説明

携帯簡易除雪機

【課題】本発明は、市販されている携帯用刈払機を利用し、除雪アタッチメントに交換することにより簡易除雪機として利用できる携帯簡易除雪機に関する。
【解決手段】除雪部2は、縦型ケース9と、縦型ケース9に垂直回転軸12が回動自在に軸支される集雪オーガー13と、縦型ケース9の上部内面に設けられる投雪案内壁14で形成される角笛状の投雪昇圧部15と、縦型ケース9の周面に開口される雪掻込み口16と、前記投雪昇圧部15の終端に開口される投雪口17と、垂直回転軸12の周囲所要範囲に渡って揺動自在に支持されるシュート19と、前記縦型ケース9の上部外周に接合される取付けアーム20と、前記垂直回転軸12の上端に接合されるボス21と前記回転盤8との接合部を被蓋する上カバー22と、前記下軸受部11を保護する下カバー23とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、市販されている携帯用刈払機を利用し、除雪アタッチメントを装着することにより簡易除雪機として利用できる携帯簡易除雪機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、刈払機を活用した携帯作業機械として、回転作業手段が除雪用回転羽根であるとした除雪技術が提案されている(特許文献1を参照)。
この公知技術は、刈払機の操作柄杆(10)の第1駆動軸(12)及び作業機械本体(20)の第2駆動軸(21)が作業機械本体(20)の除雪用回転羽根(30)の水平軸を回転軸とする作業軸(22)に取り付けられ、羽根部(31)で掻き取った雪を水平軸回りの遠心力によって放り出すものである。
したがって、オーガーで掻き集めた雪をブロアで投雪するのと異なり、除雪能力が低い上、投雪方向の制御ができない欠点を有する。
【0003】
また、刈払機に刈払機アタッチメントとして除雪回転体を設けた技術が提案されている(特許文献2を参照)。
この公知技術は、刈払機アタッチメントとしての除雪回転体(120)が遠心ファン状に配設した複数枚の羽根(122)を積雪面の上面に押し当ててケーシングの周面に開口する吐出口(OP)から雪を排出するものである。
しかし、除雪作業においては積雪面の任意の位置からでは除雪に伴って吐出口が塞がれて排雪できず、吐出口が閉塞されない位置や姿勢で除雪しなければならず、しかも、ケーシングの周面方向すなわち除雪回転体の軸心と直交する方向には移動できないなど、除雪作業の自由度が狭い欠点がある。
【0004】
さらに、刈払機の草刈刃を除雪部材に交換した除雪装置が提案されている(特許文献3を参照)。
この公知技術は、車輪(7)を設けた手押式刈払機(40)をベースとし、刈払機の除雪部材(4)が水平軸心L廻りに回転する横断面L字状の雪掻き羽根(11)で除雪するものである。
しかし、車輪を設けた手押式刈払機をベースとするから、一般的に普及している小型除雪機と同様にかなり重いものであり、屋根上での除雪には使用できないものである。
【特許文献1】特開2003−180117号公報
【特許文献2】特開2007−289040号公報
【特許文献3】特開2007−309050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に鑑みて、本発明は、刈払機を利用した除雪技術において、刈払機の回転ヘッドとの接合が簡易で、除雪能力が大であり、しかも屋根上での除雪に好適な、積雪面からの除雪でも雪壁面からの除雪でも左右に拡幅しつつ除雪できるなど作業自由度が広く、軽量で携帯できる携帯簡易除雪機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明の携帯簡易除雪機は、U字型両手ハンドルが取着される操作杆に駆動軸が内装され、該駆動軸の一端に駆動源の出力軸が連結され、他端に回転ヘッドの入力軸が接合される刈払機本体部と前記回転ヘッドの出力軸に除雪用回転羽根が着脱自在に装着されてなる除雪部とから構成される携帯簡易除雪機において、前記除雪部は縦型ケースに前記除雪用回転羽根の垂直回転軸が回動自在に軸支される集雪オーガーから成り、前記縦型ケースは上部所要位置から下端部に渡る周面に雪掻込み口が開口されて前記操作杆に取着され、前記縦型ケースの上部には角笛状の投雪昇圧部が内設され、該投雪昇圧部の終端に開口される投雪口には、揺動手段を具備して集雪オーガーの垂直回転軸の周囲所要範囲に渡って揺動自在に支持されるシュートが連設されてなるものである。
【0007】
また、本発明の携帯簡易除雪機は、U字型両手ハンドルが取着される操作杆に駆動軸が内装され、該駆動軸の一端に駆動源の出力軸が連結され、他端に回転ヘッドの入力軸が接合される刈払機本体部と前記回転ヘッドの出力軸に除雪用回転羽根が装着されてなる除雪部とから構成される携帯簡易除雪機において、前記シュートの揺動手段に連係するシュート制御部が前記操作杆に配設されてなるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の携帯簡易除雪機によれば、縦型ケースの底面を積雪面に載置する降下方向への除雪でも、積雪壁面に向けての除雪でも、縦型ケースを左右に振りながらの除雪でも広くその除雪作業態様に対応できるから、作業自由度が広い。
また、垂直回転軸の集雪オーガーで直径に対して背丈の高い雪掻込み口で雪を掻き取って除雪できるから、除雪能力も高く、掻き取られた雪は角笛状に形成された投雪案内壁を有する投雪昇圧部によって圧迫されるから、勢いよく投雪口からシュートに案内され、しかも、手元のシュート制御部の回転ハンドルによってその投雪方向を制御できるから、除雪処理外の領域に排雪でき、能率良く除雪できる。
【0009】
また、縦型ケースの雪掻込み口をU字型両手ハンドルによって左右に振り廻しできるから、除雪幅は簡単に拡幅され、自重による降下も加勢となって屋根上での雪下ろしには極めて省力的である。
このほか、除雪部は刈払機の回転ヘッドの出力軸に対して草刈刃を取着する回転盤を介して垂直回転軸の上端に一体のボスで着脱自在に接合でき、シュート制御部の支持体や縦型ケースの取付けアームの操作杆への取着は、上下に分割された分割接合部で操作杆を挟持できるから、刈払機本体部への接合が極めて簡易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の携帯簡易除雪機の一実施例を添付図面により、以下に説明する
図1に示すように、携帯簡易除雪機は、刈払機本体部1と除雪部2とからなる。
前記刈払機本体部1は、U字型両手ハンドル3及び肩掛けベルト(図示せず)が取着される長尺中空管状の操作杆4と、該操作杆4に内装される駆動軸(図示せず)と、操作杆4の一端で前記駆動軸(図示せず)の一端にその出力軸(図示せず)を連結して接合される駆動源5と、図2に示す操作杆4の他端で駆動軸(図示せず)の他端にその入力軸(図示せず)を連結される回転ヘッド6と、該回転ヘッド6の出力軸7に軸着される回転盤8とからなる。
図1に示すように、前記除雪部2は、長尺円筒状の縦型ケース9と、縦型ケース9の上軸受部10と、下軸受部11に垂直回転軸12が回動自在に軸支される集雪オーガー13と、図2に示す縦型ケース9の上部内面に設けられる投雪案内壁14で形成される角笛状の投雪昇圧部15と、上部所要位置から下端部に渡る周面に開口される雪掻込み口16と、前記投雪昇圧部15の終端に開口される投雪口17と、投雪口17に揺動手段18を具備して集雪オーガー13との垂直回転軸12の周囲所要範囲に渡って揺動自在に支持されるシュート19と、前記縦型ケース9の上部外周に接合される取付けアーム20と、前記垂直回転軸12の上端に接合されるボス21と前記回転盤8との接合部を被蓋する上カバー22と、前記下軸受部11を保護する下カバー23と、シュート制御部24とからなる。
【0011】
そして、図2に示すように、前記揺動手段18は、前記シュート19と一体の回転胴25と、該回転胴25の上部に周設される台座26と、該台座26の上面に所要の曲率半径で円弧上に単体群として配列されるチェーンアタッチメント27と、前記回転胴25の基部で縦型ケース9の上部に外嵌する大径円筒部28と、前記縦型ケース9の上端部周縁に水平に周設されるガイドフランジ29と、前記大径円筒部28の下端でガイドフランジ29を上下からすべり材30を介して揺動自在に挟持する滑り案内部31とからなる。なお、すべり材30を滑り案内部31側に設けてもよい。
図1に示すように、前記シュート制御部24は、前記チェーンアタッチメント27の配列群に噛合するスプロケットホイール32と、該スプロケットホイール32の回転軸33を軸支して操作杆4に取着される支持体34と、前記U字型両手ハンドル3の近傍で操作杆4に取着され、ウォーム35とウォームギヤ36による減速手段が内蔵されるギヤボックス37と、前記ウォーム35の軸部に取着される回転ハンドル38と、前記ウォームギヤ36の軸部と前記支持体34に軸支される回転軸33とに軸着されるフレキシブルシャフト39とからなる。
【0012】
また、図2にその断面の詳細を示すように、前記上軸受部10は縦型ケース9の上端に溶着される上座盤40と、該上座盤40の中央に貫設した嵌合孔41にボス部を嵌入して上座盤40の凸部上面にボルトで固定される軸受ハウジング42と、軸受ハウジング42内嵌されて垂直回転軸12を軸支する軸受43の内輪を上小径軸部44に固定する固定ナット45(回り止め用の舌付き座金を含む)と、軸受43の外輪を固定すべくシム調整して軸受ハウジング42にボルトで固定される軸受押さえ46とから成り、軸受ハウジング42の垂直回転軸12との嵌合部及び軸受押さえ46の上小径軸部44との嵌合部にはそれぞれシール部材が内設される。
さらに、図3にその断面の詳細を示すように、下軸受部11は縦型ケース9の下端に溶着されたリング座47にボルトで固定される下座盤48と、下座盤48中央に貫設した嵌合孔49にボス部を嵌入して下座盤48の内面に凸部上面(内面)にボルトで固定される軸受ハウジング50と、軸受ハウジング50に内嵌されて垂直回転軸12の下小径軸部51を軸支する軸受52と、軸受52の内輪を下小径軸部51に固定する固定ナット53(回り止め用の舌付き座金を含む)と、軸受52の外輪を固定すべくシム調整して軸受押さえ54とから成り、軸受ハウジング50の垂直回転軸12との嵌合部には前記と同様にシール部材が内設される。
【0013】
さらに、支持体34と取付けアーム20及びギヤボックス37の操作杆4への取付けについて説明すると、それぞれ分割接合部55で操作杆4に接合されるものであるが、支持体34と取付けアーム20に関しては、図4及び図5に示すように、支持体34及び取付けアーム20の各上端に溶着される下取付け座56と上側の挟持体57とがそれぞれの半円弧状の嵌着凹部を操作杆4に嵌着してボルト58で固定され、操作杆4に確実に挟持されるものである。
ギヤボックス37に関しては図6に示すように、前記支持体34と取付けアーム20と同様にギヤボックス37の上面に溶着される下取付け座56と上側の挟持体57とがそれぞれの半円弧状の嵌着凹部を操作杆4に嵌着してボルト58で固定され、操作杆4に確実に挟持されるものである。
なお、集雪オーガー13のブレード等が破損して修復が生じた場合には、図1に示す回転盤8のボルトを緩めて、垂直回転軸12の上部軸端からボルト59を抜いてボス21を取り外すとともに、キー59も外し、軸受押さえ46をボルトを緩めて取り外し、固定ナット45を緩めて上小径軸部44より外すと、軸受ハウジング42に対して上小径軸部44はフリーの状態となる。
この状態で、図3に示す下軸受部11の下座盤48のボルトを緩めてリング座47との係合を解けば、リング座47の内径は集雪オーガー13のブレードの直径より大であるから、下座盤48と共に集雪オーガー13は縦型ケース9から脱却され、メンテナンスにも十分対応できるものである。
【0014】
本発明の携帯簡易除雪機における除雪部2は、軽量仕上げを旨とするものであるから、前記縦型ケース9や集雪オーガー13の上下軸端部を除く大部分、及びシュート制御部24の支持体34やギヤボックス37などは軽量アルミ合金製が好適である。
また、前記揺動手段18は、前記シュート19と一体の回転胴25を縦型ケース9の上部に所要揺動範囲で滑り案内部31で抜け止めして所要位置にボルトなどで位置決めするものから、遠隔制御のシュート制御部24で任意位置に位置決めするなどであり、遠隔制御の場合は、前記回転胴25をスプロケットホイール32やピン車で回動させるためのチェーンアタッチメント27や噛合孔が回転胴25に設けられたり、ボーデンワイヤや連接棒で回動させるためのアームやリンクなどが回転胴25に設けられる。
【0015】
次に、本発明の携帯簡易除雪機の操作動作を添付図面により、以下に説明する
このようにしてなる携帯簡易除雪機は、図1に示すシュート制御部24のギヤボックス37の回転ハンドル38を操作し、前記シュート19を所要の投雪方向へ向けて除雪を開始する。
前記垂直回転軸12で回転する集雪オーガー13は直径に対して背丈を高くして除雪できる上、前記U字型両手ハンドル3により左右に振り廻して除雪幅を拡幅できるから除雪能力が大であり、高く積もった屋根上での除雪では、積雪上面から前記除雪部2の自重も加勢して降下させながら除雪できるので、作業労力も軽減され、投雪方向も制御できるから省力的に能率のよい除雪ができる。
そして、除雪期間が過ぎれば、前記シュート制御部24の支持体34やギヤボックス37及び縦型ケース9の取付けアーム20はそれぞれ分割接合部55で図2にその一部を示すように操作杆4から外され、前記垂直回転軸12は回転ヘッド6の回転盤8とボス21を分離することによって簡単に刈払機本体部1から外され、この刈払機本体部1には何らの変更も加えてないから、春から秋にかけては回転ヘッド6の回転盤8に草刈刃(図外)が装着されて刈払機として使用されるものである。
【0016】
したがって、本来であれば冬期は休眠状態である刈払機が、除雪に役立つものであるから、積雪地方の農家にとっては極めて経済的で有用である。
また、本発明における集雪オーガー13のブレードは、上部の投雪昇圧部15では、投雪案内壁14の絞り状の形状に沿ってその直径が投雪口17に向けて順次縮径されて形成されるものである。
このことによって、前記雪掻込み口16から掻き取られた雪が集雪オーガー13の螺旋によって絞り状の投雪昇圧部15に高速で送り込まれ、徐々に圧力が上昇し、昇圧状態で投雪口17より勢いよく投雪される。
【0017】
本発明は、市販の刈払機に何らの変更を要することなく提供できるから、農家よりの需要に対応すべく、簡易除雪装置の製造業界の分野で貢献できることは勿論のこと、刈払機の使用が除雪分野にも及ぶこととなって刈払機製造業界の活性化にも資することとなり、産業上の利用効果は多大である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の携帯簡易除雪機の一側面図である。
【図2】除雪部の上部分解状態の要部縦断面図である。
【図3】除雪部の下部縦断面図である。
【図4】除雪部の一部を破断した上部説明図である。
【図5】図1のQ矢視図である。
【図6】図1のP矢視図である。
【符号の説明】
【0019】
1 刈払機本体部
2 除雪部
3 U字型両手ハンドル
4 操作杆
5 駆動源
6 回転ヘッド
7 出力軸
8 回転盤
9 縦型ケース
10 上軸受部
11 下軸受部
12 垂直回転軸
13 集雪オーガー
14 投雪案内壁
15 投雪昇圧部
16 雪掻込み口
17 投雪口
18 揺動手段
19 シュート
20 取付けアーム
21 ボス
22 上カバー
23 下カバー
24 シュート制御部
25 回転胴
26 台座
27 チェーンアタッチメント
28 大径円筒部
29 ガイドフランジ
30 スベリ材
31 滑り案内部
32 スプロケットホイール
33 回転軸
34 支持体
35 ウォーム
36 ウォームギヤ
37 ギヤボックス
38 回転ハンドル
39 フレキシブルシャフト
40 上座盤
41 嵌合孔
42 軸受ハウジング
43 軸受
44 上小径軸部
45 固定ネット
46 軸受押さえ
47 リング座
48 下座盤
49 嵌合孔
50 軸受ハウジング
51 下小径軸部
52 軸受
53 固定ネット
54 軸受押さえ
55 分割接合部
56 下取付け座
57 挟持体
58 ボルト
59 ボルト
60 キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
U字型両手ハンドルが取着される操作杆に駆動軸が内装され、該駆動軸の一端に駆動源の出力軸が連結され、他端に回転ヘッドの入力軸が接合される刈払機本体部と前記回転ヘッドの出力軸に除雪用回転羽根が着脱自在に装着されてなる除雪部とから構成される携帯簡易除雪機において、前記除雪部は縦型ケースに前記除雪用回転羽根の垂直回転軸が回動自在に軸支される集雪オーガーから成り、前記縦型ケースは上部所要位置から下端部に渡る周面に雪掻込み口が開口されて前記操作杆に取着され、前記縦型ケースの上部には角笛状の投雪昇圧部が内設され、該投雪昇圧部の終端に開口される投雪口には、揺動手段を具備して集雪オーガーの垂直回転軸の周囲所要範囲に渡って揺動自在に支持されるシュートが連設されてなることを特徴とする携帯簡易除雪機。
【請求項2】
前記シュートの揺動手段に連係するシュート制御部が前記操作杆に配設されてなることを特徴とする請求項1記載の携帯簡易除雪機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−221711(P2009−221711A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65984(P2008−65984)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(308003998)
【Fターム(参考)】