説明

携帯端末装置、音声出力制御方法、音声出力制御プログラム

【課題】気導音を発するスピーカと、人体を振動させて音声を伝える振動子とを使用環境に適した状態で簡単に利用できる携帯端末装置、音声出力制御方法、音声出力制御プログラムを提供する。
【解決手段】携帯端末装置100は、音声の出力を制御する制御部150と、制御部150に制御されて気導音を発するスピーカ122と、制御部150により制御されて振動する振動子123aと、スピーカ122の近傍に配置されており、振動子123aの振動が伝えられて振動して、人体に接触させられることにより人体に振動を伝える接触部123と、音声を聞き取りにくい状況にあるか否かを判断する判断部151と、判断部151の判断に応じて、制御部150による音声の出力制御の内容を変更する制御変更部152とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気導音を発するスピーカと、振動を人体に伝えることにより音声を伝える振動子とを有する携帯端末装置、音声出力制御方法、音声出力制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末等の携帯端末装置では、受信した音声等を気導音として発生させるスピーカを備えている。このスピーカからの音声は、静かな環境中で使用する場合には、明瞭に聞こえるが、騒音の大きな環境下では、聞き取りづらい場合もあった。
【0003】
一方、骨伝導と呼ばれる手法を用いて音声を伝える携帯端末装置も既に実用化されている。骨伝導では、振動子を振動させて人体の主に頭蓋骨に振動を伝え、頭蓋骨の振動を直接蝸牛に伝えて音声を聴覚神経に伝える。したがって、騒音環境下であっても、聞き取りやすい音声伝達を実現可能である。
【0004】
しかし、骨伝導は、通常の気導音を発するスピーカと比較すると、音質が悪く、違和感を覚える人も多い。したがって、通常の環境下では、一般的なスピーカを利用することが望ましい場合が多い。
【0005】
特許文献1には、気伝導レシーバと骨伝導レシーバを組み合わせるハイブリッド型受聴装置が開示されている。この特許文献1の技術では、可変抵抗器を操作することにより気伝導レシーバと骨伝導レシーバとの音量調節を行う。
【0006】
また、特許文献2には、振動体の振動面と耳珠との当接する圧力を調節する圧力調整手段として板バネと、板バネの付勢力を調整する調整ネジ等を有した骨伝導受話装置が開示されている。この特許文献2の技術では、手動操作により圧力調整して、軟骨導経由の音声情報と気導経由の音声情報の伝達比率を変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−245384号公報
【特許文献2】特許4541111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1の手法では、可変抵抗器を利用者自身が操作する必要があり、操作が煩雑であり、使用状況に適した設定に調節することが難しく、利便性がよくなかった。また、通話中に調節操作を行う場合、誤って操作をしてしまうと、かえって音声を聞き取りにくい設定となる可能性もあり、通話内容を聞き逃してしまうおそれもあった。
【0009】
また、特許文献2の手法では、振動体の振動自体は変化させておらず、高レベルの騒音環境下等でより強い音量が必要な場合に、音量が不足し音声を明瞭に伝えることができないおそれがあった。さらに、特許文献2の手法では、耳珠部を突起部品で外耳道に押し付けるといった不自然な塞ぎ方を行うので、利用者が違和感を覚えるというおそれがあった。
【0010】
本発明の課題は、気導音を発するスピーカと、人体を振動させて音声を伝える振動子とを使用環境に適した状態で簡単に利用できる携帯端末装置、音声出力制御方法、音声出力制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の事項を提案している。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0012】
(1)本発明は、音声の出力を制御する制御部(150,250,350)と、前記制御部により制御されて振動する振動子(123a)と、前記振動子の振動が伝えられて振動して、人体に接触させられることにより前記人体に振動を伝える接触部(123)と、音声を聞き取りにくい状況にあるか否かを判断する判断部(151,251,351)と、前記判断部の判断に応じて、前記制御部による音声の出力制御の内容を変更する制御変更部(152,252,352)と、を備える携帯端末装置(100,200,300)を提案している。
【0013】
この発明によれば、制御部は、音声の出力を制御する。振動子は、制御部により制御されて振動する。接触部は、振動子の振動が伝えられて振動して、人体に接触させられることにより人体に振動を伝える。判断部は、音声を聞き取りにくい状況にあるか否かを判断する。制御変更部は、判断部の判断に応じて、制御部による音声の出力制御の内容を変更する。したがって、携帯端末装置は、気導音を発するスピーカと、人体を振動させて音声を伝える振動子とを使用環境に適した状態で簡単に利用できる。また、自動的に出力制御の内容が変更されるので、通話内容等を聞き逃すことも防止できる。
【0014】
(2)本発明は、(1)に記載の携帯端末装置において、前記接触部(123)が人体に対して押しつけられていることを検出する押圧検出部(125,332)を備え、前記判断部(150,350)は、前記押圧検出部の検出結果を用いて音声を聞き取りにくい状況にあるか否かを判断すること、を特徴とする携帯端末装置(100,300)を提案している。
【0015】
この発明によれば、押圧検出部は、接触部が人体に対して押しつけられていることを検出する。判断部は、押圧検出部の検出結果を用いて音声を聞き取りにくい状況にあるか否かを判断する。したがって、携帯端末装置は、簡単な構成により、音声を聞き取りにくい状況にあるか否かを判断できる。また、随時変化する騒音において、押し付け具合を調整する操作だけで聞き取りやすい出力へと即座に調整できる。
【0016】
(3)本発明は、(2)に記載の携帯端末装置において、前記制御部(150,350)に制御されて気導音を発するスピーカ(122)を前記接触部(123)の近傍に備え、前記押圧検出部(125,332)は、前記スピーカ及び/又は前記接触部が人体に対して押しつけられている力に対応した検出結果を得ることができ、前記制御変更部(152,352)は、前記押圧検出部が取得した前記スピーカ及び/又は前記接触部が人体に対して押しつけられている力に対応して、前記振動子(123a)の駆動をONとOFFとの間で変更すること、を特徴とする携帯端末装置(100,300)を提案している。
【0017】
この発明によれば、スピーカは、接触部の近傍に備えられており、制御部に制御されて気導音を発する。押圧検出部は、スピーカ及び/又は接触部が人体に対して押しつけられている力に対応した検出結果を得ることができる。制御変更部は、押圧検出部が取得したスピーカ及び/又は接触部が人体に対して押しつけられている力に対応して、振動子の駆動をONとOFFとの間で変更する。したがって、携帯端末装置は、利用者が所定以上の力でスピーカや接触部を耳等に押し付けたときに、自動的に振動子を利用できる。
【0018】
(4)本発明は、(2)又は(3)に記載の携帯端末装置において、前記制御変更部(152,352)は、前記押圧検出部(125,332)が取得した前記接触部(123)が人体に対して押しつけられている力に対応して、振動振幅を変更すること、を特徴とする携帯端末装置(100,300)を提案している。
【0019】
この発明によれば、制御変更部は、押圧検出部が取得した接触部が人体に対して押しつけられている力に対応して、振動振幅を変更する。したがって、携帯端末装置は、利用者がスピーカや接触部を耳等に押し付ける力が大きくなればなるほど、振動子の振幅を大きくして、より聞き取りやすくできる。
【0020】
(5)本発明は、(3)に記載の携帯端末装置において、前記制御変更部(152)は、前記押圧検出部(125,332)が取得した前記接触部が人体に対して押しつけられている力に対応して、前記スピーカ(122)の音量を変更すること、を特徴とする携帯端末装置(100,300)を提案している。
【0021】
この発明によれば、制御変更部は、押圧検出部が取得した接触部が人体に対して押しつけられている力に対応して、スピーカの音量を変更する。したがって、携帯端末装置は、利用者がスピーカや接触部を耳等に押し付ける力が大きくなればなるほど、スピーカの音量を大きくして、より聞き取りやすくできる。
【0022】
(6)本発明は、(2)から(5)までのいずれか1項に記載の携帯端末装置において、前記押圧検出部(125)は、筐体のいずれかの位置に作用する圧力を検出することにより、前記接触部(123)が人体に対して押しつけられていることを検出すること、を特徴とする携帯端末装置(100)を提案している。
【0023】
この発明によれば、押圧検出部は、筐体のいずれかの位置に作用する圧力を検出することにより、接触部が人体に対して押しつけられていることを検出する。したがって、押圧検出部は、接触部が人体に対して押しつけられている力に応じて増加する圧力を直接検出でき、簡単かつ精度の高い判定を行える。
【0024】
(7)本発明は、(2)から(5)までのいずれか1項に記載の携帯端末装置において、軸部(330)と、前記軸部を中心として相対的に回転可能な第1の筐体(110)及び第2の筐体(120)と、を備え、前記押圧検出部(332)は、前記第1の筐体及び前記第2の筐体の相対的な回転角度を前記軸部において検出することにより、前記接触部(123)が人体に対して押しつけられていることを検出すること、を特徴とする携帯端末装置(300)を提案している。
【0025】
この発明によれば、第1の筐体及び第2の筐体は、軸部を中心として相対的に回転可能である。押圧検出部は、第1の筐体及び第2の筐体の相対的な回転角度を軸部において検出することにより、接触部が人体に対して押しつけられていることを検出する。したがって、押圧検出部は、接触部が人体に対して押しつけられている力に応じて増加する軸部の回転角度を直接検出でき、簡単かつ精度の高い判定を行える。
【0026】
(8)本発明は、(7)に記載の携帯端末装置において、前記軸部(330)には、前記第1の筐体(110)と前記第2の筐体(120)との相対的な回転位置を所定位置に保持するように付勢する付勢部材(340)が設けられており、前記第1の筐体及び/又は前記第2の筐体に所定以上の力が加わることにより前記付勢部材の付勢力に抗して前記第1の筐体と前記第2の筐体とは、その相対的な回転位置を前記所定位置を越えて回転可能であり、前記押圧検出部(332)は、前記所定位置を越えた回転角度を検出すること、を特徴とする携帯端末装置(300)を提案している。
【0027】
この発明によれば、軸部には、第1の筐体と第2の筐体との相対的な回転位置を所定位置に保持するように付勢する付勢部材が設けられている。第1の筐体と第2の筐体とは、第1の筐体及び/又は第2の筐体に所定以上の力が加わることにより付勢部材の付勢力に抗してその相対的な回転位置を所定位置を越えて回転可能である。押圧検出部は、所定位置を越えた回転角度を検出する。したがって、簡単な構成により、接触部が人体に対して押しつけられている力に応じて増加する軸部の回転角度を検出できる。
【0028】
(9)本発明は、(2)から(5)までのいずれか1項に記載の携帯端末装置において、前記押圧検出部は、筐体(110,120)の撓みを検出することにより、前記接触部(123)が人体に対して押しつけられていることを検出すること、を特徴とする携帯端末装置を提案している。
【0029】
この発明によれば、押圧検出部は、筐体の撓みを検出することにより、接触部が人体に対して押しつけられていることを検出する。したがって、押圧検出部は、接触部が人体に対して押しつけられている力に応じて増加する筐体の撓み(歪み)を用いて人体に対して押しつけられていることを検出できる。よって、いわゆるストレートタイプやスマートフォンタイプ等の端末でも、容易に本発明を利用できる。
【0030】
(10)本発明は、(2)から(5)までのいずれか1項に記載の携帯端末装置において、入力操作を行うタッチパネルを備え、前記押圧検出部は、前記タッチパネルにおける接触圧力と、接触面積との少なくとも1つを用いて、前記接触部が人体に対して押しつけられていることを検出すること、を特徴とする携帯端末装置を提案している。
【0031】
この発明によれば、タッチパネルは、入力操作を行う。押圧検出部は、タッチパネルにおける接触圧力と、接触面積との少なくとも1つを用いて、接触部が人体に対して押しつけられていることを検出する。したがって、タッチパネルを備えるいわゆるスマートフォン等の端末であれば、センサ等を追加することなく、本発明を利用できる。
【0032】
(11)本発明は、(1)に記載の携帯端末装置において、環境音を取得するマイク部(112)を備え、前記判断部(251)は、前記マイク部が取得した環境音を用いて音声を聞き取りにくい状況にあるか否かを判断すること、を特徴とする携帯端末装置(200)を提案している。
【0033】
この発明によれば、マイク部は、環境音を取得する。判断部は、マイク部が取得した環境音を用いて音声を聞き取りにくい状況にあるか否かを判断する。したがって、携帯端末装置は、利用者の動作に関わらずに、騒音環境下で自動的に振動子を作動させることができる。
【0034】
(12)本発明は、(11)に記載の携帯端末装置において、前記マイク部(112)は、環境音の音圧に対応した検出結果を得ることができ、前記制御変更部(252)は、前記マイク部が取得した環境音の音圧に対応して、前記振動子(123a)の駆動をONとOFFとの間で変更すること、を特徴とする携帯端末装置(200)を提案している。
【0035】
この発明によれば、マイク部は、環境音の音圧に対応した検出結果を得ることができる。制御変更部は、マイク部が取得した環境音の音圧に対応して、振動子の駆動をONとOFFとの間で変更する。したがって、携帯端末装置は、環境音の音圧が所定以上となるときに、自動的に振動子を利用できる。
【0036】
(13)本発明は、(11)又は(12)に記載の携帯端末装置において、前記制御変更部(252)は、前記マイク部(112)が取得した環境音の音圧に対応して、振動振幅を変更すること、を特徴とする携帯端末装置(200)を提案している。
【0037】
この発明によれば、制御変更部は、マイク部が取得した環境音の音圧に対応して、振動振幅を変更する。したがって、携帯端末装置は、環境音の音圧が大きくなればなるほど、振動子の振幅を大きくして、より聞き取りやすくできる。
【0038】
(14)本発明は、(11)から(13)までのいずれか1項に記載の携帯端末装置において、前記制御部(250)に制御されて気導音を発するスピーカ(122)を備え、前記制御変更部(252)は、前記マイク部(112)が取得した環境音の音圧に対応して、前記スピーカ(122)の音量を変更すること、を特徴とする携帯端末装置(200)を提案している。
【0039】
この発明によれば、制御変更部は、マイク部が取得した環境音の音圧に対応して、スピーカの音量を変更する。したがって、携帯端末装置は、環境音の音圧が大きくなればなるほど、スピーカの音量を大きくして、より聞き取りやすくできる。
【0040】
(15)本発明は、音声の出力を制御する制御部(150,250)と、前記制御部により制御されて振動する振動子(123a)と、前記振動子の振動が伝えられて振動して、人体に接触させられることにより前記人体に振動を伝える接触部(123)と、を備えた携帯端末装置(100,200)の音声出力制御方法であって、音声を聞き取りにくい状況にあるか否かを判断する判断部(151,251)により判断し、前記判断部の判断に応じて、前記制御部による音声の出力制御の内容を制御変更部(152,252)により変更する音声出力制御方法を提案している。
【0041】
この発明によれば、制御部は、音声の出力を制御する。振動子は、制御部により制御されて振動する。接触部は、振動子の振動が伝えられて振動して、人体に接触させられることにより人体に振動を伝える。判断部は、音声を聞き取りにくい状況にあるか否かを判断する。制御変更部は、判断部の判断に応じて、制御部による音声の出力制御の内容を変更する。したがって、音声出力制御方法は、気導音を発するスピーカと、人体を振動させて音声を伝える振動子とを使用環境に適した状態で簡単に利用できるように携帯端末装置の音声出力を制御できる。
【0042】
(16)本発明は、音声の出力を制御する制御部(150,250)と、前記制御部により制御されて振動する振動子(123a)と、前記振動子の振動が伝えられて振動して、人体に接触させられることにより前記人体に振動を伝える接触部(123)と、を備えた携帯端末装置(100,200)の音声出力制御プログラムであって、コンピュータ(150,250)を、音声を聞き取りにくい状況にあるか否かを判断する判断手段(151,251)と、前記判断手段の判断に応じて、前記制御部による音声の出力制御の内容を変更する制御変更手段(152,252)として機能させるための音声出力制御プログラムを提案している。
【0043】
この発明によれば、制御部は、音声の出力を制御する。振動子は、制御部により制御されて振動する。接触部は、振動子の振動が伝えられて振動して、人体に接触させられることにより人体に振動を伝える。判断手段は、音声を聞き取りにくい状況にあるか否かを判断する。制御変更手段は、判断手段の判断に応じて、制御部による音声の出力制御の内容を変更する。したがって、音声出力制御プログラムは、携帯端末装置を、気導音を発するスピーカと、人体を振動させて音声を伝える振動子とを使用環境に適した状態で簡単に利用できるように動作させることができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、気導音を発するスピーカと、人体を振動させて音声を伝える振動子とを使用環境に適した状態で簡単に利用できるという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による音声出力制御方法、音声出力制御プログラムを用いた携帯端末装置100の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】携帯端末装置100を開いた状態で示した図である。
【図3】携帯端末装置100を閉じた状態で示した図である。
【図4】携帯端末装置100の音声出力に関する部分の構成を示すブロック図である。
【図5】携帯端末装置100の音声出力に関する動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】圧力値と、スピーカの音量及び振動子の振幅との関係を示す図である。
【図7】第2実施形態の携帯端末装置200の音声出力に関する部分の構成を示すブロック図である。
【図8】第2実施形態の携帯端末装置200の音声出力に関する動作の流れを示すフローチャートである。
【図9】環境音の音量と、スピーカの音量及び振動子の振幅との関係を示す図である。
【図10】本発明による音声出力制御方法、音声出力制御プログラムを用いた携帯端末装置300の第3実施形態を示す図である。
【図11】第3実施形態の携帯端末装置300の音声出力に関する部分の構成を示すブロック図である。
【図12】第3実施形態の携帯端末装置300の音声出力に関する動作の流れを示すフローチャートである。
【図13】回転角度と、スピーカの音量及び振動子の振幅との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、本実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、本実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0047】
(第1実施形態)
図1は、本発明による音声出力制御方法、音声出力制御プログラムを用いた携帯端末装置100の第1実施形態を示す斜視図である。
図2は、携帯端末装置100を開いた状態で示した図である。図2(a)は、正面図であり、図2(b)は、側面図である。
図3は、携帯端末装置100を閉じた状態で示した図である。図3(a)は、正面図であり、図3(b)は、側面図である。
【0048】
本実施形態の携帯端末装置100は、第1の筐体110と、第2の筐体120とが軸部130を中心として折りたたみ可能な携帯電話端末である。
図1は、第1の筐体110及び第2の筐体120を開いた状態を示しており、以下、第1の筐体110及び第2の筐体120それぞれが折りたたんだときに対向し合う面、すなわち、図1において見えている側の面を表面と呼ぶ。一方、第1の筐体110及び第2の筐体120それぞれが折りたたんだときに外側に露呈している側の面、すなわち、図1において隠れている側の面を裏面と呼ぶ。
【0049】
第1の筐体110の表面には、操作キー111と、マイク112とが設けられている。また、第1の筐体110は、軸部130側の端部に、当接部113を備えている。
操作キー111は、数字や文字入力、各種選択等を行うときに操作される操作部材である。
マイク112は、通話時の音声を入力するマイクである。
当接部113は、後述する圧力センサ部125と当接して、第1の筐体110と第2の筐体120とが開いた状態における両者の相対的な開き角度を規制する。
【0050】
第2の筐体120の表面には、メインディスプレイ121と、スピーカ122と、接触部123とが設けられている。また、第2の筐体120の裏面には、サブディスプレイ124が設けられている。さらに、第2の筐体120は、軸部130側の端部に、圧力センサ部125を備えている。
【0051】
メインディスプレイ121は、携帯端末装置100の各種情報を表示する表示部である。
【0052】
スピーカ122は、軸部130とは反対側の端部付近に配置されており、通話時の音声を気導音として出力するとともに、着信音や音楽再生時に音声を気導音として出力するスピーカである。なお、図1では、通話時のスピーカと音楽再生時等に用いるスピーカとをスピーカ122ひとつで共用する例としたが、音楽再生時等に用いるスピーカを別途設けてもよい。
【0053】
接触部123は、骨伝導を利用して音声を伝えるときに利用される部分であり、スピーカ122の近傍に配置されており、後述する振動子123a(図4参照)の振動が伝えられて振動する。接触部123は、利用者の頭部等に接触させられることにより、利用者の頭蓋骨等に振動を伝える。
骨伝導に関する部分の詳細については、後述する。
【0054】
サブディスプレイ124は、第1の筐体110と第2の筐体120とを閉じた状態において各種情報を表示する表示部である。なお、サブディスプレイ124は、省略してもよい。
【0055】
圧力センサ部125は、第1の筐体110及び第2の筐体120を開いた状態において当接部113と当接する。これにより、圧力センサ部125は、第1の筐体110と第2の筐体120とが開いた状態における両者の相対的な開き角度を規制する。また、圧力センサ部125には、当接部113と当接しているときに当接部から受ける押圧力により生じる圧力を検出する圧力センサが設けられている。圧力センサとしては、例えば、圧電素子や感圧抵抗体素子を用いることができる。第1の筐体110のスピーカ122及び接触部123が設けられている部分を、図2(b)中の矢印A方向に押すと、軸部130の側に設けられている当接部113と圧力センサ部125との間の押圧力が増加する。よって、圧力センサ部125は、スピーカ122、及び、接触部123が利用者の耳付近に対して押しつけられていることを検出する押圧検出部としての機能も有している。
【0056】
図4は、携帯端末装置100の音声出力に関する部分の構成を示すブロック図である。
携帯端末装置100は、上述した構成の他に、音声出力に関する構成として、振動子123aと、制御部150と、振動子駆動回路170と、スピーカ駆動回路180とを備えている。
【0057】
振動子123aは、後述する振動子駆動回路170に駆動されて、音声信号に応じた振動を行う。また、振動子123aには、接触部123が一体となって設けられており、振動子123aの振動は、そのまま接触部123へ伝わる。振動子123aとしては、例えば、圧電素子を積層したバイモルフ型振動子を用いることができる。
【0058】
振動子123aを振動させることにより、接触部123を介して人体に音声信号に応じた振動を伝えることができる。この振動は、例えば、頭蓋骨に伝わると、頭蓋骨が振動し、その振動が骨を介して聴覚器官である蝸牛に伝わり、いわゆる骨伝導による音声伝達が実現される。また、振動子の振動が弱く、頭蓋骨が振動する程の振動を生じさせない場合であっても、利用者の耳近傍の耳介等の人体を音声信号に応じて振動させることができる。この振動により外耳道内に気導音を発生させることができ、利用者は、この気導音を鼓膜により感知して音として認識することができる。振動子123aを利用した骨伝導等による音声の伝達は、気導音を発生するスピーカ122を利用した音声の伝達に比べて、高レベルの騒音環境下等、音声を聞き取りにくい状況であっても、音声を伝えやすい。しかし、振動子123aを利用する場合は、スピーカ122を利用する場合に比べて、音質が低下するおそれがある。また、振動子123aを利用する場合には、必ず、接触部123を人体に接触させる必要がある。そこで、本実施形態の携帯端末装置100では、スピーカ122と振動子123aとを状況に合わせて適宜出力を変更して利用する。
【0059】
制御部150は、携帯端末装置100の音声出力を制御する。制御部150は、例えば、携帯端末装置100に設けられたCPU及びメモリ上においてプログラムが実行されることにより実現することができる。制御部150には、出力する音声情報が入力される。制御部150が制御する音声出力としては、例えば、携帯端末装置100が受信した電話の音声であってもよいし、携帯端末装置100自体が生成する音声であってもよい。また、制御部150には、圧力センサ部125から圧力の検出値が入力される。さらに、制御部150は、判断部151と、制御変更部152とを備えている。
【0060】
判断部151は、音声を聞き取りにくい状況にあるか否かを判断する。具体的には、判断部151は、圧力センサ部125から取得した圧力の検出値に基づいて、音声を聞き取りにくい状況にあるか否かの判断を行う。高レベルの騒音環境下等、音声を聞き取りにくい状況では、利用者は、スピーカ122を耳に押し付ける動作を行う場合が多い。スピーカ122を耳に押し付けると、スピーカが近づくとともに、第1の筐体110により耳が塞がれて、環境音が鼓膜に届きにくくなり、通話音を聞き取りやすくなるからである。逆に言えば、スピーカ122を耳に押し付けているときは、利用者が音声を聞き取りにくい状況である可能性が非常に高い。スピーカ122を耳に押し付けると、押し付けない場合に比べて、圧力センサ部125から得られる圧力の検出値が高くなる。よって、判断部151は、圧力センサ部125から得られる圧力の検出値が所定の閾値以上となったときには、利用者が音声を聞き取りにくい状況であると判断する。
【0061】
制御変更部152は、判断部151の判断の結果に応じて、制御部150による音声の出力制御の内容を変更する。具体的には、制御変更部152は、判断部151が、音を聞き取りにくい状況にあると判断したら、振動子123aを用いた音声伝達を開始する。その状態で、制御変更部152は、圧力センサ部125から得られる圧力の検出値に応じて、振動子123aの駆動量を増減させる。すなわち、圧力センサ部125から得られる圧力の検出値が増減すると、それに比例させて振動子123aの駆動量を増減させる。さらに、制御変更部152は、振動子123aを用いた音声伝達を行っている状態で、圧力センサ部125から得られる圧力の検出値が所定の閾値よりも小さくなったときには、振動子123aの動作を停止させる。
また、制御変更部152は、スピーカ122の出力を圧力センサ部125から得られる圧力の検出値に応じて変化させる。
【0062】
振動子駆動回路170は、制御部150の指示にしたがって、振動子123aを駆動して、振動子123aを音声信号に対応して振動させる。
【0063】
スピーカ駆動回路180は、制御部150の指示にしたがって、スピーカ122を駆動して、スピーカ122から音声信号に対応した音声を発生させる。
【0064】
図5は、携帯端末装置100の音声出力に関する動作の流れを示すフローチャートである。
図6は、圧力値と、スピーカの音量及び振動子の振幅との関係を示す図である。
ステップ(以下、Sとする)100では、音声の受信又は生成を行う。このステップで受信又は生成した音声を、以下のステップで利用者に伝える。
【0065】
S110では、判断部151は、圧力センサ部125を用いて圧力センサ部125と当接部113との間にかかっている圧力を検出する。
【0066】
S120では、判断部151は、検出した圧力値が閾値よりも小さいか否かの判断を行う。検出した圧力値が閾値よりも小さい場合には、S130へ進み、検出した圧力値が閾値以上である場合には、S150へ進む。
【0067】
S130では、制御変更部152は、圧力センサ部125から取得した圧力値に応じてスピーカ122の音量を増減させる。例えば、制御変更部152は、図6に示す関係にしたがって、圧力値に応じてスピーカ122の音量を初期設定値からMAX音量の間で増減させるように、スピーカ駆動回路180に指示を出す。
【0068】
S140では、制御変更部152は、スピーカ駆動回路180を制御して、スピーカ122から音声を発生させる。
【0069】
S150では、制御変更部152は、圧力センサ部125から取得した圧力値に応じてスピーカ122の音量と、振動子123aの駆動量を増減させる。例えば、制御変更部152は、図6に示す関係にしたがって、圧力値に応じてスピーカ122の音量を増減させるように、スピーカ駆動回路180に指示を出し、また、圧力値に応じて振動子123aの振幅を増減させるように、振動子駆動回路170に指示を出す。
【0070】
S160では、制御変更部152は、スピーカ駆動回路180を制御して、スピーカ122から音声を発生させる。また、制御変更部152は、振動子駆動回路170を制御して、振動子123aを駆動し、振動子123aを利用した骨伝導等による音声伝達を可能とする。
【0071】
S170では、制御部150は、音声出力を継続するか否かの判断を行う。この判断は、例えば、音声の入力や生成が継続されているか否かにより行う。音声出力を継続する場合には、S100へ戻る。音声出力を終了する場合には、動作を終了する。
【0072】
以上説明したように、第1実施形態によれば、携帯端末装置100は、圧力センサ部125から得た圧力の検出値に応じて、振動子123aの駆動を開始したり、振動子123aの駆動量を変更したりする。したがって、利用者は、特別な操作をすること無く、音を聞き取りにくい状況であるときに、より聞き取りやすい振動子123aを用いた音声伝達を利用することができる。また、圧力値に応じて振動子123aの振動量を変更するので、聞き取りにくさに対応して適切な振動量で振動子を振動させることができ、利用者にとって聞き取りやすい振動状態に自動的に設定できる。さらに、圧力値に応じてスピーカ122の音量も変更するので、聞き取りにくさに対応して適切な音量を確保できる。さらにまた、圧力値に応じてスピーカ122の音量と振動子123aの振動量とを組み合わせて変化させているので、利用者に違和感を与えることなく、スピーカ122と振動子123aとの両者を利用可能である。また、接触部123の部分も、特殊な形状とする必要がなく、利用者に違和感を与えることもない。
【0073】
(第2実施形態)
第2実施形態の携帯端末装置200は、第1実施形態における圧力センサ部125を有していない点と、制御部250の動作が異なる点が、第1実施形態の携帯端末装置100と異なる。したがって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0074】
第2実施形態の携帯端末装置200は、第1実施形態における圧力センサ部125に相当する部分がない。この代わりに、携帯端末装置200は、単に当接部113と当接するだけの第2の当接部が設けられている。
【0075】
図7は、第2実施形態の携帯端末装置200の音声出力に関する部分の構成を示すブロック図である。
携帯端末装置200は、制御部250を有している。
制御部250は、携帯端末装置200の音声出力を制御する。制御部250には、出力する音声情報が入力される。制御部250が制御する音声出力としては、例えば、携帯端末装置200が受信した電話の音声であってもよいし、携帯端末装置200自体が生成する音声であってもよい。また、制御部250には、マイク112から取得した音声が入力される。さらに、制御部250は、判断部251と、制御変更部252とを備えている。
【0076】
判断部251は、音声を聞き取りにくい状況にあるか否かを判断する。具体的には、判断部251は、マイク112から取得した音声に基づいて、音声を聞き取りにくい状況にあるか否かの判断を行う。高レベルの騒音環境下等、音声を聞き取りにくい状況では、マイク112が取得する音には、利用者の声の他に、環境音が含まれる。また、音声を聞き取りにくい状況では、利用者も無意識に声が大きくなる場合が多い。そこで、第2実施形態の判断部251は、マイク112から取得した音声の音圧が所定の閾値以上となったときには、利用者が音声を聞き取りにくい状況であると判断する。なお、判断部251が音声を聞き取りにくい状況にあるか否かの判断に利用するマイク112から取得した音声については、マイク112とは別の位置、例えば、第1の筐体110の裏面側に別途環境音取得用マイクを設けて、この環境音取得用マイクにより取得した音声とマイク112により取得した音声の差を計算して、利用者が話している声の成分を除去又は軽減した後の音声データを用いてもよい。
【0077】
制御変更部252は、判断部251の判断の結果に応じて、制御部250による音声の出力制御の内容を変更する。具体的には、制御変更部252は、判断部251が、音を聞き取りにくい状況にあると判断したら、振動子123aを用いた音声伝達を開始する。その状態で、制御変更部252は、マイク112から取得した音声の音圧に応じて、振動子123aの駆動量を増減させる。すなわち、マイク112から取得した音声の音圧が増減すると、それに比例させて振動子123aの駆動量を増減させる。さらに、制御変更部252は、振動子123aを用いた音声伝達を行っている状態で、マイク112から取得した音声の音圧が所定の閾値よりも小さくなったときには、振動子123aの動作を停止させる。
また、制御変更部252は、スピーカ122の出力をマイク112から取得した音声の音圧に応じて変化させる。
【0078】
図8は、第2実施形態の携帯端末装置200の音声出力に関する動作の流れを示すフローチャートである。
図9は、環境音の音量と、スピーカの音量及び振動子の振幅との関係を示す図である。
S200では、音声の受信又は生成を行う。このステップで受信又は生成した音声を、以下のステップで利用者に伝える。
【0079】
S210では、判断部251は、マイク112により環境音を検出する。
【0080】
S220では、判断部251は、マイク112により得た環境音の音圧が閾値よりも小さいか否かの判断を行う。検出した環境音が閾値よりも小さい場合には、S230へ進み、検出した環境音が閾値以上である場合には、S250へ進む。
【0081】
S230では、制御変更部252は、マイク112から取得した環境音の音圧に応じてスピーカ122の音量を増減させる。例えば、制御変更部252は、図9に示す関係にしたがって、環境音に応じてスピーカ122の音量を初期設定値からMAX音量の間で増減させるように、スピーカ駆動回路180に指示を出す。
【0082】
S240では、制御変更部252は、スピーカ駆動回路180を制御して、スピーカ122から音声を発生させる。
【0083】
S250では、制御変更部252は、マイク112により得た環境音の音圧に応じてスピーカ122の音量と、振動子123aの駆動量を増減させる。例えば、制御変更部252は、図9に示す関係にしたがって、環境音の音圧に応じてスピーカ122の音量を増減させるように、スピーカ駆動回路180に指示を出し、また、環境音の音圧に応じて振動子123aの振幅を増減させるように、振動子駆動回路170に指示を出す。
【0084】
S260では、制御変更部252は、スピーカ駆動回路180を制御して、スピーカ122から音声を発生させる。また、制御変更部252は、振動子駆動回路170を制御して、振動子123aを駆動し、振動子123aを利用した骨伝導等による音声伝達を可能とする。
【0085】
S270では、制御部250は、音声出力を継続するか否かの判断を行う。この判断は、例えば、音声の入力や生成が継続されているか否かにより行う。音声出力を継続する場合には、S200へ戻る。音声出力を終了する場合には、動作を終了する。
【0086】
以上説明したように、第2実施形態によれば、マイク112により得た環境音の音圧に応じて、振動子123aの駆動を開始したり、振動子123aの駆動量を変更したりする。したがって、利用者は、特別な操作をすること無く、音を聞き取りにくい状況であるときに、より聞き取りやすい振動子123aを用いた音声伝達を利用することができる。また、利用者が携帯端末装置200を押し付けたりしなくても自動的に適切な振動量で振動子123aを用いた音声伝達を利用することができる。
【0087】
(第3実施形態)
第3実施形態の携帯端末装置300は、軸部330の構成と、制御部350の動作が異なる点が、第1実施形態の携帯端末装置100と異なる。したがって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0088】
図10は、本発明による音声出力制御方法、音声出力制御プログラムを用いた携帯端末装置300の第3実施形態を示す図である。図10(a)は、第1の筐体110と、第2の筐体120とを閉じた収納状態を示す図であり、図10(b)は、第1の筐体110と、第2の筐体120とを開いた使用状態を示す図であり、図10(c)は、図10(b)の状態からさらに力を加えてより大きな角度で第1の筐体110と、第2の筐体120とを開いた状態を示す図である。
【0089】
第3実施形態の携帯端末装置300の軸部330は、軸331と、角度センサ部332(図11参照)と、付勢部材340とを備えている。
【0090】
軸331は、第1の筐体110と第2の筐体120との回転中心に設けられた軸である。
【0091】
角度センサ部332は、第1の筐体110と第2の筐体120との相対的な回転角度を検出するセンサであり、例えば、電気的な接点を用いるものでもよいし、磁気検出を利用するものでもよい。角度センサ部332は、後述するように、スピーカ122、及び、接触部123が利用者の耳付近に対して押しつけられていることを検出する押圧検出部としての機能を有している。
【0092】
付勢部材340は、ねじりコイルバネであり、軸331が中央の環状部分を貫通するようにして設けられている。付勢部材340の一方の腕部340aは、第1の筐体110に設けられたピン116に当接可能に設けられている。また、付勢部材340の他方の腕部340bは、第2の筐体120に設けられたピン126に当接可能に設けられている。
【0093】
図10(a)の閉じた収納状態では、付勢部材340は、自由状態にあり、付勢部材340から第1の筐体110と第2の筐体120への付勢力は生じていない。
【0094】
図10(b)の開いた使用状態では、付勢部材340の一方の腕部340aは、第1の筐体110に設けられたピン116と当接し、また、他方の腕部340bは、第2の筐体120に設けられたピン126に当接する。なお、この位置において、第1の筐体110と第2の筐体120との相対的な回転角度がこの使用状態で留まることができるようにクリック機構等を備えていてもよい。
【0095】
図10(b)の使用状態から、図10(c)中に矢印Bで示したように第2の筐体120を押すと、第1の筐体110と第2の筐体120とは、図10(b)の位置からさらに回転角度が開くことができる。このとき、付勢部材340は、チャージされて、第1の筐体110と第2の筐体120とが閉じる方向への付勢力が増加する。ここで、図10(c)の状態から、矢印Bの力を取り除くと、付勢部材340の付勢力によって、第1の筐体110と第2の筐体120とは、図10(b)の位置に復帰する。
【0096】
上述の構成により、利用者が音声を聞き取りにくい状況にある場合に、スピーカ122を耳に押し付ける動作を行うと、第1の筐体110と第2の筐体120とは、図10(b)の位置からさらに開いた位置(例えば、図10(c)の位置)となるように両者の回転角度が変化する。角度センサ部332は、少なくともこの図10(b)の使用状態以上の回転角度を検出可能となるように設ける。第3実施形態では、付勢部材340を備えることにより、所定の使用位置以上に開くときには、開く角度に応じて矢印Bとして必要な力が増加する。したがって、開いている角度が広いほど、利用者が接触部123を人体に押し付けている力が大きいと判断できる。
【0097】
図11は、第3実施形態の携帯端末装置300の音声出力に関する部分の構成を示すブロック図である。
携帯端末装置300は、制御部350を有している。
制御部350は、携帯端末装置200の音声出力を制御する。制御部350には、出力する音声情報が入力される。制御部350が制御する音声出力としては、例えば、携帯端末装置300が受信した電話の音声であってもよいし、携帯端末装置300自体が生成する音声であってもよい。また、制御部350には、角度センサ部332から取得した回転角度が入力される。さらに、制御部350は、判断部351と、制御変更部352とを備えている。
【0098】
判断部351は、音声を聞き取りにくい状況にあるか否かを判断する。具体的には、判断部351は、角度センサ部332から取得した回転角度に基づいて、音声を聞き取りにくい状況にあるか否かの判断を行う。すなわち、第3実施形態では、第1実施形態における圧力に代えて回転角度を用いて、利用者がスピーカ122を耳に押し付ける動作とその押しつけの程度を検出する。
【0099】
制御変更部352は、判断部351の判断の結果に応じて、制御部350による音声の出力制御の内容を変更する。具体的には、制御変更部352は、判断部351が、音を聞き取りにくい状況にあると判断したら、振動子123aを用いた音声伝達を開始する。その状態で、制御変更部352は、角度センサ部332から取得した回転角度に応じて、振動子123aの駆動量を増減させる。すなわち、角度センサ部332から取得した回転角度が増減すると、それに比例させて振動子123aの駆動量を増減させる。さらに、制御変更部352は、振動子123aを用いた音声伝達を行っている状態で、角度センサ部332から取得した回転角度が所定の閾値よりも小さくなったときには、振動子123aの動作を停止させる。
また、制御変更部352は、スピーカ122の出力を角度センサ部332から得られる回転角度に応じて変化させる。
【0100】
図12は、第3実施形態の携帯端末装置300の音声出力に関する動作の流れを示すフローチャートである。
図13は、回転角度と、スピーカの音量及び振動子の振幅との関係を示す図である。
S300では、音声の受信又は生成を行う。このステップで受信又は生成した音声を、以下のステップで利用者に伝える。
【0101】
S310では、判断部351は、角度センサ部332により第1の筐体110と第2の筐体120との相対的な回転角度を検出する。
【0102】
S320では、判断部351は、角度センサ部332により得た回転角度が閾値よりも小さいか否かの判断を行う。検出した回転角度が閾値よりも小さい場合には、S330へ進み、検出した回転角度が閾値以上である場合には、S350へ進む。
【0103】
S330では、制御変更部352は、角度センサ部332から取得した回転角度に応じてスピーカ122の音量を増減させる。例えば、制御変更部252は、図13に示す関係にしたがって、回転角度に応じてスピーカ122の音量を初期設定値からMAX音量の間で増減させるように、スピーカ駆動回路180に指示を出す。
【0104】
S340では、制御変更部352は、スピーカ駆動回路180を制御して、スピーカ122から音声を発生させる。
【0105】
S350では、制御変更部352は、角度センサ部332により得た回転角度に応じてスピーカ122の音量と、振動子123aの駆動量を増減させる。例えば、制御変更部352は、図13に示す関係にしたがって、回転角度に応じてスピーカ122の音量を増減させるように、スピーカ駆動回路180に指示を出し、また、回転角度に応じて振動子123aの振幅を増減させるように、振動子駆動回路170に指示を出す。
【0106】
S360では、制御変更部352は、スピーカ駆動回路180を制御して、スピーカ122から音声を発生させる。また、制御変更部352は、振動子駆動回路170を制御して、振動子123aを駆動し、振動子123aを利用した骨伝導等による音声伝達を可能とする。
【0107】
S370では、制御部350は、音声出力を継続するか否かの判断を行う。この判断は、例えば、音声の入力や生成が継続されているか否かにより行う。音声出力を継続する場合には、S300へ戻る。音声出力を終了する場合には、動作を終了する。
【0108】
以上説明したように、第3実施形態によれば、角度センサ部332により得た回転角度に応じて、振動子123aの駆動を開始したり、振動子123aの駆動量を変更したりする。したがって、利用者は、特別な操作をすること無く、音を聞き取りにくい状況であるときに、より聞き取りやすい振動子123aを用いた音声伝達を利用することができる。
【0109】
なお、携帯端末装置の処理をコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを携帯端末装置に読み込ませ、実行することによって本発明の携帯端末装置、音声出力制御方法を実現することができる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0110】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0111】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0112】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0113】
(変形形態)
(1)各実施形態において、携帯端末装置100は、スピーカ122の音量と振動子123aの振動量との両方を変化させる例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、一方を固定としてもよいし、双方を固定として切り替えを行う形態としてもよい。
【0114】
(2)各実施形態において、携帯端末装置100は、圧力を検出することにより、音を聞き取りにくい状況であると判断する例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、筐体の撓みを検出して利用してもよい。筐体の撓みを検出する形態では、いわゆるストレートタイプやスマートフォンタイプ等の端末でも、容易に本発明を利用できる。
【0115】
(3)各実施形態において、携帯端末装置100は、圧力センサを用いて音を聞き取りにくい状況であると判断する例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、液晶表示画面のタッチパネル機能を利用して、タッチパネル面における接触圧力を検出したり、接触面積を検出したりして、判定に利用してもよい。
【0116】
(4)各実施形態において、判断部151(251)と制御変更部152(252)とは、分けて構成されているものとして説明したが、同じ機能ブロックとして構成してもよいし、異なる制御部内に設けられる形態となっていてもよい。
【0117】
(5)各実施形態において、振動子123aを駆動するときには、スピーカ122の駆動を停止する例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、判断部151が音を聞き取りにくい状況であると判断した状況において、制御部150(250)は、振動子123aとスピーカ122の両方を駆動するようにしてもよい。
【0118】
(6)第1実施形態において、圧力センサを軸部130の近くに配置した例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、スピーカ122の近くに配置してもよい。
【0119】
(7)各実施形態において、振動子123a及び接触部123とともにスピーカ122を備える例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、スピーカ122を省略して、振動子のみにより音声を伝える形態としてもよい。
【0120】
(8)各実施形態において、圧力値又は環境音の音圧に応じて、振動子の振動量(振幅)を変更する例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、周波数を変更する等、音声データ自体の加工を行ってもよい。
【0121】
なお、各実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0122】
100 携帯端末装置
110 第1の筐体
111 操作キー
112 マイク
113 当接部
116,126 ピン
120 第2の筐体
121 メインディスプレイ
122 スピーカ
123 接触部
123a 振動子
124 サブディスプレイ
125 圧力センサ部
130 軸部
150 制御部
151 判断部
152 制御変更部
170 振動子駆動回路
180 スピーカ駆動回路
200 携帯端末装置
250 制御部
251 判断部
252 制御変更部
300 携帯端末装置
330 軸部
331 軸
332 角度センサ部
340 付勢部材
340a,340b 腕部
350 制御部
351 判断部
352 制御変更部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声の出力を制御する制御部と、
前記制御部により制御されて振動する振動子と、
前記振動子の振動が伝えられて振動して、人体に接触させられることにより前記人体に振動を伝える接触部と、
音声を聞き取りにくい状況にあるか否かを判断する判断部と、
前記判断部の判断に応じて、前記制御部による音声の出力制御の内容を変更する制御変更部と、
を備える携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末装置において、
前記接触部が人体に対して押しつけられていることを検出する押圧検出部を備え、
前記判断部は、前記押圧検出部の検出結果を用いて音声を聞き取りにくい状況にあるか否かを判断すること、
を特徴とする携帯端末装置。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯端末装置において、
前記制御部に制御されて気導音を発するスピーカを前記接触部の近傍に備え、
前記押圧検出部は、前記スピーカ及び/又は前記接触部が人体に対して押しつけられている力に対応した検出結果を得ることができ、
前記制御変更部は、前記押圧検出部が取得した前記スピーカ及び/又は前記接触部が人体に対して押しつけられている力に対応して、前記振動子の駆動をONとOFFとの間で変更すること、
を特徴とする携帯端末装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の携帯端末装置において、
前記制御変更部は、前記押圧検出部が取得した前記接触部が人体に対して押しつけられている力に対応して、振動振幅を変更すること、
を特徴とする携帯端末装置。
【請求項5】
請求項3に記載の携帯端末装置において、
前記制御変更部は、前記押圧検出部が取得した前記接触部が人体に対して押しつけられている力に対応して、前記スピーカの音量を変更すること、
を特徴とする携帯端末装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の携帯端末装置において、
前記押圧検出部は、筐体のいずれかの位置に作用する圧力を検出することにより、前記接触部が人体に対して押しつけられていることを検出すること、
を特徴とする携帯端末装置。
【請求項7】
請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の携帯端末装置において、
軸部と、
前記軸部を中心として相対的に回転可能な第1の筐体及び第2の筐体と、
を備え、
前記押圧検出部は、前記第1の筐体及び前記第2の筐体の相対的な回転角度を前記軸部において検出することにより、前記接触部が人体に対して押しつけられていることを検出すること、
を特徴とする携帯端末装置。
【請求項8】
請求項7に記載の携帯端末装置において、
前記軸部には、前記第1の筐体と前記第2の筐体との相対的な回転位置を所定位置に保持するように付勢する付勢部材が設けられており、
前記第1の筐体及び/又は前記第2の筐体に所定以上の力が加わることにより前記付勢部材の付勢力に抗して前記第1の筐体と前記第2の筐体とは、その相対的な回転位置を前記所定位置を越えて回転可能であり、
前記押圧検出部は、前記所定位置を越えた回転角度を検出すること、
を特徴とする携帯端末装置。
【請求項9】
請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の携帯端末装置において、
前記押圧検出部は、筐体の撓みを検出することにより、前記接触部が人体に対して押しつけられていることを検出すること、
を特徴とする携帯端末装置。
【請求項10】
請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の携帯端末装置において、
入力操作を行うタッチパネルを備え、
前記押圧検出部は、前記タッチパネルにおける接触圧力と、接触面積との少なくとも1つを用いて、前記接触部が人体に対して押しつけられていることを検出すること、
を特徴とする携帯端末装置。
【請求項11】
請求項1に記載の携帯端末装置において、
環境音を取得するマイク部を備え、
前記判断部は、前記マイク部が取得した環境音を用いて音声を聞き取りにくい状況にあるか否かを判断すること、
を特徴とする携帯端末装置。
【請求項12】
請求項11に記載の携帯端末装置において、
前記マイク部は、環境音の音圧に対応した検出結果を得ることができ、
前記制御変更部は、前記マイク部が取得した環境音の音圧に対応して、前記振動子の駆動をONとOFFとの間で変更すること、
を特徴とする携帯端末装置。
【請求項13】
請求項11又は請求項12に記載の携帯端末装置において、
前記制御変更部は、前記マイク部が取得した環境音の音圧に対応して、振動振幅を変更すること、
を特徴とする携帯端末装置。
【請求項14】
請求項11から請求項13までのいずれか1項に記載の携帯端末装置において、
前記制御部に制御されて気導音を発するスピーカを備え、
前記制御変更部は、前記マイク部が取得した環境音の音圧に対応して、前記スピーカの音量を変更すること、
を特徴とする携帯端末装置。
【請求項15】
音声の出力を制御する制御部と、
前記制御部により制御されて振動する振動子と、
前記振動子の振動が伝えられて振動して、人体に接触させられることにより前記人体に振動を伝える接触部と、
を備えた携帯端末装置の音声出力制御方法であって、
音声を聞き取りにくい状況にあるか否かを判断部により判断し、
前記判断部の判断に応じて、前記制御部による音声の出力制御の内容を制御変更部により変更する音声出力制御方法。
【請求項16】
音声の出力を制御する制御部と、
前記制御部により制御されて振動する振動子と、
前記振動子の振動が伝えられて振動して、人体に接触させられることにより前記人体に振動を伝える接触部と、
を備えた携帯端末装置の音声出力制御プログラムであって、
コンピュータを、
音声を聞き取りにくい状況にあるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段の判断に応じて、前記制御部による音声の出力制御の内容を変更する制御変更手段として機能させるための音声出力制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−249252(P2012−249252A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121828(P2011−121828)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】