携帯端末
【課題】外部からの衝撃に起因する瞬断を抑制し得る携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯端末10は、電力供給源となる電池29を収容可能な空間部13およびこの空間部13から電池29を取出可能な開口部14を有する電池ボックス12と、開口部14を閉塞可能な電池蓋50を備えている。電池ボックス12には、電池29の電池電極29a,29bに対して弾性変形して付勢するように接触する端末側端子15,16が設けられている。電池蓋50には、電池ボックス12の開口部14を閉塞するときにこの空間部13に収容された電池29の電極側端面29cに対して当接面61にて当接する支持部60が設けられている。
【解決手段】携帯端末10は、電力供給源となる電池29を収容可能な空間部13およびこの空間部13から電池29を取出可能な開口部14を有する電池ボックス12と、開口部14を閉塞可能な電池蓋50を備えている。電池ボックス12には、電池29の電池電極29a,29bに対して弾性変形して付勢するように接触する端末側端子15,16が設けられている。電池蓋50には、電池ボックス12の開口部14を閉塞するときにこの空間部13に収容された電池29の電極側端面29cに対して当接面61にて当接する支持部60が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給源となる電池を収容した携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力供給源となる電池を収容した携帯端末に関する技術として、下記特許文献1に示す電池取付機構が知られている。この電池取付機構では、電池収容ボックス内の電池収容部に収容された乾電池から電源が供給されるように構成されており、電池収容部には一対の接点金具が配設されている。これら両接点金具には、それぞれ導電性のコイルばねが取り付けられている。この構成において、電池収容部に乾電池を収容すると、乾電池の両端には圧縮された状態でコイルばねが圧着する。これにより、電池収容ボックスに衝撃が加わって電池が電池収容部内で移動しても、コイルばねがこの移動に追従することで、電源瞬断(瞬断)が生じるのを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平02−19595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、乾電池のように長手方向両端面にそれぞれ正極および負極の電池電極が設けられる電池は、両電池電極が電池収容部に設けられる正極および負極の端末側端子にて挟持されるように支持(接触)された状態で、電池収容部に収容される。そして、両端末側端子の少なくとも一方は、上記特許文献1に示すように、電池の移動に追従して弾性変形させるために、コイルばねの様に導電性の弾性材料を用いて形成される。
【0005】
しかしながら、落下のような大きな衝撃が携帯端末に作用すると、電池収容部内において両端末側端子にて弾性支持された電池の瞬間的な変位が大きくなる。この電池の瞬間的な変位にコイルばねの弾性変形が追従しきれなくなると、電池電極が端末側端子から離れてしまい、瞬断が生じてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、外部からの衝撃に起因する瞬断を抑制し得る携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の携帯端末では、電力供給源となる電池を収容可能な空間部およびこの空間部から前記電池を取出可能な開口部を有する電池収容部と、前記開口部を閉塞可能な電池蓋と、を備える携帯端末であって、前記電池収容部には、前記電池の電極に対して弾性変形して付勢するように接触する端末側端子が設けられており、前記電池蓋には、前記開口部を閉塞するときに前記空間部に収容された前記電池のうち前記電極が設けられる端面に対して当接面にて当接する支持部が設けられることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の携帯端末において、前記支持部は、前記端面側の面が、前記当接面を除き前記電池蓋から離れるほど前記端面から離間するように形成されることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の携帯端末において、前記支持部は、前記当接面が複数の面から構成されることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯端末において、前記電池蓋には、前記電池に対して前記支持部とともに挟持するように当接する他側支持部が設けられることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の携帯端末において、前記支持部は、前記電池蓋と一体的に形成されることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の携帯端末において、前記電池収容部において前記端末側端子に対し収容時の前記電池を介して対向する対向面には、前記支持部が当接する端面から離間し当該電池収容部の底面に近接する前記電池の部位に対して接触する緩衝部材が設けられることを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項6に記載の携帯端末において、前記緩衝部材は、前記電池収容部に収容される複数の前記電池に接触するように前記対向面に配置されることを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項6に記載の携帯端末において、前記緩衝部材は、1つの前記電池に対してそれぞれ接触するように前記対向面に複数配置されることを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項6〜8のいずれか一項に記載の携帯端末において、前記対向面には、前記電池の突起状の正極に接触するための端末側端子が設けられており、前記緩衝部材は、前記突起状の正極の周囲を囲うように環状または円弧状に形成されることを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明は、請求項6〜9のいずれか一項に記載の携帯端末において、前記緩衝部材は、前記電池に当接する面が平面状に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明では、電池蓋には、電池収容部の開口部を閉塞するときにこの空間部に収容された電池のうち電極が設けられる端面(以下、電極側端面ともいう)に対して当接面にて当接する支持部が設けられている。このため、電池を電池収容部に収容すると、端末側端子が電池の電池電極に接触した状態で圧縮方向に弾性変形するので、電池の収容作業が容易になり、電池の電池電極と端末側端子とを確実に接続することができる。特に、落下のような大きな衝撃が携帯端末に作用する場合でも、端末側端子により付勢される方向に対して平行な方向(以下、付勢方向ともいう)への電池の変位が支持部により抑制される。これにより、電池収容部に収容された電池の電極と端末側端子とが離れにくくなるので、外部からの衝撃に起因する瞬断を抑制することができる。
【0018】
請求項2の発明では、支持部は、電極側端面側の面が、当接面を除き電池蓋から離れるほど電極側端面から離間するように形成されている。このため、電池収容部の開口部を電池蓋により閉塞して支持部の当接面を電極側端面に当接させる際に、支持部のエッジ部などが電極側端面に接触することもないので、当接面を当接させることによる電極側端面の破損を防止することができる。
【0019】
請求項3の発明では、支持部は、当接面が複数の面から構成されている。当接面が単一の面から構成されていると、作用する衝撃の方向によっては、当接面の一部のみが電極側端面に当接してしまい、この当接面の一部に大きな衝撃力が作用する場合がある。そこで、当接面を複数の面から構成することで、各面が電極側端面にそれぞれ当接しやすくなり、当接面に作用する力を分散することができる。
【0020】
請求項4の発明では、電池蓋には、電池に対して支持部とともに挟持するように当接する他側支持部が設けられる。このため、支持部および他側支持部の双方により付勢方向への電池の変位が抑制されるので、電池収容部に収容された電池の電極と端末側端子とをより離れにくくすることができる。
【0021】
請求項5の発明では、支持部は、電池蓋と一体的に形成されるため、支持部が電池蓋に対して別体として構成される場合と比較して、支持部を電池蓋に組み付ける組付作業等をなくすことができるので、製造コストを低減することができる。
【0022】
請求項6の発明では、電池収容部の対向面には、支持部が当接する端面から離間し当該電池収容部の底面に近接する電池の部位に接触する緩衝部材が設けられている。支持部に当接する電池の端面が丸みを帯びるなどして非平面状になっていると、この端面と支持部とが点接触する場合がある。この場合、外部からの衝撃が上記付勢方向と異なる方向に作用すると、電池の変位が支持部により十分に抑制できない場合が想定される。
【0023】
そこで、対向面に設けられる緩衝部材を、支持部が当接する端面から離間し当該電池収容部の底面に近接する電池の部位に接触させることで、電池収容部に収容される電池が支持部と緩衝部材とにより付勢方向と交差する方向にて弾性的に挟持されることとなる。これにより、付勢方向と異なる方向の衝撃成分が緩衝部材により緩和されやすくなり、付勢方向の衝撃成分は支持部により抑制されるので、外部からの衝撃に起因する瞬断をより抑制することができる。
【0024】
請求項7の発明では、緩衝部材は、電池収容部に収容される複数の電池に接触するように対向面に配置されるため、対向面への緩衝部材の取付作業が容易になるだけでなく、各電池に対する衝撃成分をそれぞれほぼ均等に緩和することができる。
【0025】
また、請求項8の発明のように、緩衝部材を、1つの電池に対してそれぞれ接触するように対向面に複数配置してもよい。
【0026】
請求項9の発明では、対向面には、電池の突起状の正極に接触するための端末側端子が設けられており、緩衝部材は、突起状の正極の周囲を囲うように環状または円弧状に形成されている。これにより、突起状の正極を有する電池の端面であっても、この端面に対して突起状の正極を避けるように緩衝部材が接触するので、上述した付勢方向と異なる方向の衝撃成分を好適に緩和することができる。
【0027】
請求項10の発明では、緩衝部材は、電池に当接する面が平面状に形成されるため、緩衝部材が電池の平面状の端面に接触する場合には、ほぼ均等に面接触して衝撃成分を好適に緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本第1実施形態に係る携帯端末の構成概要を示す図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は側面図である。
【図2】電池ボックス内における電池の支持状態を示す一部断面図である。
【図3】図1の携帯端末の電気的構成を例示するブロック図である。
【図4】電池蓋の詳細形状を説明するための図である。
【図5】支持部の詳細形状を説明するための斜視図である。
【図6】図6(A)は、電池が電池ボックスに収容されない状態での端末側端子を示す拡大断面図であり、図6(B)は、電池電極に接触した状態での端末側端子を示す拡大断面図である。
【図7】支持部等に作用する力関係を示す説明図である。
【図8】本第1実施形態の変形例に係る携帯端末の要部を示す断面図である。
【図9】第2実施形態に係る携帯端末の要部を示す拡大断面図である。
【図10】図9に示すA−A線相当の切断面による断面図である。
【図11】非平面状の負極側端面と支持部の当接面とが点接触する状態を示す断面図である。
【図12】第2実施形態の第1変形例に係る携帯端末の要部を示す拡大断面図である。
【図13】第2実施形態の第2変形例に係る携帯端末の要部を示す拡大断面図である。
【図14】第3実施形態に係る携帯端末の要部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
以下、本発明の携帯端末を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本第1実施形態に係る携帯端末10の構成概要を示す図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は側面図である。図2は、電池ボックス12内における電池29の支持状態を示す一部断面図である。図3(A)は、図1の携帯端末10の電気的構成を例示するブロック図であり、図3(B)は、図3(A)の情報コード読取部30の電気的構成を例示するブロック図であり、図3(C)は、図3(A)の非接触通信部40の電気的構成を例示するブロック図である。
【0030】
図1(A),(B)に示す携帯端末10は、長手状の外観をなしており、その一端側のほぼ半分の領域が把持領域とされ、ユーザによって把持されつつ使用される構成をなしている。この携帯端末10は、例えば、ユーザによって携帯されて様々な場所で用いられる携帯型の情報端末として構成されており、バーコードや二次元コードなどの情報コードを読み取る情報コードリーダとしての機能と、無線タグを読み取る無線タグリーダとしての機能とを備え、読み取りを二方式で行いうる構成となっている。
【0031】
図1(A),(B)に示すように、携帯端末10は、上側ケース11aおよび下側ケース11bが組み付けられて構成される長手状の筐体11によって外郭が形成されている。また、図2に示すように、下側ケース11bには、携帯端末10の電力供給源となる電池29を収容可能な空間部13とこの空間部13から電池29を取出可能な開口部14とを備え電池収容部として機能する電池ボックス12が形成されている。そして、電池蓋50は、この電池ボックス12の開口部14を閉塞可能に構成されている。なお、上側ケース11a、下側ケース11bおよび電池蓋50は、例えば、ABS樹脂等の合成樹脂からなる。
【0032】
次に、携帯端末10が備えている機能について説明する。
図3(A)に示すように、携帯端末10の筐体11内には、携帯端末10全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、メモリ22とともに情報処理装置を構成している。また、制御部21には、LED23、表示部24、キー操作部25、スピーカ26、外部インターフェース27などが接続されている。キー操作部25は、制御部21に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部21は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。また、LED23、表示部24およびスピーカ26は、制御部21によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部21からの指令を受けて動作する。外部インターフェース27は、外部装置(例えばホスト装置)との間でのデータ通信を行うためのインターフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、筐体11内には、電源部28が設けられており、この電源部28や電池ボックス12に収容される電池29によって制御部21や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。なお、電池29は、例えば、乾電池であって、長手方向両端面にそれぞれ正極および負極の電池電極が設けられている。
【0033】
また、制御部21には、情報コード読取部30および非接触通信部40がそれぞれ接続されている。
情報コード読取部30は、図3(B)に示すように、CCDエリアセンサからなる受光センサ33、結像レンズ37、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部31などを備えた構成をなしており、制御部21と協働して読取対象Rに付された情報コードC(バーコードや二次元コード)を読み取るように機能する。
【0034】
この情報コード読取部30によって読み取りを行う場合、まず、制御部21によって指令を受けた照明部31から照明光Lfが出射され、この照明光Lfが読取口11c(図1(B)参照)を通って読取対象Rに照射される。そして、照明光Lfが情報コードC(バーコードや二次元コード)にて反射した反射光Lrは読取口11cを通って装置内に取り込まれ、結像レンズ37を通って受光センサ33に受光される。読取口11cと受光センサ33との間に配される結像レンズ37は、情報コードCの像を受光センサ33上に結像させる構成をなしており、受光センサ33はこの情報コードCの像に応じた受光信号を出力する。受光センサ33から出力された受光信号は、画像データとしてメモリ22(図3(A))に記憶され、情報コードCに含まれる情報を取得するためのデコード処理に用いられるようになっている。なお、情報コード読取部30には、受光センサ33からの信号を増幅する増幅回路や、その増幅された信号をデジタル信号に変換するAD変換回路等が設けられているがこれらの回路については図示を省略している。
【0035】
非接触通信部40は、アンテナ41及び制御部21と協働して無線タグ等の非接触通信媒体との間で電磁波による通信を行ない、非接触通信媒体に記憶されるデータの読取り、或いは非接触通信媒体に対するデータの書込みを行なうように機能するものである。この非接触通信部40は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、図3(C)にて概略的に示すように、発振器42、変調器43、復調器44などを備えてなるものである。なお、非接触通信部40には、これら以外の公知構成(例えば、増幅器、フィルタ回路、整合回路等)も設けられているが、図3(C)ではこれらについては図示を省略している。
【0036】
次に、電池ボックス12内における電池29の支持状態について説明する。
図4は、電池蓋50の詳細形状を説明するための図であり、図4(A)は、電池蓋50の正面図であり、図4(B)は、電池蓋50の側面図であり、図4(C)は、図4(A)に示す4C−4C線相当の切断面による断面図であり、図4(D)は、図4(A)に示す4D−4D線相当の切断面による断面図である。図5は、支持部60の詳細形状を説明するための斜視図である。図6(A)は、電池29が電池ボックス12に収容されない状態での端末側端子16を示す拡大断面図であり、図6(B)は、電池電極29bに接触した状態での端末側端子16を示す拡大断面図である。図7は、支持部60等に作用する力関係を示す説明図である。
【0037】
本第1実施形態では、2つの電池29が電力供給源として採用されて電池ボックス12内に収容されている。電池ボックス12内には、2つの電池29の正極および負極の電池電極29a,29bにそれぞれ接触して支持する正極および負極の端末側端子15,16が設けられている(図2では一方のみ示す)。正極の端末側端子15は、正極の電池電極29aに対して接触可能に、平板状の導電部材により形成されている。また、負極の端末側端子16は、正極の端末側端子15と異なり、弾性変形可能なコイルばね状の導電部材により形成されており、負極の電池電極29bに対して弾性変形して付勢するように接触する。これにより、両電池29は、電池ボックス12内にて両端末側端子15,16により長手方向に付勢されて挟持された状態でそれぞれ支持されている。両端末側端子15,16は、電源部28に接続されており、電池29の電力がこれら両端末側端子15,16を介して制御部21や各種電気部品に供給されることとなる。
【0038】
次に、本発明の特徴的部分である電池蓋50について説明する。この電池蓋50には、図2および図4に示すように、長手方向両端部にて外方に延出する一対の爪部51,52がそれぞれ形成されている。また、爪部51,52の内方には、開口部14を閉塞するための溝部53が略矩形環状に形成されている。当該電池蓋50は、爪部51,52を電池ボックス12に形成される係合部(図2では一方の係合部のみを符号12aで示す)に係合させることで、溝部53等により開口部14を閉塞するように下側ケース11bに組み付けられる。
【0039】
また、図4および図5に示すように、電池蓋50の内面側には、爪部51の近傍に、2つの支持部60が一体的に成形されてそれぞれ設けられている。この支持部60は、上述のように電池蓋50により電池ボックス12の開口部14が閉塞されるとき、電池29のうち負極の電池電極29bが設けられる端面(以下、負極側端面29cともいう)に対して当接面61にて当接するように形成されている(図2参照)。この当接面61は、複数の面(図4,5では3つ)から構成されており、隣接する面同士の近傍部位が連結部62によりそれぞれ連結されている。また、支持部60は、当接面61を除く負極側端面29c側の面(図4および図5にて符号63で示す面)が、電池蓋50の内底面から離れるほど負極側端面29cから離間するように傾斜して形成されている。
【0040】
このように構成される支持部60の作用効果について、図を用いて説明する。
電池29が電池ボックス12に収容されない状態では、図6(A)に示すように、端末側端子16は、自然長の状態にある。そして、電池29を電池ボックス12に収容すると、端末側端子16は、図6(B)に示すように、電池29の電池電極29bに接触した状態で圧縮方向に弾性変形する。このように、電池29の電池ボックス12への収容時には端末側端子16が弾性変形するので、電池29の収容作業が容易になり、かつ、電池29の電池電極29a,29bと端末側端子15,16とを確実に接続することができる。この状態では、電池29は、端末側端子16等により弾性支持されることで、当該端末側端子16等にて付勢される方向に対して平行な方向(付勢方向)へ変位可能に支持されることとなる。そして、電池ボックス12の開口部14を閉塞するように電池蓋50を下側ケース11bに組み付けることで、支持部60の当接面61が電池29の負極側端面29cに当接する(図2および図6(B)参照)。
【0041】
このように電池蓋50が下側ケース11bに組み付けられた状態において、携帯端末10に対して落下のような大きな衝撃が上記付勢方向に作用する場合を例に説明する。この場合、図7に示すように、電池29には自重を含めた衝撃力F1が作用し、この衝撃力F1に抗して支持部60の当接面61にて抗力F2が生じる。そうすると、端末側端子16等には、衝撃力F1から抗力F2を減算した圧縮力F3が圧縮方向に作用することとなる。
【0042】
このとき、支持部60が設けられておらず当接面61が負極側端面29cに当接していない場合には、衝撃力F1がそのまま圧縮力F3として端末側端子16等に作用するため、電池29の瞬間的な変位が大きくなる。この電池29の瞬間的な変位に端末側端子16の弾性変形が追従しきれなくなると、電池電極29bが端末側端子16から離れてしまい、瞬断が生じてしまう。
【0043】
本第1実施形態では、当接面61が負極側端面29cに当接するため、電池蓋50に支持部60が設けられない場合と比較して、上述のように圧縮力F3が小さくなり、端末側端子16等により付勢される付勢方向への電池29の変位が抑制される。これにより、電池ボックス12に収容された電池29の電池電極29a,29bと端末側端子15,16とが離れにくくなるので、外部からの衝撃に起因する瞬断が抑制されることとなる。
【0044】
以上説明したように、本第1実施形態に係る携帯端末10では、電池蓋50には、電池ボックス12の開口部14を閉塞するときに空間部13に収容された電池29の負極側端面29cに対して当接面61にて当接する支持部60が設けられている。このため、落下のような大きな衝撃が携帯端末10に作用する場合でも、端末側端子15,16により付勢される付勢方向への電池29の変位が支持部60により抑制される。これにより、電池ボックス12に収容された電池29の電池電極29a,29bと端末側端子15,16とが離れにくくなるので、外部からの衝撃に起因する瞬断を抑制することができる。
【0045】
また、本第1実施形態に係る携帯端末10では、支持部60は、電極側端面側の面63が、当接面61を除き電池蓋50の内底面から離れるほど負極側端面29cから離間するように形成されている。このため、電池ボックス12の開口部14を電池蓋50により閉塞して支持部60の当接面61を負極側端面29cに当接させる際に、支持部60のエッジ部などが負極側端面29cに接触することもないので、当接面61を当接させることによる負極側端面29cの破損を防止することができる。
【0046】
さらに、本第1実施形態に係る携帯端末10では、支持部60は、当接面61が複数の面から構成されている。当接面61が単一の面から構成されていると、作用する衝撃の方向によっては、当接面61の一部のみが負極側端面29cに当接してしまい、この当接面61の一部に大きな衝撃力が作用する場合がある。そこで、当接面61を複数の面から構成することで、各面が負極側端面29cにそれぞれ当接しやすくなり、当接面61に作用する力を分散することができる。
【0047】
さらにまた、本第1実施形態に係る携帯端末10では、支持部60は、電池蓋50と一体的に形成されるため、支持部60が電池蓋50に対して別体として構成される場合と比較して、支持部60を電池蓋50に組み付ける組付作業等をなくすことができるので、製造コストを低減することができる。
【0048】
図8は、本実施形態の変形例に係る携帯端末10の要部を示す断面図である。
本第1実施形態の変形例に係る携帯端末10として、図8に示す電池蓋50aを採用してもよい。この電池蓋50aには、開口部14の閉塞時に、電池29に対して支持部60とともに挟持するように当接する他側支持部64が設けられる。具体的には、支持部60の当接面61と他側支持部64の当接面とにより、負極側端面29cと電池29のうち正極の電池電極29aが設けられる端面とが挟持される。このため、支持部60および他側支持部64の双方により付勢方向(電池29の長手方向)への電池29の変位が抑制されるので、電池ボックス12に収容された電池29の電池電極29a,29bと端末側端子15,16とをより離れにくくすることができる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る携帯端末について図9〜図11を参照して説明する。図9は、第2実施形態に係る携帯端末10aの要部を示す拡大断面図である。図10は、図9に示すA−A線相当の切断面による断面図である。図11は、非平面状の負極側端面29cと支持部60の当接面61とが点接触する状態を示す断面図である。
【0050】
本第2実施形態に係る携帯端末10aは、電池ボックス12内に緩衝部材70a,70bが新たに配置される点が、上記第1実施形態および変形例に係る携帯端末と異なる。したがって、第1実施形態の携帯端末と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
図9および図10に示すように、電池ボックス12内には2つの電池29が収容されており、当該電池ボックス12内において負極の端末側端子16に対し収容時の電池29を介して対向する面(以下、対向面17ともいう)には、ゴム材料等により弾性変形可能に形成された2つの緩衝部材70a,70bが設けられている。これら両緩衝部材70a,70bは、支持部60の当接面61が当接する負極側端面29cから離間し当該電池ボックス12の底面18に近接する電池29の部位(以下、正極側端面29dともいう)に対して接触するようにそれぞれ配置されている。
【0052】
具体的には、図10に示すように、緩衝部材70aは、矩形状であって、正極の電池電極29aよりも底面18に近接する位置、すなわち、支持部60に対して対角となる位置にて正極側端面29dに接触するように形成されている。また、緩衝部材70bも緩衝部材70aと同様に形成されている。
【0053】
ここで、電池ボックス12の対向面17に両緩衝部材70a,70bを配置する理由について以下に説明する。
図11に例示するように、支持部60の当接面61に当接する電池29の負極側端面29cが丸みを帯びるなどして非平面状になっていると、この負極側端面29cと当接面61とが点接触する場合がある。この場合、外部からの衝撃が上記付勢方向と異なる方向に作用すると(図9の矢印α参照)、電池29の変位が支持部60により十分に抑制できない場合が想定される。
【0054】
そこで、本第2実施形態では、対向面17に設けられる両緩衝部材70a,70bを、支持部60が当接する負極側端面29cから離間し当該電池ボックス12の底面18に近接する電池29の部位にそれぞれ接触させることで、電池ボックス12内に収容される2つの電池29が支持部60と緩衝部材70a,70bとにより上記付勢方向と交差する方向にてそれぞれ弾性的に挟持されることとなる(図9参照)。これにより、上記付勢方向と異なる方向の衝撃成分が緩衝部材70a,70bにより緩和されやすくなり、上記付勢方向の衝撃成分は支持部60により抑制されるので、外部からの衝撃に起因する瞬断をより抑制することができる。
【0055】
図12は、第2実施形態の第1変形例に係る携帯端末10aの要部を示す拡大断面図である。図13は、第2実施形態の第2変形例に係る携帯端末10aの要部を示す拡大断面図である。
第2実施形態の第1変形例として、緩衝部材70a,70bに代えて緩衝部材71を採用してもよい。この緩衝部材71は、図12に示すように、上記緩衝部材70aと緩衝部材70bとを一体的に連結するように形成されて、電池ボックス12内に収容される2つの電池29にそれぞれ接触するように対向面17に配置されている。これにより、対向面17への緩衝部材71の取付作業が容易になるだけでなく、各電池29に対する衝撃成分をそれぞれほぼ均等に緩和することができる。なお、緩衝部材71は、両電池29が互いに近接する部分のみにそれぞれ接触するように形成されてもよい。また、電池ボックス12内に3つ以上の電池29が収容される場合でも、緩衝部材71は、これら各電池29にそれぞれ接触するように対向面17に配置されてもよい。
【0056】
また、第2実施形態の第2変形例として、緩衝部材70a,70bに加えて緩衝部材72を採用してもよい。これら各緩衝部材70a,70b,72は、図13に示すように、1つの電池29に対して複数の緩衝部材がそれぞれ接触するように対向面17に複数配置されている。このようにしても、各電池29に対する衝撃成分をそれぞれ緩和することができる。
【0057】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る携帯端末について図14を参照して説明する。図14は、第3実施形態に係る携帯端末10bの要部を示す拡大断面図である。
本第3実施形態に係る携帯端末10bは、緩衝部材70a,70bに代えて緩衝部材73を対向面17に配置する点が、上記第2実施形態および変形例に係る携帯端末と異なる。したがって、第2実施形態の携帯端末と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
対向面17には、電池29の突起状の正極の電池電極29aに接触するための正極の端末側端子15が設けられており、緩衝部材73は、図14に示すように、突起状の正極の電池電極29aの周囲を囲うように円弧状に形成されている。
【0059】
これにより、突起状の正極の電池電極29aを有する電池29の正極側端面29dであっても、この正極側端面29dに対して突起状の正極の電池電極29aを避けるように緩衝部材71が接触するので、上述した付勢方向と異なる方向の衝撃成分を好適に緩和することができる。なお、緩衝部材73は、突起状の正極の電池電極29aの周囲を囲うように環状に形成されてもよい。
【0060】
第3実施形態の変形例として、緩衝部材73は、電池29の正極側端面29dに当接する面が平面状に形成してもよい。これにより、緩衝部材73が電池29の平面状の正極側端面29dに接触する場合には、ほぼ均等に面接触して衝撃成分を好適に緩和することができる。上記第2実施形態および各変形例においても、各緩衝部材の電池29の正極側端面29dに当接する面を平面状に形成することで、同様の作用効果を奏する。
【0061】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記各実施形態と同等の作用・効果が得られる。
(1)負極の端末側端子16は、弾性変形可能なコイルばね状の導電部材により形成されることに限らず、例えば、板ばね等の弾性変形可能な導電部材により形成されてもよい。また、正極の端末側端子15もコイルばねや板ばね等の弾性変形可能な導電部材により形成されてもよい。
【0062】
(2)支持部60において、当接面61は、3つの面で構成されることに限らず、2つまたは4つ以上の面により構成されてもよい。また、支持部60は、当接面61が、使用環境に応じて、1つの面で構成されてもよい。
【0063】
(3)支持部60は、電池蓋50と一体的に成形されることに限らず、別体で構成されてもよい。この場合には、支持部60は、負極側端面29cの破損防止を重視して電池蓋50よりも軟質の柔軟部材にて形成されてもよいし、電池29の変位をより確実に抑制するために電池蓋50よりも硬質の樹脂材料や金属材料等にて形成されてもよい。
【0064】
(4)本発明に係る支持部60を用いた電池29の支持構成は、上述した情報コードリーダとしての機能や無線タグリーダとしての機能を備える携帯端末に採用されることに限らず、情報コードリーダ機能のみを有する携帯端末や無線タグリーダ機能のみを有する携帯端末に採用されてもよいし、例えば、決済機能等を有する携帯端末に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10,10a,10b…携帯端末
11…筐体
11a…上側ケース
11b…下側ケース
12…電池ボックス(電池収容部)
13…空間部
14…開口部
17…対向面
18…底面
15,16…端末側端子
29…電池
29a,29b…電池電極
29c…負極側端面
29d…正極側端面
50,50a…電池蓋
60…支持部
61…当接面
64…他側支持部
70a,70b,71,72,73…緩衝部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給源となる電池を収容した携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力供給源となる電池を収容した携帯端末に関する技術として、下記特許文献1に示す電池取付機構が知られている。この電池取付機構では、電池収容ボックス内の電池収容部に収容された乾電池から電源が供給されるように構成されており、電池収容部には一対の接点金具が配設されている。これら両接点金具には、それぞれ導電性のコイルばねが取り付けられている。この構成において、電池収容部に乾電池を収容すると、乾電池の両端には圧縮された状態でコイルばねが圧着する。これにより、電池収容ボックスに衝撃が加わって電池が電池収容部内で移動しても、コイルばねがこの移動に追従することで、電源瞬断(瞬断)が生じるのを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平02−19595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、乾電池のように長手方向両端面にそれぞれ正極および負極の電池電極が設けられる電池は、両電池電極が電池収容部に設けられる正極および負極の端末側端子にて挟持されるように支持(接触)された状態で、電池収容部に収容される。そして、両端末側端子の少なくとも一方は、上記特許文献1に示すように、電池の移動に追従して弾性変形させるために、コイルばねの様に導電性の弾性材料を用いて形成される。
【0005】
しかしながら、落下のような大きな衝撃が携帯端末に作用すると、電池収容部内において両端末側端子にて弾性支持された電池の瞬間的な変位が大きくなる。この電池の瞬間的な変位にコイルばねの弾性変形が追従しきれなくなると、電池電極が端末側端子から離れてしまい、瞬断が生じてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、外部からの衝撃に起因する瞬断を抑制し得る携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の携帯端末では、電力供給源となる電池を収容可能な空間部およびこの空間部から前記電池を取出可能な開口部を有する電池収容部と、前記開口部を閉塞可能な電池蓋と、を備える携帯端末であって、前記電池収容部には、前記電池の電極に対して弾性変形して付勢するように接触する端末側端子が設けられており、前記電池蓋には、前記開口部を閉塞するときに前記空間部に収容された前記電池のうち前記電極が設けられる端面に対して当接面にて当接する支持部が設けられることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の携帯端末において、前記支持部は、前記端面側の面が、前記当接面を除き前記電池蓋から離れるほど前記端面から離間するように形成されることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の携帯端末において、前記支持部は、前記当接面が複数の面から構成されることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯端末において、前記電池蓋には、前記電池に対して前記支持部とともに挟持するように当接する他側支持部が設けられることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の携帯端末において、前記支持部は、前記電池蓋と一体的に形成されることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の携帯端末において、前記電池収容部において前記端末側端子に対し収容時の前記電池を介して対向する対向面には、前記支持部が当接する端面から離間し当該電池収容部の底面に近接する前記電池の部位に対して接触する緩衝部材が設けられることを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項6に記載の携帯端末において、前記緩衝部材は、前記電池収容部に収容される複数の前記電池に接触するように前記対向面に配置されることを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項6に記載の携帯端末において、前記緩衝部材は、1つの前記電池に対してそれぞれ接触するように前記対向面に複数配置されることを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項6〜8のいずれか一項に記載の携帯端末において、前記対向面には、前記電池の突起状の正極に接触するための端末側端子が設けられており、前記緩衝部材は、前記突起状の正極の周囲を囲うように環状または円弧状に形成されることを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明は、請求項6〜9のいずれか一項に記載の携帯端末において、前記緩衝部材は、前記電池に当接する面が平面状に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明では、電池蓋には、電池収容部の開口部を閉塞するときにこの空間部に収容された電池のうち電極が設けられる端面(以下、電極側端面ともいう)に対して当接面にて当接する支持部が設けられている。このため、電池を電池収容部に収容すると、端末側端子が電池の電池電極に接触した状態で圧縮方向に弾性変形するので、電池の収容作業が容易になり、電池の電池電極と端末側端子とを確実に接続することができる。特に、落下のような大きな衝撃が携帯端末に作用する場合でも、端末側端子により付勢される方向に対して平行な方向(以下、付勢方向ともいう)への電池の変位が支持部により抑制される。これにより、電池収容部に収容された電池の電極と端末側端子とが離れにくくなるので、外部からの衝撃に起因する瞬断を抑制することができる。
【0018】
請求項2の発明では、支持部は、電極側端面側の面が、当接面を除き電池蓋から離れるほど電極側端面から離間するように形成されている。このため、電池収容部の開口部を電池蓋により閉塞して支持部の当接面を電極側端面に当接させる際に、支持部のエッジ部などが電極側端面に接触することもないので、当接面を当接させることによる電極側端面の破損を防止することができる。
【0019】
請求項3の発明では、支持部は、当接面が複数の面から構成されている。当接面が単一の面から構成されていると、作用する衝撃の方向によっては、当接面の一部のみが電極側端面に当接してしまい、この当接面の一部に大きな衝撃力が作用する場合がある。そこで、当接面を複数の面から構成することで、各面が電極側端面にそれぞれ当接しやすくなり、当接面に作用する力を分散することができる。
【0020】
請求項4の発明では、電池蓋には、電池に対して支持部とともに挟持するように当接する他側支持部が設けられる。このため、支持部および他側支持部の双方により付勢方向への電池の変位が抑制されるので、電池収容部に収容された電池の電極と端末側端子とをより離れにくくすることができる。
【0021】
請求項5の発明では、支持部は、電池蓋と一体的に形成されるため、支持部が電池蓋に対して別体として構成される場合と比較して、支持部を電池蓋に組み付ける組付作業等をなくすことができるので、製造コストを低減することができる。
【0022】
請求項6の発明では、電池収容部の対向面には、支持部が当接する端面から離間し当該電池収容部の底面に近接する電池の部位に接触する緩衝部材が設けられている。支持部に当接する電池の端面が丸みを帯びるなどして非平面状になっていると、この端面と支持部とが点接触する場合がある。この場合、外部からの衝撃が上記付勢方向と異なる方向に作用すると、電池の変位が支持部により十分に抑制できない場合が想定される。
【0023】
そこで、対向面に設けられる緩衝部材を、支持部が当接する端面から離間し当該電池収容部の底面に近接する電池の部位に接触させることで、電池収容部に収容される電池が支持部と緩衝部材とにより付勢方向と交差する方向にて弾性的に挟持されることとなる。これにより、付勢方向と異なる方向の衝撃成分が緩衝部材により緩和されやすくなり、付勢方向の衝撃成分は支持部により抑制されるので、外部からの衝撃に起因する瞬断をより抑制することができる。
【0024】
請求項7の発明では、緩衝部材は、電池収容部に収容される複数の電池に接触するように対向面に配置されるため、対向面への緩衝部材の取付作業が容易になるだけでなく、各電池に対する衝撃成分をそれぞれほぼ均等に緩和することができる。
【0025】
また、請求項8の発明のように、緩衝部材を、1つの電池に対してそれぞれ接触するように対向面に複数配置してもよい。
【0026】
請求項9の発明では、対向面には、電池の突起状の正極に接触するための端末側端子が設けられており、緩衝部材は、突起状の正極の周囲を囲うように環状または円弧状に形成されている。これにより、突起状の正極を有する電池の端面であっても、この端面に対して突起状の正極を避けるように緩衝部材が接触するので、上述した付勢方向と異なる方向の衝撃成分を好適に緩和することができる。
【0027】
請求項10の発明では、緩衝部材は、電池に当接する面が平面状に形成されるため、緩衝部材が電池の平面状の端面に接触する場合には、ほぼ均等に面接触して衝撃成分を好適に緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本第1実施形態に係る携帯端末の構成概要を示す図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は側面図である。
【図2】電池ボックス内における電池の支持状態を示す一部断面図である。
【図3】図1の携帯端末の電気的構成を例示するブロック図である。
【図4】電池蓋の詳細形状を説明するための図である。
【図5】支持部の詳細形状を説明するための斜視図である。
【図6】図6(A)は、電池が電池ボックスに収容されない状態での端末側端子を示す拡大断面図であり、図6(B)は、電池電極に接触した状態での端末側端子を示す拡大断面図である。
【図7】支持部等に作用する力関係を示す説明図である。
【図8】本第1実施形態の変形例に係る携帯端末の要部を示す断面図である。
【図9】第2実施形態に係る携帯端末の要部を示す拡大断面図である。
【図10】図9に示すA−A線相当の切断面による断面図である。
【図11】非平面状の負極側端面と支持部の当接面とが点接触する状態を示す断面図である。
【図12】第2実施形態の第1変形例に係る携帯端末の要部を示す拡大断面図である。
【図13】第2実施形態の第2変形例に係る携帯端末の要部を示す拡大断面図である。
【図14】第3実施形態に係る携帯端末の要部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
以下、本発明の携帯端末を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本第1実施形態に係る携帯端末10の構成概要を示す図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は側面図である。図2は、電池ボックス12内における電池29の支持状態を示す一部断面図である。図3(A)は、図1の携帯端末10の電気的構成を例示するブロック図であり、図3(B)は、図3(A)の情報コード読取部30の電気的構成を例示するブロック図であり、図3(C)は、図3(A)の非接触通信部40の電気的構成を例示するブロック図である。
【0030】
図1(A),(B)に示す携帯端末10は、長手状の外観をなしており、その一端側のほぼ半分の領域が把持領域とされ、ユーザによって把持されつつ使用される構成をなしている。この携帯端末10は、例えば、ユーザによって携帯されて様々な場所で用いられる携帯型の情報端末として構成されており、バーコードや二次元コードなどの情報コードを読み取る情報コードリーダとしての機能と、無線タグを読み取る無線タグリーダとしての機能とを備え、読み取りを二方式で行いうる構成となっている。
【0031】
図1(A),(B)に示すように、携帯端末10は、上側ケース11aおよび下側ケース11bが組み付けられて構成される長手状の筐体11によって外郭が形成されている。また、図2に示すように、下側ケース11bには、携帯端末10の電力供給源となる電池29を収容可能な空間部13とこの空間部13から電池29を取出可能な開口部14とを備え電池収容部として機能する電池ボックス12が形成されている。そして、電池蓋50は、この電池ボックス12の開口部14を閉塞可能に構成されている。なお、上側ケース11a、下側ケース11bおよび電池蓋50は、例えば、ABS樹脂等の合成樹脂からなる。
【0032】
次に、携帯端末10が備えている機能について説明する。
図3(A)に示すように、携帯端末10の筐体11内には、携帯端末10全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、メモリ22とともに情報処理装置を構成している。また、制御部21には、LED23、表示部24、キー操作部25、スピーカ26、外部インターフェース27などが接続されている。キー操作部25は、制御部21に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部21は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。また、LED23、表示部24およびスピーカ26は、制御部21によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部21からの指令を受けて動作する。外部インターフェース27は、外部装置(例えばホスト装置)との間でのデータ通信を行うためのインターフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、筐体11内には、電源部28が設けられており、この電源部28や電池ボックス12に収容される電池29によって制御部21や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。なお、電池29は、例えば、乾電池であって、長手方向両端面にそれぞれ正極および負極の電池電極が設けられている。
【0033】
また、制御部21には、情報コード読取部30および非接触通信部40がそれぞれ接続されている。
情報コード読取部30は、図3(B)に示すように、CCDエリアセンサからなる受光センサ33、結像レンズ37、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部31などを備えた構成をなしており、制御部21と協働して読取対象Rに付された情報コードC(バーコードや二次元コード)を読み取るように機能する。
【0034】
この情報コード読取部30によって読み取りを行う場合、まず、制御部21によって指令を受けた照明部31から照明光Lfが出射され、この照明光Lfが読取口11c(図1(B)参照)を通って読取対象Rに照射される。そして、照明光Lfが情報コードC(バーコードや二次元コード)にて反射した反射光Lrは読取口11cを通って装置内に取り込まれ、結像レンズ37を通って受光センサ33に受光される。読取口11cと受光センサ33との間に配される結像レンズ37は、情報コードCの像を受光センサ33上に結像させる構成をなしており、受光センサ33はこの情報コードCの像に応じた受光信号を出力する。受光センサ33から出力された受光信号は、画像データとしてメモリ22(図3(A))に記憶され、情報コードCに含まれる情報を取得するためのデコード処理に用いられるようになっている。なお、情報コード読取部30には、受光センサ33からの信号を増幅する増幅回路や、その増幅された信号をデジタル信号に変換するAD変換回路等が設けられているがこれらの回路については図示を省略している。
【0035】
非接触通信部40は、アンテナ41及び制御部21と協働して無線タグ等の非接触通信媒体との間で電磁波による通信を行ない、非接触通信媒体に記憶されるデータの読取り、或いは非接触通信媒体に対するデータの書込みを行なうように機能するものである。この非接触通信部40は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、図3(C)にて概略的に示すように、発振器42、変調器43、復調器44などを備えてなるものである。なお、非接触通信部40には、これら以外の公知構成(例えば、増幅器、フィルタ回路、整合回路等)も設けられているが、図3(C)ではこれらについては図示を省略している。
【0036】
次に、電池ボックス12内における電池29の支持状態について説明する。
図4は、電池蓋50の詳細形状を説明するための図であり、図4(A)は、電池蓋50の正面図であり、図4(B)は、電池蓋50の側面図であり、図4(C)は、図4(A)に示す4C−4C線相当の切断面による断面図であり、図4(D)は、図4(A)に示す4D−4D線相当の切断面による断面図である。図5は、支持部60の詳細形状を説明するための斜視図である。図6(A)は、電池29が電池ボックス12に収容されない状態での端末側端子16を示す拡大断面図であり、図6(B)は、電池電極29bに接触した状態での端末側端子16を示す拡大断面図である。図7は、支持部60等に作用する力関係を示す説明図である。
【0037】
本第1実施形態では、2つの電池29が電力供給源として採用されて電池ボックス12内に収容されている。電池ボックス12内には、2つの電池29の正極および負極の電池電極29a,29bにそれぞれ接触して支持する正極および負極の端末側端子15,16が設けられている(図2では一方のみ示す)。正極の端末側端子15は、正極の電池電極29aに対して接触可能に、平板状の導電部材により形成されている。また、負極の端末側端子16は、正極の端末側端子15と異なり、弾性変形可能なコイルばね状の導電部材により形成されており、負極の電池電極29bに対して弾性変形して付勢するように接触する。これにより、両電池29は、電池ボックス12内にて両端末側端子15,16により長手方向に付勢されて挟持された状態でそれぞれ支持されている。両端末側端子15,16は、電源部28に接続されており、電池29の電力がこれら両端末側端子15,16を介して制御部21や各種電気部品に供給されることとなる。
【0038】
次に、本発明の特徴的部分である電池蓋50について説明する。この電池蓋50には、図2および図4に示すように、長手方向両端部にて外方に延出する一対の爪部51,52がそれぞれ形成されている。また、爪部51,52の内方には、開口部14を閉塞するための溝部53が略矩形環状に形成されている。当該電池蓋50は、爪部51,52を電池ボックス12に形成される係合部(図2では一方の係合部のみを符号12aで示す)に係合させることで、溝部53等により開口部14を閉塞するように下側ケース11bに組み付けられる。
【0039】
また、図4および図5に示すように、電池蓋50の内面側には、爪部51の近傍に、2つの支持部60が一体的に成形されてそれぞれ設けられている。この支持部60は、上述のように電池蓋50により電池ボックス12の開口部14が閉塞されるとき、電池29のうち負極の電池電極29bが設けられる端面(以下、負極側端面29cともいう)に対して当接面61にて当接するように形成されている(図2参照)。この当接面61は、複数の面(図4,5では3つ)から構成されており、隣接する面同士の近傍部位が連結部62によりそれぞれ連結されている。また、支持部60は、当接面61を除く負極側端面29c側の面(図4および図5にて符号63で示す面)が、電池蓋50の内底面から離れるほど負極側端面29cから離間するように傾斜して形成されている。
【0040】
このように構成される支持部60の作用効果について、図を用いて説明する。
電池29が電池ボックス12に収容されない状態では、図6(A)に示すように、端末側端子16は、自然長の状態にある。そして、電池29を電池ボックス12に収容すると、端末側端子16は、図6(B)に示すように、電池29の電池電極29bに接触した状態で圧縮方向に弾性変形する。このように、電池29の電池ボックス12への収容時には端末側端子16が弾性変形するので、電池29の収容作業が容易になり、かつ、電池29の電池電極29a,29bと端末側端子15,16とを確実に接続することができる。この状態では、電池29は、端末側端子16等により弾性支持されることで、当該端末側端子16等にて付勢される方向に対して平行な方向(付勢方向)へ変位可能に支持されることとなる。そして、電池ボックス12の開口部14を閉塞するように電池蓋50を下側ケース11bに組み付けることで、支持部60の当接面61が電池29の負極側端面29cに当接する(図2および図6(B)参照)。
【0041】
このように電池蓋50が下側ケース11bに組み付けられた状態において、携帯端末10に対して落下のような大きな衝撃が上記付勢方向に作用する場合を例に説明する。この場合、図7に示すように、電池29には自重を含めた衝撃力F1が作用し、この衝撃力F1に抗して支持部60の当接面61にて抗力F2が生じる。そうすると、端末側端子16等には、衝撃力F1から抗力F2を減算した圧縮力F3が圧縮方向に作用することとなる。
【0042】
このとき、支持部60が設けられておらず当接面61が負極側端面29cに当接していない場合には、衝撃力F1がそのまま圧縮力F3として端末側端子16等に作用するため、電池29の瞬間的な変位が大きくなる。この電池29の瞬間的な変位に端末側端子16の弾性変形が追従しきれなくなると、電池電極29bが端末側端子16から離れてしまい、瞬断が生じてしまう。
【0043】
本第1実施形態では、当接面61が負極側端面29cに当接するため、電池蓋50に支持部60が設けられない場合と比較して、上述のように圧縮力F3が小さくなり、端末側端子16等により付勢される付勢方向への電池29の変位が抑制される。これにより、電池ボックス12に収容された電池29の電池電極29a,29bと端末側端子15,16とが離れにくくなるので、外部からの衝撃に起因する瞬断が抑制されることとなる。
【0044】
以上説明したように、本第1実施形態に係る携帯端末10では、電池蓋50には、電池ボックス12の開口部14を閉塞するときに空間部13に収容された電池29の負極側端面29cに対して当接面61にて当接する支持部60が設けられている。このため、落下のような大きな衝撃が携帯端末10に作用する場合でも、端末側端子15,16により付勢される付勢方向への電池29の変位が支持部60により抑制される。これにより、電池ボックス12に収容された電池29の電池電極29a,29bと端末側端子15,16とが離れにくくなるので、外部からの衝撃に起因する瞬断を抑制することができる。
【0045】
また、本第1実施形態に係る携帯端末10では、支持部60は、電極側端面側の面63が、当接面61を除き電池蓋50の内底面から離れるほど負極側端面29cから離間するように形成されている。このため、電池ボックス12の開口部14を電池蓋50により閉塞して支持部60の当接面61を負極側端面29cに当接させる際に、支持部60のエッジ部などが負極側端面29cに接触することもないので、当接面61を当接させることによる負極側端面29cの破損を防止することができる。
【0046】
さらに、本第1実施形態に係る携帯端末10では、支持部60は、当接面61が複数の面から構成されている。当接面61が単一の面から構成されていると、作用する衝撃の方向によっては、当接面61の一部のみが負極側端面29cに当接してしまい、この当接面61の一部に大きな衝撃力が作用する場合がある。そこで、当接面61を複数の面から構成することで、各面が負極側端面29cにそれぞれ当接しやすくなり、当接面61に作用する力を分散することができる。
【0047】
さらにまた、本第1実施形態に係る携帯端末10では、支持部60は、電池蓋50と一体的に形成されるため、支持部60が電池蓋50に対して別体として構成される場合と比較して、支持部60を電池蓋50に組み付ける組付作業等をなくすことができるので、製造コストを低減することができる。
【0048】
図8は、本実施形態の変形例に係る携帯端末10の要部を示す断面図である。
本第1実施形態の変形例に係る携帯端末10として、図8に示す電池蓋50aを採用してもよい。この電池蓋50aには、開口部14の閉塞時に、電池29に対して支持部60とともに挟持するように当接する他側支持部64が設けられる。具体的には、支持部60の当接面61と他側支持部64の当接面とにより、負極側端面29cと電池29のうち正極の電池電極29aが設けられる端面とが挟持される。このため、支持部60および他側支持部64の双方により付勢方向(電池29の長手方向)への電池29の変位が抑制されるので、電池ボックス12に収容された電池29の電池電極29a,29bと端末側端子15,16とをより離れにくくすることができる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る携帯端末について図9〜図11を参照して説明する。図9は、第2実施形態に係る携帯端末10aの要部を示す拡大断面図である。図10は、図9に示すA−A線相当の切断面による断面図である。図11は、非平面状の負極側端面29cと支持部60の当接面61とが点接触する状態を示す断面図である。
【0050】
本第2実施形態に係る携帯端末10aは、電池ボックス12内に緩衝部材70a,70bが新たに配置される点が、上記第1実施形態および変形例に係る携帯端末と異なる。したがって、第1実施形態の携帯端末と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
図9および図10に示すように、電池ボックス12内には2つの電池29が収容されており、当該電池ボックス12内において負極の端末側端子16に対し収容時の電池29を介して対向する面(以下、対向面17ともいう)には、ゴム材料等により弾性変形可能に形成された2つの緩衝部材70a,70bが設けられている。これら両緩衝部材70a,70bは、支持部60の当接面61が当接する負極側端面29cから離間し当該電池ボックス12の底面18に近接する電池29の部位(以下、正極側端面29dともいう)に対して接触するようにそれぞれ配置されている。
【0052】
具体的には、図10に示すように、緩衝部材70aは、矩形状であって、正極の電池電極29aよりも底面18に近接する位置、すなわち、支持部60に対して対角となる位置にて正極側端面29dに接触するように形成されている。また、緩衝部材70bも緩衝部材70aと同様に形成されている。
【0053】
ここで、電池ボックス12の対向面17に両緩衝部材70a,70bを配置する理由について以下に説明する。
図11に例示するように、支持部60の当接面61に当接する電池29の負極側端面29cが丸みを帯びるなどして非平面状になっていると、この負極側端面29cと当接面61とが点接触する場合がある。この場合、外部からの衝撃が上記付勢方向と異なる方向に作用すると(図9の矢印α参照)、電池29の変位が支持部60により十分に抑制できない場合が想定される。
【0054】
そこで、本第2実施形態では、対向面17に設けられる両緩衝部材70a,70bを、支持部60が当接する負極側端面29cから離間し当該電池ボックス12の底面18に近接する電池29の部位にそれぞれ接触させることで、電池ボックス12内に収容される2つの電池29が支持部60と緩衝部材70a,70bとにより上記付勢方向と交差する方向にてそれぞれ弾性的に挟持されることとなる(図9参照)。これにより、上記付勢方向と異なる方向の衝撃成分が緩衝部材70a,70bにより緩和されやすくなり、上記付勢方向の衝撃成分は支持部60により抑制されるので、外部からの衝撃に起因する瞬断をより抑制することができる。
【0055】
図12は、第2実施形態の第1変形例に係る携帯端末10aの要部を示す拡大断面図である。図13は、第2実施形態の第2変形例に係る携帯端末10aの要部を示す拡大断面図である。
第2実施形態の第1変形例として、緩衝部材70a,70bに代えて緩衝部材71を採用してもよい。この緩衝部材71は、図12に示すように、上記緩衝部材70aと緩衝部材70bとを一体的に連結するように形成されて、電池ボックス12内に収容される2つの電池29にそれぞれ接触するように対向面17に配置されている。これにより、対向面17への緩衝部材71の取付作業が容易になるだけでなく、各電池29に対する衝撃成分をそれぞれほぼ均等に緩和することができる。なお、緩衝部材71は、両電池29が互いに近接する部分のみにそれぞれ接触するように形成されてもよい。また、電池ボックス12内に3つ以上の電池29が収容される場合でも、緩衝部材71は、これら各電池29にそれぞれ接触するように対向面17に配置されてもよい。
【0056】
また、第2実施形態の第2変形例として、緩衝部材70a,70bに加えて緩衝部材72を採用してもよい。これら各緩衝部材70a,70b,72は、図13に示すように、1つの電池29に対して複数の緩衝部材がそれぞれ接触するように対向面17に複数配置されている。このようにしても、各電池29に対する衝撃成分をそれぞれ緩和することができる。
【0057】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る携帯端末について図14を参照して説明する。図14は、第3実施形態に係る携帯端末10bの要部を示す拡大断面図である。
本第3実施形態に係る携帯端末10bは、緩衝部材70a,70bに代えて緩衝部材73を対向面17に配置する点が、上記第2実施形態および変形例に係る携帯端末と異なる。したがって、第2実施形態の携帯端末と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
対向面17には、電池29の突起状の正極の電池電極29aに接触するための正極の端末側端子15が設けられており、緩衝部材73は、図14に示すように、突起状の正極の電池電極29aの周囲を囲うように円弧状に形成されている。
【0059】
これにより、突起状の正極の電池電極29aを有する電池29の正極側端面29dであっても、この正極側端面29dに対して突起状の正極の電池電極29aを避けるように緩衝部材71が接触するので、上述した付勢方向と異なる方向の衝撃成分を好適に緩和することができる。なお、緩衝部材73は、突起状の正極の電池電極29aの周囲を囲うように環状に形成されてもよい。
【0060】
第3実施形態の変形例として、緩衝部材73は、電池29の正極側端面29dに当接する面が平面状に形成してもよい。これにより、緩衝部材73が電池29の平面状の正極側端面29dに接触する場合には、ほぼ均等に面接触して衝撃成分を好適に緩和することができる。上記第2実施形態および各変形例においても、各緩衝部材の電池29の正極側端面29dに当接する面を平面状に形成することで、同様の作用効果を奏する。
【0061】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記各実施形態と同等の作用・効果が得られる。
(1)負極の端末側端子16は、弾性変形可能なコイルばね状の導電部材により形成されることに限らず、例えば、板ばね等の弾性変形可能な導電部材により形成されてもよい。また、正極の端末側端子15もコイルばねや板ばね等の弾性変形可能な導電部材により形成されてもよい。
【0062】
(2)支持部60において、当接面61は、3つの面で構成されることに限らず、2つまたは4つ以上の面により構成されてもよい。また、支持部60は、当接面61が、使用環境に応じて、1つの面で構成されてもよい。
【0063】
(3)支持部60は、電池蓋50と一体的に成形されることに限らず、別体で構成されてもよい。この場合には、支持部60は、負極側端面29cの破損防止を重視して電池蓋50よりも軟質の柔軟部材にて形成されてもよいし、電池29の変位をより確実に抑制するために電池蓋50よりも硬質の樹脂材料や金属材料等にて形成されてもよい。
【0064】
(4)本発明に係る支持部60を用いた電池29の支持構成は、上述した情報コードリーダとしての機能や無線タグリーダとしての機能を備える携帯端末に採用されることに限らず、情報コードリーダ機能のみを有する携帯端末や無線タグリーダ機能のみを有する携帯端末に採用されてもよいし、例えば、決済機能等を有する携帯端末に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10,10a,10b…携帯端末
11…筐体
11a…上側ケース
11b…下側ケース
12…電池ボックス(電池収容部)
13…空間部
14…開口部
17…対向面
18…底面
15,16…端末側端子
29…電池
29a,29b…電池電極
29c…負極側端面
29d…正極側端面
50,50a…電池蓋
60…支持部
61…当接面
64…他側支持部
70a,70b,71,72,73…緩衝部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給源となる電池を収容可能な空間部およびこの空間部から前記電池を取出可能な開口部を有する電池収容部と、前記開口部を閉塞可能な電池蓋と、を備える携帯端末であって、
前記電池収容部には、前記電池の電極に対して弾性変形して付勢するように接触する端末側端子が設けられており、
前記電池蓋には、前記開口部を閉塞するときに前記空間部に収容された前記電池のうち前記電極が設けられる端面に対して当接面にて当接する支持部が設けられることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記支持部は、前記端面側の面が、前記当接面を除き前記電池蓋から離れるほど前記端面から離間するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記支持部は、前記当接面が複数の面から構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記電池蓋には、前記電池に対して前記支持部とともに挟持するように当接する他側支持部が設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記支持部は、前記電池蓋と一体的に形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記電池収容部において前記端末側端子に対し収容時の前記電池を介して対向する対向面には、前記支持部が当接する端面から離間し当該電池収容部の底面に近接する前記電池の部位に対して接触する緩衝部材が設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記緩衝部材は、前記電池収容部に収容される複数の前記電池に接触するように前記対向面に配置されることを特徴とする請求項6に記載の携帯端末。
【請求項8】
前記緩衝部材は、1つの前記電池に対してそれぞれ接触するように前記対向面に複数配置されることを特徴とする請求項6に記載の携帯端末。
【請求項9】
前記対向面には、前記電池の突起状の正極に接触するための端末側端子が設けられており、
前記緩衝部材は、前記突起状の正極の周囲を囲うように環状または円弧状に形成されることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項10】
前記緩衝部材は、前記電池に当接する面が平面状に形成されることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項1】
電力供給源となる電池を収容可能な空間部およびこの空間部から前記電池を取出可能な開口部を有する電池収容部と、前記開口部を閉塞可能な電池蓋と、を備える携帯端末であって、
前記電池収容部には、前記電池の電極に対して弾性変形して付勢するように接触する端末側端子が設けられており、
前記電池蓋には、前記開口部を閉塞するときに前記空間部に収容された前記電池のうち前記電極が設けられる端面に対して当接面にて当接する支持部が設けられることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記支持部は、前記端面側の面が、前記当接面を除き前記電池蓋から離れるほど前記端面から離間するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記支持部は、前記当接面が複数の面から構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記電池蓋には、前記電池に対して前記支持部とともに挟持するように当接する他側支持部が設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記支持部は、前記電池蓋と一体的に形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記電池収容部において前記端末側端子に対し収容時の前記電池を介して対向する対向面には、前記支持部が当接する端面から離間し当該電池収容部の底面に近接する前記電池の部位に対して接触する緩衝部材が設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記緩衝部材は、前記電池収容部に収容される複数の前記電池に接触するように前記対向面に配置されることを特徴とする請求項6に記載の携帯端末。
【請求項8】
前記緩衝部材は、1つの前記電池に対してそれぞれ接触するように前記対向面に複数配置されることを特徴とする請求項6に記載の携帯端末。
【請求項9】
前記対向面には、前記電池の突起状の正極に接触するための端末側端子が設けられており、
前記緩衝部材は、前記突起状の正極の周囲を囲うように環状または円弧状に形成されることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項10】
前記緩衝部材は、前記電池に当接する面が平面状に形成されることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の携帯端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−258535(P2011−258535A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165624(P2010−165624)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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