説明

携帯端末

【課題】部品を少数化できるとともに組立工程を簡略化できる携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯端末10は、枠状の側部16および側部16の一端側を覆う底部17を有する筐体11と、側部16の内側と嵌合する板金部材18と、筐体11の内部に設けられ、筐体11と板金部材18との間に設けられた回路基板19と、板金部材18に支持される操作部12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、携帯端末において筐体は、枠状の側壁と底部とを有する裏ケースに、枠状の側壁と操作部あるいは表示部である天板部とを有する表カバーを組み合わせてから、互いにネジにより固定することにより側面に境界線を有する扁平な箱形状となる。
【0003】
近年、操作部あるいは表示部の周囲に境界線を有する筐体を備えた携帯端末が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような携帯端末では、板金部材から回路基板を挿通されたネジが裏ケースにネジ込まれることにより、板金部材および回路基板が裏ケースに収容されて固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4271668号公報(図2、段落番号0030)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1に記載された携帯端末は、通常、表カバーと裏カバーとが別体であった構造を一体の裏ケースとしているために、表カバーと裏カバーとを固定するためのネジを不要とすることができる。
しかし、上記特許文献1に記載された携帯端末では、裏ケースに収容される板金部材から回路基板を挿通されたネジが裏ケースにネジ込まれることにより板金部材および回路基板が裏ケースに収容固定される。
そのため、上記特許文献1に記載された携帯端末では、板金部材の裏ケースへの収納にネジを必要とするために部品を少数化できない。
また、上記特許文献1に記載された携帯端末では、ネジのネジ込み空間をケース側に設けなければならないため、裏ケースの内部空間が小さくなる。
さらに、上記特許文献1に記載された携帯端末では、ネジのネジ込み作業が必要であるため、組立工程の簡略化が難しい。
【0006】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、部品を少数化できるとともに組立工程を簡略化できる携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る携帯端末は、枠状の側部および前記側部の一端側を覆う底部を有する筐体と、前記筐体の内部に設けられた回路基板と、前記回路基板を覆う板金部材と、前記板金部材に支持される操作部と、前記筐体に固定され、前記操作部を覆うキーシートと、を備え、前記板金部材は、前記筐体の前記キーシートを固定する部分の反対側に保持される。
【0008】
本発明においては、筐体のキーシートを固定する部分の反対側に板金部材が保持されるため、板金部材が筺体の側部に取り付けられる。
従って、本発明においては、従来のものと比べてネジを不要とすることにより、部品を少数化できるとともに組立工程を簡略化できる。
【0009】
本発明に係る携帯端末は、上記携帯端末において、前記板金部材の縁部に複数の爪部を有し、前記爪部が前記縁部に沿って所定間隔で配置され、前記爪部と前記側部とが嵌合している。
【0010】
本発明においては、板金部材の縁部に所定間隔で配置された複数の爪部が側部に対して嵌合される。
従って、本発明においては、板金部材を筺体に組付けるに際し、板金部材を筺体の側部に組み込みやすい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の携帯端末によれば、板金部材が側部の内側と嵌合することにより、板金部材が筺体の側部に取り付けられるため、部品を少数化できるとともに組立工程を簡略化できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る一実施形態の携帯端末の分解斜視図
【図2】図1の携帯端末における第1回路基板と第2回路基板との接続関係を説明する分解斜視図
【図3】図1の携帯端末の縦断面図
【図4】図2の要部拡大断面図
【図5】図1の携帯端末の板金部材の取付時の外観斜視図
【図6】図5の携帯端末の側面図
【図7】図1の携帯端末における板金部材の嵌合部周りの外観斜視図
【図8】図1の携帯端末の板金部材周りの縦断面
【図9】図8の携帯端末の要部拡大断面図
【図10】(A)、(B)、(C)は図1の携帯端末における板金部材の取り付け手順を説明するそれぞれ平面図
【図11】(A)、(B)、(C)、(D)は図1の携帯端末における板金部材の取り外し手順を説明するそれぞれ断面図および斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る携帯端末について図面を参照して説明する。
本発明の一実施形態である携帯端末10は、操作部12が設けられた下筐体11と、表示部14が設けられた上筐体13と、下筐体11および上筐体13を折り畳み自在に連結する連結部15とを備えた折り畳み式携帯端末である。
【0014】
なお、携帯端末10は、二つ折りの折り畳み式携帯端末を例示するが、二つ折りの折り畳み式携帯端末に限定するものではなく、ストレート型の携帯端末に適用することも可能である。
【0015】
図1、図2に示すように、下筐体11は、枠状の側部16および側部16の一端側を覆う底部17を有する。側部16の内側に、板金部材18と、第1回路基板19と、第2回路基板20とを収容するための電子部品収容部21が形成されている。上筺体13の表示部14は、例えば液晶表示装置である。第1回路基板19には、携帯端末10の中枢機能をなす複数の電子部品22が実装されている。
【0016】
下筐体11は、側部16の連結部寄りの両側内面(内側)に板金部材18が有する爪部(図3参照)23が入り込む間隔寸法を有する複数のリブ24が設けられており、底部17に電池パック25を着脱自在な電池取り付け部26と、電池取り付け部26を塞ぐための電池カバー27とを有する。下筺体11は、側部16の一部に外部コネクタカバー28を着脱自在に備え、ケーブル接続部材29と、ケーブル接続部材カバー30とを備える。
【0017】
板金部材18は、第1回路基板19よりも側部16の貫通方向他端側に設けられており、その上面に、不図示の基板シートとパネルスイッチ31とが配置されている。そして、板金部材18の上面には、入力操作部20を構成する第2回路基板32が載置され、この第2回路基板32上に同じく入力操作部20を構成するキーシート33が載置される。
なお、キーシート33は、携帯端末10を操作する操作者の指が触れることにより、その下側の第2回路基板32の所定のパネルスイッチ31が押圧される。
【0018】
板金部材18には、金属製の板形状をなす板金部材本体34の長さ方向における連結部15寄りの部位の上面に四角形の貫通孔35が設けられている。貫通孔35は、その周囲に段部を有するために、板金部材18上にキーシート33が取り付けられた際に、キーシート33に凸部、即ちキーシート33に浮きを生ずることがない。貫通孔35は、第1回路基板19上に板金部材18を挟んで第2回路基板32が順次重ねられることにより、第1回路基板19の連結部15側の上面側部に設けられている第1コネクタ36と、第2回路基板32の連結部15側の下面側部に設けられている第2コネクタ37とを通過させることができる。そのため、第1回路基板19に第2回路基板32を重ねる方向への組み込みにより、貫通孔35を通じて各コネクタ36、37が電気的に接続される。これにより、電線の電気的な接続等の作業を行う必要がなくなり、同一の組付方向からの簡単な組立を実現することができる。
【0019】
板金部材18は、その長さ方向の連結部15の反対側に掛止片38を有する。掛止片38は、板金部材18の長さ方向に突出しており、板金部材18が下筺体11に取り付けられる際に、側部16の裏面に最初に掛止されることにより支点として機能する。板金部材18は第1回路基板19にネジ39により固定される。
【0020】
図3に示すように、板金部材18は、その両側縁部に可撓嵌合片状の複数の爪部23を有する。そのため、板金部材18は、複数の爪部23を下筐体11の上方から側部16の内側に向けて押圧挿入させることにより、複数の爪部23が下筐体11の側部16の内面に有する嵌合部40に嵌合される。
すなわち、板金部材18は、下筐体11のキーシート33を固定する部分の反対側に保持される。
【0021】
ここで、爪部23の嵌合とは、爪部23が下筐体11の側部16に単に接触している状態ではなく、板金部材18を下筐体11の内側に配置するにあたって、側部16あるいは板金部材18の縁部のうちの一方あるいは双方が弾性変形した後に、初期形状に復帰することにより、互いの相対位置が固定されることを言う。
【0022】
図4に示すように、より具体的に、板金部材18は、爪部23により、下筐体11の側部16の上端部に形成されている縁面部41の内側に予め定められた防水保持用距離L1を開けて配置されている嵌合部40に嵌合される。そして、この縁面部41の上面にキーシート33が載置されるために、下筺体11の内部に対して第2回路基板32が高い防水性を発揮することになる。
【0023】
爪部23は、下筐体11の側部16の内面に有する嵌合部40に嵌合された際に、下筐体11の側部16の両側面に有するリブ24同士の間に入り込む。爪部23がリブ24同士の間に入り込むことにより、板金部材18は、その長さ方向に移動不能に下筐体11に位置決めされる。
【0024】
図5、図6、図7に示すように、爪部23は、板金部材18の板金部材本体34のほぼ中央部における両縁部に複数個形成されており、両縁部から下方に向けて突出されている。これら爪部23は、板金部材本体34の長手方向に所定間隔を開けて配置されている。そのため、板金部材18を下筺体11の側部16に組み付けるに際し、板金部材18が長さ方向に対して撓んだとしても所定間隔を有する複数の爪部23を下筺体11の側部16に組み込みやすくなっている。なお、爪部23は、板金部材本体34の中央部の両縁部に4個ずつ形成されるのに限定されることはなく、4個以外の2個以上の複数個であっても良い。
【0025】
図8、図9に示すように、板金部材18は、複数の爪部23の両側に複数の回路基板当接片42を有する。回路基板当接片42は、補強用の支柱として機能して板金部材18の全体の剛性を高めるものであり、爪部23と同様に板金部材本体34の両縁部から下方に向けて突出されており、先端部にコ字形状に形成された弾性当接部43を有する。回路基板当接片42は、板金部材18が爪部23により下筺体11の側部16に組付けられた際に、弾性当接部43が第1回路基板19の上面に当接して板金部材18を下筺体11内に支持する。
【0026】
次に、板金部材18の下筺体11への取り付け手順について説明する。
図10(A)に示すように、板金部材18が下筺体11の電子部品収容部21の上方に配置される。次に、図10(B)に示すように、板金部材18の掛止片38が側部16の裏面に最初に掛止され、板金部材18が電子部品収容部21に向けて押圧される。そして、図10(C)に示すように、掛止片38を支点として板金部材18が撓みながら電子部品収容部21に向けて進行されていき、掛止片38側の爪部23から側部16の内面の嵌合部40に順次嵌合されていく。このとき、爪部23が板金部材18の長さ方向に所定間隔を有するために、爪部23は下筺体11の側部16に簡単に入り込んでいく。
【0027】
次に、板金部材18の下筺体11からの取り外し手順について説明する。
図11(A)に示すように、まず、板金部材18の爪部23の上部が治具50等により押圧される。すると、図11(B)、図11(C)に示すように、板金部材18の端部が下方へ向けて撓む。板金部材18の端部が下方へ向けて撓むことにより爪部23が嵌合部40から外れる。そして、図11(D)に示すように、取り付け時と同様にして、掛止片38を支点として板金部材18が電子部品収容部21から離脱されて下筺体11から取り外される。
【0028】
従って、この一実施形態の携帯端末10においては、板金部材18の縁部が側部16の内面に対して嵌合されることにより、板金部材18が下筺体11の側部16に取り付けられる。
これにより、この一実施形態の携帯端末10においては、従来のものと比べてネジを不要とすることにより、部品を少数化できるとともに組立工程を簡略化できる。
【0029】
また、この一実施形態の携帯端末10においては、板金部材18の縁部に沿って所定間隔で配置された複数の爪部23が側部16の内面に対してそれぞれ嵌合される。
これにより、この一実施形態の携帯端末10においては、板金部材18を下筺体11に組付けるに際し、複数の爪部23が所定間隔で配置されているために、板金部材18を下筺体11の側部16に組み込みやすく、作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0030】
また、この一実施形態の携帯端末10においては、従来のものと比べて、ネジのネジ込み空間を設ける必要がない。
これにより、この一実施形態の携帯端末10においては、従来のものと比べて、下筺体11の内部空間が小さくなることがないので内部空間を効率良く使用することができる。
【0031】
なお、実施形態で使用した操作部、表示部、連結部等は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上のように本発明に係る携帯端末は、部品を少数化できるとともに組立工程を簡略化できるために、携帯電話機、PDA以外の各種電子機器にも適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
10 携帯端末
11 下筺体(筐体)
12 操作部
16 側部
17 底部
18 板金部材
19 第1回路基板(回路基板)
23 爪部
33 キーシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状の側部および前記側部の一端側を覆う底部を有する筐体と、
前記筐体の内部に設けられた回路基板と、
前記回路基板を覆う板金部材と、
前記板金部材に支持される操作部と、
前記筐体に固定され、前記操作部を覆うキーシートと、を備え、
前記板金部材は、前記筐体の前記キーシートを固定する部分の反対側に保持される携帯端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末において、
前記板金部材の縁部に複数の爪部を有し、
前記爪部が前記縁部に沿って所定間隔で配置され、前記爪部と前記側部とが嵌合
している携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−5071(P2012−5071A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141004(P2010−141004)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】