説明

携帯端末

【課題】蓋部によって覆われることにより外部に露出しなくなる被覆部を有する携帯端末において、蓋部が被覆部を覆っているかどうかを簡易な構成で判断する。
【解決手段】基板配線10と、コネクタカバー40に設けられたコネクタカバー配線41と、バッテリーカバー50に設けられたバッテリーカバー配線51とを介してLSI60のポート端子61a,61bが互いに導通しているかどうかにより、コネクタカバー40及びバッテリーカバー50が外部インターフェースコネクタ20及びバッテリー装着部30をそれぞれ覆っているかどうかを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の携帯端末に関し、特に、蓋部によって覆われることにより外部に露出しなくなる被覆部を有し、この被覆部が蓋部によって覆われているかどうかを判断する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話機は、情報交換や情報収集の面から、生活にはなくてはならないツールとなりつつある。このような携帯電話機は、世の中に登場した当時は、通話機能しか有していないものがほとんどであったが、近年では、一般のパーソナルコンピュータと同様に、電子メールを送信したり、インターネットに接続したりすることができるようになっている。また、防水機能を有するものも一般的である。
【0003】
ところで、このような携帯電話機等の携帯端末においては、イヤホンやマイク、さらには、カードスロット等の外部機器が接続されるインターフェース部や、バッテリーが装着されるバッテリー装着部が設けられているが、それらの部分においては、防水機能を発揮させるために、通常は蓋部によって覆われた構成となっている。そして、外部機器を接続する際やバッテリーを交換する際に蓋部を開けることになるが、蓋部が開いた状態では十分な防水機能が発揮されないため、蓋部が開いたままになっている場合、回路破壊を招いてしまう虞れがある。
【0004】
そこで、イヤホン等のコネクタ部が蓋部によって覆われる携帯機器において、イヤホン等のコネクタ部に、蓋部の開閉状態を検出するスイッチを設け、それにより、蓋部が開いた状態を通知する技術が考えられている(例えば、特許文献1,2参照)。この技術を用いれば、蓋部が開けっ放しとなっている状態が通知されるため、上述したような事象の発生を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−159403号公報
【特許文献2】特開2009−213073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した技術においては、イヤホン等のコネクタ部に、蓋部の開閉状態を検出するスイッチを設けることになるため、スイッチの種類によってはその構造が複雑になってしまうという問題点がある。
【0007】
本発明は、上述したような技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、蓋部によって覆われることにより外部に露出しなくなる被覆部を有する携帯端末において、蓋部が被覆部を覆っているかどうかを簡易な構成で判断することができる携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
蓋部と、該蓋部によって覆われることにより外部に露出しなくなる被覆部とを有する携帯端末において、
第1及び第2の端子を具備する制御部と、
前記蓋部に設けられた蓋部側配線と、
前記蓋部が前記被覆部を覆った場合に前記蓋部側配線と導通することにより、前記第1の端子と前記第2の端子とを導通させる本体側配線とを有し、
前記制御部は、前記第1の端子と前記第2の端子とが導通しているかどうかによって、前記蓋部が前記被覆部を覆っているかどうかを判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明は、本体側配線と蓋部に設けられた蓋部側配線とを介して制御部の第1の端子と第2の端子とが導通しているかどうかにより、蓋部が被覆部を覆っているかどうかを判断する構成としたため、蓋部が被覆部を覆っているかどうかを簡易な構成で判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の携帯端末の実施の一形態を示す外観図である。
【図2】図1に示した携帯電話機において外部インターフェースコネクタ及びバッテリー装着部がコネクタカバー及びバッテリーカバーによってそれぞれ覆われた状態を示す図であり、(a)は接続概略図、(b)はそのブロック図である。
【図3】図1に示した携帯電話機の動作を説明するための図である。
【図4】図1に示した携帯電話機の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の携帯端末の他の実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の携帯端末の実施の一形態を示す外観図である。
【0013】
本形態は図1に示すように、外部機器が接続されるインターフェース部となる外部インターフェースコネクタ20と、バッテリーが取り外し可能に装着されるバッテリー装着部30とを有する携帯電話機1であり、外部インターフェースコネクタ20及びバッテリー装着部30がそれぞれ本発明における被覆部となる。外部インターフェースコネクタ20は、蓋部となるコネクタカバー40によって覆うことにより外部に露出しない状態とすることができ、また、バッテリー装着部30は、バッテリーが装着された後、蓋部となるバッテリーカバー50によって覆うことにより外部に露出しない状態とすることができる。そして、この携帯電話機1は、防水機能を有し、外部インターフェースコネクタ20及びバッテリー装着部30が、コネクタカバー40及びバッテリーカバー50によってそれぞれ覆われて密閉性が保たれることによって防水機能が発揮される。
【0014】
外部インターフェースコネクタ20には、金属等の導通性を有する2つのコネクタ側端子22a,22bが設けられており、また、バッテリー装着部30には、金属等の導通性を有する2つのバッテリー装着部端子32a,32bが設けられている。
【0015】
また、コネクタカバー40には、コネクタカバー40によって外部インターフェースコネクタ20を覆った場合にコネクタ側端子22a,22bに当接する領域に、それぞれ金属等の導通性を有するコネクタカバー端子42a,42bが設けられているとともに、これらを両端とした蓋部側配線となるコネクタカバー配線41が設けられている。
【0016】
また、バッテリーカバー50には、バッテリーカバー50によってバッテリー装着部30を覆った場合にバッテリー装着部端子32a,32bに当接する領域に、それぞれ金属等の導通性を有するバッテリーカバー端子52a,52bが設けられているとともに、これらを両端とした蓋部側配線となるバッテリーカバー配線51が設けられている。
【0017】
図2は、図1に示した携帯電話機1において外部インターフェースコネクタ20及びバッテリー装着部30がコネクタカバー40及びバッテリーカバー50によってそれぞれ覆われた状態を示す図であり、(a)は接続概略図、(b)はそのブロック図である。
【0018】
図2(a)に示すように、図1に示した携帯電話機1においては、携帯電話機1の動作を制御する制御部となるLSI60が内蔵されており、このLSI60のポート端子61a,61bには本体側配線となる基板配線10が接続されている。なお、LSI60のポート端子61a,61bのいずれか一方が本発明における第1の端子となり、他方が本発明における第2の端子となる。基板配線10は、LSI60のポート端子61aとコネクタ側端子22aとを接続し、また、コネクタ側端子22bとバッテリー装着部端子32aとを接続し、また、バッテリー装着部端子32bとLSI60のポート端子61bとを接続している。
【0019】
そして、図1に示した携帯電話機1において外部インターフェースコネクタ20がコネクタカバー40によって覆われると、コネクタ側端子22a,22bとコネクタカバー端子42a,42bとが当接した状態となり、また、バッテリー装着部30がバッテリーカバー50によって覆われると、バッテリー装着部端子32a,32bとバッテリーカバー端子52a,52bとが当接した状態となる。それにより、図2(b)に示すように、LSI60のポート端子61aとポート端子61bとが、基板配線10、コネクタ側端子22a,22b、コネクタカバー端子42a,42b、コネクタカバー配線41、バッテリー装着部端子32a,32b、バッテリーカバー端子52a,52b及びバッテリーカバー配線51を介して互いに導通した状態となる。
【0020】
以下に、上記のように構成された携帯電話機1の動作について説明する。
【0021】
図3は、図1に示した携帯電話機1の動作を説明するための図であり、図4は、図1に示した携帯電話機1の動作を説明するためのフローチャートである。
【0022】
携帯電話機1の通常状態(待ち受け状態等)においては、消費電流を減らすためLSI60内部にてPULLDOWN状態となっている(ステップ1)。
【0023】
そして、ワンセグ機能やメール機能等の各種機能の起動時に(ステップ2)、その起動に連動して、LSI60内部にて瞬間的にPULLUP状態とし(ステップ3)、LSI60のポート端子61aから所定の信号となるHigh信号を出力する(ステップ4)。
【0024】
LSI60においては、ポート端子61aからHigh信号を出力するとともに、ポート端子61bの電圧を監視する。上述したように、図1に示した携帯電話機1において外部インターフェースコネクタ20及びバッテリー装着部30がコネクタカバー40及びバッテリーカバー50によってそれぞれ覆われた状態においては、LSI60のポート端子61aとポート端子61bとが、基板配線10、コネクタ側端子22a,22b、コネクタカバー端子42a,42b、コネクタカバー配線41、バッテリー装着部端子32a,32b、バッテリーカバー端子52a,52b及びバッテリーカバー配線51を介して互いに導通した状態となっているため、ポート端子61aから出力されたHigh信号はポート端子61bにて検出されることになる。
【0025】
そのため、LSI60において、ポート端子61bの電圧がHighとなっている場合は(ステップ5)、外部インターフェースコネクタ20及びバッテリー装着部30がコネクタカバー40及びバッテリーカバー50によってそれぞれ覆われていると判断し(ステップ6)、利用者に対する通知は行わない(ステップ7)。
【0026】
一方、図1に示した携帯電話機1において外部インターフェースコネクタ20がコネクタカバー40によって覆われていない、または、バッテリー装着部30がバッテリーカバー50によって覆われていない状態においては、LSI60のポート端子61aからポート端子61bまでの基板配線10、コネクタ側端子22a,22b、コネクタカバー端子42a,42b、コネクタカバー配線41、バッテリー装着部端子32a,32b、バッテリーカバー端子52a,52b及びバッテリーカバー配線51を介した経路にて断線が生じていることになるため、ポート端子61aから出力されたHigh信号はポート端子61bにて検出されることはない。
【0027】
そのため、LSI60において、ポート端子61bの電圧がHighとなっていない場合は、外部インターフェースコネクタ20とバッテリー装着部30との少なくとも一方がコネクタカバー40またはバッテリーカバー50によって覆われていないと判断し(ステップ8)、その旨をポップ表示にて警告として出力して利用者に通知する(ステップ9)。
【0028】
これにより、外部インターフェースコネクタ20とバッテリー装着部30との少なくとも一方がコネクタカバー40またはバッテリーカバー50によって覆われておらずに密閉性が保たれていない旨を利用者に通知することができる。そして、利用者は、防水機能が正常に発揮されていない旨を認識することができ、水進入起因の回路破壊を防止することができる。
【0029】
(他の実施の形態)
図5は、本発明の携帯端末の他の実施の形態を示す図である。
【0030】
本形態は図5に示すように、外部インターフェースコネクタ20及びバッテリー装着部30のそれぞれに、照度を検出する照度センサ23,33が設けられており、その他の構成については、図1に示したものと同様である。
【0031】
上記のように構成された携帯電話機101においては、LSI60において、ポート端子61bの電圧がHighとなっていない場合に、それをトリガーとして照度センサ23,33を起動させ、照度センサ23,33にて検出される照度を確認する。そして、照度センサ23にて検出された照度が所定値以上である場合は、外部インターフェースコネクタ20がコネクタカバー40によって覆われていないと判断し、また、照度センサ33にて検出された照度が所定値以上である場合は、バッテリー装着部30がバッテリーカバー50によって覆われていないと判断する。これにより、LSI60において、外部インターフェースコネクタ20とバッテリー装着部30のいずれかがコネクタカバー40またはバッテリーカバー50によって覆われていないかを特定する。そして、その旨をポップ表示にて出力することにより、利用者に、外部インターフェースコネクタ20とバッテリー装着部30とのそれぞれについて、コネクタカバー40またはバッテリーカバー50によって覆われているかどうかを通知することができる。
【0032】
なお、上述した実施の形態においては、LSI60のポート端子61aから出力されたHigh信号がポート端子61bに入力されたかどうかに基づいて、インターフェースコネクタ20及びバッテリー装着部30がコネクタカバー40及びバッテリーカバー50によってそれぞれ覆われているかどうかを判断しているが、LSI60のポート端子61aから所定のパルス信号を出力し、そのパルス信号がポート端子61bに入力されたかどうかに基づいて判断する等、LSI60のポート端子61aから出力される信号がポート端子61bに入力されているかどうかを検出すれば、LSI60のポート端子61aから出力される信号はHigh信号に限らない。
【0033】
また、インターフェースコネクタ20及びバッテリー装着部30がコネクタカバー40及びバッテリーカバー50によってそれぞれ覆われている状態から、外部インターフェースコネクタ20とバッテリー装着部30との少なくとも一方がコネクタカバー40またはバッテリーカバー50によって覆われていない状態になると、ポート端子61bにて検出される電圧に急激な変動が生じるため、その急激な変動を検知することによって、外部インターフェースコネクタ20とバッテリー装着部30との少なくとも一方がコネクタカバー40またはバッテリーカバー50によって覆われていない状態になったと判断することも考えられる。
【0034】
また、携帯端末として携帯電話機101を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、被覆部が蓋部によって覆われて使用されるものであればよく、防水機能を有するものにも限定されない。
【符号の説明】
【0035】
1 携帯電話機
2 High信号
10 基板配線
20 外部インターフェースコネクタ
22a,22b コネクタ側端子
23,33 照度センサ
30 バッテリー装着部
32a,32b バッテリー装着部端子
40 コネクタカバー
41 コネクタカバー配線
42a,42b コネクタカバー端子
50 バッテリーカバー
51 バッテリーカバー配線
52a,52b バッテリーカバー端子
60 LSI
61a,61b ポート端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋部と、該蓋部によって覆われることにより外部に露出しなくなる被覆部とを有する携帯端末において、
第1及び第2の端子を具備する制御部と、
前記蓋部に設けられた蓋部側配線と、
前記蓋部が前記被覆部を覆った場合に前記蓋部側配線と導通することにより、前記第1の端子と前記第2の端子とを導通させる本体側配線とを有し、
前記制御部は、前記第1の端子と前記第2の端子とが導通しているかどうかによって、前記蓋部が前記被覆部を覆っているかどうかを判断することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末において、
前記制御部は、前記第1の端子から所定の信号を出力し、該所定の信号が前記第2の端子に入力されているかどうかによって、前記蓋部が前記被覆部を覆っているかどうかを判断する携帯端末。
【請求項3】
請求項1に記載の携帯端末において、
前記制御部は、前記第2の端子に入力される電圧値の急激な変動を検知することによって、前記蓋部が前記被覆部を覆っているかどうかを判断する携帯端末。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の携帯端末において、
前記制御部は、前記蓋部が前記被覆部を覆っていないと判断した場合に警告を出力する携帯端末。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の携帯端末において、
前記被覆部は、外部機器が接続されるインターフェース部である携帯端末。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の携帯端末において、
前記被覆部は、バッテリーが装着されるバッテリー装着部である携帯端末。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の携帯端末において、
前記被覆部を複数有し、
前記本体側配線は、前記複数の被覆部の全てが前記蓋部によって覆われた場合に前記第1の端子と前記第2の端子とを導通させる携帯端末。
【請求項8】
請求項7に記載の携帯端末において、
前記複数の被覆部のそれぞれは、照度を検出する照度センサを有し、
前記制御部は、前記照度センサにおける検出結果に基づいて、前記複数の被覆部のうち前記蓋部によって覆われていない被覆部を特定する携帯端末。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の携帯端末において
前記携帯端末は防水機能を有し、前記蓋部が前記被覆部を覆うことにより防水機能が発揮される携帯端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−191540(P2012−191540A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54977(P2011−54977)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】