説明

携帯端末、出産支援システム、および出産支援方法

【課題】陣痛開始後、妊婦の出産準備を支援することが可能な携帯端末を提供することである。
【解決手段】本発明にかかる携帯端末1は、陣痛間隔を測定する陣痛測定手段11と、妊婦の現在位置を測定する位置測定手段12と、陣痛測定手段11で測定された陣痛間隔が所定の閾値以下となった場合に妊婦を支援する妊婦支援手段13と、を備える。妊婦支援手段13は、妊婦の現在位置および陣痛間隔に関する情報を予め登録された連絡先に送信することができる。また、妊婦支援手段13は、予め登録された連絡先に電話をかけることができる。また、妊婦支援手段13は、予め登録された施設への経路案内を実施することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯端末、出産支援システム、および出産支援方法に関し、特に陣痛間隔を用いて出産を支援可能な携帯端末、出産支援システム、および出産支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
妊婦が安全に出産をするためには、陣痛が始まった後、所定の時間内に病院に到達することが重要である。陣痛は、出産が近づくにつれて痛みの間隔が短くなり、また痛みが続く長さも長くなってくることから、出産までの所要時間を推定するのに用いられている。
【0003】
特許文献1には、陣痛の開始を予測すると共に、出産の切迫度を検出可能な陣痛予測装置に関する技術が開示されている。特許文献1に開示されている陣痛予測装置は、複数の記録電極と、参照電極と、これらの電極から得られたデータを分析する分析手段とを備える。分析手段は、シグナルプロセッシング部と、データ分析部と、予測部とを備え、入力されたシグナルに応じて陣痛を予測する。
【0004】
特許文献2には、妊婦の体調や胎児の状態を常時モニタリングすることができる妊婦の体調管理装置に関する技術が開示されている。特許文献2に開示されている妊婦の体調管理装置は、妊婦の腹部に装着可能な第1部材に種々の生体情報を取得するためのセンサ部を備える。そして、センサ部で取得した生体情報を妊婦の身体又は衣服に装着可能な第2部材に伝送し、第2部材に設けられた送信手段を用いてLANやインターネットを介して妊婦の健康管理あるいはアドバイスを行う機関、団体、専門職などに供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2003−517865号公報
【特許文献2】特開2003−111760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
陣痛開始後、妊婦は例えば病院や家族への連絡や病院への移動手段の手配などをする必要がある。しかしながら、陣痛が始まった後では陣痛の痛みのために妊婦が動揺するおそれがある。特に初産婦は経産婦と異なり出産の経験がないことから、陣痛開始後に気が動転するおそれがある。また、病院にとっても妊婦の状況をいち早く把握することで、出産を円滑に進めることができる。このように、妊婦の状態を把握し、妊婦の出産準備を支援するシステムが必要とされている。
【0007】
上記課題に鑑み本発明の目的は、陣痛開始後、妊婦の出産準備を支援する携帯端末、出産支援システム、および出産支援方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる携帯端末は、陣痛間隔を測定する陣痛測定手段と、妊婦の現在位置を測定する位置測定手段と、前記陣痛測定手段で測定された陣痛間隔が所定の閾値以下となった場合に前記妊婦を支援する妊婦支援手段と、を備える。
【0009】
本発明にかかる出産支援システムは、上記本発明にかかる携帯端末と、前記携帯端末から送信された前記妊婦の現在位置および前記陣痛間隔を受信する受信手段と、当該受信手段で受信された前記妊婦の現在位置および前記陣痛間隔を用いて出産スケジュールを調整する出産スケジュール調整手段と、を備える施設側端末と、を備える。
【0010】
本発明にかかる出産支援方法は、妊婦の現在位置を測定し、陣痛間隔を測定し、前記測定された陣痛間隔が所定の閾値以下となった場合、前記妊婦の現在位置および前記陣痛間隔に関する情報を予め登録された連絡先に送信する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、陣痛開始後、妊婦の出産準備を支援することが可能な携帯端末、出産支援システム、および出産支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1にかかる携帯端末を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1にかかる携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態1にかかる携帯端末を示すブロック図である。
【図4】実施の形態2にかかる携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態3にかかる出産支援システムを示すブロック図である。
【図6】実施の形態3にかかる出産支援システムの他の態様を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態1にかかる携帯端末を示すブロック図である。図1に示す本実施の形態にかかる携帯端末1は、制御手段10、陣痛測定手段11、位置測定手段12、妊婦支援手段13、通信手段14、表示手段15、記憶手段16、および入力手段17を備える。これらの構成要素はバス18を介して接続されている。
【0014】
制御手段10は、携帯端末1が備える各構成要素から入力された信号を処理し、所定の動作を各構成要素に指示する。制御手段10は、例えば中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)等で構成されている。
【0015】
陣痛測定手段11は、妊婦の陣痛の間隔を測定可能な装置である。例えば、陣痛測定手段11は、陣痛のタイミングに応じて携帯端末1が備える入力手段17を妊婦が押下することで陣痛の間隔を測定することができる。具体的には、陣痛開始のタイミング毎に入力手段17を押下することで、陣痛の間隔を測定することができる。
【0016】
また、陣痛測定手段11として、例えば妊婦の腹部に取り付けて使用可能な陣痛測定機器(不図示)を用いることができる。この場合は、例えば携帯端末1と陣痛測定機器とを接続し、陣痛測定機器から出力される信号を陣痛測定手段11で解析することで陣痛の間隔を取得することができる。
【0017】
位置測定手段12は例えばGPS(Global Positioning System)である。GPSを用いることで携帯端末1を携帯している妊婦の現在位置を測定することができる。例えば、位置測定手段12は、携帯端末1の妊婦支援アプリケーションが起動したタイミングで妊婦の現在位置を測定することができる。
【0018】
妊婦支援手段13は、陣痛測定手段11で測定された陣痛間隔が所定の閾値以下となった場合に妊婦を支援する各種機能を提供する。妊婦支援手段13の具体的な機能については後述する。
【0019】
通信手段14は、公衆ネットワークや電話回線等を介して他の通信端末等との無線通信を実現するための手段である。通信手段14は各種の通信規格で構成可能であり、例えばLTE(Long Term Evolution)、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi(登録商標)等の通信規格で構成することができる。
【0020】
表示手段15は情報を表示するための手段であり、例えば液晶素子、有機EL素子等で構成することができる。
【0021】
記憶手段16は、妊婦に関する各種情報を格納することができ、例えばフラッシュメモリ等で構成することができる。ここで、妊婦に関する情報とは、例えば妊婦の陣痛間隔に関する情報や妊婦の出産における危険度を示す情報である。妊婦の出産における危険度を示す情報とは、例えば妊婦が初産婦であるか否か、早産の傾向があるか否か、胎児が骨盤位であるか否かなどである。また、記憶手段16は出産するための施設(病院や助産院等)や緊急連絡先(病院、助産院、親族等の連絡先)を記憶することができる。これらの情報は、予め記憶手段16に登録することができる。
【0022】
入力手段17は、携帯端末1に各種情報を入力するための手段である。入力手段はボタンやタッチパネルを用いて構成することができる。
携帯端末1は、上記構成以外に例えばカメラ、マイク、スピーカー等を備えることができる。
【0023】
次に、本実施の形態にかかる携帯端末1の動作について説明する。図2は本実施の形態にかかる携帯端末1の動作を示すフローチャートである。妊婦は携帯端末1の妊婦支援機能を使用する前に、事前に妊婦に関する各種情報を記憶手段16に登録する。具体的には、出産するための施設(病院や助産院等)、緊急連絡先(病院、助産院、親族等の連絡先)、および妊婦の出産における危険度を示す情報等である。
【0024】
妊婦は陣痛が始まったと感じたら携帯端末1の妊婦支援アプリケーションを起動する(ステップS1)。妊婦支援アプリケーションの起動後、位置測定手段12は妊婦の現在位置を測定する(ステップS2)。例えば、位置測定手段12で測定された妊婦の現在位置は記憶手段16に一時的に格納される。
【0025】
次に、陣痛測定手段11は陣痛の間隔を測定する(ステップS3)。例えば、陣痛のタイミングに応じて入力手段17を妊婦が押下することで陣痛の間隔を測定することができる。測定された陣痛間隔に関する情報は制御手段10に供給される。ここで、制御手段10は陣痛の間隔が不規則である場合は、陣痛ではなく前駆陣痛の可能性がある旨を表示手段15を用いて妊婦に通知してもよい。なお、妊婦の現在位置の測定(ステップS2)と陣痛間隔の測定(ステップ3)は順番が逆でもよいし、同時に実施されてもよい。
【0026】
制御手段10は、測定された陣痛間隔と予め定められた閾値とを比較し、当該測定された陣痛間隔が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する(ステップS4)。測定された陣痛間隔が予め定められた閾値よりも長い場合(ステップS4:No)、ステップS3に戻って陣痛間隔の測定を繰り返す。一方、測定された陣痛間隔が予め定められた閾値以下である場合(ステップS4:Yes)、制御手段10は妊婦支援手段13に対して妊婦を支援するように指示を出す(ステップS5)。当該指示を受けた妊婦支援手段13は、記憶手段16に予め登録された妊婦に関する各種情報、妊婦の現在位置、および陣痛間隔に基づいて妊婦を支援する。
【0027】
具体的には、例えば妊婦支援手段13は、妊婦の現在位置および陣痛間隔に関する情報を予め登録された連絡先(病院、助産院、親族等)に送信することができる(第1の支援)。このように、妊婦の現在位置および陣痛間隔を予め登録された連絡先(病院、助産院、親族等)に送信することで、妊婦に出産が近づいていることを病院、助産院、親族等に知らせることができる。なお、このとき、予め登録された妊婦の出産における危険度を示す情報を送信してもよい。妊婦の出産における危険度を示す情報を送信することで、病院、助産院が予め妊婦の危険度を把握することができる。更に、妊婦が病院等に到達するまでの間、一定間隔で妊婦の現在位置および陣痛間隔に関する最新の情報を予め登録された連絡先に送信してもよい。
【0028】
また、例えば妊婦支援手段13は、予め登録された連絡先(病院、助産院、親族等)に自動で電話をかけることができる(第2の支援)。このように携帯端末1が自動で電話かけることで、妊婦が陣痛のために電話をかけることができない場合であっても、妊婦が病院や助産院の担当者、親族等と話をすることができる。なお、携帯端末1がテレビ電話機能を備えている場合は、テレビ電話で通話することが好ましい。妊婦と病院や助産院の担当者とがお互いの顔を見ながら会話をすることで、妊婦は安心することができ、また病院や助産院の担当者は妊婦の表情から妊婦の体調や緊急度等を把握することができるからである。
【0029】
また、例えば妊婦支援手段13は、予め登録された施設(病院や助産院等)への経路案内を実施することができる(第3の支援)。このように携帯端末1が病院や助産院等への経路案内を実施することで、妊婦が陣痛で動揺している場合であっても、妊婦を病院へ確実に案内することができる。この場合、妊婦支援手段13はタクシー等の移動手段を自動で手配してもよい。
【0030】
なお、予め登録された施設(病院や助産院等)が複数ある場合、妊婦支援手段13は妊婦の現在位置および陣痛間隔に基づき予め登録された施設のうちのいずれかを選択し、当該選択された施設への経路案内を実施することができる。例えば、陣痛間隔が短くて緊急を要する場合は、予め登録された施設のうち、妊婦の現在位置から最も近い施設への経路案内を実施することができる。一方、陣痛間隔が比較的長く緊急ではない場合は、妊婦の現在位置と通常通院している施設との距離が比較的離れている場合であっても、妊婦が通常通院している施設への経路案内を実施することができる。
【0031】
妊婦支援手段13は、妊婦の現在位置および陣痛間隔に関する情報に加えて、破水の有無についても予め登録された連絡先(病院、助産院、親族等)に送信することができる。このように破水の有無についても送信することで、医師等の事前の準備に役立てることができる。また、上記第3の支援においても、緊急度を判断する際に陣痛間隔に加えて破水の有無を用いることで、より正確に緊急度を判断することができる。なお、破水の有無については、例えば妊婦が入力手段17を用いて入力することができる。
【0032】
また、閾値は、妊婦の現在位置と予め登録された施設(病院や助産院等)との距離が遠くなるにつれて長くなるように設定してもよい。このように設定することで、妊婦が病院から離れている位置にいる場合であっても、余裕を持って妊婦を病院に案内することができる。
【0033】
なお、上記支援の種類(第1乃至3の支援)は予め設定することができる。設定する支援の数は任意に決定することができる。つまり、第1乃至3の支援のうち、単一の支援のみを使用してもよく、また複数の支援を組み合わせて使用してもよい。また、閾値は第1乃至3の支援毎に設定してもよい。
【0034】
このように、本実施の形態にかかる携帯端末1は、陣痛測定手段11で測定された陣痛間隔が所定の閾値以下となった場合に妊婦を支援する妊婦支援手段12を備えている。このため、陣痛開始後、陣痛の痛みのために妊婦が動揺している場合であっても、本実施の形態にかかる携帯端末を用いることで、妊婦の出産準備を適切に支援することができる。また、病院も妊婦の状況をいち早く把握することができるので、出産を円滑に進めることができる。
【0035】
なお、本実施の形態にかかる携帯端末は、図3に示す構成でも本発明の効果を奏することができる。つまり、携帯端末1は、陣痛測定手段11、位置測定手段12、および妊婦支援手段13を少なくとも備えていればよい。各構成要素の詳細は、上記で説明したので重複した説明は省略する。
【0036】
また、特許文献1には陣痛予測装置に関する技術が開示されている。しかしながら、特許文献1にかかる陣痛予測装置は、単に陣痛の開始を予測し、出産の切迫度を検出するのみであり、陣痛開始後における妊婦の支援については開示されていない。
【0037】
以上で説明したように、本実施の形態にかかる本発明により、陣痛開始後、妊婦の出産準備を支援することが可能な携帯端末および出産支援方法を提供することができる。
【0038】
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態にかかる携帯端末は、第1乃至3の閾値を設けた点において実施の形態1にかかる携帯端末と異なる。これ以外は実施の形態1と同様であるので、重複した説明は省略する。
【0039】
図4は、本実施の形態にかかる携帯端末の動作を示すフローチャートである。図4に示す動作では、閾値として第1乃至3の閾値を設定し、これらの閾値に応じて上記第1乃至3の支援を実施している。以下、具体的に説明する。
【0040】
妊婦は携帯端末1の妊婦支援機能を使用する前に、事前に妊婦に関する各種情報を記憶手段16に登録する。具体的には、出産するための施設(病院や助産院等)、緊急連絡先(病院、助産院、親族等の連絡先)、および妊婦の出産における危険度を示す情報等である。
【0041】
妊婦は陣痛が始まったと感じたら携帯端末1の妊婦支援アプリケーションを起動する(ステップS11)。妊婦支援アプリケーションの起動後、位置測定手段12は妊婦の現在位置を測定する(ステップS12)。例えば、位置測定手段12で測定された妊婦の現在位置は記憶手段16に一時的に格納される。
【0042】
次に、陣痛測定手段11は陣痛の間隔を測定する(ステップS13)。例えば、陣痛のタイミングに応じて入力手段17を妊婦が押下することで陣痛の間隔を測定することができる。測定された陣痛間隔に関する情報は制御手段10に供給される。なお、妊婦の現在位置の測定(ステップS12)と陣痛間隔の測定(ステップ13)は順番が逆でもよいし、同時に実施されてもよい。
【0043】
制御手段10は、測定された陣痛間隔と予め定められた第1の閾値とを比較し、当該測定された陣痛間隔が予め定められた第1の閾値以下であるか否かを判断する(ステップS14)。測定された陣痛間隔が予め定められた第1の閾値よりも長い場合(ステップS14:No)、ステップS13に戻って陣痛間隔の測定を繰り返す。一方、測定された陣痛間隔が予め定められた第1の閾値以下である場合(ステップS14:Yes)、制御手段10は妊婦支援手段13に対して第1の閾値に対応する支援をするように指示を出す。
【0044】
当該指示を受けた妊婦支援手段13は、妊婦の現在位置および陣痛間隔に関する情報を予め登録された連絡先(病院、助産院、親族等)に送信する(ステップS15:第1の支援)。このように、妊婦の現在位置および陣痛間隔を予め登録された連絡先(病院、助産院、親族等)に送信することで、妊婦に出産が近づいていることを病院、助産院、親族等に知らせることができる。なお、このとき、予め登録された妊婦の出産における危険度を示す情報も送信してもよい。妊婦の出産における危険度を示す情報を送信することで、病院、助産院が予め妊婦の危険度を把握することができる。
【0045】
更に、陣痛測定手段11は陣痛の間隔を測定する(ステップS16)。制御手段10は、測定された陣痛間隔と予め定められた第2の閾値とを比較し、当該測定された陣痛間隔が予め定められた第2の閾値以下であるか否かを判断する(ステップS17)。測定された陣痛間隔が予め定められた第2の閾値よりも長い場合(ステップS17:No)、ステップS16に戻って陣痛間隔の測定を繰り返す。一方、測定された陣痛間隔が予め定められた第2の閾値以下である場合(ステップS17:Yes)、制御手段10は妊婦支援手段13に対して第2の閾値に対応する支援をするように指示を出す。
【0046】
当該指示を受けた妊婦支援手段13は、予め登録された連絡先(病院、助産院、親族等)に電話をかけることができる(ステップS18:第2の支援)。このように携帯端末1が自動で電話かけることで、妊婦が陣痛のために電話をかけることができない場合であっても、妊婦が病院や助産院の担当者、親族等と話をすることができる。
【0047】
更に、陣痛測定手段11は陣痛の間隔を測定する(ステップS19)。制御手段10は、測定された陣痛間隔と予め定められた第3の閾値とを比較し、当該測定された陣痛間隔が予め定められた第3の閾値以下であるか否かを判断する(ステップS20)。測定された陣痛間隔が予め定められた第3の閾値よりも長い場合(ステップS20:No)、ステップS19に戻って陣痛間隔の測定を繰り返す。一方、測定された陣痛間隔が予め定められた第3の閾値以下である場合(ステップS20:Yes)、制御手段10は妊婦支援手段13に対して第3の閾値に対応する支援をするように指示を出す。
【0048】
当該指示を受けた妊婦支援手段13は、予め登録された施設(病院や助産院等)への経路案内を実施することができる(ステップS21:第3の支援)。このように携帯端末1が病院や助産院等への経路案内を実施することで、妊婦が陣痛で動揺している場合であっても、妊婦を病院へ確実に案内することができる。この場合、妊婦支援手段13はタクシー等の移動手段を自動で手配してもよい。
【0049】
ここで、第3の閾値は第2の閾値よりも短く、第2の閾値は第1の閾値よりも短くなるように設定されている。つまり、第1の支援、第2の支援、第3の支援の順に緊急度が高い支援となっている。なお、一般的には初産婦の場合は陣痛間隔が10分、経産婦の場合は陣痛間隔が15分で病院に連絡することが好ましいとされている。この点を考慮して、第1乃至3の閾値を決定することができる。
【0050】
以上で説明したように、本実施の形態にかかる本発明により、陣痛開始後、妊婦の出産準備を支援することが可能な携帯端末および出産支援方法を提供することができる。
【0051】
実施の形態3
次に、本発明の実施の形態3について説明する。図5は本実施の形態にかかる出産支援システムを示すブロック図である。本実施の形態にかかる出産支援システムは、携帯端末1と施設側端末3とを備える。携帯端末1と施設側端末3は公衆ネットワーク2(無線および有線を含む)を介して接続可能に構成されている。なお、携帯端末1は実施の形態1および実施の形態2で説明した携帯端末1と構成および動作が同一なので、重複した説明は省略する。
【0052】
本実施の形態にかかる出産支援システムが備える施設側端末3は、受信手段31と出産スケジュール調整手段32とを備える。受信手段31は、携帯端末1から送信された、妊婦の現在位置および陣痛間隔に関する情報、破水の有無、妊婦の出産における危険度を示す情報等を受信し、出産スケジュール調整手段32に出力する。
【0053】
出産スケジュール調整手段32は、携帯端末1から送信された、妊婦の現在位置および陣痛間隔に関する情報、破水の有無、妊婦の出産における危険度を示す情報のうちの少なくとも一つを用いて、出産スケジュールを調整する。具体的には、病院の陣痛室や分娩室の使用スケジュールの調整や、医師のスケジュールの調整等を実施する。
【0054】
例えば、送られてきた妊婦の現在位置と陣痛間隔とに基づいて妊婦が病院に到着した時点における陣痛間隔を予測し、当該陣痛間隔の予測値に応じて妊婦を陣痛室に搬送するか、または分娩室に搬送するかを決定することができる。また、危険度の高い妊婦の場合は、出産スケジュールが最優先になるように調整することができる。
【0055】
図6は、本実施の形態にかかる出産支援システムの他の態様を示すブロック図である。携帯端末1に予め登録された施設(病院や助産院等)が複数ある場合、施設間で出産スケジュールを調整し、妊婦が搬送されるべき施設を決定することができる。
【0056】
図6に示す出産支援システムは、施設毎に設けられた複数の施設側端末4、5を備える。施設側端末4、5はそれぞれ、受信手段41、51と出産スケジュール調整手段42、52とを備える。受信手段41、51はそれぞれ、携帯端末1から送信された、妊婦の現在位置および陣痛間隔に関する情報、破水の有無、妊婦の出産における危険度を示す情報等を受信し、出産スケジュール調整手段42、52に出力する。
【0057】
出産スケジュール調整手段42、52は、公衆ネットワーク2を介して各施設における出産スケジュールを共有することができるように構成されている。出産スケジュール調整手段42、52は、各施設における出産スケジュール、携帯端末1から送信された、妊婦の現在位置および陣痛間隔に関する情報、破水の有無、妊婦の出産における危険度を示す情報を用いて、出産スケジュールを調整することができる。
【0058】
例えば、妊婦の現在位置が施設Bよりも施設Aに近い場合であっても、施設Aにおける出産が混み合っており、かつ妊婦の陣痛間隔が比較的長い場合(緊急ではない場合)は、施設Bに行くように携帯端末1に指示を出すことができる。
【0059】
このように、本実施の形態にかかる出産支援システムを用いることで、陣痛開始後、陣痛の痛みのために妊婦が動揺している場合であっても、妊婦の出産準備を適切に支援することができる。また、病院も妊婦の状況をいち早く把握することで、適切に出産スケジュールを調整することができる。よって、本実施の形態にかかる本発明により、陣痛開始後、妊婦の出産準備を支援することが可能な出産支援システムを提供することができる。
【0060】
以上、本発明を上記実施形態に即して説明したが、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0061】
1 携帯端末
2 公衆ネットワーク
3、4、5 施設側端末
10 制御手段
11 陣痛測定手段
12 位置測定手段
13 妊婦支援手段
14 通信手段
15 表示手段
16 記憶手段
17 入力手段
31、41、51 受信手段
32、42、52 出産スケジュール調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陣痛間隔を測定する陣痛測定手段と、
妊婦の現在位置を測定する位置測定手段と、
前記陣痛測定手段で測定された陣痛間隔が所定の閾値以下となった場合に前記妊婦を支援する妊婦支援手段と、
を備える携帯端末。
【請求項2】
前記妊婦支援手段は、前記妊婦の現在位置および前記陣痛間隔に関する情報を予め登録された連絡先に送信する、請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記妊婦支援手段は、前記予め登録された連絡先に電話をかける、請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記妊婦支援手段は、前記予め登録された施設への経路案内を実施する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記妊婦支援手段は、
前記陣痛測定手段で測定された陣痛間隔が第1の閾値以下となった場合、前記妊婦の現在位置および前記陣痛間隔に関する情報を予め登録された連絡先に送信し、
前記陣痛測定手段で測定された陣痛間隔が前記第1の閾値よりも短い第2の閾値以下となった場合、前記予め登録された連絡先に電話をかけ、
前記陣痛測定手段で測定された陣痛間隔が前記第2の閾値よりも短い第3の閾値以下となった場合、前記予め登録された施設への経路案内を実施する、
請求項1に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記予め登録された施設が複数ある場合、前記妊婦支援手段は、前記妊婦の現在位置および前記陣痛間隔に基づき前記予め登録された複数の施設のうちのいずれかを選択し、当該選択された施設への経路案内を実施する、請求項4または5に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記閾値は、前記妊婦の現在位置と前記予め登録された施設との距離が遠くなるにつれて長くなるように設定される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項8】
請求項2乃至7に記載の携帯端末と、
前記携帯端末から送信された前記妊婦の現在位置および前記陣痛間隔を受信する受信手段と、当該受信手段で受信された前記妊婦の現在位置および前記陣痛間隔を用いて出産スケジュールを調整する出産スケジュール調整手段と、を備える施設側端末と、
を備える出産支援システム。
【請求項9】
前記出産支援システムは前記施設側端末を複数備え、
前記各々の施設側端末は、当該複数の施設側端末間で各々の施設における出産スケジュールを共有可能であり、当該共有している各々の施設における出産スケジュール、前記妊婦の現在位置、および前記陣痛間隔を用いて出産スケジュールを調整する、
請求項8に記載の出産支援システム。
【請求項10】
妊婦の現在位置を測定し、
陣痛間隔を測定し、
前記測定された陣痛間隔が所定の閾値以下となった場合、前記妊婦の現在位置および前記陣痛間隔に関する情報を予め登録された連絡先に送信する、
出産支援方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−165787(P2012−165787A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26710(P2011−26710)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】