に対する接触によって受け付ける受付部と、前記複数のキー毎に、当該キーに対して前記受付部が受け付けた接触箇所の当該キーのキー表示領域内の基準位置に対する相対位置を算出する算出部と、前記算出部による前記複数のキーについての前記相対位置の算出が完了した後に、前記タッチパネルへの新たな接触を受け付けた場合に、受け付けた接触箇所と、前記複数のキーのうちの少なくとも当該接触箇所から所定範囲内にある2以上のキーについての各相対位置とに基づいて、当該2以上のキーのうちの1つのキーを操作対象として特定する特定部とを備える。
【0102】
また、本発明の実施の形態に係るプログラムは、タッチパネルを備え、当該タッチパネルへの入力に基づいて処理を実行する携帯端末におけるプロセッサに、入力制御処理を行わせるためのプログラムであって、前記入力制御処理は、前記タッチパネルの表示領域に配置されている複数のキー毎に、当該キーに対する操作を当該キーのキー表示領域に対する接触によって受け付ける受付ステップと、前記複数のキー毎に、当該キーに対して前記受付ステップで受け付けた接触箇所の当該キーのキー表示領域内の基準位置に対する相対位置を算出する算出ステップと、前記算出ステップによる前記複数のキーについての前記相対位置の算出が完了した後に、前記タッチパネルへの新たな接触を受け付けた場合に、受け付けた接触箇所と、前記複数のキーのうちの少なくとも当該接触箇所から所定範囲内にある2以上のキーについての各相対位置とに基づいて、当該2以上のキーのうちの1つのキーを操作対象として特定する特定ステップとを含む。
【0103】
また、本発明の実施の形態に係る入力制御方法は、タッチパネルを備え、当該タッチパネルへの入力に基づいて処理を実行する携帯端末における入力制御方法であって、前記タッチパネルの表示領域に配置されている複数のキー毎に、当該キーに対する操作を当該キーのキー表示領域に対する接触によって受け付ける受付ステップと、前記複数のキー毎に、当該キーに対して前記受付ステップで受け付けた接触箇所の当該キーのキー表示領域内の基準位置に対する相対位置を算出する算出ステップと、前記算出ステップによる前記複数のキーについての前記相対位置の算出が完了した後に、前記タッチパネルへの新たな接触を受け付けた場合に、受け付けた接触箇所と、前記複数のキーのうちの少なくとも当該接触箇所から所定範囲内にある2以上のキーについての各相対位置とに基づいて、当該2以上のキーのうちの1つのキーを操作対象として特定する特定ステップとを含む。
【0104】
この携帯端末は、タッチパネルの表示領域に配置されているキー毎に、そのキーのキー表示領域に対して受け付けた接触箇所のそのキー表示領域内の基準位置に対する相対位置を予め算出しておき、ユーザが操作を行おうとタッチパネルに指等を接触させた場合に、予め算出してある上記相対位置に基づいて、操作対象のキーを特定する。
従って、この携帯端末によれば、操作対象のキーを適切に特定することが可能になる。
【0105】
(b)また、前記複数のキーは、相互に異なる文字を表したものであり、前記携帯端末は、前記複数のキーが配置されている前記タッチパネルの表示領域とは異なる所定の表示領域に、前記キーを表す文字から構成される文字列を表示させる表示制御部を備え、前記受付部は、前記文字列を構成する各文字を表す前記キーに対する操作を受け付けることとしてもよい。
【0106】
この携帯端末は、ユーザに入力させたい各キーに対応する文字列をタッチパネルに表示させるので、ユーザはこの文字列を参照しながら、この文字列を構成する各文字を表すキーの入力を行うことができる。
従って、この携帯端末は、ユーザにより行われる指等の接触がいずれのキーに対する操作であるかを容易に判定することができるので、各キーについての相対位置の算出を正確に行うことができる。
【0107】
(c)また、前記算出部は、前記複数のキー毎に、当該キー内の前記基準位置から受け付けた接触箇所までのずれ量を、当該キーについての前記相対位置として算出するものであり、前記特定部は、前記2以上のキー毎に、そのキーについて前記算出部が算出したずれ量に基づいて、前記タッチパネルにおける接触箇所を補正し、当該2以上のキーのうち、補正後の接触箇所が前記キー表示領域に含まれる1つのキーを前記操作対象として特定することとしてもよい。
【0108】
この携帯端末は、複数のキー毎に、そのキーのキー表示領域内の基準位置からユーザが指等を接触させた箇所までのすれ量を算出しておき、ユーザが操作を行おうとタッチパネルに指等を接触させた場合に、ずれ量により補正した補正後の接触箇所に基づいて、操作対象を特定する。
従って、この携帯端末によれば、操作対象を特定するために、複数のキーそれぞれについてのタッチパネル上の表示領域を示す情報を記憶しておくだけで足りるため、メモリ使用量の増大を抑制できる。
【0109】
(d)また、前記特定部は、前記複数のキー毎に、前記算出部が算出した当該キーについての前記相対位置に基づいて、当該キーの補正位置を決定し、前記2以上のキーのうち、当該キーについて決定した補正位置に、前記タッチパネルにおける接触の箇所が含まれる1つのキーを前記操作対象として特定することとしてもよい。
この携帯端末は、複数のキーについての補正位置を決定しておき、ユーザが操作を行おうとタッチパネルに指等を接触させた場合に、接触箇所が補正位置に含まれる1つのキーを操作対象と特定する。
【0110】
従って、この携帯端末によれば、予め各補正位置を決定しておくので、ユーザが操作を行おうとタッチパネルに指等を接触させた際に、より高速に操作対象を特定できる。
(e)また、前記複数のキーは、前記タッチパネルを備える筐体の向き毎に定められており、前記算出部は、筐体の向き毎に、各キーについての前記相対位置を算出し、前記携帯端末は、更に自端末に生じる加速度を検出する加速度センサを備え、前記特定部は、前記加速度センサによる検出結果に基づいて特定される自端末の筐体の向きに対応する、前記2以上のキーについて前記算出部により算出された各相対位置と、前記タッチパネルにおける接触箇所とに基づいて、前記操作対象を特定することとしてもよい。
【0111】
この携帯端末によれば、筐体の向き毎に、各キーについての上記相対位置を算出しておくので、使用時の筐体の向きを考慮して、適切に操作対象を特定できる。
(f)また、前記携帯端末は、複数の筐体からなり、各筐体の相対位置が変化可能に構成されており、前記タッチパネルが配置されている筐体とは異なる筐体に配置された他のタッチパネルと、各筐体の相対関係が、前記タッチパネル及び前記他のタッチパネルが視認可能な第1の状態と、前記タッチパネルのみが視認可能な第2の状態とのいずれの状態であるかを検出するための状態検出センサとを備え、前記複数のキーは、前記第1及び第2の状態についてそれぞれ定められており、前記算出部は、前記第1及び第2の状態それぞれにおいて各キーについての前記相対位置を算出し、前記特定部は、前記状態検出センサが検出した状態に対応する前記2以上のキーについて前記算出部が算出した各相対位置と、前記タッチパネルにおける接触箇所とに基づいて、前記操作対象を特定することとしてもよい。
【0112】
この携帯端末によれば、各筐体の状態毎に、各キーについての上記相対位置を算出しておくので、使用時の筐体の状態(第1の状態又は第2の状態)を考慮して、適切に操作対象を特定できる。
(15)本発明に係る携帯端末のタッチパネル、他のタッチパネルは、例えば、実施の形態に係る携帯電話機100のタッチパネル110、120に相当し、本発明に係る携帯端末の受付部は、例えば、実施の形態に係る携帯電話機100の受付部150に相当し、本発明に係る携帯端末の算出部は、例えば、実施の形態に係る携帯電話機100の算出部151に相当し、本発明に係る携帯端末の特定部は、例えば、実施の形態に係る携帯電話機100のキー特定部153や変形例に係る変形携帯電話機の変形キー特定部に相当し、本発明に係る携帯端末の表示制御部は、例えば、実施の形態に係る携帯電話機100の表示制御部154に相当し、本発明に係る携帯端末の状態検出センサ、加速度センサは、例えば、実施の形態に係る携帯電話機100の開閉検出センサ130、加速度センサ131に相当する。
【0113】
(16)本発明は、上記に示す携帯端末に用いられる方法であるとしてもよいし、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明に係る携帯端末は、ユーザが、タッチパネルを用いた操作を行う場合に利用される。
【符号の説明】
【0115】
1 第1筐体
2 第2筐体
4、4’ 連結機構
5、5’ 連結駒
6、6’ ガイド溝
7 スピーカ
8 マイク
30、30’31、31’ ピン
100 携帯電話機
110、120 タッチパネル
111、121 表示部
112、122 入力部
130 開閉検出センサ
131 加速度センサ
140 記憶部
150 受付部
151 算出部
152 状態特定部
153 キー特定部
154 表示制御部
155 処理実行部
156 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを備え、当該タッチパネルへの入力に基づいて処理を実行する携帯端末であって、
前記タッチパネルの表示領域に配置されている複数のキー毎に、当該キーに対する操作を当該キーのキー表示領域に対する接触によって受け付ける受付部と、
前記複数のキー毎に、当該キーに対して前記受付部が受け付けた接触箇所の当該キーのキー表示領域内の基準位置に対する相対位置を算出する算出部と、
前記算出部による前記複数のキーについての前記相対位置の算出が完了した後に、前記タッチパネルへの新たな接触を受け付けた場合に、受け付けた接触箇所と、前記複数のキーのうちの少なくとも当該接触箇所から所定範囲内にある2以上のキーについての各相対位置とに基づいて、当該2以上のキーのうちの1つのキーを操作対象として特定する特定部とを備える
ことを特徴する携帯端末。
【請求項2】
前記複数のキーは、相互に異なる文字を表したものであり、
前記携帯端末は、
前記複数のキーが配置されている前記タッチパネルの表示領域とは異なる所定の表示領域に、前記キーを表す文字から構成される文字列を表示させる表示制御部を備え、
前記受付部は、前記文字列を構成する各文字を表す前記キーに対する操作を受け付ける
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記算出部は、
前記複数のキー毎に、当該キー内の前記基準位置から受け付けた接触箇所までのずれ量を、当該キーについての前記相対位置として算出するものであり、
前記特定部は、
前記2以上のキー毎に、そのキーについて前記算出部が算出したずれ量に基づいて、前記タッチパネルにおける接触箇所を補正し、当該2以上のキーのうち、補正後の接触箇所が前記キー表示領域に含まれる1つのキーを前記操作対象として特定する
ことを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
【請求項4】
前記特定部は、
前記複数のキー毎に、前記算出部が算出した当該キーについての前記相対位置に基づいて、当該キーの補正位置を決定し、
前記2以上のキーのうち、当該キーについて決定した補正位置に、前記タッチパネルにおける接触の箇所が含まれる1つのキーを前記操作対象として特定する
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項5】
前記複数のキーは、前記タッチパネルを備える筐体の向き毎に定められており、
前記算出部は、筐体の向き毎に、各キーについての前記相対位置を算出し、
前記携帯端末は、更に
自端末に生じる加速度を検出する加速度センサを備え、
前記特定部は、
前記加速度センサによる検出結果に基づいて特定される自端末の筐体の向きに対応する、前記2以上のキーについて前記算出部により算出された各相対位置と、前記タッチパネルにおける接触箇所とに基づいて、前記操作対象を特定する
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項6】
前記携帯端末は、
複数の筐体からなり、各筐体の相対位置が変化可能に構成されており、
前記タッチパネルが配置されている筐体とは異なる筐体に配置された他のタッチパネルと、
各筐体の相対関係が、前記タッチパネル及び前記他のタッチパネルが視認可能な第1の状態と、前記タッチパネルのみが視認可能な第2の状態とのいずれの状態であるかを検出するための状態検出センサとを備え、
前記複数のキーは、前記第1及び第2の状態についてそれぞれ定められており、
前記算出部は、前記第1及び第2の状態それぞれにおいて各キーについての前記相対位置を算出し、
前記特定部は、
前記状態検出センサが検出した状態に対応する前記2以上のキーについて前記算出部が算出した各相対位置と、前記タッチパネルにおける接触箇所とに基づいて、前記操作対象を特定する
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項7】
タッチパネルを備え、当該タッチパネルへの入力に基づいて処理を実行する携帯端末におけるプロセッサに、入力制御処理を行わせるためのプログラムであって、
前記入力制御処理は、
前記タッチパネルの表示領域に配置されている複数のキー毎に、当該キーに対する操作を当該キーのキー表示領域に対する接触によって受け付ける受付ステップと、
前記複数のキー毎に、当該キーに対して前記受付ステップで受け付けた接触箇所の当該キーのキー表示領域内の基準位置に対する相対位置を算出する算出ステップと、
前記算出ステップによる前記複数のキーについての前記相対位置の算出が完了した後に、前記タッチパネルへの新たな接触を受け付けた場合に、受け付けた接触箇所と、前記複数のキーのうちの少なくとも当該接触箇所から所定範囲内にある2以上のキーについての各相対位置とに基づいて、当該2以上のキーのうちの1つのキーを操作対象として特定する特定ステップとを含む
ことを特徴するプログラム。
【請求項8】
タッチパネルを備え、当該タッチパネルへの入力に基づいて処理を実行する携帯端末における入力制御方法であって、
前記タッチパネルの表示領域に配置されている複数のキー毎に、当該キーに対する操作を当該キーのキー表示領域に対する接触によって受け付ける受付ステップと、
前記複数のキー毎に、当該キーに対して前記受付ステップで受け付けた接触箇所の当該キーのキー表示領域内の基準位置に対する相対位置を算出する算出ステップと、
前記算出ステップによる前記複数のキーについての前記相対位置の算出が完了した後に、前記タッチパネルへの新たな接触を受け付けた場合に、受け付けた接触箇所と、前記複数のキーのうちの少なくとも当該接触箇所から所定範囲内にある2以上のキーについての各相対位置とに基づいて、当該2以上のキーのうちの1つのキーを操作対象として特定する特定ステップとを含む
ことを特徴する入力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−93948(P2012−93948A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240540(P2010−240540)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】