説明

携帯端末および決済装置

【課題】 簡単なインターフェースで適切な決済方式を選択できる携帯端末を提供する。
【解決手段】 携帯端末10は、記憶部20に複数の決済方式のそれぞれに対応する複数のプログラム22を記憶しており、複数の決済方式に対応可能である。携帯端末10は、過去に採用した決済方式とその決済場所に関する情報とを関連付けて記憶部20に記憶している。携帯端末10は、決済装置30から、その決済装置が対応する決済方式およびその決済装置が設置された決済場所に関する情報をICチップ18にて受信し、ICチップ18にて受信した決済場所に関する情報に対応する決済方式を記憶部20から読み出して、決済装置30と携帯端末10とに共通する決済方式から一の決済方式を選択し、選択された決済方式に対応するプログラムを記憶部20から読み出して実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の決済方式に対応した携帯端末および決済装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、クレジットによる決済や銀行口座引き落としによる決済を行えるICカードや携帯端末が知られている。また、単一の決済方式のみならず、複数の決済方式に対応可能なICカードも知られている。ICカードや携帯端末に複数の決済方式が搭載されている場合には、決済時にどの決済方式を採用するかをオペレータに通知しなければならない。
【0003】
特許文献1には、複数の決済方式で決済可能な多機能型ICカードで決済処理の処理効率の向上を図る技術が提案されている。この多機能型ICカードでは、各決済手段の優先順位および各決済手段により決済可能な金額をメモリに記憶しておく。そして、決済手段の自動選択キーが操作された場合には、優先順位の高い決済手段から順に決済可能か否かをチェックしていくことにより、決済可能な決済手段のうちで最も優先順位の高い決済手段を選択する。これにより、特許文献1に記載の多機能型ICカードでは、所有者がオペレータに決済手段を通知しなくても、予め設定された希望情報に基づいて決済処理を実行することが可能となる。
【特許文献1】特開2002−99847号(8−9頁、図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、決済処理を行う決済装置が多機能型ICカードの持つ複数の決済方式に対応可能なことを前提としているが、あらゆる決済方式に対応できる決済装置を実際に準備することは容易ではない。従って、希望情報に基づいて決済方式を決定しても、その決済方式に決済装置が対応できるとは限らない。
【0005】
また、特許文献1に記載された多機能型ICカードでは、予め設定された優先順位に応じて決済方式を選択するに過ぎないため、カード所有者のきめ細かいニーズに応えることができない。例えば、ある店舗において、その店舗が提供する決済手段を利用すると特典を受けられる等の事情がある場合には、その店舗では、その店舗が提供する決済手段を利用したいとのニーズがある。しかし、特許文献1に記載された技術では、各決済手段の優先度を一律に定めているので、このようなきめ細かいニーズに応えることができない。
【0006】
本発明は、上記背景に鑑み、簡単なインターフェースで適切な決済方式を選択できる携帯端末および決済装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の携帯端末は、複数の決済方式のそれぞれに対応する複数のプログラムを記憶したプログラム記憶部と、過去に採用した決済方式とその決済装置の所属に関する情報とを関連付けて記憶した履歴記憶部と、複数の決済方式に対応した決済装置から、その決済装置が対応する決済方式およびその決済装置の所属に関する決済装置情報を受信する受信部と、前記受信部にて受信した決済装置情報に対応する決済方式を前記履歴記憶部から読み出して、前記決済装置と自端末とに共通する一の決済方式を選択する決済方式選択部とを備え、前記決済方式選択部にて選択された決済方式に対応するプログラムを前記プログラム記憶部から読み出して実行する構成を有する。
【0008】
この構成により、携帯端末と決済装置とに共通の複数の決済方式のうちから、過去の採用履歴に基づいて、決済装置の所属に応じた決済方法が選択されるので、その決済装置の所属に基づいてユーザが希望する可能性の高い決済方式を選択することが可能となる。
【0009】
本発明の携帯端末は、前記決済装置情報として、前記決済装置が設置された場所に関する情報を用いる。
【0010】
この構成により、決済場所に応じて、決済方式を選択することが可能となる。
【0011】
上記携帯端末において、前記決済方式選択部は、前記受信部にて受信した決済場所に関する情報に対応する複数の決済方式が読み出された場合には、直近に採用した決済方式を選択する構成を有する。
【0012】
この構成により、最も新しい情報に基づいて決済方式が選択されるので、ユーザが希望する可能性の高い決済方式を選択することが可能となる。
【0013】
本発明の他の態様に係る携帯端末は、複数の決済方式のそれぞれに対応する複数のプログラムを記憶したプログラム記憶部と、過去に採用した決済方式を記憶した履歴記憶部と、複数の決済方式に対応した決済装置から、その決済装置が対応する決済方式に関する情報を受信する受信部と、前記決済装置と自端末とに共通する決済方式を前記履歴記憶部に記憶された履歴に基づいて定められる順番に従って並べて表示する表示部と、前記表示部に表示された決済方式の中から決済方式の選択を受け付ける決済方式受付部とを備え、前記決済方式受付部にて受け付けた決済方式に対応するプログラムを前記プログラム記憶部から読み出して実行する構成を有する。
【0014】
この構成により、携帯端末と決済装置とに共通の複数の決済方式のうちから、決済方式の採用履歴に応じて決済方式が表示されるので、過去の採用履歴に基づいて、ユーザが希望する可能性の高い決済方式から順に並べて決済方式を表示することができる。これにより、ユーザは、所望の決済方式を容易に選択することができる。
【0015】
上記携帯端末において、前記表示部は、直近に用いられた決済方式を最上位に表示する構成を有する。
【0016】
この構成により、直近に用いられた決済方式が最上位に表示されるので、直近に用いられた決済方式を容易に選択することができる。
【0017】
上記携帯端末において、前記表示部は、複数の決済方式を使用頻度の多い順番に並べて表示する構成を有する。
【0018】
この構成により、使用頻度の高い順番に並べて表示されるので、使用頻度の高い決済方式を容易に選択することができる。
【0019】
本発明の他の態様に係る携帯端末は、複数の決済方式のそれぞれに対応する複数のプログラムを記憶したプログラム記憶部と、過去に採用した決済方式とその決済場所に関する情報とを関連付けて記憶した履歴記憶部と、複数の決済方式に対応した決済装置から、その決済装置が対応する決済方式およびその決済装置が設置された決済場所に関する情報を受信する受信部と、前記受信部にて受信した決済場所に関する情報に対応する決済方式を前記履歴記憶部から読み出して、前記決済装置と自端末とに共通する決済方式から一の決済方式を選択する決済方式選択部と、前記決済方式選択部にて選択された決済方式で決済を行うか否かの選択を受け付ける決済可否選択部と、前記決済方式で決済を行わないことが選択された場合に、前記決済装置と自端末とに共通する決済方式を前記履歴記憶部に記憶された履歴に基づいて定められる順番に従って並べて表示する表示部と、前記表示部に表示された決済方式の中から決済方式の選択を受け付ける決済方式受付部とを備え、前記決済方式選択部にて選択された決済方式または前記決済方式受付部にて受け付けた決済方式に対応するプログラムを前記プログラム記憶部から読み出して実行する構成を有する。
【0020】
この構成により、携帯端末と決済装置とに共通の複数の決済方式のうちから、過去の採用履歴に基づいて、決済場所に応じた決済方法が選択されるので、その決済場所においてユーザが希望する可能性の高い決済方式を選択することができる。また、選択された決済方式が採用されない場合には、携帯端末と決済装置とに共通の複数の決済方式のうちから、決済方式の採用履歴に応じて決済方式が表示されるので、ユーザは、希望により、直近の決済方式を選択することも、直近の決済方式と異なる決済方式を選択することもできる。また、決済方式の選択肢は、過去の採用履歴に基づいて定められる順番に並べて表示されるので、ユーザの希望する決済方式を容易に選択することが可能となる。
【0021】
本発明の決済装置は、複数の決済方式に対応した決済装置であって、決済装置が設置された場所に関する情報を記憶する設置場所記憶部と、携帯端末から送信される、その携帯端末が対応する決済方式を示す情報を受信する決済方式受信部と、前記携帯端末と決済装置とに共通する決済方式を抽出する共通決済方式抽出部と、前記共通決済方式抽出部にて抽出された決済方式と前記設置場所記憶部に記憶された場所に関する情報とを前記携帯端末に送信する送信部とを備えた構成を有する。
【0022】
この構成により、設置場所に関する情報を携帯端末に送信するので、携帯端末側で決済の場所に応じて決済方式を選択することができ、ユーザが希望する可能性の高い決済方法を選択できる。
【0023】
本発明の別の態様に係る決済装置は、複数の決済方法のそれぞれに対応する複数のプログラムを記憶したプログラム記憶部と、端末に対し前記プログラムの各々について対応するプログラムの有無を確認する情報送信部と、前記端末からの応答が対応プログラム有りを示す肯定応答であったプログラムを記憶するメモリと、前記メモリの内容を前記端末に送信する送信部とを備えた構成を有する。
【0024】
この構成により、携帯端末と決済装置とに共通する決済方式を容易に抽出できる。
【0025】
本発明の別の態様の決済装置は、複数の決済方式に対応した決済装置であって、携帯端末から送信される、その携帯端末が対応する決済方式を示す情報およびその携帯端末での決済方式の採用履歴を受信する受信部と、前記携帯端末と決済装置とに共通する決済方式を抽出する共通決済方式抽出部と、前記共通決済方式抽出部にて抽出された共通決済方式を前記採用履歴に基づいて定められる順番に従って並べて表示する表示部と、前記表示部に表示された決済方式の中から決済方式の選択を受け付ける決済方式受付部とを備えた構成を有する。
【0026】
この構成により、携帯端末と決済装置とに共通の複数の決済方式のうちから、過去の採用履歴に基づいて、決済方式の採用履歴に応じた決済方式が表示されるので、ユーザが希望する可能性の高い決済方式から順に並べて決済方式を表示することができる。これにより、ユーザは、所望の決済方式を容易に選択することが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、携帯端末と決済装置とに共通の複数の決済方式のうちから、過去の採用履歴に基づいて、決済場所に応じた決済方法が選択されるので、その決済場所においてユーザが希望する可能性の高い決済方式を選択できるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態の携帯端末および決済装置について図面を用いて説明する。
図1は、実施の形態の携帯端末10および決済装置30の構成を示す図である。決済装置30は、回線70(決済のための専用回線、インターネットなどの公衆回線等をいう)を通じて金融機関の端末72またはクレジット会社の端末74、あるいは企業独自端末76に接続されている。決済装置30は、回線70を通じて、金融機関の端末72またはクレジット会社の端末74、あるいはポイントを管理する企業独自端末76にアクセスすることにより、決済を行うことが可能である。
【0029】
決済装置30は、POSレジ60に接続されている。本実施の形態における決済装置30は、POSレジ60にて計算された商品の合計金額を決済するために用いられる。決済装置30は、例えば、リーダライタ装置に決済機能を搭載することによって構成し、POSレジ60に外付けされる。なお、本実施の形態では、決済装置30がPOSレジ60に接続される例について説明しているが、決済装置30は例えば自動販売機等に接続されてもよい。また、POSレジ60自体に、以下に説明する決済装置30の機能を搭載してもよい。
【0030】
なお、POSレジ60は、決済装置30と回線70の中間に設けてもよい。この場合、決済情報がPOSレジを通過するときに、POSレジ60がその決済情報を集計することとしてもよい。この場合、POSインターフェース36の機能は、通信インターフェース40が受け持つ。
【0031】
携帯端末10は、複数の決済方式によって決済できる機能を有する。携帯端末10は、決済装置30のリーダライタインターフェース38にかざすことによって、決済装置30との間で情報を送受信することができる。
【0032】
次に、携帯端末10および決済装置30の詳しい構成について説明する。携帯端末10は、通常のコンピュータと同様に、CPU12、表示部14、入力部16、記憶部20、を備えている。また、携帯端末10は、ICチップ18を備えており、決済装置30のリーダライタインターフェース38によって読み取られることにより、決済装置30との間で情報の送受信を行える。
【0033】
携帯端末10の記憶部20には、携帯端末10が対応できる決済方式を実行するための決済プログラムが記憶されている。この例では、携帯端末10の記憶部20には、A決済プログラム22a、B決済プログラム22b、C決済プログラム22c、D決済プログラム22d(以下、複数の決済プログラムを総称して、「決済プログラム22」という)が記憶されている。これにより、携帯端末10は電子マネーAによる決済、電子マネーBによる決済、Cクレジットによる決済、Dデビットによる決済を行うことができる。以下の説明では、A決済プログラムによって実行される決済方式を決済方式A等と呼ぶこともある。決済プログラムは、携帯端末10の購入時に予め記憶部20に保存されていてもよいし、回線70等を通じてダウンロードして記憶部20に保存してもよい。また、携帯端末10の記憶部20には、決済履歴24が記憶される。
【0034】
図2は、記憶部20に記憶された決済履歴24の例を示す図である。携帯端末10の記憶部20は、決済日時、決済場所および決済方式に関する情報を決済履歴として記憶している。決済日時に関する情報は、決済を行った日時を示す情報である。決済場所に関する情報は、決済を行った店舗を示す情報である。決済場所に関する情報は、例えば、コンビニYのように、店舗の種類を示す。従って、コンビニYであれば、例えば、コンビニYの赤坂店とコンビニYの大手町店というように店の場所が異なっていても同じ決済場所として記憶している。決済方式に関する情報は、決済を行った決済方式を示す情報である。この決済履歴24から、各決済場所におけるそれぞれの決済方式の使用頻度と、直近の決済方式の情報とを取得することができる。
【0035】
本実施の形態では、記憶部20は、決済日時と決済場所に関する情報のみを記憶した例を説明しているが、記憶部20はさらに決済金額の情報やサービスポイント情報等を記憶することとしてもよい。
【0036】
次に、決済装置30について説明する。図1に示すように、決済装置30は、CPU32、表示部34、記憶部50を備えている。また、決済装置30は、POSレジ60と通信するPOSインターフェース36と、携帯端末10のICチップ18を読み取るリーダライタインターフェース38と、回線70に接続するための通信インターフェース40とを備えている。
【0037】
決済装置30の記憶部50には、決済装置30が対応可能な決済方式を実行するための決済プログラムが記憶されている。この例では、決済装置30の記憶部50には、A決済プログラム52a、B決済プログラム52b、C決済プログラム52c、E決済プログラム52eが記憶されている。これにより、決済装置30は、電子マネーAによる決済、電子マネーBによる決済、Cクレジットによる決済、Eクレジットによる決済を行うことができる。これらの決済プログラムは、携帯端末10と同様に、決済装置30の設置時に予め記憶部50に保存されていてもよいし、回線70等を通じてダウンロードして記憶部50に保存してもよい。また、決済装置30の記憶部50には、決済装置30が設置された場所に関する場所情報が記憶されている。場所情報は、携帯端末10の記憶部20に決済履歴として記憶された決済場所に関する情報に対応する情報である。
【0038】
次に、実施の形態の携帯端末10および決済装置30の動作について説明する。
図3は、決済時における携帯端末10の動作を示すフローチャートである。携帯端末10を用いた決済が行われる状況としては、例えば、店員が商品の値段を入力し、POSレジ60に合計金額が表示されたときに、その合計金額を携帯端末10を用いて決済する場合等が考えられる。
【0039】
まず、ユーザは、携帯端末10をPOSレジ60に接続された決済装置30にかざし、携帯端末10に搭載されたICチップ18を決済装置30のリーダライタインターフェース38に近づけることにより、決済装置30にICチップ18を読み取らせる。これにより、携帯端末10と決済装置30との間での情報の送受信が可能となる。携帯端末10は、決済装置30から、決済装置30と携帯端末10に共通する共通決済方式の情報と、決済装置30が設置された場所に関する情報とを取得する(S10)。
【0040】
次に、共通決済方式の情報と場所に関する情報を取得する2種類の方法について、図4および図5を用いて説明する。
図4は、共通決済方式の情報と場所に関する情報とを取得する詳細な動作を示すフローチャートである。携帯端末10は、携帯端末10が対応する決済方式の情報を決済装置30に送信する(S30)。決済装置30は、携帯端末10から送信された決済方式の情報を受信すると(S32)、携帯端末10と決済装置30とに共通する決済方式を抽出する処理を行う(S34〜S40)。
【0041】
携帯端末10と決済装置30とに共通する決済方式を抽出する動作について詳しく説明する。決済装置30は、携帯端末10から受信した決済方式のうちの一の決済方式を選択し(S34)、決済装置30が選択された決済方式と同じ決済方式に対応しているか否かを判断する(S36)。決済装置30内に同じ決済方式を行える決済プログラムが記憶されている場合には(S36でYES)、決済装置30が携帯端末10と同じ決済方式に対応しているので、その決済方式を示す情報をメモリに記憶する(S38)。
【0042】
この例では、決済装置30は、携帯端末10が決済方式A〜Dに対応可能という情報を携帯端末10から受信する。このうちの決済方式Aを選択すると(S34)、決済装置30も決済方式Aを実行できるので(S36でYES)、決済方式Aをメモリに記憶する。同様にして、決済方式B,Cもメモリに記憶する。決済装置30内に同じ決済方式を行える決済プログラムがない場合には(S36でNO)、決済装置30は、メモリへの記憶を行わないで次のステップに移行する。例えば、決済装置30は、決済方式Dに対応していないので(S36でNO)、決済方式Dをメモリに記憶しない。
【0043】
決済装置30は、携帯端末10から受信した全ての決済方式について、同じ決済方式を行える決済プログラムがあるか否かの判断を行ったかをチェックする(S40)。その結果、すべての決済方式について判断した場合には(S40でYES)、決済装置30は、携帯端末10と決済装置30とに共通の決済方式として、メモリに記憶された決済方式を携帯端末10に送信する(S42)。このとき、決済装置30は、メモリに記憶された設置場所を示す情報を併せて携帯端末10に送信する。携帯端末10では、決済装置30から送信された共通決済方式を示す情報および決済場所を示す情報を受信し、共通決済方式を示す情報を取得する(S44)。
【0044】
図5は、決済装置30から携帯端末10の複数決済の各々について、問合せを行う場合の処理を示す図である。決済装置30は、携帯端末10にポーリングを行い、決済装置30が対応するそれぞれの決済方式について一つずつ問い合わせる(S50、S52)。携帯端末10は、決済装置30から受信した決済方式と同じ決済方式に対応しているか否かを判定し(S54)、同一の決済方式がない場合には(S54でNO)、決済装置30に否定応答を送信し(S56)、同一の決済方式がある場合には(S54でYES)、決済装置30に肯定応答を送信する(S58)。ここでは、同一の決済方式がない場合に否定応答を送信しているが(S56)、応答しない態様とすることも可能である。
【0045】
決済装置30は、携帯端末10からの応答を受信すると(S60)、受信した応答が肯定応答であるか否かを判定する(S62)。受信した応答が肯定応答である場合には(S62でYES)、その決済方式を示す情報をメモリに記憶する(S64)。そして、全決済方式について問合せを行ったか判定し(S66)、まだ問合せを行っていない決済方式がある場合には(S66でNO)、携帯端末10へのポーリングを行う(S50)。全決済方式について問合せを行った場合には(S66でYES)、決済装置30は、共通決済方式および場所情報を携帯端末10に送信する(S68、S70)。
【0046】
次に、共通決済方式を取得した後の携帯端末10の動作について、再び図3を参照して説明する。携帯端末10は、決済方式を自動選択する機能がONされているか否かを判定する(S12)。自動選択機能ONの場合には、携帯端末10は決済方式を自動選択し、自動選択機能OFFの場合には、携帯端末10は決済方式をユーザに選択させる。自動選択機能を使用するか否かをユーザが設定できることにより、自動選択を希望する場合とそうでない場合の両方に対応できるので、利便性を高めることができる。なお、この機能を有することは任意であり、自動選択機能ON/OFFの切替えがない態様も本発明の範囲に含まれる。
【0047】
自動選択機能がONの場合には、携帯端末10は記憶部20に記憶された決済履歴情報に基づいて、同一場所における決済履歴が存在するか否かを判定する(S14)。その結果、同一場所における決済履歴が存在する場合には、携帯端末10は、その場所において直近に使用された決済方式を表示し(S16)、その決済方式で決済を行ってよいか否かをユーザに問い合わせる(S18)。
【0048】
携帯端末10は、図7に示すような画面表示を行い、「OK」または「中止」の入力を受け付ける。「OK」が入力された場合には、画面に表示された決済方式での決済処理を行い(S24)、「中止」が入力された場合には、画面に表示された決済方式での決済を行わないで、決済方式の選択を受け付ける処理に移行する(S20)。
【0049】
次に、携帯端末10が、決済方式の選択を受け付ける処理について説明する。なお、決済方式の選択を受け付ける処理(S20)は、携帯端末10によって選択された決済方式が中止された場合(S18でNO)のみならず、決済方式自動選択機能がOFFである場合(S12でNO)、同一の決済場所での決済履歴がない場合にも(S14でNO)、実行される。
【0050】
図6は、決済方式の選択を受け付ける処理(S20)について詳しく説明するフローチャートである。まず、携帯端末10は、記憶部20に記憶された決済履歴24を読み出す(S80)。続いて、携帯端末10は、読み出した決済履歴24に基づいて、直近に用いた決済方式を1位に順位付けし(S82)、その次に、使用頻度の高い順に2位以下の順位を付す(S84)。その後、携帯端末10は、付与した順位に従って決済方式を並べて表示部14に表示する(S86)。
【0051】
図8は、携帯端末10に表示される画面例を示す図である。携帯端末10には、直近に用いた決済方式である電子マネーBが第1の選択肢として表示される。次に、電子マネーB以外の決済方式の中で、使用頻度の高い決済方式である電子マネーAが第2の選択肢として表示される。続いて、電子マネーAに次いで使用頻度の高い決済方式であるCクレジットが第3の選択肢として表示される。図8に示す画面において、順位1位の電子マネーBに最初にフォーカスが当たっており、次に下方向にカーソルを移動すると第2の選択肢にフォーカスが当たり、さらに下方向にカーソルを移動すると第3の選択肢にフォーカスが当たる。従って、順位の高い選択肢を容易に選択することができる。なお、決済方式の選択は、カーソルの移動のみならず、決済方式を示す選択肢の番号を入力によっても行える。
【0052】
次に、決済方式一覧を表示した後の携帯端末10の動作について、再び図3を参照して説明する。図8に示す画面で、決済方式が選択され、「決定」が押されると、携帯端末10は選択された決済方式にて決済処理を行う(S24)。決済処理の終了後、携帯端末10は、決済を行った決済方式と、決済場所に関する情報を携帯端末10の記憶部20に記憶する(S26)。
以上、本実施の形態の携帯端末10および決済装置30の構成および動作について説明した。
【0053】
本実施の形態の携帯端末10は、最初に、携帯端末10と決済装置30とに共通の決済方式を決済装置30から取得し、取得した複数の共通の決済方式のうちから、その決済場所において直近に用いた決済方式を選択して画面に表示する。これにより、画面に表示された決済方式をユーザが選択すれば、直ちに決済処理が行われるので、ユーザが選択する可能性の高い実績のある決済方式を簡単なインターフェースで選択することが可能となる。
【0054】
また、本実施の形態の携帯端末10は、直近に用いた決済方式を使用しない場合には、携帯端末10と決済装置30とに共通の複数の決済方式を選択肢として表示する。この際、直近に用いた決済方式を第1の選択肢とし、使用頻度の高い順に第2以降の選択肢として表示することにより、直近に用いた決済方式または使用頻度の高い決済方式を簡単なインターフェースで選択することができる。
【0055】
以上、本発明の携帯端末10および決済装置30について実施の形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。
【0056】
上記した実施の形態では、携帯端末10と決済装置30とに共通する決済方式を決済履歴に基づいて並べて表示する処理を携帯端末10が行っているが、この処理は決済装置30が行ってもよい。この場合、携帯端末10は、携帯端末10が対応している決済方式の情報を送信する際に、決済履歴の情報を決済装置30に送信する。決済装置30は、携帯端末10から送信された決済履歴に基づいて、直近の決済方式を1位に順位付けし、使用頻度の高い順に2位以下の順位を付すことにより、決済方式を表示する順番を決定する。決済装置30は、図9に示すように決済装置30に接続されたPOSレジ60の画面62,64に決済方式の選択肢を表示することが好ましい。ユーザ側の画面64に表示することで、ユーザは利用可能な決済方式を一目で把握できる。また、オペレータ側の画面62に表示することで、ユーザが選択した決済方法を、POSレジ60のキーボード66から容易に入力することができる。
【0057】
また、上記した実施の形態において、決済履歴として、決済日時、決済場所、決済方式に関する情報を保存する例について説明したが、古い決済履歴については、各決済方式の決済回数のみを記憶しておき、決済日時および決済場所に関する情報を消去してもよい。これにより、記憶部20の領域を有効に使用することができる。
【0058】
また、上記した実施の形態では、決済方式一覧を表示する際に、直近に用いられた決済方式を順位1位とし、その後に使用頻度の高い順に順位を付与して、表示順序を決定しているが、決済履歴24に基づく決済方式の表示順序は、この順序に限られない。例えば、直近に用いられた2つの決済方式を順位1位、2位とし、その後に使用頻度の高い方から順位を付してもよい。また、決済方式の使用頻度とその決済方式を最後に使用してからの期間との兼ね合いで表示順序を決定してもよい。この他にも、決済履歴に基づく表示順序の決定方法は、様々な方法が考えられる。
【0059】
また、上記した実施の形態では、決済方式の選択肢を表示するときには、直近に用いられた決済方式に順位1位を付与して順番に並べて表示しているが、直近に用いられた決済方式が採用されないことによって(S18でNO、図3参照)、決済方式選択の処理(S20)に以降した場合には、決済方式選択の処理(S20)において、直近に用いられた決済方式を選択肢から除いてもよい。
【0060】
また、上記した実施の形態では、決済方式一覧を表示画面において(S20)、決済方式が選択されると(S22)、直ちに決済処理が行われる(S24)例について説明したが、決済処理を行う前に、ユーザが選択した決済方式で決済を行ってよいか否かの確認をしてもよい。これにより、誤操作による決済処理を防止できる。また、決済方式の確認を行う際に、パスワードを入力させる構成とすれば、セキュリティの向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、その決済場所においてユーザが希望する可能性の高い決済方式を選択できるという優れた効果を有し、複数の決済方式に対応した携帯端末等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施の形態の携帯端末および決済装置の構成を示す図
【図2】携帯端末の記憶部に記憶された決済履歴のデータの例を示す図
【図3】携帯端末の動作を示すフローチャート
【図4】決済装置から共通決済方式を取得する動作を示すフローチャート
【図5】決済装置から共通決済方式を別の態様で取得する動作を示すフローチャート
【図6】決済方式一覧の表示順序の決定動作を示すフローチャート
【図7】決済方式確認の画面の例を示す図
【図8】決済方式一覧表示の画面の例を示す図
【図9】POSレジの斜視図
【符号の説明】
【0063】
10 携帯端末
12 CPU
14 表示部
16 入力部
18 ICチップ
20 記憶部
22 決済プログラム
24 決済履歴
30 決済装置
32 CPU
34 表示部
36 POSインターフェース
38 リーダライタインターフェース
40 通信インターフェース
50 記憶部
52 決済プログラム
54 場所情報
60 POSレジ
62、64 画面
66 キーボード
70 回線
72 金融機関端末
74 クレジット会社端末
76 企業独自端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の決済方式のそれぞれに対応する複数のプログラムを記憶したプログラム記憶部と、
過去に採用した決済方式とその決済装置の所属に関する情報とを関連付けて記憶した履歴記憶部と、
複数の決済方式に対応した決済装置から、その決済装置が対応する決済方式およびその決済装置の所属に関する決済装置情報を受信する受信部と、
前記受信部にて受信した決済装置情報に対応する決済方式を前記履歴記憶部から読み出して、前記決済装置と自端末とに共通する一の決済方式を選択する決済方式選択部と、
を備え、
前記決済方式選択部にて選択された決済方式に対応するプログラムを前記プログラム記憶部から読み出して実行することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記決済装置情報は、前記決済装置が設置された場所に関する情報であることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記決済方式選択部は、前記受信部にて受信した決済場所に関する情報に対応する複数の決済方式が読み出された場合には、直近に採用した決済方式を選択することを特徴とする請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
複数の決済方式のそれぞれに対応する複数のプログラムを記憶したプログラム記憶部と、
過去に採用した決済方式を記憶した履歴記憶部と、
複数の決済方式に対応した決済装置から、その決済装置が対応する決済方式に関する情報を受信する受信部と、
前記決済装置と自端末とに共通する決済方式を前記履歴記憶部に記憶された履歴に基づいて定められる順番に従って並べて表示する表示部と、
前記表示部に表示された決済方式の中から決済方式の選択を受け付ける決済方式受付部と、
を備え、
前記決済方式受付部にて受け付けた決済方式に対応するプログラムを前記プログラム記憶部から読み出して実行することを特徴とする携帯端末。
【請求項5】
前記表示部は、直近に用いられた決済方式を最上位に表示することを特徴とする請求項4に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記表示部は、複数の決済方式を使用頻度の多い順番に並べて表示する請求項5に記載の携帯端末。
【請求項7】
複数の決済方式のそれぞれに対応する複数のプログラムを記憶したプログラム記憶部と、
過去に採用した決済方式とその決済場所に関する情報とを関連付けて記憶した履歴記憶部と、
複数の決済方式に対応した決済装置から、その決済装置が対応する決済方式およびその決済装置が設置された決済場所に関する情報を受信する受信部と、
前記受信部にて受信した決済場所に関する情報に対応する決済方式を前記履歴記憶部から読み出して、前記決済装置と自端末とに共通する決済方式から一の決済方式を選択する決済方式選択部と、
前記決済方式選択部にて選択された決済方式で決済を行うか否かの選択を受け付ける決済可否選択部と、
前記決済方式で決済を行わないことが選択された場合に、前記決済装置と自端末とに共通する決済方式を前記履歴記憶部に記憶された履歴に基づいて定められる順番に従って並べて表示する表示部と、
前記表示部に表示された決済方式の中から決済方式の選択を受け付ける決済方式受付部と、
を備え、
前記決済方式選択部にて選択された決済方式または前記決済方式受付部にて受け付けた決済方式に対応するプログラムを前記プログラム記憶部から読み出して実行することを特徴とする携帯端末。
【請求項8】
複数の決済方式に対応した決済装置であって、
決済装置が設置された場所に関する情報を記憶する設置場所記憶部と、
携帯端末から送信される、その携帯端末が対応する決済方式を示す情報を受信する決済方式受信部と、
前記携帯端末と決済装置とに共通する決済方式を抽出する共通決済方式抽出部と、
前記共通決済方式抽出部にて抽出された決済方式と前記設置場所記憶部に記憶された場所に関する情報とを前記携帯端末に送信する送信部と、
を備えたことを特徴とする決済装置。
【請求項9】
複数の決済方法のそれぞれに対応する複数のプログラムを記憶したプログラム記憶部と、
端末に対し前記プログラムの各々について対応するプログラムの有無を確認する情報送信部と、
前記端末からの応答が対応プログラム有りを示す肯定応答であったプログラムを記憶するメモリと、
前記メモリの内容を前記端末に送信する送信部と、
を備えたことを特徴とする決済装置。
【請求項10】
複数の決済方式に対応した決済装置であって、
携帯端末から送信される、その携帯端末が対応する決済方式を示す情報およびその携帯端末での決済方式の採用履歴を受信する受信部と、
前記携帯端末と決済装置とに共通する決済方式を抽出する共通決済方式抽出部と、
前記共通決済方式抽出部にて抽出された共通決済方式を前記採用履歴に基づいて定められる順番に従って並べて表示する表示部と、
前記表示部に表示された決済方式の中から決済方式の選択を受け付ける決済方式受付部と、
を備えたことを特徴とする決済装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−102319(P2007−102319A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−288128(P2005−288128)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】