説明

携帯端末及びその制御方法

【課題】データ通信中に着信信号を受信した場合であってもスループットの低下を極力防止することができる携帯端末及びその制御方法を提供する。
【解決手段】減設部31は、割り当てられた複数のスロットによりデータ通信を行っている際に、通信部40により着信信号を受信したか否かを判定する。そして、減設部31は、通信部40により着信信号を受信した場合、データ通信用に割り当てられた複数のスロットのうち少なくとも1つを残し、当該残されたスロット以外のスロットを減設する。増設部32は、着信信号に関する処理を行う際に、着信信号の種類に応じて、減設されたスロットのうちのいくつかを前記着信信号に関する処理用として増設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時分割多元接続方式を用いる携帯端末及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、PHS端末等の携帯端末は、基地局との間において、例えば、TDMA(Time Division Multiple Access)/TDD(Time Division Duplex)方式に基づいた無線通信を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
TDMA/TDDでは、複数のスロット(リンク)を設ける場合が多い。この場合、送信データは、所定サイズ(例えば、512バイト)以内のパケットに分割された後、各パケットが複数のスロットのいずれかに割り当てられる。そして、各パケットは、割り当てられたスロットにおいて、TDMAフレーム毎のデータサイズにさらに分割されて送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−152514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述したTDMA/TDD方式に基づいた無線通信を行う携帯端末は、複数のスロットによりデータ通信を行っている際に、着信信号を受信した場合、着信を行いやすくするために、複数のスロットのうちいくつかのスロットを残して、他のスロットを減設していた。そのため、携帯端末は、着信信号に係る処理を行っている間、残されたスロットのみでデータ通信を行うため、スループットが低下するおそれがあった。
【0006】
本発明は、データ通信中に着信信号を受信した場合であってもスループットの低下を極力防止することができる携帯端末及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る携帯端末は、上記課題を解決するために、基地局を介して他の端末と通信を行う通信部と、割り当てられた複数のスロットにより第1のデータ通信を行っている際に、前記通信部により着信信号を受信した場合、前記第1のデータ通信用に割り当てられた複数のスロットのうち少なくとも1つを残し、当該残されたスロット以外のスロットを減設する減設部と、前記着信信号に関する処理を行う際に、前記着信信号の種類に応じて、前記減設されたスロットのうちのいくつかを前記着信信号に関する処理用として増設する増設部と、を備える。
【0008】
また、前記増設部は、前記着信信号に付加された付加情報に基づいて、前記着信信号の種類を判定することが好ましい。
【0009】
また、前記着信信号に付加された付加情報は、ITU−TH.320に規定されるUUI(ユーザ・ユーザ情報)である。
【0010】
また、前記増設部は、前記着信信号に関する処理が第2のデータ通信を含む場合には、前記減設されたスロットうちのいくつかを前記第2のデータ通信用として増設し、前記着信信号に関する処理が前記第2のデータ通信を含まない場合には、前記減設されたスロットのうちのいずれのスロットも前記第2のデータ通信用として増設しないことが好ましい。
【0011】
また、前記携帯端末において、前記第2のデータ通信は、パケット通信であることが好ましい。
【0012】
また、前記増設部は、前記第2のデータ通信時におけるデータ伝送量が所定の閾値を超える場合には、前記減設されたスロットのうちのいくつかを増設することが好ましい。
【0013】
また、前記増設部は、前記第2のデータ通信時におけるデータ伝送量に基づいて、前記減設されたスロットのうちから増設するスロットの数を決定することが好ましい。
【0014】
また、前記増設部は、前記着信信号に関する処理が終了した後に、当該着信信号に関する処理用に割り当てられていたスロットを減設し、当該減設されたスロットを前記第1のデータ通信用として増設することが好ましい。
【0015】
また、前記増設部は、前記着信信号に関する処理用として増設されたスロットの通信品質と、前記第1のデータ通信用として割り当てられ、前記減設部により減設されなかったスロットの通信品質とを比較して、通信品質のより高いスロットの割当元の基地局を前記減設されたスロットを前記着信信号に関する処理用として増設する際の割当元として設定することが好ましい。
【0016】
また、前記携帯端末において、前記通信部によるデータ通信の方式は、時分割多元接続(TDMA/TDD)方式であることが好ましい。
【0017】
本発明に係る携帯端末の制御方法は、上記課題を解決するために、割り当てられた複数のスロットにより第1のデータ通信を行っている際に、着信信号を受信したか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて前記着信信号を受信したと判定された場合に、前記第1のデータ通信用に割り当てられた複数のスロットのうち少なくとも1つを残し、当該残されたスロット以外のスロットを減設する減設ステップと、前記着信信号に関する処理を行う際に、前記着信信号の種類に応じて、前記減設されたスロットのうちのいくつかを前記着信信号に関する処理用として増設する増設ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、データ通信中に着信信号を受信した場合であってもスループットの低下を極力防止することができる携帯端末及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係るPHS端末の外観斜視図である。
【図2】本実施形態に係るPHS端末の機能を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係るPHS端末を含むTDMA/TDD方式による無線通信システムの構成例を示す図である。
【図4】基地局とPHS端末間における送受信スロットタイミングについて示す図である。
【図5】本実施形態に係るスロットの設定について示す図である。
【図6】本実施形態に係るPHS端末の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本実施形態に係るPHS端末1の外観斜視図である。
なお、図1は、いわゆる折り畳み型の端末の形態を示しているが、本発明に係るPHS端末1の形態はこれに限られない。例えば、両筐体を重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部と表示部とが1つの筐体に配置され、連結部を有さない形式(ストレートタイプ)でもよい。
【0021】
PHS端末1は、操作部側筐体2と、表示部側筐体3と、を備えて構成される。操作部側筐体2は、表面部10に、操作部11と、PHS端末1の使用者が通話時や音声認識アプリケーションを利用時に発した音声が入力されるマイク12と、を備えて構成される。操作部11は、各種設定機能や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作ボタン13と、電話番号の数字やメールの文字等を入力するための入力操作ボタン14と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作ボタン15と、から構成されている。
【0022】
また、表示部側筐体3は、表面部20に、各種情報を表示するための表示部21と、通話の相手側の音声を出力するレシーバ22と、を備えて構成されている。
【0023】
また、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、ヒンジ機構4を介して連結されている。また、PHS端末1は、ヒンジ機構4を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に回転することにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに開いた状態(開状態)にしたり、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを折り畳んだ状態(閉状態)にしたりできる。
【0024】
図2は、本実施形態に係るPHS端末1の機能を示すブロック図である。
PHS端末1は、操作部11と、表示部21と、制御部30と、通信部40と、記憶部50と、音声制御部60とを備える。
【0025】
制御部30は、PHS端末1の全体を制御しており、例えば、表示部21や通信部40等の各部に対して所定の制御を行う。また、制御部30は、操作部11や通信部40等から入力を受け付けて、各種処理を実行する。そして、制御部30は、処理実行の際には、記憶部50を制御し、各種プログラム及びデータの読み出し、及びデータの書き込みを行う。なお、本実施形態に係る制御部30の詳細機能は後述する。
【0026】
通信部40は、制御部30の制御に従って、所定の使用周波数帯(例えば、1.9GHz帯)で基地局と通信を行う。そして、通信部40は、アンテナ41より受信した信号を復調処理し、処理後の信号を制御部30に供給し、また、制御部30から供給された信号を変調処理し、アンテナ41から外部装置に送信する。すなわち、通信部40は、基地局を介して他の端末と通信を行う。
【0027】
図3は、本実施形態に係るPHS端末1を含むTDMA/TDD方式による無線通信システムの構成例を示す図である。
【0028】
PHS端末1は、TDMA/TDD方式の複数のスロット(例えば、スロット1〜4)を用いて、それぞれ同一の又は異なる基地局と無線通信を行う。
【0029】
ここで、各スロットは、無線通信であるために、それぞれ異なる基地局によって通信している場合において、それぞれエラー率等の通信品質が異なり、データ通信におけるスループットが大きく異なる場合もある。
【0030】
また、基地局は、報知チャネル(BCCH:Broad Cast Control Channel)、呼出チャネル(PCH:Paging Channel)、及びリンクチャネル割当信号(下りSCCH:Signaling Control Channel)を含む制御チャネル(CCH:Control Channel)を所定のパターンのタイミングで送信する。
【0031】
なお、ARIB STD−28においてフレームは、ダウンリンクと、アップリンクを時間軸方向にそれぞれ4分割したタイムスロット(TDMAスロット)で構成される。また、1タイムスロットの時間長は、625μsecであり、8タイムスロットの時間長は、5msecである。また、一般的なPHS端末は、1.2secに1回のタイミングでCCHの間欠受信を行い、着呼の有無を確認している。
【0032】
また、図2に示すように、記憶部50は、例えば、ワーキングメモリを含み、制御部30による演算処理に利用される。また、本実施形態に係る各種プログラムの他、送受信用スロット数の初期値や最大値、増設及び減設の条件、各スロットの通信状態(通信品質)としてのスループット値等を記憶する。
【0033】
音声制御部60は、制御部30の制御に従って、通信部40から供給された信号に対して所定の音声処理を行い、処理後の信号をレシーバ22に出力する。レシーバ22は、音声制御部60から供給された信号を外部に出力する。なお、この信号は、レシーバ22に代えて、又はレシーバ22と共に、スピーカ(図示せず)から出力されるとしてもよい。また、音声制御部60は、制御部30の制御に従って、マイク12から入力された信号を処理し、処理後の信号を通信部40に出力する。通信部40は、音声制御部60から供給された信号に所定の処理を行い、処理後の信号をアンテナ41より出力する。
【0034】
次に制御部30の機能について詳述する。
制御部30は、減設部31と、増設部32と、着信処理部33と、データ通信処理部34とを備える。
【0035】
減設部31は、割り当てられた複数のスロットによりデータ通信を行っている際に、通信部40により着信信号を受信したか否かを判定するか、若しくは通信部40より着信信号を受信した旨の通知を受ける。そして、減設部31は、通信部40により着信信号を受信した場合、割り当てられた複数のスロットのうち少なくとも1つ以外のスロットを減設する。
【0036】
具体的には、図5(A)に示すように、ダウンリンクの複数のスロットTS1〜TS4において、PHS端末1は、パケット通信を用いたデータ通信を行っている。この場合、PHS端末1は、スロットTS1及びTS2において基地局CS1とデータ通信し、スロットTS3及びTS4において基地局CS2とデータ通信している。
【0037】
そして図5(B)に示すように、複数のスロットTS1〜TS4によりデータ通信を行っている際に基地局CS3から着信信号を受信すると、減設部31は、スロットTS1以外のスロット、すなわち、基地局CS1とデータ通信していたスロットTS2、基地局CS2とデータ通信していたスロットTS3及びTS4を減設し、着信信号をスロットTS2に割り当てる。ここで、着信信号は、基地局CS3から受信されているが、通信品質に応じて、他の基地局(例えば、基地局CS1やCS2)から受信してもよい。
【0038】
このように着信信号を受信した際にスロットTS2、TS3及びTS4が減設されるため、データ通信は、スロットTS1のみになってしまい、データ通信の通信速度が遅くなってしまう可能性がある。
【0039】
そこで、増設部32は、着信信号に関する処理を行う際に、着信信号の種類に応じて、減設されたスロットをデータ通信用として増設する。これにより、本実施形態に係るPHS端末1は、着信信号に関する処理が終了していなくても、データ通信用のスロットが増設されるため、データ通信による通信速度の低下を抑制できる。特に、本実施形態に係るPHS端末1は、データ通信用のスロットを増設する際に、通信可能な基地局(例えば、図5の基地局CS1〜CS3)それぞれの電界強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)を確認する必要がないため、効率よくデータ通信のスループットを向上させることができる。
【0040】
具体的には、増設部32は、着信信号に付加された付加情報に基づいて、着信信号の種類を判定する。ここで、付加情報としては、例えば、ユーザ間で情報を交換するためのUUI(User User information、ITU−TH.320に規定)等を用いることができる。詳細には、増設部32は、付加情報から着信信号に関する処理が、データ通信を含む処理(例えば、SMS(Short Message Service))であるか、データ通信を含まない処理(例えば、音声通話)であるかを判定する。なお、データ通信を含む処理は、SMSに限らず、例えば、Eメール等であってもよい。
【0041】
すなわち、増設部32は、着信信号に付加された付加情報に基づいて、着信信号に関する処理がデータ通信を含むか否かを判定する。そして、増設部32は、着信信号に関する処理がデータ通信を含む場合には、減設されたスロットをデータ通信用として新たに増設する。一方、増設部32は、着信信号に関する処理がデータ通信を含まない場合には、減設されたスロットをデータ通信用として新たに増設しない。
【0042】
具体的には、図5(C)に示すように、増設部32は、着信信号に関する処理がデータ通信を含む場合には、減設されたスロットTS3及びTS4を、基地局CS3とデータ通信を行うスロットとして新たに増設する。なお、増設部32は、基地局CS1とデータ通信中のスロットTS1についても、基地局CS1に割当元を変更してもよい。
【0043】
このようにPHS端末1は、付加情報を参照して、着信信号がデータ通信を含むSMS等の着信信号であるか、データ通信を含まない音声通話等の着信信号であるかを好適に判定できる。また、PHS端末1は、着信信号に関する処理がデータ通信を含む場合には、そのデータ通信用としてスロットが新たに増設されるため、着信信号に関する処理のスループットが向上する。また、PHS端末1は、着信信号に関する処理がデータ通信を含まない場合には、スロットが増設されないため、不要な処理を行わない。
【0044】
また、本実施形態において、データ通信とは、パケット通信である。したがって、パケット通信時に着信信号を受信した場合にデータ通信のスループットを向上させることができる。
【0045】
また、減設されたスロットをデータ通信用として新たに増設する際に、増設部32は、データ通信時におけるデータ伝送量が所定の閾値を超えるか否かを判定する。ここで、所定の閾値は、スロットを減設する前とスロットを減設する後とでデータ通信の速度が大きく低下するデータ伝送量の値に設定される。増設部32は、データ伝送量が所定の閾値を超える場合には、減設されたスロットをデータ通信用として新たに増設する。一方、増設部32は、データ伝送量が所定の閾値を超えない場合には、減設されたスロットをデータ通信用として新たに増設しない。これにより、PHS端末1は、データ通信の大幅なスループットの低下を防ぐことができる。
【0046】
増設部32は、データ通信時におけるデータ伝送量に基づいて、減設されたスロットのうちから増設するスロットの数を決定してもよい。例えば、増設部32は、データ通信を行っている処理がデータ伝送量の小さい処理(例えば、テキストデータを用いるアプリケーションの処理)である場合には、減設されたスロットのうちから、1つのスロット(例えば、図5(C)のスロットTS3)を増設する。
【0047】
一方、増設部32は、データ通信を行っている処理がデータ伝送量の大きい処理(例えば、ゲームアプリケーションの処理)である場合には、減設されたスロットのうちから、2つのスロット(例えば、図5(C)のスロットTS3及びTS4)を増設する。これにより、PHS端末1は、データ伝送量に応じた適切な数のスロットを増設することができる。
【0048】
増設部32は、着信信号を受信した基地局の通信品質を記憶部50に記憶させる。そして、減設されたスロットを増設する際に、増設部32は、記憶部50に記憶された着信信号に関する処理に割り当てられるスロット(例えば、図5(B)のスロットTS2)の通信品質と、減設部31により減設されなかったスロット(例えば、図5(B)のスロットTS1)の通信品質とを比較する。
【0049】
そして、増設部32は、通信品質がより高いスロット(例えば、図5(C)のスロットTS3及びTS4)の割当先の基地局(例えば、図5(C)の基地局CS3)を減設されたスロットを増設する際の割当元として設定する。このようにPHS端末1は、増設するスロットの割当元を、通信品質がより高い基地局に設定することによって、より好適にスループットを向上させることができる。
【0050】
着信処理部33は、着信信号を受信すると、着信信号に関する処理(例えば、SMS受信や音声通話を行うための処理)を実行する。例えば、着信処理部33は、SMSの着信信号を受信した場合には、SMS用のアプリケーションを起動し、SMSのメール本文を受信する。また、着信処理部33は、音声通話の着信信号を受信した場合には、音声通話用のアプリケーションを起動し、着信先の端末と音声通話を行う。
【0051】
データ通信処理部34は、複数のスロットにより通信されるデータ通信に関する処理(例えば、ブラウザアプリケーションによるウェブサイトの表示や、ゲームアプリケーションによるゲームの処理)を実行する。
【0052】
また、増設部32は、着信信号に関する処理が終了した後に、当該着信信号に関する処理に割り当てられていたスロットを減設し、当該スロットをデータ通信用として増設する。具体的には、図5(D)に示すように、増設部32は、着信信号に関する処理に割り当てられていたスロットTS2を減設し、減設したスロットTS2を基地局CS3とのデータ通信用のスロットとして増設する。これにより、スロットTS1では、基地局CS1とデータ通信を行い、スロットTS2〜TS4では、基地局CS3とデータ通信を行うことができる。このようにPHS端末1は、着信信号に関する処理に割り当てられていたスロットをデータ通信用とするため、着信信号に関する処理後にもデータ通信のスループットの向上を図ることができる。
【0053】
また、上述したように、通信部40によるデータ通信の方式は、時分割多元接続(TDMA/TDD)方式である。したがって、PHS端末1は、時分割多元接続方式において、着信信号を受信した場合に、データ通信のスループットを向上させることができる。
【0054】
図6は、本実施形態に係るPHS端末1の処理を示すフローチャートである。なお、図6に示す処理では、PHS端末1は、複数のスロットによりデータ通信を行っているものとする。
【0055】
ステップS1において、減設部31は、通信部40により着信信号を受信したか否かを判定する。着信信号を受信した場合(YES)には、ステップS2へ進む。着信信号を受信しない場合(NO)には、再度ステップS1の処理を繰り返す。
【0056】
ステップS2において、減設部31は、データ通信を行っている割り当てられた複数のスロットのうち、少なくとも1つ以外のスロットを減設する。
ステップS3において、制御部30は、複数のスロットのうち、データ通信を行っていない1のスロットにより着信信号の受信処理を行う。
【0057】
ステップS4において、制御部30は、着信信号の基地局の通信品質を記憶部50に記憶させる。
【0058】
ステップS5において、増設部32は、着信信号に付加された付加情報に基づいて、着信信号に関する処理がデータ通信を用いるか否かを判定する。着信信号に関する処理がデータ通信を用いる場合(YES)には、ステップS7へ進む。着信信号に関する処理がデータ通信を用いない場合(NO)には、ステップS6へ進む。
【0059】
ステップS6において、制御部30は、時分割多元接続方式によるデータ通信を切断し、着信処理部33による着信信号に係る処理を実行する。
【0060】
ステップS7において、増設部32は、記憶部50に記憶された着信信号に関する処理に割り当てられるスロットの通信品質(A)と、減設部31により減設されなかったスロットの通信品質(B)とを比較する。着信信号に関する処理に割り当てられるスロットの通信品質が、減設部31により減設されなかったスロットの通信品質よりも高い(A>B)場合には、ステップS8へ進む。着信信号に関する処理に割り当てられるスロットの通信品質が、減設部31により減設されなかったスロットの通信品質よりも低い(A<B)場合には、ステップS11へ進む。
【0061】
ステップS8において、増設部32は、データ通信時におけるデータ伝送量が所定の閾値を超えるか否かを判定する。データ伝送量が所定の閾値を超える場合(YES)には、ステップS9へ進む。データ伝送量が所定の閾値を超えない場合(NO)には、ステップS10へ進む。
【0062】
ステップS9において、増設部32は、減設部31により減設されなかったスロットの割当元の基地局CS1を、減設されたスロットの割当元として、スロットを増設し、ステップ13へ進む。
ステップS10において、増設部32は、スロットを増設せずにデータ通信を行う。
【0063】
ステップS11において、増設部32は、データ通信時におけるデータ伝送量が所定の閾値を超えるか否かを判定する。データ伝送量が所定の閾値を超える場合(YES)には、ステップS12へ進む。データ伝送量が所定の閾値を超えない場合(NO)には、ステップS10へ進む。
【0064】
ステップS12において、増設部32は、着信信号に関する処理に割り当てられるスロットの割当元の基地局CS3を、減設されたスロットの割当元として設定し、スロットを増設する。
【0065】
ステップS13において、増設部32は、着信信号に関する処理が終了したか否かを判定する。着信信号に関する処理が終了した場合(YES)には、ステップS14へ進む。着信信号に関する処理が終了していない場合(NO)には、ステップS13の処理を繰り返す。
【0066】
ステップS14において、増設部32は、着信信号に関する処理に割り当てられていたスロットを減設する。
ステップS15において、増設部32は、当該スロットをデータ通信用として増設する。
ステップS16において、制御部30は、データ通信に関する処理を実行し、その後、処理を終了する。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。また、PHS端末1がパーソナルコンピュータ等のデータ端末に接続され、このデータ端末からUSB等で受信したデータをTDMA/TDD方式で無線送信する場合にも、本発明は適用可能である。
【0068】
また、本発明に係る携帯端末は、PHS端末1には限られず、TDMA/TDD方式に限られない。例えば、W−CDMA、CDMA2000、LTE方式にも適用可能である本発明は、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機、ナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、通信機能に特化した通信専用モジュール等、様々な装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 PHS端末(携帯端末)
30 制御部
31 減設部
32 増設部
40 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局を介して他の端末と通信を行う通信部と、
割り当てられた複数のスロットにより第1のデータ通信を行っている際に、前記通信部により着信信号を受信した場合、前記第1のデータ通信用に割り当てられた複数のスロットのうち少なくとも1つを残し、当該残されたスロット以外のスロットを減設する減設部と、
前記着信信号に関する処理を行う際に、前記着信信号の種類に応じて、前記減設されたスロットのうちのいくつかを前記着信信号に関する処理用として増設する増設部と、を備える携帯端末。
【請求項2】
前記増設部は、前記着信信号に付加された付加情報に基づいて、前記着信信号の種類を判定する請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記着信信号に付加された付加情報は、ITU−TH.320に規定されるUUI(ユーザ・ユーザ情報)である請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記増設部は、前記着信信号に関する処理が第2のデータ通信を含む場合には、前記減設されたスロットうちのいくつかを前記第2のデータ通信用として増設し、前記着信信号に関する処理が前記第2のデータ通信を含まない場合には、前記減設されたスロットのうちのいずれのスロットも前記第2のデータ通信用として増設しない請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記第2のデータ通信は、パケット通信である請求項4に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記増設部は、前記第2のデータ通信時におけるデータ伝送量が所定の閾値を超える場合には、前記減設されたスロットのうちのいくつかを増設する請求項4又は5に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記増設部は、前記第2のデータ通信時におけるデータ伝送量に基づいて、前記減設されたスロットのうちから増設するスロットの数を決定する請求項4又は5に記載の携帯端末。
【請求項8】
前記増設部は、前記着信信号に関する処理が終了した後に、当該着信信号に関する処理用に割り当てられていたスロットを減設し、当該減設されたスロットを前記第1のデータ通信用として増設する請求項1から7のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項9】
前記増設部は、前記着信信号に関する処理用として増設されたスロットの通信品質と、前記第1のデータ通信用として割り当てられ、前記減設部により減設されなかったスロットの通信品質とを比較して、通信品質のより高いスロットの割当元の基地局を前記減設されたスロットを前記着信信号に関する処理用として増設する際の割当元として設定する請求項1から8のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項10】
前記通信部によるデータ通信の方式は、時分割多元接続(TDMA/TDD)方式である請求項1から9のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項11】
割り当てられた複数のスロットにより第1のデータ通信を行っている際に、着信信号を受信したか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記着信信号を受信したと判定された場合に、前記第1のデータ通信用に割り当てられた複数のスロットのうち少なくとも1つを残し、当該残されたスロット以外のスロットを減設する減設ステップと、
前記着信信号に関する処理を行う際に、前記着信信号の種類に応じて、前記減設されたスロットのうちのいくつかを前記着信信号に関する処理用として増設する増設ステップと、を含む携帯端末の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−222745(P2012−222745A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89476(P2011−89476)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】